(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021224
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】点検ボックス
(51)【国際特許分類】
E02D 29/14 20060101AFI20240208BHJP
H02G 9/10 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
E02D29/14 B
H02G9/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123915
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】592243313
【氏名又は名称】フジプレコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082658
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 儀一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221615
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 祐子
(72)【発明者】
【氏名】松林 克法
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 僚
【テーマコード(参考)】
2D147
5G369
【Fターム(参考)】
2D147BB06
5G369BA06
5G369DD04
(57)【要約】
【課題】本発明は、点検ボックス内の例えばケーブルなどのメンテナンスが容易に行え、点検ボックス用の蓋体を取り付けるための構造ブロックを別途作製する必要がなく、もって手間とコストがかからず、前記蓋体をボックス本体に簡易に取付けし固定できることにより安全面が向上し、また前記蓋体は容易に開閉できない構成とした点検ボックスを提供する。
【解決手段】本発明は、複数の側壁5を有して角筒状をなし、上面が開口したボックス本体2と、該ボックス本体2の前記側壁上端面側から下端面側に亘り取り付けられる、側壁横幅方向に少なくとも一対設けられる蓋体取付部材3と、前記ボックス本体2の上面に載置され、前記蓋体取付部材3に開閉可能にして取り付けられる蓋体4とを有すること特徴とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の側壁を有して角筒状をなし、上面が開口したボックス本体と、該ボックス本体の前記側壁上端面側から下端面側に亘り取り付けられる、側壁横幅方向に少なくとも一対設けられる蓋体取付部材と、前記ボックス本体の上面に載置され、前記蓋体取付部材に開閉可能にして取り付けられる蓋体と、を有し、
前記蓋体取付部材は、前記ボックス本体の側壁上端面を跨ぎ側壁内面側から外面側に向かって載設される側壁外面に先端が係止する上方係止部と、前記ボックス本体の側壁下端面を跨ぎ側壁内面側から外面側に向かって載設される側壁外面に先端が係止する下方係止部と、前記上方係止部と前記下方係止部とを連結する連結板部とを有し、前記上方係止部先端側には水平方向に延びる第1連結筒が設けられ、
前記蓋体は、前記一対の蓋体取付部材が有する第1連結筒の間に取り付けられ、該第1連結筒に設けられた挿通孔に繋がる貫通孔を有する第2連結筒を有し、
前記第1連結筒と第2連結筒のそれぞれの孔を貫挿する連結棒が差し込まれて、前記ボックス本体に開閉可能にして取り付けられた、
ことを特徴とする点検ボックス。
【請求項2】
複数の側壁を有して角筒状をなし、上面が開口したボックス本体と、該ボックス本体の前記側壁上端面側から下端面側に亘り取り付けられる、側壁横幅方向に少なくとも一対設けられる蓋体取付部材と、前記ボックス本体の上面に載置され、前記蓋体取付部材に開閉可能にして取り付けられる蓋体と、を有し、
前記蓋体取付部材は、前記ボックス本体の側壁上端面を跨ぎ側壁内面側から外面側に向かって載設される側壁外面に先端が係止する上方係止部と、前記ボックス本体の側壁下端面を跨ぎ側壁内面側から外面側に向かって載設される側壁外面に先端が係止する下方係止部と、前記上方係止部と前記下方係止部とを連結する連結板部とを有し、前記上方係止部先端側には水平方向に延びる第1連結筒が設けられ、
該蓋体取付部材の前記上方係止部をボックス本体の側壁上端面に嵌め込むと共に、前記連結板部を前記側壁の内面に当接させ、下方係止部の先端に設けられた弾発フック部を押圧して前記下方係止部を側壁下端面に沿って側壁外面側に移動可能とし、移動後は前弾発フック部の先端が側壁外面に係止して前記蓋体取付部材が取り付けられてなり、
前記蓋体は、前記一対の蓋体取付部材が有する第1連結筒の間に取り付けられ、該第1連結筒に設けられた挿通孔に繋がる貫通孔を有する第2連結筒を有し、
前記第1連結筒と第2連結筒のそれぞれの孔を貫挿する連結棒が差し込まれて、前記ボックス本体に開閉可能にして取り付けられた、
ことを特徴とする点検ボックス。
【請求項3】
前記一対の蓋体取付部材は対向する側壁にそれぞれ取り付けられ、該取り付けられた蓋体取付部材と、蓋体を構成する蓋体分割体を連結し、前記蓋体分割体により構成される蓋体が観音開き開閉可能とされた、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の点検ボックス。
【請求項4】
前記蓋体分割体の先端当接面略中央には、前記ボックス本体の内側方向に凹む凹部内で施錠部を設け、該施錠部で鍵により施錠可能とし、前記蓋体が開閉不可の構成とした、
ことを特徴とする請求項3記載の点検ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、鉄道線路近傍位置等に配線される通信ケーブル群を収納し、ケーブルトラフあるいはその他の管路の方向転換や段差どりに使用され、前記収納された通信ケーブル群の点検時に点検口として使用される、例えばハンドホールなどの点検ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハンドホールは、ケーブルの挿入や撤去を行うための中継用として使用され、またケーブルの分岐部分やケーブルが曲がる部分に基本的に設置されるものである。
【0003】
例えば、地中埋設管内にケーブルを配線する場合に敷設距離が長くなるとケーブルを通線することが困難となり、ケーブル引き替えのメンテナンスも難しくなるとの課題があった。また、ケーブルに何かしらの不具合が生じた場合に、原因の調査はケーブルの端部だけしか確認することができないため、敷設距離が長くなるとメンテナンスに支障が出るとの課題もあった。
【0004】
これらの課題を解決するために、所定間隔や分岐箇所、ケーブルが曲がる箇所などにハンドホールを設置することにより、ケーブルを一気に長い距離配線する必要がなく、また不具合が発生した場合も原因の調査が容易となり、メンテナンスが格段に向上することとなった。
【0005】
ところで、ハンドホールには、ハンドホール内に配線されたケーブルや機材を保護するためにハンドホール用の蓋が取り付けられている。このハンドホール用の蓋は、破壊荷重が設定されており、重量物がハンドホール上部に載った場合に破壊されない程度の強度が必要となる。従来は、ハンドホールに蓋を設置するための構造が予め設けられた状態で作製されるか、あるいは、取っ手が設けられた例えば鉄製の蓋をハンドホール上に載置するだけのものなどがある。
【0006】
しかしながら、前者の場合は、蓋が設置できる構造のブロックを別途作製しなければならず、手間とコストがかかるとの課題がある。また、後者はハンドホール上に載置するだけであるため、蓋がハンドホールに固定されておらず安全面の心配がある。
【0007】
さらに、ハンドホール用の蓋はフックなどの器具があれば誰でも容易に開閉することができるため、ハンドホール内のケーブルが盗まれたりなどセキュリティ面から容易に開けられないような工夫が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
かくして本発明は、前記従来の課題を解決するために創案されたものであり、点検ボックス内の例えばケーブルなどのメンテナンスが容易に行え、点検ボックス用の蓋体を取り付けるための構造ブロックを別途作製する必要がなく、もって手間とコストがかからず、前記蓋体をボックス本体に簡易に取付けし固定できることにより安全面が向上し、また前記蓋体は容易に開閉できない構成とした点検ボックスを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
複数の側壁を有して角筒状をなし、上面が開口したボックス本体と、該ボックス本体の前記側壁上端面側から下端面側に亘り取り付けられる、側壁横幅方向に少なくとも一対設けられる蓋体取付部材と、前記ボックス本体の上面に載置され、前記蓋体取付部材に開閉可能にして取り付けられる蓋体と、を有し、
前記蓋体取付部材は、前記ボックス本体の側壁上端面を跨ぎ側壁内面側から外面側に向かって載設される側壁外面に先端が係止する上方係止部と、前記ボックス本体の側壁下端面を跨ぎ側壁内面側から外面側に向かって載設される側壁外面に先端が係止する下方係止部と、前記上方係止部と前記下方係止部とを連結する連結板部とを有し、前記上方係止部先端側には水平方向に延びる第1連結筒が設けられ、
前記蓋体は、前記一対の蓋体取付部材が有する第1連結筒の間に取り付けられ、該第1連結筒に設けられた挿通孔に繋がる貫通孔を有する第2連結筒を有し、
前記第1連結筒と第2連結筒のそれぞれの孔を貫挿する連結棒が差し込まれて、前記ボックス本体に開閉可能にして取り付けられた、
ことを特徴とし、
または、
複数の側壁を有して角筒状をなし、上面が開口したボックス本体と、該ボックス本体の前記側壁上端面側から下端面側に亘り取り付けられる、側壁横幅方向に少なくとも一対設けられる蓋体取付部材と、前記ボックス本体の上面に載置され、前記蓋体取付部材に開閉可能にして取り付けられる蓋体と、を有し、
前記蓋体取付部材は、前記ボックス本体の側壁上端面を跨ぎ側壁内面側から外面側に向かって載設される側壁外面に先端が係止する上方係止部と、前記ボックス本体の側壁下端面を跨ぎ側壁内面側から外面側に向かって載設される側壁外面に先端が係止する下方係止部と、前記上方係止部と前記下方係止部とを連結する連結板部とを有し、前記上方係止部先端側には水平方向に延びる第1連結筒が設けられ、
該蓋体取付部材の前記上方係止部をボックス本体の側壁上端面に嵌め込むと共に、前記連結板部を前記側壁の内面に当接させ、下方係止部の先端に設けられた弾発フック部を押圧して前記下方係止部を側壁下端面に沿って側壁外面側に移動可能とし、移動後は前弾発フック部の先端が側壁外面に係止して前記蓋体取付部材が取り付けられてなり、
前記蓋体は、前記一対の蓋体取付部材が有する第1連結筒の間に取り付けられ、該第1連結筒に設けられた挿通孔に繋がる貫通孔を有する第2連結筒を有し、
前記第1連結筒と第2連結筒のそれぞれの孔を貫挿する連結棒が差し込まれて、前記ボックス本体に開閉可能にして取り付けられた、
ことを特徴とし、
または、
前記一対の蓋体取付部材は対向する側壁にそれぞれ取り付けられ、該取り付けられた蓋体取付部材と、蓋体を構成する蓋体分割体を連結し、前記蓋体分割体により構成される蓋体が観音開き開閉可能とされた、
ことを特徴とし、
または、
前記蓋体分割体の先端当接面略中央には、前記ボックス本体の内側方向に凹む凹部内で施錠部を設け、該施錠部で鍵により施錠可能とし、前記蓋体が開閉不可の構成とした、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、点検ボックス内の例えばケーブルなどのメンテナンスが容易に行え、点検ボックス用の蓋体を取り付けるための構造ブロックを別途作製する必要がなく、もって手間とコストがかからず、前記蓋体をボックス本体に簡易に取付けし固定できることにより安全面が向上し、また前記蓋体は容易に開閉できない構成としたとの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明によるボックス本体の構成を説明する説明図である。
【
図2】本発明による蓋体取付部材の構成を説明する説明図である。
【
図3】蓋体取付部材をボックス本体に取り付けた場合の概略構成図(その1)である。
【
図4】蓋体取付部材をボックス本体に取り付けた場合の概略構成図(その2)である。
【
図5】本発明による蓋体分割体の構成を説明する説明図である。
【
図6】本発明による実施例の構成を説明する概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を図に基づいて説明する。
図6に示されるとおり、本発明の点検ボックス1は、上面が開口したボックス本体2と、該ボックス本体2に取り付けられる蓋体取付部材3と、前記ボックス本体2の上面に載置される蓋体4とを有して構成されている。
【0014】
まず、ボックス本体2について図に基づき説明する。
図1(a)は、前記ボックス本体2を正面から表した正面図であり、
図1(b)は前記ボックス本体2を左側から表した左側面図であり、
図1(c)は前記ボックス本体2を上から見下ろした平面図である。
【0015】
前記ボックス本体2は、複数の側壁5を有して角筒状をなしている。
図1(c)に示されるとおり、本実施例では4つの側壁5により四角筒状としたボックス本体2を用いている。
【0016】
図1(c)から理解されるとおり、前記ボックス本体2の隅角部内側には縦方向に連続する縦状平面状面形成部6が形成されている。本発明の点検ボックス1は、敷設箇所の必要に応じて複数の前記ボックス本体2を高さ方向に積み重ねて使用することができる。前記積み重ねた複数段のボックス本体2同士をしっかり固定する際に、該ボックス本体2とボックス本体2との境目の前記縦状平面状面形成部6に例えば金属板などの板をあてて前記ボックス本体2同士を固定することにより前記点検ボックス1が崩れることを防止することができる。
【0017】
そして、前記ボックス本体2の上面隅角部外側には上方に向かい側壁上端面より一段高くなった隅角凸状部7が形成されている。前記隅角凸状部7は、後述する蓋体4を取り付けるときのガイドとなる他、取り付けた後に前記蓋体4がボックス本体2の外側にズレるのを防止する役割がある。さらに、前記ボックス本体2の下面隅角部外側は、側壁下端面より一段低く凹んだ隅角凹状部26が形成されている(
図1(a)(b)参照)。これは、上述のようにボックス本体2を複数段積み重ねて使用する場合に、前記隅角凸状部7が前記下面隅角部外側に形成された前記隅角凹状部26に嵌め込まれ係止する。これにより、前記ボックス本体2を高さ方向に複数段積み重ねる際にズレることなく積み重ねが容易となるのである。
【0018】
また、前記ボックス本体2の側壁5外面には、前記ボックス本体2の内側に凹んだ打抜き部8が形成されている。前記打抜き部8は、
図1(a)(b)に示されるように上下に所定の間隔を空けて凹み線25が設けられている。この凹み線25は、前記ボックス本体2に連結する側溝などの横幅にあわせて、前記打抜き部8の孔の大きさを調整する際の切削基準となるガイドラインとなるものである。なお、前記打抜き部8は
図4に示すように前記凹み線25を設けていない場合もある。
【0019】
そして、対向する前記側壁5の外面上方側には、前記ボックス本体2の内側に凹んだ一対の手掛け部9が設けられている(
図1参照)。この手掛け部9により、前記ボックス本体2を人力で運搬、移動させることが可能となり、大型重機が使用できない作業現場であっても持ち運びができる。
【0020】
そして、
図1および
図4から理解されるとおり、側壁5の上端面略両側には、該上端面より少し下方に窪んだガイド窪み部10が一対設けられている。さらに、前記側壁5の下端面にも前記上端面略両側に設けられた一対のガイド窪み部10と対向する位置にガイド窪み部10が設けられている(
図1(a)(b)参照)。
【0021】
前記ガイド窪み部10は、後述する蓋体取付部材3が取り付けられて固定される箇所であり、前記蓋体取付部材3を取り付ける際の目印となる部分である。また前記ガイド窪み部10は下方に少し窪んでいるため、前記蓋体取付部材3を該ガイド窪み部10に取り付けた場合には前記側壁5の上端面と面一となる。そのため、蓋体4を載置させたときにガタつきを軽減し、安定した状態で設置することが可能となる。
【0022】
次に、蓋体取付部材3について図に基づいて説明する。
図2(a)は、前記蓋体取付部材3を正面から表した正面図であり、
図2(b)は前記蓋体取付部材3を左側から表した左側面図であり、
図2(c)は前記蓋体取付部材3を上から見下ろした平面図である。
また、
図3は前記蓋体取付部材3をボックス本体2に取り付けた場合の概略構成図である。
図3(a)は正面から表した正面図であり、
図3(b)は上から見下ろした平面図である。
【0023】
図3から理解されるとおり、蓋体取付部材3はボックス本体2の側壁上端面側から下端面側に亘り取り付けられるものである。
前記蓋体取付部材3は、前記ボックス本体2の側壁5の外側上方に係止される上方係止部11と、側壁5の外側下方に係止される下方係止部12と、前記上方係止部11と前記下方係止部12とを連結する連結板部13とを有して構成されている。そして、前記上方係止部11の先端側には水平方向に延びる第1連結筒14が設けられている。
【0024】
前記上方係止部11は、ボックス本体2の側壁上端面を跨いで側壁5の内面側から外面側に向かって載設され、側壁外面に先端が係止し、前記下方係止部12は、前記ボックス本体2の側壁下端面を跨いで側壁5の内面側から外面側に向かって載設され、側壁外面に先端が係止するよう構成されている(
図3(a)、
図4参照)。
【0025】
ところで、
図2(b)及び
図3(a)から理解されるとおり、前記下方係止部12の先端には弾発フック部15が形成されている。前記弾発フック部15は、前記下方係止部12側に折り返された折り返し部24を有している。すなわち、前記下方係止部12に対して所定の角度を有して折り返される折り返し部24が形成されている。該折り返し部24の角度は鋭角、例えば30度程度が好ましい。
【0026】
前記弾発フック部15の折り返し部24が所定の角度を有しているため、スナップフィット構造、すなわち弾性を利用してはめ込むことが可能となる。そのため、蓋体取付部材3をボックス本体2に取り付ける際に、前記蓋体取付部材3と前記ボックス本体2とをしっかり固定する役割を前記折り返し部24を有する弾発フック部15が有しているのである。
【0027】
ここで、前記蓋体取付部材3をボックス本体2に取り付ける方法につき簡単に説明する。
まず、蓋体取付部材3の上方係止部11をボックス本体2の側壁上端面に嵌め込み、前記連結板部13を前記側壁5の内面に当接させる。この際、既に説明したとおり、ボックス本体2のガイド窪み部10に前記蓋体取付部材3が取り付けられることとなる。そして、前記蓋体取付部材3の下方係止部12の先端に設けられた弾発フック部15を押圧して、前記下方係止部12を側壁下端面に沿って側壁外面側に移動させる。前記弾発フック部15は、角度を有して形成されているため、押圧することで側壁下端面に沿って移動させることができるのである。そして、該側壁外面側に移動後は、該押圧された弾発フック部15が弾性によりもとの角度に戻り、前記弾発フック部15の先端が側壁外面に係止して前記蓋体取付部材3が取り付けられることとなる(
図2(b)及び
図3(a)参照)。
【0028】
次に、蓋体4について図に基づいて説明する。
前記蓋体4は一対の蓋体分割体16によって構成されている。前記蓋体分割体16は、略長方形状をした板状をしており、対向する側壁5に取り付けられた一対の蓋体取付部材3に連結することで前記蓋体4を構成している。前記一対の蓋体分割体16が開閉すると、前記蓋体4が観音開きの状態で開閉可能とされている。
【0029】
ここで、
図5(a)は、前記蓋体分割体16を正面から表した正面図であり、
図5(b)は前記蓋体分割体16を左側から表した左側面図であり、
図5(c)は前記蓋体分割体16を上から見下ろした平面図である。
【0030】
前記一対の蓋体分割体16同士の当接面と反対側の先端面には、第2連結筒17が設けられている(
図5(a)(c)参照)。
図6から理解されるとおり、前記第2連結筒17は、前記一対の蓋体取付部材3が有する第1連結筒14の間となる位置に設けられ、該第1連結筒14に設けられた挿通孔に繋がる貫通孔を有している。
【0031】
その結果、前記第1連結筒14と第2連結筒17のそれぞれの孔を貫挿する連結棒23が差し込まれることで、前記一対の蓋体取付部材3に蓋体分割体16が取り付け可能としている(
図6参照)。
【0032】
また、
図5(c)及び
図6に示されるとおり、前記第2連結筒17が設けられている側の上下隅角部は角が斜めに切削して面取りがされている。この面取り部分をボックス本体2の隅角凸状部7に合わせて、該ボックス本体2上に蓋体分割体16を載置することで簡単に蓋体分割体16を蓋体取付部材3に取り付けることができる。
【0033】
ところで、従来の例えばハンドホールのような点検ボックス1は、フックなどの器具を利用すれば誰でも簡単に蓋体4を開閉することができ、セキュリティ面で課題があることは既に説明したとおりである。
【0034】
本発明の蓋体4を構成する蓋体分割体16には、セキュリティ面を強化する目的で施錠部18が設けられている(
図5参照)。前記施錠部18は、前記蓋体分割体16の先端当接面に設けられた凹部19内に形成されている。前記凹部19は、前記蓋体分割体16の先端当接面の略中央に略長方形状であって、前記ボックス本体2の内側方向に凹む部分である。なお、前記凹部19内の角部には、雨水などの水を抜くために水抜き孔20が2か所設けられている(
図5参照)。
なお、例えばセキュリティ面を強化する必要のない現場などの場合は、
図6に示すように、前記施錠部18が設けられていない蓋体分割体16を使用してもよい。
【0035】
前記施錠部18は、
図5(b)から理解されるとおり、先端当接面近傍位置に前記凹部19の底面から略垂直上方向に係合突起21が形成され、該係合突起21には鍵を通すための施錠孔22が設けられている。
【0036】
すなわち、一対の蓋体分割体16を当接した状態で載置すると、前記先端当接面の略中央に形成させた凹部19同士がつながって、段差無くフラットな状態となる。そして、前記凹部19内に設けられた施錠部18の施錠孔22と施錠孔22とが合わさり、該合わさった施錠孔22に鍵を通して施錠することで蓋体分割体16の開閉を規制し、よって蓋体4を開閉不可とすることとなる。なお、該鍵は例えば南京錠のようなものでもよい。
【0037】
次に、本発明の点検ボックス1の組立て方法の一実施例について説明する。
ボックス本体2の側壁5の上端面及び下端面に形成させたガイド窪み部10に一対の蓋体取付部材3を取り付ける。該蓋体取付部材3の取付けは、蓋体取付部材3の上方係止部11をボックス本体2の側壁上端面に嵌め込み、前記連結板部13を前記側壁5の内面に当接させる。そして、前記蓋体取付部材3の下方係止部12の先端に設けられた弾発フック部15を押圧して、前記下方係止部12を側壁下端面に沿って側壁外面側に移動させる。該側壁外面側に移動後は、前記弾発フック部15の先端が側壁外面に係止し、前記ボックス本体2に蓋体が取り付けられる。
【0038】
そして、前記一対の蓋体取付部材3を取り付けた側壁5と対向する側壁5にも一対の蓋体取付部材3を取り付ける。ここで、側壁5の上端面にガイド窪み部10を設けることにより、前記蓋体取付部材3の取付位置をその都度調整する必要がなく、簡易に取付けが可能となる。また、前記蓋体取付部材3が左右にズレることを防止する役割も有している。
【0039】
次いで、ボックス本体2に取り付けた前記一対の蓋体取付部材3に蓋体4を構成する蓋体分割体16を取り付ける。
蓋体分割体16の取付は、ボックス本体2の上面開口に該蓋体分割体16を載置する。この際、前記蓋体分割体16は、前記ボックス本体2の隅角に設けられた隅角凸状部7に合わせて面取りがされているため、該隅角凸状部7に合わせて載置することで、蓋体分割体16を調整しながら位置決めの必要がなくスムーズに載置できる。
【0040】
そして、蓋体分割体16の第2連結筒17は前記一対の蓋体取付部材3が有する第1連結筒14の間に設けられている。その結果、前記第1連結筒14と第2連結筒17のそれぞれの孔を貫挿する連結棒23が差し込むことにより、前記一対の蓋体取付部材3に蓋体分割体16を取り付ける。
【0041】
次いで、対向する側壁5に取り付けた一対の蓋体取付部材3にも、同様にして前記蓋体分割体16を取り付けることで、前記蓋体4が観音開き状に開閉できる。
【0042】
また、セキュリティ面を強化したい場合には、前記蓋体分割体16の先端当接面の略中央に前記ボックス本体2の内側方向に凹む凹部19を形成した蓋体4を用いることとなる。
前記凹部19内には、施錠部18が形成されているため、一対の蓋体分割体16を当接させることで、施錠部18の施錠孔22と施錠孔22とが合わさる。該合わさった施錠孔22に鍵を通して施錠することで蓋体分割体16の開閉を規制し、よって蓋体4を開閉不可となる。
【0043】
このように、既存のブロック本体2に場所を選ばず容易に蓋体4を取り付け、固定することができるため、蓋体4を設置するためのブロックを別途作製する必要がない。そして例えば、深さを必要とする点検ボックス1の場合は、前記ブロック本体2を数段重ね合わせて必要な高さとした上で、最上段となるブロック本体2に上記方法により蓋体4を取り付けることもできるのである。
【0044】
その結果、作製コストを抑えることができ、複数のブロックを使用しないため組立て自体が単純かつ容易に行うことができる。また、設置場所や収納するものに応じて、セキュリティ面を強化することもできるとの優れた効果を奏する。
【符号の説明】
【0045】
1 点検ボックス
2 ボックス本体
3 蓋体取付部材
4 蓋体
5 側壁
6 縦状平面状面形成部
7 隅角凸状部
8 打抜き部
9 手掛け部
10 ガイド窪み部
11 上方係止部
12 下方係止部
13 連結板部
14 第1連結筒
15 弾発フック部
16 蓋体分割体
17 第2連結筒
18 施錠部
19 凹部
20 水抜き孔
21 係合突起
22 施錠孔
23 連結棒
24 折り返し部
25 凹み線
26 隅角凹状部