(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021112
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20240208BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240208BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W50/14
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123703
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 潤之
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BA60
3D241BB02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD11
3D241CD12
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB02Z
3D241DB32Z
3D241DC33Z
3D241DD11Z
(57)【要約】
【課題】移動体を駐車する位置が傾斜していてもその駐車位置を適切に登録することが可能な制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】車両10の周辺の撮像データを取得するカメラ12と、車両10の運転者からの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部57と、撮像データと所定の駐車位置とに基づいて、車両10を所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部58と、を備える。制御部58は、自動駐車制御の開始後、所定の駐車位置に到達する前に車両10が停止した場合に、車両10が停止した停止位置を指定駐車位置として登録する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の周辺の撮像データを取得する撮像部と、
前記移動体のユーザからの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部と、
前記撮像データと前記所定の駐車位置とに基づいて、前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記移動体の周辺における障害物を検出する障害物検出部を備え、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に、前記障害物検出部により前記障害物が検出されたことに応じて前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記障害物検出部により前記障害物が検出された場合に、前記移動体を停止させる停止制御、又は前記移動体の停止操作を前記ユーザに促す通知を行う、
制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記移動体のユーザによる前記移動体の停止操作を検出する操作検出部を備え、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に、前記操作検出部により前記停止操作が検出されて前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記所定の駐車位置からの距離に関する距離閾値を取得し、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止し、前記移動体が停止した停止位置から前記所定の駐車位置までの距離と前記距離閾値との比較結果に基づいて、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録するか否かをユーザに問い合わせる、
制御装置。
【請求項7】
移動体の周辺の撮像データを取得する撮像部と、前記移動体のユーザからの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記撮像データと前記所定の駐車位置とに基づいて、前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置による制御方法であって、
前記制御部が、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御方法。
【請求項8】
移動体の周辺の撮像データを取得する撮像部と、前記移動体のユーザからの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記撮像データと前記所定の駐車位置とに基づいて、前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置の前記制御部に、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて自動運転技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。
【0003】
従来、ユーザが選択した目標駐車枠に対して車両を自動的に移動させて駐車させる自動駐車が知られている。例えば、特許文献1には、ユーザからの指示に基づいて車両の自動駐車制御を行い、駐車された車両の位置を登録駐車位置として記憶装置に記憶可能であるとともに、その登録する車両の駐車位置を必要に応じて微調整することが可能な駐車支援装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動運転技術においては、車両を駐車する位置は、通常、平坦な場所であることが多いが、ときには傾斜した場所に駐車する場合もある。しかしながら、特許文献1には、車両を自宅の駐車予定位置に駐車させることは記載されているが、その駐車位置が傾斜した駐車位置であることについては記載されていない。したがって、傾斜した駐車位置に車両を駐車させることについては先行技術にも改良の余地がある。
【0006】
本発明は、移動体を駐車する位置が傾斜していてもその駐車位置を適切に登録することが可能な制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
移動体の周辺の撮像データを取得する撮像部と、
前記移動体のユーザからの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部と、
前記撮像データと前記所定の駐車位置とに基づいて、前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置である。
【0008】
本発明は、
移動体の周辺の撮像データを取得する撮像部と、前記移動体のユーザからの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記撮像データと前記所定の駐車位置とに基づいて、前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置による制御方法であって、
前記制御部が、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御方法である。
【0009】
本発明は、
移動体の周辺の撮像データを取得する撮像部と、前記移動体のユーザからの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記撮像データと前記所定の駐車位置とに基づいて、前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置の前記制御部に、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
処理を実行させるための制御プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の制御装置、制御方法、及び制御プログラムによれば、移動体を駐車する位置が傾斜していてもその駐車位置を適切に登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の制御装置を搭載した車両の一例を示す側面図である。
【
図3】
図1に示す車両の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】車両を自動駐車する際にナビゲーション装置に表示される画像の一例を示す図である。
【
図5】新たな駐車位置に車両を駐車させるための自動駐車制御を示すフローチャートである。
【
図6】車両周辺の撮像データにより生成された俯瞰画像に駐車位置を設定した図である。
【
図7】
図6に示す駐車位置に対する周辺の特徴点を示した図である。
【
図8】駐車位置に対して登録される特徴点マップの一例を示す図である。
【
図9】車両の左側方カメラにより、上り斜面を撮像している様子を示す図である。
【
図10】
図9に示す斜面の勾配を変化させたときのカメラから撮像対象物までの距離と俯瞰画像上で発生する表示ズレとの関係を示すグラフである。
【
図11】車両の後方カメラにより上り斜面の駐車位置を撮像している様子を示す図である。
【
図12】
図11で撮像された駐車位置の俯瞰画像を示す図である。
【
図13】
図11に示す駐車位置に車両を自動駐車している途中で障害物を検出して車両を停車させた様子を示す図である。
【
図14】
図13に示す車両及び駐車位置の俯瞰画像を示す図である。
【
図15】
図13に示す車両の停車位置を指定駐車位置として登録する際の車両及び駐車位置の一例を示す図である。
【
図16】
図15に示す車両及び駐車位置の俯瞰画像を示す図である。
【
図17】車両の後方カメラにより上り斜面の駐車位置を撮像している様子を示す図である。
【
図18】
図17で撮像された駐車位置の俯瞰画像を示す図である。
【
図19】
図17に示す駐車位置に車両を自動駐車している途中で運転者の停止操作にしたがって車両を停車させた様子を示す図である。
【
図20】
図19に示す車両及び駐車位置の俯瞰画像を示す図である。
【
図21】
図19に示す車両の停車位置を指定駐車位置として登録する際の修正駐車位置の一例を示す図である。
【
図22】
図21に示す車両及び駐車位置の俯瞰画像を示す図である。
【
図23】新たな駐車位置に車両を駐車させるための自動駐車制御の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の制御装置、制御方法、及び制御プログラムの一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単かつ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、
図1及び
図2に示す車両10のユーザ(例えば、運転者)から見た方向に従って記載し、図面には、車両10の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0013】
<本発明の制御装置を搭載した車両10>
図1は、本発明の制御装置を搭載した車両10の側面図である。
図2は、
図1に示した車両10の上面図である。車両10は、本発明の移動体の一例である。
【0014】
車両10は、駆動源(図示略)と、駆動源の動力によって駆動される駆動輪及び転舵可能な転舵輪を含む車輪と、を有する自動車である。本実施形態では、車両10は、左右一対の前輪及び後輪を有する四輪の自動車である。車両10の駆動源は、例えば電動機である。なお、車両10の駆動源は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であってもよいし、電動機と内燃機関との組み合わせであってもよい。また、車両10の駆動源は、左右一対の前輪を駆動してもよいし、左右一対の後輪を駆動してもよいし、左右一対の前輪及び後輪の四輪を駆動してもよい。前輪及び後輪は、双方が転舵可能な転舵輪であってもよいし、いずれか一方が転舵可能な転舵輪であってもよい。
【0015】
車両10は、さらにサイドミラー11L,11Rを備える。サイドミラー11L,11Rは、車両10の前席ドアの外側に設けられた、ユーザが後方及び後側方を確認するためのミラー(バックミラー)である。サイドミラー11L,11Rは、それぞれ垂直方向に延びる回転軸によって車両10の本体に固定されており、この回転軸を中心に回転することにより開閉可能である。
【0016】
車両10は、さらに前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rを備える。前方カメラ12Frは、車両10の前方に設けられ、車両10の前方を撮像するデジタルカメラである。後方カメラ12Rrは、車両10の後方に設けられ、車両10の後方を撮像するデジタルカメラである。左側方カメラ12Lは、車両10の左のサイドミラー11Lに設けられ、車両10の左側方を撮像するデジタルカメラである。右側方カメラ12Rは、車両10の右のサイドミラー11Rに設けられ、車両10の右側方を撮像するデジタルカメラである。前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rは、本発明の撮像部の一例である。
【0017】
<車両10の内部構成>
図3は、
図1に示した車両10の内部構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、車両10は、センサ群16と、ナビゲーション装置18と、制御ECU(Electronic Control Unit)20と、EPS(Electric Power Steering)システム22と、通信部24と、を有する。車両10は、さらに駆動力制御システム26と、制動力制御システム28と、を有する。センサ群16と制御ECU20とにより、本発明の制御装置の一例を構成する。
【0018】
センサ群16は、制御ECU20による制御に用いられる各種の検出値を取得する。センサ群16には、前方カメラ12Frと、後方カメラ12Rrと、左側方カメラ12Lと、右側方カメラ12Rとが含まれる。また、センサ群16には、前方ソナー群32aと、後方ソナー群32bと、左側方ソナー群32cと、右側方ソナー群32dとが含まれる。また、センサ群16には、車輪センサ34a,34bと、車速センサ36と、操作検出部38とが含まれる。センサ群16には、その他に、例えばレーダなどが含まれてもよい。
【0019】
前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rは、車両10の周辺を撮像することにより、車両10の外界を認識するための撮像データ(例えば周辺画像)を取得する。前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12Rによって撮像される周辺画像は、それぞれ前方画像、後方画像、左側方画像、右側方画像と称される。左側方画像と右側方画像とによって構成される画像を側方画像と称してもよい。前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rの各撮像データを合成することにより生成される周辺画像を車両10の俯瞰画像と称してもよい。
【0020】
前方ソナー群32aと、後方ソナー群32bと、左側方ソナー群32cと、右側方ソナー群32dとは、車両10の周辺に音波を発射すると共に、他物体からの反射音を受信する。前方ソナー群32aは、例えば4つのソナーを含む。前方ソナー群32aを構成するソナーは、車両10の左斜め前方、前方左側、前方右側及び右斜め前方にそれぞれ設けられている。後方ソナー群32bは、例えば4つのソナーを含む。後方ソナー群32bを構成するソナーは、車両10の左斜め後方、後方左側、後方右側及び右斜め後方にそれぞれ設けられている。左側方ソナー群32cは、例えば2つのソナーを含む。左側方ソナー群32cを構成するソナーは、車両10の左側部前方及び左側部後方にそれぞれ設けられている。右側方ソナー群32dは、例えば2つのソナーを含む。右側方ソナー群32dを構成するソナーは、車両10の右側部前方及び右側部後方にそれぞれ設けられている。
【0021】
車輪センサ34a,34bは、車両10の車輪の回転角度を検出する。車輪センサ34a,34bは、角度センサによって構成されていてもよいし、変位センサによって構成されていてもよい。車輪センサ34a,34bは、車輪が所定角度回転する毎に検出パルスを出力する。車輪センサ34a,34bから出力される検出パルスは、車輪の回転角度及び車輪の回転速度の算出に用いられる。車輪の回転角度に基づいて、車両10の移動距離が算出される。車輪センサ34aは、例えば、左後輪の回転角度θaを検出する。車輪センサ34bは、例えば、右後輪の回転角度θbを検出する。
【0022】
車速センサ36は、車両10の車体の速度、すなわち車速Vを検出し、検出した車速Vを制御ECU20に出力する。車速センサ36は、例えば、トランスミッションのカウンタシャフトの回転に基づいて車速Vを検出する。
【0023】
操作検出部38は、操作入力部14を用いて行われるユーザによる操作内容を検出し、検出した操作内容を制御ECU20に出力する。操作入力部14には、例えばサイドミラー11L,11Rの開閉状態を切り替えるサイドミラースイッチや、シフトレバー(セレクトレバーやセレクタ)など各種のユーザインタフェースが含まれる。
【0024】
ナビゲーション装置18は、例えばGPS(Global Positioning System)を用いて車両10の現在位置を検出すると共に、目的地までの経路をユーザに案内する。ナビゲーション装置18は、地図情報データベースが備えられた不図示の記憶装置を有する。
【0025】
ナビゲーション装置18には、タッチパネル42と、スピーカ44とが備えられている。タッチパネル42は、制御ECU20の入力装置及び表示装置として機能する。スピーカ44は、車両10の搭乗者に対して各種の案内情報を音声で出力する。
【0026】
タッチパネル42は、制御ECU20に対する各種の指令を入力することができるように構成されている。例えば、ユーザは、タッチパネル42を介して、車両10の移動支援に関する指令を入力することが可能である。移動支援には、車両10の駐車支援及び出庫支援が含まれる。また、タッチパネル42は、制御ECU20の制御内容に関する各種の画面を表示するように構成されている。例えば、タッチパネル42には、車両10の移動支援に関する画面が表示される。具体的には、タッチパネル42には、車両10の駐車支援を要求する駐車支援ボタンや出庫支援を要求する出庫支援ボタンが表示される。駐車支援ボタンには、制御ECU20の自動操舵による駐車を要求する自動駐車ボタンや、ユーザの操作で駐車する際の補助を要求する補助駐車ボタンが含まれる。出庫支援ボタンには、制御ECU20の自動操舵による出庫を要求する自動出庫ボタンや、ユーザの操作で出庫する際の補助を要求する補助出庫ボタンが含まれる。なお、タッチパネル42以外の構成要素、例えばスマートフォンやタブレット端末等を入力装置又は表示装置として用いるようにしてもよい。
【0027】
なお、「駐車」は、例えば「パーキング」と同義である。例えば、「駐車」は、乗員の乗り降りを伴う停止であり、交通信号等での一時的な停止は除く。また、「駐車位置」とは移動体を停止させる位置、すなわちパーキングする位置のことである。
【0028】
制御ECU20は、入出力部50と、演算部52と、記憶部54とを有する。演算部52は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成される。演算部52は、記憶部54に記憶されているプログラムに基づいて各部を制御することにより各種の制御を行う。また、演算部52は、入出力部50を介して、制御ECU20に接続される各部との間で信号を入出力する。
【0029】
演算部52は、車両10の周辺の障害物を検出する障害物検出部55と、ユーザからの停止操作を検出する操作検出部56と、ユーザからの駐車指示を受け付ける受付部57と、車両10の自動移動を制御する制御部58と、を有する。
【0030】
障害物検出部55は、センサ群16(例えば、ソナーやレーダ)が障害物を検出した際に出力する障害物検出信号を各センサから取得し、取得した障害物検出信号に基づいて車両10の周辺における障害物を検出する。
【0031】
操作検出部56は、ユーザが車両10を停止させるための停止操作を行った際に出力される停止操作検出信号を取得し、取得した停止操作検出信号に基づいてユーザからの停止操作を検出する。停止操作検出信号は、例えば、車両10のブレーキが踏まれたとき、車両10のシフトレバーのポジションがパーキングレンジにシフトされたとき、車両10のサイドブレーキが引かれたとき等に出力される。
【0032】
受付部57は、ナビゲーション装置18のタッチパネル42あるいはスマートフォンを介してユーザから入力される車両10の動作を指示する指示信号を受け付ける。例えば、受付部57は、タッチパネル42に表示された駐車候補位置の中からユーザの選択によって所定の駐車候補位置が指定された場合、その指定によってタッチパネル42から出力される信号を車両10を駐車させる指示信号として受け付ける。
【0033】
制御部58は、ステアリング110の操作を制御部58の制御によって自動で行う自動操舵による車両10の自動駐車支援及び自動出庫支援を行う。自動操舵の支援では、アクセルペダル(図示せず)、ブレーキペダル(図示せず)及び操作入力部14の操作が自動で行われる。また、制御部58は、アクセルペダル、ブレーキペダル及び操作入力部14の操作をユーザが行って車両10を手動駐車及び手動出庫させる際の補助駐車支援及び補助出庫支援を行う。
【0034】
例えば、制御部58は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の周辺の撮像データと、ユーザから指定された所定の駐車位置とに基づいて、車両10を指定された所定の駐車位置に駐車させる自動駐車の制御及び所定の駐車位置から出庫させる自動出庫の制御を行う。
【0035】
また、制御部58は、ユーザから指定された所定の駐車位置を指定駐車位置として記憶部54に登録する。制御部58は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の周辺の撮像データに基づいて指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として記憶部54に登録する。制御部58は、車両10の周辺の撮像データと、ユーザから指定された指定駐車位置に関する登録特徴点とに基づいて、車両10を指定駐車位置に駐車させる自動駐車の制御を行う。
【0036】
指定駐車位置に関する特徴点には、指定駐車位置そのものの特徴点や、指定駐車位置の周辺の特徴点等が含まれる。指定駐車位置そのものの特徴点としては、例えば、指定駐車位置内に「駐車」という文字が表示されているような特徴点等が挙げられる。指定駐車位置の周辺の特徴点としては、例えば、周辺に存在する特徴的な建築物や、障害物等が挙げられる。
【0037】
また、制御部58は、ユーザの指示に基づいて車両10の自動駐車制御を開始した後、そのユーザが選択した所定の駐車位置に到達する前に、障害物検出部55によって障害物が検出された場合に、車両10を停止させる停止制御を実行する。また、制御部58は、ユーザの指示に基づいて車両10の自動駐車制御を開始した後、そのユーザが選択した所定の駐車位置に到達する前に、障害物検出部55によって障害物が検出された場合に、車両10の自動駐車を停止操作するようにユーザに促す通知を行う。
【0038】
また、制御部58は、自動駐車制御の開始後、所定の駐車位置に到達する前に、車両10が停止した場合には、その停止位置を車両10の指定駐車位置として記憶部54に登録する。例えば、制御部58は、自動駐車制御の開始後、所定の駐車位置に到達する前に、障害物検出部55により障害物が検出されたことに応じて車両10が停止した場合には、停止したその停止位置を車両10の指定駐車位置として記憶部54に登録する。また、制御部58は、自動駐車制御の開始後、所定の駐車位置に到達する前に、操作検出部56により停止操作が検出されたことに応じて車両10が停止した場合には、停止したその停止位置を車両10の指定駐車位置として記憶部54に登録する。制御部58は、自動駐車制御の開始後、所定の駐車位置に到達する前に、車両10が停止した場合には、停止したその停止位置を車両10の指定駐車位置として記憶部54に登録するか否かをユーザに問い合わせてもよい。
【0039】
また、制御部58は、自動駐車制御の開始後、所定の駐車位置に到達する前に車両10が停止した場合、車両10が停止した停止位置から所定の駐車位置までの距離を検出し、検出した所定の駐車位置までの距離を予め設定されている距離閾値と比較する。制御部58は、駐車位置までの距離と距離閾値との比較結果に基づいて、車両10が停止した停止位置を車両10の指定駐車位置として記憶部54に登録する。例えば、駐車位置までの距離が距離閾値以下である場合には、制御部58は車両10が停止した停止位置を車両10の指定駐車位置として登録する。また、駐車位置までの距離が距離閾値よりも大きい場合には、制御部58は車両10が停止した停止位置を車両10の指定駐車位置として登録しない。距離閾値については、
図9及び
図10で後述する。
【0040】
EPSシステム22は、舵角センサ100と、トルクセンサ102と、EPSモータ104と、レゾルバ106と、EPS ECU108と、を有する。舵角センサ100は、ステアリング110の舵角θstを検出する。トルクセンサ102は、ステアリング110に加わるトルクTQを検出する。
【0041】
EPSモータ104は、ステアリング110に連結されたステアリングコラム112に対して駆動力又は反力を付与することにより、乗員によるステアリング110の操作支援や駐車支援時の自動操舵を可能とする。レゾルバ106は、EPSモータ104の回転角度θmを検出する。EPS ECU108は、EPSシステム22の全体の制御を司る。EPS ECU108には、入出力部(図示せず)と、演算部(図示せず)と、記憶部(図示せず)とが備えられている。
【0042】
通信部24は、他の通信装置120との間で無線通信を行うことを可能とするものである。他の通信装置120とは、基地局や、他車両の通信装置や、車両10の搭乗者が所持するスマートフォン等の情報端末などである。
【0043】
駆動力制御システム26には、駆動ECU130が備えられている。駆動力制御システム26は、車両10の駆動力制御を実行する。駆動ECU130は、不図示のアクセルペダルに対するユーザによる操作に基づいて、不図示のエンジン等を制御することによって、車両10の駆動力を制御する。
【0044】
制動力制御システム28には、制動ECU132が備えられている。制動力制御システム28は、車両10の制動力制御を実行する。制動ECU132は、不図示のブレーキペダルに対するユーザによる操作に基づいて、不図示のブレーキ機構等を制御することによって、車両10の制動力を制御する。
【0045】
<演算部52による自動駐車制御>
次に、演算部52による車両10の自動駐車制御について説明する。
【0046】
図4は、車両10を自動駐車する際に、ナビゲーション装置18のタッチパネル42に表示される「自動駐車メニュー」の一例を示す図である。自動駐車メニューの画像は、タッチパネル42に表示される自動駐車ボタン60をタッチ操作することにより表示される。自動駐車ボタン60は、例えば、車両10を駐車させようとする運転者が駐車場の近くまで来たときに、自動駐車メニューを表示させるためにタッチ操作する。
【0047】
図4に示すように、自動駐車メニューの画像には、新規登録ボタン61と、登録済み駐車位置画像ボタン62が表示される。新規登録ボタン61は、新たに指定駐車位置として登録する駐車位置に車両10を駐車させる際に操作するボタンである。登録済み駐車位置画像ボタン62は、既に登録されている指定駐車位置に車両10を駐車させる際に操作するボタンである。登録済み駐車位置画像ボタン62としては、例えば、No.1画像ボタン62aに示すように自宅の駐車場を指定駐車位置として登録した駐車位置画像ボタンや、No.2画像ボタン62bに示すように駐車頻度の高いコインパーキングを指定駐車位置として登録した駐車位置画像ボタンなどが挙げられる。登録済み駐車位置画像ボタン62に表示されている画像は、登録した際の車両10の例えば前方カメラ12Frで撮像された画像である。
【0048】
[新たな駐車位置への自動駐車制御]
新規登録ボタン61がタッチ操作されたときの演算部52による自動駐車制御について
図5から
図8を参照して説明する。
【0049】
図5は、新たな駐車位置に車両10を駐車させるための自動駐車制御を示すフローチャートである。
図6は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得される車両10の周辺の撮像データにより生成された俯瞰画像71(合成画像)に駐車位置76を設定した図である。
図7は、
図6に示す駐車位置76に対する周辺の特徴点を示した図である。
図8は、駐車位置76に対して登録される特徴点マップの一例を示す図である。演算部52は、自動駐車メニューの画像(
図4参照)における新規登録ボタン61がタッチ操作されると
図5に示す処理を開始する。
【0050】
演算部52は、新規登録指示を受け付けたか否か、すなわち新規登録ボタン61がタッチ操作されたか否か、受付部57によって判定する(ステップS11)。
【0051】
ステップS11において、新規登録ボタン61がタッチ操作されていない場合(ステップS11:No)には、演算部52は、ステップS11の処理を繰り返す。
【0052】
ステップS11において、新規登録ボタン61がタッチ操作された場合(ステップS11:Yes)には、演算部52は、車両10の駐車位置を設定するための運転者による手動設定を受付部57によって受け付ける(ステップS12)。
【0053】
例えば、車両10の運転者が自宅の駐車場の前に車両10を停車させ、その駐車場を新たな指定駐車位置として登録するために、新規登録ボタン61をタッチする。すると、車両10のタッチパネル42には、
図6に示すように、車両10の周辺の撮像データに基づいて生成された俯瞰画像71が表示される。俯瞰画像71には、自宅の駐車場72の前に停車された車両10が表示されている。また、俯瞰画像71には、運転者の住居(建築物)73と、壁又はフェンス(障害物)74aと、複数の植栽(障害物)74b~74eが表示されている。駐車場72は、建築物73と障害物74a~74eとの間に設けられている。なお、俯瞰画像71で表示される車両は、車両10を上方から見た様子を示す画像であり、予め生成(撮像)されて記憶部54等に記憶されている車両画像75である。駐車位置の手動設定は、俯瞰画像71が表示されたタッチパネル42上において、車両10を駐車する領域を示す矩形状の駐車位置76をタッチ操作して、車両10を駐車させたい目標駐車位置へスライド移動させることにより設定することができる。
【0054】
ステップS12において、駐車位置76の手動設定を受け付けると、演算部52は、制御部58により、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって撮像された車両10の周辺の撮像データに基づいて、設定された駐車位置76までの移動経路における周辺対象物の認識処理を行う。演算部52は、移動経路の認識結果に基づいて、制御部58により、車両10を所定の方向へ所定の距離だけ移動させ、駐車位置76への車両10の自動駐車を開始する(ステップS13)。
【0055】
演算部52は、車両10の自動駐車中において前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって撮像される車両10の周辺の撮像データを制御部58により取得する。演算部52は、制御部58により、自動駐車中に取得される車両10の周辺の撮像データに基づいて駐車位置76に関する特徴点を検出する。例えば、
図7に示す俯瞰画像71のように、演算部52は、制御部58により、指定された駐車位置76に関する特徴点として、駐車位置76に近い側の建築物73の輪郭の位置を示す建築物特徴点77a~77dや、駐車位置76の周囲に存在する障害物74a~74eの位置を示す障害物特徴点78a1,78a2,78b~78e等を検出する。
【0056】
次に、演算部52は、制御部58により、車両10が駐車位置76へ到達したか否か判定する(ステップS14)。車両10が駐車位置76に到達したか否かは、上記移動経路の認識結果に基づいた車両10の移動により、例えば、車両10が駐車位置76内に移動したか否か、あるいはバック駐車する車両10の後方カメラ12Rrで撮像された駐車位置76の後側ライン76BL(
図7参照)と後方カメラ12Rrとの距離が所定距離以下となったか否かによって判定する。
【0057】
ステップS14において、車両10が駐車位置76へ到達した場合(ステップS14:Yes)には、演算部52は、制御部58により、自動駐車中に取得された駐車位置76に関する特徴点を記憶部54に新規登録する(ステップS15)。なお、この駐車位置76に関する特徴点の登録処理は、上記ステップS13における自動駐車の開始とともに、自動駐車の制御と並行して行うようにしてもよい。
【0058】
駐車位置76とその特徴点は、例えば、
図8に示す特徴点マップ81として登録される。特徴点マップ81は、例えば、
図7の俯瞰画像71において検出された建築物特徴点77a~77d及び障害物特徴点78a1,78a2,78b~78eと手動設定された駐車位置76との関連を示すマップとして登録される。
【0059】
ステップS14において、車両10が駐車位置76へ到達していない場合(ステップS14:No)には、演算部52は、障害物検出部55により、自動駐車における車両10の移動経路において障害物を検出したか否か判定する(ステップS16)。
【0060】
ステップS16において、障害物を検出した場合(ステップS16:Yes)には、演算部52は、制御部58により、自動駐車を実行している車両10を停車させる停車制御を行う(ステップS17)。
【0061】
次に、演算部52は、制御部58により、ステップS17で停車した車両10の停車位置から車両10の駐車位置76までの距離が予め設定されている距離閾値(例えば、2.5m)以下であるか否か判定する(ステップS18)。演算部52は、制御部58により、例えば、車両10が停車したときの車両10の後方カメラ12Rrと駐車位置76の後側ライン76BLとの距離が距離閾値以下であるか否か判定する。距離閾値が例えば2.5mに設定されることについては、
図9及び
図10で後述する。
【0062】
ステップS18において、駐車位置76までの距離が距離閾値以下である場合(ステップS18:Yes)には、演算部52は、制御部58により、車両10が停車した停車位置を車両10の指定駐車位置として登録するか否かを運転者に問い合わせする(ステップS19)。具体的な状況としては、車両10が自動駐車の途中で、運転者から指定された駐車位置76に到達する前に停車し、その停車した位置が駐車位置76に対して予め設定されている距離閾値よりも駐車位置76に近い位置である場合が該当する。演算部52は、例えば、タッチパネル42に「設定された駐車位置よりも手前の位置で停車しました。この位置を指定駐車位置として登録してもよいかご確認ください。」とメッセージを表示する。音声による問い合わせを行ってもよい。問い合わせに対する応答は、例えば、タッチパネル42上のボタン操作により行うことが可能である。
【0063】
次に、演算部52は、制御部58により、ステップS19の問い合わせに対する運転者からの登録操作を受け付けたか否か判定する(ステップS20)。
【0064】
ステップS20において、運転者からの登録操作を受け付けた場合(ステップS20:Yes)には、演算部52は、制御部58により、車両10が停車した停車位置を車両10の指定された駐車位置76として新規登録する(ステップS21)。この場合の新規登録も上記ステップS15の新規登録と同様であり、自動駐車中に取得された車両10の停車位置に関する特徴点を特徴点マップ81として登録する。特徴点マップ81は、建築物特徴点77a~77d及び障害物特徴点78a1,78a2,78b~78eと車両10の停車位置との関連を示すマップとして登録される。
【0065】
一方、ステップS18において、駐車位置76までの距離が距離閾値以下でなない場合(ステップS18:No)には、演算部52は、制御部58により、本自動駐車の制御を終了する。具体的な状況としては、車両10が自動駐車の途中で、運転者から指定された駐車位置76に到達する前に停車し、その停車した位置が駐車位置76に対して予め設定されている距離閾値よりも駐車位置76から離れた位置である場合が該当する。なお、例えばここで車両10の自動駐車の再開を待って、すなわち運転者から自動駐車ボタン60が再度タッチ操作されるのを待って、自動駐車が再開されたらステップS14に戻り、各ステップの処理を行うようにしてもよい。ただし、自動駐車の再開を待って一定時間が経過しても再開されない場合や、車両10のサイドブレーキが掛けられた場合や、車両10の動力がオフされた場合などには本自動駐車の制御を終了する。
【0066】
また、一方、ステップS20において、運転者からの登録操作を受け付けない場合(ステップS20:No)には、演算部52は、制御部58により、本自動駐車の制御を終了する。なお、自動駐車の再開を待って再開されたらステップS14に戻り各ステップの処理を行うこと、一定時間が経過しても自動駐車が再開されないとき等は本自動駐車の制御を終了することについては、上記ステップS18:Noの場合と同様である。
【0067】
また、一方、ステップS16において、障害物を検出しない場合(ステップS16:No)には、演算部52は、操作検出部56により、自動駐車において車両10の停止操作がされて車両10が停車したか否か判定する(ステップS22)。
【0068】
ステップS22において、車両10が停車していない場合(ステップS22:No)には、演算部52は、ステップS14に戻り各ステップの処理を実行する。
【0069】
ステップS22において、車両10が停車した場合(ステップS22:Yes)には、演算部52は、ステップS18に進み各ステップの処理を実行する。具体的な状況としては、車両10が自動駐車の途中で、運転者から指定された駐車位置76に到達する前に停車し、その停車した原因が運転者のブレーキ操作によるものである場合が該当する。
【0070】
これにより、運転者が指定する駐車位置76又は車両10の停車位置が登録特徴点(特徴点マップ)を備えた指定駐車位置として記憶部54に登録されるとともに、登録済み駐車位置画像ボタン62の一つとして自動駐車メニュー(
図4参照)に表示される。
【0071】
[傾斜した駐車位置への自動駐車制御]
傾斜している駐車位置に車両10を駐車させる場合の演算部52による自動駐車制御の一例を以下に説明する。
【0072】
先ず、車両10に搭載されたカメラによって車両10を駐車させる傾斜面を撮像したとき、その撮像データに基づいて生成された俯瞰画像において発生する撮像対象物の表示ズレについて
図9及び
図10を参照して説明する。
図9は、車両10の左サイドミラー11Lに搭載された左側方カメラ12Lにより、車両10の左側に位置する上り斜面90を撮像している様子を示す図である。
図9に示すように、車両10は平坦な位置に停車している。車両10の左側方カメラ12Lは地面から高さY=1mの位置に搭載されている。また、車両10は、左側方カメラ12Lが斜面90の傾斜開始点から距離D=0.5m離れるように駐車している。
【0073】
このような状況において、左側方カメラ12Lの撮像対象物を斜面90上の対象物A1とすると、左側方カメラ12Lから対象物A1までの距離はX[m]である。ところが、左側方カメラ12Lで撮像された撮像データに基づいて俯瞰画像を生成した場合、生成される俯瞰画像では斜面90が傾斜していることを認識することができない。このため、対象物A1は、俯瞰画像上においては表示ズレΔx[m]だけ相違したX+Δx[m]の位置に存在する対象物A2として認識される。
【0074】
このように、平坦な位置に停車している車両10のカメラで斜面90を撮像した場合、カメラの撮像データに基づいた俯瞰画像により認識される斜面90上の撮像対象物は、斜面90の勾配%に応じて実際の位置とは相違するずれた位置にある対象物として認識される。これは、カメラで撮像される撮像対象物を車両10が停車している面上(この場合、平坦な面上)に存在する対象物として俯瞰画像上に描画するためである。
図10は、斜面90の勾配%を変化させたときのカメラから撮像対象物までの距離Xと俯瞰画像上で発生する表示ズレΔxとの関係を示すグラフである。
図10に示すように、カメラから撮像対象物までの距離Xが大きくなるほど表示ズレΔxが大きくなる。同様に、斜面90の勾配%が大きくなるほど表示ズレΔxが大きくなる。例えば、カメラから撮像対象物までの距離X=7mの場合、斜面90の勾配が1%では表示ズレΔx=0.5m、斜面90の勾配が2%では表示ズレΔx=1.0m、斜面90の勾配が3%では表示ズレΔx=1.6m、斜面90の勾配が4%では表示ズレΔx=2.5mとなる。
【0075】
次に、傾斜した駐車場72に設けられている駐車位置76に車両10を新たに駐車する場合の演算部52による自動駐車制御の第1の例について
図11から
図16を参照して説明する。
図11は、車両10の後方カメラ12Rrにより上り斜面の駐車場72に設けられた駐車位置76を撮像している様子を示す図である。
図12は、
図11に示す上り斜面の駐車場72の駐車位置76を撮像した撮像データに基づいて生成された俯瞰画像71を示す図である。
【0076】
図11及び
図12に示すように、車両10は、平坦な位置に停車した状態で、車両10を駐車させる駐車位置76の指定を運転者から受け、後方カメラ12Rrにより上り斜面の駐車場72に設けられた駐車位置76を撮像している。このため、例えば、駐車位置76の後側ライン76BL1は、俯瞰画像上においては表示ズレΔxだけ後方へずれた後側ライン76BL2として認識される。表示ズレΔxの量は、上述したように後方カメラ12Rrから後側ライン76BL1までの距離Xと、駐車場72(駐車位置76)の勾配%によって異なる。
【0077】
図13は、上り斜面の駐車場72に設けられた駐車位置76に車両10を自動駐車している途中で障害物74a1を検出して車両10を停車させた様子を示す図である。
図14は、
図13に示す車両10及び駐車位置76の俯瞰画像71を示す図である。
図13及び
図14は、上述した
図5のフローチャートにおけるステップS14、ステップS16、ステップS17及びステップS18の処理に相当する図である。
【0078】
図13及び
図14に示すように、車両10は、上り斜面の駐車場72をバック駐車により移動している。車両10は、指定された駐車位置76までの移動経路の認識結果に基づいて、例えば、駐車位置76の後側ライン76BL2を車両10の後方停車目標位置として車両10をバック移動させる。ところが、駐車場72が傾斜しているため、車両10は、上述したように、駐車位置76の後側ライン76BL2の位置を実際の後側ライン76BL1の位置よりも表示ズレΔxだけ後方へずれた位置に認識する。このため、上り斜面の駐車場72をバック移動している車両10が認識する後側ライン76BL2は、障害物74a1よりも後方に存在する後側ライン76BL2として認識される。これにより、車両10は、後方停車目標位置である後側ライン76BL2に到達する前に、車両10の移動経路に障害物74a1が存在していると認識する。車両10は、障害物74a1を検出することで、指定された駐車位置76に到達する前に車両10を停車させる。
【0079】
車両10は、停車した車両10の後方カメラ12Rrから駐車位置76の後側ライン76BL2までの距離Hを測定する。そして、測定した駐車位置76の後側ライン76BL2までの距離Hが予め設定されている距離閾値2.5m以下であるか判定する。距離閾値2.5mは、上記
図9及び
図10の測定結果から設定した値であり、斜面90の勾配を4%としたときに発生し得る表示ズレΔxが含まれる値である。
【0080】
図15は、
図13及び
図14で測定された駐車位置76の後側ライン76BL2までの距離Hが距離閾値2.5m以下である場合に記憶部54に新規登録される車両10及び駐車位置76の一例を示す図である。
図16は、
図15に示す車両10及び駐車位置76の俯瞰画像71を示す図である。
図15及び
図16は、上述した
図5のフローチャートにおけるステップS21の処理に相当する図である。
【0081】
図13及び
図14で測定された駐車位置76の後側ライン76BL2までの距離Hが距離閾値2.5m以下である場合、車両10は、その距離Hのことを駐車場72が傾斜していることにより生じた表示ズレによるものであり、実際には指定された駐車位置76に車両10を駐車させることができていると判定する。そこで、
図15及び
図16に示すように、車両10は、駐車位置76の位置を距離Hに応じた分だけ前方へ移動させて、駐車位置76内に車両10が駐車されている状態となるように修正する。そして、車両10は、車両10が停車した停車位置を指定駐車位置として新規登録する。これにより、傾斜する駐車位置76に車両10を自動駐車する際にカメラの撮像画像上において発生し得る表示ズレを改善し、自動駐車制御するための有効な駐車位置情報として登録することができる。
【0082】
続いて、傾斜した駐車場72に設けられている駐車位置76に車両10を新たに駐車する場合の演算部52による自動駐車制御の第2の例について
図17から
図22を参照して説明する。
図17は、車両10の後方カメラ12Rrにより上り斜面の駐車場72に設けられた駐車位置76を撮像している様子を示す図である。
図18は、
図17に示す上り斜面の駐車場72の駐車位置76を撮像した撮像データに基づいて生成された俯瞰画像71を示す図である。
【0083】
図17及び
図18に示すように、車両10は、平坦な位置に停車した状態であるため、後方カメラ12Rrで撮像した駐車位置76の後側ライン76BL1を、俯瞰画像上において表示ズレΔxだけ後方へずれた後側ライン76BL2として認識する。この点は、
図11及び
図12で説明した第1の例と同様である。
【0084】
図19は、上り斜面の駐車場72に設けられた駐車位置76に車両10を自動駐車している途中で、運転者のブレーキ操作にしたがって車両10を停車させた様子を示す図である。
図20は、
図19の自動駐車している車両10及び駐車位置76の俯瞰画像71を示す図である。第2の例における障害物74a2は、車両10に搭載されたセンサ群16(ソナーやレーダ)では検出することができない障害物(例えば、フェンス等)であるとする。
図19及び
図20は、上述した
図5のフローチャートにおけるステップS14、ステップS16、ステップS22及びステップS18の処理に相当する図である。
【0085】
図19及び
図20に示すように、車両10は、上り斜面の駐車場72をバック駐車により移動している。車両10は、指定された駐車位置76までの移動経路の認識結果に基づいて、例えば、駐車位置76の後側ライン76BL2を車両10の後方停車目標位置として車両10をバック移動させる。ところが、駐車場72が傾斜しているため、車両10は、上述したように、駐車位置76の後側ライン76BL2の位置を実際の後側ライン76BL1の位置よりも表示ズレΔxだけ後方へずれた位置に認識する。これにより、車両10は、駐車位置76の後側ライン76BL2を障害物74a2よりも後方に位置する後側ライン76BL2として認識する。本第2の例ではセンサ群16が障害物74a2を検出することができないため、車両10の運転者により、車両10が後方停車目標位置である後側ライン76BL2に到達する前に障害物74a2が認識され、障害物74a2が車両10に接触する可能性があると判断されて、ブレーキ操作により車両10が停車される。
【0086】
車両10は、停車した車両10の後方カメラ12Rrから駐車位置76の後側ライン76BL2までの距離Hを測定する。そして、測定した駐車位置76の後側ライン76BL2までの距離Hが予め設定されている距離閾値2.5m以下であるか判定する。距離閾値2.5mは、上述した第1の例と同様に、車両10が駐車される駐車場72の勾配を4%としたときに発生し得る表示ズレΔxを含む値である。
【0087】
図21は、
図19及び
図20で測定された駐車位置76の後側ライン76BL2までの距離Hが距離閾値2.5m以下である場合に記憶部54に新規登録される車両10及び駐車位置76の一例を示す図である。
図22は、
図21に示す車両10及び駐車位置76の俯瞰画像71を示す図である。
図21及び
図22は、上述した
図5のフローチャートにおけるステップS21の処理に相当する図である。
【0088】
後側ライン76BL2までの距離Hが距離閾値2.5m以下である場合、車両10は、その距離Hのことを駐車場72が傾斜していることにより生じた表示ズレによるものであり、実際には指定された駐車位置76に車両10を駐車させることができていると判定する。そこで、
図21及び
図22に示すように、車両10は、駐車位置76の位置を距離Hに応じた分だけ前方へ移動させて、駐車位置76内に車両10が駐車されている状態となるように修正する。そして、車両10は、車両10が停車した停車位置を指定駐車位置として新規登録する。
【0089】
以上説明したように、制御装置の制御部58は、自動駐車制御を開始した後、指定された駐車位置76に車両10が到達する前に停止した場合に、車両10が停止した停止位置を指定駐車位置として登録する。この構成によれば、例えば、車両10を駐車させる位置の指定を運転者から受け付けたときの車両10の停車位置が平坦な位置であり、指定された駐車位置76が上り斜面の駐車場72に設けられている駐車位置76であって、両位置の傾斜が異なることにより、運転者が意図した実際の駐車位置76(後側ライン76BL1)と、運転者からの選択の受け付けにより認識された駐車位置76(後側ライン76BL2)とに差異(表示ズレΔx)がある場合でも、車両10が実際に停止した停止位置を正しい指定駐車位置として登録することが可能となる。これにより、車両10を駐車させる駐車位置76が傾斜する位置であることに起因して、自動駐車制御の際に、認識された車両10の駐車位置76と車両10の周辺に存在する周辺物とが撮像データに基づいて生成される俯瞰画像71上で重なってしまい指定駐車位置の登録ができなくなる事態を防止でき、ユーザビリティが向上する。
【0090】
また、制御部58は、自動駐車制御を開始した後、指定された駐車位置76に車両10が到達する前に、障害物74a1が検出されたことに応じて車両10が停止した場合に、車両10が停止した停止位置を指定駐車位置として登録する。この構成によれば、例えば、指定された駐車位置76が上り斜面の駐車場72に設けられていることに起因して、運転者が意図した実際の駐車位置76の後側ライン76BL1と、運転者からの選択の受け付けにより認識された駐車位置76の後側ライン76BL2とに表示ズレΔxによる差異がある場合でも、車両10の周辺に存在する障害物74a1が検出されて停止した車両10の停止位置を、表示ズレΔxを修正して正しい指定駐車位置として登録することが可能となる。これにより、上記同様、認識された車両10の駐車位置76と車両10の周辺に存在する障害物74a1とが重なってしまい指定駐車位置の登録ができなくなる事態を防止でき、ユーザビリティが向上する。
【0091】
また、制御部58は、自動駐車制御を開始した後、指定された駐車位置76に車両10が到達する前に、運転者により車両10の停止操作が行われて車両10が停止した場合に、車両10が停止した停止位置を指定駐車位置として登録する。この構成によれば、例えば、指定された駐車位置76が上り斜面の駐車場72に設けられていることに起因して、運転者が意図した実際の駐車位置76の後側ライン76BL1と、運転者からの選択の受け付けにより認識された駐車位置76の後側ライン76BL2とに表示ズレΔxによる差異がある場合でも、運転者が障害物74a2に気づいてブレーキ操作し車両10が停止した停止位置を、表示ズレΔxを修正して正しい指定駐車位置として登録することが可能となる。これにより、上記同様、認識された車両10の駐車位置76と車両10の周辺に存在する障害物74a2とが重なってしまい指定駐車位置の登録ができなくなる事態を防止でき、ユーザビリティが向上する。
【0092】
また、制御部58は、自動駐車制御を開始した後、指定された駐車位置76に車両10が到達する前に停止し、車両10が停止した停止位置から運転者からの選択の受け付けにより認識された駐車位置76の後側ライン76BL2までの距離が予め設定されている距離閾値(例えば、2.5m)よりも小さい場合に、車両10が停止した停止位置を指定駐車位置として登録する。この構成によれば、距離閾値を設けることにより、傾斜した駐車場72の駐車位置76に車両10を駐車することで駐車位置76に表示ズレΔxが生じても、車両10が停止した停止位置を正しい指定駐車位置として登録することが可能になる。また、運転者から選択を受け付けたときの車両10の駐車位置76と大きく異なる停止位置が指定駐車位置として登録されてしまう事態を防止することが可能となる。
【0093】
[新たな駐車位置への自動駐車制御の変形例]
新規登録ボタン61がタッチ操作されたときの演算部52による自動駐車制御の変形例について、
図23のフローチャートを参照して説明する。
【0094】
図23に示すように、変形例の自動駐車制御において、ステップS31からステップS36までの各処理は、
図5に示す自動駐車制御のステップS11からステップS16までの各処理と同様である。また、変形例の自動駐車制御において、ステップS38からステップS41までの各処理は、
図5に示す自動駐車制御のステップS18からステップS21までの各処理と同様である。このため、これらのステップの処理については説明を省略する。
【0095】
ステップS36において、障害物を検出した場合(ステップS36:Yes)には、演算部52は、制御部58により、車両10の停止操作を運転者に促す通知を行う(ステップS37-1)。
【0096】
次に、演算部52は、操作検出部56により、自動駐車において車両10の停止操作がされて車両10が停車したか否か判定する(ステップS37-2)。
【0097】
一方、ステップS36において、障害物を検出しない場合(ステップS36:No)には、演算部52は、ステップS37-2に進み、操作検出部56により、車両10の停止操作がされて車両10が停車したか否か判定する(ステップS37-2)。
【0098】
ステップS37-2において、車両10が停車していない場合(ステップS37-2:No)には、演算部52は、ステップS34に戻り各ステップの処理を実行する。
【0099】
ステップS37-2において、車両10が停車した場合(ステップS37-2:Yes)には、演算部52は、制御部58により、停車した車両10の停車位置から車両10の駐車位置76までの距離が予め設定されている距離閾値(例えば、2.5m)以下であるか否か判定する(ステップS38)。
【0100】
以上説明した自動駐車制御の変形例ように、車両10が駐車位置76に到達する前に障害物74a1が検出されたとき、運転者に車両10の停止操作を促す通知をするようにしても、上述した実施形態と同様に、車両10が実際に停止した停止位置を正しい指定駐車位置として登録することが可能となる。これにより、傾斜した駐車場72に車両10を駐車する場合であっても駐車位置76を適切に登録することができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0102】
例えば、上記実施形態では、上り斜面の駐車場72に設けられた駐車位置76に車両10を駐車する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、下り傾斜の駐車場に設けられた駐車位置に車両10を駐車する場合であっても同様に自動駐車制御することができる。
【0103】
また、上記実施形態では、演算部52の制御部58による自動操舵によって車両10を自動駐車する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ユーザの操作によって車両10を駐車させる際の補助を行う駐車支援に本発明を適用するようにしてもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rの俯瞰画像(合成画像)を用いて車両10の駐車位置や駐車位置及び周辺の特徴点を説明しているが、これに限定されない。例えば、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12Rのうちのいずれかのカメラで撮像された画像を用いて説明してもよい。
【0105】
また、上記実施形態では、制御部58が俯瞰画像71等を車両10のタッチパネル42に表示する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部58は、通信部24を介して、車両10の搭乗者が所持する情報端末(例えばスマートフォン等)の表示画面上に俯瞰画像71等を表示するようにしてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、指定駐車位置の登録特徴点を表す特徴点マップを車両10の記憶部54に登録する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、車両10と通信可能に接続されるスマートフォンやサーバ等の他装置の記憶部にこれらの情報を登録するようにしてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、登録済みの駐車位置に車両10を駐車させる際に、ユーザが登録済み駐車位置画像ボタン62をタッチ操作する場合(
図4のNo.1画像ボタン62aを選択してタッチ操作する場合)を説明したが、これに限定されない。例えば、車両10を自動駐車する際にタッチパネル42に表示される自動駐車ボタン60をユーザがタッチ操作すると、自動駐車の実行時に撮像される俯瞰画像と登録済みの俯瞰画像とを比較して、今回どこの駐車位置に駐車させようとしているのかを制御部58が自動判断し、例えば
図9の処理を開始するようにしてもよい。これにより、車両10のユーザが登録済み駐車位置画像ボタン62の中から今回駐車させる駐車位置のボタンを見つけて選択する操作をなくすることができる。
【0108】
また、上記実施形態では、移動体を車両(四輪の自動車)とした例を説明したが、これに限らない。例えば、二輪車、セグウェイ等の車両であってもよい。さらに、本発明の思想は、車両に限らず、駆動源を備えて駆動源の動力により移動可能なロボット、船舶、航空機などにも適用することができる。
【0109】
なお、前述した実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをコンピュータで実行することにより実現できる。本制御プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録され、記憶媒体から読み出されることによって実行される。また、本制御プログラムは、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体に記憶された形で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。本制御プログラムを実行するコンピュータは、制御装置に含まれるものであってもよいし、制御装置と通信可能なスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の電子機器に含まれるものでもあってもよいし、これら制御装置及び電子機器と通信可能なサーバ装置に含まれるものであってもよい。
【0110】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0111】
(1) 移動体の周辺の撮像データを取得する撮像部と、
前記移動体のユーザからの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部と、
前記撮像データと前記所定の駐車位置とに基づいて、前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【0112】
(1)によれば、例えば所定の駐車位置の受け付け時の移動体の位置と所定の駐車位置とで傾斜が異なることにより、ユーザが意図した実際の所定の駐車位置と、ユーザからの選択の受け付けにより認識された所定の駐車位置とに差異がある場合でも、移動体が実際に停止した停止位置を正しい指定駐車位置として登録することが可能となる。これにより、自動駐車制御時に、認識された所定の駐車位置と周辺物とが重なってしまい指定駐車位置の登録ができなくなる事態を防止でき、ユーザビリティが向上する。
【0113】
(2) (1)に記載の制御装置であって、
前記移動体の周辺における障害物を検出する障害物検出部を備え、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に、前記障害物検出部により前記障害物が検出されたことに応じて前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【0114】
(2)によれば、例えば所定の駐車位置の受け付け時の移動体の位置と所定の駐車位置とで傾斜が異なることにより、ユーザが意図した実際の所定の駐車位置と、ユーザからの選択の受け付けにより認識された所定の駐車位置とに差異がある場合でも、移動体周辺の障害物が検出されて停止した移動体の停止位置を正しい指定駐車位置として登録することが可能となる。これにより、自動駐車制御時に、認識された所定の駐車位置と移動体周辺の障害物とが重なってしまい指定駐車位置の登録ができなくなる事態を防止でき、ユーザビリティが向上する。
【0115】
(3) (2)に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記障害物検出部により前記障害物が検出された場合に、前記移動体を停止させる停止制御、又は前記移動体の停止操作を前記ユーザに促す通知を行う、
制御装置。
【0116】
(3)によれば、移動体周辺の障害物が検出されたときに移動体が自動停止される、又はユーザの停止操作により停止されるので、移動体の停止位置を正しい指定駐車位置として登録することが可能となる。
【0117】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の制御装置であって、
前記移動体のユーザによる前記移動体の停止操作を検出する操作検出部を備え、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に、前記操作検出部により前記停止操作が検出されて前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【0118】
(4)によれば、例えば所定の駐車位置の受け付け時の移動体の位置と所定の駐車位置とで傾斜が異なることにより、ユーザが意図した実際の所定の駐車位置と、ユーザからの選択の受け付けにより認識された所定の駐車位置とに差異がある場合でも、ユーザからの停止操作により停止した移動体の停止位置を正しい指定駐車位置として登録することが可能となる。これにより、自動駐車制御時に、認識された所定の駐車位置と移動体周辺の障害物とが重なってしまい指定駐車位置の登録ができなくなる事態を防止でき、ユーザビリティが向上する。
【0119】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記所定の駐車位置からの距離に関する距離閾値を取得し、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止し、前記移動体が停止した停止位置から前記所定の駐車位置までの距離と前記距離閾値との比較結果に基づいて、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【0120】
(5)によれば、距離閾値を有することで、ユーザから選択を受け付けたときの所定の駐車位置と大きく異なる停止位置が指定駐車位置として登録されてしまう事態を防止することが可能となる。
【0121】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の制御装置であって、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録するか否かをユーザに問い合わせる、
制御装置。
【0122】
(6)によれば、移動体の停止位置をユーザに確認させることが可能であるため、さらに正しい指定駐車位置として登録することが可能となる。
【0123】
(7) 移動体の周辺の撮像データを取得する撮像部と、前記移動体のユーザからの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記撮像データと前記所定の駐車位置とに基づいて、前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置による制御方法であって、
前記制御部が、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御方法。
【0124】
(7)によれば、例えば所定の駐車位置の受け付け時の移動体の位置と所定の駐車位置とで傾斜が異なることにより、ユーザが意図した実際の所定の駐車位置と、ユーザからの選択の受け付けにより認識された所定の駐車位置とに差異がある場合でも、移動体が実際に停止した停止位置を正しい指定駐車位置として登録することが可能となる。これにより、自動駐車制御時に、認識された所定の駐車位置と周辺物とが重なってしまい指定駐車位置の登録ができなくなる事態を防止でき、ユーザビリティが向上する。
【0125】
(8) 移動体の周辺の撮像データを取得する撮像部と、前記移動体のユーザからの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記撮像データと前記所定の駐車位置とに基づいて、前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置の前記制御部に、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
処理を実行させるための制御プログラム。
【0126】
(8)によれば、例えば所定の駐車位置の受け付け時の移動体の位置と所定の駐車位置とで傾斜が異なることにより、ユーザが意図した実際の所定の駐車位置と、ユーザからの選択の受け付けにより認識された所定の駐車位置とに差異がある場合でも、移動体が実際に停止した停止位置を正しい指定駐車位置として登録することが可能となる。これにより、自動駐車制御時に、認識された所定の駐車位置と周辺物とが重なってしまい指定駐車位置の登録ができなくなる事態を防止でき、ユーザビリティが向上する。
【符号の説明】
【0127】
10 車両(移動体)
55 障害物検出部
56 操作検出部
57 受付部
58 制御部
12L 左側方カメラ(撮像部)
12R 右側方カメラ(撮像部)
12Fr 前方カメラ(撮像部)
12Rr 後方カメラ(撮像部)
【手続補正書】
【提出日】2023-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の周辺の撮像データを取得する撮像部と、
前記移動体のユーザからの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部と、
前記撮像データと前記所定の駐車位置とに基づいて、前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記移動体の周辺における障害物を検出する障害物検出部を備え、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に、前記障害物検出部により前記障害物が検出されたことに応じて前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記障害物検出部により前記障害物が検出された場合に、前記移動体を停止させる停止制御、又は前記移動体の停止操作を前記ユーザに促す通知を行う、
制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記移動体のユーザによる前記移動体の停止操作を検出する操作検出部を備え、
前記制御部は、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に、前記操作検出部により前記停止操作が検出されて前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記所定の駐車位置からの距離に関する距離閾値を取得し、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止し、前記移動体が停止した停止位置から前記所定の駐車位置までの距離と前記距離閾値との比較結果に基づいて、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記停止位置から前記所定の駐車位置までの距離が前記距離閾値以下のとき、前記停止位置を前記指定駐車位置として登録するか否かをユーザへ問い合わせ、
前記問い合わせに対するユーザからの指示に応じて前記停止位置を指定駐車位置として登録する、
制御装置。
【請求項7】
移動体の周辺の撮像データを取得する撮像部と、前記移動体のユーザからの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記撮像データと前記所定の駐車位置とに基づいて、前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置による制御方法であって、
前記制御部が、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
制御方法。
【請求項8】
移動体の周辺の撮像データを取得する撮像部と、前記移動体のユーザからの所定の駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記撮像データと前記所定の駐車位置とに基づいて、前記移動体を前記所定の駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記所定の駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置の前記制御部に、
前記自動駐車制御の開始後、前記所定の駐車位置に到達する前に前記移動体が停止した場合に、前記移動体が停止した停止位置を前記指定駐車位置として登録する、
処理を実行させるための制御プログラム。