(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021097
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】連絡先管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20240208BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123672
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】591211205
【氏名又は名称】福島印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096002
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 弘之
(74)【代理人】
【識別番号】100091650
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 規之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊介
(72)【発明者】
【氏名】平澤 順子
(72)【発明者】
【氏名】後山 晃希
(72)【発明者】
【氏名】折川 学
(72)【発明者】
【氏名】形田 圭亮
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】企業の業務部門毎に、連絡先データの更新のタイミングを制御可能とする技術の実現。
【解決手段】連絡先データを格納する連絡先DB20と、業務別連絡先データを格納する業務別連絡先DB26と、連絡先データ及びこれを利用する業務との対応関係を格納する連絡先利用業務DB24と、連絡先データに変更が生じた際に、当該連絡先データを利用する各業務に変更内容を通知し、適用日の指定を促す連絡先変更通知部14と、各業務のクライアント端末28から適用日が送信された際に、連絡先データに業務コード及び適用日を付加した業務別連絡先データを業務別連絡先DB26に追加する業務別連絡先登録部16と、業務別連絡先データの参照リクエストが入力された際に、業務別連絡先DB26から当該業務に係る業務別連絡先データを抽出する業務別連絡先参照部18を備えた連絡先管理システム10。業務別連絡先参照部18は、現時点で適用日を経過している業務別連絡先データのみを抽出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の連絡先データを格納する連絡先記憶手段と、
企業内の業務毎の連絡先データである業務別連絡先データを格納する業務別連絡先記憶手段と、
各連絡先データと、当該連絡先データを利用する1または複数の業務との対応関係を示すデータを格納する連絡先利用業務記憶手段と、
上記連絡先データに変更が生じた際に、上記連絡先利用業務記憶手段を参照し、当該連絡先データを利用する業務を特定すると共に、各業務の通知先に対して変更内容を通知し、変更の適用日の指定を促す連絡先変更通知手段と、
各業務のクライアント端末から適用日を指定する情報が送信された際に、変更に係る連絡先データに業務コード及び適用日を付加した業務別連絡先データを生成し、上記業務別連絡先記憶手段に追加登録する業務別連絡先登録手段と、
業務を特定した業務別連絡先データの参照リクエストが入力された場合に、上記業務別連絡先記憶手段から当該業務に関連付けられた業務別連絡先データを抽出し、外部に出力する業務別連絡先参照手段とを備え、
この業務別連絡先参照手段は、現時点で適用日を経過している業務別連絡先データのみを抽出し、適用日を経過していない業務別連絡先データは参照対象外とすることを特徴とする連絡先管理システム。
【請求項2】
上記業務別連絡先参照手段は、同一連絡先に係る業務別連絡先データが複数存在する場合に、最新の適用日を備えた業務別連絡先データをのみを参照対象として抽出することを特徴とする請求項1に記載の連絡先管理システム。
【請求項3】
上記連絡先変更通知手段は、上記連絡先記憶手段に格納された特定の連絡先データが削除された際に、上記連絡先利用業務記憶手段を参照し、当該連絡先データを利用する業務を特定すると共に、各業務の通知先に対して削除の適用日を指定するよう促し、
上記業務別連絡先登録手段は、各業務のクライアント端末から適用日を指定する情報が送信された際に、削除に係る連絡先データに業務コード、適用日及び抹消フラグを付加した業務別連絡先データを生成し、上記業務別連絡先記憶手段に追加登録し、
上記業務別連絡先参照手段は、業務を特定した業務別連絡先データの参照リクエストが入力された場合に、現時点で適用日を経過している業務別連絡先データのみを抽出すると共に、同一連絡先に係る業務別連絡先データが複数存在する場合には、最新の適用日を備えた業務別連絡先データのみを参照対象として残した上で、抹消フラグが付加されている業務別連絡先データについては参照対象外とすることを特徴とする請求項1または2に記載の連絡先管理システム。
【請求項4】
上記連絡先変更通知手段は、上記連絡先利用業務記憶手段に特定の連絡先データと業務との対応関係を示すデータが追加された際に、当該業務の通知先に対しその旨を通知して適用日の指定を促し、
上記業務別連絡先登録手段は、当該業務のクライアント端末から適用日を指定する情報が送信された際に、該当の連絡先データに業務コード及び適用日を付加した業務別連絡先データを生成し、上記業務別連絡先記憶手段に追加登録することを特徴とする請求項1または2に記載の連絡先管理システム。
【請求項5】
上記連絡先変更通知手段は、上記連絡先利用業務記憶手段に格納された特定の連絡先データと業務との対応関係を示すデータが削除された際に、当該業務の通知先に対しその旨を通知して適用日の指定を促し、
上記業務別連絡先登録手段は、当該業務のクライアント端末から適用日を指定する情報が送信された際に、該当の連絡先データに業務コード、適用日及び抹消フラグを付加した業務別連絡先データを生成し、上記業務別連絡先記憶手段に追加登録することを特徴とする請求項3に記載の連絡先管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は連絡先管理システムに係り、特に、顧客の連絡先データの更新のタイミングを業務部門毎に制御可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
企業にとって顧客の連絡先データは重要な営業ツールとなるため、社員が入手した取引先担当者の名刺情報を電子化し、全社的に共有可能とするサービスが種々存在している。
【非特許文献1】Sansan Data Hubを活用し、マーケティングに最適なデータへ進化させる インタネットURL:https://jp.sansan.com/function/customer_data/ 検索日:2022年6月24日
【非特許文献2】名刺管理と見込み客育成のクラウドサービスサスケ インタネットURL:https://www.saaske.com/card/ 検索日:2022年6月24日
【0003】
これらのサービスは、一般に名寄せやクレンジング機能を備えているため、顧客の連絡先データを自動的に正規化することができる。また、外部の情報ソースと連携することにより、各連絡先データに情報を追加してリッチ化する機能も備えている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、顧客の最新の連絡先データを社内で共有することは、自社のマーケティングや営業活動に資することは間違いない。
しかしながら、特定の顧客との密な関係性に基づいて活動している業務部門にとっては、当該顧客の連絡先データについて一律に変更が加えられると、業務に支障を来す場合がある。
例えば、顧客企業の担当者に交代が生じたとしても、特定の業務については新任者への引継ぎが終わるまで前任者とのやり取りを続ける必要がある場合、当該業務部門としては引継ぎが終了するまで前任者の連絡先データを参照できないと困ることとなる。
【0005】
この発明は、このような現状に鑑みて案出されたものであり、顧客の連絡先データを全社的に共有し、マーケティングや営業活動に有効活用することを前提としつつも、業務部門毎に連絡先データの更新のタイミングを制御可能とする技術の実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載した連絡先管理システムは、顧客の連絡先データを格納する連絡先記憶手段と、企業内の業務毎の連絡先データである業務別連絡先データを格納する業務別連絡先記憶手段と、各連絡先データと、当該連絡先データを利用する1または複数の業務との対応関係を格納する連絡先利用業務記憶手段と、上記連絡先データに変更が生じた際に、上記連絡先利用業務記憶手段を参照し、当該連絡先データを利用する業務を特定すると共に、各業務の通知先に対して変更内容を通知し、変更の適用日の指定を促す連絡先変更通知手段と、各業務のクライアント端末から適用日を指定する情報が送信された際に、変更に係る連絡先データに業務コード及び適用日を付加した業務別連絡先データを生成し、上記業務別連絡先記憶手段に追加登録する業務別連絡先登録手段と、業務を特定した業務別連絡先データの参照リクエストが入力された場合に、上記業務別連絡先記憶手段から当該業務に関連付けられた業務別連絡先データを抽出し、外部に出力する業務別連絡先参照手段とを備え、この業務別連絡先参照手段は、現時点で適用日を経過している業務別連絡先データのみを抽出し、適用日を経過していない業務別連絡先データは参照対象外とすることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載した連絡先管理システムは、請求項1のシステムであって、上記業務別連絡先参照手段は、同一連絡先に係る業務別連絡先データが複数存在する場合に、最新の適用日を備えた業務別連絡先データをのみを参照対象として抽出することを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載した連絡先管理システムは、請求項1または2のシステムであって、上記連絡先変更通知手段は、上記連絡先記憶手段に格納された特定の連絡先データが削除された際に、上記連絡先利用業務記憶手段を参照し、当該連絡先データを利用する業務を特定すると共に、各業務の通知先に対して削除の適用日を指定するよう促し、上記業務別連絡先登録手段は、各業務のクライアント端末から適用日を指定する情報が送信された際に、削除に係る連絡先データに業務コード、適用日及び抹消フラグを付加した業務別連絡先データを生成し、上記業務別連絡先記憶手段に追加登録し、上記業務別連絡先参照手段は、業務を特定した業務別連絡先データの参照リクエストが入力された場合に、現時点で適用日を経過している業務別連絡先データのみを抽出すると共に、同一連絡先に係る業務別連絡先データが複数存在する場合には、最新の適用日を備えた業務別連絡先データのみを参照対象として残した上で、抹消フラグが付加されている業務別連絡先データについては参照対象外とすることを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載した連絡先管理システムは、請求項1または2のシステムであって、上記連絡先変更通知手段は、上記連絡先利用業務記憶手段に特定の連絡先データと業務との対応関係を示すデータが追加された際に、当該業務の通知先に対しその旨を通知して適用日の指定を促し、上記業務別連絡先登録手段は、当該業務のクライアント端末から適用日を指定する情報が送信された際に、該当の連絡先データに業務コード及び適用日を付加した業務別連絡先データを生成し、上記業務別連絡先記憶手段に追加登録することを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載した連絡先管理システムは、請求項3のシステムであって、上記連絡先変更通知手段は、上記連絡先利用業務記憶手段に格納された特定の連絡先データと業務との対応関係を示すデータが削除された際に、当該業務の通知先に対しその旨を通知して適用日の指定を促し、上記業務別連絡先登録手段は、当該業務のクライアント端末から適用日を指定する情報が送信された際に、該当の連絡先データに業務コード、適用日及び抹消フラグを付加した業務別連絡先データを生成し、上記業務別連絡先記憶手段に追加登録することを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この発明に係る連絡先管理システムの場合、同じ連絡先データの変更や削除に際して業務毎に異なる適用日を設定でき、適用日を経過するまでは当該連絡先データの参照が制限されると共に、従来の連絡先データの参照が継続される仕組みであるため、連絡先データの更新のタイミングを業務毎に制御することができる。
なお、この発明による「連絡先管理システム」は、通常のBtoB(企業間商取引)のほかにBtoC(企業対消費者間取引)、また行政機関や地方公共団体による住民サービス分野にも適用されうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明に係る連絡先管理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】業務管理DBのデータ項目例及びレコード例を示す図である。
【
図4】連絡先利用業務DBのデータ項目例及びレコード例を示す図である。
【
図5】業務別連絡先DBのデータ項目例を示す図である。
【
図6】特定の顧客の連絡先データに変更を加える際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】連絡先DBに登録されたレコードを例示する図である。
【
図9】業務別連絡先データの更新に係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】連絡先変更通知及び業務適用日設定画面の一例を示す図である。
【
図11】業務別連絡先DBに登録されたレコードを例示する図である。
【
図12】業務別連絡先データを参照する際の処理手順を示すフローチャートである。
【
図13】連絡先新規登録画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に示すように、この発明に係る連絡先管理システム10は、連絡先登録部12と、連絡先変更通知部14と、業務別連絡先登録部16と、業務別連絡先参照部18と、連絡先DB20と、業務管理DB22と、連絡先利用業務DB24と、業務別連絡先DB26とを備えている。
この連絡先管理システム10には、通信ネットワークを介して業務システム27及び外部サーバ30が接続されている。
また業務システム27には、通信ネットワークを介して社員の操作するPC等のクライアント端末28が接続されている。
【0014】
上記連絡先登録部12、連絡先変更通知部14、業務別連絡先登録部16及び業務別連絡先参照部18は、コンピュータのCPUが、OS及び専用のアプリケーションプログラムに従って所定の処理を実行することにより実現される。
また、上記連絡先DB20、業務管理DB22、連絡先利用業務DB24及び業務別連絡先DB26は、同コンピュータの外部記憶装置内に設けられている。
【0015】
ただし、この発明はこのようなハードウェア構成に限定されるものではなく、ネットワーク接続された複数のコンピュータによって各機能を実現させたり、連絡先DB20等については、外部のデータベースサーバに管理させたりすることもできる。
【0016】
連絡先DB20には、
図2に示すように、No、連絡先コード、メールアドレス、氏名、会社名、部署、役職、郵便番号、住所、電話番号、FAX番号、登録日等のデータ項目を備えたレコードが格納されている。
【0017】
業務管理DB22は、社内で執行されている複数の業務に関する情報を管理するためのものであり、
図3(a)に示すように、No、業務コード、業務名、通知先等のデータ項目を備えたレコードが格納されている。
図3(b)は、業務管理DB22に格納されているレコードを例示するものである。
【0018】
連絡先利用業務DB24には、
図4(a)に示すように、No、連絡先コード、業務コード等のデータ項目を備えたレコードが格納されている。
図4(b)は、連絡先利用業務DB24に格納されているレコードを例示するものである。図示の通り、ある連絡先データが複数の業務において利用されている場合には、同じ連絡先コードを備えた複数のレコードが業務コード毎に格納される。
【0019】
また業務別連絡先DB26には、
図5に示すように、No、連絡先コード、業務コード、メールアドレス、氏名、会社名、部署、役職、郵便番号、住所、電話番号、FAX番号、抹消、適用日、登録日等のデータ項目を備えたレコードが格納されている。
【0020】
つぎに、
図6のフローチャートに従い、特定の顧客の連絡先データに変更を加える場合の処理手順について説明する。
まず、特定の顧客について連絡先の変更が生じたことを知った営業担当者αは、クライアント端末28から業務システム27経由で連絡先管理システム10にアクセスし、連絡先の更新をリクエストする(S10)。
これを受けた連絡先登録部12は、クライアント端末28に連絡先の検索画面(図示省略)を送信し(S12)、更新の対象となる連絡先の特定を求める。
営業担当者αは、検索画面に顧客の氏名、企業名等を検索条件として入力する(S14)。
【0021】
これに対し連絡先登録部12は、連絡先DB20から検索条件にマッチする連絡先データを抽出して連絡先更新画面を生成し、クライアント端末28に送信する(S16)。
この結果、
図7に示すように、クライアント端末28のWeb ブラウザ上に連絡先更新画面40が表示される(S18)。
図示の通り、連絡先更新画面40は更新種別指定欄42と、連絡先入力欄44と、利用業務指定欄46を備えている。
【0022】
連絡先入力欄44には、氏名、会社名、部署、役職といった顧客の属性情報を入力するフィールドが設けられており、各フィールドには更新前の情報が表示されている。
また、利用業務指定欄46には、業務管理DB22に格納されている複数の業務名が列挙されており、当該顧客に関わりのある業務名のラジオボタンにはチェックが入れられている。
【0023】
今回は顧客である「埼玉六郎」氏の部署名が「営業部資材課」から「営業部営業課」に変更されることに対応した更新であるため、営業担当者αは更新種別指定欄42の中の「登録内容の変更」にチェックを入れた上で、連絡先入力欄44中の部署フィールドで「資材」の文字列を範囲選択し、「営業」の文字列を上書き入力する。
【0024】
最後に、営業担当者αが送信ボタン48をクリックして更新内容を送信すると(S20)、連絡先登録部12は連絡先DB20内の連絡先データを更新する(S22)。
この結果、
図8(a)に示すように、連絡先DB20に格納された埼玉六郎氏のレコードの部署が、「営業部資材課」から「営業部営業課」に変更される。
【0025】
つぎに、
図9のフローチャートに従い、業務別連絡先データの更新に係る処理手順について説明する。
まず、連絡先登録部12からの通知により、更新された連絡先データの更新内容、利用業務等を取得した連絡先変更通知部14は(S30)、業務管理DB22を参照して各利用業務の通知先(メールアドレス)を取得し、連絡先変更通知を送信する(S32)。
【0026】
この連絡先変更通知を、業務システム27を介して受信した各業務の管理者βは、クライアント端末28のメーラー上でこれを開封する(S34)。
図10(a)は、この連絡先変更通知50の文例を示すものであり、変更の概要と適用日登録用リンク(URL)52が記述されている。
この適用日登録用リンク52を業務管理者βがクリックすると(S36)、連絡先変更通知部14から業務適用日設定画面が送信され(S38)、
図10(b)に示すように、クライアント端末28のWeb ブラウザ上に同画面54が表示される(S40)。
【0027】
ここで業務管理者βは、新旧の連絡先データを見比べて変更点を確認した上で、適用日設定欄56において当該業務における変更の適用日(年月日)を入力し、送信ボタン58をクリックする(S42)。
この結果、業務別連絡先登録部16によって新たな業務別連絡先データが生成され、業務別連絡先DB26に追加登録される(S44)。
なお、連絡先変更通知を送信後、所定期間を経過しても業務管理者βによる適用日の設定がなされない場合には、連絡先変更通知部14から督促のメッセージが当該業務に対して通知される。
【0028】
図11は、業務別連絡先DB26に登録されたレコードを例示するものであり、連絡先DB20に格納された連絡先データを基にしつつも、業務コード60、抹消62、適用日64の追加的なデータ項目を備えている。
また、同じ連絡先コードの連絡先であっても、業務コードを異ならせた別個のレコードとして複製することにより、適用日について業務毎に異なった制御が可能となる。
【0029】
例えば、埼玉六郎氏の連絡先データは3つの業務(不着管理業務/出荷報告業務/運用スケジュール送付業務)において利用されているため、今回の更新に際して同じ連絡先コードで異なる業務コードを備えた3件のレコード(No.075, 076, 077)が追加登録されている。
また、埼玉六郎氏の新規登録時(2020年4月3日)のレコード(No.011, 012, 013)も、業務別連絡先DB26内にそのまま残されている。
【0030】
因みに、「抹消」のデータ項目に「1」のフラグが設定されている場合、当該レコードは参照の対象外とされるのであるが、詳細は後述する。
【0031】
つぎに、
図12のフローチャートに従い、業務別連絡先を参照する際の処理手順について説明する。
まず、特定の業務に携わる担当者γがクライアント端末28から業務システム27経由で連絡先管理システム10にアクセスし、業務別連絡先データの参照をリクエストすると(S50)、業務別連絡先参照部18から連絡先の検索画面が送信される(S52)。
これに対し業務担当者γは、この検索画面において例えば「全連絡先」を検索条件として入力する(S54)。
【0032】
これを受けた業務別連絡先参照部18は、当該業務担当者γの所属する業務の業務コードが付与された業務別連絡先データを、業務別連絡先DB26から抽出する(S56)。業務担当者γの所属する業務は、業務システム27との間のAPI認証等によって判断される。
つぎに業務別連絡先参照部18は、抽出した業務別連絡先データの中で「適用日」を経過していないものを除外する(S58)。
この段階で、同一の連絡先コードを備えた複数の業務別連絡先データが存在している場合、業務別連絡先参照部18は「適用日」が最新のものを残し、それ以外を除外する(S60)。
つぎに業務別連絡先参照部18は、「抹消」データ項目に「1」のフラグが設定されているものを除外する(S62)。
【0033】
最後に業務別連絡先参照部18は、上記の処理によって抽出された業務別連絡先データが記載されたリスト画面を生成し、クライアント端末28に送信する(S64)。
この結果、クライアント端末28のブラウザ上には、当該業務に係る最新の連絡先データが記載されたリスト画面(図示省略)が表示される(S66)。
また業務担当者γが上記画面上でダウンロードをリクエストすると、業務別連絡先参照部18からクライアント端末28に対し、業務別連絡先リストのCSVファイルが送信される。
【0034】
上記のS58において、適用日の経過していない業務別連絡先データが参照対象から除外されるため、ある連絡先データについて生じた変更の参照時期を、業務毎に制御することが可能となる。
例えば、
図11に示された埼玉六郎氏の業務別連絡先データを、2022年7月1日の時点で不着管理業務(業務コード:hut00003)のスタッフが参照する場合、NO.075のレコードの適用日(2022/07/05)が経過しておらず、当該レコードは参照対象外となるため、NO.011のレコードが参照対象となる。
これに対し、同じ2022年7月1日に出荷報告業務(業務コード:syu00004)のスタッフが参照する場合には、NO.076のレコードの適用日(2022/07/01)が経過しているため、この最新の業務別連絡先データを参照可能となる。
【0035】
上記においては「全連絡先」が検索条件として指定された例を示したが、業務担当者γは特定の会社名や住所を検索条件として指定することにより、検索結果を絞り込むことも当然に可能であるが、この場合にも適用日の経過していない業務別連絡先データは参照対象から除外され、従前のデータが参照先となる。
【0036】
なお、上記リスト画面を閲覧することにより、自業務に必要な連絡先が漏れていることを発見した業務担当者γは、業務システム27経由で連絡先登録部12アクセスして該当の連絡先の更新をリクエストし、連絡先更新画面40(
図7参照)の利用業務指定欄46において自業務を追加することができる。
これにより、連絡先登録部12を通じて連絡先利用業務DB24に対応の連絡先コードと業務コードとの対応関係を示すレコードが追加される。
また、連絡先変更通知部14から当該業務の管理者βに業務利用連絡先の追加を示す連絡先変更通知が送信され、業務管理者βによる業務適用日の設定を経て、新たな業務別連絡先データが業務別連絡先登録部16によって業務別連絡先DB26に追加される。
この結果、同業務の担当者γは、適用日経過後に該当の連絡先を参照可能となる。
【0037】
上記とは反対に、自業務に不要な連絡先が上記リスト画面に含まれている場合にも、業務担当者γは業務システム27経由で連絡先登録部12アクセスして該当の連絡先の更新をリクエストし、連絡先更新画面40(
図7参照)の利用業務指定欄46において自業務のチェックを外すことができる。
この場合、連絡先登録部12を通じて連絡先利用業務DB24内に格納された対応のレコードが削除される。
また、連絡先変更通知部14から当該業務の管理者βに業務利用連絡先の削除を示す連絡先変更通知が送信され、業務管理者βによる業務適用日の設定を経て、「抹消」のデータ項目に「1」のフラグが設定された新たな業務別連絡先データが業務別連絡先DB26に追加される。
この結果、同業務の担当者γは、適用日経過後に該当の連絡先の参照が不可となる。
【0038】
上記においては、既存の連絡先データに変更を加えるケースについて説明したが、取引先担当者の異動や退職、死亡等によって連絡先データの登録を削除する必要が生じた場合、営業担当者αは
図7に示した連絡先更新画面40の更新種別指定欄42で「登録の抹消」にチェックを入れた上で、送信ボタン48をクリックする。
【0039】
この結果、まず連絡先登録部12によって連絡先DB20に格納された該当レコードが削除される。
つぎに、連絡先変更通知部14から当該連絡先データを利用している各業務に対して、連絡先変更通知が送信される。
【0040】
これに対し、各業務の管理者βは業務適用日設定画面上で抹消の適用日を入力する。
連絡先の担当者が死亡したような場合には直ちに業務別連絡先データにも抹消が反映されるべきであるが、配置換えによる場合などには当面の間、前任者に連絡を取る必要があることも多い。
このような場合、業務管理者βは所定の期間経過後を「適用日」として設定する。
【0041】
各業務から適用日についての設定情報が送信されると、業務別連絡先登録部16によって新たな業務別連絡先データが生成され、業務別連絡先DB26に追加登録される。
【0042】
この連絡先データの抹消の場合にも、適用日について業務毎に異なった扱いを実行することができる。
例えば、
図11のNo.114, 115のレコードは同じ「東京次郎」氏の業務別連絡先データであり、それぞれ「抹消」のデータ項目に「1」が設定されているが、廃棄証明書送付業務(業務コード:hai00002)に係るNo.114の方は適用日として登録日と同じ「2022/11/15」が設定されているため、当該業務においては即座に「東京次郎」氏の業務別連絡先データが参照対象外となる。
【0043】
これに対し、不着管理業務(業務コード:hut00003)に係るNo.115の方は適用日として「2022/11/30」が設定されている。
このため、不着管理業務においては「2022/11/15」以降も「東京次郎」氏に関する従前の業務別連絡先データであるNo.003のレコードを参照できる。
そして、No.115の適用日である「2022/11/30」が到来した時点で、不着管理業務においても「東京次郎」氏の業務別連絡先データが参照対象外となる。
【0044】
すなわち、「2022/11/30」の到来によってNo.115のレコードが上記S58の除外対象から外れると同時に、No.003のレコードの適用日が最新ではなくなる結果、参照対象外となる(S60)。しかもNo.115には抹消フラグの「1」が立っているため(S62)、結局、「東京次郎」氏に関する業務別連絡先データはすべて参照対象外となる。
【0045】
上記のように、業務別連絡先DB26には過去の全ての業務別連絡先データが削除されることなく残されているため、業務別連絡先参照部18は、必要とあらば適用日が最新でないものや抹消フラグが設定されているものを抽出することも当然に可能である。
この結果、特定の連絡先データの変更履歴を後で辿るといったことも容易となる。
【0046】
ただし、所定のタイミングで不要な業務別連絡先データを削除することもできる。
例えば、抹消のフラグが設定され、かつ適用日も経過したレコードが存在する場合には、当該レコードの他、これと同一の連絡先コード及び業務コードを備えた過去のレコードをまとめて削除することが該当する。
あるいは、抹消のフラグが設定されておらず、かつ適用日を経過したレコードが存在する場合には、これ以外の同一の連絡先コード及び業務コードを備えた過去のレコードをまとめて削除することもできる。
【0047】
つぎに、連絡先データを新規に登録する場合の処理について説明する。
まず、営業担当者αがクライアント端末28から業務システム27を介して連絡先管理システム10にアクセスし、連絡先の新規登録をリクエストすると、連絡先登録部12から連絡先新規登録画面がクライアント端末28に送信される。
図13は、連絡先新規登録画面70の一例を示すものであり、連絡先入力欄72と、利用業務指定欄74を備えている。
【0048】
連絡先入力欄72には、氏名、会社名、部署、役職といった顧客の属性情報を入力するフィールドが設けられており、営業担当者αは空欄の入力フィールドに文字をタイプ入力していく。
また、利用業務指定欄74には、業務管理DB22に格納されている複数の業務名が列挙されており、営業担当者αは当該顧客に関わりのある業務名のラジオボタンにチェックを入れていく。
【0049】
最後に、営業担当者αが送信ボタン76をクリックして入力内容を送信すると、連絡先登録部12は連絡先DB20内に連絡先データを追加する。
この結果、
図8(b)に示すように、「静岡和夫」氏のレコードが連絡先DB20に追加される。連絡先コードは、連絡先登録部12によって自動採番される。
また、連絡先登録部12を通じて連絡先利用業務DB24に対応の連絡先コードと業務コードとの対応関係を示すレコードが追加される。
【0050】
同時に、連絡先変更通知部14から当該連絡先データを利用する各業務に対して、連絡先変更通知が送信される。
これに対し、各業務の管理者βは業務適用日設定画面上で適用日を指定する。
連絡先の新規登録の場合、直ちに参照可能としても問題ないため、業務担当者は当日を「適用日」として設定する。ただし、特別な事情がある場合には所定の期間経過後を「適用日」として設定することもできる。
【0051】
各業務から適用日についての設定情報が送信されると、業務別連絡先登録部16によって新たな業務別連絡先データが生成され、
図11に示すように、No.116及びNo.117の新たなレコードが業務別連絡先DB26に追加登録される。
【0052】
上記においては、営業担当者αがクライアント端末28から業務システム27経由で連絡先データの新規登録や更新、削除をリクエストすると共に、業務担当者γがクライアント端末28から業務システム27経由で業務別連絡先データを参照する例を示したが、この発明はこれに限定されるものではない。
【0053】
すなわち、API経由で連絡先管理システム10に接続する外部サーバ30から連絡先登録部12に対して連絡先データの新規登録や更新、削除をリクエストすると共に、同外部サーバ30が業務別連絡先参照部18を介して業務別連絡先データを参照するように運用することも可能である。外部サーバ30としては、例えば既存のクラウド型名刺データ管理サービスを提供するサーバ等が該当する。
また上記においては、クライアント端末28が業務システム27を介して連絡先登録部12や連絡先変更通知部14、業務別連絡先参照部18にアクセスする例を示したが、これらの機能構成部に対してクライアント端末28がダイレクトに接続するようにシステムを構築することも当然に可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 連絡先管理システム
12 連絡先登録部
14 連絡先変更通知部
16 業務別連絡先登録部
18 業務別連絡先参照部
20 連絡先DB
22 業務管理DB
24 連絡先利用業務DB
26 業務別連絡先DB
27 業務システム
28 クライアント端末
30 外部サーバ
40 連絡先更新画面
42 更新種別指定欄
44 連絡先入力欄
46 利用業務指定欄
50 連絡先変更通知
52 適用日登録用リンク
54 業務適用日設定画面
56 適用日設定欄
70 連絡先新規登録画面
72 連絡先入力欄
74 利用業務指定欄
α 営業担当者
β 業務管理者
γ 業務担当者