(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021206
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】顕微ラマン装置
(51)【国際特許分類】
G01J 3/44 20060101AFI20240208BHJP
G01N 21/65 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G01J3/44
G01N21/65
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123890
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田尾 知世
【テーマコード(参考)】
2G020
2G043
【Fターム(参考)】
2G020CA04
2G020CB23
2G020CC02
2G020CC26
2G020CC47
2G020CD04
2G043AA03
2G043EA03
2G043FA02
2G043HA09
2G043JA03
2G043JA04
2G043KA09
(57)【要約】
【課題】レーザ光源の切り換えに伴う光学素子の切り換えによる光学素子の光軸ずれ顕微ラマン装置を提供する。
【解決手段】顕微ラマン装置は、第1レーザ光を発生させる第1レーザ光源と、第1レーザ光と波長が異なる第2レーザ光を発生させる第2レーザ光源と、第1光学素子と、第2光学素子と、第3光学素子と、第4光学素子と、分光器とを備える。第1レーザ光は、第1光学素子で反射され、かつ第3光学素子を通過してサンプルに照射されることにより、サンプルから第1ラマン散乱光を発生させる。第2レーザ光は、第2光学素子、第4光学素子及び第3光学素子で順次反射されてサンプルに照射されることにより、サンプルから第2ラマン散乱光を発生させる。第1ラマン散乱光は、第3光学素子及び第1光学素子を通過することにより分光器に入射される。第2ラマン散乱光は、第3光学素子及び第4光学素子で順次反射され、かつ第2光学素子を通過することにより分光器に入射される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レーザ光を発生させる第1レーザ光源と、
前記第1レーザ光と波長が異なる第2レーザ光を発生させる第2レーザ光源と、
第1光学素子と、
第2光学素子と、
第3光学素子と、
第4光学素子と、
分光器とを備え、
前記第1レーザ光は、前記第1光学素子で反射され、かつ前記第3光学素子を通過してサンプルに照射されることにより、前記サンプルから第1ラマン散乱光を発生させ、
前記第2レーザ光は、前記第2光学素子、前記第4光学素子及び前記第3光学素子で順次反射されて前記サンプルに照射されることにより、前記サンプルから第2ラマン散乱光を発生させ、
前記第1ラマン散乱光は、前記第3光学素子及び前記第1光学素子を通過することにより前記分光器に入射され、
前記第2ラマン散乱光は、前記第3光学素子及び前記第4光学素子で順次反射され、かつ前記第2光学素子を通過することにより、前記分光器に入射される、顕微ラマン装置。
【請求項2】
シャッタをさらに備え、
前記シャッタは、前記第1ラマン散乱光及び前記第2ラマン散乱光のいずれかを選択的に通過させる、請求項1に記載の顕微ラマン装置。
【請求項3】
前記シャッタは、前記第1光学素子を通過した前記第1ラマン散乱光及び前記第2光学素子を通過した前記第2ラマン散乱光のいずれかを選択的に通過させる、請求項2に記載の顕微ラマン装置。
【請求項4】
前記分光器は、前記第1ラマン散乱光を入射させる第1チャネルと、前記第2ラマン散乱光を入射させる第2チャネルとを有し、かつ前記第1チャネル及び前記第2チャネルの開閉により前記第1ラマン散乱光及び前記第2ラマン散乱光のいずれかを選択的に入射させる、請求項1に記載の顕微ラマン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、顕微ラマン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開平10-90064号公報(特許文献1)には、顕微ラマン装置が記載されている。特許文献1に記載の顕微ラマン装置は、励起用レーザと、分光器と、検出器とを有している。特許文献1に記載の顕微ラマン装置では、励起用レーザからのレーザ光がサンプルに照射されることにより、サンプルからラマン散乱光が発生する。このラマン散乱光は分光器において分散され、分散されたラマン散乱光の強度分布が検出器において検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顕微ラマン装置には、レーザ光源から発生したレーザ光を反射させるが、当該レーザ光がサンプルに照射されることにより発生したラマン散乱光を通過させる光学素子が用いられることがある。このような顕微ラマン装置が複数のレーザ光源を有している場合、使用するレーザ光源を切り換える際に、上記の光学素子の切り換えも必要となる。この切り換えの際に、上記の光学素子の光軸がずれてしまうことがある。
【0005】
本開示の顕微ラマン装置は、レーザ光源の切り換えに伴う光学素子の切り換えによる光学素子の光軸のずれを防止することができる顕微ラマン装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の顕微ラマン装置は、第1レーザ光を発生させる第1レーザ光源と、第1レーザ光と波長が異なる第2レーザ光を発生させる第2レーザ光源と、第1光学素子と、第2光学素子と、第3光学素子と、第4光学素子と、分光器とを備える。第1レーザ光は、第1光学素子で反射され、かつ第3光学素子を通過してサンプルに照射されることにより、サンプルから第1ラマン散乱光を発生させる。第2レーザ光は、第2光学素子、第4光学素子及び第3光学素子で順次反射されてサンプルに照射されることにより、サンプルから第2ラマン散乱光を発生させる。第1ラマン散乱光は、第3光学素子及び第1光学素子を通過することにより分光器に入射される。第2ラマン散乱光は、第3光学素子及び第4光学素子で順次反射され、かつ第2光学素子を通過することにより、分光器に入射される。
【発明の効果】
【0007】
本開示の顕微ラマン装置によると、レーザ光源の切り換えに伴う光学素子の切り換えによる光学素子の光軸のずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】変形例に係る顕微ラマン装置100の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る顕微ラマン装置を説明する。以下においては、第1実施形態に係る顕微ラマン装置を、顕微ラマン装置100とする。
【0011】
<顕微ラマン装置100の構成>
以下に、顕微ラマン装置100の構成を説明する。
【0012】
図1は、顕微ラマン装置100の概略図である。
図1に示されるように、顕微ラマン装置100は、第1レーザ光源11、第2レーザ光源12及び第3レーザ光源13と、2色性ビームスプリッタ21、2色性ビームスプリッタ22及び2色性ビームスプリッタ23と、2色性ビームスプリッタ31及び2色性ビームスプリッタ32と、ミラー33と、ミラー40と、対物レンズ50と、分光器60とを有している。第1レーザ光源11、第2レーザ光源12、第3レーザ光源13、2色性ビームスプリッタ21、2色性ビームスプリッタ22、2色性ビームスプリッタ23、2色性ビームスプリッタ31、2色性ビームスプリッタ32、ミラー33、ミラー40、対物レンズ50及び分光器60は、筐体70内に配置されている。
【0013】
第1レーザ光源11は、第1レーザ光L1を発生させる。第1レーザ光L1の波長を、波長λ1とする。第2レーザ光源12は、第2レーザ光L2を発生させる。第2レーザ光L2の波長を、波長λ2とする。波長λ2は、波長λ1と異なっている。波長λ2は、例えば、波長λ1よりも短い。第3レーザ光源13は、第3レーザ光L3を発生させる。第3レーザ光L3の波長を、波長λ3とする。波長λ3は、波長λ1と異なっており、波長λ2とも異なっている。波長λ3は、例えば、波長λ2よりも短い。
【0014】
第1レーザ光L1は、2色性ビームスプリッタ21で反射される。2色性ビームスプリッタ21で反射された第1レーザ光L1は、2色性ビームスプリッタ31を通過する。2色性ビームスプリッタ31を通過した第1レーザ光L1は、ミラー40で反射される。ミラー40で反射された第1レーザ光L1は、対物レンズ50を通り、サンプルSに照射される。
【0015】
第2レーザ光L2は、2色性ビームスプリッタ22で反射される。2色性ビームスプリッタ22で反射された第2レーザ光L2は、2色性ビームスプリッタ32で反射される。2色性ビームスプリッタ32で反射された第2レーザ光L2は、2色性ビームスプリッタ31で反射される。2色性ビームスプリッタ31で反射された第2レーザ光L2は、ミラー40で反射される。ミラー40で反射された第2レーザ光L2は、対物レンズ50を通り、サンプルSに照射される。
【0016】
第3レーザ光L3は、2色性ビームスプリッタ23で反射される。2色性ビームスプリッタ23で反射された第3レーザ光L3は、ミラー33で反射される。ミラー33で反射された第3レーザ光L3は、2色性ビームスプリッタ32を通過する。2色性ビームスプリッタ32を通過した第3レーザ光L3は、2色性ビームスプリッタ31で反射される。
【0017】
2色性ビームスプリッタ31で反射された第3レーザ光L3は、ミラー40で反射される。ミラー40で反射された第3レーザ光L3は、対物レンズ50を通り、サンプルSに照射される。2色性ビームスプリッタ31とサンプルSとの間の光路は、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2及び第3レーザ光L3で共通している。
【0018】
サンプルSに第1レーザ光L1が照射されることにより、第1ラマン散乱光L4が発生する。第1ラマン散乱光L4の波長を、波長λ4とする。波長λ4は、波長λ1よりも長い。第1ラマン散乱光L4は、対物レンズ50を通り、ミラー40で反射される。ミラー40で反射された第1ラマン散乱光L4は、2色性ビームスプリッタ31を通過する。2色性ビームスプリッタ31は、波長λ1の光及び波長λ4の光を透過させる一方で、波長λ2の光、波長λ3の光、波長λ5の光及び波長λ6の光を反射させる。2色性ビームスプリッタ31を通過した第1ラマン散乱光L4は、2色性ビームスプリッタ21を通過する。
【0019】
サンプルSに第2レーザ光L2が照射されることにより、第2ラマン散乱光L5が発生する。第2ラマン散乱光L5の波長を、波長λ5とする。波長λ5は、波長λ2よりも長い。第2ラマン散乱光L5は、対物レンズ50を通り、ミラー40で反射される。ミラー40で反射された第2ラマン散乱光L5は、2色性ビームスプリッタ31で反射される。2色性ビームスプリッタ31で反射された第2ラマン散乱光L5は、2色性ビームスプリッタ32で反射される。2色性ビームスプリッタ32で反射された第2ラマン散乱光L5は、2色性ビームスプリッタ22を通過する。
【0020】
サンプルSに第3レーザ光L3が照射されることにより、第3ラマン散乱光L6が発生する。第3ラマン散乱光L6の波長を、波長λ6とする。波長λ6は、波長λ3よりも長い。第3ラマン散乱光L6は、対物レンズ50を通り、ミラー40で反射される。ミラー40で反射された第3ラマン散乱光L6は、2色性ビームスプリッタ31で反射される。すなわち、サンプルSと2色性ビームスプリッタ31との間の光路は、第1ラマン散乱光L4、第2ラマン散乱光L5及び第3ラマン散乱光L6で共通している。
【0021】
2色性ビームスプリッタ31で反射された第3ラマン散乱光L6は、2色性ビームスプリッタ32を通過する。2色性ビームスプリッタ32は、波長λ3の光及び波長λ6の光を透過させる一方で、波長λ2の光及び波長λ5の光を反射させる。2色性ビームスプリッタ32を通過した第3ラマン散乱光L6は、ミラー33で反射される。ミラー33で反射された第3ラマン散乱光L6は、2色性ビームスプリッタ23を通過する。2色性ビームスプリッタ31以降の第1ラマン散乱光L4、第2ラマン散乱光L5及び第3ラマン散乱光L6の光路は、互いに分離されている。
【0022】
分光器60は、第1チャネル60aと、第2チャネル60bと、第3チャネル60cとを有している。2色性ビームスプリッタ21を通過した第1ラマン散乱光L4は、第1チャネル60aから分光器60に入射される。2色性ビームスプリッタ22を通過した第2ラマン散乱光L5は、第2チャネル60bから分光器60に入射される。2色性ビームスプリッタ23を通過した第3ラマン散乱光L6は、第3チャネル60cから分光器60に入射される。
【0023】
分光器60は、グレーティング61と、グレーティング62と、グレーティング63とを有している。なお、グレーティング61、グレーティング62及びグレーティング63の図示は、省略されている。グレーティング61、グレーティング62及びグレーティング63は、分光器60の内部に配置されている。分光器60は、検出器64をさらに有している。なお、検出器64の図示は、省略されている。検出器64は、分光器60の内部に配置されている。
【0024】
第1チャネル60aから入射された第1ラマン散乱光L4は、グレーティング61で分散された上で、検出器64により強度分布が検出される。第2チャネル60bから入射された第2ラマン散乱光L5は、グレーティング62で分散された上で、検出器64により強度分布が検出される。第3チャネル60cから入射された第3ラマン散乱光L6は、グレーティング63で分散された上で、検出器64により強度分布が検出される。
【0025】
<顕微ラマン装置100の効果>
以下に、顕微ラマン装置100の効果を、比較例に係る顕微ラマン装置(「顕微ラマン装置200」とする)と対比しながら説明する。
【0026】
図2は、顕微ラマン装置200の概略図である。
図2に示されるように、顕微ラマン装置200は、第1レーザ光源11、第2レーザ光源12及び第3レーザ光源13と、切り換えロングパスフィルタ24と、切り換えミラー34と、ミラー40と、対物レンズ50と、分光器60と、筐体70とを有している。
【0027】
切り換えロングパスフィルタ24は、ロングパスフィルタ24aと、ロングパスフィルタ24bと、ロングパスフィルタ24cとを有している。切り換えロングパスフィルタ24は、ロングパスフィルタ24a、ロングパスフィルタ24b及びロングパスフィルタ24cのいずれかに切り換えて使用される。切り換えミラー34は、ミラー34aと、ミラー34bと、ミラー34cとを有している。切り換えミラー34は、ミラー34a、ミラー34b及びミラー34cの各々の使用又は不使用を切り換え可能である。
【0028】
第1レーザ光源11が用いられる際には、切り換えロングパスフィルタ24はロングパスフィルタ24aを使用し、切り換えミラー34はミラー34aを不使用とする。これにより、第1レーザ光L1が、ロングパスフィルタ24a及びミラー40で反射されるとともに、対物レンズ50を通ってサンプルSに照射される。第1ラマン散乱光L4は、ミラー40で反射されるとともに、ロングパスフィルタ24aを通過してチャネル60dから分光器60に入射される。
【0029】
第2レーザ光源12が用いられる際には、切り換えロングパスフィルタ24はロングパスフィルタ24bを使用し、切り換えミラー34はミラー34a及びミラー34bを使用する。これにより、第2レーザ光L2が、ミラー34b、ミラー34a、ロングパスフィルタ24b及びミラー40で反射されるとともに、対物レンズ50を通ってサンプルSに照射される。第2ラマン散乱光L5は、ミラー40で反射されるとともに、ロングパスフィルタ24bを通過してチャネル60dから分光器60に入射される。
【0030】
第3レーザ光源13が用いられる際には、切り換えロングパスフィルタ24はロングパスフィルタ24cを使用し、切り換えミラー34はミラー34a及びミラー34cを使用してミラー34bは不使用とする。これにより、第2レーザ光L2が、ミラー34b、ミラー34a、ロングパスフィルタ24b及びミラー40で反射されるとともに、対物レンズ50を通ってサンプルSに照射される。第3ラマン散乱光L6は、ミラー40で反射されるとともに、ロングパスフィルタ24cを通過してチャネル60dから分光器60に入射される。
【0031】
チャネル60dから入射された第1ラマン散乱光L4、第2ラマン散乱光L5及び第3ラマン散乱光L6の強度分布のいずれかは、グレーティング61、グレーティング62及びグレーティング63を切り換えて用いることにより、検出器64により検出される。
【0032】
以上のように、顕微ラマン装置200では、第1レーザ光源11、第2レーザ光源12及び第3レーザ光源13の切り換えが行われる際に、ロングパスフィルタ24a、ロングパスフィルタ24b及びロングパスフィルタ24cの切り換え並びにミラー34a、ミラー34b及びミラー34cの切り換えも行われるため、第1レーザ光源11、第2レーザ光源12及び第3レーザ光源13の切り換えに伴うロングパスフィルタ24a、ロングパスフィルタ24b及びロングパスフィルタ24cの光軸のずれ並びにミラー34a、ミラー34b及びミラー34cの光軸のずれが生じるおそれがある。
【0033】
他方で、顕微ラマン装置100では、第1レーザ光源11、第2レーザ光源12及び第3レーザ光源13の切り換えが行われる際に、2色性ビームスプリッタ21、2色性ビームスプリッタ22及び2色性ビームスプリッタ23の切り換え並びに2色性ビームスプリッタ31、2色性ビームスプリッタ32及びミラー33の切り換えが不要である。そのため、顕微ラマン装置100によると、2色性ビームスプリッタ21、2色性ビームスプリッタ22及び2色性ビームスプリッタ23の光軸のずれ並びに2色性ビームスプリッタ31、2色性ビームスプリッタ32及びミラー33の光軸のずれを防止することができる。
【0034】
顕微ラマン装置100では、2色性ビームスプリッタ21、2色性ビームスプリッタ22及び2色性ビームスプリッタ23の切り換え並びに2色性ビームスプリッタ31、2色性ビームスプリッタ32及びミラー33の切り換えが不要であるため、第1レーザ光源11、第2レーザ光源12及び第3レーザ光源13の切り換えが行われる際に筐体70を開放する必要がなく、第1レーザ光源11、第2レーザ光源12及び第3レーザ光源13の切り換えに伴うレーザ被曝を防止することができる。顕微ラマン装置100では、第1レーザ光源11、第2レーザ光源12及び第3レーザ光源13の切り換えに伴うグレーティング61、グレーティング62及びグレーティング63の切り換えも不要とすることができる。
【0035】
<変形例>
図3は、変形例に係る顕微ラマン装置100の概略図である。
図3に示されるように、顕微ラマン装置100は、第3レーザ光源13、2色性ビームスプリッタ23及びミラー33を有していなくてもよい。この場合、分光器60は、第3チャネル60cを有していなくてもよい。すなわち、上記の例では、3つのレーザ光源を用いる際のものであるが、用いられるレーザ光源の数は2つであってもよい。また、用いられるレーザ光源の数は、4つ以上であってもよい。なお、この場合、レーザ光源の数に合わせて、2色性ビームスプリッタ及びミラーの数を増加させればよい。
【0036】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る顕微ラマン装置を説明する。以下においては、第2実施形態に係る顕微ラマン装置を、顕微ラマン装置300とする。ここでは、顕微ラマン装置100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0037】
<顕微ラマン装置300の構成>
以下に、顕微ラマン装置300の構成を説明する。
【0038】
図4は、顕微ラマン装置300の概略図である。
図4に示されるように、顕微ラマン装置300は、第1レーザ光源11と、第2レーザ光源12及び第3レーザ光源13と、2色性ビームスプリッタ21、2色性ビームスプリッタ22及び2色性ビームスプリッタ23と、2色性ビームスプリッタ31、2色性ビームスプリッタ32及びミラー33と、ミラー40と、対物レンズ50と、分光器60と、筐体70とを有している。この点に関して、顕微ラマン装置300の構成は、顕微ラマン装置100の構成と共通している。
【0039】
顕微ラマン装置300は、シャッタ80をさらに有している。シャッタ80は、第1ラマン散乱光L4、第2ラマン散乱光L5及び第3ラマン散乱光L6のいずれかを、選択的に通過させる。シャッタ80は、例えば、2色性ビームスプリッタ31、2色性ビームスプリッタ32及びミラー33と分光器60との間に配置されている。
【0040】
シャッタ80は、好ましくは、2色性ビームスプリッタ21、2色性ビームスプリッタ22及び2色性ビームスプリッタ23と分光器60との間に配置されている。すなわち、シャッタ80は、好ましくは、2色性ビームスプリッタ21を通過した第1ラマン散乱光L4、2色性ビームスプリッタ22を通過した第2ラマン散乱光L5及び2色性ビームスプリッタ23を通過した第3ラマン散乱光L6のいずれかを選択的に通過させ、分光器60に入射させる。これらの点に関して、顕微ラマン装置300の構成は、顕微ラマン装置100の構成と異なっている。
【0041】
<顕微ラマン装置300の効果>
以下に、顕微ラマン装置300の効果を説明する。
【0042】
第1レーザ光L1がサンプルSに照射されることにより、サンプルSからは、第1ラマン散乱光L4に加え、第1アンチストークス光が発生することがある。第1アンチストークス光の波長は、波長λ1よりも短い。そのため、第1アンチストークス光は、ミラー40、2色性ビームスプリッタ31及び2色性ビームスプリッタ32で順次反射され、かつ2色性ビームスプリッタ22を通過して分光器60に入射されることがある。また、第1アンチストークス光は、ミラー40及び2色性ビームスプリッタ31で順次反射され、2色性ビームスプリッタ32を通過し、ミラー33で反射され、かつ2色性ビームスプリッタ23を通過して分光器60に入射されることがある。
【0043】
第1アンチストークス光が分光器60に入射されると、第1ラマン散乱光L4のみならず第1アンチストークス光も、検出器64に達する。その結果、第1ラマン散乱光L4の強度分布を正確に検知することができなくなる。このことは、第2レーザ光L2がサンプルSに照射されることにより発生する第2アンチストークス光についても同様である。
【0044】
他方で、顕微ラマン装置300では、シャッタ80が、第1ラマン散乱光L4、第2ラマン散乱光L5及び第3ラマン散乱光L6のいずれかを選択的に通過させる。そのため、顕微ラマン装置300では、第1ラマン散乱光L4がシャッタ80を通過する際に、第1アンチストークス光がシャッタ80により遮られ、第2ラマン散乱光L5がシャッタ80を通過する際には第2アンチストークス光がシャッタ80により遮られることになる。そのため、顕微ラマン装置300によると、サンプルSからのラマン散乱光の強度分布をより正確に検知することができる。
【0045】
シャッタ80が2色性ビームスプリッタ21を通過した第1ラマン散乱光L4,2色性ビームスプリッタ22を通過した第2ラマン散乱光L5及び2色性ビームスプリッタ23を通過した第3ラマン散乱光L6を選択的に通過させる場合、シャッタ80が分光器60の近くに配置されることになるため、迷光が分光器60に入射されることを防止できる。
【0046】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る顕微ラマン装置を説明する。以下においては、第3実施形態に係る顕微ラマン装置を、顕微ラマン装置400とする。ここでは、顕微ラマン装置100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0047】
<顕微ラマン装置400の構成>
以下に、顕微ラマン装置400の構成を説明する。
【0048】
図5は、顕微ラマン装置400の概略図である。
図5に示されるように、顕微ラマン装置400は、第1レーザ光源11と、第2レーザ光源12及び第3レーザ光源13と、2色性ビームスプリッタ21、2色性ビームスプリッタ22及び2色性ビームスプリッタ23と、2色性ビームスプリッタ31、2色性ビームスプリッタ32及びミラー33と、ミラー40と、対物レンズ50と、分光器60と、筐体70とを有している。この点に関して、顕微ラマン装置400の構成は、顕微ラマン装置100の構成と共通している。
【0049】
顕微ラマン装置400では、第1チャネル60a、第2チャネル60b及び第3チャネル60cの開閉により、第1ラマン散乱光L4、第2ラマン散乱光L5及び第3ラマン散乱光L6のいずれかが、分光器60に選択的に入射される。この点に関して、顕微ラマン装置400の構成は、顕微ラマン装置100の構成と異なっている。
【0050】
<顕微ラマン装置400の効果>
以下に、顕微ラマン装置400の効果を説明する。
【0051】
顕微ラマン装置400では、第1チャネル60a、第2チャネル60b及び第3チャネル60cの開閉により、第1ラマン散乱光L4、第2ラマン散乱光L5及び第3ラマン散乱光L6のいずれかが分光器60に選択的に入射される。そのため、顕微ラマン装置400では、第1ラマン散乱光L4が第1チャネル60aを通過する際には第1アンチストークス光が第2チャネル60b及び第3チャネル60cにより遮られ、第2ラマン散乱光L5が第2チャネル60bを通過する際には第2アンチストークス光が第3チャネル60cにより遮られることになる。そのため、顕微ラマン装置400によると、サンプルSからのラマン散乱光の強度分布をより正確に検知することができる。
【0052】
以上のように本開示の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0053】
100 顕微ラマン装置、11 第1レーザ光源、12 第2レーザ光源、13 第3レーザ光源、21,22,23 2色性ビームスプリッタ、24 切り換えロングパスフィルタ、24a,24b,24c ロングパスフィルタ、31,32 2色性ビームスプリッタ、33 ミラー、34 切り換えミラー、34a,34b,34c ミラー、40 ミラー、50 対物レンズ、60 分光器、60a 第1チャネル、60b 第2チャネル、60c 第3チャネル、60d チャネル、61,62,63 グレーティング、64 検出器、70 筐体、80 シャッタ、S サンプル、200,300,400 顕微ラマン装置、L1 第1レーザ光、L2 第2レーザ光、L3 第3レーザ光、L4 第1ラマン散乱光、L5 第2ラマン散乱光、L6 第3ラマン散乱光。