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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021192
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】アウターロータ型のモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/04 20060101AFI20240208BHJP
   H02K 21/22 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H02K9/04 A
H02K21/22 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123857
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】根本 達也
(72)【発明者】
【氏名】原田 天晴
【テーマコード(参考)】
5H609
5H621
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609PP02
5H609QQ02
5H609QQ12
5H609QQ13
5H609QQ23
5H609RR13
5H609RR17
5H609RR38
5H609RR42
5H609RR43
5H609RR63
5H609RR67
5H609RR71
5H621JK11
(57)【要約】
【課題】過大な温度上昇を抑制できるアウターロータ型のモータを提供する。
【解決手段】ステータ24の径方向外側にロータ23が回転自在に備えたアウターロータ型のモータにおいて、ロータ23に接続された回転軸21とは独立して駆動され、モータにおける回転軸21の負荷が接続される前端側とは反対となる後端側に配置されるファン71と、モータの後端側に形成される放熱フィン72と、少なくともファン71から放熱フィン72に至る範囲で、ファン71により生じた気流を放熱フィン72へ導く導流部材73と、を備え、ファン71により生じた気流が、前記モータの後端側に形成される放熱フィン72を通過するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータの径方向外側にロータが回転自在に備えたアウターロータ型のモータにおいて、
前記ロータに接続された回転軸とは独立して駆動され、前記モータにおける前記回転軸の負荷が接続される前端側とは反対となる後端側に配置されるファンと、
前記モータの後端側に形成される放熱フィンと、
少なくとも前記ファンから前記放熱フィンに至る範囲で、前記ファンにより生じた気流を前記放熱フィンへ導く導流部材と、を備え、
前記ファンにより生じた気流が、前記モータの後端側に形成される前記放熱フィンを通過することを特徴とするアウターロータ型のモータ。
【請求項2】
前記ファンは、前記モータの後端面における径方向中央に配置され、
前記放熱フィンは、前記モータの後端面において周方向に、前記ファンを取り巻くように配置されることを特徴とする請求項1に記載のアウターロータ型のモータ。
【請求項3】
前記モータの後端面の径方向中央には、凹部が形成され、
前記ファンは、軸流ファンであり、
前記ファンで生じた気流は、前記凹部を通り、前記放熱フィンによって径方向に流れることを特徴とする請求項2に記載のアウターロータ型のモータ。
【請求項4】
前記モータとは別体であって、該モータの後端面で周方向に並ぶ複数のヒートシンク部材を有し、
各ヒートシンク部材は、前記放熱フィンを有し、径方向内側に配置される辺が直線状とされ、
前記複数のヒートシンク部材は、径方向内側の辺の端部同士が互いに接するように隣り合っていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアウターロータ型のモータ。
【請求項5】
前記ステータ及び前記ロータを覆うハウジングを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアウターロータ型のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータの径方向外側にロータを備えるアウターロータ型のモータに関する。
【背景技術】
【0002】
上記アウターロータ型のモータとしては、例えば、特許文献1に示すモータが挙げられる。このモータは、動力を発生するモータ部と、モータ部を覆うケーシングと、を備えている。ケーシングは、一端に開口部が形成されたカップ型に構成され、ケーシングの開口部は、蓋体で閉じられている。モータ部は、前記蓋体に形成された孔に貫通固定され回転軸を回転自在に支持する筒状の軸受ハウスと、回転軸と一体回転するように回転軸に固定されたカップ型のロータと、ロータの周壁部の内面に径方向で対向するように前記軸受ハウスの外側に固定されたステータと、を備えている。
【0003】
ところで、速度の変動やトルクの変動を嫌う製造装置においては、前記モータと減速手段の組み合わせを、ダイレクトドライブモータで置き換える要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1-243837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、電磁力のみで大きなトルクを発生させる場合には、ダイレクトドライブモータ自体が大型化してしまう。これを防ぐためには、電磁力(電流)を増加させて、電磁力発生面積当たりの電磁力を増加させる必要があるが、電磁力(電流)の2乗に比例して銅損が発生するため、モータ表面積当たりの損失が増加し、冷却能力を増加させなければ、熱的にモータとして成立させることができないという不都合があった。特に、ケーシングでモータ部が覆われているモータにおいては、更に性能が低下することがある。
【0006】
そこで本発明は、過大な温度上昇を抑制できるアウターロータ型のモータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ステータの径方向外側にロータが回転自在に備えたアウターロータ型のモータにおいて、前記ロータに接続された回転軸とは独立して駆動され、前記モータにおける前記回転軸の負荷が接続される前端側とは反対となる後端側に配置されるファンと、前記モータの後端側に形成される放熱フィンと、少なくとも前記ファンから前記放熱フィンに至る範囲で、前記ファンにより生じた気流を前記放熱フィンへ導く導流部材と、を備え、前記ファンにより生じた気流が、前記モータの後端側に形成される前記放熱フィンを通過することを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、ファンにより生じた気流が、モータの後端側に形成される放熱フィンを通過することで、モータの後端側に冷却能力を集中させ、過大な温度上昇を抑制できる。また、モータ回転軸に接続される負荷側に気流が流れると良くない場合に有効となる。しかも、ロータに接続された回転軸とは独立して外部動力により駆動されるファンであるので、ロータの設計上の回転数が低くてもファンの回転数が低下することがなく、冷却効率が低下することがない。
【0009】
また、本発明のアウターロータ型のモータは、前記ファンが、前記モータの後端面における径方向中央に配置され、前記放熱フィンは、前記モータの後端面において周方向に、前記ファンを取り巻くように配置されていてもよい。
【0010】
上記のように、モータの後端面における径方向中央に配置されたファンにより生じた気流が、ファンを取り巻くように配置された放熱フィンを通過する構成にすることによって、冷却前後の気流が錯綜しないようにでき、効率的な気流を形成できる。
【0011】
また、本発明のアウターロータ型のモータは、前記モータの後端面の径方向中央には、凹部が形成され、前記ファンは、軸流ファンであり、前記ファンで生じた気流は、前記凹部を通り、前記放熱フィンによって径方向に流れる構成であってもよい。
【0012】
上記構成では、凹部を形成することにより、主な発熱源であるステータの内径側の面付近を冷却できるので、更に冷却能力が向上する。また、凹部は、ファンにより生じた気流が接触する面積を大きくできるので、モータに備えるセンサや軸受け等も冷却することができる。また、入手しやすい汎用の軸流ファンを使用できるので、コスト面において有利になる。
【0013】
また、本発明のアウターロータ型のモータは、前記モータとは別体であって、該モータの後端面で周方向に並ぶ複数のヒートシンク部材を有し、各ヒートシンク部材は、前記放熱フィンを有し、径方向内側に配置される辺が直線状とされ、前記複数のヒートシンク部材は、径方向内側の辺の端部同士が互いに接するように隣り合っている構成であってもよい。
【0014】
上記のように、周方向に並ぶ複数のヒートシンク部材が、径方向内側の辺の端部同士が互いに接するように隣り合っているので、周方向で隣り合うヒートシンク部材の間から気流が漏れにくく、気流を有効に放熱フィンへ当てることができる。
【0015】
また、本発明のアウターロータ型のモータは、前記ステータ及び前記ロータを覆うハウジングを備えていてもよい。
【0016】
上記のように、ハウジングを備えることで、モータを負荷側でハウジングを介して固定することができる。また、回転部が露出していないので、安全に使用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、モータの電磁力(電流)を増加させても、モータ後端側に冷却能力を集中させることで、過大な温度上昇を抑制できるアウターロータ型のモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のアウターロータ型のモータの縦断側面図である。
図2】同モータの側面図である。
図3】同モータの分解斜視図である。
図4】アウターロータ型のモータの別の形態を示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のアウターロータ型のモータの一実施形態を、図面に基づいて説明を行う。
【0020】
本発明のアウターロータ型のモータは、減速機構を介さずに、発生した動力を対象物にダイレクトに伝達するダイレクトドライブモータ(以下、単にDDモータという)に構成されている。このDDモータ1は、動力を発生するモータ部2を閉塞状態で収納するためのハウジング3を備えて、モータ外部にファンを配置した全閉外扇型のモータに構成されている。また、DDモータ1は、後述のステータ24の径方向外側に後述のロータ23が回転自在に前記ハウジング3内に軸支されて、アウターロータ型に構成されている。尚、図1においてハウジング3から突出して負荷が接続される回転軸21の突出側を前側とし、回転軸21がハウジング3から突出していない側、つまり負荷が接続される前側とは反対となる側を後側として以下において説明する。
【0021】
ハウジング3は、金属材料で構成され、図1及び図2に示すように、前後方向両端が開口された円筒状のハウジング本体31と、ハウジング本体31の前後の開口を閉じる前側蓋体32及び後側蓋体33と、を備えている。尚、ハウジング3内には、後述するロータ23の回転位置を検出するセンサ(図示せず)を備えている。
【0022】
前側蓋体32は、図1に示すように、径方向中央部に開口が形成され、ハウジング本体31の前端部に係止固定されるリング状の円板部321と、円板部321の径方向内側部分から前側に突出する円筒部322と、円筒部322の前端から内側に突出する内鍔部323と、を備えている。円筒部322の内側には、後述する回転軸21の前側部を回転自在に支持する第1軸受け4が配置されている。また、後述する回転軸21の後側部は、後述する軸受ハウス22の内側に配置された第2軸受け5により回転自在に支持されている。
【0023】
後側蓋体33は、外形が円形でハウジング本体31の後端部に係止固定される円板部331と、円板部331の径方向内側部分の前端面から前方に突出して後述する軸受ハウス22の後端部に外嵌する円形でリング状の嵌合部332と、を備えている。尚、嵌合部332を後述する軸受ハウス22の後端部に外嵌した状態では、後側蓋体33の円板部331の径方向内周面331Aと後述する軸受ハウス22の後側部221の径方向内周面221Aとが面一になっている。
【0024】
モータ部2は、負荷が先端部(前端部)に接続される回転軸21と、回転軸21の後側部を回転自在に支持する第2軸受け5が内側に配置される円筒状の軸受ハウス22と、回転軸21と一体回転するように連結されたカップ型のロータ23と、ロータ23の内面に径方向で対向するように軸受ハウス22の外面に当接した状態で固定されるステータ24と、を備えている。つまり、ロータ23に対してステータ24が径内側に位置する。
【0025】
ロータ23は、回転軸21に連結される円盤状の前壁部231と、前壁部231の径方向外側端部から後方に延びる円筒状の側壁部232と、側壁部232に設けられた永久磁石(図示せず)と、を備えている。
【0026】
ステータ24は、コイルが巻かれる複数のティースを備えている。ステータ24は、モータ部2の駆動により、熱が発生する。この熱は、ステータ24に接触する軸受ハウス22を介して後側蓋体33及び後述の軸受ハウス用蓋体6に伝達される。このように、ステータ24で発生する熱が、軸受ハウス22を介して後側蓋体33及び後述の軸受ハウス用蓋体6に伝達されることから、後述するように、ハウジング3における軸方向端面(後端面)に形成される放熱フィン72にファン71により生じた気流を当てることにより、ステータ24を効率よく冷却することができる。尚、前述したようにステータ24は、ロータ23よりも径内側にあるため、ハウジング3の径外位置から冷却するのは軸方向端面で冷却するのに比べると、冷却効率が良くない。また、アウターロータ型のダイレクトドライブモータは、軸方向に扁平な形状であることが多い点でも、径方向からの冷却は、冷却面積が確保し難いため、期待できない。
【0027】
軸受ハウス22は、円筒状に構成され、後側蓋体33の嵌合部332に内嵌する後側部221と、後側部221から前方に延びる前側部222と、を備えている。後側部221の前側端部に内側に突出する第1段差部2211が形成され、この第1段差部2211の前端側に第1段差部2211よりも更に内側に突出して第2軸受け5の後端面5Bを受け止める第2段差部2212が形成されている。
【0028】
第1段差部2211には、軸受ハウス22の開口を閉塞するための円形で板状の軸受ハウス用蓋体6が係止固定されている。軸受ハウス用蓋体6の後端面6Bと、軸受ハウス22の後側部221の径方向内周面221Aと、後側蓋体33の円板部331の径方向内周面331Aとで、ハウジング3における後端面の径方向中央に前側に凹んだ凹部Hが形成される。この凹部Hは、回転軸21の後端がロータ23及びステータ24の後端よりも前方に位置するように回転軸21を配置することにより形成されている。その凹部Hは、回転軸21の後方に位置して、DDモータ1の冷却のために後述する冷却部7で発生させる気流を導くために用いられ、特別な案内部材が不要になる。このように凹部Hを形成することにより、ステータ24の内径側の面付近を冷却できるので、更に冷却能力が向上する。また、凹部Hは、ファン71により生じた気流が接触する面積を大きくできるので、モータに備える耐熱性の低いセンサ(図示せず)や軸受け5等も冷却することができる。
【0029】
また、DDモータ1には、冷却部7を備えている。この冷却部7は、図1及び図2に示すように、ハウジング3における軸方向端面(後端面)に配置され、図示していない外部動力によりロータ23に接続された回転軸21とは独立して駆動されるファン71と、ハウジング3における軸方向端面(後端面)にファン71により生じた気流に接する位置に形成される放熱フィン72と、少なくともファン71から放熱フィン72に至る範囲で、前記ファン71により生じた気流を前記放熱フィン72へ導く導流部材73と、を備えている。したがって、ファン71からの気流により主な発熱源であるステータ24の直後方の後側蓋体33の軸方向端面(後端面)に設けられる放熱フィン72を冷却することにより、DDモータ1の冷却効率を高めることができる。しかも、外部動力によりロータ23に接続された回転軸21とは独立して駆動されるファン71であるので、ロータ23の設計上の回転数が低くてもファン71の回転数が低下することがなく、冷却効率が低下することがない。
【0030】
ファン71は、ハウジング3における軸方向端面(後端面)における径方向中央に配置されている。また、放熱フィン72は、ハウジング3における軸方向端面(後端面)において周方向に、ファン71を取り巻くように配置されている。後述するように放熱フィン72は、底板部741上に径方向に長い長方形で周方向に間隔を置いてほぼ平行姿勢に複数立設されている。そして、ファン71により径方向中央で吸気し、その吸気したエアが放熱フィン72を通過して径外方向とその径外方向に沿う方向に排気されるように構成されている。したがって、ファン71により径方向中央で吸気し、その吸気したエアがファン71を取り巻くように配置された放熱フィン72を通過して径外方向とその径外方向に沿う方向に排気されることによって、冷却前後の気流が錯綜しないようにでき、効率的な気流を形成できる。また、ファン71により吸気したエアが、軸方向端面(後端面)に配置された放熱フィン72を通過して径外方向とその径外方向に沿う方向に排気されることによって、回転軸21に接続される負荷側に気流が流れると良くない場合に有効となる。
【0031】
ファン71は、この実施形態では入手しやすい汎用の軸流ファンであるため、コスト面において有利になる。この軸流ファンは、図3に示すように、複数の羽根711aがカップ型のハブ711bの外周に設けられた羽根車711と、羽根車711を回転させるモータ(図示せず)と、羽根車711及びモータを収容するケーシング712と、モータに外部動力(電力)を供給するための電源コード(図示せず)と、を備えている。ファン71により後方から吸気して生じた気流は、凹部Hを通ってから径外方向に流れ、放熱フィン72を通過してから排気される。この実施形態では平面視(軸方向視)において外形が矩形状のファン71を用いているが、外形が円形のファンであってもよい。
【0032】
ケーシング712は、筒状のケーシング本体7121と、ケーシング本体7121の軸方向(上下方向)両端のそれぞれにおいて四方に広がるように膨出する4個のフランジ部7122と、上下のフランジ部7122,7122同士を連結する円筒状の4個の連結部7123と、を備えている。各フランジ部7122には、ビスBを挿通させるための貫通孔7122aが形成されている。ビスBを一端側のフランジ部7122の貫通孔7122aから連結部7123を通して他端側のフランジ部7122の貫通孔7122aに挿通させてから、軸受ハウス用蓋体6の径方向外側部分に周方向に沿って間隔を置いて立設される4本の円筒状のネジ体8にビスBの先端を螺合させることにより、ファン71をハウジング3の後端面にネジ体8を介して固定している。
【0033】
放熱フィン72は、ハウジング3とは別体のヒートシンク部材74に備えている。長方形のヒートシンク部材74は、汎用のため、コスト面において有利になる。また、ヒートシンク部材74は、後側蓋体33の円板部331の後端面331Bに取り付けられ、かつ、周方向に長い寸法を有し、DDモータ1の後端面に正対した形状(軸方向の形状)が長方形状の底板部741と、底板部741上に径方向に長い長方形で周方向に間隔を置いてほぼ平行姿勢に立設された複数の放熱フィン72と、を備えている。ヒートシンク部材74は、後側蓋体33の円板部331の後端面331Bにファン71を取り巻くように周方向に並んで複数(図3では6個)配置され、平面視(軸方向視)において多角形(6角形)状に構成されている。ヒートシンク部材74は、アルミニューム金属等の熱伝導性が良好な材料で構成されることが好ましい。各ヒートシンク部材74は、径方向内側に配置される辺が直線状とされている。また、周方向に配置された複数のヒートシンク部材74は、径方向内側の辺の端部に備える放熱フィン72A,72Aの内周側端が互いに接するように隣り合っている。このように配置することで、周方向で隣り合うヒートシンク部材74,74の間の隙間を無くすことができるため、そこから気流が漏れにくく、気流を有効に放熱フィン72へ当てることができる。尚、放熱フィン72A,72Aの外周側端は、離れていてもよい。
【0034】
図3に示すように、導流部材73は、板状で円形の部材から構成され、後側蓋体33の外径よりも少し小さな外径に構成されているが、後側蓋体33の外径と同じ大きさにしてもよい。導流部材73の径方向中央には、ファン71の一部を導流部材73よりも前方側に位置するよう挿入可能な矩形状の貫通孔73Kが形成されている。この貫通孔73Kの内径に対してファン71の外径が僅かに小さな寸法に構成され、貫通孔73Kとファン71との間の隙間からファン71で生じた気流が漏れにくいようにしている。また、導流部材73の外周縁の周方向2箇所のそれぞれに切欠き73Uが形成されている。これら切欠き73U,73Uに対応する後側蓋体33の円板部331の後端面331Bの位置には、外面にネジが形成された円形の棒状体9が立設されている。これら棒状体9,9にそれぞれ螺合する軸部10A及び切欠き73Uよりも外径が大きな寸法を有し切欠き73Uの外周縁に当接する頭部10Bを有するネジ部材10を備えている。各ネジ部材10の軸部10Aを切欠き73Uに通してから棒状体9に螺合することによって、各ネジ部材10の頭部10Bの下面が、切欠き73Uの外周縁に当接して下方へ押圧する。これにより、導流部材73を棒状体9,9に固定することができる。導流部材73を棒状体9,9に固定すると、導流部材73の前面73Aと放熱フィン72の後端面73B(図2参照)に当接して両者の間に隙間ができないように構成されている。更に、導流部材73の周方向4箇所には、ネジ挿通用の貫通孔が形成されており、これら貫通孔に対応する円板部331の後端面331Bの位置のそれぞれに、内側にネジが形成されたネジ部材12が立設されている。よって、4本のネジ11のそれぞれを、貫通孔を挿通してからネジ部材12に螺合することによって、導流部材73を4本のネジ11でも固定できるようにしている。導流部材73の固定方法は、図3に示す方法以外であってもよい。
【0035】
このように構成されたDDモータ1及びファン71をそれぞれ駆動すると、回転軸21が駆動回転されると共に、ファン71の羽根車711が回転する。この羽根車711の回転によりファン71の後端から吸い込んだエアは、図1に示すように、前端に向かって流れる(矢印R1参照)ことにより、軸受ハウス用蓋体6に当たり、径外方向(矢印R2参照)に案内される。径外方向R2に案内されたエアは、軸受ハウス22の後側部221の径方向内周面221Aと後側蓋体33の円板部331の径方向内周面331Aとで案内されて後方(矢印R3参照)へ移動する。後方へ移動したエアは、導流部材73の前面73Aに当たり、径外方向(矢印R4参照)へと案内される。この案内されるエアが、放熱フィン72に当たることで、ステータ24からの熱が軸受ハウス22を介して伝達される後側蓋体33を冷却することができる。これにより、モータの冷却効率を高めることができる。しかも、凹部Hを構成する軸受ハウス用蓋体6の後端面6B及び軸受ハウス22の後側部221の径方向内周面221A(ステータ24の熱が伝達される部分)にも前記エアを当ててそれらの部分を冷却することにより、モータの冷却効率を更に高めることができる。
【0036】
尚、本発明に係るアウターロータ型のモータは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0037】
前記実施形態では、アウターロータ型のダイレクトドライブモータを用いたが、これに限定されない。
【0038】
また、前記実施形態では、放熱フィン72をハウジング3とは別体のヒートシンク部材74に備えたが、ハウジング3に一体形成してもよい。
【0039】
また、前記実施形態では、複数のヒートシンク部材74を周方向に並べたが、1個のリング状に構成されたヒートシンク部材であってもよい。
【0040】
また、前記実施形態では、矩形状のヒートシンク部材74を示したが、円弧状のヒートシンク部材であってもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、ファン71により後方からエアを吸って径外方向へ排出するようにしたが、ファン71の回転方向を逆にして、径方向外側から径方向内側(径内方向)にエアを吸ってモータの後方へ排出するようにしてもよい。
【0042】
また、前記実施形態では、モータの軸方向端面(後端面)の径方向中央に凹部Hを形成したが、凹部を形成しないフラットな軸方向端面(後端面)であってもよい。
【0043】
また、前記実施形態では、導流部材73を、全てのヒートシンク部材74の外周縁よりも径方向外側となる位置まで気流の流路を形成する大きさに構成したが、全てのヒートシンク部材74の外周縁にかかる位置まで、つまりファン71から放熱フィン72に至る範囲のみに気流の流路を形成する大きさに導流部材73を構成してもよい。また、全てのヒートシンク部材74の内周縁にかかる大きさの導流部材73であってもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、モータ軸方向端面(後端面)は、モータ軸方向に垂直な平面としていたが、モータ中心軸から外側に向かって負荷側に傾斜していなければ良い。
【0045】
また、前記実施形態では、放熱フィン72は、底板部741上に径方向に長い長方形で周方向に間隔を置いてほぼ平行姿勢に複数立設していたが、この形状に限らず、例えば、湾曲していても良い。
【0046】
要するに、気流が負荷側に流れなければ、どのような方向に気流が流れてもよい。
【0047】
また、前記実施形態では、ファンとして軸流ファンを用いたが、遠心ファンや斜流ファン等であってもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、ステータ24及びロータ23等のモータ部2をハウジング3で覆ったDDモータ1を示したが、図4に示すように、ハウジング3の一部を省略したDDモータ1であってもよい。具体的には、ハウジング3を構成するハウジング本体31、前側蓋体32、後側蓋体33のうち、ハウジング本体31及び前側蓋体32を省略し、回転軸21とは反対側に設けられている後側蓋体33に冷却部7を設けている。尚、後側蓋体33は、冷却部7を取り付けるためにモータ部2の後側に設けられるものであるため、後側蓋体33とは異なる形状の専用の取付部材から構成することもできる。尚、図4では、回転軸21の段差部が図1に比べて前側に寄った位置に形成されているため、前後一対の第2軸受5,5を設けているが、それ以外は、図1と同一である。
【符号の説明】
【0049】
1…モータ、2…モータ部、3…ハウジング、4…第1軸受、4…第1軸受、5…第2軸受、5B…後端面、6…軸受ハウス用蓋体、6B…後端面、7…冷却部、8…ネジ体、9…棒状体、10…ネジ部材、10A…軸部、10B…頭部、11…ネジ、12…ネジ部材、21…回転軸、22…軸受ハウス、23…ロータ、24…ステータ、31…ハウジング本体、32…前側蓋体、33…後側蓋体、71…ファン、72,72A…放熱フィン、73…導流部材、73A…前面、73B…後端面、73K…貫通孔、73U…切欠き、74…ヒートシンク部材、221…後側部、221A…径方向内周面、222…前側部、231…前壁部、232…側壁部、321…円板部、322…円筒部、323…内鍔部、331…円板部、331A…径方向内周面、331B…後端面、332…嵌合部、711…羽根車、711a…羽根、711b…ハブ、712…ケーシング、741…底板部、2211…第1段差部、2212…第2段差部、7121…ケーシング本体、7122…フランジ部、7122a…貫通孔、7123…連結部、B…ビス、H…凹部、R1~R4…矢印
図1
図2
図3
図4