(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021254
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】運送情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0833 20230101AFI20240208BHJP
【FI】
G06Q10/08 306
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123965
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】399119479
【氏名又は名称】福山通運株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小丸 成洋
(72)【発明者】
【氏名】熊野 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】藤田 眞司
(72)【発明者】
【氏名】矢木野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正人
(72)【発明者】
【氏名】荻野 隆彦
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】事業所間の積み合わせ貨物の運送を行う輸送方式において、効率的でかつ制御しようとする荷物や運行車両等を予測通りに行われているかを確認できる運送情報処理システムを提供する。
【解決手段】 荷物の集荷段階で、時間を考慮した複数の輸送手段の運行コースを列車ダイヤに似た時間を考慮したダイヤグラムを作成して複数の輸送ルートを設定する。そして、発店から着点までの運行コースを設定し、発店から着店までに荷物が搭載されるコンテナとして運送情報処理システム上に仮想のコンテナを設定し、同じ着店に運送される荷物を同一の仮想コンテナに搭載されたものとして、運送情報処理システム上で扱う。仮想のコンテナに搭載された荷物は、発店から着店まで運送される間、選定された運行コースの輸送手段に仮想のコンテナに搭載されていることが確認しながら運送する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、顧客の荷物の発送元である発店の情報処理装置、前記荷物の発送先である着店の情報処理装置、全体を制御する運送情報処理装置が通信網を介して接続され、これら各前記情報処理装置と、前記運送情報処理装置との間で前記荷物の運送に関する情報を処理して、前記発店から前記着店への前記荷物の運送を管理する運送情報処理シテスムにおいて、
前記運送情報処理装置は、
前記発店から前記着店までの輸送ルートを示す複数の店間輸送ダイヤグラムから、運送する前記荷物の運送コスト、到着時間、輸送時間が顧客の条件にあう店間輸送ダイヤグラムを選択し、店間輸送ダイヤグラムにより前記荷物の輸送を管理する管理手段を備え、
前記店間輸送ダイヤグラムは、前記発店、前記着店、または前記発店から前記着店の間に存在する拠点間を結ぶ輸送ルートについて輸送手段の出発する発拠点と発時刻、および到着する着拠点と着時刻、並びにその輸送時間を表す運行コースから構成されている
ことを特徴とする運送情報処理シテスム。
【請求項2】
請求項1に記載の運送情報処理システムにおいて、
前記運送情報処理装置は、
前記発拠点で明示され、前記着拠点への荷物が積載される収納容器として、仮想コンテナを作成し、前記仮想コンテナに同一の前記着拠点を宛先とする前記荷物を収納して運送されるとして、前記荷物の輸送を管理する、
ことを特徴とする運送情報処理シテスム。
【請求項3】
請求項2に記載の運送情報処理システムにおいて、
前記仮想コンテナは、前記着拠点への荷物が積載される第一の仮想コンテナと、前記選定された店間輸送ダイヤグラムの運行ルートの輸送手段に積載され、前記第一の仮想コンテナが積載される第二の仮想コンテナとを有する、
ことを特徴とする運送情報処理システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載の運送情報処理システムにおいて、
前記荷物の荷作業を行う前記発拠点、前記着拠点、荷物の集約を行う集約拠点は、荷作業を行う作業員が携行するハンディターミナルを備えており、
作業員が荷作業を行う際には、前記仮想コンテナに紐づけされた前記荷物の識別記号が前記ハンディターミナルに表示されて、荷作業の確認が行われる、
ことを特徴とする運送情報処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の運送情報処理システムにおいて、
前記ハンディターミナルには、測位シテスムの受信装置と、受信した測位情報である緯度経度情報を記憶または送信する装置を備え、
前記運送情報処理装置は、集荷作業または配達作業で測位した顧客の住所を測位した経度緯度情報で記憶設定する、
ことを特徴とする運送情報処理シテスム。
【請求項6】
請求項2または3に記載の運送情報処理システムにおいて、
前記運送情報処理装置は、
同一の仮想コンテナに、同一の荷物識別記号が付された荷物が、集荷されても、同一仮想コンテナに搭載される場合には、一つのグループの荷物として、同一仮想コンテナに積載されたものとして処理する、
ことを特徴とする運送情報処理シテスム。
【請求項7】
請求項2または3に記載の運送情報処理システムにおいて、
前記運送情報処理装置は、
前記荷物を運送する車両が搭載して前記運送情報処理装置に送信する車両の位置、走行速度などの車両の走行データは、発送拠点から車両が出発して、次に到達する拠点の近傍に設定されたプライオリティエリアに入る予測時間まで、走行データの収集または処理を抑止し、予測時間を経過すると、前記抑止を解除する、
ことを特徴とする運送情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運送情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
運送会社の支店、営業所などの事業場において、集貨された貨物の仕分けを行い、集貨された貨物を組合わせて他の事業場に運送し、当該他の事業場において、運送された荷物の配達に必要な仕分けを行う者であって、これらの事業場間における当該積み合わせた荷物の運行を定期的に行うものを、特別積合せ貨物運送事業という(貨物自動車運送事業法第2条第6項)。この特別積合せ貨物運送は、言い換えると、不特定多数の顧客から集荷した荷物を事業所間で運送する幹線輸送と、各事業所から着荷主に届けるまたは発荷主から集荷するラストワンマイル輸送とで成り立っている。この事業所間を結ぶ運行車両等による輸送は運行コースと称される。
【0003】
これらの幹線輸送での運行コースの運用では、コストの視点でのみから運行車両の積載効率の向上が図られてきたが、今後は、できるだけ少ない便数で多量の荷物を安定的に輸送することが望まれると考えられる。このため、さらなる輸送効率の向上と輸送品質の向上とを兼ね備えた輸送が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-112226号公報(従来技術での記載)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の運行コースの設定では、運行コスト上の理由から、集荷した荷物が発店からある運行コースに積載されたことは分かるが、どのように、着店まで輸送されるかの見える化が十分でなかった。例えば、九州の支店から、大阪の支店まで荷物を運送する場合に、九州の支店から集約店まで運送されるのは分かるが、集約店で何時の定期便に積載され、どのような中継店を経由して、いつ頃までに、大阪の支店に輸送されるかが、発店または着店ではわからない場合があった。
【0006】
また、不特定多数の顧客の荷物を混載する特別積合せ貨物運送では、同一の着店に輸送される荷物を同一の収納容器に収納して輸送する場合がある。このような収納容器として、例えば、宅配便事業者は、ロールボックスパレット(以下パレットという)やカゴ車を用いて、同一の着店への荷物を仕分けるようにしている。このパレットやカゴ車に荷物をまとめて収納して一体と取り扱うことは、パレットやカゴ車への積載が発店から着店への輸送の予約でかつ実施となるので、パレットやカゴ車(パレットやカゴ車のような運送用収納容器を以下コンテナという)の輸送が、物流の発生店から着店への移動を意味しており、その輸送ルートが確保されることとなって、荷物の円滑で効率的な輸送を管理できる。
【0007】
このコンテナを用いる輸送方式は、輸送の発店、着店で互いに同じ性質の同じ量の荷物が存在する場合は最適な輸送方式となる。しかしながら、輸送の需要からみると必ずしもバランスがとれた状態とはなっていない。行きは満載であっても、帰りはほとんど空の状態で、物理的なコンテナを返送する輸送コストが発生している。また発着荷物の偏りが小さい輸送ネットワークを持つ事業者の場合は、空になったコンテナの輸送負荷は小さいかもしれないが、輸送が一方向に偏る傾向が強い荷物を輸送する事業者の場合は、空のコンテナの輸送は、輸送コストの負担が大きい。
【0008】
また、荷物の集荷、発集約店や着集約店での仕分け、車両への積み込み、配達では、作業員が、ハンディターミナルを用いて、荷物に貼付された荷札のバーコード、二次元コードなどの識別記号を読み取る作業がなされ、そのデータが、中央の情報処理装置に送信されて、荷物の運送を把握する運送情報処理システムが構築されている。しかし、ハンディターミナルでの読み取りは、荷物の現状を把握するためのものとして機能しており、現状の状況に反応してそれを記録する運送情報処理システムに過ぎなかった。逆に、今後、どのように、荷物が運送されるかを予測する輸送計画に基づいて、各時点でその予測を確認でき、予測と異なった事象が生じたかを知らせることができる運送情報処理システムではなかった。
【0009】
特別積合せ貨物運送事業者として、出願人は、日ごと、数千台もの車両を運行している。運行する各車両には、測地システムとしてのGPS(Global Positioning System)端末を搭載し、リアルタイムで運行する車両の位置や速度等の運行データを収集し、中央の情報処理装置で、各車両の運行状態を把握できる運送情報処理システムを運用している。しかし、常に、リアルタイムでかつ短い時間間隔で、各車両の運行状態のデータを収集し、それを中央の情報処理装置で処理するとなると、その負荷は膨大なものとなる。
【0010】
また、従来の運送情報処理システムでは、発荷主、着荷主の住所については、荷物に貼付する荷札に記載された住所名に基づいて管理するものであった。しかし、運送情報処理システム上では、緯度経度情報に変換して処理することが運行コースの設定や集配のルーティングの設定において、緯度経度で表された地図情報データとの相性がよい。一方、文字で表された住所表示は、配達などを行う作業員が認知する上では便利であるが、運送情報処理システムとして処理する上では、地図情報との相性はよくない。
【0011】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、実空間での動作や結果を計画・予測し、予測通りの作業が行われていることを確認できる運送情報処理シテスムを提供しようとするものである。また、効率的でかつ高品質の輸送を提供できる運送情報処理シテスムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、少なくとも、顧客の荷物の発送元である発店の情報処理装置、荷物の発送先である着店の情報処理装置、全体を制御する運送情報処理装置が通信網を介して接続され、これら各情報処理装置と、運送情報処理装置との間で荷物の運送に関する情報を処理して、発店から着店への荷物の運送を管理する運送情報処理シテスムにおいて、運送情報処理装置は、発店から着店までの輸送ルートを示す複数の店間輸送ダイヤグラムから、運送する荷物の運送コスト、到着時間、輸送時間が顧客の条件にあう店間輸送ダイヤグラムを選択し、店間輸送ダイヤグラムにより荷物の輸送を管理する管理手段を備え、店間輸送ダイヤグラムは、発店、着店、または発店から着店の間に存在する拠点間を結ぶ輸送ルートについて輸送手段の出発する拠点と発時刻、および到着する拠点と着時刻、並びにその輸送時間を表す運行コースから構成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、運送する荷物がどのように発店から着店まで輸送されるのかが各段階で見える化されるので、中継荷作業、着店での到着時刻や到着量、配達先が分かる。そのため、配達作業計画を立てることができる。また、荷物の運送の予測が立てやすくなるので、運送の隘路を予測して回避するルートの選択が可能となる。また、荷物運送に係る情報処理の負荷が軽減でき、運送情報処理シテスムのコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、荷物の運送が複数の運行本発明が実施される特別積合せ貨物運送事業の発荷主から着荷主へ荷物が運送される運送のネットワークを簡略して概念化した図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態の運送情報処理システムの概略構成を示す図である。
【
図3】
図3は、荷物の運送が複数の運行コースを経由して運送されることを示す図である。
【
図4】
図4は、運送情報処理装置が有する店間輸送ダイヤグラムの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4の店間輸送ダイヤグラムの詳細を示す図である。
【
図6】
図6は、
図4の店間輸送ダイヤグラムの詳細を示す他の図である。
【
図7】
図7は、
図4の店間輸送ダイヤグラムの詳細を示す他の図である。
【
図8】
図8は、仮想コンテナによる輸送管理のイメージを示す図である。
【
図9】
図9は、仮想コンテナが分割される場合のイメージを示す図である。
【
図10】
図10は、運送情報処理システムに基づく運送情報処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、運送荷物受け付け処理を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、仮想コンテナによる店間輸送ダイヤグラムの予約処理を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、店間輸送ダイヤグラムに基づく輸送処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<特別積合せ貨物運送の概略>
図1は、発荷主から着荷主へ物品(以下、荷物と称する)が、特別積み合わせ貨物運送事業者(以下、事業者と称する)の運行車両により運送される様子を表したものである。
【0016】
まず、事業者の発店では、顧客である発荷主から着荷主に運送される荷物が集荷などによって受け付けられる。この受け付けた荷物は、発店から、エリアを統括して荷物を集約する発集約店に運送されて集約される。この発店から発集約店までの運送を横持ともいう。
【0017】
発集約店では、発店から集められた荷物の仕分けを行って、着集約店へ向けて車両などの輸送手段で運送する。この運送は、幹線の輸送ルートで行うので、幹線輸送ともいう。
【0018】
着集約店では、到着した荷物を、荷物の着店ごとに仕分し、着荷主のエリアにあって着荷主への配達を担う着店へ向けて運送する。そして、着店から、到着した荷物が顧客である着荷主に配達される。このような運送の他に、発店から着店へ直接運送される場合、発集約店から他の店に立ち寄ってから、着集約店へ運送される場合もある。
【0019】
発店は、荷物の輸送を依頼する顧客の集荷エリアにある拠点である。例えば営業所であり、ここで、顧客の荷物を集荷、持ち込みなどで受け入れる。発集約店は、エリアを統括し荷物の集積・集約を行う拠点である。発集約店は、仕分け機能を有し、複数の発店から運送されてきた荷物を、着集約店向けに仕分けして、幹線を運行する運行車両や鉄道・船舶などの輸送手段に積み合わせて積載して発送する。着集約店は、荷物の着店のエリアにある集積・集約を行う拠点である。着集約店では、発集約店から輸送されてきた荷物の仕分けを行い、運行車両によって着店に向けて発送する。着店は、配達エリアにある拠点であり、当該エリアの営業所に相当する。着店では、着集約店から輸送されてきた荷物を顧客である着荷主に届ける。着店での荷物の着荷主へ届ける方法は、配達の他、荷主が取りに来るなどの方法もある。
【0020】
<運送情報処理システムの概略>
図2は、発店から着店への荷物の輸送を管理する運送情報処理システムの概略構成を示す図である。
【0021】
運送情報処理システムにおいて、発店、発集約店、着集約店、着店、荷物の発送を依頼する発荷主には、情報処理装置である情報処理端末1-1~1-5(以下、個々に区別する必要がない場合、単に、情報処理端末1と称する。他の場合も同様である)が、それぞれ設置されている。また、発店、発集約店、着集約店、着店には、荷物の集配や仕分け、積載、荷降ろしなどの荷作業を行う作業員が携行する情報処理装置であるハンディターミナル2-1~2-4が備えられている。さらに、運送情報処理システムの中央情報処理装置に相当し、各店の情報処理端末1やハンディターミナル2と結んで、相互にデータのやり取りを行う運送情報処理装置3が設けられている。
【0022】
これらの各店の情報処理端末1およびハンディターミナル2、並びに運送情報処理装置3は、専用回線、無線回線、インターネットなどの通信網4を介して、接続されており、相互に各種情報の送受信が可能である。
【0023】
情報処理端末1は、キーボード、バーコードリーダ、スキャナー等の入力部、データを表示する表示出力装置、データをラベルやバーコードとして印字できる印刷装置、通信網4を介してデータの送受信をする通信部、各種データを記憶している記憶部、各種処理プログラムに従って各部を制御する制御部を備えている。
【0024】
発荷主である顧客は、運送を依頼したい荷物について、その大きさ、内容、重量、届け先の情報などを入力し、送り状、荷物に貼付する荷札の印刷もできる。特別積合せ貨物輸送では、業者間の荷物の輸送に特化した、B2B(Business to Business)の業務を行うものがある。業者間であれば、荷物の依頼者は、定常的に自社から送りたい荷物の情報を入力し、輸送事業者に集荷・運送を依頼するのが通常であるので、本運送情報処理システムでも、依頼者のもとに情報処理端末1-5を置いて、通信網4を介して、運送情報処理装置3に接続して荷物の情報を入力して予約する形態をとることができる。また、顧客は、情報処理端末1-5を介して、直接運送情報処理システムにアクセス可能としたり、本運送情報処理システムのWEBサイトを介して荷物情報などを入力することも可能である。
【0025】
ハンディターミナル2は、入力ボタン、バーコードリーダ、スキャナー等の入力部、データを表示する表示出力装置、データをラベルやバーコードとして印字できる印刷装置、自装置の緯度経度情報を取得するGPS装置、通信網4を介してデータの送受信をする通信部、各種データを記憶している記憶部、各種処理プログラムに従って情報処理を行い各部を制御する制御部を備えている。
【0026】
なお、各ハンディターミナル2は、WiFi(登録商標)やその他の無線装置を搭載しており、通信網4に直接接続して運送情報処理システムとデータの送受信が可能であるが、各店においては、LAN(Local Area Network)を構築して、LANを経由して運送情報処理システムの通信網4に接続する形態であってもよい。
【0027】
運送情報処理装置3は、キーボード等の入力部、データを表示する表示出力装置、通信網4を介してデータの送受信をする通信部、各種データを記憶している記憶部、各種処理プログラムに従って各部を制御する制御部を備えている。なお、この運送情報処理装置3は、中央情報処理装置として表しているが、その情報処理は、クラウドでの処理としてもよく、また、情報ネットワークでの分散処理システムとして構成することも可能である。
【0028】
詳細は後述するが、運送情報処理装置3は、顧客から受け付けた荷物の発店から着店までの輸送ルートを示す複数の店間輸送ダイヤグラムから、運送する荷物の運送コスト、到着時間、輸送時間が顧客の条件にあう店間輸送ダイヤグラムを選択し、店間輸送ダイヤグラムにより荷物の輸送を管理する。店間輸送ダイヤグラムは、発店、着店、または発店から着店の間に存在する拠点間を結ぶ輸送ルートについて輸送手段の出発する拠点と発時刻、および到着する拠点と着時刻、並びにその輸送時間を表す運行コースから構成されている。また、同じ発店から同じ着店に配送される荷物群は、1つの仮想コンテナに登録され、運送情報処理システム上、店間輸送ダイヤグラムを構成する複数の運行コースの運行車両に積載されて輸送されるものとして管理される。そのため、仮想コンテナに登録された荷物は、実際は、店間輸送ダイヤグラムを構成する運行コースの運行車両に積載されて着店に輸送される。
【0029】
<店間輸送ダイヤグラム>
店間輸送ダイヤグラムについて説明する。
図3は、荷物の運送が複数の運行コースを経由して運送されることを示す図である。
図3の例では、発集約店から着集約店への輸送のルートとして直行する輸送のルートと、途中に、中継店に立ち寄る輸送のルートが設けられている。このような店間の輸送ルートは、時間経過に従って表したダイヤグラムとして表すことができる。すなわち、輸送手段として運行する運行車両、鉄道、船舶、その他の輸送手段を用いて、荷物の発送元である発集約店(発店)から荷物の輸送先である着集約店(着店)までの輸送手段の輸送ルートを列車ダイヤグラムと同様の店間輸送ダイヤグラムとして表すことができる。
【0030】
図4は、運行コースと店間輸送ダイヤグラムの例を示す。点線の矢印は、運行コースである。実線の矢印は店間輸送ダイヤグラムである。運行コースは、発店、着店、または発店と着店の間に存在する中継店を結ぶ輸送ルートについて、輸送手段の出発する店と発時刻、および到着する店と着時刻、並びにその輸送時間を表す。店間輸送ダイヤグラムは、運行コースの組み合わせ(ネットワーク)であって、発店から着店までの輸送経路およびスケジュール(以下、輸送ルートと称する)を表す。
図4の例では、東京支店から福山支店の輸送ルートとしての、3本の店間輸送ダイヤグラムD1,D2,D3が示されている。店間輸送ダイヤグラムD1は、発店から着店に直行する輸送ルートを、店間輸送ダイヤグラムD2は、発店から、いったん、発集約店に荷物を集約し、着集約店に輸送し、着集約店から着店に輸送する輸送ルートを、そして店間輸送ダイヤグラムD3は、発店から中継店に立ち寄り、中継店でいったん仮置き、その後、着店に輸送する輸送ルートである。
【0031】
例えば発店の作業員が、情報処理端末1-1に、荷物の発送元である発店、荷物の発送先である着店と希望着時刻、荷物の重量を入力する(仮想コンテナを指定することで入力する)と、その情報が運送情報処理装置3に供給され、運送情報処理装置3において、輸送時間や到着時間の短いものから、順に、5個から6個ほどの店間輸送ダイヤグラムが抽出される。運行コースは、運送情報処理装置3の運行データベースに予め登録されている。
【0032】
一般に、発集約店から着集約店までを結ぶ幹線ルートを車両、鉄道などの輸送手段で輸送されるルートを運行コースというが、集約店でなくても、荷物の発送や到着量の多い店間を結ぶ運行コースも存在する。また、幹線ルートも途中中継店があり、必ずしも発集約店と着集約店とを直行するルートだけが運行コースではない。本明細書では、発店から着店までの輸送手段のルートを運行コースとした。
【0033】
運行コースは、(発時刻,出発地)と(着時刻,到着地)を表すノードと、次の3つのエッジから構成される。
第一は、異なる店のノードを結ぶ運行コースを意味するエッジである。
第二は、運行車両の中継店での到着を示すノードと出発を示すノードとを接続するエッジである。
第三は、同じ店での到着を示すノードから出発を示すノードを接続する、中継を意味するエッジである。
【0034】
ユーザは、運行指令に基づいて所定の情報を運送情報処理装置3に入力すると、運送情報処理装置3では、以下のように運行コースが作成され、運行データベースに登録される。なお運行データベースは、各店を結ぶ車両、列車・船舶を利用する効率的な輸送計画が数理的手法やAI(Artificial Intellignece)に基づいて作成される。
運行指令で発店から着店まで直行する場合、
ノード(発時刻,発店)とノード(着時刻,着店)と、それらを結ぶ運行としてのエッジとで作成される。このとき、エッジの重みは、ノード間の時間差になる。
運行指令で中継店がある場合、
(A)ノード(発時刻,発店)とノード(着時刻,中継店)と、それらを結ぶ運行としてのエッジとで作成される。エッジの重みは、ノード間の時間差になる。
(B)中継店でのノード(着時刻,中継店)と、その中継店から次の中継店、もしくは着店へ出発するノード(発時刻,中継店)と、それらを結ぶエッジとで作成される。
また、中継店が繰り返される場合、上記の(A)と(B)の繰り返しとなる。
【0035】
運行指令のこれらの作業が終了した後は、到着を意味するノードから出発を意味するノードに対して、荷物を中継する時間的余裕がある場合は、そのノード間が中継エッジとして結ばれる。
【0036】
図4における店間輸送ダイヤグラムD1は、
図5に示すように「ノード(19:00,東京支店)⇒ノード(32:00,福山支店)」の運行車両運行コースからなる。店間輸送ダイヤグラムD2は、
図6に示すように、「ノード(21:00,東京支店)⇒ノード(21:40,品川駅)」の運行車両運行コース、「ノード(21:40,品川駅)⇒ノード(23:00,品川駅)」のコンテナ列車積載待ち(中継エッジ)、「ノード(23:00,品川駅)⇒ノード(35:00,福山駅)」のコンテナ列車、「ノード(35:00,福山駅)⇒ノード(36:00,福山駅)」のコンテナ輸送待ち(中継エッジ)、「ノード(36:00,福山駅)⇒ノード(37:00,福山支店)」の運行車両運行コースのネットワークからなる。店間輸送ダイヤグラムD3は、
図7に示すように、「ノード(23:00,東京支店)⇒ノード(32:00,大阪支店)」の運行車両運行コース、「ノード(32:00,大阪支店)⇒ノード(45:00,大阪支店)」の中継待ち(中継エッジ)、「ノード(45:00,大阪支店)⇒ノード(51:00,福山支店)」の運行車両運行コースのネットワークからなる。なお、
図5~
図7での時間の標記は、当日は0:00から24:00で、翌日は、24、翌々日は48を足したものとしている
【0037】
同じ支店で発生するイベントを表すノードも、発時刻や着時刻が違うため複数存在する。店間を結ぶルートを検索する場合は、指定時間以後に、発店から出発するすべての出発イベントを示すノードの集合から、目的支店にある時刻以前に到着するすべての到着イベントを示すノードの集合へのルートを洗い出すことで、店間輸送ダイヤグラムが作成される。以下は、
図4および
図7の店間輸送ダイヤグラムD3のデータ構造である。
中継イベント=[84,85,8258,8259]
イベント84:東京支店から出発 at 23:00
イベント85:大阪支店に到着 at 32:00(08:00(翌日))
到着日の夜まで大阪支店で留まり、
イベント8258:大阪支店から出発 at 45:00(21:00(翌日))
イベント8259:福山支店に到着 at 51:00(03:00(翌々日)
東京支店から出発 23:00から大阪支店に到着 at 08:00(翌日)、そして大阪支店から出発 21:00から福山支店に到着 03:00(翌々日)の実輸送時間=28.0 時間
【0038】
<仮想コンテナ>
仮想コンテナについて説明する。本実施の形態の運送情報処理システムでは、同じ発店から同じ着店に配送される荷物群を、1つの仮想コンテナに登録し、仮想コンテナに登録された荷物は、運送情報処理システム上、店間輸送ダイヤグラムを構成する運行コースの運行車両に一塊として積載されているとして輸送管理される。仮想コンテナは、荷物の輸送で用いられているパレットやカゴ車等のコンテナに対応するもので、運送情報処理システム上に形成された仮想の概念である。仮想コンテナに登録された荷物は、実際は、店間輸送ダイヤグラムを構成する運行コースの運行車両に積載されて着店に輸送される。
【0039】
(仮想コンテナによる輸送管理)
仮想コンテナは、発店、発時刻および着店により識別され、それらをコード化したIDが設けられている。また、発店から運行車両が1日1回定期的に出発する店間輸送ダイヤグラムであれば、発時刻を発日付としてもよい。仮想コンテナは、着店までの仮想コンテナが、所属するすべての集配車に分割されて割り当てられているものとする。例えば、運送事業者の営業所で着店が300ヶ所あれば、300個の仮想コンテナがあることになる。この仮想コンテナが、当該荷物を集荷する支店(発店)に所属するすべての集配車に分割されて割り当てられている。荷物を集荷した集配車が発店に戻ると、着店ごとに仮想コンテナが併合されて、当該発店発で同一着店宛ての荷物についての仮想コンテナが生成される。なお、発店に顧客が荷物を持ち込んだ場合も、荷物の荷札のバーコードまたは送り状のバーコードをスキャン等により荷物の発送先が判明した段階で、その着店の仮想コンテナに登録される。なお荷物の荷札のバーコードまたは送り状のバーコードをスキャンすることを、以下において、単に、荷物をスキャンする、送り状をスキャンすると称する。
【0040】
仮想コンテナは、事前に着店の数に応じて作成されるとしたが、集荷された荷物の着店が判明した段階で、作成されるようにもできる。
【0041】
仮想コンテナとしては、荷物が積載される第一の仮想コンテナと、この第一の仮想コンテナを包含する(積載する)第二の仮想コンテナとの二種類を運送情報処理システムで作成して取り扱うことができる。適宜、第一の仮想コンテナを仮想コンテナと称し、第二の仮想コンテナをハイパーコンテナと称する。ハイパーコンテナは、店間輸送ダイヤグラムで、仮想コンテナを輸送する運行コースを指定し、積載重量を管理するために用いられる。走行に使用する実運行車両が決定されるとそれに対応付けられる。輸送開始時に運行コースの運行車両が指定されたのち、当該運行車両に積載されるものとする。
【0042】
図8は、仮想コンテナによる輸送管理のイメージを示す図である。同じ着店に配送される荷物群を、1つの仮想コンテナVC1に登録し、仮想コンテナVC1に登録された荷物は、運送情報処理システム上、店間輸送ダイヤグラムを構成する運行コースの運行車両T1(運行車両T1に対応付けられているハイパーコンテナHVC1)と運行車両T2(運行車両T2に対応付けられているハイパーコンテナHVC2)に積載されているとして輸送管理される(
図8上段)。仮想コンテナVC1に登録された荷物は、実際は、店間輸送ダイヤグラムを構成する運行コースの運行車両T1,T2に積載されて着店に輸送される(
図8下段)。
【0043】
ハイパーコンテナは、運行車両の到着店に到着後、運送情報処理システム上、消去される。ハイパーコンテナは、運行コースで結ばれる店間で輸送されるものであるから、ハイパーコンテナを運送する運行車両の到着店で到着後消去される。中継店で、別の運行車両に積載するときは、発店、発時刻(または発日付)、および着店で識別される仮想コンテナが別のハイパーコンテナに積載されたとして扱われる。荷物が積載される仮想コンテナは、運送情報処理システム上、着店で消去される。
【0044】
運行車両の積載重量管理は、ハイパーコンテナにより行われる。仮想コンテナが、当該運行車両に対応付けられるハイパーコンテナに積載されると、ハイパーコンテナには、積載される仮想コンテナに登録された荷物の重量が加算される。ハイパーコンテナの重量の最大値は、運行車両の積載重量の最大値である。
【0045】
このように、ハイパーコンテナを運行車両に対応付けて、運行車両に積載される荷物の重量を記録するようにしたので、仮想コンテナに登録される荷物を運行車両に積載した場合、最大積載重量を超えるか否かを判断することができ、仮想コンテナに登録される荷物を積載した場合に最大積載重量を超える運行車両の運行コースを含む店間輸送ダイヤグラムが選択されることを防止することができる。
【0046】
なお仮想コンテナに登録される荷物を運行車両に積載すると最大積載重量を超えてしまう場合であって、他の運行コースを利用することができる場合、または、運行コースを新たに設けることができる場合は、仮想コンテナは、枝番を付与して分割し、異なるハイパーコンテナに積載される。または、積載量がより大きな運行車両を使用して最大積載重量を超えてしまったハイパーコンテナを積載する選択肢もある。逆に、積載量が小さい運行車両に変更し、積載効率を上げる選択肢もある。
【0047】
図9は、仮想コンテナが分割される場合のイメージを示す図である。中継店から着店に向かう運行車両T2に、仮想コンテナVC1に登録された荷物を積載すると、運行車両T2の積載量の上限を超えてしまうので、他の運行コースの運行車両T3と分けて運行される。運行車両T2には最大積載重量を超えない範囲の荷物が積載され、運行車両T3には残りの荷物が積載される(運行車両T3の最大積載重量は超えないものとする)。運送情報処理システム上では、仮想コンテナVC1は、運行車両T2に積載される荷物が登録された仮想コンテナVC1-1と、運行車両T3に積載される荷物が登録された仮想コンテナVC1-2に分割される。そして仮想コンテナVC1-1に登録された荷物は、運送情報処理システム上、運行車両T2(運行車両T2に対応付けられているハイパーコンテナHVC2)と運行車両T3(運行車両T3に対応付けられているハイパーコンテナHVC3)に積載されているとして輸送管理される。
【0048】
なおハイパーコンテナの積載量は、予定の値であって、実際の積載量は、発店、中継店での運行車両への積み込みによって変更される。
【0049】
仮想コンテナをどの運行コースの運行車両(ハイパーコンテナ)で運送するかについては、最初から決定しておく固定方式、あるいは予約方式が採用される。また、中継する中継店があることを考えると、両者を混合した方式も可能である。さらに、当日の輸送量によって変動がある場合は、当日の輸送量によっても仮想コンテナを変更することもできる。
これらのいわば発生した仮想コンテナは、実際の輸送の途中で、枝番がついて分割されたり、予約外の運行コースの車両に積載されるようにできる。また、それによって、仮想コンテナの到着予測も変更になる。また、輸送計画の変更があれば、仮想コンテナの到着予測も変更になる。
【0050】
(仮想コンテナによる荷物積載等管理)
仮想コンテナは、店間輸送ダイヤグラムを構成する運行コースの運行車両が到着する各店の作業員のハンディターミナル2に適宜ダウンロードされる。そして作業員が荷物をスキャンすることで、積載作業または荷降ろし作業の記録を仮想コンテナに反映させることができる。荷物を運行車両に積載する場合、積載する荷物をスキャンして、運行車両に積載すると、荷物が運行車両のハイパーコンテナに積載された仮想コンテナに積載されたことが仮想コンテナに記録される。すなわち積載すべき荷物が運行車両に積載されたことを、仮想コンテナを介して確認することができる。この作業を、積載すべき荷物の消し込み作業という。
【0051】
また運行車両から荷降ろしする場合、荷降ろしする荷物をスキャンして、運行車両から降ろすと、荷物が運行車両から降ろされたことが仮想コンテナに記録される。すなわち荷降ろしすべき荷物が運行車両から降ろされたことを、仮想コンテナを介して確認することができる。この作業を、荷降ろしすべき荷物の消し込み作業という。
【0052】
(仮想コンテナによる各店での作業管理)
仮想コンテナがどの店間輸送ダイヤグラムに基づいて運送されるか決定されると、その輸送計画は、各店で共有される。すなわち、仮想コンテナに登録された荷物は、店間輸送ダイヤグラムを構成する運行コースの運行車両などによって輸送されるように取り扱われるので、店間輸送ダイヤグラムを構成する運行コース(ハイパーコンテナ)のつながりにより各店における荷物、着時刻、発時刻が認識できる。すなわち各店において必要な作業量等を事前に把握することができるので、それに応じた準備を行うことができる。着店では、荷物の到着までに、効率的な配送計画をあらかじめ準備することができる。また、配送車両がどの荷物を積載すべきかの計画も事前に行うことができる。
【0053】
<運送情報処理システムの実現>
図10は、運送情報処理システムに基づく運送情報処理を示すフローチャートである。
【0054】
ステップS1において、顧客からの運送荷物受け付け処理が行われる。次に、ステップS2において、仮想コンテナによる店間輸送ダイヤグラムの予約処理が行われる。そしてステップS3において、店間輸送ダイヤグラムに基づく輸送処理が行われる。
【0055】
ステップS1の顧客からの運送荷物受け付け処理を、
図11のフローチャートを参照して説明する。
【0056】
ステップS11において、荷物の集荷が行われる。定期集荷は、毎日あるいは決められた曜日に、ドライバーが顧客を訪問して集荷する。なお事前に訪問順の変更などがあった場合は巡回セールスマン問題(TSP)の計算結果に基づいて決める周知のルーティング手法で訪問順が決定される。集荷申込の場合、荷主が集荷を電話、またはインターネットを介して申し込み、ドライバーが顧客を訪問して集荷する。配達時に荷主から依頼を受けて集荷することもできる。荷主持ち込みは、顧客が自ら店に荷物を持ち込むものであり、作業員が、店で荷物を集荷する。
【0057】
ドライバー等は、送り状や集荷する荷物をハンディターミナル2でスキャンする。なお顧客としての発荷主と着荷主の情報は、顧客データベース(運送情報処理装置3に記録されている)に登録されており、定期集荷と集荷申込の場合、訪問するドライバーのハンディターミナル2には顧客の情報が予めダウンロードされているものとする。また荷主持ち込みも、顧客が送り状のデータを事前に情報処理端末1-5などで入力していることを前提として、事前の入力と、荷物に貼付した荷札などが店の作業員のハンディターミナル2にダウンロードされているものとする。
【0058】
集荷時に、発荷主の情報は、以下のように入力される。
・発荷主名:ハンディターミナル2のGPS情報と事前の情報提供により、選択的に選ぶことができる。選択できない場合は、電話番号が入力される。
・発荷主住所:集荷時の荷物のスキャンで得られるGPSの緯度経度データが発荷主住所とされる。
・着荷主名/着荷主住所:ハンディターミナル2で着荷主が検索できない場合は、郵便番号など、着店が判明する情報が入力される。加えて、電話番号、屋号や、荷札のコピーを取って、着荷主データベース(運送情報処理装置3に記録されている)などを利用して、自動もしくは人が介入して、輸送途中で着荷主が判明できるようにすることもできる。事前に荷物の情報が顧客から入力されており、送り状や荷札が用意されている場合は、その情報をスキャンするだけで荷物の受け入れとすることもできる。
【0059】
荷札または送り状が、運送情報処理システムで事前に荷主が情報を入力し、それに基づいて、作成されている場合(EDI(Electronic Data Interchange))、ステップS12において、スキャンした荷物に対し、ドライバーまたは作業員は、ハンディターミナル2に「着店(着店番号)」、「重量」を手入力する。なお、この手入力は、状況により省略こともできる。一方、荷札または送り状が手書きの場合は、ステップS13において、ドライバーまたは作業員は、スキャンした荷物IDに対し、ハンディターミナル2に「顧客番号(多くは電話番号)」、「着店(多くは郵便番号)」、「重量」を手入力する。なお、発店は、集荷した店または、発集約店になるが、ハンディターミナル2には、店番号が設定されているので、発店番号はデータとして入力される。
【0060】
荷物の個数のデータは、集荷した者(ドライバーや作業員)が数えるのではなく、スキャンした荷物IDの数を設定するようにする。また、手書き原票など着店番号のない場合は、ドライバー等が、ハンディターミナル2で配達先の郵便番号を入力し、着店番号が複数ある場合には、荷札や送り状を見て判断する。
【0061】
仮想コンテナは、発店からのすべての着店までの仮想コンテナが所属するすべての集配車に(分割されて)対応付けて設定されている。上述したように「着店(着店番号)」、「重量」等が入力されると、集荷する荷物の情報が、着店に応じた仮想コンテナに紐づけられる(登録される)。
【0062】
例えば、運送事業者の営業所で着店が300ヶ所あれば、300個の仮想コンテナが用意されている。この仮想コンテナは、当該荷物を集荷する支店(発店)に所属するすべての集配車や店に分割されて割り当てられている。仮想コンテナは、発店、発時刻および着店により識別され、それらをコード化した識別IDが設けられている。
【0063】
図12は、店D1を発店とする荷物を集配する集配車C1に割り当てられた仮想コンテナVC-D1/A1,VC-D1/A2のイメージを示す図である。仮想コンテナVC-D1/A1は、着店を店A1とするものであり、仮想コンテナVC-D1/A2は、着店を店A2とするものである。
図13は、店D1を発店とする荷物を集配する集配車C2に割り当てられた仮想コンテナVC-D1/A1,VC-D1/A2のイメージを示す図である。
【0064】
このような仮想コンテナが割り当てられた集配車の集荷によって、荷物の情報が、その配送先(着店)の仮想コンテナに登録される。
図14は、集配車C1に割り当てられた仮想コンテナVC-D1/A1,VC-D1/A2に、集配車C1が集荷した店A1と店A2を着店とする荷物が登録されたイメージを示す図である。
図15は、集配車C2に割り当てられた仮想コンテナVC-D1/A1,VC-D1/A2に、集配車C2が集荷した店A1と店A2を着店とする荷物が登録されたイメージを示す図である。
【0065】
発店に顧客が荷物を持ち込んだ場合も、荷札または送り状のスキャン等により荷物の発送先が判明した段階で、その着店への仮想コンテナに登録される。
【0066】
ステップS14において、ハンディターミナル2にスキャンされたデータおよび入力されたデータ(荷物ID等が登録された仮想コンテナを含む)は、外出先で、発店の情報処理端末1-1に携帯無線回線で自動送信されるか、帰店後にWiFiや構内LANなどで情報処理端末1-1に送信される。
【0067】
ステップS15において、発店の情報処理端末1-1は、運送情報処理システムで作成された荷物情報である荷主から送られた、荷物ID、顧客番号、発店、着店、個数の出荷データと、ハンディターミナル2から送信されてきたデータである、荷物ID、発店、着店、個数、重量とを結合する。荷物の顧客番号は、荷物の運賃を顧客に紐づけするためである。なお、手書きの場合には、スキャンデータ(荷物ID、発店、着店、個数、重量)から出荷データが作成される。
【0068】
ステップS16において、発店の情報処理端末1-1は、集荷した荷物が登録された仮想コンテナを、着店等に応じて統合し、仮想コンテナに登録された荷物の重量を算出して記録する。
図16は、集配車C1,C2の着店A1用の仮想コンテナVC-D1/A1(
図14の上段,
図15の上段)が統合されたイメージを示す図である。
図17は、集配車C1,C2の着店A2用の仮想コンテナVC-D1/A1(
図14の下段,
図15の下段)が統合されたイメージを示す図である。
【0069】
その後、処理は、ステップS2に進む。
【0070】
ステップS2の仮想コンテナによる店間輸送ダイヤグラムの予約処理を、
図18のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
ステップS21において、例えば、発店の作業員は、仮想コンテナを指定して、その仮想コンテナの輸送計画を作成する旨の操作を情報処理端末1-1に対して行う。荷物の発送元である発店、荷物の発送先である着店、および着時刻、重量を入力すると、ステップS22において、情報処理端末1-1は、入力された情報を運送情報処理装置3に供給する。運送情報処理装置3は、運行データベースに基づいて、入力された条件に応じた店間輸送ダイヤグラムを生成するとともに、例えば輸送時間や到着時間の短いものから、順に、5個から6個ほどの店間輸送ダイヤグラムを検索する。
【0072】
ステップS23において、運送情報処理装置3は、検索した店間輸送ダイヤグラムについて、輸送時間の短い順、運賃が安い順(運送コストが安い順)、または運行コースを期日指定(何日までに到着)の条件に合う順に優先順位を設定する。通常、輸送時間が短い順に優先順位を決定するが、荷主からの要望により、運賃、期日指定により優先順位を決定することができる。同じ発店、着店であっても、荷主の要望により、異なる運行コースを使用する場合は、ハイパーコンテナの重量オーバーの時のように、仮想コンテナは分割され、荷主の要望に沿ったハイパーコンテナに積載される。
【0073】
ステップS24において、運送情報処理装置3は、荷主の要望を満たし且つ優先順位の順番に店間輸送ダイヤグラムを1つ選択する。
【0074】
次に、ステップS25において、運送情報処理装置3は、選択した店間輸送ダイヤグラムを構成する運行コースの運行車両について、運行車両に対応付けられたハイパーコンテナに記録されている積載重量とこれから予約する仮想コンテナに登録された荷物の重量の合計が最大積載重量を超える運行車両が存在するか否かを判定し、超えている運行車両が存在すると判定した場合、ステップS24に戻り、すべての運行車両が最大積載重量を超えていない運行コースからなる店間輸送ダイヤグラムが選択されるまで処理を繰り返す。
【0075】
運行車両に対応付けられたハイパーコンテナに記録されている積載重量とこれから予約する仮想コンテナに登録された荷物の重量の合計が最大積載重量を超える運行車両が存在しない、すなわちすべての運行車両が最大輸送量を超えていない運行コースからなる店間輸送ダイヤグラムが選択された場合、ステップS26において、運送情報処理装置3は、選択した店間輸送ダイヤグラムに対して仮想コンテナを予約する。この予約により店間輸送ダイヤグラムを構成する運行コースの運行車両に仮想コンテナが対応付けられる(運行車両に対応付けられるハイパーコンテナに仮想コンテナが積載される)。このとき、運行車両のハイパーコンテナに運行車両に積載される荷物の重量が加算される。
【0076】
この店間輸送ダイヤグラムに対する仮想コンテナの予約により、輸送計画が構築され、この情報は各店の情報処理端末1で共有される。
【0077】
ステップS27において、各店の情報処理端末1は、共有された輸送計画から、自店における出発運行コース数、各運行コースの出発予定時刻と積み込み予定重量を抽出して、作業計画を構築する。例えば積載または荷降ろしが必要な時間と作業者数が設定される。なお例えば、自店での負荷上限を設定しておき、その上限を超える場合には、その店の担当者にプッシュ型で警告を発することができる。荷主に対しては、荷物の着店(到着店)への到着予定時刻について、メールによって知らせることができる。
【0078】
運送の管理を行っている部署には、各運行コースの利用率、各店の時間帯滞貨量、最大輸送量を超えたため荷主の希望条件が通らなかった運行コースの一覧などについて、運送情報処理装置3から、運行管理部署に情報が送信される。この情報は、運行管理部署では常時監視することができ、輸送計画、運行データベース、店間輸送ダイヤグラムの作成、変更につながる。
【0079】
ステップS3の店間輸送ダイヤグラムに基づく輸送処理を、
図19のフローチャートを参照して説明する。
【0080】
ステップS31において、発店の作業員は、これから荷物を積載する運行車両に対応付けられている仮想コンテナ(所定の着店用の仮想コンテナ)に登録された荷物の荷物ID、仮想コンテナID、発店、着店、荷物IDの情報をハンディターミナル2-1にダウンロードする。ハンディターミナル2-1には、例えば、
図16に示した仮想コンテナVC-D1/A1、
図17に示した仮想コンテナVC-D1/A2がダウンロードされ、例えば仮想コンテナVC-D1/A1が対応付けられた運行車両に荷物を積載する際には、
図16の仮想コンテナVC-D1/A1が、運行車両に積載すべき荷物を示す情報としてハンディターミナル2-1に表示される。
【0081】
発店の作業員は、集荷された荷物をスキャンし、仮想コンテナが対応付けられたハイパーコンテナに対応している運行車両に積載する。荷物がスキャンされることをもって、
図20に示すように、仮想コンテナ上において荷物が運行車両に積載された旨が記録される。
図20は、荷物ID「123」の荷物が運行車両に積載されたことを意味する。このような積載すべき荷物の消し込み作業により、積載すべき荷物が運行車両に積載されたことを、仮想コンテナを介して確認することができる。
【0082】
なお運行コースが固定または、予約されている場合は、それに従って積載が行われる。着店への荷物が頭積みされ、もっとも遠い中継店から順に積載される。積載順とおりにハンディターミナル2に仮想コンテナをダウンロードして積載順に消し込んでいくことで、荷降ろし順に対応して荷物を積載することができる。
【0083】
仮想コンテナに登録された荷物の全てに対して運行車両に積載されたことを示す旨が記録されると(消込が完了すると)(
図21)、運行車両は、予定時刻に発店を出発する。運行車両は、走行中、GPSによる車両の位置情報を取得する。この位置情報は、中継店および着店の情報処理端末1と共有される。この運行車両の位置情報の取得と処理の負荷は大きいので、後述のように、取得や処理を抑制して情報処理の負荷を軽減する。中継店および着店では、運行車両の位置情報を運送情報処理システム上で確認し、作業計画を立てることができる。
【0084】
ステップS32において、中継店の作業員は、中継店に到着する運行車両に対応付けらえている仮想コンテナをハンディターミナル2にダウンロードする。ハンディターミナル2には、例えば、
図21に示す仮想コンテナVC-D1/A1がダウンロードされ、仮想コンテナVC-D1/A1が対応付けられた運行車両から荷物を降ろす際には、
図21の仮想コンテナVC-D1/A1が、運行車両から荷降ろしすべき荷物を示す情報としてハンディターミナル2に表示される。
【0085】
中継店の作業員は、運行車両に積載されている荷物を降ろしながらスキャンする。荷物がスキャンされることをもって、
図22に示すように、仮想コンテナ上において荷物が運行車両から降ろされた旨が記録される。このような荷降ろしすべき荷物の消し込み作業により、荷降ろしすべき荷物が運行車両から降ろされたことを、仮想コンテナを介して確認することができる。
【0086】
仮想コンテナの記録によって降ろすべき荷物が全て降ろされたことを確認すると(
図23)、荷物を降ろした運行車両に対応付けられているハイパーコンテナは消去される。次に、中継店の作業員は、ステップS31と同様の積載作業を行う。仮想コンテナに登録された荷物の全てに対して運行車両に積載されたことを示す旨が記録されると(消込が完了すると)、運行車両は、予定時刻に中継店を出発する。運行車両は、走行中、GPSによる車両の位置情報を取得する。この位置情報は、中継店および着店の情報処理端末1と共有される。
【0087】
なお運行車両の中でコンパートメントなどで、異なる着店の荷物と区別されるように積載されている場合は、荷物の個別のスキャンを不要とすることができる。
【0088】
図20,21の例では、「積載済」が記録されるものとしたが、積載された荷物の情報が削除されるようにもできる(消されるようにもできる)。
図22,23の例の場合も同様である。
【0089】
ステップS33において、着店の作業員は、着店に運行車両が到着すると、ステップS32と同様の荷降ろし作業を行う。仮想コンテナの記録によって降ろすべき荷物が全て降ろされたことを確認すると、運送情報処理システムからハイパーコンテナおよび仮想コンテナが消去される。その後、処理は終了する。
【0090】
発店から着店に直接輸送される場合は、ステップS32の処理は省略される。
【0091】
なお、仮想コンテナにて積載、荷降ろしが記録されているので、次の等式が成り立つ。
現店での荷降ろし予定荷物+着店での荷降ろし予定荷物=最初に積載した荷物-途中店での荷降ろし完了荷物
このため、現在店で荷降ろしが多い場合には、現在店での荷降ろしスキャンを省略して、着店での荷降ろしするはずの荷物をスキャンして、すべて積載されていることを確認することが可能である。例えば、最大の荷降ろし店で荷降ろししたのちに、運行車両には数個の荷物が残るだけならば、残りの荷物をスキャンして差し引き関係を確認する。そして着店では、すべて荷降ろしが終了したという確認のスキャンをしなくても荷降ろしが完了したと設定される。このために、最大荷降ろし店に来た場合に、ハンディターミナル2に、荷降ろしすべき荷物と荷降ろしてはいけない荷物の情報をダウンロードして、選択できるようにしてもよい。
【0092】
<集荷作業がアンバランスの場合の処理>
事前に十分な集荷の情報が入手できる場合は、巡回セールスマン問題の計算によって、集荷車両の積載率のアンバランスを解消するようにする。十分な事前情報がない場合や、定期集荷の顧客が普段より多い集荷量がある場合などでは、集荷作業者の集荷スキャンの情報によって、巡回セールスマン問題計算システムを利用して各集荷業者の集荷計画を再設定したり、他の集荷業者に応援を依頼することができる。
【0093】
<配達>
着店では、着荷主名、配達先緯度経度データ、住所の着荷主データがある場合は、巡回セールスマン問題の計算によって配達計画を立てる。また、他の配達のルーティング手法を用いて配達計画を立てることができる。配達計画では、道路地図情報を参照して配達ルートを設定するが、さらに、その地域に詳しい集配者に任せてもよい。
作業員は、顧客に荷物を受け渡す際にハンディターミナル2で確認をとって、受け渡しの確認作業をする。
【0094】
<荷物IDの重複>
本実施の形態の運送情報処理システムでは、発店や途中の中継店、着店で、仮想コンテナに積載すべき荷物IDをハンディターミナル2にダウンロードし、荷物をハンディターミナル2でスキャンして消し込んで、確認をとる方式がとられる。この場合に、仮想コンテナに登録された荷物の荷物IDに重複があったとしても、同じ荷物IDのグループとして発店から着店まで運送できる。このような場合、荷物IDに重複があったとしても、荷物は違う顧客の荷物だが、同じ荷物IDのグループの荷物として扱うことで処理できる。
【0095】
運送事業者は、顧客から依頼を受けて荷物の運送を行うが、顧客は業者であり、かつ定常的な依頼者であるため、顧客が情報処理端末1-5により、運送情報処理装置3にアクセスして荷物の運送の依頼を行い、送付状や荷札の発券を行うことができる。特に、顧客が他の運送事業者である場合、顧客は顧客が識別できるように、独自に顧客単位で荷物にユニークな番号や記号を付与し、出願人を含む関係者同士の識別情報が一致することもあり得る。すなわち荷物IDが重複することもあり得るが、上述したように、本実施例によれば問題なく荷物を取り扱うことができる。
【0096】
<住所データの緯度経度情報化>
本実施の形態の運送情報処理システムでは、発荷主および着荷主の荷主(顧客でもある)情報として、荷主の住所データを荷主住所データベースとして有している。この荷主住所データベースとして運送情報処理システム内では、荷主の住所データは、緯度経度のデータで扱う。緯度経度データは、地図情報処理システムとの融合性に優れており、運送情報処理システム内では、緯度経度データで扱う。送り状や荷札に表す、文字による住所表示は、作業をする人が認知のためだけに使用する。
荷主の住所を電話番号のように、数値で表したデータをキーとすれば、緯度経度データと文字住所データとを紐づけて扱うことが可能である。
荷主の住所データが既知でない場合は、作業員が集荷したとき、あるいは配達したときに、GPS端末を有するハンディターミナル2で荷物を受け渡したときのGPSデータの緯度経度情報を入力して登録すれば、荷主の住所データとして獲得することが可能である。
【0097】
<車両の運行データの取得・処理の抑止>
運行データの取得・処理の制限について説明する。
特別積合せ貨物輸送の事業者は、自社の運行車両の運行データを取得するために、リアルタイムで運行車両のGPSデータを取得する運行管理を行っている。しかし、運行車両が数千台となると、取得するデータの処理による運送情報処理システムの負担が大きくなってしまう。例えば、運行車両に設けられているデジタルタコメータは、0.5秒間隔で、その車両のその時の緯度、経度、速度、前回位置からの移動距離を記録し、8分もしくは1分などの時間間隔ですべてのデータを送信し、無線回線を介して、運送情報処理装置3に送信されてくる。
このようなリアルタイムあるいは準リアルタイムで車両の位置、運行データを把握することで、運送情報処理システムには、膨大な処理量と送信タイミングとのずれ、処理の負荷の問題が発生する。このため、本実施の形態の運送情報処理システムでは、運行管理上、必要性の少ない時間帯では、GPSデータや走行速度などの車両の運行データの収集を抑止あるいは制限する処理を行う。例えば、車両が出発したら、途中経過を無視するモードと、リアルタイムあるいは準リアルタイムで車両を追跡するモードとを設定して、運送情報処理システムの負荷を減らす。
【0098】
具体的には、車両の次のプライオリティエリアまでの余裕を持った到着時刻を予測する。そして、その時刻に到達するまでは、データ処理の優先度を下げる、またはデータ処理をせずにデータ記録するにとどめ、余分なデータ処理を避ける。優先度を下げた車両が予測時間に達した場合には、その優先度を上げて通常の処理に戻す。
また、優先度が上げられた車両の現在位置と、近接のプライオリティエリアまでの距離が近いが、何らの理由で、プライオリティエリアに到達していない場合は、再度車両の到達時間を予測しなおし、処理の優先度を下げる処理を行う。
プライオリティエリアに到達して優先度が上げられた車両は、最優先で存在場所処理がリアルタイムまたは準リアルタイムで行われる。これにより、当該車両の情報が1分、8分などの時間間隔で得られる。プライオリティエリアを抜けた場合は、次のプライオリティエリアまでの到達予測を行って、運行データの処理の優先度を下げる。車両が着店に到着した場合には、車両の追跡を終了する。
【0099】
プライオリティエリアとしては、事故や災害などにより運行がスムーズでない場合、店の近傍、乗務基準で重要と思わる地点やその他、指定した場所を設定すればよい。また、緊急事態が発生したり、渋滞などが発生した場合は、そのイベントの発生を検知すれば、イベントの発生の契機として、運行データの収集抑止や送信抑止を解除することもできる。
【0100】
<効果のまとめ>
運送情報処理装置3は、発店から着店までの輸送ルートを示す複数の店間輸送ダイヤグラムから、運送する荷物の運送コスト、到着時間、輸送時間が顧客の条件にあう店間輸送ダイヤグラムを選択し、店間輸送ダイヤグラムにより荷物の輸送を管理する管理手段を備え、店間輸送ダイヤグラムは、発店、着店、または発店から着店の間に存在する拠点間を結ぶ輸送ルートについて輸送手段の出発する拠点と発時刻、および到着する拠点と着時刻、並びにその輸送時間を表す運行コースから構成されている。運送情報処理装置3は、同じ発店から同じ着店に配送される荷物群を、1つの仮想コンテナに登録し、店間輸送ダイヤグラムにて運送を管理する。仮想コンテナに登録された荷物は、店間輸送ダイヤグラムを構成する運行コースの運行車両のハイパーコンテナに積載されて、輸送される。また各拠点における荷物の積載および荷降ろしは、荷物をスキャンして仮想コンテナから消し込むようになっている。
【0101】
このような構成を有するようにしたので、運送情報処理システム上の荷物の運送状態と、現実の荷物の運送状態との対比が可能となる。その結果、仮想の運送情報処理システム上で荷物の運送と現実の荷物の運送との同期が実現でき、荷物が運行コースを乗り継いで、どのように着店まで輸送されるかを認識することができる。各拠点での荷物の到着、出発、そしてその量を把握することができるので、各拠点での荷物取り扱いの作業を予め把握し、その作業に備えることができる。
【0102】
また、荷物を積載する仮想コンテナと、この仮想コンテナを積載するハイパーコンテナとを用いることで、ハイパーコンテナで仮想コンテナの荷物の重量を把握して、運行車両を予約できる。すなわち店間輸送ダイヤグラムを選択する際、輸送途中の運行コースのどれかが隘路となり、積み残しが起こる可能性が発生するかを、発店で運び出す前に予測することができ、適切な店間輸送ダイヤグラム、すなわち運行ルートを選択することができる。また、運行車両の積載重量制限を把握して、仮想コンテナの積載を調整することが運送情報処理システム上で可能となり、運送情報処理システム上で荷物の積載処理と、運行車両との予約処理とを分離することができる。
【0103】
従来、着店への荷物を輸送する場合に、輸送の効率を上げるために、物理的なコンテナに荷物を纏めて収納して輸送していた。しかし、この従来の物理的なコンテナは、使用後には、荷物の存在するところに返送する必要がある。同じ性質の荷物が偏在しない場合は、最適な輸送方法といえるが、荷物が偏在すると、空の状態でこの物理的なコンテナを返送するコストが生じてしまう。
【0104】
この点を仮想コンテナは、物理的なコンテナを使用することなく、あたかも仮想のパレットやカゴ車などに荷物が混載され車両に積載されて輸送されているように扱うものである。情報システム上では、荷物の発店と着店間を方向性をもつ一つの仮想コンテナが輸送され、同時にその中の荷物が輸送されると把握されるもので、方向性をもつ仮想コンテナは、着店に着くと消去され、他店への回送は不必要である。仮想コンテナは、物理的な実態はなく、サーバ空間上のコンテナとして処理されるので、実空間で実際に荷物が運行車両などに積載されて輸送されるまでは、容量に制限はない。制限は、具体的に発店あるいは発集約店などで仮想コンテナの荷物が車両などに積載されるときに、使用される運行車両などの積載制限により発生する。そのときは、仮想コンテナは分割されるものとして扱い、枝番号を付与して、具体的な車両などに積載された個々の仮想コンテナを識別すれば問題はない。前述のように、同じ発店から同じ着店への仮想コンテナが荷主の要望により、運行コースが異なる場合、やはり分割し、違うハイパーコンテナに積載することも可能である。
【0105】
また、ハンディターミナルには、測位シテスムの受信装置と、受信した測位情報である緯度経度情報を記憶または送信する装置を備え、運送情報処理装置は、集荷作業または配達作業で測位した顧客の住所を測位した経度緯度情報で記憶設定される。これにより、顧客の住所情報を情報システム上の地図情報として管理でき、情報管理を容易にできる。
【0106】
また、運送情報処理装置3は、同一の仮想コンテナに、同一の荷物識別記号が付された荷物が、集荷されても、同一仮想コンテナに搭載される場合には、一つのグループの荷物として同一仮想コンテナに積載されたものとして処理する。これより、顧客自身のユニークな識別記号が重複しても問題なく輸送することができる。
【0107】
また、荷物を運送する車両が搭載して運送情報処理装置3に送信する車両の位置、走行速度などの車両の走行データは、発送拠点から車両が出発して、次に到達する拠点の近傍に設定されたプライオリティエリアに入る予測時間まで、走行データの収集または処理を抑止し、予測時間を経過すると、前記抑止を解除する。これにより、リアルタイムで車両の運行データ処理の負荷を低減できる。
【符号の説明】
【0108】
1-1~1-5…情報処理端末
2-1~2-4…ハンディターミナル
3…運送情報処理装置
4…通信網