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  • 特開-作業装置 図1
  • 特開-作業装置 図2
  • 特開-作業装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021187
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】作業装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 37/02 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B23K37/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123849
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植野 貴司
(57)【要約】
【課題】簡易な構造でワークの表面からの作業ツールの高さを一定に維持することができる作業装置を提供する。
【解決手段】作業機械は、ワーク10の上方に配置される少なくとも1つの作業ツール4と、ワーク4に対して横方向に相対移動するフレーム3と、作業ツール4を支持する少なくとも1つの昇降台5を含む。昇降台5は、上下方向に摺動可能となるようにフレーム3に取り付けられている。昇降台5には、ワーク10の表面上を転動するローラ7が取り付けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの上方に配置される少なくとも1つの作業ツールと、
前記ワークに対して横方向に相対移動するフレームと、
前記少なくとも1つの作業ツールを支持する、上下方向に摺動可能となるように前記フレームに取り付けられた少なくとも1つの昇降台と、
前記少なくとも1つの昇降台に取り付けられた、前記ワークの表面上を転動するローラと、
を備える、作業装置。
【請求項2】
前記作業ツールは、切断トーチまたは溶接トーチである、請求項1に記載の作業装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの作業ツールは複数の作業ツールを含み、
前記少なくとも1つの昇降台は、前記複数の作業ツールをそれぞれ支持する複数の昇降台を含み、
前記ワークは板状であり、
前記フレームは、前記ワークの表面に平行な特定方向に延びており、
前記複数の昇降台は、前記特定方向に並んだ状態で前記フレームに取り付けられている、請求項1または2に記載の作業装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、作業ツールをワークの上方でワークに対して相対移動させながら作業を行う作業装置が知られている。例えば、特許文献1には、図3に示すような切断装置100が開示されている。
【0003】
具体的に、切断装置100は、作業ツールとしての切断トーチ110と、切断トーチ110を支持する支持体120と、支持体120とフレーム140の間に介在する、モータ131を有する昇降機構130を含む。また、切断装置100は、支持体120に上下方向に摺動可能となるように取り付けられた、ワーク200上を走行する台車150を含む。
【0004】
支持体120にはブラケット160を介してレーザセンサ170が取り付けられる一方、台車150には、レーザセンサ170からのレーザー光を反射する反射板180が取り付けられている。昇降機構130がレーザセンサ170からの信号に応じて支持体120を昇降させることで、ワーク200の表面からの切断トーチ110の高さが一定に維持される。換言すれば、切断トーチ110はワーク200の表面に倣って移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-71443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図3に示す切断装置100では、ワーク200の表面からの切断トーチ110の高さを一定に維持するための構造が複雑である。
【0007】
そこで、本開示は、簡易な構造でワークの表面からの作業ツールの高さを一定に維持することができる作業装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、ワークの上方に配置される少なくとも1つの作業ツールと、前記ワークに対して横方向に相対移動するフレームと、前記少なくとも1つの作業ツールを支持する、上下方向に摺動可能となるように前記フレームに取り付けられた少なくとも1つの昇降台と、前記少なくとも1つの昇降台に取り付けられた、前記ワークの表面上を転動するローラと、を備える、作業装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、簡易な構造でワークの表面からの作業ツールの高さを一定に維持することができる作業装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る作業装置の概略構成図である。
図2図2A,2Bは、前記作業装置の一部の断面側面図および正面図である。
図3】従来の切断装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に、一実施形態に係る作業機械1を示す。この作業機械1は、少なくとも1つの作業ツール4をワーク10の上方でワーク10に対して相対移動させながら作業を行うものである。
【0012】
具体的に、作業機械1は、ワーク10の上方に配置される少なくとも1つの作業ツール4と、ワーク10に対して横方向に相対移動するフレーム3を含む。本実施形態では、ワーク10が床に固定された載置台11の上に載置され、フレーム3が移動する。ただし、フレーム3が床に固定され、ワーク10が載置された載置台11が移動してもよい。
【0013】
本実施形態では、ワーク10が板状であり、水平方向に平行な状態で載置台11の上に載置されている。フレーム3は、ワーク10の表面(上面)に平行な特定方向(図1では左右方向)に延びている。一方、前記特定方向において載置台11の両側には、前記特定方向と直交する方向に延びる一対のレール21が床に固定されている。フレーム3の両端部には、レール21に沿って摺動可能なキャリッジ22が取り付けられている。フレーム3は、電動モータおよび直動機構を含む駆動機によって前記特定方向と直交する方向(すなわち、レール21の延在方向)に移動される。
【0014】
本実施形態では、作業ツール4が切断トーチである。すなわち、作業機械1は切断作業を行う。ただし、作業ツール4が溶接トーチであり、作業機械1が溶接作業を行ってもよい。あるいは、作業機械1が非破壊検査を行う場合は作業ツール4が検査プローブであってもよい。なお、作業機械1が行う作業および作業ツール4はこれらに限られず、その他のものであってもよい。
【0015】
本実施形態では、作業機械1が複数の作業ツール4を含む。これらの作業ツール4は、複数の昇降台5(図2A,2B参照)によってそれぞれ支持されている。具体的には、図2A,2Bに示すように、各昇降台5が前記特定方向(フレーム3の延在方向)に平行かつ鉛直方向に長尺の板状であり、この昇降台5の前面(フレーム3とは反対側を向く面)に対応する作業ツール4がホルダー41によって固定されている。
【0016】
複数の昇降台5は、前記特定方向に並んだ状態でフレーム3に取り付けられている。前記特定方向における昇降台5のピッチは均等であってもよいし、不均等であってもよい。
【0017】
各昇降台5は、上下方向に摺動可能となるようにフレーム3に取り付けられている。より詳しくは、フレーム3の前面には昇降台5と平行な板状のベース31が固定され、このベース31に、前記特定方向に並ぶ一対のレール51が固定されている。昇降台5の後面には、レール51に沿って摺動可能なキャリッジ52が取り付けられている。
【0018】
各昇降台5には、ワーク10の表面上を転動する2つのローラ7が、サポート6を介して取り付けられている。ただし、ローラ7の数は1つであってもよい。サポート6は、昇降台5の下部から前方および後方に延びた後に、下向きに折れ曲がっている。そして、サポート6の下向きに折れ曲がる部分の先端にローラ7が回転可能に取り付けられている。
【0019】
以上説明した構成の作業機械1では、ワーク10の表面に凹凸があったとしても、昇降台5がローラ7と共にその凹凸に倣って移動する。従って、上下方向に摺動可能な昇降台5にローラ7を取り付けるという簡易な構造で、ワーク10の表面からの作業ツール4の高さを一定に維持することができる。
【0020】
また、本実施形態では複数の昇降台5が前記特定方向に並んだ状態でフレーム3に取り付けられているので、均一な幅の複数のフラットバーを一度に切り出すことができる。
【0021】
なお、本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0022】
(まとめ)
第1の態様として、本開示は、ワークの上方に配置される少なくとも1つの作業ツールと、前記ワークに対して横方向に相対移動するフレームと、前記少なくとも1つの作業ツールを支持する、上下方向に摺動可能となるように前記フレームに取り付けられた少なくとも1つの昇降台と、前記少なくとも1つの昇降台に取り付けられた、前記ワークの表面上を転動するローラと、を備える、作業装置を提供する。
【0023】
上記の構成によれば、ワークの表面に凹凸があったとしても、昇降台がローラと共にその凹凸に倣って移動する。従って、上下方向に摺動可能な昇降台にローラを取り付けるという簡易な構造で、ワークの表面からの作業ツールの高さを一定に維持することができる。
【0024】
第2の態様として、第1の態様において、前記作業ツールは、切断トーチまたは溶接トーチであってもよい。この構成によれば、切断作業または溶接作業を行うことができる。
【0025】
第3の態様として、第1または第2の態様において、前記少なくとも1つの作業ツールは複数の作業ツールを含み、前記少なくとも1つの昇降台は、前記複数の作業ツールをそれぞれ支持する複数の昇降台を含み、前記ワークは板状であり、前記フレームは、前記ワークの表面に平行な特定方向に延びており、前記複数の昇降台は、前記特定方向に並んだ状態で前記フレームに取り付けられてもよい。この構成によれば、作業ツールが切断トーチである場合に、均一な幅の複数のフラットバーを一度に切り出すことができる。
【符号の説明】
【0026】
1 作業機械
10 ワーク
3 フレーム
4 作業ツール
5 昇降台
7 ローラ
図1
図2
図3