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  • 特開-回転機用シャフト 図1
  • 特開-回転機用シャフト 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021180
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】回転機用シャフト
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/173 20060101AFI20240208BHJP
   F16C 3/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H02K5/173 A
F16C3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123837
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松前 太郎
(72)【発明者】
【氏名】富田 陽紀
(72)【発明者】
【氏名】近藤 正博
(72)【発明者】
【氏名】根岸 知広
(72)【発明者】
【氏名】坂本 秀
【テーマコード(参考)】
3J033
5H605
【Fターム(参考)】
3J033AA01
3J033AC01
3J033BA01
5H605BB05
5H605CC04
5H605CC05
5H605EB10
5H605GG04
(57)【要約】
【課題】軸径を小さくすることなく逃げ溝を設けることが可能な回転機用シャフトを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示に係る回転機用シャフトは、回転可能に支持するベアリングが設けられる第1軸部と、第1軸部よりも外径が大きく、ロータコアが軸方向から挿入される第2軸部と、第1軸部と第2軸部とを接続する、軸方向に直交し、前記ベアリングが当接する面である段差部と、を備え、第1軸部の外周面から連続して段差部に逃げ溝部が形成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持するベアリングが設けられる第1軸部と、
前記第1軸部よりも外径が大きく、ロータコアが軸方向から挿入される第2軸部と、
前記第1軸部と前記第2軸部との間に形成され、前記軸方向に直交し、前記ベアリングが当接する面である段差部と、
を備え、
前記段差部は、前記第1軸部の外周面から連続して前記段差部に逃げ溝部が形成される、
回転機用シャフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転機用シャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
電力で駆動される回転電機(モータ)は、種々の用途に用いられる。モータの用途としては、電動パワーステアリングシステムの駆動源として用いることが知られている。電動パワーステアリングシステムの回転電機(モータ)として、特許文献1に記載の回転電機が知られている。特許文献1に示すように、回転電機は、ロータと、ステータと、ロータ及びステータを収納するケーシングと、モータシャフトと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-208872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータのモータシャフトには、ベアリングを嵌め合わせる軸部や、径が異なるロータコアを嵌め合わせる軸部が設けられることから、軸に段差が生じる。ベアリングの角部と、モータシャフトの段差の隅の箇所との干渉を避けるために、モータシャフトの段差部の隅の曲率半径を、ベアリングの角部の曲率半径より小さくするか、逃げ溝を設ける必要があった。しかしながら、軸径が小さくなる方向に逃げ溝を設けるとシャフトの曲げ剛性が減少するため、曲げ剛性が問題とならない程度にシャフトの径を予め太くしなければならないという課題があった。
【0005】
本開示は上記課題を鑑み、軸径を小さくすることなく逃げ溝を設けることが可能な回転機用シャフトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る回転機用シャフトは、回転可能に支持するベアリングが設けられる第1軸部と、前記第1軸部よりも外径が大きく、ロータコアが軸方向から挿入される第2軸部と、前記第1軸部と前記第2軸部との間に形成され、前記軸方向に直交し、前記ベアリングが当接する面である段差部と、を備え、前記第1軸部の外周面から連続して前記段差部に逃げ溝部が形成される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、軸径を小さくすることなく逃げ溝を設けることが可能な回転機用シャフトを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示に係る回転機用シャフトを備えるモータの断面図を示す図である。
図2図2は、本開示に係る回転機用シャフトに設けられる逃げ溝部の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(モータの構成)
図1を用いて本開示に係る回転機用シャフト100を備えるモータ10の構成について説明する。なお、モータ10は、電動パワーステアリングシステムや、無段変速機(CVT:Continuously Variable Transmission)の駆動源となり、接続された対象に軸回転力、言い換えるとトルクを与える。
【0011】
図1は、本開示に係る回転機用シャフトを備えるモータの断面図を示す図である。図1に示すように、モータ10は、回転機用シャフト100と、ロータコア200と、ステータ300と、ベアリング400と、ケーシング500と、を備える。
【0012】
回転機用シャフト100は、ロータコア200と連結され、ロータコア200の回転に伴い回転する駆動軸である。回転機用シャフト100は、ベアリング400を介してケーシング500に支持される。図1に示すように、回転機用シャフト100は、スプライン軸部110と、第1軸部120と、第2軸部130と、を備える。回転機用シャフト100は、スプライン軸部110と、第1軸部120と、第2軸部130とが一体に連結された棒状の部材である。スプライン軸部110は、接続先の部品に形成されたスリーブに挿入されるスプラインが形成されている。接続先の部品としては、ギヤが例示される。回転機用シャフト100は、スプライン軸部110のスプラインが接続先の部品に形成されたスリーブに挿入されることにより、スプラインを介してトルクを接続先に伝達することができる。第1軸部120は、スプライン軸部110に隣接して設けられ、その外径にベアリング400が嵌め合わされる部分である。第2軸部130は、第1軸部120に隣接して設けられ、ロータコア200が嵌め合う部分であり、第1軸部120よりも外径が大きく形成されている。回転機用シャフト100の構造については後述する。
【0013】
ロータコア200は、回転機用シャフト100の第2軸部130に固定される。ロータコア200は、周方向に並ぶ複数の永久磁石を備える。ロータコア200は、中央位置に、貫通孔が形成されており、貫通孔に回転機用シャフト100が挿入される。ロータコア200は、ステータ300からの磁界により発生する磁力に起因する軸回転力を回転機用シャフト100に伝達する。
【0014】
ステータ300は、モータ10の固定子である。ステータ300は、ステータコア310と、ステータコイル320とを含む。ステータコア310は、ステータ300のコアであり、中央位置に、貫通孔が形成されている。ステータコア310は、磁性体により形成されている。ステータコア310に用いる磁性体は、例えば、電磁鋼板であってよい。ステータコイル320は、ステータ300のコイル部分を指している。ステータコイル320は、U相、V相、及びW相のコイルを含む。ステータコイル320は、ステータコア310に巻回されている。
【0015】
ベアリング(軸受)400は、回転機用シャフト100の第1軸部120とケーシング500とに連結される。ベアリング400は、ケーシング500に対して回転機用シャフト100を回転可能に支持する支持部材である。ベアリング400は、例えば、内輪と、ボールと、保持器と、外輪と、を備える転がり軸受である。ベアリング400は、内輪の内面側が回転機用シャフト100の第1軸部120に対して、締まり嵌めにより、嵌め合わされている。なお、ベアリング400の種類は特に限定されない。
【0016】
ケーシング500は、モータ10の構成部品を収納する収納容器である。ケーシング500は、例えば、アルミニウム合金によって形成される。ケーシング500は、例えば、アルミニウム合金を用いた鋳造により、モータ10の構成部品を収納可能な所望の形状に形成されてよい。
【0017】
図2を用いて、回転機用シャフト100の構造について、さらに説明する。図2は、本開示に係る回転機用シャフトに設けられる逃げ溝部の形状を示す図である。なお、図2は、図1の丸で囲った箇所Aを拡大して示している。
【0018】
図2に示すように、回転機用シャフト100は、第1軸部120と第2軸部130との接続部となる軸方向に直交する面が段差部140となる。段差部140は、第2軸部130の第1軸部120側の端面であり、第1軸部120よりも径方向外側に形成されるリング形状の面である。段差部140の第2軸部130側の端部は、面取りが施されている。面取りは、角部を斜め45度に切削するC面取り、角部を曲面形状とするR面取りであってよい。段差部140には、逃げ溝部150が形成される。
【0019】
図2に示すように、逃げ溝部150は、段差部140の面に対して、回転機用シャフト100の軸方向に凹となる溝形状に形成されている。逃げ溝部150は、段差部140の第1軸部120と接する箇所に設けられる。本実施形態の逃げ溝部150は、段差部140の径方向内側の端部が、第1軸部120の外周面と重なる位置である。逃げ溝部150は、リング形状の段差部140の全周に設けられる。つまり、逃げ溝部150は、段差部140の、リング形状の径方向の内側の端部の全周に形成される。逃げ溝部150は、段差部140に対して軸方向に沿った方向(段差部の表面に直交する方向)に彫り込んで設けられる。逃げ溝部150は、所定の径の半円球の溝状に形成されている。なお、逃げ溝部150の形状は、半円球の溝形状に限定されず、その他の任意の形状の溝形状であってもよい。半円球の溝形状の場合は、半円球の部分の径は、任意の値であってよい。逃げ溝部150は、旋盤の治具(チャック)に取り付けられた被切削物に対して、超硬合金が取り付けられたバイトなどの加工工具を押し当てることにより形成される。半円球の部分の径は、加工工具に合わせて設定してもよいし、加工工具により形成可能な任意の値に設定してもよい。例えば、加工工具のノーズRに合わせて、0.2mm、0.4mmのように設定してよい。
【0020】
(構成と効果)
本開示に係る回転機用シャフト100は、回転可能に支持するベアリング400が設けられる第1軸部120と、第1軸部120よりも外径が大きく、ロータコア200が軸方向から挿入される第2軸部130と、第1軸部120と第2軸部130との間に形成され、軸方向に直交し、ベアリング400が当接する面である段差部140と、を備え、第1軸部120の外周面から連続して段差部140に逃げ溝部150が形成される。
【0021】
逃げ溝部150を、第1軸部120の軸径を小さくする方向に設けた構成では、剛性が減少するため曲げ剛性が問題とならない程度にシャフトの径を予め太くする必要があった。これに対して本実施形態の構成によれば、軸径が小さくなる方向に溝を設ける必要がなくなることから、曲げ剛性を確保することが可能な回転機用シャフト100を提供することができる。これにより、軸径が小さくなる方向に溝を設ける必要が無くなることから、剛性を確保することが可能となる。また、逃げ溝部150を段差部140に設けることにより、ベアリング400の角部との干渉を避けることができる。
【0022】
本開示に係る回転機用シャフト100の逃げ溝部150は、所定の径の半円球の溝状であり、半球の端部が第1軸部120と接する位置に形成されていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、軸径が小さくなる方向に溝を設けることなく、回転機用シャフト100の段差部140に対して垂直方向に彫り込んで逃げ溝部150を設けることから、曲げ剛性を確保することが可能な回転機用シャフト100を提供することができる。
【0024】
本開示に係る回転機用シャフト100の逃げ溝部150は、第2軸部130の段差部140の周方向に軸対称とすることが好ましい。逃げ溝部150は、回転機用シャフト100の中心軸に対して周方向に軸対称となる形状とすることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、軸径が小さくなる方向に溝を設ける必要が無くなることから、曲げ剛性を確保することが可能な回転機用シャフト100を提供することができる。逃げ溝部150は、旋盤のチャックに取り付けられた被切削物に対して、旋盤を回転させた状態において、バイトなどの加工工具を押し当てることにより、周方向に軸対称に形成することができる。
【0026】
本開示に係る回転機用シャフト100は、接続先の部品に形成されたスリーブに挿入可能に形成されたスプラインを備えるスプライン軸部110と、をさらに備えることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、接続先の部品に形成されたスリーブにスプライン軸部110を挿入することにより、回転機用シャフト100からスプラインを介して接続先の部品にトルクを伝達することができる。
【0028】
本開示に係る回転機用シャフト100のスプライン軸部110は、無段変速機の歯車に形成されたスリーブに挿入されていることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、無段変速機のようなトルク変動が大きく、振動が発生しやすい駆動対象であっても、回転機用シャフト100の軸径を大きくすることを抑制することが可能な回転機用シャフト100を提供することができる。
【0030】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0031】
本開示に係る回転機用シャフト100は、回転電機(モータ)に用いられる旨の説明を行っているが、本開示に係る回転機用シャフト100は、油圧モータや油圧ポンプにも同様に適用可能である。この場合、ロータコア200はシリンダブロックとなる。
【符号の説明】
【0032】
10 モータ
100 回転機用シャフト
110 スプライン軸部
120 第1軸部
130 第2軸部
140 段差部
150 逃げ溝部
200 ロータコア
300 ステータ
310 ステータコア
320 ステータコイル
400 ベアリング
500 ケーシング
図1
図2