(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021115
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】茶粉体組成物
(51)【国際特許分類】
A23F 3/00 20060101AFI20240208BHJP
A23L 2/39 20060101ALI20240208BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20240208BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20240208BHJP
A23L 2/395 20060101ALI20240208BHJP
A23F 3/14 20060101ALI20240208BHJP
A23F 3/16 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A23F3/00
A23L2/00 Q
A23L2/38 C
A23L2/00 B
A23L2/395
A23L2/00 W
A23F3/14
A23F3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123706
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】吉原 慶太
(72)【発明者】
【氏名】浜場 大周
【テーマコード(参考)】
4B027
4B117
【Fターム(参考)】
4B027FB06
4B027FC01
4B027FC02
4B027FC10
4B027FE02
4B027FE08
4B027FK02
4B027FK04
4B027FK09
4B027FP68
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4B027FP77
4B117LC02
4B117LC13
4B117LE01
4B117LE08
4B117LG17
4B117LK13
4B117LK16
4B117LP03
4B117LP16
4B117LP17
4B117LP20
4B117LT05
(57)【要約】
【課題】本発明は、水又は湯等の水性媒体に溶解して飲用した際に好ましいと感じられる茶粉体組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】茶粉体組成物において、粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが4mm以下である固体粒子A、粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが2.8mm以下である固体粒子B、粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが2mm以下である固体粒子C、粒径が1.4mmより大きく2mm以下で、厚みが1.4mm以下である固体粒子D、及び粒径が1mmより大きく1.4mm以下で、厚みが1mm以下である固体粒子Eのいずれか一以上を含有させ、固体粒子A~Eの合計含有量を10重量%以上に調整し、粒径が5.6mmを超える固体粒子の含有量を15重量%以下に調整する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)~(e):
(a)粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが4mm以下である固体粒子A;
(b)粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが2.8mm以下である固体粒子B;
(c)粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが2mm以下である固体粒子C;
(d)粒径が1.4mmより大きく2mm以下で、厚みが1.4mm以下である固体粒子D;及び
(e)粒径が1mmより大きく1.4mm以下で、厚みが1mm以下である固体粒子E;
のいずれか一以上を含み、固体粒子A~Eの合計含有量が10重量%以上であり、且つ粒径が5.6mmを超える固体粒子の含有量が15重量%以下である、茶粉体組成物。
【請求項2】
固体粒子A~Eの合計含有量が20重量%以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
粒径が5.6mmを超える固体粒子の含有量が8重量%以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
固体粒子A~Eが粉砕茶葉の形状を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
容器詰めされている、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
容器が透明容器である、請求項5に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は茶粉体組成物に関し、より具体的には、水又は湯等の水性媒体に溶解して飲用した際に美味しいと感じられる茶粉体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
各種飲料を乾燥した即席粉末飲料の製造方法は従前より多く開発されてきた。その中でも、代表的な手法が噴霧乾燥法(スプレードライ)と真空凍結乾燥法(フリーズドライ)である。
【0003】
噴霧乾燥法は、噴霧した液滴に熱をかけることで水分を蒸発させる造粒方法である。噴霧乾燥法では、乾燥時に液体に熱負荷がかかるため、熱により成分が変質することや低沸点の香りが揮散してしまうという問題がある。その一方で、噴霧乾燥法は真空装置を用いないため製造設備のイニシャルコストを低く抑えることができ、真空状態を必要としないために大量生産しやすいといった利点もある。その特徴から噴霧乾燥法は、低沸点の香りによって製品価値が大きく損なわれず、また、大量生産及び大量消費に向いている等の特徴を有する、緑茶を代表とする茶飲料の粉末化に用いられることが多い。
【0004】
他方、凍結乾燥法は、凍結した液体を真空状態で乾燥する手法であり、比較的低温で水分を揮発させる。そのため凍結乾燥法は、熱による成分の変質や低沸点の香り成分の揮散が少なく、コーヒー等の香りを重視する飲料の粉末化に多く用いられている。その一方で、凍結乾燥法では真空装置を用いることから製造設備のイニシャルコストの負担があり、エネルギー使用などのランニングコストもかかるといったデメリットがある。
【0005】
代表的な即席粉末飲料の製造方法には上記の2種類があるが、これらの製造方法によって得られる「粉末」の形状は大きく異なる。この形状の違いにより、即席粉末飲料の飲用時の印象、香味、及びユーザビリティ等が大きく異なってくる。
【0006】
例えば、噴霧乾燥法により得られる粉末は、液滴状態を介して乾燥させることにより粒径が数十マイクロメートル程度と非常に小さくなる。この場合、使用の際には粉末が飛び散ったり舞ったりし、水やお湯に溶かす際には液滴同士が固着してダマを形成し、それによって浮遊や沈殿といった状態が発生し、不快な舌触りになることや溶解しづらいといった課題がある。その一方で、粒子サイズが非常に小さいことから、ケーキのようななめからな質感の菓子類に振りかけることで、菓子類の食感を損なうことなく香味を付加することができるといった利点もある。
【0007】
他方、凍結乾燥法により得られる粉末は、凍結させたブロックを粉砕することで粉末を作製するため、粒径が数ミリメートルと大きく、使用の際の飛散や舞い上がりといったデメリットはない。また、得られた粉末は多孔質構造を有するため、水や湯に溶解しやすく、ダマや沈殿を生じにくい。そして、水や湯に溶解しやすいことから、溶解しなかった粉末が不快な舌触りになるといった欠点がない。しかしながら、粉末の粒子サイズが大きいことから、なめからな質感の菓子類に振りかけるといったトッピングの用途には不向きであり、ざらつきを感じるという不要な食感を付加してしまうことになる。
【0008】
即席粉末飲料に関する従来技術としては、例えば、茶ポリフェノールを高濃度に含有し、茶本来の香味や口当たりに優れたインスタント粉末茶が報告されている(特許文献1)。また、粉砕した茶葉の表面に別の茶葉の抽出液をコーティングして、溶解性を高めるとともに茶葉本来の風味が感じられる粉砕茶も従来技術の一つとして挙げられる(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008-306980号公報
【特許文献2】特開2014-97023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の通り、茶飲料の技術分野において、茶本来の香りや味を向上させることは即席粉末飲料を開発及び設計する上での目的の一つである。そこで、本発明は、水又は湯等の水性媒体に溶解して飲用した際に好ましいと感じられる茶粉体組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、粉末粒子の形状に着目し、これを所定の粒径と厚みで特定される形状に調整することで、飲用した際に好ましいと感じられる即席粉末茶飲料が得られることを見出した。かかる知見に基づき、本発明者らは本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、これらに限定されないが、以下のものに関する。
(1)以下の(a)~(e):
(a)粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが4mm以下である固体粒子A;
(b)粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが2.8mm以下である固体粒子B;
(c)粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが2mm以下である固体粒子C;
(d)粒径が1.4mmより大きく2mm以下で、厚みが1.4mm以下である固体粒子D;及び
(e)粒径が1mmより大きく1.4mm以下で、厚みが1mm以下である固体粒子E;
のいずれか一以上を含み、固体粒子A~Eの合計含有量が10重量%以上であり、且つ粒径が5.6mmを超える固体粒子の含有量が15重量%以下である、茶粉体組成物。
(2)固体粒子A~Eの合計含有量が20重量%以上である、(1)に記載の組成物。
(3)粒径が5.6mmを超える固体粒子の含有量が8重量%以下である、(1)又は(2)に記載の組成物。
(4)固体粒子A~Eが粉砕茶葉の形状を有する、(1)~(3)のいずれか1に記載の組成物。
(5)容器詰めされている、(1)~(4)のいずれか1に記載の組成物。
(6)容器が透明容器である、(5)に記載の組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水又は湯等の水性媒体に溶解して飲用した際に好ましいと感じられる茶粉体組成物を提供することができる。また、本発明の技術を利用することにより、直接摂取した場合には口内での溶けやすさ、咀嚼したときのざらつき、及び飲み込みやすさに関して優れた茶粉体組成物を提供することができる。本発明の茶粉体組成物は凍結乾燥法を利用して製造することができ、これにより熱による成分の変質や低沸点の香り成分の揮散を抑えることができる。加えて、凍結乾燥法の利用により水や湯に溶解しやすい茶粉体組成物を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、茶粉体組成物に含まれる固体粒子の厚みを調べる装置を示す図である。
【
図2】
図2は、各サンプルを飲用した後のアルファ波非対称性を調べた結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の茶粉体組成物について、以下に説明する。なお、特に断りがない限り、本明細書において用いられる「ppm」、「ppb」、及び「重量%」は、重量/重量(w/w)のppm、ppb、及び重量%をそれぞれ意味する。
【0016】
本発明の一態様は、以下の(a)~(e):
(a)粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが4mm以下である固体粒子A;
(b)粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが2.8mm以下である固体粒子B;
(c)粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが2mm以下である固体粒子C;
(d)粒径が1.4mmより大きく2mm以下で、厚みが1.4mm以下である固体粒子D;及び
(e)粒径が1mmより大きく1.4mm以下で、厚みが1mm以下である固体粒子E;
のいずれか一以上を含み、固体粒子A~Eの合計含有量が10重量%以上であり、且つ粒径が5.6mmを超える固体粒子の含有量が15重量%以下である、茶粉体組成物である。かかる構成を採用することにより、水又は湯等の液体に溶解して茶飲料を作製して、その茶飲料を飲用した際には好ましいと感じさせることができるようになる。ここで、本明細書において「茶飲料を飲用した際に好ましいと感じる」とは、対象となる茶飲料に対してアプローチしたいと思わせるような好意的な印象を抱いている状態になることを意味する。
【0017】
本発明の茶粉体組成物は、茶葉粉砕物あるいは茶葉抽出物を用いて製造することができる。そのため、本発明の茶粉体組成物は、茶葉粉砕物あるいは茶葉抽出物を含有することができる。ここで、本明細書において「茶葉粉砕物」とは、茶葉を粉砕したものを意味し、「茶葉抽出物」とは、茶葉より抽出された成分を意味する。茶葉抽出物は、茶葉抽出液より得ることができる。本発明において、茶葉は、ツバキ科ツバキ属の植物(Camellia sinensis (L) O. Kuntzeなど)から得られる葉を用いることができる。本発明で使用される茶葉は、加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に分類することができる。不発酵茶としては、例えば、荒茶、煎茶、玉露、かぶせ茶、碾茶、番茶、ほうじ茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶が挙げられる。半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が挙げられる。発酵茶としては、例えば、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が挙げられる。本発明において茶葉は、1種のみを単独で使用してもよいし、複数種類の茶葉をブレンドして使用してもよい。また、茶葉としては、芳香成分が抽出可能な部位であれば特に制限されず、葉、茎など適宜使用することができ、その形態も大葉、粉状など制限されない。
【0018】
茶葉粉砕物としては、その粒子形状及び大きさは特に制限されないが、平均粒子径で1~100μm程度、好ましくは1~50μm程度の粒度のものを用いるのが好ましい。本発明では、特に限定されないが、好ましくは緑茶の茶葉粉砕物が用いられ、より好ましくは抹茶が用いられる。茶葉抽出物については、特に限定されないが、緑茶の茶葉抽出物が用いられ、より好ましくは煎茶の茶葉抽出物が用いられる。本発明の茶粉体組成物は、特に限定されないが、好ましくは緑茶の茶葉粉砕物あるいは茶葉抽出物を含有する。また、本発明の茶粉体組成物は、より好ましくは抹茶、あるいは煎茶の茶葉抽出物を含有する。
【0019】
本発明の茶粉体組成物における茶葉粉砕物あるいは茶葉抽出物の含有量は、特に限定されず、適宜調整することができる。茶葉粉砕物あるいは茶葉抽出物の含有量は、例えば5~95重量%、20~80重量%、30~70重量%、又は40~60重量%である。
【0020】
本発明の茶粉体組成物は、各種粒径及び厚みで特定される固体粒子A~Eのいずれか一以上を含有する。本明細書において固体粒子の粒径は、固体粒子を全6面で内接するように覆った直方体の最大面積となる面の短辺の長さ(当該面が正方形の場合は一辺の長さ)に相当する。固体粒子の粒径は、日本工業規格JIS Z8815-1994に記載された各種ふるいを用いて調べることができ、ふるいの目開きの数値(大きさ)から、それよりも大きいか小さいかを確認することができる。例えば、固体粒子がふるいを通過した場合、固体粒子の粒径は、その使用したふるいの目開きの数値(大きさ)よりも小さいと判断することができる。
【0021】
また、本明細書において固体粒子の厚みは、固体粒子を全6面で内接するように覆った直方体の最小面積となる面の短辺の長さ(当該面が正方形の場合は一辺の長さ)に相当する。固体粒子の厚みは、所定の大きさで空間(隙間)を有する装置を用いて調べることができ、その空間(隙間)の大きさから、それよりも大きいか小さいかを確認することができる。例えば、
図1に示した装置を用いて、当該装置において設けられた空間(隙間)を固体粒子が通過した場合、固体粒子の厚みは、その空間(隙間)の大きさよりも小さいと判断することができる。
【0022】
固体粒子Aは、粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが4mm以下である。固体粒子Aは、厚みに応じて以下の通り固体粒子A1~A8に分類することができる。
(a1)粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが2.8mmより大きく4mm以下である固体粒子A1。
(a2)粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが2mmより大きく2.8mm以下である固体粒子A2。
(a3)粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが1.4mmより大きく2mm以下である固体粒子A3。
(a4)粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが1mmより大きく1.4mm以下である固体粒子A4。
(a5)粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが0.7mmより大きく1mm以下である固体粒子A5。
(a6)粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが0.5mmより大きく0.7mm以下である固体粒子A6。
(a7)粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが0.35mmより大きく0.5mm以下である固体粒子A7。
(a8)粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが0.35mm以下である固体粒子A8。
【0023】
本発明の茶粉体組成物は、上記固体粒子A1~A8のいずれか一以上を含むことができ、好ましくは固体粒子A1~A8のいずれか二以上、より好ましくは固体粒子A1~A8のいずれか三以上、さらに好ましくは固体粒子A1~A8のいずれか四以上を含む。本発明においては、固体粒子A1~A8のうち、固体粒子A2~A8のいずれか一以上が含まれることが好ましく、固体粒子A3~A8のいずれか一以上が含まれることがより好ましく、さらに好ましくは固体粒子A3~A7のいずれか一以上(又は二以上、三以上、四以上、五以上、或いはそれら全て)が含まれる。
【0024】
固体粒子Aの粒径(X)に対する厚み(Z)の比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば1未満、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.71以下、さらに好ましくは0.60以下、さらにより好ましくは0.50以下である。また、当該比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば0.01以上、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、さらにより好ましくは0.10以上である。当該比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば0.01以上1未満、好ましくは0.03~0.80、より好ましくは0.05~0.71、さらにより好ましくは0.10~0.50である。
【0025】
固体粒子Bは、粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが2.8mm以下である。固体粒子Bは、厚みに応じて以下の通り固体粒子B1~B7に分類することができる。
(b1)粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが2mmより大きく2.8mm以下である固体粒子B1。
(b2)粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが1.4mmより大きく2mm以下である固体粒子B2。
(b3)粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが1mmより大きく1.4mm以下である固体粒子B3。
(b4)粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが0.7mmより大きく1mm以下である固体粒子B4。
(b5)粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが0.5mmより大きく0.7mm以下である固体粒子B5。
(b6)粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが0.35mmより大きく0.5mm以下である固体粒子B6。
(b7)粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが0.35mm以下である固体粒子B7。
【0026】
本発明の茶粉体組成物は、上記固体粒子B1~B7のいずれか一以上を含むことができ、好ましくは固体粒子B1~B7のいずれか二以上、より好ましくは固体粒子B1~B7のいずれか三以上、さらに好ましくは固体粒子B1~B7のいずれか四以上を含む。本発明においては、固体粒子B1~B7のうち、固体粒子B2~B7のいずれか一以上が含まれることが好ましく、より好ましくは固体粒子B2~B6のいずれか一以上(又は二以上、三以上、四以上、或いはそれら全て)が含まれる。
【0027】
固体粒子Bの粒径(X)に対する厚み(Z)の比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば1未満、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.71以下、さらに好ましくは0.60以下、さらにより好ましくは0.50以下である。また、当該比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば0.01以上、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、さらにより好ましくは0.10以上である。当該比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば0.01以上1未満、好ましくは0.03~0.80、より好ましくは0.05~0.71、さらにより好ましくは0.10~0.50である。
【0028】
固体粒子Cは、粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが2mm以下である。固体粒子Cは、厚みに応じて以下の通り固体粒子C1~C6に分類することができる。
(c1)粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが1.4mmより大きく2mm以下である固体粒子C1。
(c2)粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが1mmより大きく1.4mm以下である固体粒子C2。
(c3)粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが0.7mmより大きく1mm以下である固体粒子C3。
(c4)粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが0.5mmより大きく0.7mm以下である固体粒子C4。
(c5)粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが0.35mmより大きく0.5mm以下である固体粒子C5。
(c6)粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが0.35mm以下である固体粒子C6。
【0029】
本発明の茶粉体組成物は、上記固体粒子C1~C6のいずれか一以上を含むことができ、好ましくは固体粒子C1~C6のいずれか二以上、より好ましくは固体粒子C1~C6のいずれか三以上、さらに好ましくは固体粒子C1~C6のいずれか四以上を含む。本発明においては、固体粒子C1~C6のうち、固体粒子C2~C6のいずれか一以上が含まれることが好ましく、より好ましくは固体粒子C2~C5のいずれか一以上(又は二以上、三以上、或いはそれら全て)が含まれる。
【0030】
固体粒子Cの粒径(X)に対する厚み(Z)の比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば1未満、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.71以下、さらに好ましくは0.60以下、さらにより好ましくは0.50以下である。また、当該比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば0.01以上、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、さらにより好ましくは0.10以上である。当該比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば0.01以上1未満、好ましくは0.03~0.80、より好ましくは0.05~0.71、さらにより好ましくは0.10~0.50である。
【0031】
固体粒子Dは、粒径が1.4mmより大きく2mm以下で、厚みが1.4mm以下である。固体粒子Dは、厚みに応じて以下の通り固体粒子D1~D5に分類することができる。
(d1)粒径が1.4mmより大きく2mm以下で、厚みが1mmより大きく1.4mm以下である固体粒子D1。
(d2)粒径が1.4mmより大きく2mm以下で、厚みが0.7mmより大きく1mm以下である固体粒子D2。
(d3)粒径が1.4mmより大きく2mm以下で、厚みが0.5mmより大きく0.7mm以下である固体粒子D3。
(d4)粒径が1.4mmより大きく2mm以下で、厚みが0.35mmより大きく0.5mm以下である固体粒子D4。
(d5)粒径が1.4mmより大きく2mm以下で、厚みが0.35mm以下である固体粒子D5。
【0032】
本発明の茶粉体組成物は、上記固体粒子D1~D5のいずれか一以上を含むことができ、好ましくは固体粒子D1~D5のいずれか二以上、より好ましくは固体粒子D1~D5のいずれか三以上、さらに好ましくは固体粒子D1~D5のいずれか四以上を含む。本発明においては、固体粒子D1~D5のうち、固体粒子D2~D5のいずれか一以上が含まれることが好ましく、より好ましくは固体粒子D2~D4のいずれか一以上(又は二以上、或いはそれら全て)が含まれる。
【0033】
固体粒子Dの粒径(X)に対する厚み(Z)の比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば1未満、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.71以下、さらに好ましくは0.60以下、さらにより好ましくは0.50以下である。また、当該比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば0.01以上、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、さらにより好ましくは0.10以上である。当該比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば0.01以上1未満、好ましくは0.03~0.80、より好ましくは0.05~0.71、さらにより好ましくは0.10~0.50である。
【0034】
固体粒子Eは、粒径が1mmより大きく1.4mm以下で、厚みが1mm以下である。固体粒子Eは、厚みに応じて以下の通り固体粒子E1~E4に分類することができる。
(e1)粒径が1mmより大きく1.4mm以下で、厚みが0.7mmより大きく1mm以下である固体粒子E1。
(e2)粒径が1mmより大きく1.4mm以下で、厚みが0.5mmより大きく0.7mm以下である固体粒子E2。
(e3)粒径が1mmより大きく1.4mm以下で、厚みが0.35mmより大きく0.5mm以下である固体粒子E3。
(e4)粒径が1mmより大きく1.4mm以下で、厚みが0.35mm以下である固体粒子E4。
【0035】
本発明の茶粉体組成物は、上記固体粒子E1~E4のいずれか一以上を含むことができ、好ましくは固体粒子E1~E4のいずれか二以上、より好ましくは固体粒子E1~E4のいずれか三以上、さらに好ましくは固体粒子E1~E4の全てを含む。本発明においては、固体粒子E1~E4のうち、固体粒子E2~E4のいずれか一以上が含まれることが好ましく、より好ましくは固体粒子E2~E3のいずれか一以上(又はそれら全て)が含まれる。
【0036】
固体粒子Eの粒径(X)に対する厚み(Z)の比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば1未満、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.71以下、さらに好ましくは0.60以下、さらにより好ましくは0.50以下である。また、当該比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば0.01以上、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、さらにより好ましくは0.10以上である。当該比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば0.01以上1未満、好ましくは0.03~0.80、より好ましくは0.05~0.71、さらにより好ましくは0.10~0.50である。
【0037】
本発明の茶粉体組成物は、粒径が0.71mmより大きく1mm以下で、厚みが0.71mm以下である固体粒子Fをさらに含むことができる。固体粒子Fは、厚みに応じて以下の通り固体粒子F1~F3に分類することができる。
(f1)粒径が0.71mmより大きく1mm以下で、厚みが0.5mmより大きく0.7mm以下である固体粒子F1。
(f2)粒径が0.71mmより大きく1mm以下で、厚みが0.35mmより大きく0.5mm以下である固体粒子F2。
(f3)粒径が0.71mmより大きく1mm以下で、厚みが0.35mm以下である固体粒子F3。
【0038】
本発明の茶粉体組成物は、上記固体粒子F1~F3のいずれか一以上を含むことができ、好ましくは固体粒子F1~F3のいずれか二以上、より好ましくは固体粒子F1~F3の全てを含む。
【0039】
固体粒子Fの粒径(X)に対する厚み(Z)の比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば1未満、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.71以下、さらに好ましくは0.60以下、さらにより好ましくは0.50以下である。また、当該比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば0.01以上、好ましくは0.03以上、より好ましくは0.05以上、さらにより好ましくは0.10以上である。当該比(Z/X)は、特に限定されないが、例えば0.01以上1未満、好ましくは0.03~0.80、より好ましくは0.05~0.71、さらにより好ましくは0.10~0.50である。
【0040】
本発明において、固体粒子A(A1~A8)、固体粒子B(B1~B7)、固体粒子C(C1~C6)、固体粒子D(D1~D5)、固体粒子E(E1~E4)及び固体粒子F(F1~F3)は、粉砕茶葉の形状を有することが好ましい。本明細書において「粉砕茶葉の形状」とは薄くて平たい形状を意味し、略薄片形状又は略扁平形状と言い換えることもできる。このような形状を有することによって、本発明の茶粉体組成物は粉砕茶葉の集合体のような視覚的効果を得ることができる。
【0041】
本発明の茶粉体組成物において、固体粒子A~Eの合計含有量は10重量%以上である。当該含有量が前記範囲内であることにより、本発明の茶粉体組成物は、飲用した際に好ましいと感じることができる傾向にある。なお、本明細書において固体粒子A~Eの合計含有量とは、茶粉体組成物に含まれている固体粒子A~Eの合計含有量を意味し、例えば固体粒子A、B及びCのみが茶粉体組成物に含まれている場合、その合計含有量は、茶粉体組成物に含まれる固体粒子A、B及びCの合計含有量である。本発明の茶粉体組成物において、固体粒子A~Eの合計含有量は、好ましくは20重量%以上であり、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、さらにより好ましくは70重量%以上である。また、当該含有量は、例えば100重量%以下、95重量%以下、又は90重量%以下である。本発明の茶粉体組成物において、固体粒子A~Eの合計含有量は、例えば10~100重量%であり、好ましくは10~95重量%、10~90重量%、20~100重量%、20~95重量%、20~90重量%、50~100重量%、50~95重量%、又は50~90重量%である。
【0042】
本発明の茶粉体組成物が固体粒子Fを含む場合、本発明の茶粉体組成物における固体粒子Fの含有量は、特に限定されないが、例えば90重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは50重量%以下、さらにより好ましくは30重量%以下、20重量%以下、10重量%以下、又は5重量%以下である。
【0043】
本発明の茶粉体組成物は、上記の固体粒子A~Fとは別に、粒径が5.6mmを超える固体粒子を含んでいてもよい。本発明の茶粉体組成物における粒径が5.6mmを超える固体粒子の含有量は、15重量%以下である。当該含有量が前記範囲内であることにより、本発明の茶粉体組成物は、飲用した際に好ましいと感じることができる傾向にある。本発明の茶粉体組成物における粒径が5.6mmを超える固体粒子の含有量は、好ましくは12重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは8重量%以下であり、さらにより好ましくは5重量%以下である。また、当該含有量は、例えば0重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上、又は1.0重量%以上である。本発明の茶粉体組成物における粒径が5.6mmを超える固体粒子の含有量は、例えば0~15重量%であり、好ましくは0~10重量%、0~5重量%、0.1~15重量%、0.1~10重量%、又は0.1~5重量%である。
【0044】
本発明の茶粉体組成物は、多糖類を含有することができる。本明細書において「多糖類」とは、二以上の単糖分子がグリコシド結合によって重合した物質を意味する。なお、本発明における多糖類では、単糖以外の分子が重合体の中に含まれていてもよい。本発明において多糖類は、茶粉体組成物を形成するための賦形剤として使用することができる。多糖類としては、例えばデキストリンが挙げられる。デキストリンは、デンプン又はグリコーゲンの加水分解により得られる炭水化物の総称である。本発明の茶粉体組成物に使用されるデキストリンの種類は、特に限定されないが、1種類以上、2種類以上、3種類以上、又は4種類以上とすることができる。
【0045】
本発明の茶粉体組成物におけるデキストリンの含有量は、特に限定されないが、デキストリンの合計含有量として、例えば0~95重量%、好ましくは10~90重量%、より好ましくは20~80重量%、さらにより好ましくは30~70重量%である。本発明においてデキストリンは、市販の製造品を使用することができる。茶粉体組成物におけるデキストリンの含有量は、当業者に公知の方法を用いて糖分析を行うことにより測定することができる。
【0046】
本発明において使用されるデキストリンとしては、特に制限されないが、鎖状デキストリン、環状デキストリン、及びらせん状デキストリンなどが挙げられる。ここで、本明細書において「鎖状デキストリン」とは、グルコースが直鎖状に、又は分岐鎖を有しながら鎖状に結合し、環構造及びらせん構造を形成していないデキストリンを意味する。また、本明細書において「環状デキストリン」とは、グルコースが結合して環構造を形成し、らせん構造を形成していないデキストリンを意味する。また、本明細書において「らせん状デキストリン」とは、グルコースが結合してらせん構造を形成しているデキストリンを意味する。
【0047】
鎖状デキストリンとしては、特に限定されないが、例えばDE(dextrose equivalent)1~25の鎖状デキストリンや、重量平均分子量500~160000の鎖状デキストリンなどを用いることができる。また、本発明では、鎖状デキストリンは1種のみならず2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0048】
環状デキストリンとしては、例えばシクロデキストリンを使用することができる。本発明では、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、及びγ-シクロデキストリンのいずれも使用可能である。また、本発明では、環状デキストリンは1種のみならず2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明において用いられる環状デキストリンの重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば700~1300である。
【0049】
本発明の茶粉体組成物は、らせん状デキストリンを含有してもよい。本発明において用いられるらせん状デキストリンのDEは、特に限定されないが、例えば7未満、好ましくは6未満、より好ましくは5未満である。
【0050】
本発明の茶粉体組成物は、上記に示した各種成分に加えて、通常の飲食品に用いられる添加物、例えば、酸化防止剤、保存料、pH調整剤、甘味剤、栄養強化剤、増粘安定剤、乳化剤、食物繊維、品質安定剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
【0051】
本発明の茶粉体組成物は、飲食品(飲料及び食品)に含有させることができる。すなわち、本発明においては、上述した茶粉体組成物を含有する飲食品を提供することができる。本発明の茶粉体組成物は、これを水性媒体に含有させて飲料とすることが好ましく、水又は湯などで溶解して茶飲料として飲用することが最も好ましい。この点から、本発明の茶粉体組成物は、即席粉末茶(インスタント粉末茶)としても提供することができる。ここで、本明細書において「即席粉末茶」とは、茶葉の粉砕物や抽出液を原料として含む溶液を乾燥させて、粉末状に加工した粉末飲料を意味する。茶飲料は、不発酵茶(緑茶など)、半発酵茶(ウーロン茶など)、発酵茶(紅茶など)を含むが、具体的には、煎茶、番茶、ほうじ茶、玉露、かぶせ茶、甜茶等の蒸し製の不発酵茶(緑茶);嬉野茶、青柳茶、各種中国茶等の釜炒茶等の不発酵茶;包種茶、鉄観音茶、ウーロン茶等の半発酵茶;紅茶、阿波番茶、プアール茶などの発酵茶等の茶類を挙げることができる。本発明の茶粉体組成物が利用される茶飲料は、好ましくは緑茶である。すなわち、本発明の茶粉体組成物は、即席粉末緑茶(インスタント粉末緑茶)としても提供することができる。
【0052】
本発明の茶粉体組成物を水又は湯などの水性溶媒に含有させる場合、溶液中のその含有量は、特に限定されないが、例えば0.05~30重量%(w/v)、好ましくは0.1~25重量%(w/v)、より好ましくは0.2~20重量%(w/v)、さらにより好ましくは0.25~15重量%(w/v)である。
【0053】
本発明の茶粉体組成物はまた、食品にも添加することができる。そのような食品としては、例えば、和菓子及び洋菓子を問わず、菓子類としてケーキ、カステラ、キャンディー、クッキー、ゼリー、プリン、チョコレートなど、冷菓類としてアイスクリーム、アイスキャンディー、シャーベットなど、またはスナック類などが挙げられ、パンや乳製品などにも使用することができる。
【0054】
本発明の茶粉体組成物を食品に添加する場合、その添加量は食品の種類等に応じて適宜設定することができる。本発明の茶粉体組成物は、例えば、食品中のその含有量が0.01~90重量%、好ましくは0.05~50重量%、より好ましくは0.1~20重量%、さらにより好ましくは0.2~10重量%となるように食品に添加することができる。
【0055】
本発明の茶粉体組成物は、容器詰めされていることが好ましい。本発明の茶粉体組成物が収容される容器はいかなる形状であってもよく、例えば、茶筒形状の容器やスティック形状の容器などが挙げられる。また、詰め替え用の容器を用いることもできる。本発明の茶粉体組成物が収容される容器は透明容器であることが好ましい。透明容器を用いることによって容易に容器の内部を視認することが可能となり、本発明の茶粉体組成物の視覚的効果を十分に発揮することができるようになる。ここで、本明細書において「透明容器」とは、容器に収容された内容物を外部から視認できる容器を意味する。透明容器の概念には、容器の一部分においてその外部から内容物を視認できることも包含される。透明容器としては、例えば可視光700nmにおける透過率が40%以上、好ましくは50%以上となる透明領域を有する容器を挙げることができる。具体的には、透明ガラス瓶、透明プラスチックボトル、透明プラスチックカップ、透明パウチ容器、透明スティック容器等が例示できる。容器の色は限定されないが、無色のものが好ましい。
【0056】
本発明の茶粉体組成物は、一例として、(A)茶葉粉砕物又は茶葉抽出物を含有する溶液を準備する工程、(B)茶葉粉砕物又は茶葉抽出物を含有する溶液を乾燥する工程、及び(C)得られた乾燥物を破砕する工程を経て製造することができる。
【0057】
(A)茶葉粉砕物又は茶葉抽出物を含有する溶液を準備する工程は、上述した茶葉を原料として用い、その粉砕物(茶葉粉砕物)あるいは抽出液(茶葉抽出液)を得ることにより行うことができる。茶葉の粉砕は、当業者に公知の方法を用いて行うことができる。例えば、パワーミル、ジェットミル、石臼などの粉砕装置を用いて、粉砕処理を行うことができる。茶葉の抽出は、当業者に公知の方法を用いて行うことができる。例えば、ニーダー抽出器等の抽出装置を用いて、茶葉に対して5~50倍重量の水や湯を加えて抽出処理を行うことができる。抽出条件は、使用する茶葉の種類や製造する目的の茶飲料に応じて適宜設定することができる。抽出温度は、例えば10~100℃、好ましくは40~80℃とすることができ、抽出時間は、例えば1~100分、好ましくは10~60分とすることができるが、特にこれらに限定されない。抽出後の茶葉は、フィルター等を用いて固液分離により除去してもよい。
【0058】
茶葉粉砕物又は茶葉抽出物を含有する溶液には、上述した多糖類等の成分が含まれていてもよい。例えば、多糖類としてデキストリンを用いた場合であれば、乾燥後の製剤の安定性や茶由来の香味の保持力を高めることができる。デキストリンを用いる場合、当該溶液中のその含有量は、特に限定されないが、例えば2~30重量%、好ましくは5~20重量%とすることができる。
【0059】
また、茶葉抽出物を含有する溶液は、茶葉抽出液の濃縮物であってもよい。茶葉抽出液の濃縮は、当業者に公知の方法を用いて行うことができ、例えば、膜濃縮機、減圧濃縮機、凍結濃縮機、又は蒸発濃縮機等の装置を使用することで行うことができる。
【0060】
(B)茶葉粉砕物又は茶葉抽出物を含有する溶液を乾燥する工程において、溶液の乾燥は、当業者に公知の方法を用いて行うことができる。例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥、熱風乾燥、真空乾燥などの方法が挙げられるが、本発明では凍結乾燥を用いることが好ましい。凍結乾燥は、例えば3段階の工程により行うことができる。第一段階は、例えば凍結工程であり、特に限定されないが、例えば-80~-30℃(好ましくは-60~-20℃)の温度、及び3~10時間(好ましくは4~8時間)の時間で凍結工程を行うことができる。第二段階は、例えば一次乾燥工程であり、特に限定されないが、例えば圧力を10~100Pa(好ましくは20~60Pa)に調整して、-10~20℃(好ましくは-5~10℃)の温度、及び6~15時間(好ましくは8~12時間)の時間で一次乾燥工程を行うことができる。第三段階は、例えば二次乾燥工程であり、特に限定されないが、例えば圧力を10~100Pa(好ましくは20~60Pa)に調整して、20~60℃(好ましくは30~50℃)の温度、及び5~15時間(好ましくは6~12時間)の時間で二次乾燥工程を行うことができる。本発明では、その後の乾燥物の粉砕処理の観点から、棚式凍結乾燥機を使用することが好ましい。本発明の茶粉体組成物は、製造時の凍結乾燥工程を通じて、多孔質構造を有する組成物とすることができる。
【0061】
(C)得られた乾燥物を破砕する工程では、上述した固体粒子を得るために、工程(B)により形成された溶液の乾燥物が破砕される。乾燥物の破砕は、パワーミル、ボールミル、ジェットミル、又はロールグラニュレーター等の市販の破砕機を用いて行うことができる。また、乾燥物の破砕条件は、用いる破砕機に応じて適宜設定することができる。
【0062】
工程(C)により得られた破砕物は、上述したふるいや
図1に示す装置等を用いることによって各固体粒子の形状を選別することができる。また、上述したふるいや
図1に示す装置のみならず、目視によっても固体粒子の選別を行うことができる。選別により最終的に得られた固体粒子は必要に応じて容器に収容することができ、それによって容器詰めされた茶粉体組成物を製造することができる。
【実施例0063】
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
【0064】
抹茶、デキストリン(三和澱粉工業株式会社、サンデック#30)、及びL-アスコルビン酸を水に添加して、固形分濃度20重量%の調合液を作製した(抹茶:9.5重量%、デキストリン:9.5重量%、L-アスコルビン酸:1.0重量%)。
【0065】
作製した調合液をトレイに流し入れ、そのトレイを棚式凍結乾燥機(日精株式会社、RL-BC07)内に設置して凍結乾燥処理を行った。凍結乾燥の条件としては、-40℃で約6時間凍結させ、次いで圧力を40Paに減圧し、0℃で10時間静置し、その後、圧力を40Paで維持したまま40℃で8時間静置した。
【0066】
凍結乾燥後、トレイから試料を取り出し、パワーミル(ダルトン、P-3)を用いて試料の粉砕を行った。なお、パワーミルにおいては、回転速度を2000rpmに設定し、スクリーンはヘリンボーン#8を使用した。
【0067】
粉砕した試料について、日本工業規格JIS Z8815-1994ふるい分け試験方法通則に記載のふるいを用いて、ふるい分け試験を実施した。使用したふるいの目開きサイズは、11.2mm、8.0mm、5.6mm、4.0mm、2.8mm、2.0mm、1.4mm、及び1.0mmとした。ふるい分け装置(Retsch、AS200)に、上記のふるいを目開きサイズの大きい順に上から全て設置し、さらに受皿を底に設置した。粉砕した試料を目開き11.2mmのふるいの上から流し入れた後、振とう幅(amplitude)を2mm/gとして2分間ふるい分け試験を実施した。
【0068】
また、
図1に示した装置を用い、そこに上記ふるい分け試験で各ふるいの上に残っていた試料の粉砕物を流し入れ、厚み分け試験を実施した。当該試験での厚みのサイズは、ふるい分け試験で用いた目開きサイズの半分である5.6mm、4.0mm、2.8mm、2.0mm、1.4mm、1.0mm、0.7mm、0.5mm、及び0.35mmとした。
【0069】
上記のふるい分け試験及び厚み分け試験を通じて、粉砕物を各種大きさごとに類別した。類別された粉砕物のうち粒径が5.6mm以下で、且つ厚みが4mm以下のものについて以下の通り表に示す。
【0070】
【0071】
上記の通り、粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが4mm以下の粉砕物をグループAとし、厚みに応じて、さらにグループA1~A8に分類した。また、粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが2.8mm以下の粉砕物をグループBとし、厚みに応じて、さらにグループB1~B7に分類した。粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが2mm以下の粉砕物はグループCとし、厚みに応じて、さらにグループC1~C6に分類した。粒径が1.4mmより大きく2mm以下で、厚みが1.4mm以下の粉砕物はグループDとし、厚みに応じて、さらにグループD1~D5に分類した。粒径が1mmより大きく1.4mm以下で、厚みが1mm以下の粉砕物はグループEとし、厚みに応じて、さらにグループE1~E4に分類した。
【0072】
また、上記の表について、粒径範囲の中間値及び厚み範囲の中間値を用いて粒径(X)に対する厚み(Z)の比(Z/X)を計算したところ、以下の通りとなった。
【0073】
【0074】
グループA~Eの粉砕物を薄片粒子とし、グループAよりも粒径が大きい粉砕物(すなわち、粒径が5.6mmを超える粉砕物)を大粒粒子とした。そして、薄片粒子及び大粒粒子のいずれにも該当しない粉砕物を追加で用いて、下表に示された含有量で各粉砕物を混合してサンプルP~Tを作製し、それぞれ開栓可能なガラス製の透明容器に収容した。
【0075】
薄片粒子を含むサンプルQ~Tにおいては、グループA~Eの粉砕物がそれぞれ等量ずつ含まれるよう調整した。また、薄片粒子及び大粒粒子のいずれにも該当しない粉砕物に関しては、粒径が4mmより大きく5.6mm以下で、厚みが4mmを超える粉砕物、粒径が2.8mmより大きく4mm以下で、厚みが2.8mmを超える粉砕物、粒径が2mmより大きく2.8mm以下で、厚みが2mmを超える粉砕物、粒径が1.4mmより大きく2mm以下で、厚みが1.4mmを超える粉砕物、及び粒径が1mmより大きく1.4mm以下で、厚みが1mmを超える粉砕物がそれぞれ等量ずつ含まれるよう調整した。サンプルQ~Tを準備する中で、上記のグループA3~A5、B2~B4、C2~C6、D2~D5、及びE2~E4の粉砕物はいずれもサンプルQ~Tに含まれていることを目視で確認した。
【0076】
【0077】
上記のサンプルP~Tについて、試飲時の好ましさを調べた。被験者は9名ずつ2つのグループに分けて、上記の表に示した通り、1つのグループ(被験グループ1)にはサンプルP、R及びSを試飲させ、もう1つのグループ(被験グループ2)にはサンプルQ、R及びTを試飲させた。
【0078】
サンプルP~Tの好ましさを調べる試験は、株式会社インテージにて脳波を測定することにより行った。まず、各被験者は試験説明を受け、その際に、粉体状態の3種類のサンプルを目視で確認した。それから各被験者は、脳波のベースラインを取るために水を飲んで安静にした。その後、各被験者は対象となる粉体状態のサンプルを目視で確認し、次いで、当該サンプル0.7gを100mLの水に溶解した茶飲料を飲用した。茶飲料の飲用後、各被験者は再度安静にし、その間に脳波を測定した。試験説明後の操作は、各サンプル分(計3回)繰り返して実施した。また、脳波はアルファ波を測定し、アルファ波非対称性を分析した。
【0079】
脳波の結果は
図2に示された通りであり、被験グループ1において、アルファ波非対称性の分析からサンプルR及びサンプルSはサンプルPよりも好意的に感じられるという結果が得られた。また、被験グループ2においては、サンプルR及びサンプルTはサンプルQよりも好意的に感じられるという結果が得られた。
【0080】
上記の試験に加え、2名の専門パネラーにより、サンプルP~Tを直接摂取した場合の官能評価を行った。官能評価は以下の3点について行い、それぞれ下記の基準に従って評価点を付けた。そして、3つの評価項目の全てが2点以上のものを合格点とした。
【0081】
<口内での溶けやすさ>
3:なめらかに溶ける
2:ややなめらかに溶ける
1:溶けにくい
【0082】
<咀嚼したときのざらつき>
3:ざらつきがない
2:あまりざらつきがない
1:ざらつきがある
【0083】
<飲み込みやすさ>
3:飲み込んだときにむせない
2:飲み込んだときにあまりむせない
1:飲み込んだときにむせる
【0084】
サンプルP~Tに加えて抹茶粉末を評価対象に用い、それぞれ0.1gを秤量して摂取した。最終的な評価結果は、専門パネラーによる評価点の平均値とした。
【0085】
【0086】
結果は上記の通りであり、サンプルR、S及びTはいずれも、口内での溶けやすさ、咀嚼したときのざらつき、及び飲み込みやすさについて優れた評価結果を示した。