(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021155
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】籾摺機
(51)【国際特許分類】
B02B 3/04 20060101AFI20240208BHJP
F16H 7/00 20060101ALI20240208BHJP
F16H 7/12 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B02B3/04 104
F16H7/00 A
F16H7/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123791
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】頼岡 誠治
【テーマコード(参考)】
3J049
4D043
【Fターム(参考)】
3J049AA01
3J049BB05
3J049BB17
3J049BB22
3J049BC04
3J049BC10
3J049BG01
3J049CA07
4D043AA02
4D043CB02
4D043DA01
4D043DG15
(57)【要約】
【課題】一対の脱ぷロールの駆動に平ベルトを用いた場合において、両ロールの間隙への籾の供給が一時的に滞ることに起因した籾摺機の生産性の悪化を抑制可能な籾摺機を提供する。
【解決手段】籾摺機1は、一対の第1脱ぷロール12及び第2脱ぷロール13と、両ロール12、13の各々に回転一体に設けられた第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9と、駆動プーリ4と両従動プーリ8、9とに巻き掛けられ、駆動プーリ4の回転動作により周回移動して両従動プーリ8、9を介して両ロール12、13を互いに逆方向、かつ、異なる周速度で回転させる無端状の平ベルト11と、両従動プーリ8、9に対する平ベルト11の滑り状態が第1回転数センサ17及び第2回転数センサ18によって検知れたときに、両ロール12、13の間隙GAが大きくなるように間隙調整機構10を制御する制御部20と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの外周面が対向するよう並設された一対の脱ぷロールと、前記一対の脱ぷロールの間隙を調整可能な間隙調整部と、駆動源により回転駆動される駆動プーリと、前記一対の脱ぷロールの各々に回転一体に設けられた従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとに巻き掛けられ、前記駆動プーリの回転動作により周回移動して前記従動プーリを介して前記一対の脱ぷロールを互いに逆方向、かつ、異なる周速度で回転させる無端状の平ベルトと、を備えた籾摺機であって、
前記従動プーリに対する前記平ベルトの滑り状態を検知可能な滑り検知部と、
前記滑り検知部によって前記滑り状態が検知されたときに、前記一対の脱ぷロールの間隙が大きくなるように前記間隙調整部を制御する制御部と、を備えていることを特徴とする籾摺機。
【請求項2】
請求項1に記載の籾摺機において、
前記制御部は、前記一対の脱ぷロールの間隙を大きくした後、該間隙が小さくなるように前記間隙調整部を制御することを特徴とする籾摺機。
【請求項3】
請求項2に記載の籾摺機において、
オペレータに異常状態を報知可能な報知部を更に備え、
前記制御部は、前記一対の脱ぷロールの間隙を大きくした後に該間隙を小さくした回数が所定回数に達したとき、前記報知部による前記オペレータへの前記異常状態の報知及び前記籾摺機の停止を実行することを特徴とする籾摺機。
【請求項4】
請求項3に記載の籾摺機において、
前記平ベルトのテンション低下状態を検知可能なテンション検知部を更に備え、
前記制御部は、前記滑り検知部によって前記滑り状態が検知され、かつ、前記テンション検知部によって前記テンション低下状態が検知されたとき、前記報知部による前記オペレータへの前記テンション低下状態の報知及び前記籾摺機の停止を実行することを特徴とする籾摺機。
【請求項5】
請求項1に記載の籾摺機において、
前記一対の脱ぷロールの間隙に原料を供給可能な原料供給部と、
前記原料供給部を振動させることが可能な振動付与部と、を備えていることを特徴とする籾摺機。
【請求項6】
請求項5に記載の籾摺機において、
前記原料供給部から前記一対の脱ぷロールの間隙へと前記原料を供給可能な開状態と供給不能な閉状態とに切替可能なバルブを備え、
前記制御部は、前記振動付与部により前記原料供給部を振動させるとともに、前記バルブを前記閉状態に切り替えることを特徴とする籾摺機。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の籾摺機において、
前記滑り検知部は、前記従動プーリの回転数を検知可能な回転数センサであることを特徴とする籾摺機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平ベルトを用いて一対の脱ぷロールを駆動する籾摺機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、互いの外周面が対向するように並設された一対の脱ぷロールで籾摺を行う籾摺機が一般的に知られている。例えば、特許文献1に開示されている籾摺機は、駆動モータによって回転駆動される駆動プーリと、一対の脱ぷロールの各々に回転一体に設けられた従動プーリと、駆動プーリと従動プーリとに巻き掛けられた平ベルトとを備えている。そして、駆動モータの回転駆動により、平ベルトを介して一対の脱ぷロールが、互いに逆方向、かつ、異なる周速度で回転するようになっていて、両ロールの間隙に供給される籾を両ロールの回転動作により通過させながら当該両ロールの周速度差でせん断破壊して籾殻が取り除かれるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如き籾摺機を用いて籾摺を行う際、例えば、枝梗付きの籾同士が互いに絡まりあって塊状の状態で籾摺機内部における一対の脱ぷロールの上流領域で引っ掛かってしまうと、両ロールの間隙への籾の供給が一時的に滞る場合がある。この場合、一対の脱ぷロール間に籾が存在しなくなるので、両ロールの外周面同士が接触してしまい、両ロールが同じ周速度で回転するようになる。すると、両ロールの周速度差がなくなって籾殻のせん断破壊がなされない状態となるので、籾摺を適切に行うことができなくなってしまう。これを回避するために、一対の脱ぷロールの外周面同士が接触した際に平ベルトが従動ベルトに対して滑って空回りするのを利用して、該平ベルトの滑り状態から両ロールの外周面同士が接触している状態を把握して籾摺機を停止させることが考えられる。しかし、平ベルトの滑り状態が発生した際に直ぐに籾摺機を停止させると、その都度、オペレータによる籾摺機の復旧作業を行う必要があるので、籾摺機の生産性を悪化させてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、一対の脱ぷロールの駆動に平ベルトを用いた場合において、両ロールの間隙への籾の供給が一時的に滞ることに起因した籾摺機の生産性の悪化を抑制可能な籾摺機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、従動プーリに対する平ベルトの滑り状態を検知した際に籾摺機を止めずに一対の脱ぷロールを離間させるようにしたことを特徴とする。
【0007】
具体的には、互いの外周面が対向するよう並設された一対の脱ぷロールと、前記一対の脱ぷロールの間隙を調整可能な間隙調整部と、駆動源により回転駆動される駆動プーリと、前記一対の脱ぷロールの各々に回転一体に設けられた従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリとに巻き掛けられ、前記駆動プーリの回転動作により周回移動して前記従動プーリを介して前記一対の脱ぷロールを互いに逆方向、かつ、異なる周速度で回転させる無端状の平ベルトと、を備えた籾摺機を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0008】
すなわち、第1の発明では、前記従動プーリに対する前記平ベルトの滑り状態を検知可能な滑り検知部と、前記滑り検知部によって前記滑り状態が検知されたときに、前記一対の脱ぷロールの間隙が大きくなるように前記間隙調整部を制御する制御部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、前記制御部は、前記一対の脱ぷロールの間隙を大きくした後、該間隙が小さくなるように前記間隙調整部を制御することを特徴とする。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において、オペレータに異常状態を報知可能な報知部を更に備え、前記制御部は、前記一対の脱ぷロールの間隙を大きくした後に該間隙を小さくした回数が所定回数に達したとき、前記報知部による前記オペレータへの前記異常状態の報知及び前記籾摺機の停止を実行することを特徴とする。
【0011】
第4の発明では、第3の発明において、前記平ベルトのテンション低下状態を検知可能なテンション検知部を更に備え、前記制御部は、前記滑り検知部によって前記滑り状態が検知され、かつ、前記テンション検知部によって前記テンション低下状態が検知されたとき、前記報知部による前記オペレータへの前記テンション低下状態の報知及び前記籾摺機の停止を実行することを特徴とする。
【0012】
第5の発明では、第1の発明において、前記一対の脱ぷロールの間隙に原料を供給可能な原料供給部と、前記原料供給部を振動させることが可能な振動付与部と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
第6の発明では、第5の発明において、前記原料供給部から前記一対の脱ぷロールの間隙へと前記原料を供給可能な開状態と供給不能な閉状態とに切替可能なバルブを備え、前記制御部は、前記振動付与部により前記原料供給部を振動させるとともに、前記バルブを前記閉状態に切り替えることを特徴とする。
【0014】
第7の発明では、第1から第6のいずれか1つの発明において、前記滑り検知部は、前記従動プーリの回転数を検知可能な回転数センサであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明では、一対の脱ぷロールの間隙への籾の供給が一時的に滞ることで両ロールの外周面同士が接触する状態が発生しても、該状態を従動プーリに対する平ベルトの滑り状態を検知することにより把握して両ロールが離間されるようになる。これにより、従動プーリに対する平ベルトの滑り状態が解消されて、一対の脱ぷロールが予め設定された周速度差がある状態に自動的に復帰するようになる。したがって、籾摺機を停止させることなく両ロールの回転状態が元の状態に戻って籾摺可能な準備状態になるので、籾摺可能な準備状態にするために籾摺機を停止させる必要がなくなり、籾摺機の停止に起因した生産性の悪化を回避させることができる。
【0016】
第2の発明では、一対の脱ぷロールの接触状態が解除されて両ロールが予め設定された周速度差のある状態に戻された後、両ロールの間隙が自動的に小さくなる。したがって、両ロールが接触したとしても、オペレータの操作によらずに籾摺機を籾摺可能な状態に自動で復帰させることができる。
【0017】
第3の発明では、オペレータは、一対の脱ぷロールが互いに接触を繰り返す異常状態を知ることができるようになる。したがって、籾摺機の状態がオペレータによる復旧作業が必要な異常状態である場合において、オペレータは適切なタイミングで籾摺機の復旧作業を行うことができる。
【0018】
第4の発明では、オペレータは、従動プーリに対して平ベルトの滑る原因が平ベルトのテンション低下に起因したものであることが分かるようになる。したがって、オペレータは、籾摺機の状態をより詳細に知ることができるようになり、適切なタイミングで籾摺機の復旧作業を行うことができる。
【0019】
第5の発明では、もし仮に、原料供給部において原料が引っ掛かって当該原料供給部から一対の脱ぷロールの間隙への原料の供給が滞ったとしても、振動付与部により原料供給部に振動を加えることで原料供給部における原料の引っ掛かりを解消させることができるようになる。したがって、一対の脱ぷロールの間隙への原料の供給を安定させることができる。
【0020】
第6の発明では、振動付与部により原料供給部を振動させた際、該振動によって引っ掛かりが解消された原料が原料供給部から両ロールの間隙へ供給されるのをバルブで阻止可能になる。したがって、例えば、一対の脱ぷロールの間隙を大きくした状態において原料供給部を振動させたとしても、当該原料供給部から一対の脱ぷロールの間隙へと向かう原料が籾摺を適切に行わないまま両ロールを通過してしまうのを防ぐことができる。
【0021】
第7の発明では、従動プーリに対する平ベルトの滑り状態の検知が従動プーリの回転数により検知可能になるので、例えば、従動プーリに対する平ベルトの滑り状態の検知が駆動源としての駆動モータの負荷電流の変化を利用して検知するというような検知に遅延が生じる検知方法に比べて、従動プーリに対する平ベルトの滑り状態を速やかに検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る籾摺機であり、内部構成の一部が開示された斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る籾摺機の制御ブロック図である。
【
図5】
図4の制御部における制御処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図5のステップS3の判断処理がYesの場合の状態を示す
図3相当図である。
【
図7】
図5のステップS3の判断処理がNoの場合の状態を示す
図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係る籾摺機1を示す。該籾摺機1は、厚みを有する略矩形板状をなし、その上部一側において斜め下方に延びる傾斜面2aが形成された機枠2を備え、該機枠2の上面には、図示しない籾(原料)を機枠2の内部に投入するための投入口2bが設けられている。
【0025】
厚み方向一方側から視て、機枠2の上部一側の位置には、機枠2の厚み方向に延びる駆動モータ3が配設されており、モータ回転軸3aの一端には、駆動プーリ4が回転一体に取り付けられている。
【0026】
機枠2の下部一側の位置には、
図2に示すように、テンションプーリ5と、テンション変更機構6と、蛇行制御プーリ7とが配設されている。
【0027】
テンションプーリ5は、第1回動フレーム5aの先端に回転可能に軸支され、該第1回動フレーム5aは、その基端が機枠2に回動自在に軸支されている。
【0028】
テンション変更機構6は、第1エアシリンダ部6aと第1ロッド部6bとを備え、該第1エアシリンダ部6aの作動エアを給排気制御することで、第1ロッド部6bを伸縮させることが可能となっている。該第1ロッド部6bが伸縮すると、第1回動フレーム5aが基端を中心に機枠2に対して回動して、該第1回動フレーム5aの先端に軸支されたテンションプーリ5の位置が変更されるようになっている。
【0029】
蛇行制御プーリ7は、テンションプーリ5の上方の位置において揺動軸心Cを中心に揺動自在に機枠2に軸支され、かつ、そのプーリ径がテンションプーリ5よりも小さく設定されている。
【0030】
機枠2の下部におけるテンションプーリ5及びテンション変更機構6の他側の位置には、第1従動プーリ8と、第2従動プーリ9と、間隙調整機構10とが配設されている。
【0031】
第1従動プーリ8は、モータ回転軸3aと同方向に延びる第1支持軸r1により、回転可能に軸支されている。該第1支持軸r1は、第2回動フレーム8aの先端に回転可能に軸支され、該第2回動フレーム8aは、その基端が機枠2に回動自在に軸支されている。
【0032】
第2従動プーリ9は、第1従動プーリ8の他側において該第1従動プーリ8と所定の間隔を空けて配置されるとともに、第1支持軸r1と同方向に延びる第2支持軸r2により回転可能に機枠2に軸支されている。
【0033】
間隙調整機構10は、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9の上方の位置に配設されるとともに、第2エアシリンダ部10aと第2ロッド部10bとを備えている。そして、第2エアシリンダ部10aにおける作動エアの給排気を制御することにより、第2ロッド部10bを伸縮させることが可能となっている。該第2ロッド部10bが伸縮すると、第2回動フレーム8aが基端を中心に機枠2に対して回動して、該第2回動フレーム8aの先端に軸支された第1支持軸r1の位置が調整されるようになっている。
【0034】
駆動プーリ4、テンションプーリ5、蛇行制御プーリ7、第1従動プーリ8、第2従動プーリ9には、これらの外周面に接触するように、無端状の平ベルト11が巻き掛けられている。
【0035】
平ベルト11は、駆動プーリ4の回転動作により周回移動して第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9を互いに逆方向、かつ、異なる周速度で回転させるように構成されている。つまり、
図2に示すように、駆動モータ3により駆動プーリ4が反時計方向に回転駆動されると、平ベルト11が反時計方向に周回移動して、該平ベルト11が巻き掛けられた第1従動プーリ8を時計方向に回転させるとともに、第2従動プーリ9を反時計方向に回転させるようになっている。この際、第2従動プーリ9は、そのプーリ径が第1従動プーリ8よりも小さいため、第1従動プーリ8よりも高周速度かつ高回転数で回転するようになっている。
【0036】
次に、
図3を用いて、厚み方向他方側から視た籾摺機1の内部構成について説明する。
【0037】
厚み方向において第1従動プーリ8の反対側に対応する位置には、第1脱ぷロール12が配設されている。該第1脱ぷロール12は、その外周部分に第1ゴムロール12aを備えるとともに、第1支持軸r1に固定されることで、第1従動プーリ8と回転一体となっている。そして、第1従動プーリ8が平ベルト11により駆動されると、第1支持軸r1を介して第1従動プーリ8と連結された第1脱ぷロール12は、
図3に示すように、反時計方向に回転するようになっている。
【0038】
また、厚み方向において第2従動プーリ9の反対側に対応する位置には、第1脱ぷロール12と同一のプーリ径を有する第2脱ぷロール13が配設されている。該第2脱ぷロール13は、その外周部分に第2ゴムロール13aを備えるとともに、第2支持軸r2に固定されることで、第2従動プーリ9と回転一体となっている。そして、第2従動プーリ9が平ベルト11により駆動されると、第2支持軸r2を介して第2従動プーリ9と連結された第2脱ぷロール13は、
図3に示すように、第1脱ぷロール12よりも高い周速度で時計方向に回転するようになっている。
【0039】
一対の第1脱ぷロール12及び第2脱ぷロール13は、互いの外周面が対向するように並設され、両ロールの外周面間には、間隙GAが形成されるようになっている。該間隙GAは、間隙調整機構10の第2ロッド部10bの伸縮動作によって、第1支持軸r1の位置、つまり、第1支持軸r1に取り付けられた第1脱ぷロール12の位置を調整することで、第1状態(接触可能状態)と、第2状態(離間状態)とに切替可能となっている。
【0040】
第1状態(接触可能状態)は、間隙調整機構10により、第1脱ぷロール12が第2脱ぷロール13に対して付勢されている状態である。該第1状態は、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間に籾が存在しない場合、間隙GAがない状態、つまり、第1脱ぷロール12の外周面と第2脱ぷロール13の外周面とが接触している状態となる一方、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間に籾が存在する場合、該籾の大きさの分だけ間隙GAが形成された状態、つまり、第1脱ぷロール12の外周面と第2脱ぷロール13の外周面とが離間している状態となる。
【0041】
第2状態(離間状態)は、常に第1状態よりも大きな間隙GAが形成されている状態、つまり、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間に籾が存在するか否かにかかわらず第1脱ぷロール12の外周面と第2脱ぷロール13の外周面とが完全に離間している状態である。
【0042】
また、投入口2bと第1脱ぷロール12及び第2脱ぷロール13との間には、
図3に示すように、投入口2bから投入された籾を第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAに供給可能な原料供給部14が設けられている。
【0043】
該原料供給部14は、投入口2bの直下に設けられた電磁式の振動フィーダ14aと、該振動フィーダ14aの他側かつ下方の位置に設けられた案内シュート14bとを備えている。
【0044】
振動フィーダ14aは、投入口2bから投入された籾をキャッチ可能なトラフ14cと、該トラフ14cに振動を付与可能なフィーダコイル14dとを備えており、フィーダコイル14dによりトラフ14cを振動させることで、トラフ14cにおいてキャッチした籾を他側に搬送するようになっている。
【0045】
案内シュート14bは、トラフ14cの他側かつ第1脱ぷロール12及び第2脱ぷロール13の上方の位置において、下方に行くにしたがって一側に位置するように傾斜している。そして、トラフ14cから案内シュート14bに送り出された籾は、案内シュート14bの上面を滑り落ちて第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAに案内される。そして、間隙GAを籾が通過する際、両ロールの周速度差によりせん断破壊されて籾殻が取り除かれる、つまり、籾摺が行われるようになっている。
【0046】
また、トラフ14cにおける他側部分に対応する位置には、開閉動作可能な供給バルブ15が配設されている。該供給バルブ15が開状態(
図7参照)の場合は、トラフ14cから案内シュート14bへと籾を送り出すことが可能、つまり、原料供給部14から第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAへと籾を供給可能な状態となっている。一方、供給バルブ15が閉状態(
図3参照)の場合は、トラフ14cから案内シュート14bへと籾を送り出すことが不能、つまり、原料供給部14から第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAへと籾を供給不能な状態となっている。本実施形態では、第1脱ぷロール12が第2脱ぷロール13に接触可能な第1状態では、フィーダコイル14dが動作してトラフ14cが振動しているとともに供給バルブ15が開状態とされる一方、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13とが離間している第2状態では、フィーダコイル14dの動作が停止してトラフ14cが振動していないとともに供給バルブ15が閉状態にされている。
【0047】
また、振動フィーダ14aの上方の位置には、籾の有無、つまり、投入口2bから原料供給部14に投入されている籾があるか否かを検知可能な籾センサ16が配設されている。該籾センサ16は、
図4に示すように、籾摺機1に備えられた制御部20に接続されており、該制御部20に検知した情報を送信するようになっている。
【0048】
また、籾摺機1には、
図4に示すように、上述した籾センサ16に加えて、第1回転数センサ17、第2回転数センサ18及びテンション圧力センサ19が備えられ、各センサは、各々が検知した情報を制御部20に送信するようになっている。該制御部20は、プロセッサ20aを有し、該プロセッサ20aが各センサから受信した検知情報に基づいて、駆動モータ3、間隙調整機構10、フィーダコイル14d、供給バルブ15、ディスプレイ21を制御するように構成されている。
【0049】
第1回転数センサ17は、第1従動プーリ8の回転数を検知するセンサであり、第2回転数センサ18は、第2従動プーリ9の回転数を検知するセンサである。そして、第1回転数センサ17及び第2回転数センサ18は、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9の実回転数の低下から第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9に対する平ベルト11の滑り状態を検知可能となっている。
【0050】
テンション圧力センサ19は、平ベルト11のテンションに対応する第1エアシリンダ部6a内の作動エアの圧力をテンション圧力として検知するセンサである。該テンション圧力センサ19は、平ベルト11のテンションの低下に伴って低下する実テンション圧力から平ベルト11のテンション低下状態を検知可能となっている。
【0051】
ディスプレイ21は、機枠2の外面におけるオペレータが視認可能な位置に設けられ、該オペレータに籾摺機1の異常状態を報知可能となっている。
【0052】
次に、
図5を用いて、制御部20のプロセッサ20aが実行する制御処理について説明する。本実施形態では、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAが第2状態(離間状態)にセットされ、供給バルブ15が閉状態にセットされ、実カウントが0にリセットされ、駆動モータ3により平ベルト11が駆動され、かつ、フィーダコイル14dによりトラフ14cが振動していない状態で
図5に示す制御処理がスタートするようになっている。
【0053】
ステップS1では、籾センサ16の検知情報に基づいて、投入口2bから原料供給部14に投入されている籾の有無を判断する。該判断の結果、籾が有る場合は、ステップS2に進む一方、前工程のタンク等で籾の詰まりがある等の理由で籾が無い場合は、原料供給部14に供給されている籾が有ると判断されるまでステップS1の判断を繰り返し行う。
【0054】
ステップS2では、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAを第2状態(離間状態)から第1状態(接触可能状態)に切り替えるように間隙調整機構10に指令した後、ステップS3へ進む。本実施形態では、ステップS2の間隙調整機構10への指令に連動して、フィーダコイル14dが動作を開始してトラフ14cが振動するようになるとともに、供給バルブ15が閉状態から開状態に切り替えられる。
【0055】
ステップS3では、第1回転数センサ17及び第2回転数センサ18の検知情報に基づいて、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9の実回転数が所定回転数(例えば、1000rpm)以下であるか否かを判断する。該判断の結果、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9の実回転数が所定回転数以下の場合(ステップS3の判断がYesの場合)、つまり、平ベルト11が第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9に対して滑り状態(空回りの状態)の場合、ステップS4に進む。該平ベルト11が滑り状態の場合、
図6に示すように、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAへの籾の供給が一時的に滞ることで、両ロールの外周面同士が接触して該両ロールが同じ周速度で回転しており、両ロールの周速度差による籾摺を適切に行うことができない状態であるため、籾摺機1を直ぐに停止させることも考えられる。しかし、平ベルト11の滑り状態が発生した際に直ぐに籾摺機1を停止させると、その都度、オペレータによる籾摺機1の復旧作業を行う必要があり、籾摺機1の生産性を悪化させてしまうおそれがあるため、本実施形態では、籾摺機1を籾摺可能な状態に自動的に復帰させるべく、ステップS4以降の処理を実行するようになっている。
【0056】
一方、ステップS3の判断の結果、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9の実回転数が所定回転数よりも大きい場合(ステップS3の判断がNoの場合)、平ベルト11の滑り状態が発生していない正常状態、つまり、
図7に示すように、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13の間隙GAに供給された籾が該両ロールの周速度差でせん断破壊されて籾殻が適切に取り除かれている状態であるため、ステップS3の判断がYesとなるまでステップS3の処理が繰り返し実行される(籾摺機1による籾摺が引き続き行われる)。これにより、籾摺中は、平ベルト11の滑り状態が常時監視される。
【0057】
ステップS4では、テンション圧力センサ19の検知情報に基づいて実テンション圧力が所定テンション圧力(例えば、0.4MPa)以上であるか否かを判断する。該判断の結果、実テンション圧力が所定テンション圧力以上である場合(ステップS4の判断がYesの場合)、実テンション圧力が正常状態であるため、ステップS5へ進む。一方、ステップS4の判断の結果、実テンション圧力が所定テンション圧力未満である場合(ステップS4の判断がNoの場合)、実テンション圧力が異常状態、つまり、テンション低下状態であるため、ステップS7に進み、オペレータにテンション低下状態を報知するようにディスプレイ21に指令する。その後、ステップS8に進み、籾摺機1を停止させた後、エンドに進み、処理を終了する。
【0058】
ステップS5では、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAを第1状態(接触可能状態)から第2状態(離間状態)に切り替えるように間隙調整機構10に指令するとともに、開状態から閉状態に切り替えるように供給バルブ15に指令した後、ステップS6に進む。該指令に基づき間隙調整機構10が動作すると、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13とが離間して、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9に対する平ベルト11の滑り状態が解消する。これにより、籾摺機1を停止させることなく第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13の回転状態が予め設定された周速度差がある元の状態、つまり、
図3に示す籾摺可能な準備状態に自動的に復帰させることができる。本実施形態では、ステップS5における供給バルブ15への切り替え指令に連動して、フィーダコイル14dの動作が停止されるので、トラフ14cが振動しなくなる。
【0059】
ステップS6では、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAを第1状態から第2状態に切り替えた後、該第2状態から第1状態に切り替えた回数である実カウント数が所定カウント数(例えば、5回)以上であるか否かを判断する。該判断の結果、実カウント数が所定カウント数以上である場合(ステップS6の判断がYesの場合)、籾摺機1がオペレータによる復旧作業が必要な異常な状態であるため、ステップS7に進み、籾摺機1の異常状態をオペレータに報知するようにディスプレイ21に指令する。その後、ステップS8に進み、籾摺機1を停止させた後、エンドに進み、処理を終了する。
【0060】
一方、ステップS6の判断の結果、実カウント数が所定カウント数よりも少ない場合(ステップSの判断がNoの場合)、ステップS9へ進む。なお、本実施形態における「所定カウント数」は、特許請求の範囲における「所定回数」に相当する。
【0061】
ステップS9では、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAを第2状態(離間状態)から第1状態(接触可能状態)に切り替えるように間隙調整機構10に指令するとともに、閉状態から開状態に切り替えるように供給バルブ15に指令した後、ステップS10に進む。本実施形態では、ステップS9における供給バルブ15への切り替え指令に連動して、フィーダコイル14dの動作が開始されるので、トラフ14cが振動するようになる。
【0062】
ステップS10では、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAを第1状態(接触可能状態)から第2状態(離間状態)に切り替えた後、該第2状態から第1状態に切り替えた回数である実カウント数を1つ増やして、ステップS3に進み、平ベルト11の滑り状態が発生するか否かを再判断する。
【0063】
ステップS3の再判断の結果、平ベルト11の滑り状態が発生している場合(ステップS3の再判断がYesの場合)、籾摺機1が籾摺可能な状態に自動的に復帰していないため、ステップS4に進み、該ステップS4の判断処理がNo及びステップS6の判断処理がYesとなるまで、ステップS5、ステップS9及びステップS10の処理、並びに、ステップS3の判断処理を繰り返し実行する。一方、ステップS3の再判断の結果、平ベルト11の滑り状態が発生していない場合(ステップS3の再判断がNoの場合)、籾摺機1が籾摺可能な状態に自動的に復帰しているため、ステップS3の判断がYesとなるまでステップS3の処理が繰り返し実行される(籾摺機1による籾摺が引き続き行われる)。これにより、籾摺可能な状態に復帰した状態においても、籾摺中は、平ベルト11の滑り状態が常時監視される。
【0064】
以上より、本実施形態では、一対の第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAへの籾の供給が一時的に滞ることで両ロールの外周面同士が接触する状態が発生しても、該状態を第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9に対する平ベルト11の滑り状態を検知することにより把握して両ロールが離間されるようになる。これにより、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9に対する平ベルト11の滑り状態が解消されて、一対の第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13が予め設定された周速度差がある状態に自動的に復帰するようになる。したがって、籾摺機1を停止させることなく両ロールの回転状態が元の状態に戻って籾摺可能な準備状態になるので、籾摺可能な準備状態にするために籾摺機1を停止させる必要がなくなり、籾摺機1の停止に起因した生産性の悪化を回避させることができる。
【0065】
また、一対の第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13の接触状態が解除されて両ロールが予め設定された周速度差のある状態に戻された後、両ロールの間隙GAが自動的に小さくなる。したがって、両ロールが接触したとしても、オペレータの操作によらずに籾摺機1を籾摺可能な状態に自動で復帰させることができる。
【0066】
また、オペレータは、ディスプレイ21がオペレータに対して異常状態を報知するので、一対の第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13が互いに接触を繰り返す異常状態を知ることができるようになる。したがって、籾摺機1の状態がオペレータによる復旧作業が必要な異常状態である場合において、オペレータは適切なタイミングで籾摺機1の復旧作業を行うことができる。
【0067】
また、オペレータは、ディスプレイ21がオペレータに対してテンション低下状態を報知するので、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9に対して平ベルト11の滑る原因が平ベルト11のテンション低下に起因したものであることが分かるようになる。したがって、オペレータは、籾摺機1の状態をより詳細に知ることができるようになり、適切なタイミングで籾摺機1の復旧作業を行うことができる。
【0068】
また、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9に対する平ベルト11の滑り状態の検知が第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9の回転数により検知可能になるので、例えば、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9に対する平ベルト11の滑り状態の検知が駆動源としての駆動モータ3の負荷電流の変化を利用して検知するというような検知に遅延が生じる検知方法に比べて、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9に対する平ベルト11の滑り状態を速やかに検知することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、駆動源として駆動モータ3を用いる例について説明したが、駆動モータ3に代えて、エンジンを用いるようにしてもよい。
【0070】
また、本実施形態では、間隙調整機構10は、第1脱ぷロール12の位置を調整するように構成されていたが、第2脱ぷロール13、或いは、第1脱ぷロール12及び第2脱ぷロール13の位置を調整するように構成してもよい。
【0071】
また、本実施形態では、滑り検知部として第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9の各々の回転数を検知する第1回転数センサ17及び第2回転数センサ18を備えていたが、第1回転数センサ17及び第2回転数センサ18のいずれか一方のみ備えるようにしてもよく、また、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9の各々の回転数の代わりに、第1支持軸r1及び第2支持軸r2の各々の回転数、或いは、第1脱ぷロール12及び第2脱ぷロール13の各々の回転数を検知する回転数センサを備えるようにしてもよい。
【0072】
また、本実施形態では、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9に対する平ベルト11の滑り状態を第1回転数センサ17及び第2回転数センサ18により直接的に検知するようにしていたが、両回転数センサに代えて、駆動モータ3の負荷電流を検知可能な電流センサ、或いは、第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9の温度を検知可能な温度センサを用いて平ベルト11の滑り状態を間接的に検知するようにしてもよい。電流センサを用いる場合、平ベルト11が第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9に対して滑ると、駆動モータ3の負荷電流が低下するため、該負荷電流の低下から平ベルト11の滑り状態を検知することができる。また、温度センサを用いる場合、平ベルト11が第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9に対して滑ると、平ベルト11と第1従動プーリ8及び第2従動プーリ9とが擦れることで摩擦熱が発生し、両プーリの温度が上昇するため、該温度の上昇から平ベルト11の滑り状態を検知することができる。
【0073】
また、本実施形態では、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAが第2状態(離間状態)の場合、つまり、供給バルブ15が閉状態の場合、フィーダコイル14dの動作が停止するようになっていたが、供給バルブ15が閉状態の場合においてもフィーダコイル14dを動作させてトラフ14cを振動させることで、トラフ14cの下流領域に籾をためることができるようにしてもよく、さらに、供給バルブ15が開状態の場合よりもフィーダコイル14dがトラフ14cに付与する振動レベルを高めるようにしてもよい。このようにすることで、フィーダコイル14dを籾の引っ掛かりを解消するための振動付与部として機能させるようにしてもよい。
【0074】
また、本実施形態では備えていなかったが、原料供給部14を振動させることが可能な振動付与部(例えば、振動モータ)を設けるようにしてもよい。このようにすることで、もし仮に、原料供給部14において籾が引っ掛かって当該原料供給部14から一対の第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAへの籾の供給が滞ったとしても、振動付与部により原料供給部14に振動を加えることで原料供給部14における籾の引っ掛かりを解消させることができるようになる。したがって、一対の第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAへの籾の供給を安定させることができる。さらに、振動付与部により原料供給部14に振動を加える際、供給バルブ15を閉状態に切り替えるようにしてもよい。このようにすることで、振動付与部により原料供給部14を振動させた際、該振動によって引っ掛かりが解消された籾が原料供給部14から両ロールの間隙GAへ供給されるのを供給バルブ15で阻止可能になる。したがって、例えば、一対の第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13の間隙GAを大きくした状態において原料供給部14を振動させたとしても、当該原料供給部14から一対の第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13の間隙GAへと向かう籾が籾摺を適切に行わないまま両ロールを通過してしまうのを防ぐことができる。
【0075】
また、本実施形態では、報知部としてディスプレイ21を用いる例について説明したが、ディスプレイ21に加えて、或いは、代わりに、音声出力可能なスピーカーを備え、該スピーカーから出力される音声を用いて籾摺機1の異常状態をオペレータに報知するようにしてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、ステップS6の判断処理結果がNoの場合、籾の供給を継続した状態でステップS9及びステップS10の処理、並びに、ステップS3の再診断処理を実行していたが、ステップS6の判断処理の実行後、籾の供給を一時的に停止させ、該停止から籾の供給を再開させた状態においてステップS9及びステップS10の処理、並びに、ステップS3の再診断処理を実行させるようにしてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、ステップS6の判断処理結果がNoの場合、直ぐにステップS9の処理を実行するようになっていたが、ステップS6の判断処理の終了したときから所定時間(例えば、5~10秒に設定)が経過した後にステップS9の処理を実行するようにしてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、ステップS6の所定カウント数が5回に設定されていたが、5回よりも少ない回数、或いは、5回よりも多い回数に設定するようにしてもよい。
【0079】
また、本実施形態では、ステップS10において、第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAを第1状態(接触可能状態)から第2状態(離間状態)に切り替えた後、該第2状態から第1状態に切り替えた回数を実カウント数としてカウントするようにしていたが、ステップS3の判断処理がYesの回数(平ベルト11の滑り状態が検知された回数)、或いは、ステップS5の処理を実行した回数(第1脱ぷロール12と第2脱ぷロール13との間隙GAを第1状態から第2状態に切り替えた回数)を実カウント数としてカウントするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、平ベルトを用いて一対の脱ぷロールを駆動する籾摺機に適している。
【符号の説明】
【0081】
1 籾摺機
8 第1従動プーリ
9 第2従動プーリ
10 間隙調整機構(間隙調整部)
11 平ベルト
12 第1脱ぷロール
13 第2脱ぷロール
14 原料供給部
14d フィーダコイル(振動付与部)
15 供給バルブ
17 第1回転数センサ(滑り検知部)
18 第2回転数センサ(滑り検知部)
19 テンション圧力センサ(テンション検知部)
20 制御部
21 ディスプレイ(報知部)