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特開2024-21209弁設置方法、及び、その弁設置方法に用いられる被覆装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021209
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】弁設置方法、及び、その弁設置方法に用いられる被覆装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20240208BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20240208BHJP
   F16L 1/028 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
F16L55/00 C
F16L55/00 M
F16L57/00 C
F16L1/028 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123896
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】森 将志
(72)【発明者】
【氏名】藤井 匠
(72)【発明者】
【氏名】山崎 拓也
【テーマコード(参考)】
3H024
3H025
【Fターム(参考)】
3H024CA03
3H025BA21
3H025BB05
(57)【要約】
【課題】切断装置により切断除去予定管部を切断した際に発生する切粉等の異物が異物混入予測箇所に混入するのを防止して、流体の漏洩(例えば、流体が水である場合には漏水)等の問題が生じるのを防止すること。
【解決手段】切断工程を行う前に、ハウジング内において異物の混入による問題発生が予測される異物混入予測箇所91を覆う状態で被覆部材101を設置する被覆部材設置工程を行い、切断工程を行った後に、被覆部材101を異物混入予測箇所91から別の取外箇所に移動させて、被覆部材101を異物混入予測箇所91から取り外す被覆部材取外工程を行う。
【選択図】図12

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管の途中部位に不断水状態で弁を設置する弁設置方法において、
前記流体管における切断除去予定管部を含む流体管の一部を密閉外嵌する状態で、開閉操作自在な作業弁を有するハウジングを設置するハウジング設置工程と、
そのハウジング設置工程にて設置したハウジング内において切断装置にて切断除去予定管部を切断して除去する切断工程と、
その切断工程にて切断して除去された切断除去予定管部に相当する位置に弁を挿入させて配置させる弁挿入工程とを行い、
前記切断工程を行う前に、ハウジング内において異物の混入による問題発生が予測される異物混入予測箇所を覆う状態で被覆部材を設置する被覆部材設置工程を行い、
前記切断工程を行った後に、被覆部材を異物混入予測箇所から別の取外箇所に移動させて、被覆部材を異物混入予測箇所から取り外す被覆部材取外工程を行う弁設置方法。
【請求項2】
前記流体管における切断除去予定管部の両側に一対の継ぎ輪を外嵌状態で設置する継ぎ輪設置工程を行い、
前記ハウジング設置工程として、一対の継ぎ輪及び切断除去予定管部を含む流体管の一部を密閉外嵌する状態で、開閉操作自在な作業弁を有するハウジングを設置し、
前記弁挿入工程を行った後に、切断除去予定管部に相当する位置に配置された弁と切断除去予定管部の両側に位置する残置管部とを一対の継ぎ輪を用いて連通接続させる継ぎ輪接続工程を行い、
前記弁には、残置管部と連通接続させる接続管部が備えられ、
前記継ぎ輪には、弁の接続管部を接続する側に接続口部が備えられ、
前記接続口部は、その内径が残置管部の外径よりも大径に設定され、その内面部にシール部材が備えられ、
前記継ぎ輪接続工程では、継ぎ輪を流体管の管軸芯方向に摺動させて、弁の接続管部と残置管部とに亘る継ぎ目部に継ぎ輪を外嵌させることで、シール部材にて継ぎ輪の接続口部の内面部と弁の接続管部の外面部との間をシールする状態で弁の接続管部と残置管部とを連通接続させ、
前記被覆部材設置工程では、継ぎ輪の接続口部の内面部と残置管部の外面部との間の隙間を含む箇所を異物混入予測箇所とし、その異物混入予測箇所を被覆部材にて閉塞している請求項1に記載の弁設置方法。
【請求項3】
前記被覆部材には、ハウジングの外部において被覆部材の取外操作自在な操作部が備えられ、
前記被覆部材設置工程は、ハウジング設置工程と併行して実行可能である請求項2に記載の弁設置方法。
【請求項4】
前記継ぎ輪接続工程では、ハウジングの外部に配設されたフィダー装置によって継ぎ輪を流体管の管軸芯方向に摺動させており、
前記操作部は、フィダー装置と干渉しない非干渉位置に配設されている請求項3に記載の弁設置方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の弁設置方法に用いられ、被覆部材が備えられた被覆装置において、
前記操作部は、挿通孔部を通してハウジングの外部に突出する状態でハウジングの内外方向に移動自在に備えられ、ハウジングの外部側への移動により被覆部材の取外操作が行われるように構成され、
前記挿通孔部には、ハウジングの外部への流体の漏洩を防止する漏洩防止部が備えられている被覆装置。
【請求項6】
前記被覆部材と前記操作部とを連結する連結部材が備えられ、その連結部材は、被覆部材と操作部とを連結する部位の長さが調整自在に構成されている請求項5に記載の被覆装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管の途中部位に不断水状態で流体制御弁等の弁を設置する弁設置方法、及び、その弁設置方法に用いられる被覆装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような弁設置方法として、流体管における切断除去予定管部の両側に一対の継ぎ輪を設置する継ぎ輪設置工程と、一対の継ぎ輪及び切断除去予定管部を含む流体管の一部を密閉外嵌する状態で開閉操作自在な作業弁を有するハウジングを設置するハウジング設置工程と、ハウジング内において切断装置にて切断除去予定管部を切断して除去する切断工程と、切断除去予定管部に相当する位置に弁を配置させる弁挿入工程と、切断除去予定管部に相当する位置に挿入された弁と切断除去予定管部の両側に位置する残置管部とを一対の継ぎ輪を用いて連通接続させる継ぎ輪接続工程とを行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
継ぎ輪設置工程では、流体管において切断除去予定管部の両側に残置管部が存在することになり、その残置管部に対して、継ぎ輪を流体管の管軸芯方向に摺動自在に外嵌している。ハウジング設置工程では、一対の継ぎ輪及び切断除去予定管部を含む流体管の一部をハウジングにて密閉状態に設置し、ハウジングを開閉自在な作業弁も設置している。切断工程では、切断装置をハウジングに設置し、作業弁を開弁状態としてハウジング内で切断装置により切断除去予定管部を切断し、その切断除去予定管部をハウジングの外部に除去している。
【0004】
弁挿入工程では、弁が保持された弁挿入装置をハウジングに設置し、作業弁を開弁状態として弁挿入装置により弁の接続管部が両側の残置管部と同芯位置又は略同芯位置に到達するまで弁を移動させて、切断除去予定管部に相当する位置に弁を配置させている。継ぎ輪接続工程では、ハウジングの外部から操作されるフィダー装置により継ぎ輪を流体管の管軸芯方向に摺動させて、弁の接続管部と残置管部とに亘る継ぎ目部に継ぎ輪を外嵌させることで、弁の接続管部と残置管部とを連通接続させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3964385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、切断工程において、切断装置により切断除去予定管部を切断しているので、このとき、切粉等の異物が発生することになる。ハウジング内では、異物の混入による問題発生が予測される異物混入予測箇所が存在する。例えば、管部同士の接続箇所等をシールするシール部材に切粉等の異物が付着すると、本来のシール機能を発揮することができず、流体の漏洩(例えば、流体が水である場合には漏水)等の問題が生じることになる。よって、シール部材が設置されるシール部材設置箇所等の異物混入予測箇所に、切粉等の異物が混入するのを防止することが望まれている。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、切断装置により切断除去予定管部を切断した際に発生する切粉等の異物が異物混入予測箇所に混入するのを防止して、流体の漏洩(例えば、流体が水である場合には漏水)等の問題が生じるのを防止することができる弁設置方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、流体管の途中部位に不断水状態で弁を設置する弁設置方法において、
前記流体管における切断除去予定管部を含む流体管の一部を密閉外嵌する状態で、開閉操作自在な作業弁を有するハウジングを設置するハウジング設置工程と、
そのハウジング設置工程にて設置したハウジング内において切断装置にて切断除去予定管部を切断して除去する切断工程と、
その切断工程にて切断して除去された切断除去予定管部に相当する位置に弁を挿入させて配置させる弁挿入工程とを行い、
前記切断工程を行う前に、ハウジング内において異物の混入による問題発生が予測される異物混入予測箇所を覆う状態で被覆部材を設置する被覆部材設置工程を行い、
前記切断工程を行った後に、被覆部材を異物混入予測箇所から別の取外箇所に移動させて、被覆部材を異物混入予測箇所から取り外す被覆部材取外工程を行う点にある。
【0009】
本構成によれば、被覆部材設置工程を行うことで、切断工程を行う前に、ハウジング内の異物混入予測箇所を被覆部材にて覆うことができる。よって、切断工程を行うことで、切粉等の異物が発生しても、その異物が異物混入予測箇所に混入するのを防止することができる。これにより、例えば、異物混入予測箇所がシール部材設置箇所である場合には、シール部材に異物が付着するのを防止することができ、流体の漏洩(例えば、流体が水である場合には漏水)等の問題が生じるのを防止できる。
【0010】
被覆部材取外工程を行うことで、仮に、被覆部材に切粉等の異物が付着していても、異物混入予測箇所とは別の取外箇所に、異物と一緒に被覆部材を移動させることができるので、異物混入予測箇所に異物が残存するのを防止することができる。よって、異物混入予測箇所への異物の混入を防止しながら、異物混入予測箇所を開放して、シール部材によるシールや管部同士の接続等の本来の機能を発揮させることができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記流体管における切断除去予定管部の両側に一対の継ぎ輪を外嵌状態で設置する継ぎ輪設置工程を行い、
前記ハウジング設置工程として、一対の継ぎ輪及び切断除去予定管部を含む流体管の一部を密閉外嵌する状態で、開閉操作自在な作業弁を有するハウジングを設置し、
前記弁挿入工程を行った後に、切断除去予定管部に相当する位置に配置された弁と切断除去予定管部の両側に位置する残置管部とを一対の継ぎ輪を用いて連通接続させる継ぎ輪接続工程を行い、
前記弁には、残置管部と連通接続させる接続管部が備えられ、
前記継ぎ輪には、弁の接続管部を接続する側に接続口部が備えられ、
前記接続口部は、その内径が残置管部の外径よりも大径に設定され、その内面部にシール部材が備えられ、
前記継ぎ輪接続工程では、継ぎ輪を流体管の管軸芯方向に摺動させて、弁の接続管部と残置管部とに亘る継ぎ目部に継ぎ輪を外嵌させることで、シール部材にて継ぎ輪の接続口部の内面部と弁の接続管部の外面部との間をシールする状態で弁の接続管部と残置管部とを連通接続させ、
前記被覆部材設置工程では、継ぎ輪の接続口部の内面部と残置管部の外面部との間の隙間を含む箇所を異物混入予測箇所とし、その異物混入予測箇所を被覆部材にて閉塞している点にある。
【0012】
切断工程によって残置管部の切断面にバリが発生する可能性がある。本構成によれば、継ぎ輪の接続口部の内径が、残置管部の外径よりも大径であるので、継ぎ輪接続工程において、継ぎ目部まで継ぎ輪を流体管の管軸芯方向に摺動させる際に、継ぎ輪の接続口部の内面部に備えられたシール部材が、残置管部の切断面に発生したバリよりも流体管の径方向の外方側に位置することになり、シール部材がバリに接触して損傷する等の問題が生じるのを防止することができる。
【0013】
しかしながら、継ぎ輪の接続口部の内径を残置管部の外径よりも大径に設定すると、継ぎ輪の接続口部の内面部と残置管部の外面部との間に隙間が形成されている。その隙間に切粉等の異物が混入すると、接続口部の内面部に備えられたシール部材に異物が付着してしまい、本来のシール機能を発揮できなく可能性が生じる。
【0014】
そこで、本構成によれば、被覆部材設置工程では、継ぎ輪の接続口部の内面部と残置管部の外面部との間の隙間を含む箇所を異物混入予測箇所とし、その異物混入予測箇所を被覆部材にて閉塞している。これにより、シール部材に対する異物の付着を適切に防止することができる。
【0015】
本発明の第3特徴構成は、前記被覆部材には、ハウジングの外部において被覆部材の取外操作自在な操作部が備えられ、
前記被覆部材設置工程は、ハウジング設置工程と併行して実行可能である点にある。
【0016】
本構成によれば、被覆部材の操作部を取外操作することで、被覆部材取外工程を適切に行うことができるだけでなく、その取外操作をハウジングの外部において行うことができるので、取外操作自体も簡易な操作となる。
【0017】
被覆部材設置工程は、ハウジング設置工程と併行して行うことができるので、ハウジングの外部において被覆部材の操作部を取外操作自在に設置するに当たり、ハウジングと被覆部材の操作部との間での内外の関係を考慮しながら、被覆部材設置工程を効率よく行うことができる。
【0018】
本発明の第4特徴構成は、前記継ぎ輪接続工程では、ハウジングの外部に配設されたフィダー装置によって継ぎ輪を流体管の管軸芯方向に摺動させており、
前記操作部は、フィダー装置と干渉しない非干渉位置に配設されている点にある。
【0019】
本構成によれば、ハウジングの外部に配設されたフィダー装置によって継ぎ輪を流体管の管軸芯方向に適切に摺動させることができるので、ハウジングの外部からの操作によって継ぎ輪接続工程を行うことができる。しかも、操作部は、フィダー装置と干渉しない非干渉位置に配設されているので、被覆部材取外工程と継ぎ輪接続工程とがお互いに干渉することなく、ハウジングの外部からの操作によって効率よく行うことができる。
【0020】
本発明の第5特徴構成は、上記第3又は第4特徴構成の弁設置方法に用いられ、被覆部材が備えられた被覆装置において、
前記操作部は、挿通孔部を通してハウジングの外部に突出する状態でハウジングの内外方向に移動自在に備えられ、ハウジングの外部側への移動により被覆部材の取外操作が行われるように構成され、
前記挿通孔部には、ハウジングの外部への流体の漏洩を防止する漏洩防止部が備えられている点にある。
【0021】
本構成によれば、操作部は、挿通孔部を通してハウジングの外部に突出する状態で備えられ、ハウジングの外部側への移動により被覆部材の取外操作が行われるように構成されているので、被覆部材取外工程では、操作部をハウジングの外部側へ移動させるという簡易な操作を行うだけでよく、操作性の向上を図ることができる。しかも、挿通孔部には漏洩防止部が備えられているので、ハウジングの外部へ流体が漏洩することなく、被覆部材取外工程を行うことができる。
【0022】
本発明の第6特徴構成は、前記被覆部材と前記操作部とを連結する連結部材が備えられ、その連結部材は、被覆部材と操作部とを連結する部位の長さが調整自在に構成されている点にある。
【0023】
流体管の口径等が変わると、異物混入予測箇所を閉塞する被覆部材の設置箇所と被覆部材の操作部の配設箇所との位置関係が変化することがある。そこで、本構成によれば、連結部材は、被覆部材と操作部とを連結する部位の長さが調整自在に構成されているので、被覆部材の設置箇所と操作部の配設箇所との位置関係が変化しても、連結部材における連結する部位の長さを調整して柔軟に対応することができ、被覆装置自体が使い勝手の良いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一対の継ぎ輪を設置した状態を示す半断面側面図
図2】ハウジングを設置した状態を示す側面図
図3】作業弁を設置した状態を示す側面図
図4】切断装置を設置した状態を示す側面図
図5】切断装置にて切断除去予定管部を切断する状態を示す側面図
図6】切断装置を撤去する状態を示す側面図
図7】弁挿入装置を設置した状態を示す側面図
図8】弁挿入装置にて切断除去予定管部に相当する位置に弁を配置させた状態を示す側面図
図9】フィダー装置にて一対の継ぎ輪にて弁と残置管部とを連通接続した状態を示す図
図10】継ぎ輪にて弁と残置管部と連通接続する部位を示す断面図
図11】減速機を設置した状態を示す側面図
図12】(A)被覆装置を組み立てた状態の要部を示す側面図、(B)被覆装置を組み立てた状態の要部を示す平面図
図13】ハウジング設置工程と被覆部材設置工程とを示す斜視図
図14】第1被覆部材と第2被覆部材との連結状態を示す側面図
図15】漏洩防止部を示す拡大断面図
図16】(A)被覆部材取外工程を示す側面図、(B)被覆部材取外工程の過程を示す平面図
図17】別実施形態においてハウジングを設置した状態を示す側面図
図18】(A)別実施形態における被覆部材設置工程を示す平面図、(B)別実施形態における被覆部材取外工程の過程を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る弁設置方法及びその弁設置方法に用いられる閉塞装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
この弁設置方法は、図11に示すように、流体管1の途中部位に不断水状態で流体制御弁等の弁2を設置する方法である。流体管1は、例えば、既設の水道管等であり、図1に示すように、管軸芯方向Xを上下方向とし、上下方向に沿う姿勢の縦配管となっている。
【0026】
この弁設置方法では、図2に示すように、流体管1の途中部位を切断除去予定管部11とし、切断除去予定管部11を含む流体管1の一部をハウジング5にて密閉状態としている。図4図6に示すように、切断装置6にて切断除去予定管部11を切断して除去し、図7及び図8に示すように、弁挿入装置7にて切断除去予定管部11に代えて弁2を配置させ、図9に示すように、切断除去予定管部11の両側の残置管部12と弁2とをフィダー装置8にて一対の継ぎ輪3を用いて連通接続させている。
【0027】
このように、一対の継ぎ輪3、作業弁4を有するハウジング5、切断装置6、弁挿入装置7、フィダー装置8等の各種の部材や装置を用いているので、まずは、各種の部材や装置について説明する。
【0028】
(継ぎ輪)
一対の継ぎ輪3は、図10及び図11に示すように、流体管1の管軸芯方向Xで相対向する弁2の両接続管部22と流体管1の残置管部12とを密封状態で連通接続するためのものである。ちなみに、図10では、流体管1の管軸芯方向Xにおいて弁2の片側のみの断面図を示している。
【0029】
継ぎ輪3は、図1及び図10に示すように、流体管1に対して管径方向の両側方から外嵌装着自在な管周方向で二分割された半円筒状の分割継ぎ輪ケース31から構成されている。各分割継ぎ輪ケース31の周方向両端部には、図1に示すように、連結フランジ部32が一体的に突出形成され、その連結フランジ部32がボルト・ナット等の締結具にて締め付け固定されている。
【0030】
分割継ぎ輪ケース31は、図1及び図10に示すように、管軸芯方向Xで弁2の接続管部22を接続する側が径方向に拡大させた大径部33となっており、この大径部33によって弁2の接続管部22を接続する接続口部34が形成されている。大径部33の内面部には、弁2の接続管部22の外周面と接続口部34の内周面との間をシールする第1シール部材C1が備えられている。
【0031】
分割継ぎ輪ケース31は、図1及び図10に示すように、管軸芯方向Xで弁2の接続管部22を接続する側とは反対側部位が大径部33よりも小径の小径部35となっている。小径部35の内面部には、残置管部12の外面部と小径部35の内面部との間をシールする第2シール部材C2が備えられている。小径部35には、両シール部材C1、C2で密封された両分割継ぎ輪ケース31の内周面と流体管1の外周面との間の環状空間に圧力水を供給するための水密試験用の注水口36が形成され、この注水口36には、密封用のプラグ37が螺合装着されている。
【0032】
(ハウジング)
ハウジング5は、図2に示すように、流体管1における切断除去予定管部11及び両側の残置管部12を密閉状態で囲むものであり、第1ケース51と第2ケース52とが備えられている。この実施形態では、第1ケース51が、管軸芯方向Xに直交する直交方向(左右方向)の一方側のみを開放する矩形の箱状ケースにて構成されており、第2ケース52が、第1ケース51の開放部を閉塞する板状の蓋状ケースにて構成されている。第1ケース51は、流体管1における切断除去予定管部11及び両側の残置管部12に対して左右方向の一方側(図2において左側)から外嵌装着される半割り状に形成されている。第2ケース52は、流体管1における切断除去予定管部11及び両側の残置管部12に対して左右方向の第1ケース51とは反対側(図2において右側)から外嵌装着される半割り状に形成されている。第1ケース51と第2ケース52とは、ボルト・ナット等の締結具にて脱着自在で密封状態で接合されている。
【0033】
第2ケース52には、流体管1の管軸芯方向Xと直交する直交方向(図2において右側)に延びる連結筒部53が一体形成されている。連結筒部53には、図3に示すように、作業弁4の弁ケース41が密閉状態で装着されている。弁ケース41には、図6に示すように、開閉移動自在な弁体42と、その弁体42を開閉操作する操作ハンドル43とが備えられている。
【0034】
(弁)
弁2は、例えば、バタフライ弁であり、図7に示すように、弁体等が収納された弁ケース21が備えられている。弁ケース21の両側面には、流体管1の残置管部12と連通接続するための接続管部22が一体形成されている。接続管部22は、図10に示すように、その内径が残置管部12の内径と同一又は略同一に設定され、その外径D2が残置管部12の外径D1よりも大径に設定されている。ちなみに、この実施形態では、弁2としてバタフライ弁を例示しているが、仕切弁等の他の弁を適用することもできる。
【0035】
残置管部12の外径D1、弁2の接続管部22の外径D2、及び、継ぎ輪3の接続口部34の内径D3の大小関係については、図10に示すように、弁2の接続管部22の外径D2が残置管部12の外径D1よりも大径に設定され、継ぎ輪3の接続口部34の内径D3が弁2の接続管部22の外径D2よりも大径に設定されている。残置管部12の外径D1に対する、継ぎ輪3の接続口部34の内径D3及び接続管部22の外径D2の大きさについては、バリの径方向外方側への突出代を見込んだ大径に設定されている。このように、継ぎ輪3の接続口部34の内径D3>接続管部22の外径D2>残置管部12の外径D1とすることで、残置管部12の切断面にバリが発生しても、そのバリよりも径方向の外方側に継ぎ輪3を配置させることができ、バリによる損傷を防止することができる。しかも、継ぎ輪3の接続口部34の内面部には第1シール部材C1が備えられているので、継ぎ輪3を管軸芯方向Xに摺動させるときに、第1シール部材C1がバリに接触して損傷するのも防止することができる。
【0036】
(切断装置)
切断装置6は、図4図6に示すように、ハウジング5内において切断除去予定管部11を切断して、その切断除去予定管部11をハウジング5外に除去するためのものである。切断装置6は、図4に示すように、ケーシング61に支持された駆動回転軸62と、その駆動回転軸62の先端部に付け替え自在な回転切削具63とが備えられている。駆動回転軸62は、ケーシング61に対して、回転及び管軸芯方向Xに直交する方向(図4におおいて左右方向)に摺動自在に支持されている。ケーシング61には、駆動回転軸62に対して駆動回転力と管軸芯方向Xに直交する方向の送り力を付与する原動部64(例えば、電動モータやエンジン等)が備えられている。切断装置6は、原動部64にて駆動回転軸62に対して駆動回転力と送り力とを付与し、回転切削具63を開き操作された作業弁4を通して管軸芯方向Xと直交する直交方向に沿って送り込むことにより、流体管1の切断除去予定管部11を分断状態で切断している。
【0037】
ケーシング61の流体管1に接近する側の端部には、回転切削具63の一部を収納可能な連結ケース65が備えられている。ケーシング61のケーシング側連結フランジ66と連結ケース65のケース側第1連結フランジ67とがボルト・ナット等の締結具にて締め付け固定され、ケーシング61と連結ケース65とが固定連結されている。連結ケース65における流体管1に接近する側の端部には、ケース側第2連結フランジ68が一体形成されている。作業弁4の弁ケース41における流体管1から離れる側の端部には、作業弁側連結フランジ44が一体形成されている。作業弁側連結フランジ44とケース側第2連結フランジ68とがボルト・ナット等の締結具にて締め付け固定することで、切断装置6の連結ケース65が作業弁4の弁ケース41に密閉状態(水密状態)で固定連結されている。
【0038】
回転切削具63は、例えば、ホールソーであり、先端部に切削チップが設けられている円筒状ボディー63aと、これの中心位置を通して切削チップよりも前方に突出するセンタードリル63bとが備えられている。ちなみに、この実施形態では、回転切削具63として、ホールソーを例示しているが、その他の回転切削具を適用することもできる。
【0039】
(弁挿入装置)
弁挿入装置7は、図7及び図8に示すように、流体管1の切断除去予定管部11(図4参照)が除去された位置に弁2を挿入して配置させるためのものである。弁挿入装置7は、弁2を収納可能な作業空間71を有する円筒状のケース72が備えられている。ケース72における流体管1から離れる側の端部には、開口部を閉塞する蓋部73が備えられ、ケース72における流体管1に接近する側の端部には、連結フランジ74が備えられている。ケース72の連結フランジ74と作業弁側連結フランジ44とがボルト・ナット等の締結具にて締め付け固定することで、弁挿入装置7のケース72が作業弁4の弁ケース41に密閉状態(水密状態)で固定連結されている。
【0040】
ケース72の蓋部73には、出退駆動部にて出退自在な出退操作軸75が貫通支持されている。出退操作軸75の先端部には、弁2を保持自在な弁保持部76が備えられている。弁保持部76の両側部には、ケース72の内壁部に形成された案内部(図示省略)に沿って案内されるガイド部77が備えられている。例えば、凸状の被案内部と凹状のガイド部77との凹凸形状とすることができる。出退操作軸75を出退操作することで、ガイド部77が被案内部と係合する状態で管軸芯方向Xに直交する直交方向に移動して、弁保持部76が直交方向に沿って出退自在(移動自在)に備えられている。ちなみに、この実施形態では、作業弁4の弁ケース41にも、ケース72の被案内部に連続する被案内部が形成されており、図8に示すように、弁保持部76のガイド部77が、ケース72の被案内部に引き続いて、弁ケース41の被案内部に案内されている。
【0041】
(フィダー装置)
フィダー装置8は、図8及び図9に示すように、ハウジング5の外部での操作により、各残置管部12に装着されている継ぎ輪3を弁2の接続管部22に亘る継ぎ目部まで管軸芯方向Xに摺動させるものである。フィダー装置8は、図2に示すように、ハウジング5の管軸芯方向Xで対面する側壁部54に組み付けられ、その側壁部54を密封状態で貫通する操作ネジ軸81が備えられている。操作ネジ軸81の端部は、継ぎ輪3の外周部に連結され、ネジ式操作機構(図示省略)等により操作ネジ軸81を管軸芯方向Xに沿って押し引き操作することで、継ぎ輪3を管軸芯方向Xに摺動させている。
【0042】
(被覆装置)
ハウジング5内において切断装置6により切断除去予定管部11を切断する際に、切粉等の異物が発生するが、この切粉等の異物がシール部材C1(図10参照)等に付着すると、本来のシール機能を発揮できなくなる等の問題が発生する可能性がある。そこで、図2図12及び図13に示すように、異物の混入による問題発生が予測される箇所を異物混入予測箇所91(図12(A)参照)とし、その異物混入予測箇所91を被覆する被覆部材101を有する被覆装置100が備えられている。
【0043】
異物混入予測箇所91としては、第1シール部材C1に異物が付着するのを防止するための箇所が考えられる。残置管部12の外径D1、弁2の接続管部22の外径D2、及び、継ぎ輪3の接続口部34の内径D3の大小関係については、図10に示すように、継ぎ輪3の接続口部34の内径D3>接続管部22の外径D2>残置管部12の外径D1となっている。これにより、図12(A)に示すように、残置管部12の外周部と継ぎ輪3の内周部との間に隙間92が形成されており、この隙間92に異物が混入すると、第1シール部材C1に異物が付着する可能性がある。そこで、残置管部12の外周部と継ぎ輪3の内周部との間の隙間92を含む箇所を異物混入予測箇所91として、被覆装置100の被覆部材101にてその異物混入予測箇所91を閉塞している。
【0044】
被覆装置100は、図12及び図13に示すように、残置管部12の外周部と継ぎ輪3の内周部との間の隙間92、及び、その隙間の周囲を被覆する被覆部材101(図13においてグレーにて示している)が備えられている。被覆部材101は、図12の(B)に示すように、管周方向で二分割された半割形状の第1被覆部材103と第2被覆部材104とが備えられ、第1被覆部材103と第2被覆部材104とは、シート状部材にて構成され、同一の大きさの湾曲状に形成されている。
【0045】
第1被覆部材103は、図12及び図13のグレーにて示すように、流体管1の径方向の内方側に配置されて、管軸芯方向Xに延びて残置管部12の外周部を被覆する内側被覆部位103aと、その内側被覆部位103aから流体管1の径方向の外方側に延びて継ぎ輪3の外方側までを被覆する外側被覆部位103bとが備えられている。第2被覆部材104も、第1被覆部材103と同様に、内側被覆部位104aと外側被覆部位104bとが備えられている。
【0046】
第1被覆部材103と第2被覆部材104とは、図12(B)に示すように、半割の湾曲状に形成されているが、その両端部については、両端部同士を重ね合わせる状態で設置され、管周方向の全周に亘って一連に存在しており、第1被覆部材103と第2被覆部材104との間の隙間を無くしている。第1被覆部材103の外側被覆部位103b及び第2被覆部材104の外側被覆部位104bの両端部同士を重ね合わせた部位には、図14に示すように、その重ね合わせた状態で第1被覆部材103と第2被覆部材104とを連結する被覆用連結部材105が備えられている。被覆用連結部材105は、例えば、磁石にて構成され、磁力を用いて重ね合わせた状態で第1被覆部材103と第2被覆部材104とを連結している。また、図14に示すものでは、第1被覆部材103と第2被覆部材104とを直接接触させる状態で重ね合わせているが、例えば、第1被覆部材103及び第2被覆部材104の夫々における重ね合わせ部位に被覆用連結部材105の磁石を設け、磁石同士を直接接触させることで、第1被覆部材103と第2被覆部材104とを重ね合わせた状態で連結することもできる。
【0047】
図示は省略するが、第1被覆部材103の内側被覆部位103a及び第2被覆部材104の内側被覆部位104aにも、その裏面部に磁石を備えさせることで、内側被覆部位103a及び内側被覆部位104aを残置管部12の外周部に接着させる状態で、第1被覆部材103の内側被覆部位103a及び第2被覆部材104の内側被覆部位104aを設置することができる。
【0048】
このように、第1被覆部材103及び第2被覆部材104は、図12に示すように、流体管1の径方向において、残置管部12の外周部から、残置管部12の外周部と継ぎ輪3の内周部との間の隙間92を通して、継ぎ輪3の径方向外方側まで、隙間を形成することなく、一連に被覆している。第1被覆部材103及び第2被覆部材104は、残置管部12の外周部と継ぎ輪3の内周部との間の隙間92における上方側開放部の全体を上方側から閉塞している。
【0049】
被覆装置100は、図2及び図12に示すように、ハウジング5の外部において被覆部材101の取外操作自在な操作部102が備えられている。操作部102は、図12(B)に示すように、第1被覆部材103及び第2被覆部材104の夫々に対して、複数(例えば2つ)備えられている。操作部102は、図12(A)に示すように、フィダー装置8の操作ネジ軸81よりも流体管1の径方向外方側に配設され、操作ネジ軸81と干渉しない非干渉位置に配設されている。
【0050】
操作部102は、棒状体にて構成され、図12(A)に示すように、第1ケース51の側壁部54に形成された挿通孔部107を通してハウジング5の外部に突出する状態でハウジング5の内外方向(図12(A)において上下方向)に移動自在に備えられている。操作部102の上端部には、挿通孔部107よりも大径の抜け止め部102a(図15参照)が備えられており、図16(A)に示すように、この抜け止め部102aが側壁部54の内側等に当接することで、操作部102がハウジング5から抜けてしまうのを防止している。
【0051】
挿通孔部107には、図12(A)に示すように、ハウジング5の外部への流体の漏洩を防止する漏洩防止部106が備えられている。漏洩防止部106は、図15に示すように、漏洩防止部106は、操作部102に外嵌装着されるOリング106aが備えられ、操作部102をハウジング5の内外方向に移動操作したときにも、挿通孔部107からハウジング5の外部への流体の漏洩を防止している(止水機能を発揮している)。ハウジング5の側壁部54には、挿通孔部107に対応する位置に環状のハウジング側受け部材106bが備えられ、そのハウジング側受け部材106bに止水用第1取付部材106cが螺合装着されている。Oリング106aが外嵌装着された操作部102は、止水用第1取付部材106cを貫通する状態で備えられている。止水用第1取付部材106cとの挟み込みによりOリング106aを保持する止水用第2取付部材106dが備えられ、止水用第2取付部材106dがボルト106eの締結により止水用第1取付部材106cに固定連結されている。
【0052】
被覆部材101と操作部102とは別体にて構成されているが、図12及び図13に示すように、被覆部材101と操作部102とを連結する連結部材108が備えられ、操作部102に対する操作が、連結部材108を介して被覆部材101に作用するように構成されている。連結部材108は、ロープや紐状体にて構成されており、被覆部材101と操作部102とを連結する部位の長さが調整自在に構成されている。
【0053】
操作部102に対する操作は、図16(A)の白抜き矢印にて示すように、操作部102をハウジング5(側壁部54)の外部側へ移動させる操作(引き操作)となっており、操作部102を引き操作することで、被覆部材101の取外操作が行われる。操作部102にて引き操作が行われると、図16(B)に示すように、被覆部材101は被覆用連結部材105(図14参照)による連結が解除されて、第1被覆部材103と第2被覆部材104とに分割される。引き続いて操作部102による引き操作が継続されることで、第1被覆部材103と第2被覆部材104とが別々に取外箇所に移動されて、残置管部12の外周部と継ぎ輪3の内周部との間の隙間92を含む異物混入予測箇所91から被覆部材101を取り外している。
【0054】
取外箇所は、図16(A)に示すように、異物混入予測箇所91よりも流体管1の径方向外方側で、異物混入予測箇所91よりも第1ケース51の側壁部54に接近した箇所となっている。取外箇所では、第1被覆部材103及び第2被覆部材104が、異物混入予測箇所91の左右方向に沿う姿勢とは異なる上下方向に沿う縦姿勢となっている。よって、図12(A)に示すように、異物混入予測箇所91に設置された第1被覆部材103及び第2被覆部材104の上面部に切粉等の異物が滞留しても、姿勢が変更される際や取外箇所に移動することで、その上面部から異物を落下させて除去できるようにしている。
【0055】
以下、弁設置方法における工程について説明する。
この弁設置方法では、継ぎ輪設置工程、ハウジング設置工程、切断工程、弁挿入工程、継ぎ輪接続工程、継ぎ輪固定工程の各工程を順次行っている。
【0056】
(継ぎ輪設置工程)
継ぎ輪設置工程では、図1に示すように、流体管1における切断除去予定管部11の両側に一対の継ぎ輪3を外嵌状態で設置している。流体管1において切断除去予定管部11の両側に残置管部12が存在するので、その残置管部12の夫々に対して、継ぎ輪3を流体管1の管軸芯方向Xに摺動自在に外嵌している。一対の継ぎ輪3を設置した後、両継ぎ輪3の分割継ぎ輪ケース31の注水口36に水密試験装置の注水ノズルを接続して圧力水を両分割継ぎ輪ケース31の内周面と残置管部12の外周面との間の空間に供給して、両継ぎ輪3の水密状態を試験している。
【0057】
(ハウジング設置工程)
ハウジング設置工程では、図2に示すように、一対の継ぎ輪3及び切断除去予定管部11を含む流体管1の一部を密閉外嵌する状態でハウジング5を設置している。ハウジング5は、第1ケース51と第2ケース52とが備えられているので、例えば、まず、第1ケース51を設置して、その第1ケース51の開口部を閉塞する状態で第2ケース52を設置して、第1ケース51と第2ケース52とをボルト・ナット等の締結具により締め付け固定している。ハウジング5の第1ケース51を設置するときに、ハウジング5の管軸芯方向Xの両側壁部54にフィダー装置8を組み付けておくことができる。ハウジング5を設置すると、図3に示すように、そのハウジング5に対して作業弁4も一体的に設置している。
【0058】
(切断工程)
切断工程では、図4図6に示すように、ハウジング設置工程にて設置したハウジング5内において切断装置6にて切断除去予定管部11を切断して除去している。まず、作業弁4の弁体42(図6参照)を閉じ操作した状態で作業弁4に対して切断装置6を密閉状態(水密状態)で固定連結する。次に、図4に示すように、作業弁4の弁体42を開き操作し、切断装置6の回転切削具63を、駆動回転させながら、管軸芯方向Xに直交する直交方向から送り込み、図5に示すように、流体管1の切断除去予定管部11を切断する。その後、切断された切断除去予定管部11とともに回転切削具63を連結ケース65内に移動させたのち、図6に示すように、作業弁4の弁体42を閉じ操作し、作業弁4から切断装置6を取り外す。
【0059】
(弁挿入工程)
弁挿入工程では、図7及び図8に示すように、切断工程にて切断して除去された切断除去予定管部11に相当する位置に弁2を挿入させて配置させている。まず、弁挿入装置7の弁保持部76に弁2を保持させ、作業弁4の弁体42(図6参照)を閉じ操作した状態で作業弁4に対して弁挿入装置7を密閉状態(水密状態)で固定連結する。次に、図7に示すように、作業弁4の弁体42を開き操作し、弁挿入装置7の出退操作軸75を挿入操作して、切断除去予定管部11が切断して除去された箇所に対して、管軸芯方向Xに直交する直交方向から弁2を挿入する。このとき、ガイド部77が被案内部にて案内されて、弁保持部76及びその弁保持部76に保持された弁2が、管軸芯方向Xに直交する直交方向に沿って適切に挿入移動される。図8に示すように、弁2の両接続管部22が両残置管部12と同芯位置又は略同芯位置に到達するまで、弁挿入装置7の出退操作軸75を挿入操作して、弁保持部76にて保持されている弁2を切断除去予定管部11に相当する位置に配置させている。
【0060】
(継ぎ輪接続工程)
継ぎ輪接続工程では、図9に示すように、ハウジング5の管軸芯方向Xの両側部に組み付けられているフィダー装置8により、切断除去予定管部11に相当する位置に配置された弁2と残置管部12とを一対の継ぎ輪3を用いて連通接続させる。フィダー装置8の操作ネジ軸81を同時に同方向に同量だけ押し込み操作して、図9の白抜き矢印にて示すように、各残置管部12に装着されている継ぎ輪3を弁2の接続管部22に亘る継ぎ目部まで管軸芯方向Xに摺動させる。弁2の接続管部22と残置管部12との継ぎ目部に継ぎ輪3を摺動させると、図10に示すように、継ぎ輪3の接続口部34の内部に接続管部22が挿入されて、管軸芯方向Xで接続管部22と残置管部12とに亘る状態で継ぎ輪3を配置させ、第1シール部材C1にて接続管部22の外周部と継ぎ輪3の接続口部34の内周部との間をシールすることができ、第2シール部材C2にて残置管部12の外周部と継ぎ輪3の小径部35の内周部との間をシールすることができる。
【0061】
(継ぎ輪固定工程)
継ぎ輪固定工程では、図11に示すように、弁挿入装置7、作業弁4、ハウジング5等を順次撤去して、一対の継ぎ輪3を固定している。弁2の弁ケース21には、減速機9が取り付けられ、弁2の連結フランジと継ぎ輪3の連結フランジとをボルト・ナット等の締結具にて固定連結したり、継ぎ輪3の内周部と残置管部12の外周面との間の環状隙間に装着したシール材(図示省略)を密封状態に圧縮する押輪等を固定連結することで、一対の継ぎ輪3を固定している。
【0062】
弁設置方法では、上述の如く、継ぎ輪設置工程、ハウジング設置工程、切断工程、弁挿入工程、継ぎ輪接続工程、継ぎ輪固定工程の各工程を順次行っているが、これに加えて、被覆装置100における被覆部材101を設置する被覆部材設置工程と、被覆装置100における被覆部材101を取り外す被覆部材取外工程とを行っている。
【0063】
(被覆部材設置工程)
被覆部材設置工程では、図12及び図13に示すように、ハウジング5内において異物混入予測箇所91を覆う状態で被覆部材101を設置している。異物混入予測箇所91は、残置管部12の外周部と継ぎ輪3の内周部との間の隙間92を含む箇所となっており、その異物混入予測箇所91を閉塞する状態で、被覆部材101としての第1被覆部材103と第2被覆部材104とを設置している。この被覆部材設置工程では、被覆部材101を設置するだけでなく、ハウジング5の側壁部54に形成された挿通孔部107を挿通させて、ハウジング5の内外方向に移動自在に複数の操作部102を取り付け、複数の操作部102の夫々と第1被覆部材103及び第2被覆部材104とを連結部材108にて連結して、被覆装置100の組立を行っている。
【0064】
被覆部材設置工程は、切断工程を行う前に行えばよく、例えば、ハウジング設置工程と併行して行うことができる。ハウジング設置工程では、図2に示すように、第1ケース51と第2ケース52とを流体管1に組み付けるので、図13に示すように、第1ケース51だけを流体管1に組み付けている状態では、ハウジング5の内部が開放されている。このとき、ハウジング5の内部において、第1被覆部材103及び第2被覆部材104の被覆部材101の設置作業、複数の操作部102の取付作業、連結部材108による連結作業を行うことができる。
【0065】
この実施形態では、図1に示すように、流体管1が、管軸芯方向Xを上下方向とし、上下方向に沿う姿勢の縦配管となっている。よって、図2に示すように、被覆部材101を有する被覆装置100の設置対象は、一対の継ぎ輪3のうち、下方側に位置する継ぎ輪3のみとなっており、上方側に位置する継ぎ輪3に対しては、被覆部材101を有する被覆装置100を設置していない。
【0066】
被覆部材設置工程では、被覆部材101の設置作業を行う第1作業工程と、複数の操作部102の取付作業及び連結部材108による連結作業を行う第2作業工程との2つの作業工程に分けて行うこともできる。例えば、第1作業工程では、残置管部12の外周部と継ぎ輪3の内周部との間の隙間92を含む異物混入予測箇所91を閉塞するように、残置管部12及び継ぎ輪3に対して被覆部材101を設置するので、ハウジング5が設置されていなくても、継ぎ輪3が装着されていれば、第1作業工程を行うことができる。そこで、継ぎ輪設置工程を行った後で、ハウジング設置工程を行う前に、第1作業工程を行い、その後、ハウジング設置工程と併行して第2作業工程を行うこともできる。
【0067】
(被覆部材取外工程)
被覆部材取外工程では、図16に示すように、被覆部材101を異物混入予測箇所91(図16(A)参照)から別の取外箇所に移動させて、被覆部材101を異物混入予測箇所91から取り外している。図16の白抜き矢印にて示すように、複数の操作部102をハウジング5(側壁部54)の外部側へ移動させる引き操作を行うことで、被覆部材101の取外操作を行う。複数の操作部102にて引き操作が行われると、図16(B)に示すように、被覆部材101が第1被覆部材103と第2被覆部材104とに分割され、図16(A)に示すように、第1被覆部材103と第2被覆部材104とが別々に取外箇所に移動され、残置管部12の外周部と継ぎ輪3の内周部との間の隙間92を閉塞する異物混入予測箇所91から被覆部材101を取り外している。
【0068】
第1被覆部材103と第2被覆部材104とは分割可能であるが、その分割する方向は、流体管1の管軸芯方向Xに直交する直交方向となっている。この実施形態では、流体管1が、管軸芯方向Xを上下方向とし、上下方向に沿う姿勢の縦配管となっているので、図16に示すように、第1被覆部材103と第2被覆部材104とは左右方向に分割される。
【0069】
ちなみに、複数の操作部102に対する引き操作は、複数の操作部102の全てに対して同時に行うことが好ましいが、例えば、第1被覆部材103における複数の操作部102に対して同時に引き操作を行い、次に、第2被覆部材104における複数の操作部102に対して同時に引き操作を行うこともできる。複数の操作部102に対して、どのような順番で引き操作を行うかについては適宜変更が可能である。
【0070】
このようにして、被覆部材取外工程を行うことで、第1被覆部材103及び第2被覆部材104の上面部に切粉等の異物が滞留していても、第1被覆部材103及び第2被覆部材104が上下方向に沿う姿勢に変更される際や取外箇所に移動される過程で、その上面部から異物を落下させて除去させることができる。
【0071】
被覆部材取外工程は、切断工程を行った後に行えばよく、例えば、図8に示す弁挿入工程を行った後で、図9に示す継ぎ輪接続工程を行う直前に行うことができる。これにより、図9に示す継ぎ輪接続工程を行う直前まで、被覆部材101にて残置管部12の外周部と継ぎ輪3の内周部との間の隙間92を含む異物混入予測箇所91を閉塞しておくことができるので、第1シール部材C1に異物が付着するのを適切に防止することができる。
【0072】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0073】
(1)上記実施形態では、図1に示すように、流体管1が、管軸芯方向Xを上下方向とし、上下方向に沿う姿勢の縦配管の場合に、本発明に係る弁設置方法を適用した例を説明したが、例えば、図17に示すように、流体管1を、管軸芯方向Xを左右方向として、左右方向に沿う姿勢の横配管の場合にも、本発明に係る弁設置方法を適用することもできる。
【0074】
この横配管の場合には、図17に示すように、被覆部材設置工程において、被覆部材101を有する被覆装置100の設置対象が、一対の継ぎ輪3の両方となっており、両方の継ぎ輪3に対して、被覆部材101を有する被覆装置100を設置している。図18(A)に示すように、両方の継ぎ輪3及び両方の残置管部12に対して、第1被覆部材103と第2被覆部材104との被覆部材101を設置している。
【0075】
被覆部材取外工程では、複数の操作部102を引き操作することで、被覆部材101の取外操作を行うが、両方の被覆装置100における被覆部材101に対して同時に取外操作を行うだけでなく、別々に取外操作を行うこともできる。このとき、第1被覆部材103と第2被覆部材104とを分割する方向は、図18(B)に示すように、流体管1の管軸芯方向Xに直交する左右方向となっている。
【0076】
(2)上記実施形態では、継ぎ輪設置工程や継ぎ輪接続工程を行い、弁2と残置管部12とを連通接続する一対の継ぎ輪3を装着することを前提構成とする場合に、本発明に係る弁設置方法を適用した例を説明したが、これに限るものではなく、継ぎ輪を前提構成とせずに、流体管の途中部位に不断水状態で流体制御弁等の弁を設置する各種の弁設置方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 流体管
2 弁
3 継ぎ輪
4 作業弁
5 ハウジング
6 切断装置
7 弁挿入装置
8 フィダー装置
11 切断除去予定管部
12 残置管部
22 接続管部
34 接続口部
91 異物混入予測箇所
92 継ぎ輪の接続口部の内面部と残置管部の外面部との間の隙間
100 被覆装置
101 被覆部材
102 操作部
106 シール機能部
107 挿通孔部
108 連結部材
C1 第1シール部材(シール部材)
D1 残置管部の外径
D3 継ぎ輪の接続口部の内径
X 管軸芯方向
図1
図2
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