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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021217
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/16 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
H02K5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123908
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴之
(72)【発明者】
【氏名】癸生川 幸嗣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605BB05
5H605CC04
5H605EB01
(57)【要約】
【課題】モータにおいてロータの回転時における剛性を向上させること。
【解決手段】本発明のモータ(200)は、シャフト(101)と、ステータ(130)と、シャフト(101)とステータ(130)との間に配置された軸受(111)と、シャフト(101)と一体に回転するロータ(120)と、を備え、ロータ(120)は、マグネット(122)と、シャフト(101)に固定され、マグネット(122)を覆うカバー(129)と、を有し、カバー(129)は、軸方向において、軸受(111)に向かって突出する突出部(125)と、軸方向において突出部(125)から軸受(111)に向かって突出する腕部(126)と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
ステータと、
前記シャフトと前記ステータとの間に配置された軸受と、
前記シャフトと一体に回転するロータと、を備え、
前記ロータは、マグネットと、前記シャフトに固定され、前記マグネットを覆うカバーと、を有し、
前記カバーは、軸方向において、前記軸受に向かって突出する突出部と、
軸方向において前記突出部から前記軸受に向かって突出する腕部と、
を有するモータ。
【請求項2】
前記シャフトの端部は、前記突出部から露出している、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記突出部は、軸方向に延びる軸方向延在部と、径方向に延びる径方向延在部とを有し、
前記径方向延在部の軸方向の厚さは、前記軸方向延在部の軸方向の厚さより厚い、
請求項1または2に記載のモータ。
【請求項4】
前記突出部から突出する部分は傾斜した内周面を備え、
径方向において、前記軸受側における前記傾斜した内周面の内径は、前記シャフトの端部側における前記傾斜した内周面の内径より大きい、請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記シャフトを保持する保持部材を有し、
前記カバーの軸方向一方側の端部から前記マグネットの軸方向他方側の端部までの長さは、前記保持部材の軸方向の長さの1/2より長い、
請求項1に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステータおよびロータを有するアウターロータ型のモータにおいては、ステータが軸受保持部を有し、その軸受保持部の上部および下部に玉軸受が設けられている。ロータのシャフトは、カップ部のヨークの蓋部に取り付けられると共に上部の玉軸受および下部の玉軸受によって回転可能に支持されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-175158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成のアウターロータ型のモータにおいては、シャフトの一方側(上部)に重量物である蓋部が固定されているため、シャフトと共に蓋部が回転したとき、シャフトおよび上部の玉軸受に対する負荷が大きくなり、ロータの回転時における軸剛性が不足することが懸念されている。
本発明は、モータにおいてロータの回転時における軸剛性を向上させることを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のモータは、シャフトと、ステータと、前記シャフトと前記ステータとの間に配置された軸受と、前記シャフトと一体に回転するロータと、を備え、前記ロータは、マグネットと、前記シャフトに固定され、前記マグネットを覆うカバーと、を有し、前記カバーは、軸方向において、前記軸受に向かって突出する突出部と、軸方向において前記突出部から前記軸受に向かって突出する腕部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一例である実施の形態にかかるモータを有するファンの斜視図である。
図2】本発明の一例である実施の形態にかかるモータを有するファンの断面図である。
図3】本発明の一例である実施の形態にかかるモータを有するファンの断面図であり、図2におけるA-A断面図である。
図4】本発明の一例である実施の形態にかかるモータを有するファンの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の一例である実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態にかかるファン200の斜視図である。図2は、ファン200の断面図であり、図3は、ファンの図2におけるA-A断面図であり、図4は、ファン200の部分拡大断面図である。
【0008】
なお、本発明の実施の形態の説明において、説明の便宜上、軸Xに沿った矢印a方向を上側または軸方向一方側とする。軸Xに沿った矢印b方向を下側または軸方向他方側とする。ここで、矢印ab方向を上下方向または軸方向と称する。ただし、上下方向は、鉛直方向とは必ずしも一致しない。また、矢印cd方向を径方向と称し、軸Xから離れる矢印c方向を外側または径方向一方側、軸Xに近づく矢印d方向を内側または径方向他方側と称する。
【0009】
本実施の形態にかかるファン200は、図1に示すように、軸方向一方側(矢印a方向)の上側から軸方向他方側(矢印b方向)の下側へ向かって空気を送る送風機である。ファン200は、後述するモータ100(図2)と、モータ100のシャフト101の軸方向一方側に配置されるインペラ210とを有する。
【0010】
インペラ210は、ハブ211および複数の羽根212によって形成されており、モータ100により回転駆動される。図1に示すように、ファン200は、平面視略正方形の筒形状からなり、軸方向一方側から中空円筒形状の風洞部に空気を吸入するための吸気口201を有している。
【0011】
ファン200は、軸方向一方側の角部に4個のフランジ部202を有すると共に、軸方向他方側の角部にも4個のフランジ部203を有している。軸方向一方側の4個のフランジ部202および軸方向他方側の4個のフランジ部203には、所定の機器や筐体に取り付けるためのボルト(図示せず)を挿通する貫通孔がそれぞれ設けられている。
【0012】
ファン200は、図2および図3に示すように、インペラ210の周囲を径方向一方側(矢印c方向)から囲う平面視矩形状の側壁204と、軸方向他方側の端部に形成されたモータベース部205と、側壁204とモータベース部205とを径方向(矢印cd方向)において繋ぐ複数の静翼からなる固定翼206とを備えている。なお、側壁204とモータベース部205とを繋ぐ固定翼206の代わりに、棒状部分からなる複数のスポークを用いることもできる。
【0013】
ファン200の側壁204、モータベース部205、および固定翼206は、例えばガラス繊維により強化されたポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂の射出成形により一体に形成されている。側壁204、モータベース部205、および、固定翼206は、その他の素材により形成されていてもよい。
【0014】
側壁204は、ファン200の風洞部を形成している。側壁204の風洞部は、軸Xを中心とする円筒形状の内周面204aを有する。内周面204aの直径は、インペラ210の羽根212の径方向一方側の端部と接触しない大きさである。すなわち、インペラ210の羽根212の径方向一方側の端部と、側壁204の内周面204aとの間には、所定の隙間が存在している。
【0015】
側壁204は、インペラ210を保護するガード部としても機能する。側壁204の軸方向一方側の角部には、4個のフランジ部202が、側壁204と一体に形成されている。側壁204の軸方向他方側の角部においても、4個のフランジ部203が、側壁204と一体に形成されている。
【0016】
モータベース部205は、略円盤形状のベース部205aと、ベース部205aの径方向一方側の端部から軸方向一方側へ所定の長さだけ延びる円筒形状の外周壁205bと、ベース部205aの径方向他方側(矢印d方向)の端部から軸方向一方側へ所定の長さだけ突出する円筒形状のボス部205cとによって形成されている。
【0017】
モータベース部205の外周壁205bの径方向一方側の面には、固定翼206が一体に形成されている。モータベース部205の外周壁205bは、固定翼206を介して、ファン200の側壁204に支持されている。
【0018】
インペラ210は、有底断面略逆U字状のカップ形状からなるハブ211と、ハブ211の外周面(径方向一方側の面)に対して周方向に沿って設けられた複数の羽根212とを備えている。
【0019】
複数の羽根212は、全て同じ形状を有しており、ハブ211の周方向において当間隔で均等に配置されている。ハブ211および複数の羽根212は、例えばガラス繊維により強化されたポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂の射出成形により一体に形成されている。
【0020】
インペラ210のハブ211は、後述するロータ120の円筒部121の外周面(径方向一方側の面)、およびロータ120の蓋部123の軸方向一方側の面に固定されている。なお、ロータ120の円筒部121をハブ211にインサートし、ハブ211の内周面(径方向他方側の面)とロータ120の円筒部121の外周面(径方向一方側の面)とを一体に形成するようにしてもよい。
【0021】
モータ100は、シャフト101および軸受装置110を有する。軸受装置110は、軸方向一方側に設けられた軸受111aおよび軸方向他方側に設けられた軸受111bと、軸受111aおよび軸受111bを保持する保持部材112とを有する。
【0022】
保持部材112は、金属により形成されており、全体として中空円筒形状を有する。保持部材112は、モータベース部205のボス部205cの内周面(径方向他方側の面)に圧入されている。なお、保持部材112は、ボス部205cにインサートしてモータベース部205と一体に形成されるようにしてもよい。
【0023】
保持部材112は、軸方向一方側に軸受111aを保持し、軸方向他方側に軸受111bを保持している。軸受111aおよび軸受111bは、ボールベアリングである。なお、軸受111aおよび軸受111bは、ボールベアリングに限られず、例えばスリーブベアリング等、その他種々の軸受であってもよい。また、軸受111aおよび軸受111bの間に、予圧のためのスプリングが備えられていてもよい。
【0024】
軸受111aの外輪111aoおよび軸受111bの外輪111boは、保持部材112の内周面(径方向他方側の面)に接着または圧入されている。すなわち、軸受111aの外輪111aoおよび軸受111bの外輪111boは、保持部材112と一体に固定されている。
【0025】
軸受111aの内輪111aiおよび軸受111bの内輪111biは、円柱状であるシャフト101の外周面に接着または圧入されている。すなわち、軸受111aの内輪111aiおよび軸受111bの内輪111biは、シャフト101と一体に固定されている。
【0026】
軸受111aは、シャフト101の軸方向一方側を保持部材112に対して回転可能に支持し、軸受111bは、シャフト101の軸方向他方側を保持部材112に対して回転可能に支持する。これにより、シャフト101は、保持部材112に対して軸受111aおよび軸受111bにより相対的に回転可能に支持されている。
【0027】
モータ100は、アウターロータ型の単相のブラシレスDCモータであり、ロータ120と、ステータ130とを有する。なお、モータ100は、単相のブラシレスDCモータに限るものではなく、例えば三相ブラシレスDCモータ等、その他種々の構成によるモータであってもよい。
【0028】
ロータ120は、シャフト101の軸方向一方側にのみ固定されている。シャフト101は、突出部125の内周面に圧入されると共に接着されて固定されている。
【0029】
ロータ120は、カバー129を有する。カバー129は、シャフト101と同軸上に配置された軟磁性材からなる円筒部121と、円筒部121の軸方向一方側の端部から径方向他方側に向かって延びる円盤状の蓋部123と、蓋部123の中央部分から軸方向において軸受111aに向かって突出する突出部125とを有する。
【0030】
円筒部121の内周面には、円筒部121と同軸上に円筒状のマグネット122が一体に固定されている。円筒部121は、マグネット122の磁界の漏れを防ぐ部分として機能する。
【0031】
マグネット122は、軸方向一方側の端部が蓋部123と接触しておらず、マグネット122と蓋部123とは所定の距離だけ離れている。また、マグネット122は、軸方向他方側の端部が円筒部121の軸方向他方側の端部から下側に向かって僅かに突出している。
【0032】
このようにマグネット122は、円筒部121よりも下側に突出した状態で配置されている。これは、マグネット122が円筒部121に対して出来るだけ軸方向他方側つまり下側に配置されると、カバー129の重心が下側となり、シャフト101の軸方向一方側に対する回転時の軸負荷を軽減できるからである。
【0033】
カバー129の円筒部121および蓋部123は、インペラ210のハブ211に覆われて接着剤等により一体に固定されている。蓋部123は、円筒部121と一体に形成された蓋としての機能を有する部分であり、異物の混入を防止している。なお、突出部125については後述する。
【0034】
ステータ130は、保持部材112の外周面に取り付けられている。ただし、ステータ130は、保持部材112を介することなく、モータベース部205に直接取り付けられていてもよい。
【0035】
ステータ130は、軟磁性材からなる電磁鋼板のコアを複数枚積層された積層体によって形成されたステータコア131と、ステータコア131に装着された絶縁材料からなるインシュレータ132と、インシュレータ132を介してステータコア131に巻回されたコイル133とを有している。ステータコア131とコイル133とはインシュレータ132によって絶縁されている。
【0036】
図3に示すように、ステータコア131は、軸Xを中心とした環状部131aと、環状部131aから径方向一方側(矢印c方向)へ向かって延びる複数(この場合4本)のティース部131bと、それぞれのティース部131bの外周側の端部に形成された磁極部131cと、を備える。なお、図3においては、コイル133は省略されている。
【0037】
ステータコア131の環状部131aの内周面は、保持部材112の外周面に固定されている。また、ステータコア131の磁極部131cは、周方向両側に突出し、周方向において、隣り合う磁極部131cの間の距離が、隣り合うティース部131bの間の距離と比較して短く設定されている。
【0038】
モータ100が作動し、ロータ120とステータ130との電磁気的作用によりロータ120がシャフト101と共に回転すると、ロータ120に固定されたインペラ210が回転し、複数の羽根212の作用により軸方向他方側に向かって空気が送られる。したがって、ファン200は、送風機として機能する。
【0039】
図2および図4に示すように、かかる構成においてモータ100のカバー129の蓋部123に形成された突出部125は、蓋部123から軸方向他方側の軸受111aに向かって所定の長さだけ突出した凸状部分である。
【0040】
突出部125は、軸方向他方側に向かって所定の長さだけ延びる円筒部(以下、これを「軸方向延在部」という。)125aと、その軸方向延在部125aの軸方向他方側の端部から径方向他方側に向かって所定の長さだけ延びる円盤部(以下、これを「径方向延在部」という。)125bと、を有している。
【0041】
軸方向延在部125aは、蓋部123の中央部分において軸方向他方側に向かって所定の長さだけ延びた円筒状部分であり、軸方向他方側の端部と径方向延在部125bとが一体に形成されている。軸方向延在部125aは、軸方向において保持部材112に到達しない程度の長さを有している。
【0042】
径方向延在部125bは、軸方向延在部125aの端部からシャフト101に向かって所定の長さだけ延びた円盤状部分であり、中央にシャフト101を挿通させるための貫通孔125bhが形成されている。径方向延在部125bは、軸方向延在部125aの軸方向他方側の端部からシャフト101に到達するまでの径方向の長さ(半径)を有している。
【0043】
径方向延在部125bにおける貫通孔125bhの内径は、シャフト101の外径と同じか、シャフト101の外径よりも僅かに小さい。シャフト101は、径方向延在部125bの貫通孔125bhに圧入されて接着剤により一体に固定される。
【0044】
なお、径方向延在部125bの軸方向における厚さt1は、軸方向延在部125aの軸方向における厚さt2よりも厚い。これは、シャフト101の軸方向一方側の端部が突出部125の径方向延在部125bだけで支持される構造のため、シャフト101を支持している径方向延在部125bの剛性を向上させる必要があるからである。これにより、カバー129がシャフト101と一体になって回転する際の軸剛性を上げることが可能となる。
【0045】
突出部125においては、軸方向延在部125aと径方向延在部125bとによって囲まれた円柱状の凹空間Sが形成されており、径方向延在部125bの貫通孔125bhから突出したシャフト101の軸方向一方側の端部が凹空間Sに露出している。
【0046】
シャフト101の端部は、突出部125の径方向延在部125bの上端面125baから軸方向一方側に突出するが、蓋部123の上端面123aよりも軸方向一方側へ飛び出ていない。ただし、シャフト101の軸方向一方側の端部は、ハブ211と接触しなければ、蓋部123の上端面123aと面一または上端面123aよりも僅かに飛び出ても構わない。
【0047】
また、突出部125においてはシャフト101の軸方向一方側の端部が径方向延在部125bの上端面125baから飛び出ているものの、貫通孔125bhとシャフト101の外周面との間を隙間なく固定しており、外部からの異物の侵入を防止している。
【0048】
径方向延在部125bにおいては、その径方向延在部125bの径方向他方側の端部から軸方向他方側へ向かって軸受111aに到達しない程度の長さに延びる円筒状の腕部126が一体に形成されている。つまり、腕部126の軸方向他方側の端部と、軸受111aとの間には軸方向において僅かな隙間が存在しており、その隙間にはワッシャ128が取り付けられている。
【0049】
図4に示すように、腕部126において軸方向他方側の端部における開口部分の内周面にはテーパー面126tが形成されている。具体的には、腕部126のシャフト101と接触する内周面には、その内周面から腕部126の開口の先端へ向かってシャフト101の外周面から次第に離れるように傾斜した円錐状のテーパー面126tが形成されている。すなわち、突出部125から突出する部分である腕部126は傾斜した内周面(テーパー面126t)を備え、径方向において、軸受側における傾斜した内周面の内径は、シャフト101の端部側(軸方向一方側)における傾斜した内周面の内径より大きくなっている。
【0050】
このように腕部126における軸方向他方側の端部は、テーパー面126tの存在によってシャフト101の外周面から離れている。これにより、シャフト101をカバー129の腕部126から径方向延在部125bの貫通孔125bhに容易に挿入することが可能である。
【0051】
また、腕部126の軸方向他方側の端部と軸受111aとの間の隙間にはワッシャ128が介在し、ワッシャ128を介して腕部126と軸受111aとが接触している。なお、腕部126は、ワッシャ128を介することなく軸受1111aと直接接触していてもよい。
【0052】
このように突出部125の腕部126は、軸受111aに対して直接的または間接的に接触されることになるので、保持部材112に保持された軸受111aの軸方向一方側への移動を規制することができる。
【0053】
また、図2に示すように、カバー129の軸方向一方側の端部つまり蓋部123の上端面123a(図4)からマグネット122の軸方向他方側の端部までの長さD1は、保持部材112の軸方向一方側の端部から軸方向他方側の端部までの長さD2の1/2よりも長く設定されている。つまり、D1>D2/2の関係を満たしている。
【0054】
このようにD1>D2/2の関係を満たしているということは、それだけカバー129の円筒部121に対してマグネット122が下側に飛び出るように取り付けられていることを意味する。このように設定することにより、カバー129の重心が下側になってシャフト101の軸方向一方側に対する回転時の軸負荷を軽減し、軸剛性を向上することができる。
【0055】
以上の構成によれば、ファン200は、カバー129の蓋部123に設けられた突出部125を有し、その突出部125の軸受111aと近接した位置に設けられた径方向延在部125bによりシャフト101を支持している。
【0056】
したがって、シャフト101は、軸受111aおよび軸受111bによって支持されることに加えて、重量物であるインペラ210と一体化されたカバー129の突出部125の径方向延在部125bによって軸受111aの近傍で支持される。これにより、インペラ210の回転時における軸剛性を従来よりも向上させることができるので、インペラ210の回転を安定させることができる。
【0057】
また、シャフト101の軸方向一方側の端部は、カバー129における径方向延在部125bの貫通孔125bhから凹空間Sに露出しており、シャフト101の軸方向一方側の端部よりも下側の部分において径方向延在部125bにより支持されている。したがって、シャフト101の軸方向一方側の端部が径方向延在部125bにより支持される場合に比べて、シャフト101およびカバー129が一体となって回転する際の軸剛性が向上し安定感が増大する。
【0058】
カバー129は、突出部125の軸方向延在部125aおよび径方向延在部125bによって凹空間Sが形成されていることにより、凹空間Sが形成されていない場合に比べてカバー129の軽量化を図ることができるので、シャフト101およびカバー129が一体となって回転する際の軸剛性をさらに向上させることができる。
【0059】
以上、本発明のモータについて、好ましい実施の形態を挙げて説明したが、本発明のモータは上記実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態において、モータ100は、ファン200に用いられるものであるが、本発明のモータはドローンやその他種々の機器に用いられようにしてもよい。
【0060】
上記実施の形態において、モータ100は、アウターロータ型のモータである場合について説明したが、本発明はこれに限らず、モータ100は、インナーロータ型のモータであってもよい。
【0061】
上記実施の形態において、モータ100は、それぞれ2つの軸受を有している場合について説明したが、本発明はこれに限らず、モータ100は、シャフト101の長さに応じて軸受を3つ以上有していてもよい。
【0062】
上記実施の形態において、モータ100は、腕部126において軸方向他方側の端部における開口部分の内周面にテーパー面126tを形成するようにした場合について説明したが、本発明はこれに限らず、腕部126の軸方向他方側の端部をシャフト101の外周面から離れるように屈曲させるようにしてもよい。
【0063】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のモータを適宜改変し、また各種構成の組み合わせを変更することができる。かかる変更によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0064】
100…モータ、101…シャフト、110…軸受装置、111a,111b…軸受、111ai,111bi…内輪、111ao,111bo…外輪、112…保持部材、120…ロータ、121…円筒部、122…マグネット、123…蓋部、125…突出部、128…ワッシャ、129…カバー、130…ステータ、131…ステータコア、131a…環状部、131b…ティース部、131c…磁極部、132…インシュレータ、133…コイル、200…ファン、201…吸気口、202…フランジ部、203…フランジ部、204…側壁、204a…内周面、205…モータベース部、205a…ベース部、205b…外周壁、205c…ボス部、206…固定翼、210…インペラ、211…ハブ、212…羽根、S…凹空間。
図1
図2
図3
図4