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特開2024-21211情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021211
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0208 20230101AFI20240208BHJP
   H04N 21/258 20110101ALI20240208BHJP
【FI】
G06Q30/02 322
H04N21/258
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123901
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】522310306
【氏名又は名称】Evening Music Records株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003546
【氏名又は名称】弁理士法人伊藤IP特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】的場 優希
【テーマコード(参考)】
5C164
5L049
【Fターム(参考)】
5C164FA06
5C164FA27
5C164MA02S
5C164MA07S
5C164SA54S
5C164SC11P
5C164SD12S
5C164YA11
5L049BB07
5L049BB26
(57)【要約】
【課題】配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツの提供及び/又は再生を好適に促進させる。
【解決手段】本開示の情報処理装置は、所定のコンテンツの配信サービスを行う情報処理装置である。この情報処理装置は、配信サービスによって配信されるコンテンツを提供するユーザである第1ユーザからコンテンツを取得することと、コンテンツを再生するユーザである第2ユーザからの要求に基づいて、該第2ユーザのユーザ端末に対してコンテンツをストリーミング配信することと、第2ユーザによるコンテンツの再生回数に基づいて、該コンテンツを提供した第1ユーザ及び/又は該コンテンツを再生した第2ユーザに対して、所定のインセンティブを付与することと、を実行する制御部を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のコンテンツの配信サービスを行う情報処理装置であって、
前記配信サービスによって配信される前記コンテンツを提供するユーザである第1ユーザから前記コンテンツを取得することと、
前記コンテンツを再生するユーザである第2ユーザからの要求に基づいて、該第2ユーザのユーザ端末に対して前記コンテンツをストリーミング配信することと、
前記第2ユーザによる前記コンテンツの再生回数に基づいて、該コンテンツを提供した前記第1ユーザ及び/又は該コンテンツを再生した前記第2ユーザに対して、所定のインセンティブを付与することと、
を実行する制御部を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、
所定期間における前記コンテンツの再生回数の上昇の度合いに基づいて、前記インセンティブを付与する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記所定期間における再生回数の上昇の度合いが所定の閾値以上の前記コンテンツについて、該所定期間において該コンテンツを再生した前記第2ユーザに対して、該第2ユーザが該コンテンツを再生したときの該コンテンツの総再生回数が少ないほど、該第2ユーザが該所定期間において該コンテンツを再生した回数に対して高い比率で前記インセンティブを付与する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記インセンティブは、蓄積可能なポイントであって、所定の暗号資産又は所定のトークンと交換可能なポイントである、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記インセンティブは、所定の暗号資産又は所定のトークンである、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1ユーザから取得した前記コンテンツを、ブロックチェーンにおいて取引可能なノンファンジブルトークンに変換することと、
前記第2ユーザからの前記ノンファンジブルトークンの購入希望を取得することと、
を更に実行する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
複数の前記第2ユーザによって共有される前記ノンファンジブルトークンについて、該ノンファンジブルトークンに対応する前記コンテンツの再生回数に基づいて前記第1ユーザに付与され得る前記インセンティブの一部を、該ノンファンジブルトークンを所定の購入比率で購入した前記第2ユーザに対して該購入比率に応じて分配することを、
更に実行する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
所定のコンテンツの配信サービスを行う情報処理方法であって、
コンピュータが、
前記配信サービスによって配信される前記コンテンツを提供するユーザである第1ユーザから前記コンテンツを取得することと、
前記コンテンツを再生するユーザである第2ユーザからの要求に基づいて、該第2ユーザのユーザ端末に対して前記コンテンツをストリーミング配信することと、
前記第2ユーザによる前記コンテンツの再生回数に基づいて、該コンテンツを提供した前記第1ユーザ及び/又は該コンテンツを再生した前記第2ユーザに対して、所定のインセンティブを付与することと、
を実行する情報処理方法。
【請求項9】
所定のコンテンツの配信サービスを行う情報処理プログラムであって、
コンピュータに、
前記配信サービスによって配信される前記コンテンツを提供するユーザである第1ユーザから前記コンテンツを取得することと、
前記コンテンツを再生するユーザである第2ユーザからの要求に基づいて、該第2ユーザのユーザ端末に対して前記コンテンツをストリーミング配信することと、
前記第2ユーザによる前記コンテンツの再生回数に基づいて、該コンテンツを提供した前記第1ユーザ及び/又は該コンテンツを再生した前記第2ユーザに対して、所定のインセンティブを付与することと、
を実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のコンテンツの配信サービスを行う情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広く普及したインターネットを通じてデジタル著作物が多くの消費者に使用されている。例えば、ウェブサイトでデジタル書籍としてマンガが提供されたり、音楽配信サイトで音楽が提供されたりしている。そして、音楽や動画等のコンテンツの配信サービスでは、通信インフラストラクチャを介して音楽をストリーム配信する配信サーバシステムや、ビデオカメラからのライブ映像をリアルタイムに圧縮符号化しながらストリーミング配信する配信サーバシステムが実用化されている。
【0003】
そして、このような配信サービスを利用することで、音楽や動画等のコンテンツの創作者は、CDやDVD等の情報媒体を作成せずとも自身の創作物を世間一般にアピールすることができる。例えば、特許文献1には、無名なミュージシャンであっても従来のような苦労をすることなく、自作の曲を売り込むことができる音楽配信システムが開示されている。この技術では、曲データがダウンロードされた場合、販売を委託した創作者と販売を委託された管理者とで、その販売金額を設定した分配率に応じて分配される。
【0004】
また、このようなデジタル著作物の取引には、ブロックチェーン技術が用いられ得る。そして、ブロックチェーンを利用したデジタル著作物の取引では、デジタル資産をブロックチェーン上に発行・流通させ、これをユーザ間で交換・売買することが可能になる。例えば、特許文献2には、ブロックチェーンを利用して、オンラインゲームにおけるユーザ間でのアイテムの取引を活性化させる技術が開示されている。この技術では、ブロックチェーンとして記憶されたアイテムと同種のアイテムを所有するユーザ数(所有者数)を参照して、当該所有者数に応じて当該アイテムのネットワーク上又は実社会上における効果を変更する処理が行われる。これによれば、できるだけ多くのユーザがアイテムの所有者となるようにすることでアイテムの効果を高めることができ、ユーザ間においてアイテムを拡散させる取引を行う動機を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-318680号公報
【特許文献2】特許第6404435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術によれば、音楽配信システムにおいて創作者の曲データがダウンロードされると、該創作者に対して販売金額の一部が分配される。そのため、知名度が低いアーティストであっても自身の創作物をアピールしながら継続的に活動できるようにも思われる。しかしながら、このような音楽配信システムでは、販売を委託された管理者にも販売金額の一部が分配されることになるため、その分配率によっては、知名度が低いアーティストは十分な収益を得難く、継続的な活動が困難になる場合がある。そうすると、創作者が、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツを提供し続けることが困難になる事態が生じ得る。
【0007】
一方、特許文献2に記載の技術によれば、ユーザ間においてデジタル著作物の取引を行う動機を高めることができるようにも思われる。しかしながら、この技術は、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツの提供及び再生を促進させるものではない。
【0008】
本開示の目的は、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツの提供及び/又は再生を好適に促進させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の情報処理装置は、所定のコンテンツの配信サービスを行う情報処理装置である。そして、この情報処理装置は、前記配信サービスによって配信される前記コンテンツを提供するユーザである第1ユーザから前記コンテンツを取得することと、前記コンテンツを再生するユーザである第2ユーザからの要求に基づいて、該第2ユーザのユーザ端末に対して前記コンテンツをストリーミング配信することと、前記第2ユーザによる前記コンテンツの再生回数に基づいて、該コンテンツを提供した前記第1ユーザ及び/又は該コンテンツを再生した前記第2ユーザに対して、所定のインセンティブを付与することと、を実行する制御部を備える。
【0010】
ここで、上記の情報処理装置によって配信されるコンテンツとは、音楽や動画である。そして、上記の情報処理装置では、第1ユーザから提供されたコンテンツが、ストリーミング配信されることで第2ユーザによって再生されると、その再生状況が取得され、第2ユーザによるコンテンツの再生回数に基づいて、上記のインセンティブが算出される。そして、このようにしてインセンティブが算出され、付与されることによれば、第1ユーザは、自身が提供したコンテンツが再生されれば、それに応じたインセンティブを得ることができる。そのため、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツの提供を好適に促進させることができる。更に、第2ユーザは、コンテンツを再生すればするほど、それに応じたインセンティブを得ることができる。そのため、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツの再生を好適に促進させることができる。
【0011】
そして、上記の情報処理装置において、前記制御部は、所定期間における前記コンテンツの再生回数の上昇の度合いに基づいて、前記インセンティブを付与してもよい。ここで、上記の所定期間とは、例えば、所定の2週間である。ただし、これに限定する意図はなく、上記の所定期間は、2ヶ月であってもよいし30日間であってもよい。これによれば、第2ユーザに対して、将来ブレイクするであろう、無名のアーティストやデビュー前のアマチュアのアーティストを探索する動機付けがなされることになる。これにより、将来性が期待される無名の第1ユーザが提供したコンテンツの第2ユーザによる再生を好適に促進させることができる。また、これによれば、第1ユーザは、既存の知名度によらないインセンティブを得やすくなり、たとえ知名度が低かったとしても、魅力的なコンテンツ制作を継続的に行うことが可能になる。そして、第1ユーザは、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツを提供し続けることができる。
【0012】
更に、この場合、前記制御部は、前記所定期間における再生回数の上昇の度合いが所定の閾値以上の前記コンテンツについて、該所定期間において該コンテンツを再生した前記第2ユーザに対して、該第2ユーザが該コンテンツを再生したときの該コンテンツの総再生回数が少ないほど、該第2ユーザが該所定期間において該コンテンツを再生した回数に対して高い比率で前記インセンティブを付与してもよい。これによれば、第2ユーザに対して、将来ブレイクするであろう、無名のアーティストやデビュー前のアマチュアのアーティストをより早く探索しようとする動機付けが、強くなされることになる。つまり、第2ユーザは、ネクストブレイク・アーティストをより早く探求する傾向を強めることになり、将来性が期待される無名の第1ユーザが提供したコンテンツの第2ユーザによる再生をより好適に促進させることができる。ここで、前記インセンティブは、蓄積可能なポイントであって、所定の暗号資産又は所定のトークンと交換可能なポイントであってもよいし、所定の暗号資産又は所定のトークンであってもよい。なお、上記の暗号資産とは、独自のブロックチェーンを有するもの(例えば、ビットコインやイーサリアム等)であって、上記のトークンとは、独自のブロックチェーンを有しておらず、その総量や供給量を任意に設定可能なもの(例えば、ビットコイン以外の暗号通貨(アルトコイン))である。
【0013】
また、本開示の情報処理装置では、前記制御部は、前記第1ユーザから取得した前記コンテンツを、ブロックチェーンにおいて取引可能なノンファンジブルトークンに変換することと、前記第2ユーザからの前記ノンファンジブルトークンの購入希望を取得することと、を更に実行してもよい。これによれば、第2ユーザが第1ユーザを直接的に支援することが可能になる。そして、この場合、前記制御部は、複数の前記第2ユーザによって共有される前記ノンファンジブルトークンについて、該ノンファンジブルトークンに対応する前記コンテンツの再生回数に基づいて前記第1ユーザに付与され得る前記インセンティブの一部を、該ノンファンジブルトークンを所定の購入比率で購入した前記第2ユーザに対して該購入比率に応じて分配することを、更に実行してもよい。これによれば、第2ユーザは、自身がコンテンツを再生したことによるインセンティブの取得に加えて、自身が購入したノンファンジブルトークンに対応するコンテンツの総再生回数に基づくインセンティブの取得が可能になる。
【0014】
また、本開示は、コンピュータによる情報処理方法の側面から捉えることができる。すなわち、本開示の情報処理方法は、所定のコンテンツの配信サービスを行う情報処理方法であって、コンピュータが、前記配信サービスによって配信される前記コンテンツを提供するユーザである第1ユーザから前記コンテンツを取得することと、前記コンテンツを再生するユーザである第2ユーザからの要求に基づいて、該第2ユーザのユーザ端末に対して前記コンテンツをストリーミング配信することと、前記第2ユーザによる前記コンテンツの再生回数に基づいて、該コンテンツを提供した前記第1ユーザ及び/又は該コンテンツを再生した前記第2ユーザに対して、所定のインセンティブを付与することと、を実行する。
【0015】
また、本開示は、情報処理プログラムの側面から捉えることができる。すなわち、本開示の情報処理プログラムは、所定のコンテンツの配信サービスを行う情報処理プログラムであって、コンピュータに、前記配信サービスによって配信される前記コンテンツを提供するユーザである第1ユーザから前記コンテンツを取得することと、前記コンテンツを再生するユーザである第2ユーザからの要求に基づいて、該第2ユーザのユーザ端末に対して前記コンテンツをストリーミング配信することと、前記第2ユーザによる前記コンテンツの再生回数に基づいて、該コンテンツを提供した前記第1ユーザ及び/又は該コンテンツを再生した前記第2ユーザに対して、所定のインセンティブを付与することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツの提供及び/又は再生を好適に促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態における配信システムの概略構成を示す図である。
図2】第1実施形態における、配信システムに含まれるサーバおよびユーザ端末の構成要素をより詳細に示した図である。
図3】第1実施形態における配信システムの動作の流れを例示する図である。
図4】第1実施形態において、インセンティブとして第1ユーザおよび第2ユーザに対して付与されるポイントの算出例を説明するための第1の図である。
図5】第1実施形態において、インセンティブとして第1ユーザおよび第2ユーザに対して付与されるポイントの算出例を説明するための第2の図である。
図6】第1実施形態の変形例において、インセンティブとして第1ユーザおよび第2ユーザに対して付与されるポイントの算出例を説明するための図である。
図7】第2実施形態における配信システムの動作の流れを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0019】
<第1実施形態>
第1実施形態における配信システムの概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における配信システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る配信システム100は、ネットワーク200と、サーバ300と、ユーザ端末400と、暗号資産マーケットサーバ500と、ブロックチェーン600と、を含んで構成される。なお、本実施形態における配信システム100は、所定のコンテンツの配信サービスを行うシステムであって、サーバ300からネットワーク200を通じて、ユーザ端末400にコンテンツがストリーミング配信される。そして、このような配信システム100によって配信されるコンテンツとは、音楽や動画である。また、上記の暗号資産マーケットサーバ500は、暗号資産の購入や販売等の流通の場である暗号資産マーケットプレイスの機能を実現する構成であって、暗号資産に関する販売情報の提示や購入依頼の受付や保有者情報の管理等の暗号資産マーケットプレイスの機能を実現させるためのコンピュータプログラム(暗号資産マーケットソフトウェア)を実行するコンピュータである。この暗号資産マーケットサーバ500が扱う暗号資産は、ブロックチェーン600上で保有者が管理される。ブロックチェーン600には、暗号資産マーケットサーバ500が扱う暗号資産の来歴が記録されていて、暗号資産マーケットサーバ500が扱う暗号資産の保有者が証明される。
【0020】
ネットワーク200は、例えば、IPネットワークであって、サーバ300とユーザ端末400との間、および複数のユーザ端末400間を通信可能に接続する。ネットワーク200は、IPネットワークであれば、無線であっても有線であっても無線と有線の組み合わせであってもよく、例えば、無線による通信であれば、ユーザ端末400は、無線LANアクセスポイント(不図示)にアクセスし、LANやWANを介してサーバ300および他のユーザ端末400と通信してもよい。また、ネットワーク200は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網や、光回線、ADSL回線、衛星通信網などであってもよい。
【0021】
サーバ300は、ネットワーク200を介して、ユーザ端末400と接続される。なお、図1において、説明を簡単にするために、サーバ300は1台、ユーザ端末400は4台示してあるが、これらに限定されないことは言うまでもない。また、サーバ300は、上述した暗号資産マーケットサーバ500と接続される。
【0022】
サーバ300は、データの取得、生成、更新等の演算処理及び加工処理のための処理能力のあるコンピュータ機器であればどの様な電子機器でもよく、例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、メインフレーム、その他電子機器であってもよい。すなわち、サーバ300は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。なお、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、あるいは、CDやDVDのようなディスク記録媒体であってもよい。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納されている。
【0023】
また、サーバ300は、本実施形態に係る配信システム100専用のソフトウェアやハードウェア、OS等を設けずに、クラウドサーバによるSaaS(Software as a Service)、Paas(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)を適宜用いてもよい。
【0024】
ユーザ端末400は、配信システム100を利用するユーザが保有する電子機器であって、データの取得、生成、更新等の演算処理及び加工処理のための処理能力のあるコンピュータ機器であればどの様な電子機器でもよく、例えば、携帯端末、タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ等、その他端末機器であってもよい。
【0025】
次に、図2に基づいて、主にサーバ300とユーザ端末400の構成要素の詳細な説明を行う。図2は、第1実施形態における、配信システム100に含まれるサーバ300およびユーザ端末400の構成要素をより詳細に示した図である。
【0026】
サーバ300は、機能部として通信部301、記憶部302、制御部303を有しており、補助記憶装置に格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各機能部等が制御されることによって、各機能部における所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0027】
ここで、通信部301は、サーバ300をネットワーク200等に接続するための通信インタフェースである。通信部301は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。サーバ300は、通信部301を介して、ユーザ端末400や暗号資産マーケットサーバ500、その他の外部装置と通信可能に接続される。
【0028】
記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部303によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部303において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。また、記憶部302は、ユーザ端末400等から送信されたデータを記憶する。なお、サーバ300は、通信部301を介してユーザ端末400等から送信されたデータを取得する。そして、記憶部302には、配信サービスされるコンテンツや、各コンテンツの再生回数、各ユーザの保有ポイント数などが記憶される。
【0029】
制御部303は、サーバ300が行う制御を司る機能部である。制御部303は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。制御部303は、更に、取得部3031と、配信部3032と、算出部3033と、付与部3034と、の4つの機能部を有して構成される。各機能部は、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0030】
取得部3031は、ユーザから音楽や動画等のコンテンツを取得する。本実施形態では、ユーザは、所定のインタフェースを介して、音楽や動画等のコンテンツをサーバ300にアップロードすることができる。ここで、上記のインタフェースは、ユーザのユーザ端末400に予めインストールされた所定のアプリによって提供されるインタフェース、または所定のウェブサイトによって提供されるインタフェースである。そして、取得部3031は、このようにしてアップロードされたコンテンツを取得し、これをサーバ300の記憶部302に記憶させる。なお、上記のユーザ、すなわち、配信サービスによって配信されるコンテンツを提供するユーザが、本開示の第1ユーザである。
【0031】
ここで、本実施形態におけるユーザ端末400は、機能部として通信部401、入出力部402、記憶部403を有している。通信部401は、ユーザ端末400をネットワーク200に接続するための通信インタフェースであり、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信回路を含んで構成される。入出力部402は、通信部401を介して外部から送信されてきた情報等を表示させたり、通信部401を介して外部に情報を送信する際に当該情報を入力したりするための機能部である。記憶部403は、サーバ300の記憶部302と同様に主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。
【0032】
入出力部402は、更に、表示部4021、操作入力部4022、画像・音声入出力部4023を有している。表示部4021は、各種情報を表示する機能を有し、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等により実現される。操作入力部4022は、ユーザからの操作入力を受け付ける機能を有し、具体的には、タッチパネル等のソフトキーあるいはハードキーにより実現される。画像・音声入出力部4023は、静止画や動画等の画像の入力を受け付ける機能を有し、具体的には、Charged-Coupled Devices(CCD)、Metal-oxide-semiconductor(MOS)あるいはComplementary Metal-Oxide-Semiconductor(CMOS)等のイメージセンサを用いたカメラにより実現される。また、画像・音声入出力部4023は、音声の入出力を受け付ける機能を有し、具体的には、マイクやスピーカーにより実現される。
【0033】
第1ユーザは、このように構成されたユーザ端末400を用いて、自身が創作したコンテンツをサーバ300に送信することができる。なお、第1ユーザによるコンテンツの創作方法については、周知の技術を用いることができ、ユーザ端末400以外の電子機器が用いられ得る。
【0034】
そして、サーバ300の配信部3032は、第1ユーザから取得したコンテンツをストリーミング配信する。詳しくは、配信部3032は、コンテンツを再生するユーザである第2ユーザからの要求に基づいて、該第2ユーザのユーザ端末400に対してコンテンツをストリーミング配信する。本実施形態では、第2ユーザは、ユーザ端末400に予めインストールされたアプリであって、配信システム100による配信サービスを提供するアプリ、または配信システム100による配信サービスを提供するウェブサイトを介して、再生を希望するコンテンツを検索するなどしてコンテンツの再生要求を送信することができる。そして、配信部3032は、第2ユーザからのこのような要求に応える形で、コンテンツをストリーミング配信する。
【0035】
なお、配信部3032は、第2ユーザによるコンテンツの再生状況(例えば、第2ユーザによって再生されたコンテンツに関する情報や、その再生回数)を取得し、これをサーバ300の記憶部302に記憶させる。
【0036】
算出部3033は、第2ユーザによるコンテンツの再生回数に基づいて、該コンテンツを提供した第1ユーザおよび該コンテンツを再生した第2ユーザに対して付与される所定のインセンティブを算出する。そして、付与部3034は、上記の第1ユーザおよび第2ユーザに対して、上記のインセンティブを付与する。なお、算出部3033および付与部3034が実行する処理の詳細は、後述する図3に基づいて説明する。
【0037】
なお、サーバ300の制御部303が、取得部3031、配信部3032、算出部3033、および付与部3034の処理を実行することで、本開示に係る制御部として機能する。
【0038】
ここで、本実施形態における配信システム100の動作の流れについて説明する。図3は、本実施形態における配信システム100の動作の流れを例示する図である。図3では、本実施形態における配信システム100における各構成要素間の動作の流れ、および各構成要素が実行する処理を説明する。
【0039】
図3に例示する処理フローでは、先ず、第1ユーザのユーザ端末400によって、音楽や動画等のコンテンツがアップロードされる(S101)。第1ユーザは、上述したように、所定のインタフェースを介してコンテンツをサーバ300にアップロードする、つまり、コンテンツをユーザ端末400からサーバ300に送信することができる。
【0040】
サーバ300は、第1ユーザのユーザ端末400から送信されたコンテンツを取得する(S102)。なお、このようにして取得された第1ユーザからのコンテンツは、サーバ300の記憶部302に記憶される。
【0041】
一方で、第2ユーザのユーザ端末400には、配信システム100によってストリーミング配信されるコンテンツの再生要求が入力される(S103)。第2ユーザは、上述したように、所定のインタフェースを介して再生を希望するコンテンツを検索する(サーバ300の記憶部302に記憶された第1ユーザからのコンテンツは、そのコンテンツに関する情報等が検索可能にデータベース化される。)などして、コンテンツの再生要求をユーザ端末400に入力し、それをサーバ300に送信することができる。
【0042】
サーバ300は、第2ユーザのユーザ端末400から送信されたコンテンツの再生要求に関する情報(第2ユーザが再生を希望するコンテンツに関する情報)を取得する(S104)。そして、サーバ300は、第2ユーザからのこのような再生要求に基づいて、第1ユーザから取得したコンテンツを、第2ユーザのユーザ端末400に対してストリーミング配信する(S105)。ここで、サーバ300は、アプリやウェブサイト等の所定のインタフェースを介して、コンテンツを配信することができる。
【0043】
そうすると、第2ユーザのユーザ端末400では、第2ユーザが再生要求をしたコンテンツが再生される(S106)。なお、コンテンツの再生は、アプリやウェブサイト等の所定のインタフェースを介して実行される。ここで、第2ユーザのユーザ端末400で再生されたコンテンツに関する情報は、該ユーザ端末400からサーバ300に送信される。そして、サーバ300は、第2ユーザによるコンテンツの再生状況(例えば、第2ユーザによって再生されたコンテンツに関する情報や、その再生回数)を取得し、これをサーバ300の記憶部302に記憶させる(S107)。
【0044】
次に、サーバ300は、第2ユーザによるコンテンツの再生回数に基づいて、該コンテンツを提供した第1ユーザおよび該コンテンツを再生した第2ユーザに対して付与される所定のインセンティブを算出する(S108)。
【0045】
ここで、図4は、本実施形態において、インセンティブとして第1ユーザおよび第2ユーザに対して付与されるポイントの算出例を説明するための第1の図である。ここで、上記のポイントは、蓄積可能なポイントであって、所定の暗号資産又は所定のトークンと交換可能なポイントである。そして、第1ユーザおよび第2ユーザに対して付与されるポイントについて、各ユーザの保有ポイント数がサーバ300の記憶部302に記憶される。
【0046】
本実施形態では、図4に示すように、各コンテンツ(例えば、図4のコンテンツA、B)に対して、第2ユーザ(例えば、図4の第2ユーザaa、bb、cc、dd、ee)が再生した再生回数が取得される。そして、これら第2ユーザに対して付与されるポイント数が、再生回数に基づいて算出される。図4に示す例では、第2ユーザによる再生回数1回につき、該第2ユーザに対して1ポイントが付与される。
【0047】
一方で、各コンテンツを提供した第1ユーザに対しても、自身が提供したコンテンツの再生回数に基づいて、同様に、付与されるポイント数が算出される。例えば、図4に示すように、コンテンツAを提供した第1ユーザに対しては、該コンテンツの総再生回数13回に基づいて、13ポイントが付与される。
【0048】
そして、このようにしてインセンティブが算出され、付与されることによれば、第1ユーザは、自身が提供したコンテンツが再生されれば、それに応じたインセンティブを得ることができる。そのため、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツの提供を好適に促進させることができる。更に、第2ユーザは、コンテンツを再生すればするほど、それに応じたインセンティブを得ることができる。そのため、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツの再生を好適に促進させることができる。
【0049】
また、インセンティブとして第1ユーザおよび第2ユーザに対して付与されるポイントは、所定期間におけるコンテンツの再生回数の上昇の度合いに基づいて、算出・付与されてもよい。図5は、本実施形態において、インセンティブとして第1ユーザおよび第2ユーザに対して付与されるポイントの算出例を説明するための第2の図である。
【0050】
ここで、図5(a)には、各コンテンツ(コンテンツA、B、C、D)に対する、所定の2週間における再生回数が示される。そして、図5(a)に例示される、各コンテンツに対する前半1週間の再生回数、後半1週間の再生回数、再生回数の上昇度合い、ランキング、加重係数が、各コンテンツの再生状況として、サーバ300の記憶部302に記憶される。なお、上記の再生回数の上昇度合いは、後半1週間の再生回数を前半1週間の再生回数で除することで算出される値であって、例えば、コンテンツAでは、62回(後半1週間の再生回数)/10回(前半1週間の再生回数)によって、6.2倍と算出される。また、上記のランキングは、配信システム100によって配信されるコンテンツについて、再生回数の上昇度合いが高いものから順に並べたときのランキングであって、例えば、再生回数の上昇度合いが10番目に高いコンテンツAは、10位にランクされる。そして、このランキングに基づいて、各コンテンツに対する加重係数が設定される。加重係数は、例えば、ランキングが1位~10位までのコンテンツに対して、3.0と設定され、ランキングが11位~30位までのコンテンツに対して、2.0と設定され、ランキングが31位~のコンテンツに対して、1.0と設定され得る。なお、コンテンツが提供された直後であって、前半1週間の再生回数に対する後半1週間の再生回数によって再生回数の上昇度合いが定義できない場合には、該コンテンツに対して任意の加重係数が設定され得る。
【0051】
そうすると、サーバ300は、上記の図4の説明で述べた再生回数1回につき付与されるポイント(上記の図4では、再生回数1回につき1ポイント付与される。)に上記の加重係数を乗じて、各ユーザに対して付与されるポイント数を算出する。例えば、インセンティブとして第1ユーザおよび第2ユーザに対して付与されるポイントの算出例を表す図5(b)に示すように、加重係数が3.0に設定されているコンテンツAを再生した第2ユーザに対しては、再生回数1回につき3ポイントが付与される。一方で、加重係数が1.0に設定されているコンテンツBを再生した第2ユーザに対しては、再生回数1回につき1ポイントが付与される。
【0052】
このように、所定期間におけるコンテンツの再生回数の上昇の度合いに基づいて、第2ユーザに対してインセンティブが付与されることによれば、第2ユーザに対して、将来ブレイクするであろう、無名のアーティストやデビュー前のアマチュアのアーティストを探索する動機付けがなされることになる。従来技術では、ストリーミング配信のリスナーは、将来有望なアーティストを発見してそのコンテンツを再生していたとしても、何年か先にそのアーティストやコンテンツが大人気となったとき、そのリスナーは、先見の明があったにも拘わらず何ら見返りを得ることはなかった。これに対して、本開示によれば、第2ユーザは、上述したインセンティブの取得をモチベーションに、ネクストブレイク・アーティストを探求する傾向を強めることになる。これにより、将来性が期待される無名の第1ユーザが提供したコンテンツの第2ユーザによる再生を好適に促進させることができる。
【0053】
また、各コンテンツを提供した第1ユーザに対しても同様に、例えば、コンテンツAを提供した第1ユーザに対しては、該コンテンツの総再生回数72回に加重係数3.0を乗じて、216ポイントが付与され、コンテンツBを提供した第1ユーザに対しては、該コンテンツの総再生回数6回に加重係数1.0を乗じて、6ポイントが付与される。
【0054】
なお、第1ユーザに対して適用される加重係数は、第2ユーザに対して適用される加重係数よりも高く設定されてもよい。この場合、例えば、第1ユーザに対して適用される加重係数が、第2ユーザに対して適用される加重係数の3倍に設定され(ただし、第2ユーザに対して適用される加重係数が1.0の場合は、第1ユーザに対して適用される加重係数も1.0のままとする。)、コンテンツAを提供した第1ユーザに対しては、該コンテンツの総再生回数72回に加重係数9.0を乗じて、648ポイントが付与され得る。これによれば、第1ユーザは、既存の知名度によらないインセンティブを得やすくなり、たとえ知名度が低かったとしても、魅力的なコンテンツ制作を継続的に行うことが可能になる。そして、第1ユーザは、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツを提供し続けることができる。
【0055】
また、上記の所定期間は、図5の説明で述べた2週間に限定されない。例えば、上記の所定期間は、2ヶ月であってもよい。この場合、前半1ヶ月の再生回数と後半1ヶ月の再生回数とに基づいて、再生回数の上昇度合いが算出され得る。また、例えば、上記の所定期間は、30日間であってもよい。この場合、前半15日間の再生回数と後半15日間の再生回数とに基づいて、再生回数の上昇度合いが算出され得る。
【0056】
そして、図3に戻って、サーバ300は、S108の処理で算出した、インセンティブとして付与されるポイントを、第1ユーザおよび第2ユーザに付与する(S109)。ここで、サーバ300の記憶部302には、各ユーザの保有ポイント数が記憶されていて、サーバ300は、この保有ポイント数に、新たに付与されるポイントを加算して保有ポイント数を更新することで、第1ユーザおよび第2ユーザにポイントを付与することができる。そして、このような処理の情報が、サーバ300からユーザ端末400に送信され、各ユーザは、ポイントの取得情報を確認することができる(S110、S111)。
【0057】
また、各ユーザは、ユーザ端末400を介して、自身の保有ポイントを所定の暗号資産へ交換するポイントの交換要求をサーバ300へ送信することができる(S112、S113)。このとき、各ユーザは、アプリやウェブサイト等の所定のインタフェースを介して、上記の交換要求を送信することができる。
【0058】
ここで、上述したように、上記のポイントは、所定の暗号資産又は所定のトークンと交換可能なポイントであって、本実施形態では、ポイントが暗号資産に交換され得る。なお、暗号資産とは、独自のブロックチェーンを有するものであって、例えば、ビットコインやイーサリアム等である。また、上記のポイントは、独自のブロックチェーンを有しておらず、その総量や供給量を任意に設定可能なトークン(例えば、ビットコイン以外の暗号通貨(アルトコイン))に交換されてもよい。
【0059】
そして、サーバ300は、上記の交換要求に関する情報を取得すると(S114)、暗号資産マーケットサーバ500との間で暗号資産の取引を行う(S115)。サーバ300は、暗号資産マーケットサーバ500が提供する暗号資産マーケットプレイスにおいて、各ユーザからのポイントの交換要求に応じた暗号資産を購入する。なお、ポイントと暗号資産との間の交換比率は、任意に設定され得る。また、上述したように、暗号資産マーケットサーバ500が扱う暗号資産は、ブロックチェーン600上で保有者が管理される。そのため、各ユーザが、サーバ300が購入した暗号資産の保有者として証明される。サーバ300は、このようにして購入した暗号資産を各ユーザに付与する(S116~S118)。
【0060】
なお、上記の図3では、第1ユーザおよび第2ユーザに対して、所定の暗号資産又は所定のトークンと交換可能なポイントがインセンティブとして付与される例について説明したが、これらユーザに対して、所定の暗号資産又は所定のトークンがインセンティブとして直接付与されてもよい。この場合、サーバ300は、上記の図3のS108の処理において、上述したように算出されるポイントに対して、該ポイントと暗号資産との間の交換比率を乗ずることで、各ユーザにインセンティブとして付与される暗号資産を算出することができる。そして、暗号資産マーケットプレイスにおいて、算出された量の暗号資産を購入する処理を行い、それを各ユーザに付与する。
【0061】
以上に述べた配信システム100によれば、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツの提供及び/又は再生を好適に促進させることができる。
【0062】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態の変形例について、図6に基づいて説明する。上記の第1実施形態の説明で述べた図5では、サーバ300が、所定期間におけるコンテンツの再生回数の上昇の度合いに基づいてインセンティブを付与する例について説明した。これに対して、本変形例では、サーバ300が、所定期間における再生回数の上昇の度合いが所定の閾値以上のコンテンツについて、該所定期間において該コンテンツを再生した第2ユーザに対して、該第2ユーザが該コンテンツを再生したときの該コンテンツの総再生回数が少ないほど、該第2ユーザが該所定期間において該コンテンツを再生した回数に対して高い比率でインセンティブを付与する例について説明する。
【0063】
図6は、本変形例において、インセンティブとして第1ユーザおよび第2ユーザに対して付与されるポイントの算出例を説明するための図である。なお、上記の図5と同様に、図6(a)には、各コンテンツに対する、所定の2週間における再生回数が示される。また、図6(b)には、インセンティブとして第1ユーザおよび第2ユーザに対して付与されるポイントの算出例が示される。
【0064】
ここで、本変形例では、図6(a)に示すように、上記の図5(a)に示した情報に加えて、各コンテンツに対する1日毎の再生回数の推移と、第2ユーザがコンテンツを初回に再生したときの該コンテンツの総再生回数(例えば、第2ユーザがコンテンツを初回に再生した日の前日までの該コンテンツの累計再生回数)と、に関する情報が、各コンテンツの再生状況として、サーバ300の記憶部302に記憶される。そして、このような情報に基づいて、各コンテンツを再生した第2ユーザに対する加重係数が設定される。
【0065】
詳しくは、所定の2週間における再生回数の上昇の度合いが所定の閾値(例えば、2.0倍)以上のコンテンツAについて、例えば、第2ユーザaaは、前日までの累計再生回数が1回のタイミング(このタイミングは、図6(a)に示す1日毎の再生回数の推移におけるaのタイミングである。)で、該コンテンツを初回に再生している。この場合、コンテンツAを再生した第2ユーザaaに対する加重係数は、例えば、9.0と設定され得る。一方で、前日までの累計再生回数が4回のタイミング(このタイミングは、図6(a)に示す1日毎の再生回数の推移におけるcのタイミングである。)でコンテンツAを再生した第2ユーザccに対する加重係数は、上記の第2ユーザaaに対する比率よりも低くなるように、例えば、8.0と設定され得る。また、前日までの累計再生回数が20回のタイミング(このタイミングは、図6(a)に示す1日毎の再生回数の推移におけるbのタイミングである。)でコンテンツAを再生した第2ユーザbbに対する加重係数は、上記の第2ユーザccに対する比率よりも更に低くなるように、例えば、4.0と設定され得る。
【0066】
一方で、所定の2週間における再生回数の上昇の度合いが所定の閾値(例えば、2.0倍)未満のコンテンツBについては、上記の図5と同様に、加重係数が1.0と設定され得る。
【0067】
そうすると、サーバ300は、上記の図4の説明で述べた再生回数1回につき付与されるポイント(上記の図4では、再生回数1回につき1ポイント付与される。)に上記の加重係数を乗じて、各ユーザに対して付与されるポイント数を算出する。例えば、コンテンツAを再生した第2ユーザaaに対しては、再生回数1回につき9ポイントが付与され、コンテンツAを再生した第2ユーザbbに対しては、再生回数1回につき4ポイントが付与され、コンテンツAを再生した第2ユーザccに対しては、再生回数1回につき8ポイントが付与される。なお、第1ユーザに対して適用される加重係数は、各第2ユーザに対して適用される加重係数のうちの最大値に設定されてもよい。この場合、第1ユーザに対する加重係数が9.0と設定され、コンテンツAを提供した第1ユーザに対しては、該コンテンツの総再生回数72回に加重係数9.0を乗じて、648ポイントが付与され得る。
【0068】
そして、このようにして第2ユーザに対してインセンティブが付与されることによれば、第2ユーザに対して、将来ブレイクするであろう、無名のアーティストやデビュー前のアマチュアのアーティストをより早く探索しようとする動機付けが、強くなされることになる。つまり、第2ユーザは、ネクストブレイク・アーティストをより早く探求する傾向を強めることになり、将来性が期待される無名の第1ユーザが提供したコンテンツの第2ユーザによる再生をより好適に促進させることができる。
【0069】
そして、以上に述べた配信システム100によっても、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツの提供及び/又は再生を好適に促進させることができる。
【0070】
<第2実施形態>
第2実施形態について、図7に基づいて説明する。本実施形態では、サーバ300は、第1ユーザから取得したコンテンツを、ブロックチェーンにおいて取引可能なノンファンジブルトークン(非代替性トークン;Non-Fungible Token:NFT)に変換する。そして、サーバ300は、第2ユーザからの上記のノンファンジブルトークンの購入希望を取得することを実行する。ここで、上記のノンファンジブルトークン(NFT)とは、例えば、Ethereum Request for Comments(ERC)721規格に従って発行されたトークンであって、スマートコントラクトを実行可能なブロックチェーンにより発行される。なお、NFTは、イーサリアムネットワークにおいて取引される暗号通貨であるイーサ(Ether)と同様に、イーサリアムネットワークにおいて取引可能である。イーサリアムは、Peer to Peer(P2P)ネットワーク上のブロックチェーンネットワークである。
【0071】
図7は、本実施形態における配信システム100の動作の流れを例示する図である。図7では、本実施形態における配信システム100における各構成要素間の動作の流れ、および各構成要素が実行する処理を説明する。なお、図7に示す各処理において、上記の図3に示した処理と実質的に同一の処理については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0072】
図7に示す例では、サーバ300は、S102の処理の後に、第1ユーザから取得したコンテンツをノンファンジブルトークン(NFT)へ変換する(S201)。これにより、音楽や動画等のデジタルデータが、ブロックチェーン上に唯一性のあるデータとして関連づけられることになる。
【0073】
そして、図7に示す例では、第2ユーザは、ストリーミング配信されるコンテンツを再生するだけではなく、該コンテンツから変換されたNFTによる該コンテンツの所有権を購入することができる。このとき、第2ユーザのユーザ端末400には、NFTの購入リクエストが入力される(S202)。第2ユーザは、所定のインタフェースを介して、NFTの購入リクエストをユーザ端末400に入力し、それをサーバ300に送信することができる。そうすると、サーバ300は、第2ユーザのユーザ端末400から送信されたNFTの購入リクエストに関する情報を取得する(S203)。
【0074】
なお、第1ユーザが提供したコンテンツから変換されたNFTによる該コンテンツの所有権は分割され、該第1ユーザと、複数の第2ユーザと、で共有されることになる。そこで、サーバ300は、NFTによるコンテンツの所有権の分割を行い、NFTの購入リクエストをした第2ユーザに対して、共同所有権を付与する処理を実行する(S204)。
【0075】
このとき、サーバ300は、イーサリアムネットワーク上に構築されたスマートコントラクトを呼び出す機能を有する。サーバ300は、NFTに対する操作を実行させるために、スマートコントラクトを呼び出す処理を実行し、呼び出されたスマートコントラクトは、NFTに対する操作を実行する。スマートコントラクトによるNFTの操作は、スマートコントラクトへ預けられたNFTの第2ユーザへの送信である。これにより、第2ユーザは、NFTを取得することができる(S205)。なお、NFTの取得にあたって、第2ユーザは、それに応じた対価を第1ユーザへ支払うものとする。
【0076】
そうすると、第2ユーザが第1ユーザを直接的に支援することが可能になる。また、NFTによるコンテンツの所有権は譲渡することができるため、第2ユーザは、第1ユーザが無名である段階でNFTの購入による投資を行い、将来ブレイクしたタイミングで、該第1ユーザが提供したコンテンツの所有権を他者に譲渡してもよい。これによれば、第2ユーザに対して、将来ブレイクするであろう、無名のアーティストやデビュー前のアマチュアのアーティストを探索する動機付けがなされることになる。
【0077】
一方で、第1ユーザは、自身が提供したコンテンツの所有権の一部を第2ユーザに譲渡することで、収益を得ることができる。そのため、コンテンツ制作を継続的に行うことが可能になる。
【0078】
更に、本実施形態では、サーバ300は、複数の第2ユーザによって共有されるノンファンジブルトークンについて、該ノンファンジブルトークンに対応するコンテンツの再生回数に基づいて第1ユーザに付与され得るインセンティブの一部を、該ノンファンジブルトークンを所定の購入比率で購入した第2ユーザに対して該購入比率に応じて分配することを実行してもよい。
【0079】
この場合、図7に示すS108の処理において、サーバ300は、コンテンツを提供した第1ユーザに付与され得るポイントであって、該コンテンツの総再生回数に基づいて算出されるポイントを、NFTによる該コンテンツの所有権の持分に応じて分配する。例えば、第1ユーザが提供したコンテンツから変換されたNFTによる該コンテンツの所有権が分割され、第1ユーザが50%、5人の第2ユーザが夫々10%(つまり、各第2ユーザが10%の比率でNFTを購入している。)所有している場合、サーバ300は、上記ポイントの50%を第1ユーザに分配し、上記ポイントの10%ずつを各第2ユーザに分配する。
【0080】
これにより、第2ユーザは、自身がコンテンツを再生したことによるインセンティブの取得に加えて、自身が購入したNFTに対応するコンテンツの総再生回数に基づくインセンティブの取得が可能になる。
【0081】
そして、以上に述べた配信システム100によっても、配信サービスによってストリーミング配信されるコンテンツの提供及び/又は再生を好適に促進させることができる。
【0082】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0083】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。例えば、取得部3031・配信部3032と、算出部3033・付与部3034と、を別々の演算処理装置に形成してもよい。このとき当該別々の演算処理装置は好適に協働可能に構成される。また、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0084】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0085】
100・・・配信システム
200・・・ネットワーク
300・・・サーバ
301・・・通信部
302・・・記憶部
303・・・制御部
400・・・ユーザ端末
500・・・暗号資産マーケットサーバ
600・・・ブロックチェーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7