(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021121
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】浴室調光システム
(51)【国際特許分類】
E06B 9/24 20060101AFI20240208BHJP
A47K 4/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
E06B9/24 C
A47K4/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123725
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中村 玄
(72)【発明者】
【氏名】白石 隆司
【テーマコード(参考)】
2D132
【Fターム(参考)】
2D132GA11
(57)【要約】
【課題】浴室ドアに配置された調光シートの耐久性を高める浴室調光システムを提供する。
【解決手段】開扉時に浴室内へ開く浴室ドアがドア透明板52を備え、ドア透明板52の室外面に配置されると共に電圧信号VAの供給によって透明から不透明に可逆的に切り替わる調光シート10と、操作部40の入力に基づいて電圧信号VAの供給と供給停止とを切り替える電源回路20と、を備える浴室調光システムであって、電源回路20と調光シート10との間に直列接続され、浴室ドアが閉じられているときに電圧信号VAの供給回路を閉鎖し、浴室ドアの開扉によって供給回路を開放するインターロックスイッチ30を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開扉時に浴室内へ開く浴室ドアが透明板を備え、当該透明板の室外面に配置されると共に電圧信号の供給によって透明から不透明に可逆的に切り替わる調光シートと、
操作部の入力に基づいて前記電圧信号の供給と供給停止とを切り替える電源回路と、
を備える浴室調光システムであって、
前記電源回路と前記調光シートとの間に直列接続され、前記浴室ドアが閉じられているときに前記電圧信号の供給回路を閉鎖し、かつ前記浴室ドアの開扉によって前記供給回路を開放するインターロックスイッチを備える
ことを特徴とする浴室調光システム。
【請求項2】
前記電源回路は、前記供給回路の前記閉鎖と前記開放とを監視し、前記インターロックスイッチによる前記開放を検出したとき、前記電圧信号の生成を停止する
請求項1に記載の浴室調光システム。
【請求項3】
前記透明板は、ドア透明板であり、
前記調光シートは、第1調光シートであり、
前記電圧信号は、第1電圧信号であり、
前記供給回路は、第1供給回路であり、
浴室壁が壁透明板をさらに備え、
前記浴室調光システムは、前記壁透明板の室外面に配置されると共に第2電圧信号の供給によって透明から不透明に可逆的に切り替わる第2調光シートをさらに備え、
前記電源回路は、前記インターロックスイッチを介さずに前記電源回路に前記第2調光シートを接続する第2供給回路を通じ、前記操作部の入力に基づいて前記第2電圧信号の供給と供給停止とを切り替える
請求項1に記載の浴室調光システム。
【請求項4】
前記浴室ドアの備える前記透明板は、1つであり、
前記調光シートは、前記透明板の前記室外面に貼り着けられて前記浴室ドアの室外表面を構成する
請求項1から3のいずれか一項に記載の浴室調光システム。
【請求項5】
前記透明板は、室内基材であり、
前記浴室ドアは、前記室内基材に対し室外側に配置される室外基材をさらに備え、
前記調光シートは、前記室内基材と前記室外基材との間に封止されている
請求項1から3のいずれか一項に記載の浴室調光システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、透明から不透明に可逆的に切り替わる調光シートを備えた浴室調光システムに関する。
【背景技術】
【0002】
調光シートは、調光層と、調光層を挟む一対の透明電極シートとを備える。調光層は、複数の空隙を区画する透明樹脂層と、空隙を充填する液晶組成物とを備える。2つの透明電極層の間に供給される電圧信号は、液晶組成物と透明樹脂層との間の屈折率差を変える。液晶組成物と透明樹脂層との間の屈折率差の変更は、透明から不透明に調光シートの状態を可逆的に変更する。リバース型の調光シートは、調光層と透明電極層との間に配向層を備える。配向層から配向規制力を受ける液晶化合物は、電圧信号の供給停止時に調光シートを透明にする。配向規制力に抗した力を液晶化合物に与える電圧信号の供給は、調光シートを不透明にする(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
透明から不透明に可逆的に切り替わる調光シートは、当該調光シートに区切られた空間の視覚的な拡張と、当該調光シートに区切られた空間内のプライバシー保護とを両立する。使用時間の長い居住空間に使用時間の短い閉鎖空間を長時間にわたり視覚的に開放することは、快適な空間デザインの提供観点から強く要請されている。例えば、調光シートが浴室ドアに適用されるとなれば、従来からの浴室空間内のプライバシー保護を可能にしながらも、透明な調光シートが居住空間に閉鎖空間である浴室空間を開放することを可能にする。一方、電圧信号を供給されている調光シートが温水や水蒸気に曝されると、調光シートの端部などから調光層に水分が侵入しやすくなる。液晶組成物と水との接触は、液晶化合物の電気的な特性を劣化させて調光シートの可逆的な切り替わりを不能にしてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための浴室調光システムは、開扉時に浴室内へ開く浴室ドアが透明板を備え、当該透明板の室外面に配置されると共に電圧信号の供給によって透明から不透明に可逆的に切り替わる調光シートと、操作部の入力に基づいて前記電圧信号の供給と供給停止とを切り替える電源回路と、を備える浴室調光システムであって、前記電源回路と前記調光シートとの間に直列接続され、前記浴室ドアが閉じられているときに前記電圧信号の供給回路を閉鎖し、かつ前記浴室ドアの開扉によって前記供給回路を開放するインターロックスイッチを備える。
【0006】
上記構成によれば、浴室ドアが閉じられているときにインターロックスイッチが供給回路を閉鎖すると共に、浴室ドアが開扉されることによって、インターロックスイッチが供給回路を開放する。浴室ドアは、浴室の使用中に浴室空間内のプライバシー保護を要求される。浴室ドアが閉じられている浴室の使用中は、インターロックスイッチによる供給回路の閉鎖によって調光シートの不透明によるプライバシー保護を実現できる。浴室ドアが開扉される浴室の使用前や使用後は、インターロックスイッチによる供給回路の開放によって、温水や水蒸気に曝されている調光シートに電圧信号が供給されがたい。結果として、浴室の使用と不使用とに適した透明度合いが浴室ドアに付与されると共に、浴室ドアに配置された調光シートの耐久性が高まる。
【0007】
上記浴室調光システムにおいて、前記電源回路は、前記供給回路の閉鎖と開放とを監視し、前記インターロックスイッチによる前記開放を検出したとき、前記電圧信号の生成を停止してもよい。
【0008】
上記構成によれば、インターロックスイッチによる供給回路の開放によって電圧信号の生成が停止される。このため、浴室ドアに配置された調光シートの耐久性が高まると共に、電圧信号の生成に要する電力消費が抑制される。
【0009】
上記浴室調光システムにおいて、前記透明板は、ドア透明板であり、前記調光シートは、第1調光シートであり、前記電圧信号は、第1電圧信号であり、前記供給回路は、第1供給回路であり、前記浴室壁が壁透明板をさらに備え、前記浴室調光システムは、前記壁透明板の室外面に配置されると共に第2電圧信号の供給によって透明から不透明に可逆的に切り替わる第2調光シートをさらに備え、前記電源回路は、前記インターロックスイッチを介さずに前記電源回路に前記第2調光シートを接続する第2供給回路を通じ、前記操作部の入力に基づいて前記第2電圧信号の供給と供給停止とを切り替えてもよい。
【0010】
上記構成によれば、インターロックスイッチによる第1供給回路の開放に関わらず、操作部の入力に基づいて第2調光シートが透明から不透明に切り替わる。これによって、浴室壁が透明であり浴室ドアが透明である状態、浴室壁が不透明であり浴室ドアが透明である状態、浴室壁が透明であり浴室ドアが不透明である状態、および浴室壁が不透明であり浴室ドアが不透明である状態が、それぞれ独立に実現できる。このため、浴室調光の利便性が高まる。
【0011】
上記浴室調光システムにおいて、前記浴室ドアの備える前記透明板は1つであり、前記調光シートは前記透明板の前記室外面に貼り着けられて前記浴室ドアの室外表面を構成してもよい。
【0012】
上記浴室調光システムにおいて、前記透明板は室内基材であり、前記浴室ドアは、前記室内基材に対し室外側に配置される室外基材をさらに備え、前記調光シートは、前記室内基材と前記室外基材との間に封止されてもよい。
【0013】
上記各構成によれば、調光シートが温水や水蒸気に曝されることが調光シートの配置によっても抑制されるため、浴室ドアに配置された調光シートの耐久性がさらに高まる。
【発明の効果】
【0014】
上記浴室調光システムは、浴室ドアに配置された調光シートの耐久性を高める。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図2は、調光シートの構成を示す断面図である。
【
図3】
図3は、浴室調光システムの作用を示す作用図である。
【
図4】
図4は、浴室調光システムの作用を示す作用図である。
【
図5】
図5は、浴室調光システムの作用を示す作用図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[浴室調光システム]
図1が示すように、浴室50は、浴室周壁によって浴室空間50Sを区切る。浴室周壁は、透明壁と浴室ドアとを備える。透明壁は、浴室壁の一例であり壁透明板51を備える。浴室ドアは、ドア透明板52と、被検出部52Tとを備える。各透明板51,52の構成材料は、それぞれ独立に透明樹脂でもよいし、透明無機ガラスでもよい。透明樹脂の一例は、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリオレフィン、ポリカーボネートからなる群から選択されるいずれか一種である。透明無機ガラスの一例は、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素からなる群から選択されるいずれか一種である。
【0017】
被検出部52Tは、浴室ドアが閉じているときにインターロックスイッチ30に近接する。被検出部52Tは、浴室ドアが閉じていることをインターロックスイッチ30に検出させる。被検出部52Tは、浴室ドアの開扉をインターロックスイッチ30に検出させる。被検出部52Tは、インターロックスイッチ30と磁気的に作用してもよいし、機械的に作用してもよい。
【0018】
調光シート10は、壁透明板51とドア透明板52とにそれぞれ配置されている。調光シート10は、浴室調光システムを構成する。各調光シート10は、それぞれ独立に2つの透明基材に挟まれる。
図2は、調光シート10が2つの透明基材に挟まれる例を示す。
【0019】
[調光シート10]
図2が示すように、調光シート10を挟む2つの透明基材は、室内基材53Aと室外基材53Bとである。室内基材53Aは、浴室空間50Sに面する。室内基材53Aは、各透明板51,52とは異なる他の透明板でもよいし、各透明板51,52でもよい。室内基材53Aと室外基材53Bとは、それぞれ独立に上述した透明樹脂でもよいし、透明無機ガラスでもよい。調光シート10は、耐水性を有した中間膜を介して各基材53A,53Bに接合される。調光シート10は、室内基材53Aと室外基材53Bとの間に封止される。
【0020】
なお、調光シート10は、各透明板51,52の室外面にそれぞれ貼着されてもよい。各透明板51,52に調光シート10を貼着するための透明粘着層は、OCAフィルム(Optical Clear Adhesiveフィルム)である。壁透明板51の室外面に貼着された調光シート10は、浴室壁の室外表面を構成する。ドア透明板52の室外面に貼り着けられた調光シート10は、閉じられている浴室ドアにおいて室外表面を構成する。
【0021】
調光シート10の駆動型式は、リバース型である。リバース型に適用される調光シート10は、電圧信号VA,VBの供給によって透明から不透明に遷移し、かつ電圧信号VA,VBの供給停止によって不透明から透明に戻る。すなわち、リバース型に適用される調光シート10は、電圧信号VA,VBの供給によって透明から不透明に可逆的に切り替わる。
【0022】
調光シート10は、第1透明電極シート11、第2透明電極シート12、および調光層13を備える。第1透明電極シート11は、第1透明基材フィルム11A、第1透明電極層11B、および第1配向層11Cを備える。第2透明電極シート12は、第2透明基材フィルム12A、第2透明電極層12B、および第2配向層12Cを備える。第1透明電極層11Bは、第1透明基材フィルム11Aに支持されている。第1配向層11Cは、第1透明電極層11Bに支持されている。第2透明電極層12Bは、第2透明基材フィルム12Aに支持されている。第2配向層12Cは、第2透明電極層12Bに支持されている。
【0023】
各透明基材フィルム11A,12Aの構成材料は、それぞれ独立に上述した透明樹脂でもよいし、透明無機ガラスでもよい。各透明電極層11B,12Bの構成材料は、それぞれ導電性無機酸化物、金属、および導電性有機高分子化合物からなる群から選択されるいずれか一種である。導電性無機酸化物の一例は、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛からなる群から選択されるいずれか一種である。金属は、金や銀のナノワイヤーである。導電性有機高分子化合物の一例は、カーボンナノチューブ、ポリ(3,4‐エチレンジオキシチオフェン)からなる群から選択されるいずれか一種である。
【0024】
各配向層11C,12Cは、調光層13の液晶化合物に配向規制力を加える。各配向層11C,12Cが液晶化合物に加える配向規制力は、調光層13を透明にする。第1透明電極層11Bは、第1透明基材フィルム11Aと第1配向層11Cとの間に配置されている。第2透明電極層12Bは、第2透明基材フィルム12Aと第2配向層12Cとの間に配置されている。
【0025】
調光層13は、透明樹脂層13Pと液晶組成物13Lとを備える。調光層13は、調光層13の全体に分散されたスペーサを備える。調光層13は、第1透明電極層11Bと第2透明電極層12Bとの間に位置する。調光層13は、各配向層11C,12Cを介して第1透明電極層11Bと第2透明電極層12Bとに接合されている。
【0026】
透明樹脂層13Pは、調光層13に複数の空隙を区画する。液晶組成物13Lは、液晶化合物と添加物とを含有する。添加剤は、粘度低下剤、消泡剤、酸化防止剤、耐候剤、および二色性色素からなる群から選択されるいずれか一種である。透明樹脂層13Pは、電離線硬化性化合物の硬化体である。電離線硬化性化合物の一例は、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、スチレン化合物、チオール化合物、および、各化合物のオリゴマーからなる群から選択される少なくとも一種である。液晶組成物13Lは、透明樹脂層13Pに区画される空隙を充填する。液晶化合物の一例は、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ジオキサン系からなる群から選択される少なくとも一種である。
【0027】
透明樹脂層13Pと液晶組成物13Lとの総量に対する透明樹脂層13Pの含有率は、透明と不透明とを両立させやすい観点から、30質量%以上70質量%以下であることが好ましい。調光層13の厚みは、低消費電力下で透明と不透明とを両立させやすい観点から、5μm以上50μm以下であることが好ましい。なお、調光層13における液晶組成物13Lの保持型式は、高分子分散型の他に、高分子ネットワーク型でもよいし、カプセル型でもよい。高分子ネットワーク型は、三次元網目状を有した高分子ネットワークを備え、高分子ネットワークの空隙に液晶組成物13Lを保持する。カプセル型は、高分子ネットワークのなかのカプセルに液晶組成物13Lを保持する。
【0028】
[電源回路20]
図1に戻り、浴室ドアに配置される調光シート10は、第1調光シート10Aである。浴室壁に配置される調光シート10は、第2調光シート10Bである。第1調光シート10Aと第2調光シート10Bとは、それぞれ独立に電源回路20に接続されている。電源回路20に第1調光シート10Aを接続する回路は、第1供給回路である。電源回路20に第2調光シート10Bを接続する回路は、第2供給回路である。
【0029】
電源回路20は、操作部40に接続されている。操作部40は、外部操作を受けて電源回路20に操作信号を入力する。外部操作は、各調光シート10A,10Bをそれぞれ不透明から透明に切り替える透明操作、および各調光シート10A,10Bをそれぞれ透明から不透明に切り替える不透明操作を含む。操作信号は、第1調光シート10Aを不透明にする第1駆動信号、および第1調光シート10Aを透明にする第1停止信号を含む。操作信号は、第2調光シート10Bを不透明にする第2駆動信号、および第2調光シート10Bを透明にする第2停止信号を含む。
【0030】
電源回路20は、調光システムを構成する。電源回路20は、第1供給回路を通じ、第1調光シート10Aに第1電圧信号VAを供給する。電源回路20は、第2供給回路を通じ、第2調光シート10Bに第2電圧信号VBを供給する。各電圧信号VA,VBは、矩形波交流電圧である。矩形波交流電圧の瞬時値における最大値は、例えば20V以上50V以下である。各電圧信号VA,VBにおける瞬時値の最大値は、相互に等しくてもよいし、相互に異なってもよい。
【0031】
電源回路20は、電圧変換部21、第1信号生成部22A、第2信号生成部22B、およびインターロックスイッチ30を備える。電圧変換部21は、各電圧信号VA,VBを生成するための直流電圧HVを交流電圧から生成する。
【0032】
第1信号生成部22Aは、第1駆動信号を受けて直流電圧HVから第1電圧信号VAを生成する。第1信号生成部22Aは、第1停止信号を受けて第1電圧信号VAの生成を停止する。第2信号生成部22Bは、第2駆動信号を受けて直流電圧HVから第2電圧信号VBを生成する。第2信号生成部22Bは、第2停止信号を受けて第2電圧信号VBの生成を停止する。
【0033】
インターロックスイッチ30は、第1信号生成部22Aと第1調光シート10Aとの間に直列接続されている。インターロックスイッチ30は、第1供給回路を構成する一方、第2供給回路に接続されていない。インターロックスイッチ30は、被検出部52Tとの相互作用を通じ、浴室ドアが閉じていることを検出する。インターロックスイッチ30は、被検出部52Tとの相互作用を通じ、浴室ドアの開扉を検出する。浴室ドアの開扉は、浴室ドアが開きはじめている運動状態、浴室ドアが開いている静止状態、および浴室ドアが閉じはじめている運動状態を含む。
【0034】
インターロックスイッチ30は、浴室ドアが閉じられているときに第1供給回路を閉鎖する。インターロックスイッチ30は、浴室ドアが閉じられているときに、第1調光シート10Aに第1電圧信号VAを供給することを可能にする。インターロックスイッチ30は、浴室ドアの開扉によって第1供給回路を開放する。インターロックスイッチ30は、浴室ドアの開扉によって第1調光シート10Aに第1電圧信号VAを供給することを不能にする。
【0035】
第1信号生成部22Aは、インターロックスイッチ30の状態を監視してもよい。すなわち、第1信号生成部22Aは、第1供給回路の閉鎖と開放とを監視してもよい。第1信号生成部22Aは、第1供給回路の閉鎖時に第1駆動信号を受けて、これによって第1電圧信号VAを生成してもよい。また、第1信号生成部22Aは、第1供給回路の開放を十分条件として、第1供給回路の開放時に第1電圧信号VAの生成を停止してもよい。
【0036】
[浴室調光システムの作用]
図3から
図5は、それぞれ浴室50の状態を示す。
図3は、透明操作が操作部40に入力され、かつ浴室ドアが閉じられている状態を示す。
図4は、不透明操作が操作部40に入力され、かつ浴室ドアが閉じられている状態を示す。
図5は、不透明操作が操作部40に入力され、かつ浴室ドアが開いている状態を示す。なお、
図3から
図5は、透明な調光シート10を白抜きによって示す一方、不透明な調光シート10にドットを付している。
【0037】
図3が示すように、操作部40は、透明操作を受けて、各信号生成部22A,22Bにそれぞれ停止信号を入力する。各信号生成部22A,22Bは、各調光シート10A,10Bに各電圧信号VA,VBを供給しない。各調光シート10A,10Bは、浴室空間50Sが外部から視認されるように、浴室ドアと浴室壁とを透明にする。この状態から、浴室ドアが開けられはじめるとしても、各信号生成部22A,22Bは、各電圧信号VA,VBの供給を停止し続ける。各調光シート10A,10Bは、インターロックスイッチ30による第1供給回路の開放に関わらず、浴室ドアと浴室壁とを透明に保ち続ける。
【0038】
図4が示すように、操作部40は、不透明操作を受けて、各信号生成部22A,22Bにそれぞれ駆動信号を入力する。各信号生成部22A,22Bは、各調光シート10A,10Bに各電圧信号VA,VBを供給する。この際、浴室ドアが閉じられているため、インターロックスイッチ30は、第1供給回路を閉鎖している。そして、各調光シート10A,10Bは、浴室空間50Sが外部から視認不能となるように、浴室ドアと浴室壁とを不透明にする。
【0039】
図5が示すように、
図4に示した浴室50の状態から浴室ドアが開けられると、インターロックスイッチ30が第1供給回路を開放する。各信号生成部22A,22Bは、各電圧信号VA,VBの供給を続ける一方、第1供給回路の開放によって、インターロックスイッチ30は、不透明から透明に第1調光シート10Aを切り替えると共に、不透明から透明に浴室ドアを切り替える。そして、第2調光シート10Bのみが浴室壁を不透明に保ち続ける。なお、第1信号生成部22Aが第1供給回路の閉鎖と開放とを監視している場合、第1信号生成部22Aは、第1供給回路の開放によって、第1電圧信号VAの生成そのものを停止する。
【0040】
図5に示した浴室50の状態から浴室ドアが閉じられると、インターロックスイッチ30が第1供給回路を閉鎖する。第1供給回路の閉鎖によって、インターロックスイッチ30は、再び、透明から不透明に第1調光シート10Aを切り替えると共に、透明から不透明に浴室ドアを切り替える。なお、第1信号生成部22Aが第1供給回路の閉鎖と開放とを監視している場合、第1信号生成部22Aは、第1供給回路の閉鎖によって、第1電圧信号VAの生成を再開する。
【0041】
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)浴室ドアが閉じられている浴室50の使用中は、インターロックスイッチ30による第1供給回路の閉鎖によって調光シート10の不透明によるプライバシー保護を実現できる。
【0042】
(2)浴室ドアが開扉される浴室50の使用前や使用後は、インターロックスイッチ30による第1供給回路の開放によって、温水や水蒸気に曝されている第1調光シート10Aに第1電圧信号VAが供給されがたい。結果として、浴室50の使用と不使用とに適した透明度合いが浴室ドアに付与されると共に、浴室ドアに配置された第1調光シート10Aの耐久性が高まる。
【0043】
(3)インターロックスイッチ30による第1供給回路の開放によって第1電圧信号VAの生成が停止される。このため、浴室ドアに配置された第1調光シート10Aの耐久性が高まると共に、第1電圧信号VAの生成に要する電力消費が抑制される。
【0044】
(4)インターロックスイッチ30による第1供給回路の開放に関わらず、操作部40の入力に基づいて第2調光シート10Bが透明から不透明に切り替わる。これによって、浴室壁が透明であり浴室ドアが透明である状態、浴室壁が不透明であり浴室ドアが透明である状態、浴室壁が透明であり浴室ドアが不透明である状態、および浴室壁が不透明であり浴室ドアが不透明である状態が、それぞれ独立に実現できる。このため、浴室調光の利便性が高まる。
【0045】
(5)第1調光シート10Aがドア透明板52の室外面に貼り着けられて浴室ドアの室外表面を構成する場合、第1調光シート10Aが温水や水蒸気に曝されることが第1調光シート10Aの配置によっても抑制される。
【0046】
(6)第1調光シート10Aが室内基材53Aと室外基材53Bとの間に封止される場合、第1調光シート10Aが温水や水蒸気に曝されることが浴室ドアの構成によっても抑制される。
【0047】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。
[調光シート10]
・調光シート10を駆動するための各電圧信号VA,VBは、直流電圧でもよい。この際、各電圧信号VA,VBは、相互に等しい電圧値でもよいし、相互に異なる電圧値でもよい。
【0048】
・浴室周壁は、透明壁に代えて不透明壁を備えてもよい。この際、壁透明板51は不透明であると共に、浴室調光システムは、第2調光シート10B、および第2信号生成部22Bを割愛してもよい。
【0049】
・浴室ドアは、ドア透明板52の面内に分割された複数の第1調光シート10Aを備えてもよい。この際、第1信号生成部22Aは、各調光シート10Aに1つずつの第1供給回路を通じ、各調光シート10Aにそれぞれ第1電圧信号VAを生成する。これによって、浴室ドアは、ドア透明板52の少なくとも一部を透明から不透明に切り替え可能にする。インターロックスイッチ30は、電源回路20と各第1調光シート10Aとの間に直列接続される複数のスイッチ要素と、浴室ドアが閉じられているときに全てのスイッチ要素を閉じ、かつ浴室ドアの開扉によって全てのスイッチ要素を開ける要素駆動部とを備える。
【0050】
この構成によれば、上記(1)~(6)に準じた効果が得られると共に、第1調光シート10Aの面積が小さい分、1つの第1調光シート10Aに印加する電圧の低電圧化が可能ともなる。第1調光シート10Aに印加する電圧は、調光層13に向けた水分の侵入を促す。上記複数の第1調光シート10Aを備える構成は、第1調光シート10Aの耐久性を低電圧化によっても高める。
【0051】
[電源回路20]
・電源回路20は、操作部40による駆動信号の入力を受けて、インターロックスイッチ30の状態を監視しはじめてもよい。電源回路20は、操作部40による停止信号の入力を受けて、インターロックスイッチ30の状態の監視を停止してもよい。
【0052】
・電圧変換部21は、第1信号生成部22Aに代わり、インターロックスイッチ30の状態を監視してもよい。すなわち、電圧変換部21は、第1供給回路の閉鎖と開放とを監視してもよい。電圧変換部21は、第1供給回路の閉鎖時に直流電圧HVを交流電圧から生成してもよい。また、電圧変換部21は、第1供給回路の開放を十分条件として、第1供給回路の開放時に直流電圧HVの生成を停止してもよい。
【符号の説明】
【0053】
VA…第1電圧信号
VB…第2電圧信号
10…調光シート
10A…第1調光シート
10B…第2調光シート
11,12…透明電極シート
11A…第1透明基材フィルム
12A…第2透明基材フィルム
11B…第1透明電極層
12B…第2透明電極層
11C…第1配向層
12C…第2配向層
13…調光層
13P…透明樹脂層
13L…液晶組成物
20…電源回路
21…電圧変換部
22A…第1信号生成部
22B…第2信号生成部
30…インターロックスイッチ
40…操作部
50…浴室
51…壁透明板
52…ドア透明板
52T…被検出部
53A…室内基材
53B…室外基材