(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021096
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ファイル
(51)【国際特許分類】
B42F 13/06 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B42F13/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123671
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】神 教雄
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕二
【テーマコード(参考)】
2C017
【Fターム(参考)】
2C017QA17
2C017QB05
2C017QD05
(57)【要約】
【課題】綴じ足が比較的長く設定された場合であっても、折り曲げられた綴じ足が邪魔になり難い綴じ具を有したファイルを提供する。
【解決手段】一対の綴じ足Fが設けられた表紙と、綴じ足Fにおける長手方向の中間部fcを綴じ具本体に支持されたスライド駒2を利用して折り曲げつつ綴じ具本体に対して拘束させる綴じ具とを備えたファイルであって、綴じ具本体に、綴じ足Fにおける中間部fcから先端側の構成部分f1を平面視において綴じ具本体の長手方向に対して同じ側に傾斜した姿勢に誘導する誘導部12が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の綴じ足が設けられた表紙と、前記綴じ足における長手方向の中間部を綴じ具本体に支持されたスライド駒を利用して折り曲げつつ前記綴じ具本体に対して拘束させる綴じ具とを備えたファイルであって、
前記綴じ具本体に、前記綴じ足における前記中間部から先端側の構成部分を平面視において前記綴じ具本体の長手方向に対して同じ側に傾斜した姿勢に誘導する誘導部が設けられているファイル。
【請求項2】
前記誘導部は、平面視において前記構成部分を前記表紙の基端側に傾斜させるものである請求項1記載のファイル。
【請求項3】
前記誘導部は、平面視において前記構成部分を前記表紙の小口端側に傾斜させるものである請求項1記載のファイル。
【請求項4】
前記誘導部は、前記構成部分の傾斜姿勢を案内し得る案内壁が設けられている請求項1記載のファイル。
【請求項5】
前記誘導部は、前記構成部分の下に沿設された底面部分を備えたものであり、
前記底面部分が、前記構成部分の基端部に対応する位置に設けられた第一の底面部分と、前記基端部よりも先端側部分に対応する位置に設けられた第二の底面部分とを備えたものであり、
前記第二の底面部分が前記第一の底面部分よりも低い位置に設定されている請求項1記載のファイル。
【請求項6】
前記一対の綴じ足におけるそれぞれの前記構成部分が平面視において互いに交差するように構成されているものであり、
前記第二の底面部分が、前記構成部分が交差する箇所に設けられている請求項5記載のファイル。
【請求項7】
前記第一の底面部分と前記第二の底面部分との間に斜面状部分又は段差部分が設けられている請求項6記載のファイル。
【請求項8】
前記誘導部は、平面視において前記構成部分における前記綴じ具本体と重ならない先端延出部が前記綴じ具本体の近傍に沿うように前記構成部分を案内し得るものである請求項1記載のファイル。
【請求項9】
前記スライド駒が、前記中間部を内向きに折り曲げるものである請求項1記載のファイル。
【請求項10】
前記一対の綴じ足におけるそれぞれの前記構成部分が、平面視において互いに交差するように構成されている請求項1記載のファイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綴じ具を用いたファイルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるこの種のファイルには、表紙に設けられた一対の綴じ足を、スライド駒を利用して折り曲げて綴じ具本体に対して拘束させるようにした綴じ具を配設したものが種々存在する(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
多くの書類を綴じることができるように設定されたファイルでは、一対の綴じ足は比較的長尺なものとなる。ところが、従来のものでは綴じ足が折り曲げられた場合に、その先端側の部分がスライド駒や綴じ具本体に対して干渉するなど邪魔になりやすいという不具合が生じるものとなっていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】コクヨ株式会社、「フラットファイル(PP)A5横ピンク 品番:フ-P17P」、[online]、令和4年、コクヨ株式会社、[令和4年7月26日検索]、インターネット<URL:https://www.kokuyo-st.co.jp/search/1_detail.php?seihin_sikibetu=1&ssl=01&ss2=01B8&sid=100119922>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、少なくとも、綴じ足が比較的長く設定された場合であっても、折り曲げられた綴じ足が邪魔になり難い綴じ具を有したファイルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は次の構成をなしている。
【0007】
請求項1に係る発明は、一対の綴じ足が設けられた表紙と、前記綴じ足における長手方向の中間部を綴じ具本体に支持されたスライド駒を利用して折り曲げつつ前記綴じ具本体に対して拘束させる綴じ具とを備えたファイルであって、前記綴じ具本体に、前記綴じ足における前記中間部から先端側の構成部分を平面視において前記綴じ具本体の長手方向に対して同じ側に傾斜した姿勢に誘導する誘導部が設けられているファイルである。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記誘導部は、平面視において前記構成部分を前記表紙の基端側に傾斜させるものである請求項1記載のファイルである。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記誘導部は、平面視において前記構成部分を前記表紙の小口端側に傾斜させるものである請求項1記載のファイルである。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記誘導部は、前記構成部分の傾斜姿勢を案内し得る案内壁が設けられている請求項1記載のファイルである。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記誘導部は、前記構成部分の下に沿設された底面部分を備えたものであり、前記底面部分が、前記構成部分の基端部に対応する位置に設けられた第一の底面部分と、前記基端部よりも先端側部分に対応する位置に設けられた第二の底面部分とを備えたものであり、前記第二の底面部分が前記第一の底面部分よりも低い位置に設定されている請求項1記載のファイルである。
【0012】
請求項6に係る発明は、前記一対の綴じ足におけるそれぞれの前記構成部分が平面視において互いに交差するように構成されているものであり、前記第二の底面部分が、前記構成部分が交差する箇所に設けられている請求項5記載のファイルである。
【0013】
請求項7に係る発明は、前記第一の底面部分と前記第二の底面部分との間に斜面状部分又は段差部分が設けられている請求項6記載のファイルである。
【0014】
請求項8に係る発明は、前記誘導部は、平面視において前記構成部分における前記綴じ具本体と重ならない先端延出部が前記綴じ具本体の近傍に沿うように前記構成部分を案内し得るものである請求項1記載のファイルである。
【0015】
請求項9に係る発明は、前記スライド駒が、前記中間部を内向きに折り曲げるものである請求項1記載のファイルである。
【0016】
請求項10に係る発明は、前記一対の綴じ足におけるそれぞれの前記構成部分が、平面視において互いに交差するように構成されている請求項1記載のファイルである。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、綴じ足が比較的長く設定された場合であっても、折り曲げられた綴じ足が邪魔になり難い綴じ具を有したファイルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~11を参照して説明する。
【0020】
ファイルは、綴じるべき紙葉類Pに挿通される一対の綴じ足Fが設けられた表紙Aと、一対の綴じ足Fにおける長手方向の中間部fcを綴じ具本体1に支持されたスライド駒2を利用して折り曲げつつ綴じ具本体1に対して拘束させる綴じ具Bとを備えたものである。
【0021】
この実施形態のファイルは、綴じられる紙葉類Pの量に応じて表紙Aを構成する背部52の幅(背表紙5において表表紙3及び裏表紙4の各基端部間に位置する領域の幅)が変更可能ないわゆる背幅可変タイプのものである。
【0022】
以下、本実施形態のファイルについて詳述する。
【0023】
<表紙A>
表紙Aは、表表紙3と、裏表紙4と、表表紙3及び裏表紙4の基端部間に配設される背部51を有した背表紙5と、裏表紙4の基端部から延設された一方の綴じ片6と、表表紙3の基端部から延設された他方の綴じ片7と、基端部が一方の綴じ片6に支持されるとともに基端部よりも先端側の部分が他方の綴じ片7に取り付けられた綴じ具Bに対して係脱可能に構成された一対の綴じ足Fとを備えたものである。
【0024】
表表紙3は略矩形板状をなしたものである。この実施形態では、表表紙3は、A5サイズの紙葉類Pを綴じる場合に適した大きさに設定されている。表表紙3は、基端部すなわち綴じ元側に背表紙5が挿入される開口kを有している。表表紙3は、開口kが設けられた基端部の辺以外の他の三辺が閉じられた袋状をなしている。開口kが設けられた表表紙3の基端部からは、綴じ具Bが取り付けられる部位をなす他方の綴じ片7が延設されている。
【0025】
裏表紙4は略矩形板状をなしたものである。この実施形態では、裏表紙4は、A5サイズの紙葉類Pを綴じる場合に適した大きさに設定されている。裏表紙4の基端部からは、内面側に向かって一方の綴じ片6が延設されている。
【0026】
背表紙5は、裏表紙4の基端部から延設されている。背表紙5は、先端部51と背部52とを備えている。背表紙5には背部52を構成する所定の領域に複数の折曲部rが設けられている。背表紙5の先端部51は、常に袋状をなす表表紙3内に収納されている。背表紙5の先端部51は、表表紙3との協働により表表紙3内から抜け出し難いように構成されている。背表紙5は、表表紙3に対して相対移動可能に構成されている。
【0027】
一方及び他方の綴じ片6、7は、内向き面同士が綴じるべき紙葉類Pを介して対面するように配設されるようになっている。一方及び他方の綴じ片6、7の離間距離は、表表紙3に対する背表紙5の挿入度合に応じて変更できるように構成されている。
【0028】
一方の綴じ片6は、裏表紙4の基端部から内面側に突出するように延設されている。一方の綴じ片6には一対の綴じ足Fが支持されている。すなわち、一方の綴じ片6には、綴じ足Fの基端に形成された板状をなす基端係止部feが係合し得る係止孔61と、係止孔61よりも外側に配設され綴じ足Fを通過させる通過孔62が設けられている。
【0029】
他方の綴じ片7は、表表紙3の基端部から内面側に突出するように延設されている。他方の綴じ片7には綴じ具Bが支持されている。他方の綴じ片7には、綴じ具本体1に突設された取付爪13が係合し得る爪係合孔71と、爪係合孔71よりも内側に配設され綴じ具本体1に形成された綴じ足挿通部11に対応する位置に配された切欠部72が設けられている。
【0030】
綴じ足Fは、左右に対をなして設けられている。綴じ足Fは、合成樹脂により形成された帯状のものである。綴じ足Fの基端には、板状をなし一方の綴じ片6に穿設された係止孔61に係止される基端係止部feが設けられている。綴じ足Fには、長手方向に沿って綴じ具本体1に突設された係合突起tが係合し得る図示しない複数の係合凹部が設けられている。
【0031】
綴じ足Fにおける長手方向の中間部fcは、綴じ具本体1に支持され内位置(N)にスライド移動されたスライド駒2により折り曲げられるとともに当該内位置(N)のスライド駒2と綴じ具本体1との間に挟まれて拘束されるものとなっている。
【0032】
なお、この明細書において、綴じ足Fの「中間部fc」とは、綴じ具本体1と内位置(N)に配設されたスライド駒2によって折り曲げられる部分を指している。また、綴じ足Fにおける中間部fcから先端側の構成部分を「綴じ足先端側構成部分f1」と称している。
【0033】
<綴じ具B>
綴じ具Bは、綴じ具本体1と、綴じ具本体1に対して外位置(S)と内位置(N)との間で左右方向にスライド移動可能に支持された左右のスライド駒2とを備えたものである。
【0034】
この実施形態の綴じ具Bは、表表紙3に連設された他方の綴じ片7に取り付けられている。
【0035】
綴じ具Bは、表紙Aに支持された綴じ足Fにおける長手方向の中間部fcを綴じ具本体1に支持されたスライド駒2を利用して折り曲げつつ綴じ具本体1に対して拘束させるものである。
【0036】
すなわち、綴じ具Bは、スライド駒2が内位置(N)にある場合には、綴じ具本体1の綴じ足挿通部11に挿通された綴じ足Fの中間部fcを断面視において略L字状をなすように折り曲げつつ当該中間部fcの近傍部分(綴じ足先端側構成部分f1の基端部f11)をスライド駒2と綴じ具本体1との間で挟み込むことにより、綴じ足Fを綴じ具本体1に対して拘束することができるようになっている。
【0037】
一方で、綴じ具Bは、スライド駒2が外位置(S)にある場合には、綴じ足Fを綴じ具本体1に対して拘束しない状態になり、綴じ足Fを綴じ具本体1に対して自由に移動させることができるようになっている。
【0038】
[綴じ具本体1]
綴じ具本体1は、左右に対をなして設けられ綴じ足Fを厚み方向に挿通させるための綴じ足挿通部11と、左右の綴じ足挿通部11の間に設けられ左右一対の綴じ足Fにおける中間部fcから先端側の構成部分である綴じ足先端側構成部分f1を平面視において綴じ具本体1の長手方向に対して傾斜した姿勢に誘導する誘導部12と、長手方向両端部の下面側に突設され他方の綴じ片7に対して係止する取付爪13と、長手方向両端部に鍔状に設けられスライド駒2をスライド移動可能に係合させるスライド駒係合部14を備えている。
【0039】
綴じ具本体1は、左右対称形状をなしている。
【0040】
綴じ足挿通部11は、厚み方向すなわち上下方向に貫通するとともに一端側である前側すなわち小口端側が開放された切欠形状をなしたものである。
【0041】
誘導部12は、平面視において左右一対の綴じ足Fにおける綴じ足先端側構成部分f1の両方を、表紙Aの基端すなわち背表紙5側に傾斜させるものである。すなわち、誘導部12は、二つの綴じ足先端側構成部分f1のそれぞれを同じ方向に傾斜させるものとなっている。
【0042】
誘導部12は、溝状をなし平面視おいて外側から内側に向かって漸次後方に位置するように傾斜した誘導路wを備えている。
【0043】
誘導部12には、綴じ足Fにおける綴じ足先端側構成部分f1の傾斜姿勢を案内し得る案内壁121が立設されている。換言すれば、案内壁121は、誘導路wを区画する一方の縁壁を構成するものである。
【0044】
誘導部12は、綴じ足Fにおける綴じ足先端側構成部分f1の下に沿設された底面部分Mを備えたものである。換言すれば、底面部分Mは、誘導路wの底部を構成するものである。
【0045】
この実施形態では、底面部分Mが、綴じ足先端側構成部分f1の基端部f11すなわち中間部fcの近傍部分に対応する位置に設けられた第一の底面部分m1と、基端部f11よりも先端側部分に対応する位置に設けられた第二の底面部分m2と、第一の底面部分m1と第二の底面部分m2との間に設けられた斜面状部分msを備えている。
【0046】
第一の底面部分m1には、綴じ足Fに設けられた図示しない係合凹部に係合し得る複数の係合突起tが突設されている。
【0047】
第二の底面部分m2は、第一の底面部分m1よりも低い位置に設定されている。
【0048】
斜面状部分msは、第二の底面部分m2よりも高い位置に配設された第一の底面部分m1と、第一の底面部分m1よりも低い位置に設定された第二の底面部分m2との間を滑らかに連絡させるためのものである。
【0049】
この実施形態では、一対の綴じ足Fにおけるそれぞれの綴じ足先端側構成部分f1が平面視において互いに交差するように構成されている。
【0050】
詳述すれば、左右のスライド駒2のそれぞれが内位置(N)にある場合、すなわち、綴じ具Bが紙葉類Pを綴じ得る姿勢を採る場合において、一対の綴じ足Fにおけるそれぞれの綴じ足先端側構成部分f1は、誘導部12に案内された結果、平面視においてX字状をなすように互いに交差するように構成されている。
【0051】
そして、誘導部12に設けられた第二の底面部分m2は、左右一対の綴じ足Fにおける各綴じ足先端側構成部分f1が平面視において交差する箇所に設けられている。
【0052】
このため、各綴じ足先端側構成部分f1が交差することにより厚み方向が嵩みやすくなる部分に、第二の底面部分m2が位置するため、交差する箇所及びその近傍が上方に膨出し難いものとなっている。
【0053】
なお、誘導部12は、平面視において綴じ足先端側構成部分f1における綴じ具本体1と重ならない部分である先端延出部f12が、綴じ具本体1の近傍に沿うように各綴じ足先端側構成部分f1を案内し得るものとなっている。
【0054】
[スライド駒2]
スライド駒2は、綴じ具本体1に対して外位置(S)と内位置(N)との間で左右方向にスライド移動可能に支持されたものである。スライド駒2は、内位置(N)において綴じ足Fの中間部fcを内向きに折り曲げることができるものとなっている。
【0055】
スライド駒2は、使用者の手指による操作力を受ける上面を有するとともに綴じ足Fの中間部fcを折り曲げるため押圧面である下面を有した天壁部21と、天壁部21の上下の両端部から下方に延設され綴じ具本体1の両端部に鍔状に形成されたスライド駒係合部14に対してスライド可能且つ離脱し難いように係わり合う一対の端壁部22を備えたものである。
【0056】
以上説明したように、本実施形態に係るファイルは、一対の綴じ足Fが設けられた表紙Aと、綴じ足Fにおける長手方向の中間部fcを綴じ具本体1に支持されたスライド駒2を利用して折り曲げつつ綴じ具本体1に対して拘束させる綴じ具Bとを備えたものである。
【0057】
そして、綴じ具本体1に、綴じ足Fにおける綴じ足先端側構成部分f1を平面視において綴じ具本体1の長手方向に対して傾斜した姿勢に誘導する誘導部12が設けられている。
【0058】
このため、本実施形態であれば、綴じ足Fが背幅可変タイプの構成に対応して比較的長く設定された場合であっても、折り曲げられた綴じ足Fの綴じ足先端側構成部分f1が邪魔になり難いように当該綴じ足先端側構成部分f1を好適に誘導し得る綴じ具Bを有したものとなっている。
【0059】
誘導部12は、平面視において綴じ足Fの綴じ足先端側構成部分f1を表紙Aの基端側すなわち背表紙5側に傾斜させるものである。
【0060】
このため、誘導部12により誘導された綴じ足Fの綴じ足先端側構成部分f1は、綴じられた紙葉類Pに対して邪魔にならないものとなる。
【0061】
誘導部12に、綴じ足Fの綴じ足先端側構成部分f1の傾斜姿勢を案内し得る案内壁121が設けられている。
【0062】
このため、誘導部12は、綴じ具本体1の長手方向に対して傾斜した姿勢を案内壁121によって好適に案内し得るものとなっている。
【0063】
誘導部12は、綴じ足Fの綴じ足先端側構成部分f1の下に沿設された底面部分Mを備えたものである。
【0064】
そして、底面部分Mが、綴じ足先端側構成部分f1の基端部f11に対応する位置に設けられた第一の底面部分m1と、基端部f11よりも先端側部分に対応する位置に設けられた第二の底面部分m2とを備えたものである。第二の底面部分m2は、第一の底面部分m1よりも低い位置に設定されている。
【0065】
このため、誘導部12は、綴じ足Fにおける綴じ足先端側構成部分f1の先端側を表紙Aに対して過度に浮き上がらないように配設し得るものとなっている。
【0066】
左右のスライド駒2のそれぞれが内位置(N)にある場合、すなわち、綴じ具Bが紙葉類Pを綴じる姿勢を採る場合において、一対の綴じ足Fにおけるそれぞれの綴じ足先端側構成部分f1が、平面視において互いに交差するように構成されている。
【0067】
そして、誘導部12における第二の底面部分m2が、双方の綴じ足先端側構成部分f1が交差する箇所に設けられている。
【0068】
このため、左右一対の綴じ足Fにおける各綴じ足先端側構成部分f1が交差して厚み方向が嵩みやすくなる部分に、第一の底面部分m1よりも低い第二の底面部分m2が配設されているため、交差する箇所が上方に膨出し難いものとなっている。
【0069】
第一の底面部分m1と第二の底面部分m2との間に斜面状部分msが設けられている。
【0070】
このため、綴じ足Fの綴じ足先端側構成部分f1は、第一の底面部分m1から第二の底面部分m2に円滑に案内されるものとなっている。
【0071】
誘導部12は、平面視において綴じ足先端側構成部分f1における綴じ具本体1と重ならない部分である先端延出部f12が、綴じ具本体1の近傍に沿うように綴じ足先端側構成部分f1を案内し得るものである。
【0072】
このため、誘導部12は綴じ足Fの綴じ足先端側構成部分f1を綴じ具本体1の長手方向に対して好適な角度に傾斜させたものとなっている。
【0073】
スライド駒2が、中間部fcを内向きに折り曲げるものである。
【0074】
このため、綴じ具Bは、綴じ足Fの先端を綴じ具Bの左右両端部から過度に外方に突出させ難いものとなっている。つまり、綴じ足Fの中間部fcが内向きに折り曲がるものであるため、A5サイズ等の比較的小さな紙葉類Pを綴じるための表紙Aにおいても、綴じ足Fの先端が表紙Aよりも外方にはみ出し難いものとなる。
【0075】
一対の綴じ足Fにおけるそれぞれの綴じ足先端側構成部分f1が、平面視において互いに交差するように構成されている。
【0076】
このため、背幅可変タイプのファイルに対応し得る綴じ足Fの長さを無理なく長尺に設定することができるものとなる。
【0077】
また、綴じ足Fにおける綴じ足先端側構成部分f1が、綴じ具Bのスライド駒2に対する操作の邪魔になり難い位置に配設されるものとなり、使用者による綴じ具Bの操作が円滑に行われるものとなる。
【0078】
しかも、誘導路12による綴じ足先端側構成部分f1の誘導方向が、表紙Aの基端側に設定されているため、綴じられた紙葉類Pの反綴じ元側の領域に、綴じ足先端側構成部分f1における先端延出部f12が覆い被さらないものとなっている。
【0079】
なお、本発明は、以上に詳述した実施形態に限られるものではない。
【0080】
表紙の構成や大きさについては、種々設定可能であることはもちろんのことである。
【0081】
綴じ具は、表紙に取り付けられていないものであってもよい。
【0082】
誘導部は、綴じ足における中間部から先端側の構成部分を直線状に案内しないものであってもよい。換言すれば、誘導部は、綴じ足における中間部から先端側の構成部分を曲がるように案内するものであってもよい。
【0083】
誘導部は、平面視において綴じ足における中間部から先端側の構成部分を表紙の基端側ではなく、小口端側に傾斜させるものであってもよい。
【0084】
誘導部における第一の底面部分と第二の底面部分との間には、斜面状部分ではなく段差部分が設けられたものであってもよい。
【0085】
スライド駒のスライド方向は左右方向に限られるものではない。
【0086】
スライド駒が、綴じ足の中間部を内向き以外の方向に折り曲げるものであってもよい。
【0087】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0088】
A…表紙
B…綴じ具
F…綴じ足
f1…綴じ足先端構成部分(中間部から先端側の構成部分)
fc…中間部
1…綴じ具本体
2…スライド駒
11…綴じ足挿通部
12…誘導部
121…案内壁
M…底面部分
m1…第一の底面部分
m2…第二の底面部分
ms…斜面状部分