(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021233
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】圧力式調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20240208BHJP
A47J 27/08 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A47J27/00 103P
A47J27/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123932
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】樫山 裕貴
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA02
4B055AA08
4B055BA07
4B055CA21
4B055CA82
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、圧力調理時における係止部材の変形をできるだけ防ぎ、蓋体の開閉に不具合が生じるおそれをできるだけ低減することができる圧力式調理器を提供することである。
【解決手段】本発明に係る圧力式調理器100は、被係止部を有する本体110と、本体を開閉可能に覆う蓋体140と、蓋体閉時に本体内圧力を調整可能な圧力調整部143と、蓋体の軸SF1を中心に回動する操作レバーOLと、被係止部に対して係止可能な係止部146eと被押圧部146bとを有し蓋体に配設される係止部材146と、操作レバーおよび被押圧部の間に配置される付勢部材CSとを備え、付勢部材は操作レバー側で保持され、蓋体が閉じられて非加圧時に操作レバーが押圧されると、係止部が被係止部に対して係止されている状態が解除され、加圧時に操作レバーが押圧されても、係止部が被係止部に対して係止されている状態が維持される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被係止部を有する本体と、
前記本体を開閉可能に覆う蓋体と、
前記蓋体が閉じられている時に前記本体内の圧力を調整可能である圧力調整部と、
前記蓋体に取り付けられる軸を中心に回動する操作レバーと、
前記被係止部に対して係止可能である係止部と、被押圧部とを有し、前記蓋体に配設される係止部材と、
前記操作レバーおよび前記被押圧部の間に配置される付勢部材と、を備え、
前記付勢部材は、前記操作レバー側で保持されており、
前記蓋体が閉じられて前記圧力調整部が前記本体内の圧力を調整していない時に前記操作レバーが押圧されると、前記係止部が前記被係止部に対して係止されている状態が解除され、
前記圧力調整部が前記本体内の圧力を大気圧より高くなるように調整している時に前記操作レバーが押圧されても、前記係止部が前記被係止部に対して係止されている状態が維持される
圧力式調理器。
【請求項2】
前記付勢部材および前記係止部材の間に配置される支持部材をさらに備え、
前記付勢部材は、前記操作レバーが押圧されると前記支持部材を介して前記被押圧部を押圧する
請求項1に記載の圧力式調理器。
【請求項3】
前記操作レバーは、樹脂製であり、
前記支持部材は、前記付勢部材を保持するための付勢部材保持部を有する
請求項2に記載の圧力式調理器。
【請求項4】
前記支持部材は、前記操作レバーに対して移動可能に嵌合されている
請求項2または3に記載の圧力式調理器。
【請求項5】
前記蓋体は、前記操作レバーを案内する案内部を有する
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力式調理器。
【請求項6】
前記操作レバーの前記軸側の反対側の部位に、開口が形成されている
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力式調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力式調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「収容部を開閉する蓋が設けられた容器本体と、前記蓋と前記容器本体のうちの一方に回動可能に軸支されたフック部材及び当該一方に揺動可能に軸支された操作ボタンと、前記フック部材と前記操作ボタン間に設けられた弾性伸縮部とを備え、前記収容部は、前記蓋を閉じた状態で使用すると大気圧を超える所定の内圧に上昇し得る空間であり、前記フック部材は、前記蓋と前記容器本体のうちの他方に掛かって前記蓋を閉じた状態に保つロック位置と、当該他方に掛かることの不可能なロック解除位置との間を回動可能に設けられており、前記所定の内圧未満の状態で前記操作ボタンの押し込みが行われたとき、押し込み力が前記弾性伸縮部を介して前記フック部材に伝わることにより当該弾性伸縮部が圧縮限界に達することなく前記フック部材にロック解除回転トルクを与えられ、前記所定の内圧以上の状態で前記操作ボタンの押し込みが行われたとき、前記フック部材と他の部分の摩擦による回転抵抗が前記所定の内圧への上昇で増大していることにより当該フック部材のロック解除回転が生じず、かつ当該操作ボタンを受ける前記弾性伸縮部が前記所定の内圧未満の状態のときの圧縮量よりも大きく圧縮される蓋付き容器において、前記所定の内圧以上の状態で前記操作ボタンの押し込みが行われたとき、前記弾性伸縮部が前記所定の内圧未満の状態のときの圧縮量よりも大きく圧縮された後の時点であって前記フック部材がロック位置にある時期内に当該操作ボタンと当該フック部材の接触が生じ、当該接触部でも当該フック部材が当該操作ボタンに押されることにより当該フック部材にロック回転方向のモーメントが生じ、当該ロック回転方向のモーメントは、当該弾性伸縮部を介して当該フック部材が押されることによるロック解除回転方向のモーメント以上に生じることを特徴とする蓋付き容器。」が提案されている(例えば、特開2011-005218号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような圧力式調理器では、圧力調理時の圧力に耐えるために補強部材が蓋体に取り付けられ、係止部材(フック部材)は補強部材に取り付けられる。このため、圧力調理時において補強部材に大きな負荷がかかると係止部材にも大きな負荷がかかることになる。したがって、係止部材の強度をできるだけ向上させ、圧力調理時において係止部材が変形しないようにすることが望ましい。しかし、上述のような圧力式調理器では、付勢部材を保持する保持部材の取付穴が係止部材に形成されて付勢部材が係止部材側に保持されるため、保持部材の取付穴が形成されていない係止部材に比べて係止部材の強度が落ちるおそれがある。そして、圧力調理によって係止部材に対して負荷が繰り返しかけられると、係止部材が徐々に変形していき、蓋体の開閉に不具合が生じるおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、圧力調理時における係止部材の変形をできるだけ防ぎ、蓋体の開閉に不具合が生じるおそれをできるだけ低減することができる圧力式調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る圧力式調理器は、
被係止部を有する本体と、
前記本体を開閉可能に覆う蓋体と、
前記蓋体が閉じられている時に前記本体内の圧力を調整可能である圧力調整部と、
前記蓋体に取り付けられる軸を中心に回動する操作レバーと、
前記被係止部に対して係止可能である係止部と、被押圧部とを有し、前記蓋体に配設される係止部材と、
前記操作レバーおよび前記被押圧部の間に配置される付勢部材と、を備え、
前記付勢部材は、前記操作レバー側で保持されており、
前記蓋体が閉じられて前記圧力調整部が前記本体内の圧力を調整していない時に前記操作レバーが押圧されると、前記係止部が前記被係止部に対して係止されている状態が解除され、
前記圧力調整部が前記本体内の圧力を大気圧より高くなるように調整している時に前記操作レバーが押圧されても、前記係止部が前記被係止部に対して係止されている状態が維持される。
【0007】
上記構成によれば、付勢部材は、係止部材側ではなく操作レバー側で保持される。このため、この圧力式調理器では、付勢部材を保持する保持部材の取付穴を係止部材に形成する必要がなく、保持部材の取付穴が形成された係止部材に比べて、係止部材の強度をできるだけ向上させることができる。したがって、この圧力式調理器では、圧力調理時における係止部材の変形をできるだけ防ぎ、蓋体の開閉に不具合が生じるおそれをできるだけ低減することができる。
【0008】
なお、この圧力式調理器では、操作レバーが押圧されると、操作レバーを介して付勢部材も押圧される。そして、被押圧部は付勢部材によって押圧されることになり、係止部が被係止部に対して係止されている状態を解除しようとする作用が働く。なお、付勢部材の付勢力は、蓋体が閉じられて本体内の圧力が調整されていない時(以下、「非加圧時」という)の係止部の被係止部に対する係止力より強くなるように、また、本体内の圧力が大気圧より高くなるように調整されている時(以下、「加圧時」という。)の係止部の被係止部に対する係止力より弱くなるように設計される。これは、加圧時においては、蓋体を外方に押そうとする力が働いて係止部が被係止部に対して押し付けられるためであり、付勢部材の付勢力自体は不変である。そして、非加圧時において操作レバーが押圧されると、付勢部材が圧縮しないか僅かに圧縮された状態のまま被押圧部を押圧し続け、最終的に、係止部が被係止部に対して係止されている状態が解除される。一方、圧力時において操作レバーが押圧されると、付勢部材は圧縮していき、最終的に、付勢部材が圧縮限界に達するまでに操作レバーが押圧による回動限界位置まで達し、係止部が被係止部に対して係止されている状態が維持される。
【0009】
本発明では、
前記付勢部材および前記係止部材の間に配置される支持部材がさらに備えられ、
前記付勢部材は、前記操作レバーが押圧されると前記支持部材を介して前記被押圧部を押圧すると好適である。
【0010】
上記構成によれば、支持部材が構成されない場合に比べて被押圧部を安定的に押圧することができる。
【0011】
本発明では、
前記操作レバーは、樹脂製であり、
前記支持部材は、前記付勢部材を保持するための付勢部材取付部を有すると好適である。
【0012】
上記構成によれば、操作レバー側で付勢部材をより安定的に保持することができる。
【0013】
本発明では、
前記支持部材は、前記操作レバーに対して移動可能に嵌合されていると好適である。
【0014】
上記構成によれば、付勢部材が圧縮状態または非圧縮状態になることが許容された上で、操作レバー側で付勢部材をより安定的に保持することができる。
【0015】
本発明では、
前記蓋体は、前記操作レバーを案内する案内部を有すると好適である。
【0016】
上記構成によれば、操作レバーが回動する前の状態と、操作レバーが一方向に回動してから一方向の反対方向に回動した後の状態とで、できるだけ操作レバーの位置が変わらないようにすることができる。
【0017】
本発明では、
前記操作レバーの前記軸側の反対側の部位に、開口が形成されていると好適である。
【0018】
上記構成によれば、操作レバー上の残留物(例えば、水などの液体、米などの食材など)を開口を通じて操作レバーの下側に排出し、操作レバー上に残留物ができるだけ残らないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の斜視図である。なお、本図では、蓋体が閉じられた状態が示されている。
【
図2】本発明の実施の形態に係る炊飯器を左右方向の中心を通るように前後方向に沿って切断した縦断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る操作機構の分解斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る操作機構の平面図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る上側外装体および操作機構の下方斜視図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係る係止部材の斜視図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る炊飯器を左右方向の中心を通るように前後方向に沿って切断した縦断面図における操作機構および係止部材付近の拡大図である。なお、本図では、圧力炊飯運転がされていない時に操作機構の操作レバーが押圧されている状態が示されている。
【
図13】本発明の実施の形態に係る炊飯器を左右方向の中心を通るように前後方向に沿って切断した縦断面図における操作機構および係止部材付近の拡大図である。なお、本図では、圧力炊飯運転がされている時に操作機構の操作レバーが押圧されている状態が示されている。
【
図14】本発明の実施の形態に係るレバーストッパーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の構造>
本発明の実施の形態に係る炊飯器100は、誘導加熱式の圧力炊飯器であって、
図1および
図2に示されるように、主に、本体110、内鍋130、蓋体140およびヒンジ機構150等から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0021】
1.本体
本体110は、
図1および
図2に示されるように、主に、筐体111、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、保温ヒータHT、フェライトコア組立体(図示せず)、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、操作パネル117、制御基板118、マイコン基板119、自動巻取式電源コードユニット120および被係止部(図示せず)等から構成される。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0022】
(1)筐体
筐体111は、
図1および
図2に示されるように、主に、胴体111a、肩部材111c、保護枠111d、マイコン基板支持部材111eおよび制御基板支持部材111f等から構成されている。以下、これらの構成要件について詳述する。なお、筐体111は、断熱材(図示せず)、誘導加熱コイル113、フェライトコア組立体、サーミスタ114、送風ファン115、ヒートシンク116、制御基板118、マイコン基板119および自動巻取式電源コードユニット120等を収容している。
【0023】
(1-1)胴体
胴体111aは、
図1および
図2に示されるように、側壁Aaおよび底壁Abから形成されている。側壁Aaは、平面視において略方形状を呈する囲い壁であって、
図1および
図2に示されるように本体110の側面を覆っている。また、側壁Aaの前側上端には爪受け部(図示せず)が形成されている。この爪受け部およびマイコン基板支持部材111eの爪部によって、マイコン基板支持部材111eが胴体111aに対して係止されている。なお、本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、肩部材111cは胴体111aに対して係止されていない。底壁Abは、略方形状の板部材であって、
図2に示されるように、側壁Aaの下端から内側に延びており、側壁Aaの下側の開口を覆っている。なお、制御基板支持部材111fおよび保護枠111dの内鍋収容部Daが底壁Abに締結されている。また、この底壁Abには、筐体111の外部の空気を内部に吸い込むための吸気口Ab1(
図2参照)、および、筐体111の内部の空気を外部に排出するための排気口(図示せず)が形成されている。なお、
図2に示されるように、吸気口Ab1の直上には、送風ファン115が配設されている。この送風ファン115が駆動されると、吸気口Ab1を通って外部の空気が筐体111の内部に吸い込まれ、それによって生じる空気流れにより内部の加熱空気が排気口から系外に排出される。
【0024】
(1-2)肩部材
肩部材111cは、
図1および
図2に示されるように、胴体111aの上側に配置されており、蓋体140が閉じられた状態でも一部が外側から視認可能である。また、肩部材111cの前部の上側には操作パネル117が配置され(
図1および
図2参照)、肩部材111cの下面には保護枠111dのフランジ部Dbが取り付けられている(
図2参照)。なお、肩部材111cには、内鍋130の挿入口となる開口が形成されている。
【0025】
(1-3)保護枠
保護枠111dは、内鍋130の外周を保護すると共に肩部材111cの形状を保持する役目を担う部材であって、
図2に示されるように、主に、内鍋収容部Daおよびフランジ部Dbから構成されている。
【0026】
内鍋収容部Daは、内鍋130の外周を覆う椀状の部位である(
図2参照)。
図2に示されるように、内鍋収容部Daの上側にフランジ部Dbが配置され、内鍋収容部Daおよびフランジ部Dbが互いに連結される。また、上述の通り、内鍋収容部Daは、胴体111aの底壁Abに締結される。また、
図2に示されるように、内鍋収容部Daの底壁の中央部には、サーミスタ114を通すための開口が形成されている。
【0027】
フランジ部Dbは、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のエンジニアリングプラスチック等から形成されており、上述の通り、肩部材111cの下面に取り付けられている。なお、エンジニアリングプラスチックは、汎用樹脂に比べてその剛性が高く、耐熱性に優れるため、汎用樹脂よりも熱変形しにくい性質を有する。なお、フランジ部Dbには、内鍋130の挿入口となる開口が形成されている。
【0028】
(1-4)マイコン基板支持部材
マイコン基板支持部材111eは、ポリプロピレン(PP)等の汎用樹脂等から形成されており、マイコン基板119を支持する役目を担っている。また、マイコン基板支持部材111eは、肩部材111cの内側且つ操作パネル117の下側に配置され(
図2参照)、肩部材111cに固定されている。なお、マイコン基板支持部材111eには爪部が形成されており、上述の通り、この爪部および胴体111aの側壁Aaの爪受け部によって、マイコン基板支持部材111eが胴体111aに対して係止されている。
【0029】
(1-5)制御基板支持部材
制御基板支持部材111fは、ポリプロピレン(PP)等の汎用樹脂等から形成されており、制御基板118を支持する役目を担っている。また、制御基板支持部材111fは、胴体111aの内側(より詳細には、胴体111aおよび保護枠111dの内鍋収容部Daの間)に配置され(
図2参照)、胴体111aの底壁Abに締結される。
【0030】
(2)断熱材
断熱材は、保護枠111dの内鍋収容部Daの側壁および保温ヒータHTの外周に巻き付けられており、炊飯時において内鍋130から生じる熱が内鍋収容部Daの外側に流出するのを抑制する役割を担っている。
【0031】
(3)誘導加熱コイル
誘導加熱コイル113は、内鍋130を誘導加熱する誘導加熱源であって、
図2に示されるように保護枠111dの内鍋収容部Daの底壁および側壁下端部の外側に配設されている。
【0032】
(4)保温ヒータ
保温ヒータHTは、保温運転時に使用される円環状のヒータであって、
図2に示されるように、保護枠111dの内鍋収容部Daの側壁の上下方向中間部の外側に配設されている。
【0033】
(5)フェライトコア組立体
フェライトコア組立体は、誘導加熱コイル113の周囲に配設されている。フェライトコア組立体にはフェライトコアが収容され、このフェライトコアは、通電時に誘導加熱コイル113から発生する電磁波が外部に漏れ出るのを抑制する役目を担っている。
【0034】
(6)サーミスタ
サーミスタ114は、温度センサであって、
図2に示されるように、保護枠111dの内鍋収容部Daの底壁の中央部に形成された開口を通って、上方に向かって突出している。なお、このサーミスタ114は、コイルバネ等の付勢部材によって上方に付勢されている。すなわち、このサーミスタ114は、上下方向に沿って出没自在な状態とされている。ところで、このサーミスタ114は、略円盤状のカバー部材によって支持されている。このカバー部材は、保護枠111dの内鍋収容部Daの底壁に固定されている。
【0035】
(7)送風ファン
送風ファン115は、上述の通り、筐体111の底壁Abの吸気口Ab1の直上に、回転軸が略上下方向に沿うようにして配設されている(
図2参照)。すなわち、この送風ファン115が駆動されると、外部の空気が吸気口Ab1から吸い込まれて筐体内に流入し、そのまま上方に向かって送られる。上方に向かって送られた外部の空気は、ヒートシンク116を通って制御基板118およびマイコン基板119などに供給されて、それらの部材等を冷却する。
【0036】
(8)ヒートシンク
ヒートシンク116は、外部の空気と効率よく熱交換を行わせる部品である。
【0037】
(9)操作パネル
操作パネル117は、炊飯器100の運転方法を決定して実行するためのものであって、
図1および
図2に示されるように、主に、パネル本体117aおよび押圧ボタンBT等から構成されている。操作パネル117は、上述の通り、肩部材111cの前部の上側に配設されている。
【0038】
(10)制御基板
制御基板118は、電源回路を構成する基板であって、いくつかの発熱部品を実装している。また、制御基板118は、
図2に示されるように筐体111の前側空間に収容され、制御基板支持部材111fに支持されている。
【0039】
(11)マイコン基板
マイコン基板119は、マイクロコンピュータ等の電子部品を実装している。また、マイコン基板119は、
図2に示されるように肩部材111cの内側且つ操作パネル117の下側に配設され、マイコン基板支持部材111eに支持されている。また、マイコン基板119のマイクロコンピュータは、炊飯器100内に内鍋130が存在することによる誘導加熱コイル113のインダクタンスの変化を検知することで、炊飯器100内に内鍋130が存在するか否かを判断している。
【0040】
(12)自動巻取式電源コードユニット
自動巻取式電源コードユニット120は、電源コードPC(
図1参照)および自動巻取機構(図示せず)等から構成されており、
図2に示されるように筐体111の後側空間に収容されている。電源コードPCは、差込プラグおよび電気線から構成されている(
図1参照)。差込プラグは、電気線の先端に配設されている。電気線は、伸展自在に自動巻取機構に巻回されている。
【0041】
(13)被係止部
被係止部は、肩部材111cのうち開口(内鍋130の挿入口)の前側部分の上面に取り付けられる。蓋体140が閉じられている状態において、この被係止部に対して蓋体140の係止部材146の係止部146eが係止される。
【0042】
2.内鍋
内鍋130は、
図2に示されるように、上方に開口する椀状の鍋であって、肩部材111cの開口および保護枠111dのフランジ部Dbの開口に挿通されると共に保護枠111dの内鍋収容部Daに所定の隙間をもって収容される。なお、内鍋130は、種々のアルミニウム合金およびステンレス合金の多層体(クラッド材)であって、誘導加熱コイル113によって誘導加熱され得る。
【0043】
3.蓋体
蓋体140は、
図1および
図2に示されるように、主に、外装体141、操作機構142、圧力調整機構143、補強部材(図示せず)、内蓋145、係止部材146およびレバーストッパー147等から構成されており、ヒンジ機構150を介して本体110に回動自在に取り付けられている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0044】
(1)外装体
外装体141は、
図1および
図2に示されるように、上側外装部材141aおよび下側外装部材141bから構成される略直方体状の部材であって、操作機構142、圧力調整機構143の一部(例えば、操作レバー受け部143a)、補強部材、係止部材146およびレバーストッパー147等を収容している。
【0045】
上側外装部材141aは、平面視において略方形状の板部材であって(
図1参照)、ポリプロピレン(PP)等の汎用樹脂等から形成されている。上側外装部材141aは、
図1および
図2に示されるように、下側外装部材141bの上側を覆っている。また、
図1および
図2に示されるように、上側外装部材141aの前部には、操作機構142の操作レバーOLの隆起部OL1の上面を露出させるための開口が形成され、上側外装部材141aの後部には、内鍋130内で発生した蒸気を外部に排出するための蒸気孔BOが形成されている。また、
図9に示されるように、上側外装部材141aの下面の中央部には、軸SF1(後述)を取り付けて固定するための軸取付部SIが形成されている。また、
図9および
図10に示されるように、上側外装部材141aの下面の前端部には案内部RPが形成されている。案内部RPは、
図10に示されるように、右側案内部RP1および左側案内部RP2を有している。右側案内部RP1は、前面視において略四角形状を呈しており(
図10参照)、下面が左方に向かうに従って上方に傾斜している。左側案内部RP2は、前面視において略四角形状を呈しており(
図10参照)、下面が右方に向かうに従って上方に傾斜している。そして、
図10に示されるように、右側案内部RP1および左側案内部RP2の間には溝GRが形成される。なお、操作レバーOLの突起部OL4は、操作レバーOLの回動時にこの溝GRに沿って移動可能であり、溝GRは、右側案内部RP1の左面および左側案内部RP2の右面の間の溝、および、右側案内部RP1の下面および左側案内部RP2の下面の間の溝が連なることで形成される。操作レバーOLの突起部OL4が、右側案内部RP1の左面および左側案内部RP2の右面の間の溝に嵌っている状態の時は、操作レバーOLが左右方向(言い換えれば、軸SF1の軸方向)に移動することが規制される。なお、仮に、右側案内部RP1の左面および左側案内部RP2の右面の間の溝に操作レバーOLの突起部OL4が嵌っていない状態(操作レバーOLがある程度押圧されている状態)の時に操作レバーOLが左右方向に移動してしまったとしても、操作レバーOLに対する押圧が解除されてトーションバネTSによって上側に向かって操作レバーOLが軸SF1を中心に回動すると、操作レバーOLの突起部OL4は、右側案内部RP1の下面または左側案内部RP2の下面に接触しながら傾斜によって右側案内部RP1の左面および左側案内部RP2の右面の間の溝に嵌るように案内される。なお、操作レバーOLの突起部OL4が右側案内部RP1の左面および左側案内部RP2の右面の間の溝に嵌っている時、操作レバーOLが軸SF1の軸方向における規定位置に位置していると言える。
【0046】
下側外装部材141bは、平面視において略方形状の板部材であって、ポリプロピレン(PP)等の汎用脂等から形成されている。
図2に示されるように、下側外装部材141bの下面には、内蓋145が着脱自在に配設される。また、下側外装部材141bの上面には、補強部材が取り付けられる。また、図示しないが、下側外装部材141bの前部には、係止部材146の下側延設部146dおよび係止部146eを通すための開口が形成されている。
【0047】
(2)操作機構
操作機構142は、蓋体140を開閉するためのものであって、
図3~
図9に示されるように、主に、操作レバーOL、支持部材SP、コイルバネCS、軸SF1およびトーションバネTSなどから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0048】
(2-1)操作レバー
操作レバーOLは、ABS樹脂から形成されており、金属メッキされている。また、操作レバーOLは、
図3~
図9に示されるように、主に、隆起部OL1、底壁部OL2、周壁部OL3、突起部OL4、軸取付部OL5、バネ保持部OL6、延設部OL7、爪部OL8および棒部OL9などから形成されている。隆起部OL1は、
図3、
図5~
図8に示されるように底壁部OL2よりも一段盛り上がっており、
図4に示されるように平面視において略長方形状を呈している。使用者は、蓋体140を閉状態から開状態にしようとする時に隆起部OL1を押圧することになる。なお、隆起部OL1の前壁部の下端の左右部には開口が形成されている(
図3および
図6参照)。底壁部OL2は、
図3~
図8に示されるように、隆起部OL1の下端から外方に延びている。なお、底壁部OL2の後部(隆起部OL1の後側に位置する部位)は、
図7に示されるように前方に向かうに従って下方に傾斜しており、底壁部OL2の左右部(隆起部OL1の左右側に位置する部位)は、
図8に示されるように前方に向かうに従って下方に傾斜している。また、底壁部OL2の前部(隆起部OL1の前側に位置する部位)の左右部の高さ位置は、
図6に示されるように底壁部OL2の前部の中央部の高さ位置より僅かに低くなっている。また、底壁部OL2の前部の左右部には開口が形成されている(
図4および
図6参照)。
図3、
図4および
図6に示されるように、隆起部OL1の開口と底壁部OL2の開口が連なることで、操作レバーOLに排出口OLaが形成されることになる。ここで、排出口OLaは、操作レバーOLの前側部位(操作レバーOLの軸SF1側の反対側の部位)に形成されていると言える。なお、操作レバーOL上の残留物(例えば、水などの液体、米などの食材など)は、この排出口OLaを通った次は外装体141の下側外装部材141bの前部の開口を通り、最終的に肩部材111cの上面に排出される。周壁部OL3は、
図3~
図8に示されるように、底壁部OL2の外端(ただし、後端を除く)から上方に延びている。突起部OL4は、
図3、
図4および
図10に示されるように、周壁部OL3の前面の中央から前方に延びており、上述の通り、操作レバーOLの回動時に上側外装部材141aの案内部RPの溝GRに沿って移動可能である。軸取付部OL5は、
図3、
図4および
図7に示されるように、底壁部OL2の後端から後方に延びている。
図3、
図4、
図7および
図8に示されるように、軸取付部OL5の後端部には、軸SF1が取り付けられる。なお、
図3、
図4、
図7および
図8に示されるように、軸取付部OL5の後端部に軸SF1が取り付けられている時、軸取付部OL5の後端部は、軸SF1のうち軸取付部OL5の後端部に取り付けられる部位を全周に亘って覆うのではなく軸SF1の上部を露出させている。バネ保持部OL6は、
図5に示されるように、隆起部OL1の上壁部の左右部から下方に延びている。また、バネ保持部OL6は、
図5に示されるように、コイルバネCSの内側が通っている。延設部OL7は、
図3、
図5および
図8に示されるように、隆起部OL1の左右壁部の下端から下方に延びている。爪部OL8は、
図5に示されるように、延設部OL7の下端から内方に延びている。爪部OL8が支持部材SPの嵌合部SP3の内側に配置されることで、支持部材SPが操作レバーOLに対して嵌合される(
図5および
図8参照)。棒部OL9は、
図5~
図7に示されるように、隆起部OL1の上面におけるバネ保持部OL6の後側の左右方向中央部から下方に延びている。なお、棒部OL9は、支持部材SPの凹部SPb内を通っている(
図7参照)。
【0049】
(2-2)支持部材
支持部材SPは、操作レバーOLおよび係止部材146の間、且つ、コイルバネCSおよび係止部材146の間に配置される部材であって、
図3、
図5~
図8に示されるように、主に、基体部SP1、バネ保持部SP2、嵌合部SP3および突起部SP4などから形成されている。基体部SP1は、平面視において略長方形状を呈している(
図3参照)。なお、
図3および
図5に示されるように、基体部SP1の左右部には下側に凹む凹部SPaが形成されている。また、
図3に示されるように、基体部SP1の後端部の中央部には前側に凹む凹部SPbが形成されている。上述の通り、この凹部SPb内を操作レバーOLの棒部OL9が通る。バネ保持部SP2は、
図3および
図5に示されるように、基体部SP1の凹部SPaの底面から上方に延びている。
図5に示されるように、コイルバネCSが、基体部SP1の凹部SPaの内側面およびバネ保持部SP2の間に配置され、バネ保持部SP2が、コイルバネCSの内側を通っている。嵌合部SP3は、
図3、
図5、
図6および
図8に示されるように基体部SP1の左右側面の外側に形成されており、
図8に示されるように側面視において略逆凹字状を呈している。上述の通り、操作レバーOLの爪部OL8が嵌合部SP3の内側に配置されることで、支持部材SPが操作レバーOLに対して嵌合される。なお、基体部SP1の上面が操作レバーOLの隆起部OL1の下面とある程度離間して対向する状態(
図5参照)(言い換えれば、嵌合部SP3の上壁部に対して操作レバーOLの爪部OL8が係止される状態)から、基体部SP1の上面が操作レバーOLの隆起部OL1の下面と近接対向する状態(
図13参照)になるまでの範囲内で、支持部材SPは、操作レバーOLに対して上下方向に移動可能である。突起部SP4は、
図5~
図7に示されるように、基体部SP1の下面の中央部から下方に延びる左右一対の部位である。なお、突起部SP4は、係止部材146の被押圧部146bと近接対向しており、使用者が、蓋体140を閉状態から開状態にしようとして操作レバーOLを押圧すると、突起部SP4が、係止部材146の被押圧部146bを押圧することになる。
【0050】
(2-3)コイルバネ
コイルバネCSは、
図3および
図5に示されるように、操作レバーOLおよび支持部材SPの間に2つ配置されている。なお、操作レバーOLのバネ保持部OL6および支持部材SPのバネ保持部SP2がコイルバネCSの内側を通るようにして、コイルバネCSが操作レバーOL側で保持される。このコイルバネCSの付勢力については後述する。
【0051】
(2-4)軸
軸SF1は、操作レバーOLの軸取付部OL5の後端部に取り付けられた状態で、外装体141の上側外装部材141aの軸取付部SIに取り付けられて固定される。これにより、操作レバーOLが軸SF1を中心に回動可能となり、操作レバーOLが前後方向に移動することが規制される。また、軸SF1は、
図3に示されるように、トーションバネTSのコイル部分の内側を通っている。
【0052】
(2-5)トーションバネ
トーションバネTSは、
図3に示されるように、コイル部分の内側に軸SF1が通った状態で軸SF1に取り付けられている。トーションバネTSは、操作レバーOLを押圧した時の操作レバーOLの回動方向(
図12および
図13に示されるような右側面視において軸SF1を中心とした反時計回り方向)の反対方向(すなわち、右側面視において軸SF1を中心とした時計回り方向)に操作レバーOLを付勢している。
【0053】
(3)圧力調整機構
圧力調整機構143は、蓋体140が閉状態とされ圧力炊飯運転されている状態において、内鍋130の内部の圧力を1気圧以上(例えば、1.03~1.3気圧など)に調整する。なお、圧力調整機構143には、往復動アクチュエータ(図示せず)および操作レバー受け部143a(
図12および
図13参照)が構成されている。往復動アクチュエータは、例えば、ソレノイドを利用した電磁式ピストンである。そして、往復動アクチュエータは、圧力炊飯運転されている時は操作レバー受け部143aを前方へ移動させ(
図13参照)、圧力炊飯運転されてない時は操作レバー受け部143aを後方へ移動させる(
図12参照)。操作レバー受け部143aは、
図13に示されるように、圧力炊飯運転時に前方に移動して操作レバーOLの棒部OL9の真下に位置することになる。
【0054】
(4)補強部材
補強部材は、下側外装部材141bの剛性を高めるためのものであって、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のエンジニアリングプラスチック等から形成されている。また、補強部材は、略角枠形状を呈する部材であって、外装体141の下側外装部材141bに取り付けられる。なお、補強部材の前端部には軸SF2(
図2、
図12および
図13参照)を取り付けるための軸受け孔が形成されている。この軸受け孔および係止部材146の軸受け孔146gが連なった連通孔を形成している状態で軸SF2がこの連通孔に挿通されることで、係止部材146が補強部材に取り付けられることになる。また、補強部材のうち軸受け孔より後側の部分にはビス受け孔が形成されている。
【0055】
(5)内蓋
内蓋145は、
図2に示されるように内鍋130の上部を覆って内鍋130を密閉するための部材である。
【0056】
(6)係止部材
係止部材146は、
図11に示されるように、主に、上壁部146a、被押圧部146b、前壁部146c、下側延設部146d、係止部146eおよび後側延設部146fなどから形成されている。上壁部146aは、平面視において略長方形状を呈している(
図11参照)。被押圧部146bは、
図11に示されるように、上壁部146aの中央部の後端から後側に延びている。上述の通り、係止部材146が軸SF2を中心に回動していない状態では、支持部材SPの突起部SP4および被押圧部146bが近接対向する。また、被押圧部146bは、軸受け孔146gに挿通される軸SF2の後側に位置している(
図11、
図12および
図13参照)。前壁部146cは、
図11に示されるように、上壁部146aの下端から下方に延びている。下側延設部146dは、
図11に示されるように、前壁部146cの左右部の下端から下方に延びている。係止部146eは、
図11に示されるように、下側延設部146dの下端から後方に延びている。上述の通り、係止部146eは、蓋体140が閉じられている状態において、本体110の被係止部に対して係止される。後側延設部146fは、
図11に示されるように、前壁部146cの左右端から後方に延びている。なお、
図11に示されるように、後側延設部146fには軸受け孔146gが形成されている。上述の通り、補強部材の軸受け孔および軸受け孔146gが連なった連通孔を形成している状態で軸SF2がこの連通孔に挿通されることで、係止部材146が補強部材に取り付けられることになる。そして、係止部材146は、軸SF2を中心に回動可能となる。なお、係止部材側トーションバネ(図示せず)のコイル部分の内側を軸SF2が通るようにして係止部材側トーションバネが軸SF2に取り付けられている。この係止部材側トーションバネは、非圧力炊飯運転時に被押圧部146bを押圧した時の係止部材146の回動方向(
図12に示されるような右側面視において軸SF2を中心とした時計回り方向)の反対方向(すなわち、右側面視において軸SF2を中心とした反時計回り方向)に係止部材146を付勢している。
【0057】
(7)レバーストッパー
レバーストッパー147は、操作レバーOLおよび補強部材の間に配置される。また、レバーストッパー147は、
図14に示されるように、主に、下壁部147a、左右側壁部147b、後壁部147c、ビス受け部147dおよびレバー受け部147e等から形成されている。下壁部147aは、レバーストッパー147の下壁を構成している。左右側壁部147bは、
図14に示されるように、下壁部147aの左右端から上方に延びている。なお、この左右側壁部147bには軸受け孔147fが形成されている。後壁部147cは、
図14に示されるように、下壁部147aの後端から上方に延びている。ビス受け部147dは、
図14に示されるように、左右側壁部147bの前部の上端から外方に延びている。なお、このビス受け部147dにはビス受け孔147gが形成されている。そして、軸受け孔147fおよび補強部材の軸受け孔が連なった連通孔を形成している状態で軸SF2がこの連通孔に挿通されること、および、ビス受け孔147gおよび補強部材のビス受け孔が連なった連通孔を形成している状態でビス(図示せず)がこの連通孔に螺入されることで、レバーストッパー147が補強部材の上側に取り付けられることになる。レバー受け部147eは、
図14に示されるように、下壁部147aの前端部の左右部から上方に延びている。操作レバーOLの隆起部OL1が下方に押圧され続けるといずれ操作レバーOLの延設部OL7がレバー受け部147eと当接し、この時が押圧による操作レバーOLの回動限界位置となる。
【0058】
4.ヒンジ機構
ヒンジ機構150は、上述の通り、蓋体140が本体110に対して回動自在となるように蓋体140を本体110に取り付けており、締結板金(図示せず)、回動軸151(
図2参照)、ヒンジ機構側トーションバネ(図示せず)およびダンパー(図示せず)等から構成されている。締結板金は、ヒンジ機構150を本体110の保護枠111dのフランジ部Dbに取り付けるための部材である。なお、締結板金には、回動軸151が挿通される軸受け孔が形成されている。回動軸151は、蓋体140を軸中心に回動させるためのものである。ヒンジ機構側トーションバネは、蓋体140を開方向に向かって付勢している。ダンパーは、回動軸151に取り付けられ、蓋体140の開放速度を減衰させる役目を担う。
【0059】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の蓋体の開閉動作について>
ここでは、本発明の実施の形態に係る炊飯器100の蓋体140の開閉動作について説明する。まず、使用者が蓋体140を閉状態としようとするとき、使用者は操作機構142を操作する必要がなく、そのまま蓋体140を本体110に向かって倒し込めばよい。このとき、係止部材146の係止部146eが、本体110の被係止部に形成される傾斜面(図示せず)に接触しながら下方に移動していく。この間、係止部材146は、係止部材側トーションバネの付勢力に逆らって回動する。そして、係止部材146の係止部146eが、本体110の被係止部の下側まで達すると、係止部材側トーションバネの付勢力により係止部材146の係止部146eが本体110の被係止部に対して係止される。このようにして蓋体140が閉状態となる。
【0060】
そして、使用者は、蓋体140を開状態とするとき、操作機構142の操作レバーOLを下方に押圧する(
図12参照)。操作レバーOLが押圧されると、操作レバーOLを介してコイルバネCSおよび支持部材SPも押圧される。そして、係止部材146の被押圧部146bは支持部材SPの突起部SP4によって押圧されることになり、係止部材146の係止部146eが本体110の被係止部に対して係止されている状態を解除しようとする作用が働く。なお、コイルバネCSの付勢力は、蓋体140が閉じられて圧力炊飯運転がされていない時における本体110の被係止部に対する係止部材146の係止部146eの係止力より強くなるように、また、圧力炊飯運転されている時における本体110の被係止部に対する係止部材146の係止部146eの係止力より弱くなるように設計される。これは、圧力炊飯運転されている時においては、蓋体140を外方(上方)に押そうとする力が働いて係止部材146の係止部146eが本体110の被係止部に対して押し付けられるためであり、コイルバネCSの付勢力自体は不変である。そして、圧力炊飯運転されていない時において操作レバーOLが押圧されると、コイルバネCSが圧縮しないか僅かに圧縮された状態のまま係止部材146の被押圧部146bが押圧され続け、最終的に、係止部材146の係止部146eが本体110の被係止部部に対して係止されている状態が解除される(
図12参照)。そして、ヒンジ機構150のヒンジ機構側トーションバネの付勢力により蓋体140が上方に持ち上げられ、蓋体140が開状態となる。なお、圧力炊飯運転されている時においては、蓋体140が開状態となることは安全上好ましくない。このため、圧力炊飯運転されている時においては、操作レバーOLが押圧されると、コイルバネCSは圧縮していき、最終的に、コイルバネCSが圧縮限界に達するまでに操作レバーOLの延設部OL7がレバーストッパー147のレバー受け部147eと当接することで操作レバーOLが押圧による回動限界位置まで達し、係止部材146の係止部146eが本体110の被係止部に対して係止されている状態が維持される(
図13参照)。このように、圧力炊飯運転されている時においては、使用者は蓋体140を開状態とすることができなくなる。
【0061】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、操作レバーOLおよび係止部材146の間に支持部材SPが配置され操作レバーOLおよび支持部材SPの間にコイルバネCSが配置される。そして、操作レバーOLのバネ保持部OL6および支持部材SPのバネ保持部SP2がコイルバネCSの内側を通るようにして、コイルバネCSが操作レバーOL側で保持される。このため、この炊飯器100では、コイルバネCSを保持する保持部材の取付穴を係止部材に形成して係止部材側でコイルバネCSを保持する場合に比べて、係止部材146の強度をできるだけ向上させることができる。したがって、この炊飯器100では圧力炊飯運転時における係止部材146の変形をできるだけ防ぎ、蓋体140の開閉に不具合が生じるおそれをできるだけ低減することができる。
【0062】
(2)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、操作レバーOLが押圧されると支持部材SPの突起部SP4が係止部材146の被押圧部146bを押圧する。このため、この炊飯器100では、支持部材SPが構成されない場合に比べて係止部材146の被押圧部146bを安定的に押圧することができる。
【0063】
(3)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、支持部材SPは、操作レバーOLに対して上下方向に移動可能に嵌合されている。このため、この炊飯器100では、コイルバネCSが圧縮状態または非圧縮状態になることが許容された上で、操作レバーOL側でコイルバネCSをより安定的に保持することができる。
【0064】
(4)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、外装体141の上側外装部材141aに案内部RPが形成され、案内部RPの右側案内部RP1および左側案内部RP2の間には溝GRが形成される。また、操作レバーOLの突起部OL4は、案内部RPの溝GRに沿って移動可能である。このため、この炊飯器100では、操作レバーOLが押圧されて回動する前の状態と、操作レバーOLが押圧により回動してから押圧解除によりトーションバネTSの付勢方向に回動した後の状態とで、できるだけ操作レバーOLの位置が変わらないようにすることができる。
【0065】
(5)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、操作レバーOLの前側部位に排出口OLaが形成されている。このため、この炊飯器100では操作レバーOL上に残留物ができるだけ残らないようにすることができる。
【0066】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、コイルバネCSおよび係止部材146の間に支持部材SPが配置されていた。そして、操作レバーOLの隆起部OL1が押圧されると、係止部材146の突起部SP4が、係止部材146の被押圧部146bを押圧していた。しかし、支持部材SPは構成されなくてもよい。かかる場合、係止部材146の被押圧部146bおよびコイルバネCSが近接対向するようにした上で、操作レバーOLの隆起部OL1が押圧されると、コイルバネCSが係止部材146の被押圧部146bを押圧するとよい。また、操作レバーOLだけでコイルバネCSを保持できるように操作レバーOLが設計されるとよい。
【0067】
(B)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、操作レバーOLは、ABS樹脂から形成されていた。しかし、操作レバーOLは、ABS樹脂以外の樹脂から形成されてもよいし、金属などから形成されてもよい。また、先の実施の形態に係る炊飯器100では、操作レバーOLは、金属メッキされていた。しかし、操作レバーOLは、金属メッキされなくてもよい。また、先の実施の形態に係る炊飯器100では、支持部材SPにバネ保持部SP2が形成されていた。しかし、バネ保持部SP2は形成されなくもよい。
【0068】
(C)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、操作レバーOLの爪部OL8が支持部材SPの嵌合部SP3の内側に配置されることで、支持部材SPが操作レバーOLに対して嵌合されていた。しかし、支持部材SPは、操作レバーOLに対して上下方向に移動可能であれば、操作レバーOLに対して嵌合されなくてもよい。
【0069】
(D)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、外装体141の上側外装部材141aに案内部RPが形成されていた。しかし、案内部RPは形成されなくてもよい。また、先の実施の形態に係る炊飯器100では、操作レバーOLの回動可能範囲内において、案内部RPの右側案内部RP1の左面および左側案内部RP2の右面の間の溝に操作レバーOLの突起部OL4が嵌っていない状態になることがあった。しかし、操作レバーOLの回動可能範囲内において、案内部RPの右側案内部RP1の左面および左側案内部RP2の右面の間の溝に操作レバーOLの突起部OL4が常に嵌っている状態になるように、案内部RPが設計されてもよい。また、先の実施形態に係る炊飯器100では、操作レバーOLに突起部OL4が形成され、外装体141の上側外装部材141aに溝GRが形成されていた。しかし、操作レバーOLに突起部OL4ではなく溝が形成され、外装体141の上側外装部材141aに溝GRではなく突起部が形成され、上側外装部材141aの突起部が操作レバーOLの溝に嵌るようにして、操作レバーOLの軸SF1の軸方向における位置が規定されてもよい。
【0070】
(E)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、操作レバーOLの前側部位(操作レバーOLの軸SF1側の反対側の部位)に排出口OLaが形成されていた。しかし、排出口OLaは形成されなくてもよい。また、排出口OLaが、操作レバーOLの前側部位以外の部位(例えば、操作レバーOLの左右側部位)に形成されてもよい。
【0071】
(F)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、コイルバネCSは、操作レバーOLおよび支持部材SPの間に2つ配置されていた。しかし、コイルバネCSは、操作レバーOLおよび支持部材SPの間に1つ配置されてもよいし3つ以上配置されてもよい。
【0072】
(G)
先の実施の形態に係る炊飯器100では言及しなかったが、操作レバーOLの周壁部OL3の左右面から外方に延びる突起部が形成されてもよい。また、外装体141の上側外装部材141aの下面の左右部に溝が形成された案内部が形成されてもよい。そして、軸SF1を外装体141の上側外装部材141aに固定することで操作レバーOLが前後方向に移動することが規制されることに加えて、操作レバーOLが軸SF1を中心に回動する時にこの突起部がこの溝に沿って移動することでも、操作レバーOLが前後方向に移動することが規制されてもよい。
【0073】
(H)
先の実施の形態では本発明が炊飯器100に適用されたが、本発明は他の圧力式調理器に適用されてもよい。
【0074】
なお、上記変形例(A)~(H)は各例単独で適用されてもよいし、複数の例が組み合わされて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0075】
100 :炊飯器(圧力式調理器)
110 :本体
140 :蓋体
143 :圧力調整機構(圧力調整部)
146 :係止部材
146b :被押圧部
146e :係止部
CS :コイルバネ(付勢部材)
OL :操作レバー
OLa :排出口(開口)
RP :案内部
SF1 :軸
SP :支持部材
SP2 :バネ保持部(付勢部材保持部)