(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021186
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】光学式センサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
H01L27/146 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123845
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新田 淳
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA05
4M118CA02
4M118CA14
4M118CB14
4M118CB20
4M118EA14
4M118FB03
4M118FB09
4M118FB13
4M118GA08
4M118GD15
4M118HA25
4M118HA26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】正孔輸送層と活性層と電子輸送層とが基板側からこの順に積層し、正孔輸送層及び活性層へのダメージが抑制された光学式センサ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】光学式センサは、表面照射型であって、下部基板SUB1と、下部基板SUB1に設けられる複数の下部電極210と、複数の下部電極210の上に共通に設けられ、正孔輸送層231と、活性層232と、電子輸送層233と、を下部基板SUB1側からこの順に含む有機光電変換層230と、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間に設けられ、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230とを電気的に接続する導電性接着剤220と、有機光電変換層230の上に設けられる透光性の上部電極240と、上部電極240の上に設けられる透光性の上部基板SUB2と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面照射型の光学式センサであって、
下部基板と、
前記下部基板に設けられる複数の下部電極と、
前記複数の下部電極の上に共通に設けられる有機光電変換層であって、正孔輸送層と、活性層と、電子輸送層と、を前記下部基板側からこの順に含む前記有機光電変換層と、
前記複数の下部電極のそれぞれと前記有機光電変換層との間に設けられる導電性接着剤であって、前記複数の下部電極のそれぞれと前記有機光電変換層とを電気的に接続する前記導電性接着剤と、
前記有機光電変換層の上に設けられる透光性の上部電極と、
前記上部電極の上に設けられる透光性の上部基板と、
を有する、光学式センサ。
【請求項2】
前記導電性接着剤は、異方導電性接着剤である、
請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項3】
前記導電性接着剤は、自己整列性を有する導電粒子を含む、
請求項2に記載の光学式センサ。
【請求項4】
前記上部基板は、透光性の封止層と、当該封止層に積層する透光性の基板と、を前記下部基板側からこの順に含む、
請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項5】
前記電子輸送層の端部は、前記活性層の端部より前記下部基板の端部側に位置し、
前記活性層の端部は、前記正孔輸送層の端部より前記下部基板の端部側に位置する、
請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項6】
前記上部電極を前記下部基板と電気的に接続する導電層を更に有し、
断面視において、前記導電層と前記上部電極との間の距離は、前記下部電極と前記正孔輸送層との間の距離と等しい、
請求項1に記載の光学式センサ
【請求項7】
前記複数の下部電極のそれぞれと前記正孔輸送層との間において、前記正孔輸送層に当接するとともに前記複数の下部電極のそれぞれに平面視で重畳する補助電極膜を更に有する、
請求項1に記載の光学式センサ。
【請求項8】
表面照射型の光学式センサの製造方法であって、
透光性の第1基板の上に透光性の導電膜を形成する導電膜形成工程と、
電子輸送膜と、活性膜と、正孔輸送膜と、を前記第1基板側からこの順に含む有機光電変換膜を前記導電膜の上に形成する有機光電変換膜形成工程と、
前記第1基板と、複数の電極が設けられた第2基板と、を導電性接着剤により接着する接着工程であって、前記複数の電極のそれぞれと前記有機光電変換膜とが電気的に接続されるようにして前記第1基板と前記第2基板とを接着する前記接着工程と、
を有する、光学式センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学式センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機光電変換素子(OPD:Organic Photodiode)が基板上に配列された光学式センサが知られている。このような検出装置は、例えば指紋や静脈等の生体情報を検出する生体センサとして用いられる。OPDは、正孔を輸送する正孔輸送層と、受光した光を電荷に変換する活性層と、電子を輸送する電子輸送層と、を含む有機光電変換層を有する。
【0003】
OPDを用いた光学式センサが表面照射型である場合には、例えば下記特許文献1に示すように、正孔輸送層と活性層と電子輸送層とが基板側からこの順に積層されていることが、変換効率の観点から好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、有機光電変換層の各層を上記の順に成膜する場合、正孔輸送層及び活性層へのダメージが懸念される。すなわち、従来のOPDの製造方法では、基板側から(すなわち、下から)順に成膜を行う。そのため、有機光電変換層の各層は、当該層の上層の成膜条件に耐性を示すものであることが望ましい。ところが、下層へのダメージを考慮したことによって、デバイス特性を優先した理想の材料構成を実現できない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、正孔輸送層と活性層と電子輸送層とが基板側からこの順に積層した光学式センサであって、正孔輸送層及び活性層へのダメージが抑制された光学式センサの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光学式センサの一態様は、表面照射型であって、下部基板と、前記下部基板に設けられる複数の下部電極と、前記複数の下部電極の上に共通に設けられる有機光電変換層であって、正孔輸送層と、活性層と、電子輸送層と、を前記下部基板側からこの順に含む前記有機光電変換層と、前記複数の下部電極のそれぞれと前記有機光電変換層との間に設けられる導電性接着剤であって、前記複数の下部電極のそれぞれと前記有機光電変換層とを電気的に接続する前記導電性接着剤と、前記有機光電変換層の上に設けられる透光性の上部電極と、前記上部電極の上に設けられる透光性の上部基板と、を有する。
【0008】
本発明によれば、正孔輸送層と活性層と電子輸送層とが基板側からこの順に積層した光学式センサであって、正孔輸送層及び活性層へのダメージが抑制された光学式センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る光学式センサの概略を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る光学式センサの構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図1のB-B線切断面を示す部分断面図である。
【
図4】
図3を拡大して模式的に示す部分断面図である。
【
図5】
図1の破線で囲んだ領域Aを拡大して模式的に示す部分平面図である。
【
図6A】本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。
【
図6B】本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。
【
図6C】本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。
【
図6D】本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。
【
図7】変形例における
図1のB-B線切断面を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0011】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0012】
さらに、本発明の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る光学式センサの概略を示す平面図である。
図1に示すように、光学式センサ2は、樹脂基板100と、センサ部10と、ゲート線駆動回路20と、信号線選択回路21と、検出回路24と、制御回路26と、電源回路28と、を有する。本実施形態に係る光学式センサ2は、表面照射型である。
【0014】
樹脂基板100には、フレキシブルプリント基板300を介して制御基板400が電気的に接続される。フレキシブルプリント基板300には、検出回路24が設けられている。制御基板400には、制御回路26及び電源回路28が設けられている。制御回路26は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路26は、センサ部10、ゲート線駆動回路20及び信号線選択回路21に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。電源回路28は、電源電圧をセンサ部10、ゲート線駆動回路20及び信号線選択回路21に供給する。
【0015】
樹脂基板100は、検出領域DAと額縁領域PAとを有する。検出領域DAは、センサ部10が設けられる領域である。額縁領域PAは、検出領域DAの外側の領域であり、センサ部10が設けられない領域である。すなわち、額縁領域PAは、検出領域DAの端部と樹脂基板100の端部との間の領域である。
【0016】
額縁領域PAは、折曲領域BAと端子領域TAとを有する。折曲領域BAと端子領域TAとは、額縁領域の一端に設けられる。折曲領域BA及び端子領域TAには、検出領域DAに繋がる配線が配置される。端子領域TAにおいて、樹脂基板100とフレキシブルプリント基板300とが接続される。
【0017】
センサ部10は、複数の画素PXを有する。複数の画素PXは、検出領域DAに行列状に配列される。複数の画素PXは、フォトダイオードであり、それぞれに照射される光に応じた電気信号を出力する。各画素PXは、それぞれに照射される光に応じた電気信号を検出信号Vdetとして信号線選択回路21に出力する。本実施形態では、光学式センサ2は、各画素PXからの検出信号Vdetに基づいて、指や掌等の血管像、脈波、脈拍、血中酸素飽和度等の生体に関する情報を検出する。また、各画素PXは、ゲート線駆動回路20から供給されるゲート駆動信号Vgclに従って検出を行う。
【0018】
ゲート線駆動回路20及び信号線選択回路21は、額縁領域PAに設けられる。具体的には、ゲート線駆動回路20は、額縁領域PAのうち信号線SGLの延伸方向(第2方向Dy)に沿って延在する領域に設けられる。信号線選択回路21は、額縁領域PAのうちゲート線GCLの延伸方向(第1方向Dx)に沿って延在する領域に設けられ、センサ部10と折曲領域BAとの間に設けられる。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る光学式センサの構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、光学式センサ2は、さらに検出制御部30と検出部40とを有する。検出制御部30の機能の一部又は全部は、制御回路26に含まれる。また、検出部40のうち、検出回路24以外の機能の一部又は全部は、制御回路26に含まれる。
【0020】
検出制御部30は、ゲート線駆動回路20、信号線選択回路21及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部30は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST等の各種制御信号をゲート線駆動回路20に供給する。また、検出制御部30は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路21に供給する。
【0021】
ゲート線駆動回路20は、各種制御信号に基づいてゲート線GCLを駆動する回路である。ゲート線駆動回路20は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、ゲート線駆動回路20は、ゲート線GCLに接続された画素PXを選択する。
【0022】
信号線選択回路21は、複数の信号線SGLを順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路21は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路21は、検出制御部30から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された信号線SGLと検出回路24とを接続する。これにより、信号線選択回路21は、画素PXの検出信号Vdetを検出部40に出力する。
【0023】
検出部40は、検出回路24と、信号処理部44と、記憶部45と、座標抽出部46と、検出タイミング制御部47と、を備える。検出タイミング制御部47は、検出制御部30から供給される制御信号に基づいて、検出回路24と、信号処理部44と、座標抽出部46と、が同期して動作するように制御する。
【0024】
検出回路24は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE、Analog Front End)である。検出回路24は、少なくとも検出信号増幅部42及びA/D変換部43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0025】
信号処理部44は、検出回路24の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理部44は、指や掌等の検出対象が検出面に接触又は近接した場合に、検出回路24からの信号に基づいて指や掌等の表面の凹凸を検出できる。また、信号処理部44は、検出回路24からの信号に基づいて、指や掌等の血管像、脈波、脈拍、血中酸素飽和度等の生体に関する情報を検出できる。
【0026】
記憶部45は、信号処理部44で演算された信号を一時的に保存する。記憶部45は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0027】
座標抽出部46は、信号処理部44において指や掌等の接触又は近接が検出されたときに、指や掌等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。また、座標抽出部46は、指や掌等の血管の検出座標を求める論理回路である。座標抽出部46は、センサ部10の各画素PXから出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指や掌等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出部46は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。
【0028】
図3は、
図1のB-B線切断面を示す部分断面図である。
図3では、検出領域DAの一部及び額縁領域PAの一部が断面視において示されている。前述の通り、検出領域DAは複数の画素PXを有し、額縁領域PAは折曲領域BA及び端子領域TAを有する。各画素PXは、対応する一の下部電極210と、対応する一の薄膜トランジスタTFTとを有する。
【0029】
図3では、第1方向Dxにおける切断面が示されているが、検出領域DAについては、第2方向Dyにおいて切断した場合も
図4と同様の断面構造が観察される。また、
図3では、断面構造を見易くするため、一部の層のハッチングを省略している(
図4、
図6-7においても同様)。以下では、
図3に示す断面構造を下層から順を追って説明する。なお、以下の説明では、各層の積層方向を第3方向Dzとする。
【0030】
樹脂基板100上に、バリア無機膜110が積層されている。樹脂基板100は、ポリイミドにより形成される。ただし、シート型光学検出装置として十分な可撓性を有する基材であれば他の樹脂材料を用いてもよい。一方、バリア無機膜110は、第1無機膜(例えばシリコン酸化膜)111、第2無機膜(例えばシリコン窒化膜)112及び第3無機膜(シリコン酸化膜)113の三層積層構造である。第1無機膜111は基材との密着性向上のため、第2無機膜112は外部からの水分及び不純物のブロック膜として、第3無機膜113は第2無機膜112中に含有する水素原子が半導体層131側に拡散しないようにするブロック膜として、それぞれ設けられるが、特にこの構造に限定するものではない。さらに積層があってもよいし、単層あるいは二層積層としてもよい。
【0031】
後述する薄膜トランジスタTFTを形成する箇所に合わせて付加膜120を形成してもよい。付加膜120は、薄膜トランジスタTFTのチャネル裏面からの光の侵入等による薄膜トランジスタTFTの特性の変化を抑制したり、導電材料で形成して所定の電位を与えることで、薄膜トランジスタTFTにバックゲート効果を与えたりすることができる。ここでは、第1無機膜111を形成した後、薄膜トランジスタTFTが形成される箇所に合わせて付加膜120を島状に形成し、その後第2無機膜112及び第3無機膜113を積層することで、バリア無機膜110に付加膜120を封入するように形成しているが、この限りではなく、樹脂基板100上にまず付加膜120を形成し、その後にバリア無機膜110を形成してもよい。
【0032】
バリア無機膜110上には、薄膜トランジスタTFTが画素PX毎に形成されている。薄膜トランジスタTFTは、半導体層131と、ゲート電極132と、ソース電極133と、ドレイン電極134と、を有する。ポリシリコン薄膜トランジスタを例に挙げて、ここではNchトランジスタのみを示しているが、Pchトランジスタを同時に形成してもよい。薄膜トランジスタTFTの半導体層131は、チャネル領域とソース・ドレイン領域との間に低濃度不純物領域又は真性半導体領域を設けた構造をとる。なお、ゲート電極132は、各画素PXにおいて、ゲート線GCLが半導体層131と電気的に接続する部分である。同様に、ソース電極133は、各画素PXにおいて、信号線SGLが半導体層131と電気的に接続する部分である。
【0033】
半導体層131とゲート電極132との間には、ゲート絶縁膜140が設けられている。ここでは、ゲート絶縁膜140としてはシリコン酸化膜を用いる。ゲート電極132は、MoWから形成された第1配線層W1の一部である。第1配線層W1は、ゲート電極132に加え、第1保持容量線CsL1を有する。第1保持容量線CsL1と半導体層131(ソース・ドレイン領域)との間で、ゲート絶縁膜140を介して、保持容量Csの一部が形成される。
【0034】
ゲート電極132の上に、層間絶縁膜150が形成されている。層間絶縁膜150は、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜が積層した構造をとる。折曲領域BAに相当する箇所では、バリア無機膜110乃至層間絶縁膜150はパターニングにより除去されている(不図示)。折曲領域BAに相当する箇所では、樹脂基板100を構成するポリイミドが露出している(不図示)。なお、バリア無機膜110をパターニングにより除去する際、ポリイミド表面が一部浸食されて膜減りを生ずる場合が有る。
【0035】
層間絶縁膜150の端部における段差部分及びバリア無機膜110の端部における段差部分のそれぞれの下層には、配線パターンが形成されている(不図示)。次の工程で形成する引き回し配線RWは、段差部分を横切る際に配線パターンの上を通る(不図示)。層間絶縁膜150とバリア無機膜110との間には、例えばゲート電極132があり、バリア無機膜110と樹脂基板100との間には、例えば付加膜120があるので、それらの層を利用して配線パターンを形成する。
【0036】
層間絶縁膜150の上に、ソース電極133、ドレイン電極134及び引き回し配線RWとなる部分を含む第2配線層W2が形成されている。ここでは、Ti、Al及びTiの三層積層構造を採用する。層間絶縁膜150を介して、第1保持容量線CsL1(第1配線層W1の一部)と第2保持容量線CsL2(第2配線層W2の一部)とで、保持容量Csの他の一部が形成される。引き回し配線RWは、折曲領域BAを経由して端子領域TAまで延在しており、フレキシブルプリント基板300等を接続する端子部を形成している(不図示)。
【0037】
なお、引き回し配線RWは、折曲領域BAを横切って端子部に到達するように形成されるため、層間絶縁膜150及びバリア無機膜110の段差部分を横切る(不図示)。前述したとおり、段差部分には例えば付加膜120による配線パターンが形成されている。したがって、引き回し配線RWが段差の凹部で段切れを生じたとしても、該配線パターンにコンタクトすることで電気的な接続を維持することができる。
【0038】
ソース電極133、ドレイン電極134及び層間絶縁膜150を覆うように、平坦化膜160が設けられている。平坦化膜160は、CVD(Chemical Vapor Deposition)等により形成される無機絶縁材料に比べ、表面の平坦性に優れることから、感光性アクリル等の樹脂が用いられる。平坦化膜160は、画素コンタクト部170、共通電極コンタクト部171、折曲領域BA及び端子領域TAでは除去されている。
【0039】
平坦化膜160の上に、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)からなる透明導電膜190が画素PX毎に形成されている。透明導電膜190は、相互に分離された第1透明導電膜191及び第2透明導電膜192を含む。
【0040】
第1透明導電膜191は、画素コンタクト部170において、平坦化膜160の除去により表面が露出した第2配線層W2を被覆する。そして、第1透明導電膜191を被覆するように、平坦化膜160の上に無機絶縁膜(シリコン窒化膜)180が設けられている。無機絶縁膜180は、画素コンタクト部170に開口している。
【0041】
一方、第2透明導電膜192は、後述する下部電極210の下方(さらに無機絶縁膜180の下方)、画素コンタクト部170の隣に設けられている。第2透明導電膜192、無機絶縁膜36及び下部電極210は重なっており、これらによって付加容量Cadが形成される。
【0042】
なお、端子部の表面に第3透明導電膜が形成されてもよい(不図示)。端子部の表面に形成される第3透明導電膜は、以降の工程において配線露出部がダメージを負わないように保護することを目的の一として設けられ得る。
【0043】
以上、樹脂基板100から無機絶縁膜180までの積層構造(以下、下部基板SUB1という)について説明した。以下では、
図3とともに
図4を用いて、下部基板SUB1より上層の構造について説明する。
図4は、
図3を拡大して模式的に示す部分断面図である。
【0044】
下部基板SUB1(より具体的には無機絶縁膜180)の上には、互いに隣り合う複数の下部電極210が設けられている。具体的には、画素コンタクト部170における無機絶縁膜180の開口を介してドレイン電極134に導通するように、下部電極210が画素PX毎に設けられる。下部電極210は、反射電極として形成され、酸化インジウム亜鉛膜、Ag膜、酸化インジウム亜鉛膜の三層積層構造になっている。ここで、酸化インジウム亜鉛膜に代わって酸化インジウムスズ膜を用いてもよい。下部電極210は、画素コンタクト部170から側方に拡がり、薄膜トランジスタTFTの上方に至る。
【0045】
複数の下部電極210の上には、有機光電変換層230が複数の画素PX(すなわち、複数の下部電極210)に共通に設けられている。すなわち、有機光電変換層230は、検出領域DAの全体にわたって設けられている。
【0046】
有機光電変換層230は、正孔輸送層231と、活性層232と、電子輸送層233と、を下部基板SUB1側からこの順に含む。より詳細には、有機光電変換層230は、正孔輸送層231と、活性層232と、電子輸送層233と、が下部基板SUB1側からこの順に積層した構造を有する。正孔輸送層231は正孔を輸送し、電荷輸送層233は電子を輸送する。活性層232は、光学式センサ2に入射する入射光を電荷に変換する。
【0047】
複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間には、導電性接着剤220が設けられている。具体的には、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間を充填するように導電性接着剤220が設けられている。より具体的には、導電性接着剤220は、複数の下部電極210のそれぞれの上面210aと正孔輸送層の下面231aとの間を充填するように設けられている。また、導電性接着剤220は、下部基板SUB1の上面SUB1aと正孔輸送層の下面231aとの間を充填するように設けられている。さらに、導電性接着剤220は、隣り合う下部電極210の側部210bの間を充填するように設けられている。なお、導電性接着剤220は、後述するように、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230とが電気的に接続される限りにおいて、空隙又は不純物の混入等の欠陥を一部に有していてもよい。
【0048】
導電性接着剤220は、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230とを電気的に接続する。具体的には、導電性接着剤220は、導電性の粒子である導電粒子Pを含む。この導電粒子Pは、複数の下部電極210のそれぞれの上面210aと正孔輸送層の下面231aとの間で凝集している。これにより、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230とが電気的に接続される。なお、ここで導電粒子Pについて「凝集」とは、ある部材と他の部材とが電気的に接続される程度に、当該部材間において導電粒子Pが集合している状態を指す。
【0049】
導電性接着剤220は、異方導電性接着剤である。具体的には、下部基板SUBに垂直な方向(ここでは第3方向Dz)における導電性接着剤220の導電性は、下部基板SUB1に平行な方向(ここでは第1方向Dx)における導電性接着剤220の導電性より大きい。
【0050】
より具体的には、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間における導電性接着剤220の導電性は、下部基板SUB1の上面SUB1aと正孔輸送層の下面231aとの間における導電性接着剤220の導電性、及び隣り合う下部電極210の側部210bの間における導電性接着剤220の導電性より大きい。換言すれば、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間における導電粒子Pの密度は、下部基板SUB1の上面SUB1aと正孔輸送層の下面231aとの間における導電粒子Pの密度、及び隣り合う下部電極210の側部210bの間における導電粒子Pの密度より大きい。
【0051】
本実施形態では、導電性接着剤220に含まれる導電粒子Pは、自己整列性を有する。すなわち、後述するように、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230とを導電性接着剤220により接着する際、各下部電極210と有機光電変換層230との間に導電粒子Pが自発的に凝集する。このような構成によれば、導電性接着剤220による接着工程(
図6D参照)において、加熱した状態での圧着が不要となるため、より温和な条件下で光学式センサ2を製造することができる。なお、導電性接着剤220に含まれる導電粒子Pとしては、自己整列性を有しないものを用いてもよい。
【0052】
なお、一つの下部電極210に対する導電粒子Pの個数は、安定した導通を確保する観点から、複数であることが好ましい。具体的には、一つの下部電極210に対する導電粒子Pは、少なくとも20個であることが好ましい。すなわち、導電粒子Pの大きさが1μm径の場合、下部電極210の上面210aの面積を少なくとも20μm2とすることが好ましい。また、導電粒子Pの大きさが3μm径の場合、下部電極210の上面210aの面積を少なくとも180μm2とすることが好ましい。さらに、導電粒子Pの大きさが5μm径の場合、下部電極210の上面210aの面積を少なくとも500μm2とすることが好ましい。以上より、導電粒子Pの大きさが1μm~5μm径の場合、下部電極210の上面210aにおける導電粒子Pの面積密度(下部電極210の上面210aの単位面積当たりの導電粒子Pの個数)は、0.04~1個/μm2であることが好ましい。
【0053】
また、より好ましくは、導電粒子Pの大きさは3μm径以下である。換言すれば、下部電極210の上面210aにおける導電粒子Pの面積密度は、より好ましくは0.1個~1個/μm2である。すなわち、導電粒子Pが大きすぎると、導電粒子Pと正孔輸送層231の下面231aとの接触面積が低減し、導通が不安定になるおそれがあるため、導電粒子Pの大きさは小さいほど好ましい。
【0054】
有機光電変換層230の上には、上部電極240が複数の画素PX(すなわち、複数の下部電極210)に共通に設けられている。すなわち、上部電極240は、有機光電変換層230と同様に、検出領域DAの全体にわたって設けられている。より具体的には、上部電極240は、有機光電変換層230の上に積層している。本実施形態では、光学式センサ2が表面照射型であるため、上部電極240は透光性を有する。具体的には、有機光電変換層230と接する面にPEDOT:PSSを形成した後、Ag、Al等の金属材料を用い、入射光が透過する程度の薄膜として上部電極240を形成する。上部電極240は、検出領域DAに設けられた有機光電変換層230上から、額縁領域PAに設けられた共通電極コンタクト部171上にわたって形成される。そして、後述するように、共通電極コンタクト部171において、引き回し配線RWと電気的に接続され、最終的には端子部に引き出される。
【0055】
上部電極240の上には、透光性の上部基板SUB2が設けられている。より具体的には、上部基板SUB2は、上部電極240の上に積層している。
【0056】
上部基板SUB2は、透光性の封止層310と、封止層310に積層する透光性の透光性基板320と、を下から(すなわち、下部基板SUB1側から)この順に含む。封止層310は、外部より侵入する水分等から有機光電変換層230を保護することを機能の一としており、ガスバリア性の高いものが要求される。本実施形態では、封止層310は、シリコン窒化膜を含む積層構造として、シリコン窒化膜、有機樹脂、シリコン窒化膜の積層構造を有する。シリコン窒化膜と有機樹脂との間には、密着性向上を目的の一として、シリコン酸化膜やアモルファスシリコン層を設けてもよい。ただし、受光面側に設けられる膜となるため、検出対象となる波長の光に対して吸収等の作用を及ぼさない材料が好ましい。本実施形態では、透光性基板320はガラス基板である。透光性基板320は透光性樹脂により形成されてもよい。或いは、透光性基板320は、光学式センサ2の用途に合わせて、可撓性材料により形成されてもよい。
【0057】
以降では、
図5を参照しつつ、
図3及び
図4における額縁領域PA周辺の詳細な構造について説明する。
図5は、
図1の破線で囲んだ領域Aを拡大して模式的に示す部分平面図である。
【0058】
図4及び
図5に示すように、上部電極240の端部240bは、電子輸送層233の端部233bより下部基板SUB1の端部側であって、下部基板SUB1の端部より表示領域DA側に位置している。また、電子輸送層233の端部233bは、活性層232の端部232bより下部基板SUB1の端部側に位置している。さらに、活性層232の端部232bは、正孔輸送層231の端部231bより下部基板SUB1の端部側に位置している。
【0059】
換言すれば、上部基板SUB2の下面SUB2aは、上部電極240に覆われていない露出面SUB2a-1を有する。同様に、上部電極240の下面240aは、電子輸送層233に覆われていない露出面240a-1を有する。また、電子輸送層233の下面233aは、活性層232に覆われていない露出面233a-1を有する。さらに、活性層232の下面232aは、正孔輸送層231に覆われていない露出面232a-1を有する。
【0060】
導電性接着剤220は、上部基板SUB2の露出面SUB2a-1と下部基板SUB1の上面SUB1aとの間を充填するように設けられている。同様に、導電性接着剤220は、上部電極240の露出面240a-1と下部基板SUB1の上面SUB1aとの間を充填するように設けられている。また、導電性接着剤220は、電子輸送層233の露出面233a-1と下部基板SUB1の上面SUB1aとの間を充填するように設けられている。さらに、導電性接着剤220は、活性層232の露出面232a-1と下部基板SUB1の上面SUB1aとの間を充填するように設けられている。
【0061】
ここで、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間における導電性接着剤220の導電性は、上部基板SUB2の露出面SUB2a-1と下部基板SUB1の上面SUB1aとの間における導電性接着剤220の導電性より大きい。同様に、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間における導電性接着剤220の導電性は、上部電極240の露出面240a-1と下部基板SUB1の上面SUB1aとの間における導電性接着剤220の導電性より大きい。また、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間における導電性接着剤220の導電性は、電子輸送層233の露出面233a-1と下部基板SUB1の上面SUB1aとの間における導電性接着剤220の導電性より大きい。さらに、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間における導電性接着剤220の導電性は、活性層232の露出面232a-1と下部基板SUB1の上面SUB1aとの間における導電性接着剤220の導電性より大きい。
【0062】
より詳細には、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間における導電粒子Pの密度は、上部基板SUB2の露出面SUB2a-1と下部基板SUB1の上面SUB1aとの間における導電粒子Pの密度より大きい。同様に、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間における導電粒子Pの密度は、上部電極240の露出面240a-1と下部基板SUB1の上面SUB1aとの間における導電粒子Pの密度より大きい。また、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間における導電粒子Pの密度は、電子輸送層233の露出面233a-1と下部基板SUB1の上面SUB1aとの間における導電粒子Pの密度より大きい。さらに、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230との間における導電粒子Pの密度は、活性層232の露出面232a-1と下部基板SUB1の上面SUB1aとの間における導電粒子Pの密度より大きい。
【0063】
ところで、額縁領域PAでは、上部電極240と下部基板SUB1とを電気的に接続する導電層260が、下部基板SUB1(より具体的には無機絶縁膜180)の上に設けられている。導電層260と上部電極240との間には導電性接着剤220が設けられており、導電層260と上部電極240とは、当該導電性接着剤220により電気的に接続されている。そして、共通電極コンタクト部171において、導電層260と下部基板SUB1の引き回し配線RWとが電気的に接続されることにより、上部電極240と下部基板SUB1の引き回し配線RWとが電気的に接続される。なお、詳細には、導電性接着剤220は、導電層260の上面260aと上部電極240の下面240aとの間を充填するように設けられている。
【0064】
図5に示すように、平面視において、導電層260は、下部基板SUB1の各辺に複数設けられている。より詳細には、
図5に示すように、平面視において、導電層260は、下部基板SUB1の各辺において、複数の画素PXが第1方向Dxに並ぶ行ごとに設けられている。同様に、平面視において、各導電層260は、下部基板SUB1の各辺において、複数の画素PXが第2方向Dyに並ぶ列ごとにも設けられている(不図示)。
【0065】
断面視において、導電層260と上部電極240との間の距離は、下部電極210と正孔輸送層231との間の距離と等しい。具体的には、断面視において、導電層260の上面260aと上部電極240の露出面240a-1との間の距離H1は、下部電極210の上面210aと正孔輸送層231の下面231aとの距離H2と等しい。すなわち、導電層260の上面260aと上部電極240の露出面240a-1との間における導電性接着剤220の導電性は、下部電極210の上面210aと正孔輸送層231の下面231aとの間におけるとの間における導電性接着剤220の導電性と等しい。より詳細には、導電層260の上面260aと上部電極240の露出面240a-1との間における導電粒子Pの密度は、下部電極210の上面210aと正孔輸送層231の下面231aとの間における導電粒子Pの密度と等しい。このような構成によれば、安定した導通を確保することができる。
【0066】
なお、上部基板SUB2が可撓性材料により形成されている場合には、導電層260と上部電極240との間の距離は、下部電極210と正孔輸送層231との間の距離より大きくてもよい。
【0067】
以下、
図6(
図6Aから
図6D)を参照して、本実施形態に係る光学式センサ2の製造工程について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る光学式センサの製造工程における模式的な断面図である。
【0068】
まず、透光性基板320の上に封止層310を形成し、上部基板SUB2(透光性の第1基板)を得る(
図6A)。続いて、上部基板SUB2の上に上部電極240(透光性の導電膜)を形成する(
図6B)。ここで、
図4及び
図5を用いて説明したように、上部電極240の端部240bが、下部基板SUB1の端部より表示領域DA側に位置するように、上部電極240を形成する。
【0069】
次いで、電子輸送層233(電子輸送膜)と、活性層232(活性膜)と、正孔輸送層231(正孔輸送膜)と、を上部基板SUB2側からこの順に含む有機光電変換層230(有機光電変換膜)を上部電極240の上に形成する(
図6C)。
【0070】
ここで、
図4及び
図5を用いて説明したように、上部電極240の端部240bが、電子輸送層233の端部233bより下部基板SUB1の端部側に位置するように、電子輸送層233を形成する。また、電子輸送層233の端部233bが、活性層232の端部232bより下部基板SUB1の端部側に位置するように、活性層232を形成する。さらに、活性層232の端部232bが、正孔輸送層231の端部231bより下部基板SUB1の端部側に位置するように、正孔輸送層231を形成する。このような製造方法によれば、例えば正孔輸送層231と電子輸送層233との接触、或いは活性層232と上部電極240との接触による電荷のリークを防ぐことができる。
【0071】
そして、上部基板SUB2と、複数の下部電極210(複数の電極)が設けられた下部基板SUB1(第2基板)と、を導電性接着剤220により接着する(
図6D)。この際、複数の下部電極210のそれぞれと有機光電変換層230とが、導電性接着剤220を介して電気的に接続される。接着に際しては、上部基板SUB2に導電性接着剤220を塗布し、当該上部基板SUB2に下部基板SUB1を接着させる。勿論、下部基板SUB1に導電性接着剤220を塗布し、当該下部基板SUB1に上部基板SUB2を接着させてもよい。
【0072】
図6に示す製造方法によれば、正孔輸送層及び活性層へのダメージを抑えつつ、正孔輸送層と活性層と電子輸送層とが基板側からこの順に積層した光学式センサを製造することができる。すなわち、
図6に示す製造方法では、従来の成膜工程における成膜順と逆の順序で有機光電変換層の各層を成膜することができる。そのため、正孔輸送層と活性層と電子輸送層とを基板側からこの順に成膜した場合における、正孔輸送層及び活性層へのダメージを抑えることができる。
【0073】
最後に、
図7を用いて、本実施形態の変形例を説明する。
図7は、変形例における
図1のB-B線切断面を示す部分断面図である。なお、既出の構成の詳細については、説明を省略する。
【0074】
複数の下部電極210のそれぞれと正孔輸送層231との間において、正孔輸送層231に当接するとともに複数の下部電極210のそれぞれに平面視で重畳する補助電極膜270を更に有する。このような構成によれば、より安定した導通を確保することができる。なお、本変形例では、補助電極膜270が、複数の画素電極210のそれぞれに対応するように複数設けられている場合を説明するが、補助電極膜270は、単にベタ膜としてもよい。
【0075】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。
【0076】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、上述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
2 光学式センサ、10 センサ部、20 ゲート線駆動回路、21 信号線選択回路、24 検出回路、26 制御回路、28 電源回路、30 検出制御部、40 検出部、42 検出信号増幅部、43 A/D変換部、44 信号処理部、45 記憶部、46 座標抽出部、100 樹脂基板、110 バリア無機膜、111 第1無機膜、112 第2無機膜、113 第3無機膜、120 付加膜、131 半導体層、132 ゲート電極、133 ソース電極、134 ドレイン電極、140 ゲート絶縁膜、150 層間絶縁膜、160 平坦化膜、170 画素コンタクト部、171 上部電極コンタクト部、180 無機絶縁膜、190 透明導電膜、191 第1透明導電膜、192 第2透明導電膜、210 下部電極、220 導電性接着剤、230 有機光電変換層、231 正孔輸送層、232 活性層、233 電子輸送層、240 上部電極、260 導電層、270 補助電極膜、310 封止層、320 透光性基板、GCL ゲート線、SGL 信号線、STV スタート信号、CK クロック信号、RST リセット信号、Vgcl ゲート駆動信号、Vdet 検出信号、Vo センサ出力、ASW 選択信号、CL 回路層、TFT 薄膜トランジスタ、Cs 保持容量、CsL1 第1保持容量線、CsL2 第2保持容量線、W1 第1配線層、W2 第2配線層、Cad 付加容量、RW 引き回し配線、PX 画素、DA 検出領域、PA 額縁領域、P 導電粒子、SUB1 下部基板、SUB2 上部基板。