(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021140
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/24 20120101AFI20240208BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240208BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G06Q20/24
G06F3/01 560
G06F3/16 600
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123760
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 玄希
【テーマコード(参考)】
5E555
5L055
【Fターム(参考)】
5E555AA52
5E555AA64
5E555BA04
5E555BB04
5E555BC04
5E555CA45
5E555CA47
5E555CB74
5E555CB81
5E555CB82
5E555CC01
5E555CC03
5E555DA22
5E555DA23
5E555DA24
5E555DD08
5E555EA03
5E555EA05
5E555FA00
5L055AA52
(57)【要約】
【課題】 ユーザ端末によりユーザの支払いに関する情報を提示することができる情報処理装置等を提供する。
【解決手段】 少なくとも一つの決済手段による決済に関する決済情報のうちの、所定条件を満たす決済情報に係る支払金額に基づき、所定期間における支払の累積金額を算出する累積金額算出部と、支払金額の累積に対する閾値を設定する閾値設定部と、ユーザ端末から出力される音または振動の出力態様を設定する出力態様設定部と、累積金額算出部により算出される支払の累積金額が、閾値設定部に設定された閾値に到達または超過した場合したことを、出力態様設定部に設定された出力態様の音または振動をユーザ端末から出力させることで通知する通知部と、を備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの決済手段による決済に関する決済情報のうちの、所定条件を満たす前記決済情報に係る支払金額に基づき、所定期間における支払の累積金額を算出する累積金額算出部と、
前記支払金額の累積に対する閾値を設定する閾値設定部と、
ユーザ端末から出力される音または振動の出力態様を設定する出力態様設定部と、
前記累積金額算出部により算出される前記支払の累積金額が、前記閾値設定部に設定された前記閾値に到達または超過した場合したことを、前記出力態様設定部に設定された前記出力態様の音または振動を前記ユーザ端末から出力させることで通知する通知部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記累積金額算出部は、複数の前記決済手段に係る前記決済情報に基づいて、前記累積金額を算出する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記閾値設定部には、複数の前記閾値が設定され、
前記出力態様設定部には、複数の前記閾値のそれぞれに対応する複数の前記出力態様が設定される、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定条件の設定、前記閾値設定部に係る設定及び前記出力態様設定部に係る設定のうちの少なくともいずれかは、ユーザからの入力に基づいて又は機械学習に基づいて、更新可能である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザ端末の使用環境を検出する使用環境検出部を備え、
前記出力態様設定部は、前記使用環境検出部により検出される前記使用環境に応じて異なる複数の前記出力態様を設定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記通知部は、前記決済情報を取得した時に通知を実行する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザ端末の使用環境を検出する使用環境検出部を備え、
前記通知部は、前記使用環境検出部により検出される前記使用環境に応じたタイミングで通知を実行する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
少なくとも一つの決済手段による決済に関する決済情報のうちの、所定条件を満たす前記決済情報に係る支払金額に基づき、所定期間における支払の累積金額を算出する累積金額算出ステップと、
前記支払金額の累積に対する閾値を設定する閾値設定ステップと、
ユーザ端末から出力される音または振動の出力態様を設定する出力態様設定ステップと、
前記累積金額算出ステップにより算出される前記支払の累積金額が、前記閾値設定ステップにより設定された前記閾値に到達または超過した場合したことを、前記出力態様設定ステップにより設定された前記出力態様の音または振動を前記ユーザ端末から出力させることで通知する通知ステップと、
を備える、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クレジットカードを用いた支払いに関する情報、例えば、利用金額の総和などを、店舗に設定された端末装置によりクレジットカードのユーザに対して通知するカード決済システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のシステムでは、ユーザ端末によりユーザの支払いに関する情報を提示することができない。
【0005】
そこで、1つの側面では、本発明は、ユーザ端末によりユーザの支払いに関する情報を提示することができる情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)1つの態様では、
少なくとも一つの決済手段による決済に関する決済情報のうちの、所定条件を満たす前記決済情報に係る支払金額に基づき、所定期間における支払の累積金額を算出する累積金額算出部と、
前記支払金額の累積に対する閾値を設定する閾値設定部と、
ユーザ端末から出力される音または振動の出力態様を設定する出力態様設定部と、
前記累積金額算出部により算出される前記支払の累積金額が、前記閾値設定部に設定された前記閾値に到達または超過した場合したことを、前記出力態様設定部に設定された前記出力態様の音または振動を前記ユーザ端末から出力させることで通知する通知部と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
(2)上記の態様において、好ましくは、
前記累積金額算出部は、複数の前記決済手段に係る前記決済情報に基づいて、前記累積金額を算出することを特徴とする。
【0008】
(3)上記の態様において、好ましくは、
前記閾値設定部には、複数の前記閾値が設定され、
前記出力態様設定部には、複数の前記閾値のそれぞれに対応する複数の前記出力態様が設定されることを特徴とする。
【0009】
(4)上記の態様において、好ましくは、
前記所定条件の設定、前記閾値設定部に係る設定及び前記出力態様設定部に係る設定のうちの少なくともいずれかは、ユーザからの入力に基づいて又は機械学習に基づいて、更新可能であることを特徴とする。
【0010】
(5)上記の態様において、好ましくは、
前記ユーザ端末の使用環境を検出する使用環境検出部を備え、
前記出力態様設定部は、前記使用環境検出部により検出される前記使用環境に応じて異なる複数の前記出力態様を設定することを特徴とする。
【0011】
(6)上記の態様において、好ましくは、
前記通知部は、前記決済情報を取得した時に通知を実行することを特徴とする。
【0012】
(7)上記の態様において、好ましくは、
前記ユーザ端末の使用環境を検出する使用環境検出部を備え、
前記通知部は、前記使用環境検出部により検出される前記使用環境に応じたタイミングで通知を実行することを特徴とする。
【0013】
(8)1つの態様では、
少なくとも一つの決済手段による決済に関する決済情報のうちの、所定条件を満たす前記決済情報に係る支払金額に基づき、所定期間における支払の累積金額を算出する累積金額算出ステップと、
前記支払金額の累積に対する閾値を設定する閾値設定ステップと、
ユーザ端末から出力される音または振動の出力態様を設定する出力態様設定ステップと、
前記累積金額算出ステップにより算出される前記支払の累積金額が、前記閾値設定ステップにより設定された前記閾値に到達または超過した場合したことを、前記出力態様設定ステップにより設定された前記出力態様の音または振動を前記ユーザ端末から出力させることで通知する通知ステップと、
を備えることを特徴とする。
これらの累積金額算出ステップ、閾値設定ステップ、出力態様設定ステップ、通知ステップは、コンピュータにプログラムを実装することにより実行可能とされる。
【発明の効果】
【0014】
1つの側面では、本発明によれば、ユーザ端末によりユーザの支払いに関する情報を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施例の情報処理装置を含む情報処理システムの構成を示す図である。
【
図1A】情報処理装置に相当するユーザ端末の構成を示す図である。
【
図2】条件設定部により設定される条件設定情報のデータ構成を示す図である。
【
図3】閾値設定部により設定される閾値設定情報のデータ構成を示す図である。
【
図3A】閾値設定部による累積期間の更新処理を示すフローチャートである。
【
図4】出力態様設定部により設定される出力態様設定情報のデータ構成を示す図である。
【
図4A】閾値設定情報において、同一の累積金額の算出条件に対し複数の累積期間および複数の閾値を設けた場合の出力態様設定情報の例を示す図である。
【
図5】累積金額算出部により管理される累積金額管理情報のデータ構成を示す図である。
【
図6】累積金額算出部による累積金額算出処理を示すフローチャートである。
【
図7】通知部による通知処理を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の情報処理装置を、通信経路に接続されたサーバにより構成する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら実施例について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施例の情報処理装置を含む情報処理システムの構成を示す図である。
【0018】
図1に示すように、情報処理システムは、例えば、情報処理システムによるサービスを受けるユーザのユーザ端末20と、各店舗に設定される決済端末30と、インターネット等を含む通信経路50と、を含んで構成される。ユーザ端末20の種類は限定されず、ユーザ端末20には、例えば、各種携帯端末が含まれる。
【0019】
また、決済端末30と、通信経路50に接続されたサーバ60A、60B、60C、・・・は、各種決済手段における決済システムを構成している。サーバ60A、60B、60C、・・・は、各種電子マネー決済、クレジットカード決済、銀行デビットカードなどの各決済手段に対応して設けられる。
【0020】
図1Aは、情報処理装置に相当するユーザ端末の構成を示す図である。
【0021】
図1Aに示すように、ユーザ端末20は、累積期間における支払の累積金額を算出して保存する累積金額算出部1と、支払いの累積金額に対する閾値等を設定する閾値設定部2と、ユーザ端末から出力される音または振動の出力態様を設定する出力態様設定部3と、上記支払いの累積金額が上記閾値に到達または超過した場合したことを通知する通知部4と、累積金額の算出条件を設定する条件設定部5と、ユーザ端末20の使用環境を検出する使用環境検出部6とを備える。
【0022】
累積金額算出部1、閾値設定部2、出力態様設定部3、通知部4、条件設定部5および使用環境検出部6の機能は、ユーザ端末20に所定のアプリケーションソフトウェアを実装することにより実現できる。これにより、ユーザは、各決済手段に係る支払い金額を、ユーザ端末20においてリアルタイムに一括管理することができる。
【0023】
図1~
図1Aでは、ユーザ端末20により情報処理装置を構成する例を示しているが、情報処理装置の構成要素の一部または全部を、1つまたは複数のコンピュータ(端末装置)に設けてもよい。例えば、情報処理装置の構成要素の一部または全部を、通信経路50に接続された1つまたは複数のサーバに設けてもよい。
【0024】
累積金額算出部1は、少なくとも一つの決済手段による決済に関する決済情報のうち、累積金額の算出条件を満たす上記決済情報に係る支払金額に基づき、所定期間における支払の累積金額を算出する。決済情報には、決済手段、支払金額などが含まれる。決済情報は、実際の店舗での決済に関するものでもよく、ネットショッピングでの決済に関するものでもよい。
【0025】
決済手段は任意であるが、例えば、各種電子マネー決済、クレジットカード決済、銀行デビットカード、二次元バーコードを用いた決済などが含まれる。累積金額算出部1は、決済に関する決済情報のうち、支払金額を含む必要な情報を取得する。また、累積金額算出部1は、取得された支払金額を累計することにより、所定期間内における支払の累積金額を算出する。累積金額算出部1が決済情報を取得する方法やタイミングは任意であるが、例えば、決済時、または決済後に、決済端末30または通信経路50を介して、累積金額算出部1は支払金額を含む決済情報を取得することができる。
【0026】
閾値設定部2は、ユーザの入力操作に基づき、通知部4による通知が行われる条件を構成する閾値等を設定、更新する。本実施例では、累積金額算出部1により算出される支払いの累積金額が、この閾値に到達または超過した場合したことを条件として、通知部4による通知が行われる。
【0027】
出力態様設定部3は、ユーザの入力操作に基づき、通知部4による通知に使用される音または振動の出力態様を設定、更新する。
【0028】
通知部4は、出力態様設定部3により指定された出力態様の音または振動をユーザ端末20から出力させることにより、累積金額算出部1により算出される支払いの累積金額が上記の閾値に到達または超過した場合したことをユーザに通知する。
【0029】
条件設定部5は、ユーザの入力操作に基づき、累積金額の算出条件を設定、更新する。累積金額の算出条件は、ユーザの支払いのうち、累積金額算出部1による支払いの累積金額を算出する対象とするか否かを定める条件である。累積金額の算出条件はユーザが自由に設定できる。
【0030】
使用環境検出部6は、ユーザ端末20の使用環境を検出する。例えば、使用環境検出部6は、ユーザ端末20からの音声出力状態がイヤフォンを介する状態か、スピーカーを介する状態かを検出できる。音声出力状態は、例えば、通知部4による通知に使用される音または振動の出力態様に反映させることができる。また、例えば、使用環境検出部6は、ユーザ端末20のマイクロフォンを介してユーザ端末20の周辺の騒音レベルを検出できる。騒音レベルは、例えば、通知部4による通知に使用される音または振動の出力態様に反映させることができる。また、使用環境検出部6は、ユーザ端末20のGPS等を介してユーザ端末20の位置、すなわちユーザの位置を検出できる。ユーザ端末20の位置情報は、例えば、通知部4による通知のタイミングを決める情報として利用できる。
【0031】
以下、本実施例の情報処理装置に動作について説明する。
【0032】
図2は、条件設定部により設定される条件設定情報のデータ構成を示す図である。
【0033】
図2に示すように、条件設定部5は、条件設定情報により、累積金額の算出条件と、対象リストとを対応付けている。累積金額の算出条件として、1つの条件または複数の条件を設定することができる。累積金額の算出条件が複数、設定される場合には、それぞれの累積金額の算出条件に対象リストが対応付けられる。
【0034】
累積金額算出部1において算出される累積金額の算出条件は、条件設定部5を介してユーザが自由に設定できる。ユーザにより設定された累積金額の算出条件は、対象リストに対応付けて保存、更新することができる。対象リストは、支払いの累積金額を算出する条件を満たす対象を特定するデータである。
【0035】
対象リストを保存、更新する方法として、ユーザは、累積金額の算出の対象としない購入品目を、既存の対象リストから除外することができる。例えば、ユーザは、語学教室等の自己投資、冠婚葬祭、旅行、書籍代、飲み会、高額な特定商品(例えば、車)などの必要な支払いを対象リストから除外することができる。また、ユーザの操作に従って、特定の期間、例えば、旅行期間の支払い分を対象リストから除外可能としてもよい。また、カレンダーの予定を連動させることにより、自動的に特定の日や特定の期間の支払いを対象リストから除外してもよい。
【0036】
また、これとは逆に、ユーザは、支払いの累積金額を算出する対象とする品目を対象リストにより指定することができる。例えば、ユーザは、昼食代、おやつ、タバコ、缶コーヒー等の特定の商品を当該条件を満たす品目として対象リストで限定し、あるいは対象リストに追加することができる。
【0037】
また、ユーザは、支払いの累積金額を算出する対象となる決済手段を自由に設定でき、その設定内容を、条件設定部5に対象リストとして保存、更新することができる。
【0038】
この場合も、ユーザは、累積金額の算出の対象としない決済手段を対象リストから除外することができる。例えば、ユーザは、特定のクレジットカードを介する支払いを対象リストから除外することができる。また、これとは逆に、ユーザは、累積金額の算出の対象とする決済手段を対象リストに加えることができる。例えば、ユーザは、特定のクレジットカードを介する支払いを対象リストに加えることができる。
【0039】
ユーザは、例えば、累積金額算出部1において算出される累積金額を、すべての決済手段での支払の総額とすることができる。この場合、例えば、累積金額算出部1において、各種電子マネー決済、クレジットカード決済、銀行デビットカード、二次元バーコードを用いた決済など、すべての決済手段における支払の累積金額を算出することにより、使用した決済手段と無関係に、支払金額の総額を管理することができる。
【0040】
また、ユーザは、累積金額算出部1において算出される累積金額を、決済手段の一部(1つの決済手段または複数の決済手段)の累積金額に限定して対応付けることができる。この場合、例えば、累積金額算出部1において、特定のクレジット会社のクレジット決済の総額を個別に管理することができる。
【0041】
さらに、ユーザは、決済情報に示される購入品目以外の条件や、使用環境検出部6において検出される条件を利用して、累積金額の算出条件を設定することができる。ユーザは、特定の購入日時(曜日や月、特定の期間、特定の時間帯、休日など)における支払いを対象リストから除外し、または対象リストに加えることができる。また、ユーザは、特定の購入場所(自宅の近傍、職場の近傍、旅先、特定の店舗など)に対応する支払いを対象リストから除外し、または対象リストに加えることができる。
【0042】
決済情報に示される条件や、使用環境検出部6において検出される使用環境情報に示される条件を複数、組み合わせることで、累積金額の算出条件を設定することもできる。例えば、平日(勤務日)のランチは、対象リストに入れ、休日のランチは、対象リストから除外するような設定も可能とされる。
【0043】
条件設定情報(
図2)の初期設定(デフォルト)により、ユーザによる累積金額の算出条件の設定作業の負担を軽減することができる。例えば、初期設定として、すべての支払いを対象リストに含めた状態としてもよい。この場合、ユーザは、累積金額の算出の対象としない品目を対象リストから除外することで、所望の対象リストを作成できる。
【0044】
ユーザは、複数の累積金額の算出条件、すなわち、複数の対象リストを作成することもできる。例えば、購入品目が異なる複数の対象リストを作成することにより、購入品目ごとに累積金額を別々に管理することができる。例えば、ユーザは、すべての支払い金額の総額と、特定の購入品目に対する支払い金額とを区別して管理することができる。また、ユーザは、累積金額を算出する対象となる決済手段が異なる複数の対象リストを作成することにより、決済手段ごとに累積金額を別々に管理することができる。
【0045】
図3は、閾値設定部により設定される閾値設定情報のデータ構成を示す図である。
【0046】
図3に示すように、閾値設定部2は、閾値設定情報により、累積金額の算出条件と、累積期間と、閾値とを対応付ける。累積期間および閾値は、ユーザが自由に設定できる。
【0047】
累積期間は、支払金額の累積を算出する期間であり、累積を開始するタイミングと、累積の算出を継続する時間により規定される。例えば、累積を開始するタイミングと、累積の算出を継続する期間の組み合わせとして、月初め(当月1日の午前0時)から1ヶ月間、特定の曜日(例えば、月曜日、土曜日)の午前0時から1週間などの累積算出期間を選択できる。累積期間は任意の長さに設定できる。ユーザの設定操作を支援するため、所定の累積期間、例えば、1週間、10日間、1か月間、3か月間などの長さの累積期間をデフォルトとして用意してもよい。
【0048】
閾値設定情報の累積期間は、累積期間が満了すると、閾値設定部2によって、累積期間が次の期間に更新される。例えば、累積期間が月初め(当月1日の午前0時)から1か月間に設定されている場合、次の月初めに累積期間が翌月の期間(翌月1日の午前0時から1か月間)に切り替えられる。累積期間が切り換えられても、ユーザによる変更の指示がない限り、閾値はそのまま維持される。
【0049】
閾値は、通知部4による通知の可否を規定する値であり、累積金額が閾値に到達または超過した場合したことを条件として、通知部4による通知が実行される。
【0050】
閾値設定情報では、同一の累積金額の算出条件に対し、複数の累積期間を設定することができる。また、閾値設定情報では、同一の累積金額の算出条件および累積期間に対して、複数の閾値を対応付けることもできる。
【0051】
同一の累積金額の算出条件に対し、複数の累積期間を設定し、各累積期間に対し、異なる閾値を設定してもよい。例えば、1週間に対応する閾値(例えば、1万円)と、1か月間に対応する閾値(例えば、3万円)とを別々に設定してもよい。
【0052】
図3Aは、閾値設定部による累積期間の更新処理を示すフローチャートである。
【0053】
図3AのステップS12では、閾値設定部2は、閾値設定情報(
図3)に示す累積期間と現在時刻とを対比し、いずれかの累積金額の算出条件の累積期間が満了するのを待って、処理をステップS14へ進める。
【0054】
ステップS14では、閾値設定部2は、当該累積金額の算出条件に対応付けられた累積期間(
図3)を更新し、処理をステップS12へ進める。
【0055】
図4は、出力態様設定部により設定される出力態様設定情報のデータ構成を示す図である。
【0056】
図4に示すように、出力態様設定部3は、出力態様設定情報により、出力態様と、累積金額の算出条件と、使用環境情報とを対応付ける。
【0057】
出力態様は、通知部4によりユーザ端末20から出力される音または振動の態様を規定する情報である。また、使用環境情報は、使用環境検出部6により検出されるユーザ端末20の使用環境を示す情報である。
図4に示すように、出力態様は、累積金額の算出条件と、使用環境とにより指定することができる。これにより、例えば、同じ累積金額の算出条件に対して、使用環境に応じた異なる出力態様での通知を可能としている。
【0058】
図4Aは、閾値設定情報において、同一の累積金額の算出条件に対し複数の累積期間および複数の閾値を設けた場合の出力態様設定情報の例を示す図である。
【0059】
図4Aの例では、同一の累積金額の算出条件に対し、2つの累積期間(1か月間および10日間)を設定している。また、それぞれの累積期間に対して、3つの閾値を設定している。この場合、累積期間と閾値の組み合わせのそれぞれに対し、出力態様として異なる音(音1~音6)を対応付けている。例えば、5月における累積金額が1万円以上、1万2000円未満であれば、通知部4により「音1」で示す音が出力される。また、5月における累積金額が1万2000円以上、1万5000円未満であれば、通知部4により「音2」で示す音が、5月における累積金額が1万5000円以上であれば、通知部4により「音3」で示す音が、それぞれ出力される。
【0060】
したがって、ユーザは、通知部4により出力される音により、1ヶ月単位および10日間単位でのおおまかな累積金額を認識できる。
【0061】
図5は、累積金額算出部により管理される累積金額管理情報のデータ構成を示す図である。
図5に示すように、累積金額算出部1は、累積金額管理情報により、累積金額の算出条件と、現在、算出されている累積金額とを対応付ける。
【0062】
図6は、累積金額算出部による累積金額算出処理を示すフローチャートである。
【0063】
図6のステップS101では、累積金額算出部1は、新たな決済情報が取得されるのを待って、ステップS102へ処理を進める。
【0064】
図6のステップS102では、累積金額算出部1は、閾値設定部2によって累積期間(
図3)が新たに更新されている(
図3AのステップS14)か否か判断し、判断が肯定されれば、ステップS102Aへ処理を進め、判断が否定されれば処理をステップS104へ進める。
【0065】
ステップS102Aでは、累積金額算出部1は、累積金額管理情報のうち、累積期間が更新された累積金額の算出条件に対応する累積金額(
図5)をクリアし(ゼロにし)、ステップS104へ処理を進める。
【0066】
ステップS104では、累積金額算出部1は、使用環境検出部6により検出されている使用環境情報を取得する。
【0067】
ステップS106では、累積金額算出部1は、条件設定情報(
図2)にアクセスし、累積金額の算出条件(
図2)を1つ選択する。
【0068】
ステップS108では、累積金額算出部1は、ステップS106で取得された累積金額の算出条件に対応する対象リスト(
図2)と、ステップS102で取得された決済情報およびステップS104で取得された使用環境情報とを比較し、今回の決済が累積金額の算出条件に合致するか否か判断する。累積金額算出部1は、判断が肯定されれば処理をステップS110へ進め、判断が否定されれば処理をステップS114へ進める。
【0069】
ステップS110では、累積金額算出部1は、累積金額管理情報(
図5)の累積金額に決済情報に含まれる支払金額を加算することで、選択されている累積金額の算出条件に対応付けられた累積金額を更新し、処理をステップS112へ進める。
【0070】
ステップS112では、累積金額算出部1は、ステップS106において未選択の累積金額の算出条件(
図2)があるか否か判断し、判断が肯定されれば処理をステップS106へ進め、判断が否定されれば処理をステップS101へ進める。なお、判断が肯定される場合、ステップS106では、未選択の累積金額の算出条件(
図2)のうちの1つを選択し、ステップS108~S110の処理が繰り返される。
【0071】
図7は、通知部による通知処理を示すフローチャートである。
【0072】
図7のステップS202では、通知部4は、累積金額算出部1による累積金額の新たな更新(ステップS110)があるのを待って、ステップS204へ処理を進める。
【0073】
ステップS204では、通知部4は、ステップS110において更新された累積金額が、対応する閾値(
図3)を超過しているか否か判断し、判断が肯定されれば処理をステップS206へ進め、判断が否定されれば処理をステップS202へ進める。
【0074】
ステップS206では、通知部4は、出力態様設定情報(
図4)にアクセスし、ステップS202の判断の対象とされた累積金額の算出条件と、使用環境情報とを取得する。また、通知部4は、取得された累積金額の算出条件と、使用環境情報と、使用環境検出部6から得られる現在の使用環境と、に基づいて出力態様を決定する。
【0075】
ステップS208では、通知部4は、ステップS206で決定された出力態様の音または振動をユーザ端末20から出力させ、処理をステップS202へ進める。
【0076】
このように、
図7に示す通知処理では、更新された累積金額が対応する閾値に到達または超過した場合した場合には、実質的な支払い時など、累積金額算出部1が決済情報を取得した時点で、音または振動がユーザ端末20から出力される。これにより、ユーザは、累積金額が閾値に到達または超過した場合したことを知ることができる。また、音または振動の出力態様の違いにより、ユーザは、累積金額が閾値に到達または超過した場合した累積金額の算出条件がどの条件であるかを知ることができる。さらに、使用環境情報(
図4)に応じた出力態様を設定できるため、ユーザ端末20の使用環境に適した出力態様を選択できる。例えば、スピーカー使用時には、通知の意味を他人に知られることのない、抽象的な音や振動で通知し、イヤフォン装着時には、累積金額が閾値に到達または超過した場合したことや、追加の情報を具体的に音声で通知してもよい。また、例えば、使用環境検出部6が、ユーザ端末20と家庭のWiFiとの接続を認識したとき又はユーザ端末20のスマートロックを解除したことを認識したときなど、ユーザが自宅にいると判断される場合には、音や振動ではなく内容を通知してもよい。音声を用いる場合には、例えば、「今週の管理対象支出総額は1万円を超えました。いつもよりやや多くなっています。」など、抽象的な音や振動での通知の場合よりも詳細な内容を通知してもよい。また、使用環境検出部6により検出される、ユーザ端末20の周囲の騒音のレベルに応じて出力態様を切り替えてもよい。
【0077】
通知部4による通知を行うタイミングは、任意に設定することができる。ユーザ端末20(通知部4)が、決済情報を取得した時に通知を行ってもよい。例えば、ユーザ端末20は、店舗に設定される決済端末30から決済情報を取得しうる。また、ユーザ端末20は、通信経路50を介してサーバ60A、60B、60C、その他のサーバ(後述のサーバ40を含む)から決済情報を取得しうる。決済情報を取得した時に通知部4からの通知を行うことにより、ユーザは、現在の支払い状況等を早期に認識できる。なお、ユーザ端末20が複数の手段で決済情報を取得可能な場合、最初に当該決済情報を取得した時点で通知部4からの通知を行うことにより、ユーザに対し、最も迅速に支払い状況を知らせることができる。
【0078】
また、例えば、特定の店舗に入店したことが、ユーザ端末20の位置情報により検出されたときに、通知部4による通知を行ってもよい。この場合には、その店舗で買い物をする前に、累積金額が閾値に到達または超過した場合したことをユーザが認識できるため、無駄使い等を未然に防ぐことができる。また、通知部4は、ユーザ端末20を介するユーザの問い合わせに応答して通知を行ってもよい。
【0079】
本実施例において、条件設定部5による条件設定情報の設定、更新の少なくとも一部を、ユーザの入力操作やユーザの購買履歴等に対する機械学習に基づいた学習モデルにより実行してもよい。この場合、機械学習の対象となるユーザの設定操作等が増えるほど、学習モデルの精度が向上し、ユーザの操作負担を低減することができる。例えば、本実施例において、条件設定部5による条件設定情報が最初から完璧な設定ではなくても、徐々に学習するようにしてもよい。具体的には、
図2の対象リストに記載する内容を、購買履歴から上位概念化したリストを生成してから学習によって下位概念化してもよい。例えば、ケーキの購入情報から、上位概念として「菓子」を対象リストに設定し、ユーザからのリアクションに基づいて、下位概念として「和菓子」または「洋菓子」を対象リストにするよう学習してもよい。なお、購買履歴は、累積金額算出部1により取得される決済情報に基づいて取得できる。
【0080】
また、本実施例において、閾値設定部2による閾値設定情報または出力態様設定部3による出力態様設定情報の設定、更新の少なくとも一部についても、ユーザの入力操作やユーザの購買履歴等に対する機械学習に基づいた学習モデルにより実行してもよい。この場合も、機械学習の対象となるユーザの設定操作等が増えるほど、学習モデルの精度が向上し、ユーザの操作負担を低減することができる。例えば、ユーザからのリアクションに基づいて、音や振動の出力態様として、大きさ・音量、長さ、回数を学習してもよい。
【0081】
図8は、本発明の情報処理装置を、通信経路に接続されたサーバにより構成する例を示す図である。
【0082】
図8の例では、累積金額算出部1、閾値設定部2、出力態様設定部3、通知部4、条件設定部5および使用環境検出部6が、通信経路50に接続されたサーバ40に設けられている。サーバ40は、例えば、情報処理システムによるサービスの提供者により管理される。
【0083】
図8の例では、所定の決済手段を利用するユーザの決済情報がサーバ40により取得され、累積金額算出部1による累積金額の算出や通知部4による通知を含む一連の処理がサーバ40において実行される。これにより、ユーザの買物に係る支払い金額を、サーバ40においてリアルタイムに一括管理することができる。この場合、ユーザ端末20に所定のアプリケーションソフトウェアを実装することにより、ユーザはユーザ端末20を介して、サーバ40に対する様々な設定や、通知部4からの通知の受信をすることができる。
【0084】
なお、情報処理装置の構成要素の一部を、ユーザ端末20や他のコンピュータに設けてもよい。
【0085】
以上説明したように、本実施例の情報処理装置によれば、ユーザの支払いに関する情報を提示することができる。また、本実施例の情報処理装置によれば、決済情報に基づき、1つまたは複数の決済手段に係るユーザの支払い金額を一元的に管理できる。例えば、支払い金額を知りたいときに、その度に決済手段に対応するアプリを立ち上げ、支払い金額の照会をするような作業をすることなく、ユーザは支払いに関する有用な情報を取得できる。
【0086】
また、条件設定部5を介する設定により、管理の対象となる購入品目をユーザが自由に設定できる。このため、ユーザは、例えば、必要な出費を管理対象から除外しつつ、様々な決済手段に係る支払い、例えば日常的な出費金額を一元的に管理できる。これにより、例えば、ユーザの無駄使いなどを回避することができる。また、条件設定部5を介する設定により、特定の決済手段のみを管理対象とすることができる。このため、決済手段に応じた適切な出費の管理が可能となる。
【0087】
また、本実施例では、ユーザ端末20の音または振動により、ユーザに対し通知部4による通知を行うことができる。このため、ユーザは他人に通知内容を知られることなく、支払い金額を管理できる。また、音または振動の出力態様を複数設け、出力態様を通知内容によって使い分けることにより、ユーザは通知内容を区別することが可能となる。
【0088】
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素の全部又は複数を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 累積金額算出部
2 閾値設定部
3 出力態様設定部
4 通知部
5 条件設定部
6 使用環境検出部
20 ユーザ端末