(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021144
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】スプレー装置
(51)【国際特許分類】
B22D 17/20 20060101AFI20240208BHJP
B22D 17/22 20060101ALI20240208BHJP
B05B 7/08 20060101ALI20240208BHJP
B22D 18/02 20060101ALN20240208BHJP
B22D 18/04 20060101ALN20240208BHJP
B22C 9/06 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
B22D17/20 D
B22D17/22 D
B05B7/08
B22D18/02 X
B22D18/04 Q
B22D18/04 Y
B22C9/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123772
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000153270
【氏名又は名称】株式会社日本高熱工業社
(74)【代理人】
【識別番号】100112531
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 亮
(72)【発明者】
【氏名】中田 卓哉
(72)【発明者】
【氏名】竹内 俊介
(72)【発明者】
【氏名】渡部 一樹
(72)【発明者】
【氏名】河本 大
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 紀之
【テーマコード(参考)】
4E093
4F033
【Fターム(参考)】
4E093NA01
4E093NB02
4E093NB05
4F033QA04
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4F033QF07Y
4F033QF21X
4F033QK02X
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4F033QK04Y
4F033QK09X
4F033QK09Y
4F033QK12X
4F033QK12Y
4F033QK18Y
4F033QK23X
4F033QK23Y
4F033QK26X
4F033QK26Y
(57)【要約】
【課題】 ダイカストマシンの金型内面に液体を均一且つ確実に噴霧することができるスプレー装置を提供する。
【解決手段】 金型に液体を噴霧するスプレーノズル4と、これに嵌合する外嵌部材5を備え、スプレーノズルには、先端が開口し液体送路1から圧送された液体を通過させる液体噴出路6と、先端が開口し第1の気体送路2から圧送された気体を通過させる第1の気体噴出路7を形成し、外嵌部材には、先端が開口し第2の気体送路3から圧送された気体を通過させる第2の気体噴出路8を形成し、第2の気体噴出路から噴出させる気体をスプレーノズルから放出された噴霧流に対し衝突させ得るようにしたことを特徴としている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイカストマシンの金型に霧化した流体を噴霧するスプレー装置において、
前記スプレー装置は、液体供給源から供給される液体を圧送する液体送路と、気体供給源から供給される気体をそれぞれ別々に圧送する第1の気体送路と第2の気体送路と、前記液体送路から圧送された液体と前記第1の気体送路から圧送された気体を混合して噴霧するスプレーノズルと、前記スプレーノズルの少なくとも先端部外周を覆うように設けられ前記第2の気体送路から圧送された気体を外部に噴出する外嵌部材とを備え、
前記スプレーノズルには、先端が開口し前記液体送路から圧送された液体を通過させる液体噴出路と、先端が開口し前記第1の気体送路から圧送された気体を通過させる第1の気体噴出路が形成され、
前記外嵌部材には、先端が開口し前記第2の気体送路から圧送された気体を通過させる第2の気体噴出路が形成され、
前記第2の気体噴出路から噴出させる気体を前記スプレーノズルから放出された噴霧流に対し衝突させ得るようにしたことを特徴とするスプレー装置。
【請求項2】
ダイカストマシンの金型に霧化した液体を噴霧するスプレー装置において、
前記スプレー装置は、液体供給源から供給される液体を圧送する液体送路と、気体供給源から供給される気体をそれぞれ別々に圧送する第1の気体送路と第2の気体送路と、前記液体送路から圧送された液体と前記第1の気体送路から圧送された気体を混合して噴霧するスプレーノズルと、前記スプレーノズルの少なくとも先端部外周を覆うように設けられた外嵌部材とを備え、
前記スプレーノズルには、先端が開口し前記液体送路から圧送された液体を通過させる液体噴出路と、先端が開口し前記第1の気体送路から圧送された気体を通過させる第1の気体噴出路が形成され、
前記スプレーノズルと前記外嵌部材の間に形成された周回状の間隙部分には、先端が開口し前記第2の気体送路から圧送された気体を通過させる第2の気体噴出路が形成され、
前記第2の気体噴出路から噴出させる気体を前記スプレーノズルから放出された噴霧流に対し衝突させ得るようにしたことを特徴とするスプレー装置。
【請求項3】
前記第2の気体噴出路の開口側端部が内側に向かって傾斜状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載のスプレー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカストマシンの金型に霧化した液体を噴霧するスプレー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶融したアルミニウム合金等を高速・高圧で金型内に射出して成型するダイカストマシンによる鋳造は、生産性や寸法精度に優れていることから、種々の工業製品の生産に広く用いられている。そして、このようなダイカストマシンを利用する場合、金型から成形品を取り出す際の型離れを容易にするため、成型前の金型内面に予め離型剤を噴霧したり、成型時に高温になった金型を一旦冷却する必要から、成型前の金型内面に冷却水を噴霧するといったことが行われている。
【0003】
そして、前述した金型内面に離型剤や冷却水といった液体を噴霧するにあたり、例えば、特許文献1及び2に示されているように、液体供給源から供給される液体と、気体供給源から供給される気体をスプレーノズルに圧送し、これら液体と気体を混合させて噴霧するといった手段が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4942875号公報
【特許文献2】特開2007-90221号公報
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に示されているような単に液体と気体を混合させて噴霧するスプレーノズルを用いた場合、次のような問題が起こり得る。その1つは、高温になった金型に液体を噴霧する際、その金型の温度に対して噴霧する霧の粒径が大きかった場合、金型の表面に接した液体が蒸気の膜をつくってしまい、その結果、金型表面への熱伝導が妨げられるいわゆるライデンフロスト現象が発生し、ひいては金型を適切に冷却できないことになる。逆に、金型の温度に対して噴霧する霧の粒径が小さかった場合、金型に到達する前に液体が蒸発してしまったり、噴霧流が拡散して適切な量の液体が金型に到達できず、ひいては金型を適切に冷却できないことになる。また、単に液体と気体を混合させて噴霧するスプレーノズルにおける別の問題として、例えば、金型内面に肉抜き部や鋳抜きピンなどの突出した部分があった場合、噴霧した液体が当該突出部分に均一に当たらず、離型剤がうまく塗布できなかったり、冷却水による冷却が不十分になってしまうおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決すべく、金型に噴霧する液体の粒径の大小に拘わらず、また、金型内面に突出した部分が存在しているような場合であっても、金型に対して均一に液体を噴霧することを可能としたスプレー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明は、ダイカストマシンの金型に霧化した流体を噴霧するスプレー装置において、前記スプレー装置は、液体供給源から供給される液体を圧送する液体送路と、気体供給源から供給される気体をそれぞれ別々に圧送する第1の気体送路と第2の気体送路と、前記液体送路から圧送された液体と前記第1の気体送路から圧送された気体を混合して噴霧するスプレーノズルと、前記スプレーノズルの少なくとも先端部外周を覆うように設けられ前記第2の気体送路から圧送された気体を外部に噴出する外嵌部材とを備え、前記スプレーノズルには、先端が開口し前記液体送路から圧送された液体を通過させる液体噴出路と、先端が開口し前記第1の気体送路から圧送された気体を通過させる第1の気体噴出路が形成され、前記外嵌部材には、先端が開口し前記第2の気体送路から圧送された気体を通過させる第2の気体噴出路が形成され、前記第2の気体噴出路から噴出させる気体を前記スプレーノズルから放出された噴霧流に対し衝突させ得るようにしたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、ダイカストマシンの金型に霧化した液体を噴霧するスプレー装置において、前記スプレー装置は、液体供給源から供給される液体を圧送する液体送路と、気体供給源から供給される気体をそれぞれ別々に圧送する第1の気体送路と第2の気体送路と、前記液体送路から圧送された液体と前記第1の気体送路から圧送された気体を混合して噴霧するスプレーノズルと、前記スプレーノズルの少なくとも先端部外周を覆うように設けられた外嵌部材とを備え、前記スプレーノズルには、先端が開口し前記液体送路から圧送された液体を通過させる液体噴出路と、先端が開口し前記第1の気体送路から圧送された気体を通過させる第1の気体噴出路が形成され、前記スプレーノズルと前記外嵌部材の間に形成された(周回状の)間隙部分には、先端が開口し前記第2の気体送路から圧送された気体を通過させる第2の気体噴出路が形成され、前記第2の気体噴出路から噴出させる気体を前記スプレーノズルから放出された噴霧流に対し衝突させ得るようにしたことを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明における前記第2の気体噴出路は、その開口側端部が内側に向かって傾斜状に形成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スプレーノズルから放出させた噴霧流に対し、第2の気体噴出路から噴出させた気体を衝突させ得るようにしたことから、噴霧流の拡がりを抑制し、金型の狙った箇所に適切且つピンポイント的に噴霧流を到達させることができる。従って、例えば、噴霧した液体が離型剤である場合には、金型に離型剤を均一に付着させることができ、また、噴霧した液体が冷却水である場合には、金型を確実に冷却することができる。さらに、金型内面に突出した部分が存在しているような場合であっても、金型に対してむらなく液体を噴霧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図5】噴霧流に対する第2の気体の衝突を示す模式図。
【
図6】第2実施形態に係るスプレーノズル及び外嵌部材の側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。本発明は、ダイカストマシンの金型に霧化した液体を噴霧するスプレー装置に係るものであり、このスプレー装置は、液体供給源から供給される液体Wを圧送する液体送路1と、気体供給源から供給される気体Aをそれぞれ別々に圧送する第1の気体送路2と第2の気体送路3と、液体送路1から圧送された液体Wと第1の気体送路2から圧送された気体A1を混合して噴霧するスプレーノズル4と、スプレーノズル4の少なくとも先端部外周を覆うように設けられ第2の気体送路から圧送された気体W2を外部に噴出する外嵌部材5とによって概略構成されている。また、この実施形態におけるスプレー装置のスプレーノズル4には、先端が開口し液体送路1から圧送された液体Wを通過させる液体噴出路6と、先端が開口し第1の気体送路2から圧送された気体A1を通過させる第1の気体噴出路7が形成されており、外嵌部材5には、先端が開口し第2の気体送路3から圧送された気体A2を通過させる第2の気体噴出路8が形成されている。なお、本発明に係るスプレー装置は、ダイカストマシンに設けられていることを前提としているため、まず、この実施形態におけるダイカストマシンMの構成について簡単に説明しておく。
【0013】
図1は、本実施形態に係るダイカストマシンMの模式図であり、ダイカストマシンMは、次のように概略構成されている。なお、ここでは、位置関係を明確にするため、便宜上、
図1の左側をダイカストマシンMの前側、
図1の右側をダイカストマシンMの後側として説明する。このダイカストマシンMにおいては、基台10上に固定プラテン11、可動プラテン12、リアプラテン13が所定の間隔をもって立設されている。具体的には、ダイカストマシンMの前寄りの位置に固定プラテン11、ダイカストマシンMの略中央部に可動プラテン12、ダイカストマシンMの後端よりの位置にリアプラテン13が立設されている。そして、固定プラテン11と可動プラテン12のそれぞれの四隅には、両者を連結するようにタイバー14が張架され、可動プラテン12とリアプラテン13のそれぞれの四隅には、両者を連結するようにタイバー15が張架されている。また、固定プラテン11及び可動プラテン12の下端と基台10の間に、可動プラテン12を摺動自在に支持するスライド板16が介装されている。さらに、固定プラテン11の内側面には固定型17が、可動プラテン12の内側面には可動型18がそれぞれ固設されている。また、可動プラテン12とリアプラテン13の間には、トグルリンク19が設けられており、このトグルリンク19は、油圧シリンダによって、可動プラテン12を固定プラテン11に対して接近、あるいは離隔し得るようになっている。すなわち、このトグルリンク19によって、可動プラテン12に固設された可動型18を移動させていわゆる型締め、型開きが行えるようになっている。
【0014】
一方、固定型17からダイカストマシンMの前方にかけて射出機構20が形成されている。具体的には、固定プラテン11及び固定型17の下端部であり、その左右方向の中央部に貫通するように溶湯スリーブ21が形成されている。また、溶湯スリーブ21の前端部は、固定プラテン11の前方に突出し、その上面に給湯口21aが開口されている。さらに、射出スリーブ20の前端部に射出シリンダ22が連結されており、この射出シリンダ22内には、先端に射出プランジャ23を備えたプランジャロッド24が設けられている。そして、射出プランジャ23は射出シリンダ22内を摺動可能になっており、射出スリーブ22の給湯口21aから射出スリーブ22内に給湯されたアルミニウム合金等の金属溶湯を加圧して、型締めされた状態の固定型17と可動型18の間に射出して注湯するようになっている。
【0015】
さらに、固定プラテン11の上端には、ロボット30が配置されている。このロボット30は、支持部31に回転自在に連結されたリンク部材32が設けられ、このリンク部材32にアーム33を介してスプレーホルダー34が装着されている。そして、スプレーホルダー34の先端部に後述するスプレー装置Sが複数固着されている。そして、固定型14に対し可動型15が型開きしている状態において、ロボット30のリンク部材32及びアーム33によって、スプレーホルダー34を固定型14及び可動型15の間の所定位置に移動させ、ひいては、スプレー装置が固定型14及び可動型15の内面の適宜箇所に液体を噴霧させられるようになっている。
【0016】
次に、上述のダイカストマシンMに設けられているスプレー装置Sについて説明する。
図2は、本実施形態に係るスプレー装置の設置概要図である。この
図2に示されているように、液体を圧送する液体送路1、第1の気体を圧送する第1の気体送路2、及び第2の気体を圧送する第2の気体送路3は、それぞれ別個に独立して存在し、各々の液体及び気体を圧送している。具体的には、液体送路1は、上流側が液体供給源としてのタンク40に接続され、下流側がスプレーノズル5に接続されている。なお、タンク40には、例えば、離型剤や冷却水といった液体が収容されている。また、液体送路1には、上流側から順に流量計41、電磁弁42、ニードルバルブ43が設けられている。一方、気体流路44は、上流側が気体供給源としての工場内エアー45に接続されており、これを第1の気体送路2と第2の気体送路3に分岐させ、このうち、第1の気体送路2は、その下流側がスプレーノズル4に接続されており、第2の気体送路3は、その下流側が外嵌部材5に接続されている。また、これら第1の気体送路2と第2の気体送路3のそれぞれに上流側から順に圧力調整装置46、流量検知装置47、電磁弁48が設けられている。なお、この実施形態における第2の気体送路3は、下流側でさらに2つの流路に分岐させて外嵌部材5に接続されている。ちなみに、液体送路1、第1の気体送路2、第2の気体送路3を独立させたことにより、各送路の液体及び気体の流量や圧力をそれぞれ独自に設定することができるというメリットがある。
【0017】
前記スプレーノズル4は、
図3及び
図4に示されているように、金属により形成された円柱形状の部材で、その先端部はやや径を細くした細径部50になっており、その他端部(上流側端部)には中央部と同径の端嵌部材51が固着されている。また、スプレーノズル4の軸方向中央には、貫通状の液体噴出路6が形成されている。さらに、液体噴出路6は、その先端(下流側端)が開口しており、この開口部分が液体の吐出口52になっている一方、液体噴出路6の他端側(上流側端部)である端嵌部材51には、前述の液体送路1と連結させるための連結部53が形成されている。そして、液体送路1の下流端部が連結部53に連結されて、タンク40から圧送された液体が液体送路1を介して液体噴出路6に供給され、最終的に、液体吐出口52から噴出されるようになっている。また、液体噴出路6から外方へやや離れた位置に周回状、すなわち、液体噴出路6の外周をぐるりと囲むように第1の気体噴出路7が形成されている。さらに、第1の気体噴出路7は、その先端(下流側端)が開口されており、この開口部分が第1の気体の吐出口54になっている。一方、第1の気体噴出路7の他端側(上流側端部)は、端嵌部材51の手前で途切れている。さらに、スプレーノズル4の外周面であり軸方向中央やや上流側に前述の第1の気体送路2と連結させるための連結部55が形成されている。そして、第1の気体送路2の下流側端部が連結部55に連結されて、工場内エアー45から圧送されたエアーA1が第1の気体送路2を介して第1の気体噴出路6に供給され、さらに、第1の気体吐出口54から噴出されるようになっている。なお、液体吐出口52から噴出された液体と第1の気体吐出口54から噴出されたエアーA1は、噴出直後に互いに混合して霧状になり、吐出方向に向かって拡がる略円錐形状に噴霧されることになる。
【0018】
前記外嵌部材5は、スプレーノズル4と同一の金属によって形成された円柱形状の部材で、スプレーノズル4の細径部50に固着されている。具体的には、外嵌部材5は、中央部に貫通状の円孔が穿設されたドーナツ形状になっており、この円孔をスプレーノズル4の細径部50に嵌合している。また、外嵌部材5の外周からやや内側位置に周回状の第2の気体噴出路8が形成されている。さらに、第2の気体噴出路8は、その先端(下流側端)が全周に亘って開口しており、この開口部分が第2のエアーA2の吐出口60になっている。一方、第2の気体噴出路8の他端側(上流側端部)の2箇所に、前述の第2の気体送路3と連結させるための連結部61が形成されている。そして、第2の気体送路3の下流端部が連結部61に連結されて、工場内エアー45から圧送されたエアーA2が第2の気体送路3を介して第2の気体噴出路6に供給され、気体吐出口60から噴出されるようになっている。なお、この実施形態における第2の気体噴出路8は、先端側が内側に向かって傾斜しており、エアーA2は、気体吐出口60からやや内側に向かって噴出されることになる。また、外嵌部材5の上面と前述のスプレーノズル4の上面は、略面一、すなわち、略同一平面になっている。
【0019】
上記のように構成されたスプレー装置によれば、
図5に示されているように、スプレーノズル4の液体吐出口52から噴出した液体と第1の気体吐出口54から噴出したエアーA1とが互いに混合して噴霧流となる。そして、この噴霧流は、吐出方向に進むに従って拡がる略円錐形状に噴霧されることになるが、この時、外嵌部材5の第2の気体吐出口54からエアーA2も同時に噴出する。そして、エアーA2は、第2の気体噴出路8が傾斜状であることから内側に向かって噴出し、スプレーノズル4から噴出した噴霧流の外周に衝突することになる。従って、仮に金型の温度に対して噴霧する霧の粒径が大きかったとしても、これに再びエアーA2をぶつけることで霧の粒径を微細化し、いわゆるライデンフロスト現象の発生による問題を解消することができる。また、噴霧流に衝突した後のエアーA2は、そのまま直進するため、空気の壁となるかのように作用すると共に、外嵌部材5の第2の気体吐出口54は周回状になっているため、ここから噴出するエアーA2は、衝突した後の噴霧流の全周を囲うことになる。従って、このスプレー装置によれば、噴霧流の無駄な拡がりを抑制して、金型に対し適切な粒径の液体を必要な量だけ確実に噴霧することができる。これは、言い換えれば、噴霧した液体が離型剤である場合には、金型に離型剤を均一に付着させることができ、また、噴霧した液体が冷却水である場合には、金型を確実に冷却することができることを意味し、さらに、金型内面に突出した部分が存在しているような場合であっても、金型に対してむらなく液体を噴霧できるということを意味している。
【0020】
図6は、本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態に係るスプレー装置は、前記実施形態とスプレーノズル、外嵌部材、及び第2の気体噴出路の構成が異なっている。具体的には、この実施形態におけるスプレーノズル70は、円柱形状の基端部71と該基端部71の先端側の外周面から外方(軸方向と垂直な方向)へ突出する円柱形状の張出部72とによって形成されている。また、スプレーノズル70の張出部72の外周面には、キャップ状の筒体より成る外嵌部材73が嵌合されている。なお、スプレーノズル70の基端部71の上流側端部に該基端部71と同径の端嵌部材74が固着されている点、スプレーノズル70の軸方向中央に液体噴出路75が形成されていると共に、その先端(下流側端)開口が液体の吐出口76になっている点、端嵌部材74に液体送路1と連結させるための連結部77が形成されている点、液体噴出路75から外方へやや離れた位置に周回状の第1の気体噴出路78が形成されている点については、前記実施形態と同様である。一方、スプレーノズル70の張出部72の先端側外周面はテーパー状に形成されており、張出部72の他端側は第2の気体送路と連結させるための連結部79が形成されている。また、外嵌部材73の先端側内周面は、スプレーノズル70の張出部72の外周面と対向するようにテーパー状に形成されている。そして、スプレーノズル70の張出部72の外周面と外嵌部材73の先端側内周面の間には間隙、すなわち、空間が形成されており、この空間部分が第2の気体送路3から圧送された気体を通過させる第2の気体噴出路80になっている。また、第2の気体噴出路80は、その先端(下流側端)が全周に亘って開口しており、この開口部分が第2のエアーA2の吐出口81になっている。このように、スプレーノズル70と外嵌部材の間に第2の気体噴出路80を形成することで、これらの構造を簡易化できるという利点がある。
【0021】
なお、前記した2つの実施形態において、第2の気体吐出口は周回状、すなわち、全周に亘って開口している例を示したが、比較的数の多い複数の開口を形成するのであれば、必ず周回状でなければならないわけではない。また、前記した2つの実施形態において、第2の気体噴出路が内向きに傾斜している例を示したが、例えば、第2の気体噴出路を液体噴出路及び第1の気体噴出路に近い位置に設けるならば、必ずしも内向きに傾斜させる必要はない。
【符号の説明】
【0022】
1 液体送路
2 第1の気体送路
3 第2の気体送路
4 スプレーノズル
5 外嵌部材
6 液体噴出路
7 第1の気体噴出路
8 第2の気体噴出路
70 スプレーノズル
73 外嵌部材
75 液体噴出路
78 第1の気体噴出路
80 第2の気体噴出路