(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021231
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】イオン源
(51)【国際特許分類】
H01J 37/08 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
H01J37/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123928
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】302054866
【氏名又は名称】日新イオン機器株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西村 一平
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA25
5C101BB05
5C101DD03
5C101DD22
5C101DD25
5C101DD28
(57)【要約】
【課題】メンテナンス作業を容易に行うことができるイオン源を提供する。
【解決手段】
イオン源10は内部からイオンビームが引き出される容器11を備え、容器11は、内部でプラズマが生成されるプラズマ生成部12と、イオンビームを取り出すための電極を収容する電極収容部13を有する。イオン源10は、電極収容部13が装置本体2に固定された状態で、プラズマ生成部12が所定の軌道で電極収容部13から離脱し得るよう構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に取り付けられる容器を備え、前記容器の内部からイオンビームを一方向に引き出すイオン源であって、
前記容器が、
内部でプラズマが生成されるプラズマ生成部と、
前記イオンビームを取り出すための電極を収容し、前記プラズマ生成部に前記一方向に重ね合わされた状態で前記装置本体に固定される電極収容部と、を有し、
前記プラズマ生成部が、前記電極収容部が前記装置本体に固定された状態で、所定の軌道で前記電極収容部から離脱し得るよう構成されているイオン源。
【請求項2】
前記電極収容部が前記装置本体に固定された状態で、前記プラズマ生成部が水平方向に平行な所定の回転軸中心の回転動作を行うことによって、前記プラズマ生成部が前記電極収容部から離脱するよう構成されている請求項1に記載のイオン源。
【請求項3】
前記容器が前記装置本体に取り付けられた状態における、前記プラズマ生成部の下端部と前記電極収容部の下端部とを連結するとともに、前記プラズマ生成部が前記回転動作を行うことを可能とする連結部材をさらに備える請求項2に記載のイオン源。
【請求項4】
遠隔操作によって駆動され、前記プラズマ生成部と前記電極収容部とが互いに対向した状態で前記プラズマ生成部または前記電極収容部に押圧力を加えることによって、前記プラズマ生成部を前記電極収容部に相対的に近づける押圧部材をさらに備える請求項2または3に記載のイオン源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン源に関し、特に、イオン注入装置に使用されるイオン源に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイ製造工程や半導体製造工程において使用されるイオン注入装置は、イオンビームを生成するイオン源を装置本体に固定するようにして組み立てられる。従来、イオン源内に配置された部品の交換作業やイオン源内部の清掃作業等を行う場合には、イオン源を装置本体から取り外して当該作業を行った後、再びイオン源を装置本体に取り付けていた。このように、イオン源の装置本体に対する着脱作業を行う際に使用されるイオン源の移動機構として、特許文献1に開示された移動機構が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された移動機構は、チェーンブロックを使用し、チェーンに吊り下げられたイオン源を鉛直方向および水平方向に移動させることができる吊下機構を備えている。この移動機構は、イオン源の一部にチェーンを掛けた後、チェーンブロックを駆動させてイオン源を徐々に吊り上げていくことで、イオン源を倒伏姿勢から起立姿勢に変えることができるよう構成されている。また、チェーンでイオン源を吊り下げた状態でチェーンを徐々に下ろしていくことによって、イオン源を起立姿勢から倒伏姿勢に変えられるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のイオン源においては、イオン源内部のメンテナンス作業を行う場合には、例えば特許文献1に開示された移動機構を使用してイオン源全体を装置本体から取り外し、所定の作業を行った後、再びイオン源全体を装置本体に取り付ける必要があった。この一連の作業は、イオン源が大型になるにつれて大掛かりなものとなることから、より容易にメンテナンス作業を行えるイオン源が求められていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、従来と比較してイオン源のメンテナンス作業を容易に行うことができるイオン源を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のイオン源は、装置本体に取り付けられる容器を備え、前記容器の内部からイオンビームを一方向に引き出すイオン源であって、前記容器が、内部でプラズマが生成されるプラズマ生成部と、前記イオンビームを取り出すための電極を収容し、前記プラズマ生成部に前記一方向に重ね合わされた状態で前記装置本体に固定される電極収容部と、を有し、前記プラズマ生成部が、前記電極収容部が前記装置本体に固定された状態で、所定の軌道で前記電極収容部から離脱し得るよう構成されている。
【0008】
この構成によれば、電極収容部が装置本体に固定された状態で、電極収容部からプラズマ生成部を離脱させることができる。したがって、プラズマ生成部を対象とした部品交換や清掃等のメンテナンス作業を行う場合には、電極収容部からプラズマ生成部を離脱させればよく、容器全体を装置本体から取り外す必要がない。
さらに、プラズマ生成部が所定の軌道で電極収容部から離脱するよう構成されていることから、プラズマ生成部を電極収容部から離脱させる作業におけるプラズマ生成部の動作が定まっており、当該作業の安全性が確保される。
【0009】
また、本発明のイオン源は、前記電極収容部が前記装置本体に固定された状態で、前記プラズマ生成部が水平方向に平行な所定の回転軸中心の回転動作を行うことによって、前記プラズマ生成部が前記電極収容部から離脱するよう構成されている。
【0010】
また、本発明のイオン源は、前記容器が前記装置本体に取り付けられた状態における前記プラズマ生成部の下端部と前記電極収容部の下端部とを連結するとともに、前記プラズマ生成部が前記回転動作を行うことを可能とする連結部材をさらに備えるよう構成されていてもよい。
【0011】
また、本発明のイオン源は、遠隔操作によって駆動され、前記プラズマ生成部と前記電極収容部とが互いに対向した状態で前記プラズマ生成部または前記電極収容部に押圧力を加えることによって、前記プラズマ生成部を前記電極収容部に相対的に近づける押圧部材をさらに備えるよう構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のイオン源によれば、従来と比較してイオン源のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態におけるイオン源およびイオン注入装置の一部を示す斜視図。
【
図2】同実施形態におけるプラズマ生成部を電極収容部から離脱させた状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態であるイオン源10について説明する。参照する各図は本発明が理解されることを目的として作成されており、各図間における各構成要素の長さ寸法の比や縮尺の比率は必ずしも一致しているものではない。
また、本実施形態においては、後述する回転軸A1は各図に示されたX軸と平行であり、一方向Dおよび昇降回転軸A2はY軸に平行である。X軸、Y軸、Z軸は互いに直交しており、X軸は水平方向と一致し、Z軸は鉛直方向と一致している。
【0015】
図1はイオン源10およびイオン源10が取り付けられるイオン注入装置1の一部を示す斜視図である。
図1に示すように、イオン源10はイオン注入装置1の装置本体2に取り付けられて使用される。本実施形態におけるイオン注入装置1は、フラッットパネルディスプレイ製造工程で使用され、イオン源10において生成したイオンをイオンビームとして取り出し、当該イオンビームをガラス基板に照射することで当該ガラス基板にイオン注入処理を行う装置である。
なお、イオン注入装置1は、イオン源10を除き、一般的な構成が採用されているため、ここでのイオン注入装置1の詳細な説明および図示は省略される。
【0016】
図1に示すように、イオン源10はイオン注入装置1の装置本体2に取り付けられる容器11を備えている。容器11は互いに重ね合わされた状態で互いに固定されたプラズマ生成部12と電極収容部13を有している。イオン源10は、プラズマ生成部12の内部で生成されるプラズマ中のイオンをイオンビームIBとして取り出すように構成されている。本実施形態においては、
図1に破線で示されるように、イオン源10からは、リボンビームまたはシートビームと称されるイオンビームIBが一方向Dに引き出される。
【0017】
図2はプラズマ生成部12を電極収容部13から離脱させた状態を示す斜視図である。
イオン源1の稼働時、プラズマ生成部12の内部では容器11の外部から供給された原料ガスからプラズマが生成される。プラズマ生成部12の内部には、当該原料ガスからプラズマを生成するための電子を供給するフィラメント等が配置されている。本実施形態においては、プラズマ生成部12の内部に配置されるフィラメント等の部材を内部部材14と総称するものとし、
図2には、内部部材14が模式的に示されている。
【0018】
電極収容部13の内部には、プラズマ生成部12内で生成したプラズマからイオンをイオンビームとして取り出すための引出電極等の複数の電極が配置されている。本実施形態においては、電極収容部13内に配置されるこれらの複数の電極を極群15と総称するものとし、
図2には、電極群15が模式的に示されている。
【0019】
図1に示すように、容器11が装置本体2に固定された状態においては、プラズマ生成部12と電極収容部13とは一方向Dに重ね合わされた状態で互いに固定されている。プラズマ生成部12には第一フランジ12aが形成されており、電極収容部13には第一フランジ12aが取り付けられる取付面13aが形成されている。プラズマ生成部12と電極収容部13とは、第一フランジ12aが電極収容部13の取付面13aに合わされた状態で、後述する複数の押圧部材17により第一フランジ12aが取付面13a側に押圧されることによって互いに固定されている。
【0020】
また、電極収容部13には第二フランジ13bが形成されており、第二フランジ13bが装置本体2の固定面2aに図示されないボルト等の締結具によって固定されることで、容器11が装置本体2に固定される。容器11が装置本体2に固定されることによって、イオン源10が装置本体2に固定されることになる。
【0021】
イオン源10は、容器11が装置本体2に取り付けられた状態における、プラズマ生成部12の下端部である第一下端部12cと、電極収容部13の下端部である第二下端部13cとを連結する連結部材16をさらに備えている。本実施形態における連結部材16はヒンジ部材であり、プラズマ生成部12が電極収容部13に対して所定の軌道で回転動作を行うことを可能としている。
なお、連結部材16が第一下端部12cと第二下端部13cとを連結していることは、連結部材16とプラズマ生成部12および電極収容部13との固定点が第一下端部12cおよび第二下端部13cに設定されていることに限定されない。連結部材16とプラズマ生成部12が、第一下端部12cの近傍で固定されており、実質的に第一下端部12cにおいて固定されていると見なせる構成であってもよい。同様に、連結部材16と電極収容部13が、第二下端部13cの近傍で固定されており、実質的に第二下端部13cにおいて固定されていると見なせる構成であってもよい。
【0022】
図3は、イオン源10の側面における要部拡大図であり、連結部材16と連結部材16の周囲に位置する容器11の構成要素の一部を模式的に示している。なお、
図3は、プラズマ生成部12と電極収容部13とを対向させた後、プラズマ生成部12を電極収容部13に固定させる前の状態を示している。
図3に示すように、連結部材16は、第一下端部12cに固定される板状の第一連結部16a、第二下端部13cに固定される板状の第二連結部16bを有する。また、連結部材16は、第一連結部16aと一体に形成された軸部16c、および、第二連結部16bに形成され、軸部16cを受け入れる筒部16dをさらに有している。
【0023】
連結部材16は、第一連結部16aが第二連結部16bに対して軸部16c中心の回転動作を行うことができるよう構成されている。したがって、プラズマ生成部12は、電極収容部13に対して軸部16c中心の回転動作を行うことができる。本実施形態においては、軸部16cは、
図1に示された水平方向に平行な回転軸A1に平行に配置されている。より詳細には、軸部16cによって回転軸A1が規定されることから、所望されるプラズマ生成部12の回転軌道に合わせて軸部16cの位置が決定されている。
【0024】
したがって、
図1および
図2に示すように、電極収容部13が装置本体2に固定された状態で、プラズマ生成部12が水平方向に平行な所定の回転軸A1中心の回転動作を行うことができる。つまり、
図1に示された状態から
図2に示された状態に移行させるように、プラズマ生成部12を回転軸A1中心に回転動作させることによって、プラズマ生成部12を電極収容部13から離脱させることができる。反対に、
図2に示された状態から
図1に示された状態に移行させるように、プラズマ生成部12を回転軸A1中心に回転動作させることによって、プラズマ生成部12を電極収容部13に対向させるように近づけ、固定させることができる。
【0025】
図1および
図2に示すように、イオン源10は、プラズマ生成部12と電極収容部13とが互いに対向した状態で、プラズマ生成部12を電極収容部13側に押圧する押圧部材17をさらに備えている。
より詳細には、イオン源10は、プラズマ生成部12の第一フランジ12aを、少なくともプラズマ生成部12の幅方向両側で電極収容部13側に押圧する複数の押圧部材17を備える。本実施形態においては、イオン源10は電極収容部13の取付面13aに配置された四つの押圧部材17を備えている。また、押圧部材17は、第一フランジ12aをプラズマ生成部12の幅方向の片側に二つずつ配置されている。
なお、押圧部材17の個数および配置位置は適宜変更してよい。
【0026】
本実施形態における押圧部材17はエア式クランプであり、
図3に示すように、プラズマ生成部12と電極収容部13を重ね合わせる方向に平行、つまり一方向Dに平行な昇降回転軸A2について昇降動作する円柱状の昇降部17aを有する。また、押圧部材17は、昇降部17aの端部に固定された接触部17bを有している。
【0027】
昇降部17aは、昇降回転軸A2方向に昇降動作可能であるとともに、昇降回転軸A2中心に回転動作可能に構成されている。したがって、接触部17bも同様に昇降回転軸A2方向に昇降動作可能であるとともに、昇降回転軸A2中心に回転動作可能である。また、押圧部材17は遠隔操作によって駆動される。
【0028】
本実施形態においては、押圧部材17は、イオン源10から離れた位置に配置されたコントローラ(不図示)によって操作される。この場合、作業者は、イオン源10から離れた位置において、当該コントローラを使用して、押圧部材17を昇降動作および回転動作させることができる。したがって、プラズマ生成部12と電極収容部13を固定する作業が容易になるとともに、作業者の安全性が確保されることになる。
【0029】
図1に示すように、電極収容部13が装置本体2に固定された状態では、押圧部材17の接触部17bが、プラズマ生成部12の第一フランジ12aに接触するとともに第一フランジ12aを電極収容部13に押圧するように力を加えている。また、連結部材16が、プラズマ生成部12を下方から支持している。このように、プラズマ生成部12は、連結部材16に下方から支持されているとともに、押圧部材17から押圧力を加えられていることによって、電極収容部13に強固に固定されている。
【0030】
プラズマ生成部12を電極収容部13から離脱させる場合には、
図1に示された状態から、まず、接触部17bがプラズマ生成部12から離れるように押圧部材17を駆動させる。その後、プラズマ生成部12を電極収容部13から離脱させる間に、プラズマ生成部12と接触部17bが干渉することがないよう、接触部17bを回転動作させ、昇降回転軸A2中心に90度回転させる。
【0031】
そして、不図示の駆動装置を使用し、プラズマ生成部12を回転軸A1中心に回転動作させる。この動作により、
図2に示された、プラズマ生成部12が電極収容部13から離脱させた状態とすることができる。
【0032】
押圧部材17は、プラズマ生成部12が電極収容部13から離脱される際に、接触部17bが生成部12に接触することがないよう構成されている。より具体的には、押圧部材17は、接触部17bが一方向Dに平行な昇降回転軸A2中心に回転動作することで、当該接触を回避する構成とされている。押圧部材17は本実施形態の構成に限らず、例えば、接触部17bが回転軸A1に平行な軸中心で第一フランジ12aから離れる方向に回転動作することによって当該接触を回避し得る構成であってもよい。
また、本実施形態における押圧部材17は、所謂スイングタイプのクランプであるが、所謂リンクタイプのクランプであってもよい。また、押圧部材17は、エア式クランプに限らず、例えば油圧式クランプであってもよく、イオン源10の構成や大きさ、重量等に応じて適切な構成を採用すればよい。
【0033】
図2に示すように、プラズマ生成部12が電極収容部13から離脱させた状態においては、内部部材14が外部に露出した状態となる。したがって、作業者はプラズマ生成部12の内部の清掃作業やフィラメント等の内部部材14の交換作業等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
なお、プラズマ生成部12のメンテナンス作業は、
図2に示された状態で行われることに限らない。例えば、
図2に示された状態で、作業者が、まず連結部材16による連結を解除し、プラズマ生成部12を別の作業場所に移動させた後にメンテナンス作業を行ってもよい。
【0034】
プラズマ生成部12のメンテナンス作業が行われた後は、再び図示されない駆動装置によって、
図2に示された状態からプラズマ生成部12を回転動作させ、
図3に示されるように、プラズマ生成部12を電極収容部13に対向するように位置付ける。その後、押圧部材17を駆動させて、プラズマ生成部12を電極収容部13に固定させる。
なお、プラズマ生成部12を電極収容部13に対して着脱させるために使用する駆動装置は、イオン源10の近傍に配置された専用の駆動装置でもよく、一般に使用されているチェーンブロックやクレーンであってもよい。
【0035】
本実施形態におけるイオン源10は、チェーンブロックまたはクレーンのフック等を取り付けることができる、被着部18が、プラズマ生成部12と電極収容部13のそれぞれに配置されている。また、イオン源10は、搬送を容易にするためローラー19を備えている。前述の駆動装置、被着部18およびローラー19は、例えば、本発明の従来技術としてあげた特開2019-57385に開示された構成を採用すればよい。
【0036】
本実施形態においては、プラズマ生成部12を電極収容部13に対向させた状態では、プラズマ生成部12と電極収容部13の間には間隙D1が形成される。したがって、プラズマ生成部12を電極収容部13に密着させて固定するためには、押圧部材17によってプラズマ生成部12を電極収容部13に間隙D1分移動させる必要がある。したがって、連結部材16は、プラズマ生成部12の電極収容部13側への移動を許容できるよう、軸部16cと筒部16dの間に間隙D1以上の寸法の間隙D2が形成され得るよう構成されている。
【0037】
本実施形態のイオン源10は、電極収容部13が装置本体2に固定された状態で、電極収容部13からプラズマ生成部12を離脱させることができる。一般に、電極収容部13に対するメンテナンス作業と比較して、プラズマ生成部12に対するメンテナンス作業のほうが頻度は大きい。イオン源10においては、作業頻度の大きいプラズマ生成部12に対するメンテナンス作業を行う場合には、容器11全体を装置本体2から取り外す大掛かりな作業が不要となる。
【0038】
さらに、イオン源10においては、プラズマ生成部が所定の回転軌道で電極収容部から離脱するよう構成されていることから、プラズマ生成部を電極収容部から離脱させる作業におけるプラズマ生成部の動作が定まっており、当該作業の安全性が確保される。
なお、プラズマ生成部を電極収容部から離脱させる際の所定の軌道は回転軌道に限らない。例えば、イオン源10の近傍に電極収容部13からプラズマ生成部12を所定の動作で離脱させる装置を配置し、それによって離脱させる構成であってもよい。
【0039】
また、本発明は前記実施形態および前記変形例に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0040】
1 :イオン注入装置
2 :装置本体
2a :固定面
10 :イオン源
11 :容器
12 :プラズマ生成部
13 :電極収容部
14 :内部部材
15 :電極群
16 :連結部材
17 :押圧部材
IB :イオンビーム
A1 :回転軸
A2 :昇降回転軸
D :一方向