(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021113
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/06 20060101AFI20240208BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240208BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W50/14
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123704
(22)【出願日】2022-08-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-05
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 潤之
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA21
3D241BA60
3D241BB02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD07
3D241CD11
3D241CD26
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB02Z
3D241DB32Z
3D241DD11Z
(57)【要約】
【課題】車両の駐車情報の登録処理と自動移動の制御とを実行する際における制御部の処理負荷の増大を抑制することが可能な制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】車両10の外界の認識データを取得する外界認識部55と、車両10のユーザからの駐車位置の選択を受け付ける受付部56と、認識データと駐車位置に基づいて車両10を駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部57と、を備える。制御部57は、指定駐車位置の新規登録における第2登録処理の実行中に車両10のユーザから車両10の自動移動制御の実行が指示された場合は自動移動制御を実行せずに第2登録処理を継続し、指定駐車位置の更新における第2登録処理の実行中に車両10のユーザから自動移動制御の実行が指示された場合は第2登録処理を中断して自動移動制御を実行する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の外界の認識データを取得する外界認識部と、
前記移動体のユーザからの駐車位置の選択を受け付ける受付部と、
前記認識データと前記駐車位置に基づいて前記移動体を前記駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、
を備え、
前記外界認識部は、
前記認識データとして、第1認識データと、前記第1認識データと異なる第2認識データと、を取得し、
前記制御部は、
前記第1認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第1登録処理と、前記第2認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第2登録処理と、を実行し、
前記指定駐車位置の新規登録における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記移動体の自動移動制御の実行が指示された場合は前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続し、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記自動移動制御の実行が指示された場合は前記第2登録処理を中断して前記自動移動制御を実行する、
制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置において、
前記第2認識データは、前記第1認識データより狭い範囲の認識データである、
制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の制御装置であって、
前記第1認識データは、前記移動体のサイドカメラにより得られる認識データであり、
前記第2認識データは、前記移動体のリアカメラ及びフロントカメラの少なくともいずれかにより得られる認識データである、
制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記自動駐車制御と並行して前記第1登録処理を行い、
前記自動駐車制御及び前記第1登録処理の終了後に前記第2登録処理を実行する、
制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続する場合は、前記第2登録処理に起因して前記自動移動制御が実行されないことを前記移動体のユーザに通知する、
制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続する場合は、前記第2登録処理が完了するまでの時間を前記移動体のユーザに通知する、
制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記指定駐車位置の新規登録における前記第2登録処理の実行中は前記自動移動制御の実行の指示操作を制限する制御を行う、
制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記自動移動制御の実行が指示された場合は、前記第2登録処理の中断と、前記自動移動制御の実行と、の少なくともいずれかを前記移動体のユーザに通知する、
制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に、前記自動移動制御の実行が可能であることを前記移動体のユーザに通知する、
制御装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記指定駐車位置の登録情報と、前記自動駐車制御の実行時に前記認識データに基づいて得られた情報と、の一致率に応じて前記指定駐車位置の更新を実行する、
制御装置。
【請求項11】
移動体の外界の認識データを取得する外界認識部と、前記移動体のユーザからの駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記認識データと前記駐車位置に基づいて前記移動体を前記駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置による制御方法であって、
前記外界認識部が、
前記認識データとして、第1認識データと、前記第1認識データと異なる第2認識データと、を取得し、
前記制御部が、
前記第1認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第1登録処理と、前記第2認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第2登録処理と、を実行し、
前記指定駐車位置の新規登録における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記移動体の自動移動制御の実行が指示された場合は前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続し、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記自動移動制御の実行が指示された場合は前記第2登録処理を中断して前記自動移動制御を実行する、
制御方法。
【請求項12】
移動体の外界の認識データを取得する外界認識部と、前記移動体のユーザからの駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記認識データと前記駐車位置に基づいて前記移動体を前記駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置の制御プログラムであって、
前記外界認識部は、前記認識データとして、第1認識データと、前記第1認識データと異なる第2認識データと、を取得し、
前記制御部に、
前記第1認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第1登録処理と、前記第2認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第2登録処理と、を実行し、
前記指定駐車位置の新規登録における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記移動体の自動移動制御の実行が指示された場合は前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続し、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記自動移動制御の実行が指示された場合は前記第2登録処理を中断して前記自動移動制御を実行する、
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて自動運転技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。
【0003】
従来、車両を自動移動させる際に、車両の周辺から取得される情報を必要に応じて更新登録する装置が知られている。例えば、特許文献1には、同じ駐車目標位置に対して、車両を繰り返し駐車させる場合に、駐車目標位置を含む周辺領域の周辺状況情報を取得し、車両が駐車目標位置に駐車を完了した際に、取得された周辺状況情報を示す第1状況情報及び駐車目標位置に到達するまでの移動経路を記憶し、第1状況情報と車両が駐車目標位置に新規に駐車を行う場合に取得する周辺状況情報を示す第2状況情報との比較に基づいて第1状況情報を更新登録する駐車支援装置が記載されている。また、特許文献2には、車両が走行する走行路及び走行路の周辺に設けられた認識対象の位置情報を含む予め記憶された対象情報と、検出された認識対象の検出結果と、に差異がある場合に対象情報を更新登録する走行管理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-54267号公報
【特許文献2】特開2019-144079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動運転技術においては、取得される情報を更新する際に、例えば更新登録の処理と車両の自動移動の制御とが同時に行われる場合も生じ得る。その場合には、車両における制御部の処理が過負荷な状態になることもあるため、スムーズな処理が難しくなる。したがって、そのような状況を回避する処理の仕方が望まれるが、特許文献1及び特許文献2には、情報を更新登録する処理と車両を自動移動させる制御についての制御部の負荷は考慮されていない。したがって、この点について従来技術には改良の余地がある。
【0006】
本発明は、移動体の駐車情報の登録処理と自動移動の制御とを実行する際のプロセッサの処理負荷の増大を抑制することが可能な制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
移動体の外界の認識データを取得する外界認識部と、
前記移動体のユーザからの駐車位置の選択を受け付ける受付部と、
前記認識データと前記駐車位置に基づいて前記移動体を前記駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、
を備え、
前記外界認識部は、
前記認識データとして、第1認識データと、前記第1認識データと異なる第2認識データと、を取得し、
前記制御部は、
前記第1認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第1登録処理と、前記第2認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第2登録処理と、を実行し、
前記指定駐車位置の新規登録における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記移動体の自動移動制御の実行が指示された場合は前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続し、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記自動移動制御の実行が指示された場合は前記第2登録処理を中断して前記自動移動制御を実行する、
制御装置である。
【0008】
本発明は、
移動体の外界の認識データを取得する外界認識部と、前記移動体のユーザからの駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記認識データと前記駐車位置に基づいて前記移動体を前記駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置による制御方法であって、
前記外界認識部が、
前記認識データとして、第1認識データと、前記第1認識データと異なる第2認識データと、を取得し、
前記制御部が、
前記第1認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第1登録処理と、前記第2認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第2登録処理と、を実行し、
前記指定駐車位置の新規登録における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記移動体の自動移動制御の実行が指示された場合は前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続し、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記自動移動制御の実行が指示された場合は前記第2登録処理を中断して前記自動移動制御を実行する、
制御方法である。
【0009】
本発明は、
移動体の外界の認識データを取得する外界認識部と、前記移動体のユーザからの駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記認識データと前記駐車位置に基づいて前記移動体を前記駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置の制御プログラムであって、
前記外界認識部は、前記認識データとして、第1認識データと、前記第1認識データと異なる第2認識データと、を取得し、
前記制御部に、
前記第1認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第1登録処理と、前記第2認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第2登録処理と、を実行し、
前記指定駐車位置の新規登録における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記移動体の自動移動制御の実行が指示された場合は前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続し、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記自動移動制御の実行が指示された場合は前記第2登録処理を中断して前記自動移動制御を実行する、
処理を実行させるための制御プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、移動体の駐車情報の登録処理と自動移動の制御とを実行する際のプロセッサの処理負荷の増大を抑制することが可能な制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の制御装置を搭載した車両の一例を示す側面図である。
【
図3】
図1に示す車両の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】車両を自動駐車する際にナビゲーション装置に表示される画像の一例を示す図である。
【
図5】新たな駐車位置に車両を駐車させるための自動駐車制御を示すフローチャートである。
【
図6】車両の外界の認識データにより生成された俯瞰画像に駐車位置を設定した図である。
【
図7】
図6に示す駐車位置に対する周辺の特徴点を示した図である。
【
図8】駐車位置に対して登録される特徴点マップの一例を示す図である。
【
図9】登録済み駐車位置に車両を駐車させるための自動駐車制御の一例を示すフローチャートである。
【
図10】所定の駐車位置から車両を移動させるための自動移動制御の一例を示すフローチャートである。
【
図11】指定駐車位置の特徴点の新規登録時における第1登録処理及び第2登録処理と車両の自動移動の可否との関係を示すタイムチャーである。
【
図12】指定駐車位置の特徴点の更新登録時における第1登録処理及び第2登録処理と車両の自動移動の可否との関係を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の制御装置、制御方法、及び制御プログラムの一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。なお、図面は、符号の向きに見るものとする。また、本明細書等では説明を簡単かつ明確にするために、前後、左右、上下の各方向は、
図1及び
図2に示す車両10のユーザ(例えば、運転者)から見た方向に従って記載し、図面には、車両10の前方をFr、後方をRr、左方をL、右方をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0013】
<本発明の制御装置を搭載した車両10>
図1は、本発明の制御装置を搭載した車両10の側面図である。
図2は、
図1に示した車両10の上面図である。車両10は、本発明の移動体の一例である。
【0014】
車両10は、駆動源(図示略)と、駆動源の動力によって駆動される駆動輪及び転舵可能な転舵輪を含む車輪と、を有する自動車である。本実施形態では、車両10は、左右一対の前輪及び後輪を有する四輪の自動車である。車両10の駆動源は、例えば電動機である。なお、車両10の駆動源は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であってもよいし、電動機と内燃機関との組み合わせであってもよい。また、車両10の駆動源は、左右一対の前輪を駆動してもよいし、左右一対の後輪を駆動してもよいし、左右一対の前輪及び後輪の四輪を駆動してもよい。前輪及び後輪は、双方が転舵可能な転舵輪であってもよいし、いずれか一方が転舵可能な転舵輪であってもよい。
【0015】
車両10は、さらにサイドミラー11L,11Rを備える。サイドミラー11L,11Rは、車両10の前席ドアの外側に設けられた、ユーザが後方及び後側方を確認するためのミラー(バックミラー)である。サイドミラー11L,11Rは、それぞれ垂直方向に延びる回転軸によって車両10の本体に固定されており、この回転軸を中心に回転することにより開閉可能である。
【0016】
車両10は、さらに前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rを備える。前方カメラ12Frは、車両10の前方に設けられ、車両10の前方を撮像するデジタルカメラである。後方カメラ12Rrは、車両10の後方に設けられ、車両10の後方を撮像するデジタルカメラである。左側方カメラ12Lは、車両10の左のサイドミラー11Lに設けられ、車両10の左側方を撮像するデジタルカメラである。右側方カメラ12Rは、車両10の右のサイドミラー11Rに設けられ、車両10の右側方を撮像するデジタルカメラである。左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rは、本発明のサイドカメラの一例である。前方カメラ12Frは本発明のフロントカメラの一例、後方カメラ12Rrは本発明のリアカメラの一例である。
【0017】
<車両10の内部構成>
図3は、
図1に示した車両10の内部構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、車両10は、センサ群16と、ナビゲーション装置18と、制御ECU(Electronic Control Unit)20と、EPS(Electric Power Steering)システム22と、通信部24と、を有する。車両10は、さらに駆動力制御システム26と、制動力制御システム28と、を有する。演算部52は、本発明の制御装置の一例である。
【0018】
センサ群16は、制御ECU20による制御に用いられる各種の検出値を取得する。センサ群16には、前方カメラ12Frと、後方カメラ12Rrと、左側方カメラ12Lと、右側方カメラ12Rとが含まれる。また、センサ群16には、前方ソナー群32aと、後方ソナー群32bと、左側方ソナー群32cと、右側方ソナー群32dとが含まれる。また、センサ群16には、車輪センサ34a,34bと、車速センサ36と、操作検出部38とが含まれる。
【0019】
前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rは、車両10の周辺を撮像することにより、車両10の外界を認識するための認識データ(例えば、周辺画像)を取得する。左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された認識データは、本発明の第1認識データの一例である。前方カメラ12Fr、及び後方カメラ12Rrによって取得された認識データは、本発明の第2認識データの一例である。前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12Rによって撮像される周辺画像は、それぞれ前方画像、後方画像、左側方画像、右側方画像と称される。左側方画像と右側方画像とによって構成される画像を側方画像と称してもよい。前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rの各撮像データを合成することにより生成される周辺画像を車両10の俯瞰画像と称してもよい。
【0020】
前方ソナー群32aと、後方ソナー群32bと、左側方ソナー群32cと、右側方ソナー群32dとは、車両10の周辺に音波を発射すると共に、他物体からの反射音を受信する。前方ソナー群32aは、例えば4つのソナーを含む。前方ソナー群32aを構成するソナーは、車両10の左斜め前方、前方左側、前方右側及び右斜め前方にそれぞれ設けられている。後方ソナー群32bは、例えば4つのソナーを含む。後方ソナー群32bを構成するソナーは、車両10の左斜め後方、後方左側、後方右側及び右斜め後方にそれぞれ設けられている。左側方ソナー群32cは、例えば2つのソナーを含む。左側方ソナー群32cを構成するソナーは、車両10の左側部前方及び左側部後方にそれぞれ設けられている。右側方ソナー群32dは、例えば2つのソナーを含む。右側方ソナー群32dを構成するソナーは、車両10の右側部前方及び右側部後方にそれぞれ設けられている。
【0021】
車輪センサ34a,34bは、車両10の車輪の回転角度を検出する。車輪センサ34a,34bは、角度センサによって構成されていてもよいし、変位センサによって構成されていてもよい。車輪センサ34a,34bは、車輪が所定角度回転する毎に検出パルスを出力する。車輪センサ34a,34bから出力される検出パルスは、車輪の回転角度及び車輪の回転速度の算出に用いられる。車輪の回転角度に基づいて、車両10の移動距離が算出される。車輪センサ34aは、例えば、左後輪の回転角度θaを検出する。車輪センサ34bは、例えば、右後輪の回転角度θbを検出する。
【0022】
車速センサ36は、車両10の車体の速度、すなわち車速Vを検出し、検出した車速Vを制御ECU20に出力する。車速センサ36は、例えば、トランスミッションのカウンタシャフトの回転に基づいて車速Vを検出する。
【0023】
操作検出部38は、操作入力部14を用いて行われるユーザによる操作内容を検出し、検出した操作内容を制御ECU20に出力する。操作入力部14には、例えばサイドミラー11L,11Rの開閉状態を切り替えるサイドミラースイッチや、シフトレバー(セレクトレバーやセレクタ)など各種のユーザインタフェースが含まれる。
【0024】
ナビゲーション装置18は、例えばGPS(Global Positioning System)を用いて車両10の現在位置を検出すると共に、目的地までの経路をユーザに案内する。ナビゲーション装置18は、地図情報データベースが備えられた不図示の記憶装置を有する。
【0025】
ナビゲーション装置18には、タッチパネル42と、スピーカ44とが備えられている。タッチパネル42は、制御ECU20の入力装置及び表示装置として機能する。スピーカ44は、車両10の搭乗者に対して各種の案内情報を音声で出力する。
【0026】
タッチパネル42は、制御ECU20に対する各種の指令を入力することができるように構成されている。例えば、ユーザは、タッチパネル42を介して、車両10の移動支援に関する指令を入力することが可能である。移動支援には、車両10の駐車支援及び出庫支援が含まれる。また、タッチパネル42は、制御ECU20の制御内容に関する各種の画面を表示するように構成されている。例えば、タッチパネル42には、車両10の移動支援に関する画面が表示される。具体的には、タッチパネル42には、車両10の駐車支援を要求する駐車支援ボタンや出庫支援を要求する出庫支援ボタンが表示される。駐車支援ボタンには、制御ECU20の自動操舵による駐車を要求する自動駐車ボタンや、ユーザの操作で駐車する際の補助を要求する補助駐車ボタンが含まれる。出庫支援ボタンには、制御ECU20の自動操舵による出庫を要求する自動出庫ボタンや、ユーザの操作で出庫する際の補助を要求する補助出庫ボタンが含まれる。なお、タッチパネル42以外の構成要素、例えばスマートフォンやタブレット端末等を入力装置又は表示装置として用いるようにしてもよい。
【0027】
なお、「駐車」は、例えば「パーキング」と同義である。例えば、「駐車」は、乗員の乗り降りを伴う停止であり、交通信号等での一時的な停止は除く。また、「駐車位置」とは移動体を停止させる位置、すなわちパーキングする位置のことである。
【0028】
制御ECU20は、入出力部50と、演算部52と、記憶部54とを有する。演算部52は、例えばCPU(Central Processing Unit)によって構成される。演算部52は、記憶部54に記憶されているプログラムに基づいて各部を制御することにより各種の制御を行う。また、演算部52は、入出力部50を介して、制御ECU20に接続される各部との間で信号を入出力する。
【0029】
演算部52は、外界認識画像を認識する外界認識部55と、ユーザからの指示を受け付ける受付部56と、車両10の自動移動を制御する制御部57と、を有する。
【0030】
外界認識部55は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって撮像された車両10の周辺画像(認識データ)を各カメラから取得する。
【0031】
受付部56は、ナビゲーション装置18のタッチパネル42あるいはスマートフォンを介してユーザから入力される車両10の動作を指示する指示信号を受け付ける。例えば、受付部56は、タッチパネル42に表示された駐車候補位置の中からユーザの選択によって所定の駐車候補位置が指定された場合、その指定によってタッチパネル42から出力される信号を車両10を駐車させる指示信号として受け付ける。
【0032】
制御部57は、ステアリング110の操作を制御部57の制御によって自動で行う自動操舵による車両10の自動駐車支援及び自動出庫支援を行う。自動操舵の支援では、アクセルペダル(図示せず)、ブレーキペダル(図示せず)及び操作入力部14の操作が自動で行われる。また、制御部57は、アクセルペダル、ブレーキペダル及び操作入力部14の操作をユーザが行って車両10を手動駐車及び手動出庫させる際の補助駐車支援及び補助出庫支援を行う。
【0033】
例えば、制御部57は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データと、ユーザから指定された所定の駐車位置とに基づいて、車両10を指定された所定の駐車位置に駐車させる自動駐車の制御及び所定の駐車位置から出庫させる自動出庫の制御を行う。
【0034】
また、制御部57は、ユーザから指定された所定の駐車位置を指定駐車位置として記憶部54に登録する。制御部57は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データに基づいて指定駐車位置に関する特徴点を登録特徴点として記憶部54に登録する。制御部57は、車両10の外界の認識データと、ユーザから指定される指定駐車位置に関する登録特徴点とに基づいて、車両10を指定駐車位置に駐車させる自動駐車の制御を行う。
【0035】
指定駐車位置に関する特徴点には、指定駐車位置そのものの特徴点や、指定駐車位置の周辺の特徴点等が含まれる。指定駐車位置そのものの特徴点としては、例えば、指定駐車位置内に「駐車」という文字が表示されているような特徴点等が挙げられる。指定駐車位置の周辺の特徴点としては、例えば、周辺に存在する特徴的な建築物や、障害物等が挙げられる。
【0036】
また、制御部57は、自動駐車の実行時に外界の認識データに基づいて得られる現在の特徴点と、実行時以前に取得され既に登録されている登録特徴点との一致率を検出し、その一致率に応じて登録特徴点の更新を行う。既に登録されている登録特徴点は、本発明の登録情報の一例である。
【0037】
制御部57は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が第1閾値(例えば80%)以上である場合は、登録特徴点の更新を行わない。制御部57は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が第1閾値未満であり、第1閾値よりも低い第2閾値(例えば60%)以上である場合は、登録特徴点の更新を行う。制御部57は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が第2閾値未満であり、第2閾値よりも低い第3閾値(例えば30%)以上である場合は、登録特徴点の更新を行わない。制御部57は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が第3閾値未満である場合は、特徴点の新規登録を行う。特徴点の新規登録は既に行われているが、その特徴点の一致率が例えば60%以上80%未満のときに制御部57は登録特徴点の更新を行う。
【0038】
制御部57は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が第2閾値以上である場合は、登録特徴点に基づいて車両10の自動駐車を実行する。制御部57は、自動駐車の実行時の特徴点と登録特徴点との一致率が第2閾値未満である場合は、登録特徴点に基づく車両10の自動駐車を実行しない。なお、一致率の閾値を示す各数値(%)は、あくまで目安としての一数値例である。
【0039】
制御部57は、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された第1認識データに基づいて指定駐車位置を登録する第1登録処理を行う。また、制御部57は、前方カメラ12Fr、及び後方カメラ12Rrによって取得された第2認識データに基づいて指定駐車位置を登録する第2登録処理を行う。前方カメラ12Fr、及び後方カメラ12Rrによって取得された第2認識データは、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された第1認識データ(周辺画像)よりも狭い範囲を撮像した詳細な認識データである。第1登録処理とは、第1認識データに基づいて指定駐車位置に関する特徴点を登録することである。第2登録処理とは、詳細な第2認識データに基づいた指定駐車位置に関する特徴点を用いて、第1認識データに基づいて登録されている指定駐車位置に関する登録特徴点を追加及び修正する登録のことである。
【0040】
制御部57は、指定駐車位置に関する特徴点の新規登録における第2登録処理を実行している最中に、ユーザから車両10の自動移動制御の実行を指示された場合には、車両10の自動移動制御を実行せずに第2登録処理を継続する。この場合の自動移動制御は、例えば自動出庫制御である。ただし、この場合の自動移動制御は、自動出庫制御に限らず、例えば、上記の自動駐車の後にユーザが手動運転で車両10の出庫を行った後の自動駐車制御であってもよい。制御部57は、指定駐車位置に関する特徴点の更新における第2登録処理を実行している最中に、ユーザから車両10の自動移動制御の実行を指示された場合には、第2登録処理を中断して車両10の自動移動制御を実行する。
【0041】
制御部57は、第1認識データに基づいて指定駐車位置に関する特徴点を登録する第1登録処理を、車両10の自動駐車制御と並行して実行する。制御部57は、自動駐車制御及び第1登録処理が終了した後に、第2認識データに基づいて指定駐車位置に関する登録特徴点を追加及び修正する第2登録処理を実行する。
【0042】
制御部57は、特徴点の新規登録時において、車両10の自動移動制御を実行せずに第2登録処理を継続する場合には、第2登録処理を継続することに起因して自動移動制御が実行されないことを車両10のユーザに通知する。制御部57は、特徴点の新規登録時において、車両10の自動移動制御を実行せずに第2登録処理を継続する場合には、第2登録処理が完了するまでに要する時間を車両10のユーザに通知する。第2登録処理が完了するまでに要する時間とは、自動移動制御の実行が指示されても自動移動制御が実行されない時間を意味する。当該時間は、予測時間であり、ばらつきがある場合には予測される最大時間を通知する。制御部57は、指定駐車位置に関する特徴点の新規登録における第2登録処理を実行している期間、自動移動制御の実行の指示操作を制限する制御を行う。例えば、制御部57は、自動移動の開始を指示するためのボタン(例えば、自動出庫ボタン)を無効化又は非表示にする。
【0043】
制御部57は、指定駐車位置に関する特徴点の更新における第2登録処理の実行中にユーザから車両10の自動移動制御(例えば、自動出庫制御)の実行が指示された場合には、第2登録処理を中断することと、車両10の自動移動制御を実行することと、の少なくともいずれかをユーザに通知する。制御部57は、指定駐車位置に関する特徴点の更新における第2登録処理を実行している期間に、車両10の自動移動制御の実行が可能であることをユーザに通知する。
【0044】
EPSシステム22は、舵角センサ100と、トルクセンサ102と、EPSモータ104と、レゾルバ106と、EPS ECU108と、を有する。舵角センサ100は、ステアリング110の舵角θstを検出する。トルクセンサ102は、ステアリング110に加わるトルクTQを検出する。
【0045】
EPSモータ104は、ステアリング110に連結されたステアリングコラム112に対して駆動力又は反力を付与することにより、乗員によるステアリング110の操作支援や駐車支援時の自動操舵を可能とする。レゾルバ106は、EPSモータ104の回転角度θmを検出する。EPS ECU108は、EPSシステム22の全体の制御を司る。EPS ECU108には、入出力部(図示せず)と、演算部(図示せず)と、記憶部(図示せず)とが備えられている。
【0046】
通信部24は、他の通信装置120との間で無線通信を行うことを可能とするものである。他の通信装置120とは、基地局や、他車両の通信装置や、車両10の搭乗者が所持するスマートフォン等の情報端末などである。
【0047】
駆動力制御システム26には、駆動ECU130が備えられている。駆動力制御システム26は、車両10の駆動力制御を実行する。駆動ECU130は、不図示のアクセルペダルに対するユーザによる操作に基づいて、不図示のエンジン等を制御することによって、車両10の駆動力を制御する。
【0048】
制動力制御システム28には、制動ECU132が備えられている。制動力制御システム28は、車両10の制動力制御を実行する。制動ECU132は、不図示のブレーキペダルに対するユーザによる操作に基づいて、不図示のブレーキ機構等を制御することによって、車両10の制動力を制御する。
【0049】
<演算部52による自動駐車制御>
次に、演算部52による車両10の自動駐車制御について
図4から
図9を参照して説明する。
【0050】
図4は、車両10を自動駐車する際に、ナビゲーション装置18のタッチパネル42に表示される「自動駐車メニュー」の一例を示す図である。自動駐車メニューの画像は、タッチパネル42に表示される自動駐車ボタン60をタッチ操作することにより表示される。自動駐車ボタン60は、例えば、車両10を駐車させようとする運転者が駐車場の近くまで来たときに、自動駐車メニューを表示させるためにタッチ操作する。
【0051】
図4に示すように、自動駐車メニューの画像には、新規登録ボタン61と、登録済み駐車位置画像ボタン62が表示される。新規登録ボタン61は、新たに指定駐車位置として登録する駐車位置に車両10を駐車させる際に操作するボタンである。登録済み駐車位置画像ボタン62は、既に登録されている指定駐車位置に車両10を駐車させる際に操作するボタンである。登録済み駐車位置画像ボタン62としては、例えば、No.1画像ボタン62aに示すように自宅の駐車場を指定駐車位置として登録した駐車位置画像ボタンや、No.2画像ボタン62bに示すように駐車頻度の高いコインパーキングを指定駐車位置として登録した駐車位置画像ボタンなどが挙げられる。登録済み駐車位置画像ボタン62に表示されている画像は、登録した際の車両10の例えば前方カメラ12Frで撮像された画像である。
【0052】
[新たな駐車位置への自動駐車制御]
先ず、新規登録ボタン61がタッチ操作されたときの演算部52による自動駐車制御について
図5から
図8を参照して説明する。
【0053】
図5は、新たな駐車位置に車両10を駐車させるための自動駐車制御を示すフローチャートである。
図6は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得される車両10の外界の認識データにより生成された俯瞰画像71(合成画像)に駐車位置76を設定した図である。
図7は、
図6に示す駐車位置76に対する周辺の特徴点を示した図である。
図8は、駐車位置76に対して登録される特徴点マップの一例を示す図である。演算部52は、新規登録ボタン61がタッチ操作されると、
図5に示す処理を開始する。
【0054】
演算部52は、新規登録指示を受け付けたか否か、すなわち新規登録ボタン61がタッチ操作されたか否か、受付部56によって判定する(ステップS11)。
【0055】
ステップS11において、新規登録ボタン61がタッチ操作されていない場合(ステップS11:No)には、演算部52は、ステップS11の処理を繰り返す。
【0056】
ステップS11において、新規登録ボタン61がタッチ操作された場合(ステップS11:Yes)には、演算部52は、車両10の駐車位置を設定するための運転者による手動設定を受付部56によって受け付ける(ステップS12)。
【0057】
例えば、車両10の運転者が自宅の駐車場の前に車両10を停車させ、その駐車場を新たな指定駐車位置として登録するために、新規登録ボタン61をタッチする。すると、車両10のタッチパネル42には、
図6に示すように、車両10の外界の認識データに基づいて生成された俯瞰画像71が表示される。俯瞰画像71には、自宅の駐車場72の前に停車された車両10が表示されている。また、俯瞰画像71には、運転者の住居(建築物)73と、複数の植栽(障害物)74a~74fが表示されている。駐車場72は、建築物73と障害物74a~74fとの間に設けられている。なお、俯瞰画像71で表示される車両は、車両10を上方から見た様子を示す画像であり、予め生成(撮像)されて記憶部54等に記憶されている車両画像75である。駐車位置の手動設定は、俯瞰画像71が表示されたタッチパネル42上において、車両10を駐車する領域を示す矩形状の駐車位置76をタッチ操作して、車両10を駐車させたい目標駐車位置へスライド移動させることにより設定することができる。
【0058】
ステップS12において、駐車位置76の手動設定を受け付けると、演算部52は、制御部57により、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データに基づいて駐車位置76までの移動経路における対象物の認識処理を行う。演算部52は、移動経路の認識結果に基づいて、制御部57により、車両10を所定の方向へ向けて所定の距離だけ移動させ駐車位置76に自動駐車する(ステップS13)。また、演算部52は、車両10の自動駐車に並行して、制御部57により、自動駐車中に左側方カメラ12L及び右側方カメラ12Rによって取得される外界の第1認識データから駐車位置76に関する特徴点を検出し、検出した特徴点を記憶部54に新規登録する第1登録処理を行う(ステップS13)。また、演算部52は、外界認識部55によって、車両10の自動駐車中に後方カメラ12Rrにより撮像された外界の第2認識データを取得しておく。
図6及び
図7は、車両10を駐車位置76にバック駐車する場合であるため後方カメラ12Rrによって第2認識データが取得される。
【0059】
例えば、
図7に示す俯瞰画像71のように、演算部52は、制御部57によって、指定された駐車位置76に関する特徴点として、駐車位置76に近い側の建築物73の輪郭の位置を示す建築物特徴点77a~77dや、駐車位置76の周囲に存在する障害物74a~73fの位置を示す障害物特徴点78a~78f等を検出する。
【0060】
次に、演算部52は、制御部57により、自動駐車中に後方カメラ12Rrによって取得された第2認識データから駐車位置76に関する特徴点を検出し、検出した特徴点に基づいて、ステップS13で第1認識データに基づいて登録されている駐車位置76に関する登録特徴点を、新規に追加登録及び修正登録する第2登録処理を行う(ステップS14)。なお、この場合、駐車位置76の登録特徴点全体を更新してもよいが、登録特徴点の中の相違する特徴点のみを更新するようにしてもよい。
【0061】
駐車位置76とその特徴点は、例えば、
図8に示す特徴点マップ81として登録される。特徴点マップ81は、例えば、
図7の俯瞰画像71において検出された建築物特徴点77a~77d及び障害物特徴点78a~78fと手動設定された駐車位置76との関連を示すマップとして登録される。
【0062】
これにより、運転者が指定する駐車位置76が登録特徴点(特徴点マップ)を備えた指定駐車位置として記憶部54に登録されるとともに、登録済み駐車位置画像ボタン62の一つとして自動駐車メニュー(
図4参照)に表示される。
【0063】
[登録済み駐車位置への自動駐車制御]
次に、登録済み駐車位置画像ボタン62がタッチ操作されたときの演算部52による自動駐車制御について
図9を参照して説明する。
図9は、登録済み駐車位置に車両10を駐車させるための自動駐車制御の一例を示すフローチャートである。
【0064】
演算部52は、
図4に示す自動駐車メニューの登録済み駐車位置画像ボタン62がタッチ操作されると、
図9の処理を開始する。本例では車両10の運転者によってNo.1画像ボタン62aがタッチ操作されたものとする。
【0065】
演算部52は、メモリ駐車指示を受け付けたか否か、すなわち登録済み駐車位置画像ボタン62がタッチ操作されたか否か、受付部56によって判定する(ステップS21)。
【0066】
ステップS21において、登録済み駐車位置画像ボタン62がタッチ操作されていない場合(ステップS21:No)には、演算部52は、ステップS21の処理を繰り返す。
【0067】
ステップS21において、登録済み駐車位置画像ボタン62がタッチ操作された場合(ステップS21:Yes)には、演算部52は、制御部57により、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された認識データに基づいて現在の指定駐車位置に関する特徴点(以下、実行時特徴点と称する。)を検出し、検出した実行時特徴点とタッチ操作されたNo.1画像ボタン62aの駐車位置76に対して登録されている登録特徴点との一致率を算出する。そして、演算部52は、制御部57によって、実行時特徴点と登録特徴点との一致率が所定の閾値(例えば、80%)よりも小さいか否か判定する(ステップS22)。また、演算部52は、制御部57により、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データに基づいて駐車位置76までの移動経路における対象物の認識処理を行う。
【0068】
ステップS22において、一致率が所定の閾値よりも小さくない、すなわち一致率が80%以上である場合(ステップS22:No)には、演算部52は、移動経路の認識結果に基づいて、制御部57により、車両10を所定の方向へ向けて所定の距離だけ移動させ駐車位置76に自動駐車する(ステップS23)。そして、実行時特徴点と登録特徴点との一致率が80%以上であるため、指定駐車位置における外界の特徴点にほぼ変化がないと判定し、記憶部54にそれまで登録されている登録特徴点を表す特徴点マップをそのまま維持して、特徴点マップの更新は行わない。
【0069】
ステップS22において、一致率が所定の閾値よりも小さい、すなわち一致率が80%未満である場合(ステップS22:Yes)には、演算部52は、移動経路の認識結果に基づいて、制御部57により、車両10を所定の方向へ向けて所定の距離だけ移動させ駐車位置76に自動駐車するとともに、自動駐車の制御と並行して、駐車位置76の特徴点を更新する第1登録処理を行う(ステップS24)。具体的には、演算部52は、制御部57により、自動駐車中に左側方カメラ12L及び右側方カメラ12Rによって取得される外界の第1認識データから駐車位置76に関する実行時特徴点を検出し、駐車位置76に対してそれまで登録されていた登録特徴点を、実行時特徴点に更新する第1登録処理を行う。また、演算部52は、外界認識部55によって、車両10の自動駐車中に後方カメラ12Rrにより撮像された外界の第2認識データを取得しておく。
図6及び
図7に示すように、車両10を駐車位置76にバック駐車する場合であるため後方カメラ12Rrによって第2認識データが取得される。
【0070】
次に、演算部52は、制御部57により、自動駐車中に後方カメラ12Rrによって取得された第2認識データから駐車位置76に関する実行時特徴点を検出し、検出した実行時特徴点に基づいて、ステップS24で第1認識データに基づいて更新された駐車位置76に関する登録特徴点を、追加更新及び修正更新する第2登録処理を行う(ステップS25)。この場合、特徴点マップ81全体を更新してもよいが、特徴点マップ81の中の相違する特徴点のみを更新するようにしてもよい。
【0071】
なお、
図9では、実行時特徴点と登録特徴点との一致率が所定の閾値(例えば、80%)よりも小さい場合に登録特徴点を更新する例について説明したが、これに限定されない。例えば、実行時特徴点と登録特徴点との一致率が60%以上80%未満の場合に登録特徴点を更新し、一致率が30%以上60%未満の場合には更新するか否かを運転者に決定させ、一致率が30%未満の場合には特徴点を新規登録するようにしてもよい。本自動駐車制御において挙げた一致率の閾値(%)は、一例であり適宜変更し得る。
【0072】
<演算部52による自動移動制御>
次に、演算部52による車両10の自動移動制御について
図10を参照して説明する。
図10は、所定の駐車位置から車両10を移動させるための自動移動制御の一例を示すフローチャートである。この場合の自動移動制御は、例えば自動出庫制御であるが、上記のように、自動駐車の後にユーザが手動運転で車両10の出庫を行った後の自動駐車制御などであってもよい。
【0073】
演算部52は、例えば、
図4に示す自動駐車ボタン60や、タッチパネル42に表示される自動出庫ボタン(図示省略)がタッチ操作されると、
図10の処理を開始する。具体的な状況としては、
図5及び
図9で上述したように車両10を自宅の駐車場72に駐車した運転者が、駐車場72から車両10を自動出庫させる場合や、車両10を駐車場72に駐車させた後、車両10を駐車場72から手動出庫させ、さらに車両10を駐車場72へ自動駐車させるような場合などが想定される。
【0074】
演算部52は、自動移動指示(例えば自動出庫制御)を受け付けたか否か、例えば自動出庫ボタンがタッチ操作されたか否か、受付部56によって判定する(ステップS31)。
【0075】
ステップS31において、自動移動指示を受け付けていない場合(ステップS31:No)には、演算部52は、ステップS31の処理を繰り返す。
【0076】
ステップS31において、自動移動指示を受け付けた場合(ステップS31:Yes)には、演算部52は、制御部57により、現在が第2登録処理の実行中であるか否か判定する(ステップS32)。上述したように、第2登録処理は、前方カメラ12Fr、及び後方カメラ12Rrが撮像した詳細な第2認識データに基づく指定駐車位置の特徴点により、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rが撮像した第1認識データに基づく指定駐車位置の登録済みの登録特徴点を追加及び修正する登録のことである。第2登録処理には、
図5のステップS14で説明した新規登録時に行われる第2登録処理と、
図9のステップS25で説明した更新登録時に行われる第2登録処理と、が含まれる。
【0077】
ステップS32において、現在が第2登録処理の実行中ではない場合(ステップS32:No)には、演算部52は、制御部57により、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された車両10の外界の認識データに基づいて、車両10が自動移動する経路(例えば駐車位置76から車両10が出庫する移動経路)における対象物の認識処理を行う。そして、演算部52は、移動経路の認識結果に基づいて、制御部57により、車両10を所定の方向へ向けて所定の距離だけ移動させる自動移動制御(例えば自動出庫制御)を行う(ステップS33)。
【0078】
ステップS32において、現在が第2登録処理の実行中である場合(ステップS32:Yes)には、演算部52は、制御部57によって、その実行中である現在の第2登録処理が新規登録時に行われる第2登録処理であるか否か判定する(ステップS34)。なお、ステップS32において第2登録処理の実行中である(ステップS32:Yes)と判定される場合としては、例えば、車両10を駐車場72に駐車させた後、第2登録処理が終了するよりも前に、車両10をすぐに駐車場72から自動出庫させるような場合や、車両10を駐車場72に駐車させた後、第2登録処理が終了するよりも前に、車両10をすぐに駐車場72から手動出庫させ、さらに車両10を駐車場72へ自動駐車させるような場合が該当する。
【0079】
ステップS34において、新規登録時に行われる第2登録処理である場合(ステップS34:Yes)には、演算部52は、制御部57により、車両10の自動移動の制御を行わずに、現在実行中である新規登録の第2登録処理を継続する。
【0080】
ステップS34において、新規登録時に行われる第2登録処理ではない場合、すなわち現在実行中の第2登録処理が更新登録時に行われる第2登録処理である場合(ステップS34:No)には、演算部52は、制御部57により、現在実行中である更新の第2登録処理を中断する(ステップS35)。そして、演算部52は、ステップS33に進み、制御部57により、自動移動制御(例えば駐車場72から車両10を自動出庫させる自動出庫制御)を行う。
【0081】
次に、指定駐車位置の特徴点の新規登録時及び更新登録時において、演算部52の制御部57が行う第1登録処理及び第2登録処理と、指定駐車位置に駐車した車両10の自動移動制御(例えば自動出庫制御)との実行タイミングについて
図11及び
図12を参照して説明する。
【0082】
図11は、指定駐車位置の特徴点の新規登録時における第1登録処理及び第2登録処理と車両10の自動移動の可否との関係を示すタイムチャーである。
図11に示すように、時間t10のタイミングで車両10の運転者が例えば自宅の駐車場72の前に車両10を停車させ、その駐車場72を新たな指定駐車位置として登録するために、新規登録ボタン61(
図4参照)をタッチ操作したとする。
【0083】
新規登録ボタン61がタッチ操作されると、演算部52は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって撮像された車両10の外界の認識データを外界認識部55により取得し、取得した認識データに基づいて、制御部57により、駐車位置76までの移動経路における対象物の認識処理を行う。
【0084】
移動経路の認識処理が終了すると、演算部52は、その認識結果に基づいて、制御部57により、時間t11のタイミングで、車両10を駐車位置76に向けて所定の方向へ所定の距離だけ移動させる自動駐車制御を開始する。また、演算部52は、車両10の自動駐車制御に並行して、制御部57により、自動駐車中に左側方カメラ12L及び右側方カメラ12Rによって取得する外界の第1認識データから駐車位置76に関する特徴点を検出し、検出した特徴点を記憶部54に新規登録する第1登録処理を実行する。車両10は、自動駐車が完了した例えば時間t12のタイミングで駐車場72に停車した状態となる。
【0085】
例えば、新規登録の第1登録処理が時間t13のタイミングで終了したとする。演算部52は、第1登録処理が終了した時間t13のタイミングから、外界認識部55により、車両10の自動駐車中(時間t11~時間t12の期間)に後方カメラ12Rrによって取得された外界の第2認識データに基づいて駐車位置76に関する特徴点を検出し、検出した特徴点を用いて、第1登録処理で新規登録した登録特徴点を追加登録及び修正登録する新規登録の第2登録処理を開始する。制御部57による新規登録の第2登録処理は、例えば時間t14のタイミングで終了するとする。
【0086】
指定駐車位置の特徴点を新規登録する際には、第2登録処理が完了するまでの間(時間t14まで)、車両10の新たな自動移動(例えば自動出庫)の指示を受け付けない自動移動不可の期間になる。このため、新規登録の第2登録処理が完了する時間t14までの間に車両10の運転者が自動移動ボタン(例えば自動出庫ボタン)をタッチ操作して自動移動の指示をしたとしても、車両10の自動移動は実行されない。この場合、車両10の運転者に対して、新規登録の第2登録処理が完了するまで車両10の自動移動ができないことを通知するようにしてもよい。また、車両10の運転者に対して、新規登録の第2登録処理が完了するまでに要する時間を通知するようにしてもよい。また、新規登録の第2登録処理を実行している期間は、例えば、自動移動ボタンを無効化又は非表示としてもよい。指定駐車位置の特徴点の新規登録においては、第2登録処理が完了した時間t14以降に車両10の自動移動の指示が受け付けられて自動移動が可能になる。
【0087】
図12は、指定駐車位置の特徴点の更新登録時における第1登録処理及び第2登録処理と車両10の自動移動の可否との関係を示すタイムチャートである。
図12に示すように、時間t20のタイミングで車両10の運転者が例えば自宅の駐車場72の前に車両10を停車させ、通常通りに駐車場72に車両10を自動駐車するために登録済み駐車位置画像ボタン62(
図4参照)をタッチ操作したとする。
【0088】
登録済み駐車位置画像ボタン62がタッチ操作されると、演算部52は、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって撮像された車両10の外界の認識データを外界認識部55により取得し、取得した認識データに基づいて、制御部57により、駐車位置76までの移動経路における対象物の認識処理を行う。また、演算部52は、制御部57により、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rによって取得された認識データに基づいて実行時特徴点を検出し、検出した実行時特徴点とタッチ操作された登録済み駐車位置画像ボタン62の駐車位置76に対して登録されている登録特徴点との一致率を算出する。
【0089】
移動経路の認識処理が終了すると、演算部52は、その認識結果に基づいて、制御部57により、時間t21のタイミングで、車両10を駐車位置76に向けて所定の方向へ所定の距離だけ移動させる自動駐車制御を開始する。また、演算部52は、上記算出された実行時特徴点と登録特徴点との一致率が所定の閾値よりも小さい場合、車両10の自動駐車制御に並行して、制御部57により、自動駐車中に左側方カメラ12L及び右側方カメラ12Rによって取得される外界の第1認識データから駐車位置76に関する実行時特徴点を検出し、駐車位置76に対してそれまで登録されていた登録特徴点を、実行時特徴点に更新する第1登録処理を行う。車両10は、自動駐車が完了した例えば時間t22のタイミングで駐車場72に停車した状態となる。
【0090】
例えば、更新の第1登録処理が時間t23のタイミングで終了したとする。演算部52は、第1登録処理が終了した時間t23のタイミングから、外界認識部55により、車両10の自動駐車中(時間t21~時間t22の期間)に後方カメラ12Rrによって取得された外界の第2認識データに基づいて駐車位置76に関する特徴点を検出し、検出した特徴点を用いて、第1登録処理で更新した登録特徴点を追加登録及び修正登録する更新の第2登録処理を開始する。制御部57による更新の第2登録処理は、例えば時間t24のタイミングで終了するとする。
【0091】
指定駐車位置の特徴点を更新する際には、第1登録処理が完了するまでの間(時間t23まで)は車両10の新たな自動移動(例えば自動出庫)の指示を受け付けない自動移動不可の期間になるが、第1登録処理が完了した時間t23の後は自動移動の指示を受け付ける自動移動可能な期間になる。したがって、更新の第2登録処理が実行されている時間t23~時間t24の期間であっても車両10の運転者が自動移動ボタン(例えば自動出庫ボタン)をタッチ操作して自動移動の指示をした場合には、車両10の自動出庫制御が実行される。例えば、更新の第2登録処理が実行されている時間t23~時間t24の間の時間t25において自動移動ボタンがタッチ操作された場合には、実行している更新の第2登録処理が中断されて車両10の自動移動が開始される。この場合、車両10の運転者に対して、例えば、車両10の自動移動が可能であることを通知するようにしてもよい。また、車両10の自動移動を行うときは、更新の第2登録処理を中断することを運転者に通知するようにしてもよい。
【0092】
以上説明したように、制御装置の制御部57は、指定された駐車位置76に関する特徴点を新規登録する第2登録処理の実行中に車両10の運転者から車両10の自動移動制御の実行が指示された場合は自動移動制御を実行せずに第2登録処理を継続し、指定された駐車位置76に関する特徴点を更新する第2登録処理の実行中に車両10の運転者から自動移動制御の実行が指示された場合は第2登録処理を中断して自動移動制御を実行する。この構成によれば、駐車位置76に関する特徴点の第2登録処理と自動移動制御とを同時に行うことにより制御部57(プロセッサ)の処理負荷が増大してしまう事態を抑制することができる。これにより、指定された駐車位置76に関する特徴点の登録処理や自動移動制御が制御部57の過負荷によって正常に実行されない事態を防止できる。また、指定された駐車位置76の更新時に自動移動制御の実行が指示された場合には、更新処理を中断して自動移動制御を優先して実行することにより、ユーザビリティを向上させることができる。
【0093】
また、制御部57は、左側方カメラ12L及び右側方カメラ12Rによって取得される第1認識データに基づいて指定された駐車位置76に関する特徴点の登録を行う第1登録処理と、第1認識データより狭い範囲の詳細な認識データであって、後方カメラ12Rrによって取得される第2認識データに基づいて指定された駐車位置76に関する特徴点の登録を行う第2登録処理と、を実行する。これにより、左側方カメラ12L及び右側方カメラ12Rによって撮像された第1認識データでは取得できなかった駐車位置76に関する特徴点を、後方カメラ12Rrによって撮像された詳細な第2認識データに基づいて取得することが可能であり、車両10の駐車精度を向上させることができる。
【0094】
また、制御部57は、車両10の自動駐車制御と並行して第1認識データに基づく第1登録処理を行い、自動駐車制御及び第1登録処理の終了後に第2認識データに基づく第2登録処理を実行する。指定された駐車位置76に車両10を自動駐車させる自動駐車制御を行う前に、駐車位置76までの車両10の移動経路における対象物の認識処理が終了しているため、車両10の自動駐車制御と第1登録処理とを並行して行うことが可能である。また、第1登録処理で登録された駐車位置76の特徴点を追加及び修正する第2登録処理は第1登録処理の後で実行されることが好ましいが、第2登録処理の実行タイミングをずらすことにより、制御部57の処理負荷が増大する事態を抑制することが可能である。
【0095】
なお、前述した実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをコンピュータで実行することにより実現できる。本制御プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録され、記憶媒体から読み出されることによって実行される。また、本制御プログラムは、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体に記憶された形で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。本制御プログラムを実行するコンピュータは、制御装置に含まれるものであってもよいし、制御装置と通信可能なスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の電子機器に含まれるものでもあってもよいし、これら制御装置及び電子機器と通信可能なサーバ装置に含まれるものであってもよい。
【0096】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0097】
例えば、上記実施形態では、演算部52の制御部57による自動操舵によって車両10を自動駐車する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ユーザの操作によって車両10を駐車させる際の補助を行う駐車支援に本発明を適用するようにしてもよい。
【0098】
また、上記実施形態では、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、及び右側方カメラ12Rの俯瞰画像(合成画像)を用いて車両10の駐車位置や駐車位置及び周辺の特徴点を説明しているが、これに限定されない。例えば、前方カメラ12Fr、後方カメラ12Rr、左側方カメラ12L、右側方カメラ12Rのうちのいずれかのカメラで撮像された画像を用いて説明してもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、制御部57が俯瞰画像71等を車両10のタッチパネル42に表示する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部57は、通信部24を介して、車両10の搭乗者が所持する情報端末(例えばスマートフォン等)の表示画面上に俯瞰画像71等を表示するようにしてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、指定駐車位置の登録特徴点を表す特徴点マップを車両10の記憶部54に登録する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、車両10と通信可能に接続されるスマートフォンやサーバ等の他装置の記憶部にこれらの情報を登録するようにしてもよい。
【0101】
また、上記実施形態では、登録済みの駐車位置に車両10を駐車させる際に、ユーザが登録済み駐車位置画像ボタン62をタッチ操作する場合(
図4のNo.1画像ボタン62aを選択してタッチ操作する場合)を説明したが、これに限定されない。例えば、車両10を自動駐車する際にタッチパネル42に表示される自動駐車ボタン60をユーザがタッチ操作すると、自動駐車の実行時に撮像される俯瞰画像と登録済みの俯瞰画像とを比較して、今回どこの駐車位置に駐車させようとしているのかを制御部57が自動判断し、例えば
図9の処理を開始するようにしてもよい。これにより、車両10のユーザが登録済み駐車位置画像ボタン62の中から今回駐車させる駐車位置のボタンを見つけて選択する操作をなくすることができる。
【0102】
また、上記実施形態では、移動体を車両(四輪の自動車)とした例を説明したが、これに限らない。例えば、二輪車、セグウェイ等の車両であってもよい。さらに、本発明の思想は、車両に限らず、駆動源を備えて駆動源の動力により移動可能なロボット、船舶、航空機などにも適用することができる。
【0103】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0104】
(1) 移動体(車両10)の外界の認識データを取得する外界認識部(外界認識部55)と、
前記移動体のユーザからの駐車位置の選択を受け付ける受付部(受付部56)と、
前記認識データと前記駐車位置に基づいて前記移動体を前記駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部(制御部57)と、
を備え、
前記外界認識部は、
前記認識データとして、第1認識データと、前記第1認識データと異なる第2認識データと、を取得し、
前記制御部は、
前記第1認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第1登録処理と、前記第2認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第2登録処理と、を実行し、
前記指定駐車位置の新規登録における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記移動体の自動移動制御の実行が指示された場合は前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続し、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記自動移動制御の実行が指示された場合は前記第2登録処理を中断して前記自動移動制御を実行する、
制御装置。
【0105】
(1)によれば、指定駐車位置の第2登録処理と自動移動制御とが同時に行われて制御部(プロセッサ)の処理負荷が増大してしまう事態を抑制することが可能となり、指定駐車位置の登録処理や自動移動制御が正常に行われない事態を防止できる。また、指定駐車位置の更新時に自動移動制御の実行が指示された場合は、更新処理を中断して自動移動制御を実行することで、ユーザビリティを向上させることができる。
【0106】
(2) (1)に記載の制御装置であって、
前記第2認識データは、前記第1認識データより狭い範囲の認識データである、
制御装置。
【0107】
(2)によれば、狭い範囲の詳細な認識データを用いることで移動体の駐車精度を向上させることができる。
【0108】
(3) (2)に記載の制御装置であって、
前記第1認識データは、前記移動体のサイドカメラ(左側方カメラ12L,右側方カメラ12R)により得られる認識データであり、
前記第2認識データは、前記移動体のリアカメラ(後方カメラ12Rr)及びフロントカメラ(前方カメラ12Fr)の少なくともいずれかにより得られる認識データである、
制御装置。
【0109】
(3)によれば、第1認識データよりも狭い範囲の詳細な第2認識データを取得するには移動体のリアカメラ及びフロントカメラで撮像することが好ましい。
【0110】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記自動駐車制御と並行して前記第1登録処理を行い、
前記自動駐車制御及び前記第1登録処理の終了後に前記第2登録処理を実行する、
制御装置。
【0111】
(4)によれば、第2登録処理の実行タイミングを後にずらすことにより制御部の処理負荷が増大してしまう事態を抑制することが可能である。
【0112】
(5) (1)から(4)のいずれかに記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続する場合は、前記第2登録処理に起因して前記自動移動制御が実行されないことを前記移動体のユーザに通知する、
制御装置。
【0113】
(5)によれば、自動移動制御が実行されない要因が通知されるのでユーザビリティが向上する。
【0114】
(6) (5)に記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続する場合は、前記第2登録処理が完了するまでの時間を前記移動体のユーザに通知する、
制御装置。
【0115】
(6)によれば、自動移動制御が実行可能となるまでの時間が分かるのでユーザビリティが向上する。
【0116】
(7) (1)から(6)のいずれかに記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記指定駐車位置の新規登録における前記第2登録処理の実行中は前記自動移動制御の実行の指示操作を制限する制御を行う、
制御装置。
【0117】
(7)によれば、自動移動制御を実行させる操作を制限することにより新規登録の第2登録処理を確実に実行することができる。
【0118】
(8) (1)から(7)のいずれかに記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記自動移動制御の実行が指示された場合は、前記第2登録処理の中断と、前記自動移動制御の実行と、の少なくともいずれかを前記移動体のユーザに通知する、
制御装置。
【0119】
(8)によれば、第2登録処理が中断されること、あるいは移動体の自動移動制御が実行されることが通知されるのでユーザビリティが向上する。
【0120】
(9) (1)から(8)のいずれかに記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に、前記自動移動制御の実行が可能であることを前記移動体のユーザに通知する、
制御装置。
【0121】
(9)によれば、移動体を自動移動できることが分かるためユーザビリティが向上する。
【0122】
(10) (1)から(9)のいずれかに記載の制御装置であって、
前記制御部は、
前記指定駐車位置の登録情報と、前記自動駐車制御の実行時に前記認識データに基づいて得られた情報と、の一致率に応じて前記指定駐車位置の更新を実行する、
制御装置。
【0123】
(10)によれば、登録情報との情報一致率に応じて更新の登録処理を実行するか判断するため、制御部の処理負荷の増大を抑制可能である。
【0124】
(11) 移動体の外界の認識データを取得する外界認識部と、前記移動体のユーザからの駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記認識データと前記駐車位置に基づいて前記移動体を前記駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置による制御方法であって、
前記外界認識部が、
前記認識データとして、第1認識データと、前記第1認識データと異なる第2認識データと、を取得し、
前記制御部が、
前記第1認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第1登録処理と、前記第2認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第2登録処理と、を実行し、
前記指定駐車位置の新規登録における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記移動体の自動移動制御の実行が指示された場合は前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続し、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記自動移動制御の実行が指示された場合は前記第2登録処理を中断して前記自動移動制御を実行する、
制御方法。
【0125】
(11)によれば、指定駐車位置の第2登録処理と自動移動制御とが同時に行われて制御部(プロセッサ)の処理負荷が増大してしまう事態を抑制することが可能となり、指定駐車位置の登録処理や自動移動制御が正常に行われない事態を防止できる。また、指定駐車位置の更新時に自動移動制御の実行が指示された場合は、更新処理を中断して自動移動制御を実行することで、ユーザビリティを向上させることができる。
【0126】
(12) 移動体の外界の認識データを取得する外界認識部と、前記移動体のユーザからの駐車位置の選択を受け付ける受付部と、前記認識データと前記駐車位置に基づいて前記移動体を前記駐車位置に駐車させるための自動駐車制御を実行し、前記駐車位置を指定駐車位置として登録する制御部と、を備える制御装置の制御プログラムであって、
前記外界認識部は、前記認識データとして、第1認識データと、前記第1認識データと異なる第2認識データと、を取得し、
前記制御部に、
前記第1認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第1登録処理と、前記第2認識データに基づいて前記指定駐車位置の登録を行う第2登録処理と、を実行し、
前記指定駐車位置の新規登録における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記移動体の自動移動制御の実行が指示された場合は前記自動移動制御を実行せずに前記第2登録処理を継続し、
前記指定駐車位置の更新における前記第2登録処理の実行中に前記移動体のユーザから前記自動移動制御の実行が指示された場合は前記第2登録処理を中断して前記自動移動制御を実行する、
処理を実行させるための制御プログラム。
【0127】
(12)によれば、指定駐車位置の第2登録処理と自動移動制御とが同時に行われて制御部(プロセッサ)の処理負荷が増大してしまう事態を抑制することが可能となり、指定駐車位置の登録処理や自動移動制御が正常に行われない事態を防止できる。また、指定駐車位置の更新時に自動移動制御の実行が指示された場合は、更新処理を中断して自動移動制御を実行することで、ユーザビリティを向上させることができる。
【符号の説明】
【0128】
10 車両(移動体)
55 外界認識部
56 受付部
57 制御部
12L 左側方カメラ(サイドカメラ)
12R 右側方カメラ(サイドカメラ)
12Fr 前方カメラ(フロントカメラ)
12Rr 後方カメラ(リアカメラ)