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特開2024-21138半導体装置、バッテリパック、半導体装置の制御方法、及び、制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021138
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】半導体装置、バッテリパック、半導体装置の制御方法、及び、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20240208BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240208BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20240208BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20240208BHJP
   G01R 31/387 20190101ALI20240208BHJP
   G01R 31/3828 20190101ALI20240208BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H02J7/00 M
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/387
G01R31/3828
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123755
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】永島 玄
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA02
2G216BA61
2G216CA04
2G216CA11
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA05
5H030AA10
5H030AS06
5H030AS14
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】バッテリの残容量を精度良く測定することが可能な半導体装置、バッテリパック、半導体装置の制御方法、及び、制御プログラムを提供すること。
【解決手段】本開示にかかる半導体装置は、バッテリから自装置である半導体装置に供給される第1電流の電流値と、バッテリから負荷に供給される第2電流の電流値と、を測定する電流測定回路と、バッテリによる放電開始から放電終了までの、第1電流の積算値と、第2電流の積算値と、に基づいて、バッテリの残容量を算出する、演算処理回路と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリから自装置である半導体装置に供給される第1電流の電流値と、前記バッテリから負荷に供給される第2電流の電流値と、を測定する電流測定回路と、
前記バッテリによる放電開始から放電終了までの、前記第1電流の積算値と、前記第2電流の積算値と、に基づいて、前記バッテリの残容量を算出する、演算処理回路と、
を備えた、半導体装置。
【請求項2】
前記バッテリの出力電圧に応じた前記バッテリの充電率の情報が記憶された記憶回路をさらに有し、
前記演算処理回路は、前記バッテリによる放電開始から放電終了までの、前記第1電流の積算値と、前記第2電流の積算値と、に加えて、前記バッテリによる放電開始時における前記バッテリの出力電圧に対応して前記記憶回路から抽出された前記バッテリの充電率と、前記バッテリによる放電終了時における前記バッテリの出力電圧に対応して前記記憶回路から抽出された前記バッテリの充電率と、に基づいて、前記バッテリの残容量を算出する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電流測定回路は、
前記バッテリの出力電圧が供給される第1外部端子と、前記半導体装置の内部回路の動作電圧を生成する電源回路の高電位側端子と、の間に設けられた第1抵抗素子と、
前記第1抵抗素子の両端の電位差を検出するAD変換器と、
を備え、
前記AD変換器による検出結果に応じた電流値が、前記電流測定回路による前記第1電流の電流値を表す測定結果として用いられる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1抵抗素子の、前記第1外部端子に接続された一方の端子とは別の他方の端子、に前記電源回路の高電位側端子とともに接続された第2外部端子をさらに備え、
動作モードが通常動作モード及びキャリブキャリブレーションモードのうちのキャリブレーションモードの場合に、前記第1外部端子から前記第1抵抗素子を介して前記第2外部端子にかけてリファレンス電流が流れるように構成されている、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記バッテリの出力電圧が供給される第1外部端子と、前記半導体装置の内部回路の動作電圧を生成する電源回路の高電位側端子と、の間に設けられた第1スイッチ素子と、
前記バッテリの出力電圧が、前記バッテリと前記負荷とを接続する電流経路上の抵抗成分よりも大きな抵抗値の第3抵抗素子を介して供給される第3外部端子と、前記電源回路の高電位側端子と、の間に設けられた第2スイッチ素子と、
動作モードが通常動作モード及び自己消費電流測定モードのうちの通常動作モードの場合には、前記第1スイッチ素子をオンし、且つ、前記第2スイッチ素子をオフし、動作モードが自己消費電流測定モードの場合には、前記第1スイッチ素子をオフし、且つ、前記第2スイッチ素子をオンする、切替制御回路と、
少なくとも動作モードが自己消費電流測定モードの場合に、前記バッテリの正極側端子と、前記第3外部端子と、の電位差を選択して出力する、セレクタと、
前記セレクタによって選択された電位差を検出するAD変換器と、
を備え、
動作モードが自己消費電流測定モードの場合における前記AD変換器による検出結果に応じた電流値が、前記電流測定回路による前記第1電流の電流値を表す測定結果として用いられる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記電流測定回路は、
前記バッテリの出力電圧が供給される第1外部端子と、前記半導体装置の内部回路の動作電圧を生成する電源回路の高電位側端子と、の間に設けられた第1抵抗素子と、
前記第1抵抗素子の両端の電位差と、前記バッテリと前記負荷とを接続する電流経路上に設けられ、前記バッテリから前記負荷に供給される前記第2電流が流れる第2抵抗素子、の両端の電位差と、を選択的に出力するセレクタと、
動作モードに応じて前記セレクタによる選択を制御する切替制御回路と、
前記セレクタによって選択された電位差を検出するAD変換器と、
を備え、
前記AD変換器によって検出された前記第1抵抗素子の両端の電位差に応じた電流値が、前記電流測定回路による前記第1電流の電流値を表す測定結果として用いられ、且つ、前記AD変換器によって検出された前記第2抵抗素子の両端の電位差に応じた電流値が、前記電流測定回路による前記第2電流の電流値を表す測定結果として用いられる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記切替制御回路は、動作モードが、前記バッテリが前記負荷に接続されていない第1モードと、前記バッテリが通常動作中の前記負荷に接続されている第2モードと、前記バッテリが動作停止中の前記負荷に接続されている第3モードと、のうち、第1モードの場合には、前記セレクタに前記第1抵抗素子の両端の電位差を選択出力させ、第2モードの場合には、前記セレクタに前記第2抵抗素子の両端の電位差を選択出力させ、且つ、第3モードの場合には、前記セレクタに、前記第1抵抗素子の両端の電位差、及び、前記第2抵抗素子の両端の電位差を、周期的に切り替えて選択出力させる、
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記電流測定回路は、
前記バッテリの出力電圧が供給される第1外部端子と、前記半導体装置の内部回路の動作電圧を生成する電源回路の高電位側端子と、の間に設けられた第1抵抗素子と、
前記第1抵抗素子の両端の電位差と、前記バッテリと前記負荷とを接続する電流経路上に設けられ、前記バッテリから前記負荷に供給される前記第2電流が流れる第2抵抗素子、の両端の電位差と、を加算する加算回路と、
前記加算回路による加算結果を検出するAD変換器と、
を備え、
前記AD変換器による検出結果に応じた電流値が、前記電流測定回路による前記第1電流の電流値及び前記第2電流の電流値の合計値を表す測定結果として用いられる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電流測定回路は、
前記バッテリの出力電圧が供給される第1外部端子と、前記半導体装置の内部回路の動作電圧を生成する電源回路の高電位側端子と、の間に設けられた第1抵抗素子と、
前記第1抵抗素子の両端の電位差を検出する第1AD変換器と、
前記バッテリと前記負荷とを接続する電流経路上に設けられ、前記バッテリから前記負荷に供給される前記第2電流が流れる第2抵抗素子、の両端の電位差を検出する第2AD変換器と、
前記第1AD変換器による検出結果と、前記第2AD変換器による検出結果と、を加算する加算回路と、
を備え、
前記加算回路による加算結果に応じた電流値が、前記電流測定回路による前記第1電流の電流値及び前記第2電流の電流値の合計値を表す測定結果として用いられる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記電流測定回路は、
前記バッテリの基準電圧が供給される第4外部端子と、前記半導体装置の内部回路の動作電圧を生成する電源回路の低電位側端子と、の間に設けられた第1抵抗素子と、
前記第1抵抗素子の両端の電位差を検出するAD変換器と、
を備え、
前記AD変換器による検出結果に応じた電流値が、前記電流測定回路による前記第1電流の電流値を表す測定結果として用いられる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記電流測定回路は、
前記バッテリの出力電圧が供給される第1外部端子と、前記半導体装置に設けられた複数の機能ブロックのそれぞれの高電位側端子と、の間に設けられた複数の第1抵抗素子と、
前記複数の第1抵抗素子のそれぞれの両端の電位差を検出する複数のAD変換器と、
を備え、
前記複数のAD変換器のそれぞれによる検出結果に応じた電流値が、前記電流測定回路による前記第1電流の電流値を表す測定結果として用いられる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記電流測定回路は、
前記バッテリの出力電圧が供給される第1外部端子と、前記半導体装置に設けられた複数の機能ブロックのそれぞれの高電位側端子と、の間に設けられた複数の第1抵抗素子と、
前記複数の第1抵抗素子のそれぞれの両端の電位差の何れかを選択的に出力するセレクタと、
前記セレクタによって選択された電位差を検出するAD変換器と、
を備え、
前記AD変換器により検出された前記複数の第1抵抗素子のそれぞれの両端の電位差に応じた電流値が、前記電流測定回路による前記第1電流の電流値を表す測定結果として用いられる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1抵抗素子の両端の電位を比較する比較回路と、
前記比較回路から、前記第1抵抗素子の両端の電位差が閾値以上を示す、という比較結果が出力された場合、前記バッテリから供給される過電圧及び過電流の少なくとも何れかから前記半導体装置を保護する保護回路と、
をさらに備えた、
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載された半導体装置と、
前記バッテリと、
を備えた、バッテリパック。
【請求項15】
バッテリから自装置である半導体装置に供給される第1電流の電流値と、前記バッテリから負荷に供給される第2電流の電流値と、を測定し、
前記バッテリによる放電開始から放電終了までの、前記第1電流の積算値と、前記第2電流の積算値と、に基づいて、前記バッテリの残容量を算出する、
半導体装置の制御方法。
【請求項16】
バッテリから自装置である半導体装置に供給される第1電流の電流値と、前記バッテリから負荷に供給される第2電流の電流値と、を測定する処理と、
前記バッテリによる放電開始から放電終了までの、前記第1電流の積算値と、前記第2電流の積算値と、に基づいて、前記バッテリの残容量を算出する処理と、
をコンピュータに実行させる制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、バッテリパック、半導体装置の制御方法、及び、制御プログラムに関し、例えば、バッテリの残容量を精度良く測定するのに適した半導体装置、バッテリパック、半導体装置の制御方法、及び、制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコンやスマートフォン等の負荷に接続されるバッテリパックは、負荷に電力を供給するバッテリと、当該バッテリの管理を行うバッテリ管理装置と、によって構成されている。バッテリパックに関する技術は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6298616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、バッテリ管理装置は、バッテリの残容量を算出する機能を有する。バッテリの残容量は、バッテリの満充電容量(バッテリが満充電された状態から完全に放電されるまでの間に当該バッテリから放電された容量)から、バッテリの使用容量(バッテリの放電開始から放電終了までの間に当該バッテリから放電された容量)を減算することによって算出される。そのため、バッテリ管理装置には、バッテリの満充電容量を精度良く測定することによって、バッテリの残容量を精度良く測定することが求められている。
【0005】
ここで、負荷の低消費電力化が進む前では、バッテリ管理装置の消費電流は、負荷の消費電流に対して無視できる程度に小さかったため、バッテリの満充電容量の測定において考慮されていなかった。しかしながら、近年では、負荷の低消費電力化に伴って、バッテリ管理装置の消費電流が負荷の消費電流に対して無視できない程度に大きくなっているため、負荷の消費電流のみを考慮するだけでは、バッテリ管理装置は、バッテリの満充電容量を精度良く測定することができず、その結果、バッテリの残容量を精度良く測定することができない、という課題があった。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる半導体装置は、バッテリから自装置である半導体装置に供給される第1電流の電流値と、前記バッテリから負荷に供給される第2電流の電流値と、を測定する電流測定回路と、前記バッテリによる放電開始から放電終了までの、前記第1電流の積算値と、前記第2電流の積算値と、に基づいて、前記バッテリの残容量を算出する、演算処理回路と、を備える。
【0007】
本開示にかかる半導体装置の制御方法は、バッテリから自装置である半導体装置に供給される第1電流の電流値と、前記バッテリから負荷に供給される第2電流の電流値と、を測定し、前記バッテリによる放電開始から放電終了までの、前記第1電流の積算値と、前記第2電流の積算値と、に基づいて、前記バッテリの残容量を算出する。
【0008】
本開示にかかる制御プログラムは、バッテリから自装置である半導体装置に供給される第1電流の電流値と、前記バッテリから負荷に供給される第2電流の電流値と、を測定する処理と、前記バッテリによる放電開始から放電終了までの、前記第1電流の積算値と、前記第2電流の積算値と、に基づいて、前記バッテリの残容量を算出する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、バッテリの残容量を精度良く測定することが可能な半導体装置、バッテリパック、半導体装置の制御方法、及び、制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1にかかるバッテリ管理装置を備えたバッテリパックの構成例を示すブロック図である。
図2図1に示すバッテリパックに設けられたバッテリ管理装置の基本部分の構成例を示すブロック図である。
図3】実施の形態1にかかるバッテリ管理装置の一部の構成例を示す図である。
図4】実施の形態1にかかるバッテリ管理装置の動作を示すフローチャートである。
図5】実施の形態1にかかるバッテリ管理装置に設けられた演算処理回路の動作を説明するためのブロック線図である。
図6】実施の形態1にかかるバッテリ管理装置の第1の変形例を示す図である。
図7】実施の形態1にかかるバッテリ管理装置の第2の変形例を示す図である。
図8図7に示すバッテリ管理装置による自己消費電流の測定動作を示すフローチャートである。
図9】実施の形態1にかかるバッテリ管理装置の第3の変形例を示す図である。
図10図9に示すバッテリ管理装置の動作モードを説明するための図である。
図11図9に示すバッテリ管理装置の負荷未接続モード時の状態を示す図である。
図12図9に示すバッテリ管理装置の重負荷接続モード時の状態を示す図である。
図13図9に示すバッテリ管理装置の軽負荷接続モード時の状態を示す図である。
図14図9に示すバッテリ管理装置の軽負荷接続モードでの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図15図9に示すバッテリ管理装置の軽負荷接続モードでの動作の他の例を示すタイミングチャートである。
図16図9に示すバッテリ管理装置の軽負荷接続モードでの動作の他の例を示すタイミングチャートである。
図17図9に示すバッテリ管理装置の軽負荷接続モードでの動作を示すフローチャートである。
図18】実施の形態1にかかるバッテリ管理装置の第4の変形例を示す図である。
図19】実施の形態1にかかるバッテリ管理装置の第5の変形例を示す図である。
図20】実施の形態2にかかるバッテリ管理装置の一部の構成例を示す図である。
図21】実施の形態3にかかるバッテリ管理装置の一部の構成例を示す図である。
図22】実施の形態3にかかるバッテリ管理装置の変形例を示す図である。
図23】実施の形態4にかかるバッテリ管理装置の一部の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。ただし、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0013】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0014】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1にかかるバッテリ管理装置12を備えたバッテリパック1の構成例を示すブロック図である。なお、図1には、バッテリパック1に接続された負荷50も示されている。負荷50は、例えば、ノートパソコンやスマートフォン等である。
【0015】
図1に示すように、バッテリパック1は、負荷に電力を供給するバッテリ11と、バッテリ11の管理を行うバッテリ管理装置(半導体装置)12と、抵抗素子(第2抵抗素子)Rsと、充放電FET14と、温度センサ15と、を備える。
【0016】
バッテリ11は、例えばリチウムイオン型バッテリであって、直列接続されたm(mは1以上の整数)のバッテリセルによって構成されている。
【0017】
充放電FET14は、バッテリ11と負荷50とを接続する電流経路上に設けられている。充放電FET14は、バッテリ管理装置12によってバッテリ11と負荷50との間に流れる電流に異常が検出された場合、当該電流経路を流れる充放電電流を遮断する。
【0018】
温度センサ15は、バッテリ11の近傍に設けられ、バッテリ11の温度を検知する。より具体的には、温度センサ15は、温度に応じて抵抗値が変化するサーミスタを有し、当該サーミスタの両端の電位差を出力する。この電位差に応じた温度を温度抵抗特性表などからから抽出することにより、温度センサ15の周辺(即ち、バッテリ11)の温度が求められる。
【0019】
抵抗素子Rsは、バッテリ11と負荷50とを接続する電流経路上に設けられている。したがって、抵抗素子Rsには、バッテリ11から負荷50に供給される電流が流れる。
【0020】
バッテリ管理装置12は、FGIC(Fuel Gauge Integrated Circuit)とも呼ばれており、バッテリ11の残量を測定したり、バッテリ11を過電圧や過電流から保護したりする。
【0021】
図2は、バッテリ管理装置12の基本部分の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、バッテリ管理装置12は、セレクタ121と、電圧測定回路122と、電流測定回路123と、演算処理回路124と、充放電制御回路125と、通信回路126と、記憶回路127と、電源回路128と、を少なくとも備える。
【0022】
なお、バッテリ管理装置12には、外部端子VCC、GND、VIN_0~VIN_m-1、VIN_top、TIN、ISENS0、ISENS1、FOUT、DTが少なくとも設けられている。外部端子VCCには、バッテリ管理装置12の外部からバッテリ11の出力電圧(バッテリ11の正極側端子の電圧)が供給される。外部端子GNDには、バッテリ管理装置12の外部からバッテリ11の基準電圧(バッテリ11の負極側端子の電圧)が供給される。本実施の形態では、バッテリ11の基準電圧が0Vである場合を例に説明する。外部端子VIN_0には、バッテリ管理装置12の外部からバッテリ11の負極側端子の電圧が供給される。外部端子VIN_1~VIN_m-1には、バッテリ管理装置12の外部から、バッテリ11を構成するm個のバッテリセル間のそれぞれのノードの電圧が供給される。外部端子VIN_topには、バッテリ管理装置12の外部からバッテリ11の正極側端子の電圧が供給される。外部端子TINには、バッテリ管理装置12の外部から温度センサ15の出力電圧(温度センサ15によって検知された温度に応じた電圧)が供給される。外部端子ISENS0,ISENS1には、バッテリ管理装置12の外部から抵抗素子Rsの両端の電圧が供給される。バッテリ管理装置12は、外部端子FOUTを介して、充放電FET14に向けて制御信号を出力する。また、バッテリ管理装置12は、外部端子DTを介して、負荷50との間でデータの受け渡しを行う。
【0023】
セレクタ121は、バッテリ11の正極側端子、負極側端子、バッテリ11を構成するm個のバッテリセル間のそれぞれのノードの電圧、及び、温度センサ15の出力電圧、の少なくとも何れかを、演算処理回路124による演算結果などに基づいて選択して出力する。例えば、セレクタ121は、バッテリ11の正極側端子及び負極側端子間の電位差(即ち、バッテリ11の正極側端子及び負極側端子のそれぞれの電圧)を選択して出力することもできる。
【0024】
電圧測定回路122は、セレクタ121によって選択された電圧を測定する。なお、セレクタ121によってバッテリ11の正極側端子及び負極側端子間の電位差が選択された場合、電圧測定回路122は、バッテリ11の正極側端子及び負極側端子間の電位差を測定する。バッテリ11の正極側端子及び負極側端子間の電位差は、バッテリ11の出力電圧に相当する。
【0025】
電流測定回路123は、抵抗素子Rsに流れる電流(第2電流)の電流値Isenseを測定する。換言すると、電流測定回路123は、バッテリ11から負荷50に供給される電流の電流値Isenseを測定する。例えば、電流測定回路123は、抵抗素子Rsの両端の電位差を検出するAD変換器を有し、抵抗素子Rsの抵抗値と、AD変換器によって検出された抵抗素子Rsの両端の電位差と、に基づいて、抵抗素子Rsに流れる電流の電流値Isenseを算出する。
【0026】
演算処理回路124は、電圧測定回路122による測定結果、電流測定回路123による測定結果、及び、後述する電流測定回路129による測定結果などに対して、所定の演算処理を実行した後、その演算処理結果に基づいて、バッテリ管理装置12の各機能ブロックに対して所定の動作を行うように指示する。例えば、演算処理回路124は、通信回路126に対して、演算処理回路124による処理によって得られたデータを負荷50に送信するように指示したり、負荷50から送信されたデータを受信するように指示したりする。また、演算処理回路124は、バッテリ11と負荷50の間に流れる電流に異常があることを検出した場合、充放電制御回路125に対して、当該電流経路を流れる充放電電流を遮断するように指示する。
【0027】
記憶回路127には、演算処理回路124による演算処理結果や、演算処理の途中に生成される中間データなどが記憶される。また、記憶回路127には、バッテリ11の出力電圧(バッテリ11の両端の電位差)に応じた当該バッテリの充電率の情報が記憶されている。例えば、記憶回路127には、バッテリ11の出力電圧が最大値を示す場合にバッテリ11の充電率が100%を示す情報が記憶され、バッテリ11の出力電圧が最小値を示す場合にバッテリ11の充電率が0%を示す情報が記憶されている。
【0028】
電源回路128は、外部端子VCC,GND間に設けられ、バッテリ管理装置12の内部回路(各機能ブロック)の動作電圧を生成する。換言すると、電源回路128は、バッテリ11の出力電圧を、バッテリ管理装置12の内部回路の動作に適した電圧に変換して出力する。バッテリ管理装置12の内部回路は、電源回路128によって生成された電圧によって駆動される。
【0029】
ここで、バッテリ管理装置12は、バッテリ11からバッテリ管理装置12に供給される電流(第1電流)の電流値Iicを測定する電流測定回路129(図2において不図示)をさらに備える。
【0030】
図3は、バッテリ管理装置12の一部の構成例を示す図である。図3に示すように、バッテリ管理装置12は、電流測定回路129をさらに備える。電流測定回路129は、例えば、抵抗素子(第1抵抗素子)R1と、AD変換器1291と、を少なくとも有する。
【0031】
抵抗素子R1は、外部端子VCCと、電源回路128の高電位側端子と、の間に設けられている。外部端子VCCには、バッテリ管理装置12の外部からバッテリ11の出力電圧が供給されているため、抵抗素子R1には、バッテリ11からバッテリ管理装置12に供給される電流が流れることになる。AD変換器1291は、抵抗素子R1の両端の電位差を検出する。より具体的には、AD変換器1291は、抵抗素子R1の両端の電位差をデジタル信号に変換して出力する。ここで、抵抗素子R1の抵抗値は予め決まっているため、AD変換器1291によって検出された抵抗素子R1の両端の電位差から、抵抗素子R1に流れる電流の電流値Iicの算出が可能である。そのため、AD変換器1291による検出結果は、抵抗素子R1に流れる電流の電流値Iicの測定結果として用いられてもよい。
【0032】
演算処理回路124は、バッテリ11の放電開始から放電終了までの、抵抗素子R1に流れる電流(即ち、バッテリ11からバッテリ管理装置12に供給される電流)の電流値Iicの積算値、及び、抵抗素子Rsに流れる電流(即ち、バッテリ11から負荷50に供給される電流)の電流値Isenseの積算値、に基づいて、バッテリ11の使用容量Quseを算出する。使用容量Quseとは、バッテリ11の放電開始から放電終了までの間に当該バッテリ11から放電された容量のことである。使用容量Quseは、以下の式(1)のように表すことができる。
【0033】
【数1】
【0034】
また、バッテリ11の満充電容量Qmaxは、以下の式(2)のように表すことができる。なお、満充電容量Qmaxとは、バッテリが満充電された状態から完全に放電されるまでの間に当該バッテリから放電された容量のことである。SOCaは、バッテリ11の放電開始時における当該バッテリ11の充電率を示し、SOCbは、バッテリ11の放電終了時における当該バッテリの充電率を示している。
【0035】
【数2】
【0036】
ここで、バッテリ11の残容量Qremは、満充電容量Qmaxから使用容量Quseを減算することによって求められる。したがって、演算処理回路124は、使用容量Quse及び満充電容量Qmaxのそれぞれの測定結果に基づいて、残容量Qremを算出することができる。
【0037】
(バッテリ管理装置12の動作)
続いて、図4及び図5を用いて、バッテリ管理装置12の動作を説明する。図4は、バッテリ管理装置12の動作を示すフローチャートである。図5は、バッテリ管理装置12に設けられた演算処理回路124の動作を説明するためのブロック線図である。図5に示すように、バッテリ管理装置12は、ハードウェア(HW)における動作と、ファームウェア(FW)における動作と、に分けられる。なお、図5に示すS101~S106の処理は、図4に示すステップS101~S106の処理に対応する。
【0038】
まず、バッテリ11の放電が開始される。このとき、バッテリ管理装置12は、バッテリ11の放電開始時における当該バッテリ11の出力電圧を測定する。ここで、記憶回路127には、バッテリ11の出力電圧に対応するバッテリ11の充電率の情報が記憶されている。そのため、バッテリ管理装置12は、バッテリ11の放電開始時における当該バッテリ11の出力電圧から、バッテリ11の放電開始時における当該バッテリ11の充電率SOCaを抽出することができる(ステップS101)。
【0039】
その後、バッテリ管理装置12は、バッテリ11の放電開始から放電終了まで、抵抗素子Rsに流れる電流(即ち、バッテリ11から負荷50に供給される電流)の電流値Isenseを測定する(ステップS102)。
【0040】
また、バッテリ管理装置12は、バッテリ11の放電開始から放電終了まで、抵抗素子R1に流れる電流(即ち、バッテリ11からバッテリ管理装置12に供給される電流)の電流値Iicを測定する(ステップS103)。
【0041】
その後、バッテリ管理装置12は、バッテリ11の放電開始から放電終了までの、電流値Isenseの積算値、及び、電流値Iicの積算値、に基づいて、バッテリ11の使用容量Quseを算出する(ステップS104)。具体的には、バッテリ管理装置12は、上記の式(1)を用いて、バッテリ11の使用容量Quseを算出する。
【0042】
また、バッテリ管理装置12は、バッテリ11の放電終了時における当該バッテリ11の出力電圧を測定する。ここで、記憶回路127には、バッテリ11の出力電圧に対応するバッテリ11の充電率の情報が記憶されている。そのため、バッテリ管理装置12は、バッテリ11の放電終了時における当該バッテリ11の出力電圧から、バッテリ11の放電終了時における当該バッテリ11の充電率SOCbを抽出することができる(ステップS105)。
【0043】
ここで、バッテリ管理装置12は、放電開始時のバッテリ充電率SOCaと、放電終了時のバッテリ充電率SOCbと、バッテリ11の使用容量Quseと、に基づいて、バッテリの満充電容量Qmaxを算出する(ステップS106)。具体的には、バッテリ管理装置12は、上記の式(2)を用いて、バッテリ11の満充電容量Qmaxを算出する。バッテリ管理装置12は、バッテリ11の使用容量Quse及び満充電容量Qmaxから、バッテリ11の残容量Qremを算出することができる。
【0044】
このように、バッテリ管理装置12は、バッテリ11の放電開始から放電終了までの、負荷50の消費電流の電流値Isenseの積算値だけでなく、自己消費電流の電流値Iicの積算値に基づいて、バッテリ11の使用容量Quse及び満充電容量Qmaxを測定し、その測定結果に基づいて、バッテリ11の残容量Qremを算出している。それにより、バッテリ管理装置12は、自己消費電流の電流値Iicを考慮せずにバッテリ11の残容量Qremを算出する場合よりも、精度良くバッテリ11の残容量Qremを算出することができる。それにより、バッテリ管理装置12は、例えば、製品輸送時など長期間保管された後の起動時においても、バッテリ11の残容量Qremを精度良く算出することができる。
【0045】
<バッテリ管理装置12の第1の変形例>
図6は、バッテリ管理装置12の第1の変形例をバッテリ管理装置12aとして示す図である。バッテリ管理装置12aは、外部端子CALをさらに備える。外部端子CALは、電源回路128の高電位側端子とともに、抵抗素子R1の一方の端子及び他方の端子のうち、外部端子VCCに接続される一方の端子とは別の他方の端子、に接続されている。
【0046】
バッテリ管理装置12aの外部において、外部端子CAL,VCC間には定電流源17が設けられ、外部端子CAL,GND間にはバッテリ16が設けられている。なお、外部端子CALの代わりに、既存の外部端子が用いられてもよい。
【0047】
なお、バッテリ管理装置12aの動作モードには、少なくとも、通常動作が行われる通常動作モードと、キャリブレーションが行われるキャリブレーションモードと、が含まれる。バッテリ管理装置12aは、動作モードがキャリブレーションモードである場合、外部端子VCCから抵抗素子R1を介して外部端子CALにかけて、定電流源17により生成されたリファレンス電流が流れるように構成されている。このとき、バッテリ管理装置12aでは、例えば、AD変換器1291が、抵抗素子R1の抵抗値とリファレンス電流の電流値とによって決まる抵抗素子R1の両端の電位差を正確に検出するように調整される。バッテリ管理装置12aのその他の構成については、バッテリ管理装置12の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0048】
<バッテリ管理装置12の第2の変形例>
図7は、バッテリ管理装置12の第2の変形例をバッテリ管理装置12bとして示す図である。バッテリ管理装置12bは、バッテリ管理装置12と比較して、抵抗素子R1及びAD変換器1291を備えず、スイッチ素子SW11,SW12と、切替制御回路130と、を備える。なお、抵抗素子R1の代わりに、バッテリ管理装置12の外部に抵抗素子R4が設けられている。また、AD変換器1291の代わりに、既存の電圧測定回路122が用いられている。
【0049】
スイッチ素子(第1スイッチ素子)SW11は、外部端子VCCと、電源回路128の高電位側端子と、の間に設けられている。スイッチ素子(第2スイッチ素子)SW12は、外部端子VBATと、電源回路128の高電位側端子と、の間に設けられている。切替制御回路130は、例えば演算処理回路124による指示にしたがって、スイッチ素子SW11,SW12のオンオフを切り替える。
【0050】
バッテリ管理装置12bの外部において、外部端子VBATとバッテリ11の正極側端子との間には、外部端子VCCとバッテリ11の正極側端子との間の電流経路上の抵抗成分R3よりも大きな抵抗値の抵抗素子R4が設けられている。例えば、抵抗成分R3の抵抗値が10Ω程度であるのに対し、抵抗素子R4の抵抗値は1kΩ程度と大きい。
【0051】
バッテリ管理装置12bのその他の構成については、バッテリ管理装置12の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0052】
図8は、バッテリ管理装置12bによる自己消費電流の測定動作を示すフローチャートである。なお、バッテリ管理装置12bの動作モードには、少なくとも、自己消費電流の測定が行われる自己消費電流測定モードと、自己消費電流の測定が行われずに通常動作が行われる通常動作モードと、が含まれる。
【0053】
まず、バッテリ管理装置12bは、動作モードが通常動作モードである場合、スイッチ素子SW11をオンし、且つ、スイッチ素子SW12をオフにしている。それにより、電源回路128には、バッテリ11の出力電圧が外部端子VCCを介して供給される。
【0054】
その後、バッテリ管理装置12bの動作モードが通常動作モードから自己消費電流測定モードに切り替わる。それに伴い、バッテリ管理装置12bは、スイッチ素子SW12をオフからオンに切り替え(ステップS201)、且つ、スイッチ素子SW11をオンからオフに切り替える(ステップS202)。それにより、バッテリ11から、大きな抵抗値の抵抗素子R4を介して、バッテリ管理装置12bにかけて電流が流れる。また、このとき、セレクタ121は、外部端子VBAT,VIN_topのそれぞれの電位差を選択して出力する。つまり、このとき、セレクタ121は、抵抗素子R4の両端の電位差を選択して出力する。それにより、電圧測定回路122は、抵抗素子R4の両端の電位差を検出する。より具体的には、電圧測定回路122は、AD変換器であって、抵抗素子R4の両端の電位差をデジタル信号に変換して出力する(ステップS203)。ここで、抵抗素子R4の抵抗値は予め決まっているため、電圧測定回路122によって検出された抵抗素子R4の両端の電位差から、抵抗素子R4に流れる電流の電流値Iicの算出が可能である。そのため、電圧測定回路122による測定結果は、抵抗素子R4に流れる電流の電流値Iicの測定結果として用いられてもよい。なお、電圧測定回路122による測定結果(AD変換値)は、レジスタに格納され、使用容量の算出に用いられる。その後、バッテリ管理装置12bは、スイッチ素子SW11をオフからオンに切り替え(ステップS205)、且つ、スイッチ素子SW12をオンからオフに切り替える(ステップS206)。それにより、バッテリ管理装置12bの動作モードが自己消費電流測定モードから通常動作モードに切り替わる。
【0055】
このように、バッテリ管理装置12bは、バッテリ管理装置12と同等程度の効果を奏することができる。また、バッテリ管理装置12bは、大きな抵抗値の抵抗素子R4を用いることにより、より精度良く自己消費電流の電流値Iicを測定することが可能になる。さらに、バッテリ管理装置12bは、大きな抵抗値の抵抗素子R4を内部に設ける必要がないため、回路規模の小型化を実現することができる。
【0056】
<バッテリ管理装置12の第3の変形例>
図9は、バッテリ管理装置12の第3の変形例をバッテリ管理装置12cとして示す図である。バッテリ管理装置12cは、バッテリ管理装置12と比較して、スイッチ素子SW21,SW22と、比較回路131と、切替制御回路132と、をさらに備える。また、バッテリ管理装置12cは、電流測定回路123を備えず、AD変換器1291が電流測定回路123の役割も果たしている。
【0057】
スイッチ素子SW21,SW22は、抵抗素子R1の両端の電位差、及び、抵抗素子Rsの両端の電位差の何れかを選択して出力するセレクタとしての役割を果たす。具体的には、スイッチ素子SW21は、抵抗素子R1の一方の端子及び抵抗素子Rsの一方の端子の何れかと、AD変換器1291の一方の入力端子と、を選択的に接続可能に設けられている。スイッチ素子SW22は、抵抗素子R1の他方の端子及び抵抗素子Rsの他方の端子の何れかと、AD変換器1291の他方の入力端子と、を選択的に接続可能に設けられている。比較回路131は、抵抗素子Rsの両端の電位を比較する。切替制御回路132は、例えば演算処理回路124による指示に加えて、比較回路131による比較結果、及び、外部から外部端子SYSINを介して取得した情報などに基づいて、スイッチ素子SW21,SW22のオンオフを切り替える。
【0058】
バッテリ管理装置12cのその他の構成については、バッテリ管理装置12の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0059】
図10は、バッテリ管理装置12cの動作モードを説明するための図である。図10に示すように、バッテリ管理装置12cの動作モードには、バッテリ11が負荷50に接続されていない負荷未接続モード(第1モード)と、バッテリ11が通常動作中の負荷50に接続されている重負荷接続モード(第2モード)と、バッテリ11が動作停止中の負荷50に接続されている軽負荷接続モード(第3モード)と、が含まれる。
【0060】
まず、図11を用いて、バッテリ管理装置12cの動作モードが負荷未接続モードである場合のバッテリ管理装置12cの動作について説明する。図11は、バッテリ管理装置12cの負荷未接続モード時の状態を示す図である。
【0061】
負荷未接続モードでは、バッテリ11が負荷50に接続されていない。バッテリ11が負荷50に接続されていない場合、バッテリ11から負荷50に供給される電流の電流値Isenseは実質的に0Aになる。それに対し、バッテリ管理装置12cは動作し続けているため、バッテリ11からバッテリ管理装置12に供給される電流の電流値Iicは、電流値Isenseに対して支配的になる。このとき、切替制御回路132は、例えば、外部端子SYSINを介して、負荷50がバッテリ11に接続されていない旨の情報を受信したり、比較回路131から、抵抗素子Rsの両端の電位差が0Vに近い(即ち、抵抗素子Rsに電流が流れていない)、という比較結果を受信したりすることによって、動作モードが負荷未接続モードであると判断する。
【0062】
この場合、切替制御回路132は、スイッチ素子SW21,SW22に、抵抗素子R1の両端の電位差を選択してAD変換器1291に向けて出力させる。それにより、AD変換器1291は、抵抗素子R1の両端の電位差を検出する。より具体的には、AD変換器1291は、抵抗素子R1の両端の電位差をデジタル信号に変換する。ここで、抵抗素子R1の抵抗値は予め決まっているため、AD変換器1291によって検出された抵抗素子R1の両端の電位差から、抵抗素子R1に流れる電流の電流値Iicの算出が可能である。そのため、AD変換器1291による検出結果は、抵抗素子R1に流れる電流の電流値Iicの測定結果として用いられてもよい。
【0063】
続いて、図12を用いて、バッテリ管理装置12cの動作モードが重負荷接続モードである場合のバッテリ管理装置12cの動作について説明する。図12は、バッテリ管理装置12cの重負荷接続モード時の状態を示す図である。
【0064】
重負荷接続モードでは、バッテリ11が通常動作中の負荷50に接続されている。この場合、負荷50によって消費される電流が大きくなる。つまり、バッテリ11から負荷50に供給される電流の電流値Isenseが、バッテリ11からバッテリ管理装置12cに供給される電流値Iicに対して支配的になる。このとき、切替制御回路132は、例えば、外部端子SYSINを介して、負荷50がバッテリ11に接続されている旨の情報を受信したり、比較回路131から、抵抗素子Rsの両端の電位差が所定値以上を示す(即ち、電流値Isenseが所定値以上を示す)、という比較結果を受信したりすることによって、動作モードが重負荷接続モードであると判断する。
【0065】
この場合、切替制御回路132は、スイッチ素子SW21,SW22に、抵抗素子Rsの両端の電位差を選択してAD変換器1291に向けて出力させる。それにより、AD変換器1291は、抵抗素子Rsの両端の電位差を検出する。より具体的には、AD変換器1291は、抵抗素子Rsの両端の電位差をデジタル信号に変換する。ここで、抵抗素子Rsの抵抗値は予め決まっているため、AD変換器1291によって検出された抵抗素子Rsの両端の電位差から、抵抗素子Rsに流れる電流の電流値Isenseの算出が可能である。そのため、AD変換器1291による検出結果は、抵抗素子Rsに流れる電流の電流値Isenseの測定結果として用いられてもよい。
【0066】
続いて、図13を用いて、バッテリ管理装置12cの動作モードが軽負荷接続モードである場合のバッテリ管理装置12cの動作について説明する。図13は、バッテリ管理装置12cの軽負荷接続モード時の状態を示す図である。
【0067】
軽負荷接続モードでは、バッテリ11が動作停止中の負荷50に接続されている。動作停止中の負荷50とは、例えばスリープ状態やそれに相当する状態の負荷50のことである。この場合、電流値Isense及び電流値Iicのどちらも無視できないため、電流値Isense及び電流値Iicの何れについても測定が行われる。ここで、軽負荷接続モードでは、負荷50の動作が所定の定常的な動作に限定されるため、電流値Isense及び電流値Iicのそれぞれの変動は小さくなる。そこで、バッテリ管理装置12cは、電流値Isense及び電流値Iicのそれぞれを交互に測定するとともに、電流値Isense測定中の電流値Iicについては、電流値Iicの測定値等から推定し、且つ、電流値Iic測定中の電流値Isenseについては、電流値Isenseの測定値等から推定したうえで、軽負荷接続モードの期間の電流値Isense,Iicのそれぞれの積算値を算出する。
【0068】
図14は、バッテリ管理装置12cの軽負荷接続モードでの動作の一例を示すタイミングチャートである。図14において、“V”はバッテリ電圧の測定を表し、“T”はバッテリ温度の測定を表し、“Cs”は電流値Isenseの測定を表し、“Ci”は電流値Iicの測定を表している。
【0069】
図14の例では、バッテリ管理装置12cが、電流値Isenseの測定及び電流値Iicの測定を1秒毎に切り替えて行っている。また、バッテリ管理装置12cは、バッテリ電圧の測定及びバッテリ温度の測定を何れも1秒毎に行っている。なお、電流値Isenseの測定及び電流値Iicの測定の切り替えは、1秒ごとに行われる場合に限られず、所定の時間ごとに行われてよい。
【0070】
例えば、軽負荷接続モードが20秒である場合、電流値Isenseの測定時間は10秒、電流値Iicの測定時間は10秒になる。但し、電流値Isenseの測定中にも、バッテリ11からバッテリ管理装置12cに電流は供給されている。同様に、電流値Iicの測定中にも、バッテリ11から負荷50に電流は供給されている。そこで、バッテリ管理装置12cは、電流値Iicの測定期間中の電流値Isenseについては、電流値Isenseの測定値等から推定したうえで、軽負荷接続モードの期間(ここでは20秒)の電流値Isenseの積算値を算出する。同様に、バッテリ管理装置12cは、電流値Isenseの測定期間中の電流値Iicについては、電流値Iicの測定値等から推定したうえで、軽負荷接続モードの期間(ここでは20秒)の電流値Iicの積算値を算出する。
【0071】
図15は、バッテリ管理装置12cの軽負荷接続モードでの動作の他の例を示すタイミングチャートである。図15において、“V”はバッテリ電圧の測定を表し、“T”はバッテリ温度の測定を表し、“Cs”は電流値Isenseの測定を表し、“Ci”は電流値Iicの測定を表している。
【0072】
図15の例では、バッテリ管理装置12cが、電流値Isenseの測定、電流値Iicの測定、バッテリ電圧の測定、及び、バッテリ温度の測定を、所定の周期で(X秒毎に)行っている。より詳細には、バッテリ管理装置12cは、第1測定パターンP1として、1周期内で、電流値Isenseの測定を行った後、電流値Iicの測定を行い、その後、バッテリ電圧の測定及びバッテリ温度の測定を同時に行っている。電流値Isenseの積算値の算出、及び、電流値Iicの積算値の算出、の仕方については、基本的には図14の例と同様であるため、その説明を省略する。なお、電流値Isense,Iicの測定は、所定の周期で行われる場合に限られず、電源回路128の消費電流は温度依存性が大きいことを考慮して、温度の変化度合いが閾値を超えたタイミングで行われてもよい。
【0073】
図16は、バッテリ管理装置12cの軽負荷接続モードでの動作の他の例を示すタイミングチャートである。図16において、“V”はバッテリ電圧の測定を表し、“T”はバッテリ温度の測定を表し、“Cs”は電流値Isenseの測定を表し、“Ci1”及び“Ci2”は電流値Iicの測定を表している。ここで、“Ci1”は、単独で行われる電流値Iicの測定を表し、“Ci2”は、バッテリ電圧の測定及びバッテリ温度の測定と同時に行われる電流値Iicの測定を表している。
【0074】
図16の例では、バッテリ管理装置12cが、電流値Isenseの測定、電流値Iicの測定、バッテリ電圧の測定、及び、バッテリ温度の測定を、所定の周期で(X秒毎に)行っている。より詳細には、バッテリ管理装置12cは、第2測定パターンP2として、1周期内で、電流値Isenseの測定を行った後、電流値Iicの測定を行い、その後、電流値Iicの測定、バッテリ電圧の測定、及び、バッテリ温度の測定を同時に行っている。それにより、バッテリ電圧の測定及びバッテリ温度の測定によって過渡的に消費電流が大きくなることも考慮して、電流値Iicの積算値を算出することが可能になる。
【0075】
この場合、軽負荷接続モードにおけるバッテリ11の使用容量Quseは、以下の式(3)のように表すことができる。なお、Iic1は、単独で測定された電流値Iicの測定値を表し、Iic2は、バッテリ電圧の測定及びバッテリ温度の測定と同時に測定された電流値Isenseの測定値を表している。
【0076】
【数3】
【0077】
図17は、バッテリ管理装置12cの軽負荷接続モードでの動作を示すフローチャートである。図17の動作は、図15の動作に対応している。
【0078】
まず、バッテリ管理装置12cは、動作モードが軽負荷接続モードになると(ステップS501のYES)、スイッチ素子SW21,SW22に、抵抗素子Rsの両端の電位差を選択してAD変換器1291に向けて出力させる(ステップS502)。それにより、AD変換器1291は、抵抗素子Rsの両端の電位差を検出する。より具体的には、AD変換器1291は、抵抗素子Rsの両端の電位差をデジタル信号に変換する。ここで、抵抗素子Rsの抵抗値は予め決まっているため、AD変換器1291によって検出された抵抗素子Rsの両端の電位差から、抵抗素子Rsに流れる電流の電流値Isenseの算出が可能である。そのため、AD変換器1291による検出結果は、抵抗素子Rsに流れる電流の電流値Isenseの測定結果として用いられてもよい。測定された電流値Isenseは、積算され(ステップS503)、レジスタに格納される(ステップS504)。レジスタに格納された電流値Isenseの積算値は、軽負荷接続モードの終了後、軽負荷接続モードの期間中のバッテリ11の使用容量Quseの算出に用いられる。
【0079】
その後(本例では1秒経過後)、バッテリ管理装置12cは、スイッチ素子SW21,SW22に、抵抗素子R1の両端の電位差を選択してAD変換器1291に向けて出力させる(ステップS505)。それにより、AD変換器1291は、抵抗素子R1の両端の電位差を検出する。より具体的には、AD変換器1291は、抵抗素子R1の両端の電位差をデジタル信号に変換する。ここで、抵抗素子R1の抵抗値は予め決まっているため、AD変換器1291によって検出された抵抗素子R1の両端の電位差から、抵抗素子R1に流れる電流の電流値Iicの算出が可能である。そのため、AD変換器1291による検出結果は、抵抗素子R1に流れる電流の電流値Iicの測定結果として用いられてもよい。測定された電流値Iicは、積算され(ステップS506)、レジスタに格納される(ステップS507)。レジスタに格納された電流値Iicの積算値は、軽負荷接続モードの終了後、軽負荷接続モードの期間中のバッテリ11の使用容量Quseの算出に用いられる。
【0080】
その後(本例では2秒経過後)、X-2秒経過するまで待機する(ステップS508)。待機後、動作モードが軽負荷接続モードである場合には、次の周期で、ステップS502~S508の処理が行われる。そして、動作モードが軽負荷接続モードでなくなった場合(ステップS501のNO)、バッテリ管理装置12は、軽負荷接続モードの期間中のバッテリ11の使用容量Quseの算出を行って、動作を完了させる。
【0081】
このように、バッテリ管理装置12cは、電流値Iic,Isenseを共通のAD変換器1291を用いて測定することができるため、回路規模の増大を抑制することができる。また、バッテリ管理装置12cは、電流値Iic,Isenseのそれぞれの測定を断続的に行っているため、電流値Iic,Isenseのそれぞれの測定を常に行っている場合よりも測定時間を低減させることができる。
【0082】
<バッテリ管理装置12の第4の変形例>
図18は、バッテリ管理装置12の第4の変形例をバッテリ管理装置12dとして示す図である。バッテリ管理装置12dは、バッテリ管理装置12と比較して、加算回路1292をさらに備える。また、バッテリ管理装置12dは、電流測定回路123を備えず、AD変換器1291が電流測定回路123の役割も果たしている。
【0083】
加算回路1292は、抵抗素子R1の両端の電位差V1と、抵抗素子Rsの両端の電位差V2と、を加算して出力する。AD変換器1291は、加算回路1292による加算結果V3(=V1+V2)を検出する。より具体的には、AD変換器1291は、加算回路1292による加算結果V3をデジタル信号に変換して出力する。ここで、抵抗素子R1,Rsのそれぞれ抵抗値は予め決まっているため、AD変換器1291によって検出された電位差V3から、抵抗素子R1,Rsのそれぞれに流れる電流の電流値Iic,Isenseの合計値の算出が可能である。そのため、AD変換器1291による検出結果は、抵抗素子R1,Rsのそれぞれに流れる電流の電流値Iic,Isenseの合計値の測定結果として用いられてもよい。
【0084】
バッテリ管理装置12dは、抵抗素子R1,Rsのそれぞれの抵抗値を略同一にするか、抵抗素子Rsの両端の電位差を増幅させる必要があるものの、電流値Iic,Isenseを共通のAD変換器1291を用いて測定することができるため、回路規模の増大を抑制することができる。また、バッテリ管理装置12dは、電流値Iic,Isenseの測定結果を一つの測定結果として纏めているため、例えば電流値Isenseの測定結果のみを用いてバッテリ11の残容量を算出する場合と同じファームウェアをそのまま用いることができる。
【0085】
<バッテリ管理装置12の第5の変形例>
図19は、バッテリ管理装置12の第5の変形例をバッテリ管理装置12eとして示す図である。バッテリ管理装置12eは、バッテリ管理装置12と比較して、加算回路1294をさらに備える。
【0086】
加算回路1294は、AD変換器1291による検出結果(抵抗素子R1の両端の電位差に対応するデジタル信号)と、AD変換器である電流測定回路123による検出結果(抵抗素子Rsの両端の電位差に対応するデジタル信号)と、を加算して出力する。加算回路1294による加算結果は、抵抗素子R1,Rsのそれぞれに流れる電流の電流値Iic,Isenseの合計値の測定結果として用いられてもよい。
【0087】
バッテリ管理装置12eは、電流値Iic,Isenseの測定結果を一つの測定結果として纏めているため、例えば電流値Isenseの測定結果のみを用いてバッテリ11の残容量を算出する場合と同じファームウェアをそのまま用いることができる。
【0088】
<実施の形態2>
図20は、実施の形態2にかかるバッテリ管理装置22の一部の構成例を示す図である。バッテリ管理装置12では、抵抗素子R1が、外部端子VCCと電源回路128の高電位側端子との間に設けられていたのに対し、バッテリ管理装置22では、抵抗素子R1が、外部端子GNDと電源回路128の低電位側電源端子との間に設けられている。バッテリ管理装置22のその他の構成については、バッテリ管理装置12の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0089】
バッテリ管理装置22は、バッテリ管理装置12と同等程度の効果を奏することができる。なお、バッテリ管理装置12a~12eにおいても、電流測定回路129又はそれに相当する回路が、外部端子VCCと電源回路128の高電位側端子の間に設けられる代わりに、外部端子GNDと電源回路128の低電位側端子との間に設けられてもよい。
【0090】
<実施の形態3>
図21は、実施の形態3にかかるバッテリ管理装置32の一部の構成例を示す図である。バッテリ管理装置12では、抵抗素子R1が、外部端子VCCと電源回路128の高電位側端子との間に設けられていたのに対し、バッテリ管理装置32では、n(nは2以上の整数)個の抵抗素子R1_1~R1_nが、それぞれ、外部端子VCCとn個の機能ブロックB_1~B_nの高電位側外部端子との間に設けられている。なお、機能ブロックB_1~B_nは、バッテリ管理装置32の内部回路であって、例えば、演算処理回路124、充放電制御回路125等を含む。
【0091】
また、バッテリ管理装置32は、AD変換器1291の代わりに、抵抗素子R1_1~R1_nのそれぞれの両端の電位差を検出するn個のAD変換器1291_1~1291_nを備える。バッテリ管理装置32のその他の構成については、バッテリ管理装置12の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0092】
ここで、抵抗素子R1_1~R1_nのそれぞれの抵抗値は予め決まっているため、AD変換器1291_1~1291_nのそれぞれによる検出結果から、抵抗素子R1_1~R1_nのそれぞれに流れる電流の電流値Iic_1~Iic_nの算出が可能である。そのため、AD変換器1291_1~1291_nのそれぞれによる検出結果は、抵抗素子R1_1~R1_nのそれぞれに流れる電流の電流値Iic_1~Iic_nの測定結果として用いられてもよい。なお、電流値Iic_1~Iic_nの合計値は、電流値Iicに相当する。
【0093】
バッテリ管理装置32は、バッテリ管理装置12と同等程度の効果を奏することができる。また、バッテリ管理装置32は、各機能ブロックに供給される電流の電流値を検出することができるため、故障した機能ブロックを特定することができる。
【0094】
<バッテリ管理装置32の変形例>
図22は、バッテリ管理装置32の変形例をバッテリ管理装置32aとして示す図である。バッテリ管理装置32aは、複数のAD変換器1291_1~1291_nを備える代わりに、セレクタ1295及び1つのAD変換器1291を備える。セレクタ1295は、抵抗素子R1_1~R1_nのそれぞれの両端の電位差の何れかを選択的に出力する。AD変換器1291は、セレクタ1295によって選択された電位差を検出する。バッテリ管理装置32のその他の構成については、バッテリ管理装置32の場合と同様であるため、その説明を省略する。バッテリ管理装置32aは、バッテリ管理装置32と同等程度の効果を奏することができる。
【0095】
<実施の形態4>
図23は、実施の形態4にかかるバッテリ管理装置42の一部の構成例を示す図である。バッテリ管理装置42は、抵抗素子R1の両端の電位を比較する比較回路133と、比較回路133から、抵抗素子R1の両端の電位差が閾値以上を示す、という比較結果が出力された場合に、バッテリ11からバッテリ管理装置42に供給される過電圧及び過電流の少なくとも何れかから当該バッテリ管理装置42を保護する保護回路134と、をさらに備える。バッテリ管理装置42のその他の構成については、バッテリ管理装置12の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0096】
バッテリ管理装置42は、バッテリ管理装置12と同等程度の効果を奏することができる。また、バッテリ管理装置42は、バッテリ11からバッテリ管理装置42に供給される過電圧及び過電流の少なくとも何れかから当該バッテリ管理装置42を保護することができる。
【0097】
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0098】
また、本開示は、バッテリ管理装置12の処理の一部又は全部を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することが可能である。
【0099】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM(Random-Access Memory)、ROM(Read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、SSD(Solid-State Drive)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0100】
1 バッテリパック
50 負荷
11 バッテリ
12 バッテリ管理装置
12a,12b,12c,12d,12e バッテリ管理装置
14 充放電FET
15 温度センサ
16 バッテリ
17 定電流源
22 バッテリ管理装置
32 バッテリ管理装置
32a バッテリ管理装置
42 バッテリ管理装置
121 セレクタ
122 電圧測定回路
123 電流測定回路
124 演算処理回路
125 充放電制御回路
126 通信回路
127 記憶回路
128 電源回路
129 電流測定回路
130 切替制御回路
131 比較回路
132 切替制御回路
133 比較回路
134 保護回路
1291 AD変換器
1291_1~1291_n AD変換器
1292 加算回路
1294 加算回路
1295 セレクタ
B_1~B_n 機能ブロック
R1 抵抗素子
R1_1~R1_n 抵抗素子
Rs 抵抗素子
R3 抵抗成分
R4 抵抗素子
SW11,SW12 スイッチ素子
SW21,SW22 スイッチ素子
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
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図19
図20
図21
図22
図23