(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021251
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】木質燃料燃焼システム
(51)【国際特許分類】
F23G 5/04 20060101AFI20240208BHJP
F28B 1/06 20060101ALI20240208BHJP
F28F 9/26 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
F23G5/04 D
F28B1/06
F28F9/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123961
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】516047175
【氏名又は名称】三菱重工パワーインダストリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 勘治
(72)【発明者】
【氏名】内田 聡
【テーマコード(参考)】
3K065
3L065
【Fターム(参考)】
3K065AA16
3K065AC17
3K065BA06
3K065BA07
3K065CA13
3L065FA14
(57)【要約】
【課題】復水器によって蒸気と熱交換されたガスで木質燃料を十分に乾燥させることができる木質燃料燃焼システムを提供する。
【解決手段】木質燃料燃焼システムは、木質燃料を燃焼して蒸気を生成するボイラと、ボイラで生成された蒸気をガスとの熱交換により復水させる空冷復水器と、空冷復水器において蒸気と熱交換されたガスである乾燥ガスを搬送するための搬送ラインと、搬送ラインにより搬送された乾燥ガスを、静置されている木質燃料の堆積物に通過させるように構成された静置式乾燥装置と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質燃料を燃焼して蒸気を生成するボイラと、
前記ボイラで生成された前記蒸気をガスとの熱交換により復水させる空冷復水器と、
前記空冷復水器において前記蒸気と熱交換された前記ガスである乾燥ガスを搬送するための搬送ラインと、
前記搬送ラインにより搬送された前記乾燥ガスを、静置されている前記木質燃料の堆積物に通過させるように構成された静置式乾燥装置と、を備える、
木質燃料燃焼システム。
【請求項2】
前記静置式乾燥装置は、前記乾燥ガスを前記木質燃料の前記堆積物に下方から上方に通過させるように構成されている、
請求項1に記載の木質燃料燃焼システム。
【請求項3】
前記木質燃料の前記堆積物の高さの最大値をh1とし、前記木質燃料の前記堆積物を通過する前記乾燥ガスの流速をvとすると、
1.0m<h1<3.0m、且つ0.1m/s<v<0.6m/s
を満たす、
請求項2に記載の木質燃料燃焼システム。
【請求項4】
前記空冷復水器は、
前記蒸気が供給されるヘッダと、
前記ヘッダから下方に延び、上下方向に対して傾斜し、且つ前記蒸気が流通可能な一方側伝熱面と、
前記一方側伝熱面よりも下方に配置され、前記一方側伝熱面に向かって前記ガスを送風する送風機と、
前記ガスの流通方向において前記一方側伝熱面よりも下流側に配置される一方側壁であって、前記一方側伝熱面との間に一方側下流空間を形成して前記上下方向に沿って延びる一方側壁と、を含み、
前記搬送ラインは、
前記静置式乾燥装置における前記木質燃料の前記堆積物が静置される静置空間と前記一方側下流空間とを連通するダクトと、
前記ダクト内に設けられるファンと、を含む、
請求項1から3の何れか一項に記載の木質燃料燃焼システム。
【請求項5】
前記一方側壁から前記一方側伝熱面までの距離をdとすると、前記ダクトの前記一方側下流空間に開口する第1入口は0.6d以下の範囲に位置している、
請求項4に記載の木質燃料燃焼システム。
【請求項6】
前記一方側壁の高さをh2とすると、前記ダクトの前記一方側下流空間に開口する第1入口は0.25h2以上0.6h2以下の範囲に位置している、
請求項4に記載の木質燃料燃焼システム。
【請求項7】
前記ダクトは、一端が前記一方側壁に接続されており、
前記ダクトは、前記一端から前記ダクトの他端に向かうにつれて縮径する縮径部を含む、
請求項4に記載の木質燃料燃焼システム。
【請求項8】
前記ダクトの前記一方側下流空間に開口する第1入口は、下方に開口するとともに、下方に向かうにつれて前記ヘッダを前記上下方向に通過する仮想線から離間するように前記上下方向に対して45度以上傾斜している、
請求項4に記載の木質燃料燃焼システム。
【請求項9】
前記一方側壁の高さは、前記一方側伝熱面の長さの半分以上である、
請求項4に記載の木質燃料燃焼システム。
【請求項10】
前記一方側壁の前記一方側伝熱面側の壁面は、下方に向かうにつれて前記ヘッダを前記上下方向に通過する仮想線から離間するように前記上下方向に対して傾斜している、
請求項4に記載の木質燃料燃焼システム。
【請求項11】
前記空冷復水器は、
前記ヘッダから下方に延び、前記上下方向に対して傾斜し、且つ前記蒸気が流通可能な他方側伝熱面であって、左右方向において前記ヘッダを前記上下方向に通過する仮想線を挟んで前記一方側伝熱面とは反対側に位置する他方側伝熱面と、
前記ガスの流通方向において前記他方側伝熱面よりも下流側に配置される他方側壁であって、前記他方側伝熱面との間に他方側下流空間を形成して前記上下方向に沿って延びる他方側壁と、をさらに含み、
前記ダクトは、
前記一方側下流空間に開口する第1入口が形成される第1抽気部と、
前記他方側下流空間に開口する第2入口が形成される第2抽気部と、を有する、
請求項4に記載の木質燃料燃焼システム。
【請求項12】
前記他方側伝熱面は、前記ヘッダを中心として前記一方側伝熱面と対称に配置され、
前記第2入口は、前記ヘッダを中心として前記第1入口と対称に位置している、
請求項11に記載の木質燃料燃焼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、木質燃料燃焼システムに関する。
【背景技術】
【0002】
木材チップのような木質燃料には多量の水分が含まれていることがあり、木質燃料を燃焼する際には、予め木質燃料を乾燥させることがある。例えば、特許文献1には、ベルトコンベアによって搬送されている木質燃料を、復水器によって蒸気と熱交換された空気(乾燥空気)で乾燥させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、復水器から供給される乾燥空気は低温(50度程度)であるため、特許文献1に記載の技術では、木質燃料が十分に乾燥する前にベルトコンベアによって搬送されてしまう虞がある。
【0005】
本開示は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、復水器によって蒸気と熱交換されたガスで木質燃料を十分に乾燥させることができる木質燃料燃焼システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る木質燃料燃焼システムは、木質燃料を燃焼して蒸気を生成するボイラと、前記ボイラで生成された前記蒸気をガスとの熱交換により復水させる空冷復水器と、前記空冷復水器において前記蒸気と熱交換された前記ガスである乾燥ガスを搬送するための搬送ラインと、前記搬送ラインにより搬送された前記乾燥ガスを、静置されている前記木質燃料の堆積物に通過させるように構成された静置式乾燥装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の木質燃料燃焼システムによれば、復水器によって蒸気と熱交換されたガスで木質燃料を十分に乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る木質燃料燃焼システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る空冷復水器の構成を概略的に示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る搬送ラインの構成を概略的に示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る静置式乾燥装置の構成を概略的に示す図である。
【
図5】第2実施形態に係る空冷復水器の構成を概略的に示す図である。
【
図6】第2実施形態に係る搬送ラインの構成を説明するための図である。
【
図7】幾つかの実施形態に係るダクトの構成を概略的に示す図である。
【
図8】幾つかの実施形態に係る空冷復水器の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態による木質燃料燃焼システムについて、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
<第1実施形態>
(構成)
図1は、第1実施形態に係る木質燃料燃焼システム1の構成を概略的に示す図である。
図1に例示するように、木質燃料燃焼システム1は、ボイラ2と、空冷復水器4と、搬送ライン6と、静置式乾燥装置8と、を含む。
【0011】
ボイラ2は、木質燃料Fを燃焼して蒸気Sを生成する。ボイラ2は、例えば、木質燃料Fを直接燃焼させて高温高圧の蒸気Sを生成する流動床ボイラである。木質燃料Fは、例えば、木材チップである。第1実施形態では、木質燃料燃焼システム1は、ボイラ2で生成した蒸気Sによって回転駆動する蒸気タービン10と、蒸気タービン10の回転エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機12と、をさらに含んでいる。
【0012】
空冷復水器4は、ボイラ2で生成された蒸気SをガスGとの熱交換により復水させる。第1実施形態では、
図1に例示するように、空冷復水器4は、蒸気タービン10から排出される蒸気S(以下、排出蒸気S1とする)を復水させている。木質燃料燃焼システム1は、空冷復水器4から排出される復水Wが貯留される復水タンク14をさらに含んでおり、不図示の復水ポンプによって復水タンク14に貯留されている復水Wをボイラ2に送出し、復水Wから蒸気Sを再生成するようになっている。尚、ボイラ2は、復水Wとは別に給水が供給されるように構成されていてもよい。
【0013】
空冷復水器4の具体的な構成の一例について説明する。
図2は、第1実施形態に係る空冷復水器4の構成を概略的に示す図である。
図2に例示するように、空冷復水器4は、ヘッダ20と、一方側伝熱面22と、他方側伝熱面24と、集合管26と、送風機28と、を含んでいる。
【0014】
ヘッダ20は、蒸気タービン10から排出蒸気S1が供給される配管であって、排出蒸気S1が流通する。ヘッダ20は、上下方向D1と直交する水平方向のうちの一方向に沿って直線状に延びている。本開示では、
図2に例示するように、水平方向のうちヘッダ20が延びる一方向と直交する方向を左右方向D2とする。左右方向D2においてヘッダ20の軸線Oを上下方向D1に通過する仮想線をL1とする。
【0015】
一方側伝熱面22及び他方側伝熱面24のそれぞれは、ヘッダ20から下方に延び、上下方向D1に対して傾斜している。一方側伝熱面22及び他方側伝熱面24のそれぞれは、排出蒸気S1が流通可能に構成されており、例えば、複数の伝熱管(フィンチューブ)を含んでいる。
図2に例示する形態では、他方側伝熱面24は、仮想線L1を挟んで一方側伝熱面22とは反対側に位置する。一方側伝熱面22と他方側伝熱面24との間の間隔23は、ヘッダ20から下方に向かうにつれて大きくなっている。一方側伝熱面22はヘッダ20を中央にして左右方向D2の左側に配置され、他方側伝熱面24はヘッダ20を中央にして左右方向D2の右側に配置されている。他方側伝熱面24は、ヘッダ20を中心として一方側伝熱面22と対称に配置されている。
【0016】
集合管26は、一方側伝熱面22及び他方側伝熱面24のそれぞれの下端に接続されており、一方側伝熱面22及び他方側伝熱面24のそれぞれで生じた復水Wが流れ込み、この復水Wを空冷復水器4から排出する。上述したように、空冷復水器4から排出された復水Wは復水タンク14に貯留される。
【0017】
送風機28は、一方側伝熱面22及び他方側伝熱面24の両方よりも下方に配置され、一方側伝熱面22及び他方側伝熱面24の両方に向かってガスGを送風する。送風機28は、左右方向D2において、一方側伝熱面22の下端と他方側伝熱面24の下端との間に位置している。ガスGは、例えば、空気である。
【0018】
このような第1実施形態に係る空冷復水器4は、一方側伝熱面22及び他方側伝熱面24に下方からガスGを吹き付けて復水処理を実行する。空冷復水器4には、一方側伝熱面22を通過したガスG、及び他方側伝熱面24を通過したガスGのそれぞれが乾燥ガスGd(G)として流通する流通空間25が形成されている。流通空間25は、空冷復水器4をガスGが流通する流通方向において、一方側伝熱面22及び他方側伝熱面24のそれぞれよりも下流側に位置する。流通空間25は、大気に開放している。幾つかの実施形態では、乾燥ガスGdの温度は、40度以上60度以下の範囲に含まれている。
【0019】
搬送ライン6は、空冷復水器4において蒸気Sと熱交換されたガスGである乾燥ガスGdを搬送する。第1実施形態では、
図1に例示するように、搬送ライン6は、一端6aが空冷復水器4に接続され、他端6bが静置式乾燥装置8に接続されている。搬送ライン6は、排出蒸気S1と熱交換された乾燥ガスGdを空冷復水器4から静置式乾燥装置8に搬送する。つまり、搬送ライン6は、流通空間25を流通する乾燥ガスGdを空冷復水器4から静置式乾燥装置8に搬送する。
【0020】
図3は、第1実施形態に係る搬送ライン6の構成を概略的に示す図である。
図3に例示するように、搬送ライン6は、ダクト30と、ファン32と、を含む。ダクト30は、後述する静置空間41と流通空間25とを連通する。
図3に例示する形態では、ダクト30は、一端6aに形成され流通空間25に開口する入口34と、他端6bに形成され静置空間41に開口する出口36と、を含んでいる。ファン32は、ダクト30内に設けられており、不図示の駆動源によって駆動されることで、流通空間25から乾燥ガスGdの一部を抽気し、静置空間41に搬送する。
【0021】
静置式乾燥装置8は、搬送ライン6により搬送された乾燥ガスGdを、静置されている木質燃料Fの堆積物Fmに通過させるように構成されている。第1実施形態では、静置式乾燥装置8は、乾燥ガスGdを木質燃料Fの堆積物Fmに下方から上方に通過させるように構成されている。
図4は、第1実施形態に係る静置式乾燥装置8の構成を概略的に示す図である。
図4に例示するように、静置式乾燥装置8は、内部に静置空間41が形成される本体部40と、静置空間41に配置される静置部42と、を含んでいる。
【0022】
本体部40は、筒形状を有しており、例えば、上方からみた場合に矩形状となる四角筒形状を有している。本体部40には、静置部42よりも下方に搬送ライン6によって搬送された乾燥ガスGdを静置空間41に流入させるための流入口44が形成されている。
図4に例示する形態では、本体部40の下端に流入口44が形成されている。本体部40には、静置部42よりも上方に乾燥ガスGdを静置空間41から流出させるための流出口46が形成されている。
図4に例示する形態では、本体部40の上端に流出口46が形成されている。
【0023】
静置部42は、上下方向D1に沿って延びる複数の孔が形成されたメッシュ状の部材、あるいは床面または床面に取り付けたチューブに乾燥ガス吐出孔を開けた構造である。静置部42は、静置式乾燥装置8に投入された木質燃料Fが静置部42より下方に落下することを抑制可能な篩目を有している。このため、木質燃料Fが静置式乾燥装置8に投入されると、木質燃料Fは静置部42に堆積し、静置空間41内に木質燃料Fの堆積物Fmが形成される。つまり、静置式乾燥装置8は静置空間41内に木質燃料Fの堆積物Fmが静置可能に構成されており、乾燥ガスGdは静置部42、木質燃料Fの堆積物Fmの順に通過する。
【0024】
木質燃料Fの堆積物Fmの高さの最大値をh1とし、木質燃料Fの堆積物Fmを通過する乾燥ガスGdの流速(以下、見かけ流速と記載する)をvとする。第1実施形態では、1.0m<h1<3.0m、且つ0.1m/s<v<0.6m/sを満たす。第1実施形態では、ファン32によって静置空間41に搬送する乾燥ガスGdの流量を調整することで、0.1m/s<v<0.6m/sを満たす。
【0025】
不図示であるが、幾つかの実施形態では、静置式乾燥装置8は、静置空間41内に堆積されている木質燃料Fの堆積物Fmの重量を取得する重量計(ロードセル)をさらに含んでいる。このため、重量計の値を監視することで木質燃料Fの乾燥状態を知ることができる。不図示であるが、幾つかの実施形態では、静置式乾燥装置8は、静置空間41に流入する乾燥ガスGdの温度を取得する流入側温度計と、静置空間41から流出する乾燥ガスGdの温度を取得する流出側温度計と、をさらに含んでいる。このため、流入温度計の値と流出温度計の値との差を監視することで木質燃料Fの乾燥状態を知ることができる。幾つかの実施形態では、静置式乾燥装置8は、流入側温度計と、流出側温度計に代わり堆積物Fmの温度を計測する堆積物温度計と、をさらに含んでいる。静置空間41から流出する乾燥ガスGdの温度測定は容易でない場合があるが、堆積物Fmの温度測定は容易であり、且つ、静置空間41に流入する乾燥ガスGdの温度と堆積物の温度と差から木質燃料Fの乾燥状態を取得可能である。このため、流入温度計の値と堆積物温度計の値との差を監視することでも木質燃料Fの乾燥状態を知ることができる。尚、静置式乾燥装置8は、重量計、流入側温度計、流出側温度計、及び堆積物温度計のすべてを含んでいてもよい。
【0026】
不図示であるが、幾つかの実施形態では、静置式乾燥装置8は、静置空間41に流入する乾燥ガスGdの流量(以下、流入流量と記載する)を取得する流量計をさらに含んでいる。見かけ流速vは、乾燥ガスGdの流量を静置空間41を上下方向D1と直交する方向(水平方向)に切断した場合の静置空間の断面積で割った値である。このため、流量計の値(流入流量)を監視することで木質燃料Fの乾燥に適した見かけ流速vとなっているか否かを知ることができる。
【0027】
(作用・効果)
第1実施形態に係る木質燃料燃焼システム1の作用・効果について説明する。第1実施形態によれば、静置式乾燥装置8は静置空間41内に木質燃料Fの堆積物Fmが静置可能に構成されているので、木質燃料Fの堆積物Fmが十分に乾燥するまで、乾燥ガスGdを木質燃料Fの堆積物Fmに通過させることができる。このため、空冷復水器4によって排出蒸気S1と熱交換された比較的温度の低い乾燥ガスGdで木質燃料Fを十分に乾燥させることができる。具体的には、乾燥ガスGdに含まれている湿分(大気と絶対湿度は同じ)と昇温された温度により乾燥ガスGdの湿球温度が決まり、その領域まで比較的短時間(5時間以内)で乾燥が可能である。従って、乾燥ガス温度が特に60℃以上と高くは無くても乾燥可能である。例えば大気温度15℃、相対湿度60%の空気を空冷復水器で45℃まで加温し、乾燥ガスGdとして使用する場合は1kgの空気で木材チップから9gの水分を乾燥する能力があり、乾燥時間をコントロールすることで含水率100%(乾燥木材と同等の水分が含まれる木材)の木材チップは50%含水率以下に5時間以内に乾燥可能で、ボイラ2の燃焼にとって十分な乾燥木材性能が確保される。
【0028】
第1実施形態によれば、搬送ライン6が設けられることで静置式乾燥装置8を任意の位置に設けることができる。このため、特許文献1と比較して、静置式乾燥装置8のメンテナンス、静置式乾燥装置8への木質燃料Fの投入、及び静置式乾燥装置8からの木質燃料Fの取り出しなどを容易化することができる。
【0029】
第1実施形態によれば、乾燥ガスGdを木質燃料Fの堆積物Fmに下方から上方に通過させることで、別の通過方向で乾燥ガスGdを木質燃料Fの堆積物Fmに通過させる場合と比較して木質燃料Fと乾燥ガスGdとの接触が良好に行われ、木質燃料Fに含まれる水分を水蒸気として乾燥ガスGdとともに木質燃料Fの堆積物Fmの上方に移動させて、木質燃料を効率的に乾燥させることができる。尚、本開示は、乾燥ガスGdの通過方向を下方から上方に限定するものではない。例えば、静置式乾燥装置8は、乾燥ガスGdを木質燃料Fの堆積物Fmに左方から右方に通過させるように構成されてもよい。
【0030】
見かけ流速vが0m/sから徐々に速くなっていくことで木質燃料Fの乾燥効率を向上させることができるが、見かけ流速vがさらに速くなると乾燥ガスGdは互いに隣り合う木質燃料F間に形成されている隙間を優先的に流通し(いわゆる筒抜けが発生し)、木質燃料Fの乾燥効率が低減する虞がある。本発明者らの知見によれば、良好な木質燃料Fの乾燥効率を実現するための見かけ流速vは最大値h1に基づいて設定される。具体的には、1.0m<h1<3.0mである場合には0.1m/s<v<0.6m/sと設定することで良好な木質燃料Fの乾燥効率を実現することができる。第1実施形態によれば、1.0m<h1<3.0m、且つ0.1m/s<v<0.6m/sを満たすので、良好な木質燃料Fの乾燥効率を実現することができる。
【0031】
尚、本開示は、空冷復水器4を第1実施形態で例示した構成に限定するものではない。空冷復水器4は、ボイラ2で生成された蒸気SをガスGとの熱交換により復水させるのであれば、任意の構成を有する。
【0032】
例えば、幾つかの実施形態では、空冷復水器4は、一方側伝熱面22及び他方側伝熱面24のうちの何れか一方を含む。幾つかの実施形態では、空冷復水器4は、一方側伝熱面22と、一方側伝熱面22よりも下方に配置され、一方側伝熱面22に向かってガスGを送風する一方側送風機と、他方側伝熱面24と、一方側送風機とは別に他方側伝熱面24よりも下方に配置され、他方側伝熱面24に向かってガスGを送風する他方側送風機と、を含む。
【0033】
<第2実施形態>
本開示の第2実施形態に係る木質燃料燃焼システム1について説明する。第2実施形態では、空冷復水器4に一方側壁50及び他方側壁52がさらに設けられている。第2実施形態において、第1実施形態の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0034】
(構成)
図5は、第2実施形態に係る空冷復水器4の構成を概略的に示す図である。
図6は、第2実施形態に係る搬送ライン6の構成を説明するための図である。
【0035】
図5に例示するように、空冷復水器4は、一方側壁50と、他方側壁52と、をさらに含む。
【0036】
一方側壁50は、ガスGの流通方向において一方側伝熱面22よりも下流側に配置される。この一方側壁50は、上下方向D1に沿って延びており、一方側伝熱面22との間に一方側下流空間51を形成している。他方側壁52は、ガスGの流通方向において他方側伝熱面24よりも下流側に配置される。この他方側壁52は、上下方向D1に沿って延びており、他方側伝熱面24との間に他方側下流空間53を形成している。他方側壁52は、ヘッダ20を中心として一方側壁50と対称に位置している。一方側壁50と他方側壁52とは互いに同様に構成されており、以下では、一方側壁50の構成について詳細に説明するが、他方側壁52の構成についての説明を省略する。
【0037】
図5に例示する形態では、空冷復水器4は、一方側壁50の下端と一方側伝熱面22の下端に接続されている集合管26とを接続する底板56をさらに含んでいる。底板56は、一方側壁50と一体的に構成されている。一方側下流空間51は、一方側伝熱面22、一方側壁50、及び底板56によって囲われることで画定されている。一方側下流空間51は上方に開口している。尚、底板56は、他方側壁52の下端と他方側伝熱面24の下端に接続されている集合管26とを接続している。
【0038】
不図示であるが、幾つかの実施形態では、空冷復水器4は、一方側壁50と他方側壁52とを接続する壁をさらに含んでおり、一方側壁50、他方側壁52、及び壁によって画定される内部空間内に、一方側伝熱面22の少なくとも一部、及び他方側伝熱面24の少なくとも一部が配置されている。この場合、一方側壁50、他方側壁52、及び壁は、一体的に構成されていてもよい。
【0039】
第2実施形態では、
図6に例示するように、搬送ライン6は、本体部60、第1抽気部62、及び第2抽気部64を有するダクト30と、本体部60に配置されるファン32と、を含んでいる。
【0040】
本体部60は、乾燥ガスGdが搬送ライン6を流通する方向において、下流側の下流端60bに上述した搬送ライン6の他端6bが形成されており、上流側の上流端60aは一方側下流空間51から抽気した乾燥ガスGdと他方側下流空間53から抽気した乾燥ガスGdとが合流するように構成されている。
【0041】
第1抽気部62は、乾燥ガスGdが搬送ライン6を流通する方向において、下流側の下流端62bが本体部60の上流端60aに接続され、上流側の上流端62aが搬送ライン6の一端6aを形成する。そして、この第1抽気部62の上流端62aには、一方側下流空間51に開口する第1入口63が形成されている。
【0042】
第2抽気部64は、乾燥ガスGdが搬送ライン6を流通する方向において、下流側の下流端64bが本体部60の上流端60aに接続され、上流側の上流端64aが搬送ライン6の一端6aを形成する。そして、この第2抽気部64の上流端64aには、他方側下流空間53に開口する第2入口65が形成されている。第2入口65は、ヘッダ20を中心として第1入口63と対称に位置している。第1入口63と第2入口65とは互いに同様に構成されており、以下では、第1入口63の構成について詳細に説明するが、第2入口65の構成についての説明を省略する。
【0043】
第2実施形態では、
図5に例示するように、第1抽気部62が一方側壁50を貫通しており、第1入口63が一方側下流空間51内に位置している。第1入口63が位置する上下方向D1の範囲において、一方側壁50から一方側伝熱面22までの距離をdとすると、第1入口63は0.6d以下の範囲に位置している。一方側壁50の高さをh2とすると、第1入口63は0.25h2以上0.6h2以下の範囲に位置している。第1入口63は、下方に開口するとともに、下方に向かうにつれて仮想線L1から離間するように上下方向D1に対して45度以上傾斜している。幾つかの実施形態では、第1入口63は、一方側伝熱面22よりも上下方向D1に対して大きく傾斜している。
【0044】
第2実施形態では、
図5に例示するように、一方側壁50の上端面はヘッダ20より下方に位置している。一方側壁50の高さh2は、一方側伝熱面22の長さdLの半分以上である。
【0045】
(作用・効果)
第2実施形態に係る木質燃料燃焼システム1の作用・効果について説明する。第2実施形態によれば、一方側壁50、ダクト30及びファン32という比較的安価な設備を追加するだけで、空冷復水器4によって排出蒸気S1と熱交換された比較的温度の低い乾燥ガスGdで木質燃料Fを十分に乾燥させることができる。
【0046】
第2実施形態によれば、第1入口63は0.6d以下の範囲に位置しているので、ダクト30による一方側下流空間51における乾燥ガスGdの乱れを抑制しつつ、乾燥ガスGdを確保することができる。
【0047】
尚、第2実施形態では、第1抽気部62が一方側壁50を貫通しており、第1入口63が一方側下流空間51内に位置していたが、本開示はこの形態に限定されない。
図7は、幾つかの実施形態に係るダクト30の構成を概略的に示す図である。
図7に例示するように、ダクト30は、一方側下流空間51に開口する第1入口63を含む一端66が一方側壁50に接続されている。そして、このダクト30は、一端66からダクト30の他端68に向かうにつれて縮径する縮径部70を含む。
【0048】
図7に例示する形態では、ダクト30の一端66は、一方側壁50の一方側伝熱面22側の壁面59によって囲われている。つまり、第1入口63は、一方側下流空間51に水平方向に面している。幾つかの実施形態では、ダクト30の一端66は、一方側壁50の壁面59よりも一方側下流空間51側とは反対側に位置している。
図7に例示する形態では、縮径部70は、一端66から他端68に向かうにつれて内径が滑らかに変化していくように湾曲形状を有している。幾つかの実施形態では、縮径部79は、一端66から他端68に向かうにつれて内径の変化量が同程度であるように直線形状を有している。
【0049】
第1入口63が0.6h2より上方に位置すると上方から大気を吸い込み、抽気する乾燥ガスGdの温度が低くなり、木質燃料Fの乾燥効率が低減する場合がある。一方で、第1入口63が0.25h2より下方に位置すると一方側壁50に沿って降下する大気を巻き込み、抽気する乾燥ガスGdの温度が低くなり、木質燃料Fの乾燥効率が低減する場合がある。第2実施形態によれば、第1入口63は0.25h2以上0.6h2以下の範囲に位置しているので、木質燃料Fを十分に乾燥させることができる温度を有する乾燥ガスGdを確保することができる。
【0050】
一方側伝熱面22を通過した乾燥ガスGdは、一方側下流空間51を上方に流通する(
図5参照)。このため、第2実施形態によれば、第1入口63を下方に開口させるとともに、上下方向D1に対して45度以上傾斜させることで乾燥ガスGdを第1抽気部62に流入させることが容易になる。
【0051】
一方側壁50の高さh2が一方側伝熱面22の長さdLの半分より小さいと、一方側下流空間51に流入する大気の量が増えて、一方側下流空間51を流通する乾燥ガスGdの温度が低くなり、木質燃料Fの乾燥効率が低減する場合がある。第2実施形態によれば、一方側壁50の高さh2は、一方側伝熱面22の長さdLの半分以上であるので、木質燃料Fを十分に乾燥させることができる温度を有する乾燥ガスGdを確保することができる。
【0052】
尚、第2実施形態では、一方側壁50の一方側伝熱面22側の壁面59は、上下方向D1に延びていたが本開示はこの形態に限定されない。
図8は、幾つかの実施形態に係る空冷復水器4の構成を概略的に示す図である。幾つかの実施形態では、
図8に例示するように、一方側壁50の一方側伝熱面22側の壁面59は、下方に向かうにつれて仮想線L1から離間するように上下方向D1に対して傾斜している。このような構成によれば、一方側壁50を一方側伝熱面22の傾斜に沿って延ばすことで、一方側下流空間51における乾燥ガスGdの乱れを抑制することができる。
【0053】
第2実施形態によれば、ダクト30は一方側下流空間51及び他方側下流空間53の両方から乾燥ガスGdを抽気するので、一方側下流空間51又は他方側下流空間53の何れか一方から抽気する場合と比較して、空冷復水器4の運転への影響を抑制することができる。尚、第2実施形態では、ダクト30は1つの第1抽気部62、及び1つの第2抽気部64を有していたが、本開示はこの形態に限定されない。ダクト30は、複数の第1抽気部62を有していてもよい。ダクト30は、複数の第2抽気部64を有していてもよい。
【0054】
第2実施形態によれば、第2入口65は、ヘッダ20を中心として第1入口63と対称に位置しているので、空冷復水器4の運転への影響をさらに抑制することができる。
【0055】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0056】
[1]本開示に係る木質燃料燃焼システム(1)は、
木質燃料(F)を燃焼して蒸気(S)を生成するボイラ(2)と、
前記ボイラで生成された前記蒸気をガス(G)との熱交換により復水させる空冷復水器と(4)、
前記空冷復水器において前記蒸気と熱交換された前記ガスである乾燥ガス(Gd)を搬送するための搬送ライン(6)と、
前記搬送ラインにより搬送された前記乾燥ガスを、静置されている前記木質燃料の堆積物(Fm)に通過させるように構成された静置式乾燥装置(8)と、を備える。
【0057】
上記[1]に記載の構成によれば、木質燃料の堆積物は静置式乾燥装置に静置されているので、木質燃料の堆積物が十分に乾燥するまで乾燥ガスを木質燃料の堆積物に通過させることができる。このため、空冷復水器によって蒸気と熱交換されたガス(乾燥ガス)で木質燃料を十分に乾燥させることができる。また、搬送ラインが設けられることで静置式乾燥装置を任意の位置に設けることができる。
【0058】
[2]幾つかの実施形態では、上記[1]に記載の構成において、
前記静置式乾燥装置は、前記乾燥ガスを前記木質燃料の前記堆積物に下方から上方に通過させるように構成されている。
【0059】
上記[2]に記載の構成によれば、乾燥ガスを木質燃料の堆積物に下方から上方に通過させることで、木質燃料の堆積物に含まれる木質燃料のそれぞれと乾燥ガスとの接触が比較的良好に行われ、木質燃料のそれぞれに含まれる水分を水蒸気として乾燥ガスとともに木質燃料の堆積物の上方に移動させて、木質燃料のそれぞれを効率的に乾燥させることができる。
【0060】
[3]幾つかの実施形態では、上記[2]に記載の構成において、
前記木質燃料の前記堆積物の高さの最大値をh1とし、前記木質燃料の前記堆積物を通過する前記乾燥ガスの流速をvとすると、
1.0m<h1<3.0m、且つ0.1m/s<v<0.6m/s
を満たす。
【0061】
流速vが0m/sから徐々に速くなっていくことで木質燃料の乾燥効率を向上させることができるが、流速vがさらに速くなると乾燥ガスは互いに隣り合う木質燃料間に形成されている隙間を優先的に流通し(いわゆる筒抜けが発生し)、木質燃料の乾燥効率が低減する虞がある。本発明者らの知見によれば、良好な木質燃料の乾燥効率を実現するための流速vは最大値h1に基づいて設定される。具体的には、1.0m<h1<3.0mである場合には0.1m/s<v<0.6m/sと設定することで良好な木質燃料の乾燥効率を実現することができる。このため、上記[3]に記載の構成によれば、良好な木質燃料の乾燥効率を実現することができる。
【0062】
[4]幾つかの実施形態では、上記[1]から[3]の何れか1つに記載の構成において、
前記空冷復水器は、
前記蒸気が供給されるヘッダ(20)と、
前記ヘッダから下方に延び、上下方向(D1)に対して傾斜し、且つ前記蒸気が流通可能な一方側伝熱面(22)と、
前記一方側伝熱面よりも下方に配置され、前記一方側伝熱面に向かって前記ガスを送風する送風機(28)と、
前記ガスの流通方向において前記一方側伝熱面よりも下流側に配置される一方側壁であって、前記一方側伝熱面との間に一方側下流空間(51)を形成して前記上下方向に沿って延びる一方側壁(50)と、を含み、
前記搬送ラインは、
前記静置式乾燥装置における前記木質燃料の前記堆積物が静置される静置空間(41)と前記一方側下流空間とを連通するダクト(30)と、
前記ダクト内に設けられるファン(32)と、を含む。
【0063】
上記[4]に記載の構成によれば、一方側壁、ダクト及びファンという比較的安価な設備を追加するだけで、復水器によって蒸気と熱交換されたガス(乾燥ガス)で木質燃料を十分に乾燥させることができる。
【0064】
[5]幾つかの実施形態では、上記[4]に記載の構成において、
前記一方側壁から前記一方側伝熱面までの距離をdとすると、前記ダクトの前記一方側下流空間に開口する第1入口(63)は0.6d以下の範囲に位置している。
【0065】
第1入口が0.6より大きい範囲に位置していると、ダクトによる一方側下流空間における乾燥ガスの乱れが大きい。上記[5]に記載の構成によれば、一方側下流空間における乾燥ガスの乱れを抑制しつつ、乾燥ガスを確保することができる。
【0066】
[6]幾つかの実施形態では、上記[4]又は[5]に記載の構成において、
前記一方側壁の高さをh2とすると、前記ダクトの前記一方側下流空間に開口する第1入口は0.25h2以上0.6h2以下の範囲に位置している。
【0067】
第1入口が0.6h2より上方に位置すると上方から大気を吸い込んで乾燥ガスの温度が低くなり、木質燃料の乾燥効率が低減する場合がある。一方で、第1入口が0.25h2より下方に位置すると一方側壁に沿って降下する大気を巻き込んで温度が下がり、木質燃料の乾燥効率が低減する場合がある。上記[6]に記載の構成によれば、木質燃料を十分に乾燥させることができる温度を有する乾燥ガスを確保することができる。
【0068】
[7]幾つかの実施形態では、上記[4]から[6]の何れか1つに記載の構成において、
前記ダクトは、一端が前記一方側壁に接続されており、
前記ダクトは、前記一端から前記ダクトの他端に向かうにつれて縮径する縮径部を含む。
【0069】
上記[7]に記載の構成によれば、ダクトは、一方側下流空間に対して水平方向に開口することになる。この場合、縮径部を設けることで、ダクトに流入する乾燥ガスの量を増やすことができる。
【0070】
[8]幾つかの実施形態では、上記[4]から[7]の何れか1つに記載の構成において、
前記ダクトの前記一方側下流空間に開口する第1入口は、下方に開口するとともに、下方に向かうにつれて前記ヘッダを前記上下方向に通過する仮想線(L1)から離間するように前記上下方向に対して45度以上傾斜している。
【0071】
一方側伝熱面を通過した乾燥ガスは、仮想線に対して傾斜して一方側下流空間を上方に流通することがある。このため、上記[8]に記載の構成によれば、ダクトの第1入口を乾燥ガスの流通方向に対して垂直又はほぼ垂直に開口させて、乾燥ガスをダクトに流入させることが容易になる。
【0072】
[9]幾つかの実施形態では、上記[4]から[8]の何れか1つに記載の構成において、
前記一方側壁の高さ(h2)は、前記一方側伝熱面の長さの半分以上である。
【0073】
一方側壁の高さが一方側伝熱面の長さの半分より小さいと、一方側下流空間に流入する大気の量が増えて、一方側下流空間を流通する乾燥ガスの温度が低くなり、木質燃料の乾燥効率が低減する場合がある。上記[9]に記載の構成によれば、木質燃料を十分に乾燥させることができる温度を有する乾燥ガスを確保することができる。
【0074】
[10]幾つかの実施形態では、上記[4]から[9]の何れか1つに記載の構成において、
前記一方側壁の前記一方側伝熱面側の壁面(59)は、下方に向かうにつれて前記ヘッダを前記上下方向に通過する仮想線から離間するように前記上下方向に対して傾斜している。
【0075】
上記[10]に記載の構成によれば、一方側壁を一方側伝熱面の傾斜に沿って延ばすことで、一方側下流空間における乾燥ガスの乱れを抑制することができる。
【0076】
[11]幾つかの実施形態では、上記[4]から[10]の何れか1つに記載の構成において、
前記空冷復水器は、
前記ヘッダから下方に延び、前記上下方向に対して傾斜し、且つ前記蒸気が流通可能な他方側伝熱面であって、左右方向(D2)において前記ヘッダを前記上下方向に通過する仮想線を挟んで前記一方側伝熱面とは反対側に位置する他方側伝熱面(24)と、
前記ガスの流通方向において前記他方側伝熱面よりも下流側に配置される他方側壁であって、前記他方側伝熱面との間に他方側下流空間(53)を形成して前記上下方向に沿って延びる他方側壁(52)と、をさらに含み、
前記ダクトは、
前記一方側下流空間に開口する第1入口が形成される第1抽気部(62)と、
前記他方側下流空間に開口する第2入口(65)が形成される第2抽気部(64)と、を有する。
【0077】
上記[11]に記載の構成によれば、ダクトは一方側下流空間及び他方側下流空間の両方から乾燥ガスを抽気するので、一方側下流空間又は他方側下流空間の何れか一方から抽気する場合と比較して、空冷復水器の運転への影響を抑制することができる。
【0078】
[12]幾つかの実施形態では、上記[11]に記載の構成において、
前記他方側伝熱面は、前記ヘッダを中心として前記一方側伝熱面と対称に配置され、
前記第2入口は、前記ヘッダを中心として前記第1入口と対称に位置している。
【0079】
上記[12]に記載の構成によれば、空冷復水器の運転への影響をさらに抑制することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 木質燃料燃焼システム
2 ボイラ
4 空冷復水器
6 搬送ライン
8 静置式乾燥装置
20 ヘッダ
22 一方側伝熱面
24 他方側伝熱面
25 流通空間
26 集合管
28 送風機
30 ダクト
32 ファン
41 静置空間
50 一方側壁
51 一方側下流空間
52 他方側壁
53 他方側下流空間
59 一方側壁の壁面
62 第1抽気部
63 第1入口
64 第2抽気部
65 第2入口
D1 上下方向
D2 左右方向
F 木質燃料
Fm 堆積物
G ガス
Gd 乾燥ガス
L1 仮想線
S 蒸気