(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021274
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/20 20060101AFI20240208BHJP
H01Q 1/04 20060101ALI20240208BHJP
H01Q 21/24 20060101ALI20240208BHJP
H01Q 1/42 20060101ALN20240208BHJP
【FI】
H01Q21/20
H01Q1/04
H01Q21/24
H01Q1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022123995
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 順一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 龍平
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA08
5J021AA09
5J021AA11
5J021AA13
5J021AB02
5J021AB03
5J021GA08
5J021HA06
5J021HA10
5J046AA12
5J046AA15
5J046AB04
5J046AB06
5J046AB07
5J046RA03
(57)【要約】
【課題】マンホール等の地中空間に配置されるアンテナ装置の地上における無線通信サービスエリアの拡充を図る。
【解決手段】第1の円周上に等間隔で配置される6個の垂直偏波モノポールアンテナと、第2の円周上に等間隔で配置される6個の水平偏波ダイポールアンテナとを備え、0度、120度及び240度の3個の垂直偏波モノポールアンテナにより第1のアレイアンテナを構成し、60度、180度及び300度の3個の垂直偏波モノポールアンテナにより第2のアレイアンテナを構成し、30度、150度及び270度の3個の水平偏波ダイポールアンテナにより第3のアレイアンテナを構成し、90度、210度及び330度の3個の水平偏波ダイポールアンテナにより第4のアレイアンテナを構成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地表面から地下に向けて設けられた地中空間に配置されるアンテナ装置であって、
第1の円周上に等間隔で配置される6個の垂直偏波モノポールアンテナと、
第2の円周上に等間隔で配置される6個の水平偏波ダイポールアンテナと、を備え、
0度、120度及び240度の各配置の3個の前記垂直偏波モノポールアンテナにより第1のアレイアンテナを構成し、
60度、180度及び300度の各配置の3個の前記垂直偏波モノポールアンテナにより第2のアレイアンテナを構成し、
30度、150度及び270度の各配置の3個の前記水平偏波ダイポールアンテナにより第3のアレイアンテナを構成し、
90度、210度及び330度の各配置の3個の前記水平偏波ダイポールアンテナにより第4のアレイアンテナを構成する、
アンテナ装置。
【請求項2】
地表面から地下に向けて設けられた地中空間に配置されるアンテナ装置であって、
円周上に等間隔で配置される6個の垂直偏波モノポールアンテナを備え、
0度、120度及び240度の各配置の3個の前記垂直偏波モノポールアンテナにより第1のアレイアンテナを構成し、
60度、180度及び300度の各配置の3個の前記垂直偏波モノポールアンテナにより第2のアレイアンテナを構成する、
アンテナ装置。
【請求項3】
地表面から地下に向けて設けられた地中空間に配置されるアンテナ装置であって、
円周上に等間隔で配置される6個の水平偏波ダイポールアンテナを備え、
30度、150度及び270度の各配置の3個の前記水平偏波ダイポールアンテナにより第1のアレイアンテナを構成し、
90度、210度及び330度の各配置の3個の前記水平偏波ダイポールアンテナにより第2のアレイアンテナを構成する、
アンテナ装置。
【請求項4】
前記円周の中心部に配置される円柱形の円形をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンホールに設置されるアンテナ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されたアンテナ装置は、アンテナ素子と、当該アンテナ素子が設置される設置台と、地中に設置された際に地表に最も近い面となる上面が開口し、当該アンテナ素子および当該設置台を収容する容器と、FRP(Fiber Reinforced Plastics)により形成され、当該容器の開口を覆う蓋と、を備え、当該設置台には、当該アンテナ素子から当該蓋までの距離を調整する高さ調整機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来のアンテナ装置では、アンテナ素子からマンホール蓋までの距離を調整することによって電波防護指針を満たすための調整を行うことができるが、アンテナ指向性までは考慮されていないために、地上における無線通信サービスエリアの拡充には不十分であった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、マンホール等の地中空間に配置されるアンテナ装置の地上における無線通信サービスエリアの拡充を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、地表面から地下に向けて設けられた地中空間に配置されるアンテナ装置であって、第1の円周上に等間隔で配置される6個の垂直偏波モノポールアンテナと、第2の円周上に等間隔で配置される6個の水平偏波ダイポールアンテナと、を備え、0度、120度及び240度の各配置の3個の前記垂直偏波モノポールアンテナにより第1のアレイアンテナを構成し、60度、180度及び300度の各配置の3個の前記垂直偏波モノポールアンテナにより第2のアレイアンテナを構成し、30度、150度及び270度の各配置の3個の前記水平偏波ダイポールアンテナにより第3のアレイアンテナを構成し、90度、210度及び330度の各配置の3個の前記水平偏波ダイポールアンテナにより第4のアレイアンテナを構成する、アンテナ装置である。
【0007】
本発明の一態様は、地表面から地下に向けて設けられた地中空間に配置されるアンテナ装置であって、円周上に等間隔で配置される6個の垂直偏波モノポールアンテナを備え、0度、120度及び240度の各配置の3個の前記垂直偏波モノポールアンテナにより第1のアレイアンテナを構成し、60度、180度及び300度の各配置の3個の前記垂直偏波モノポールアンテナにより第2のアレイアンテナを構成する、アンテナ装置である。
【0008】
本発明の一態様は、地表面から地下に向けて設けられた地中空間に配置されるアンテナ装置であって、円周上に等間隔で配置される6個の水平偏波ダイポールアンテナを備え、30度、150度及び270度の各配置の3個の前記水平偏波ダイポールアンテナにより第1のアレイアンテナを構成し、90度、210度及び330度の各配置の3個の前記水平偏波ダイポールアンテナにより第2のアレイアンテナを構成する、アンテナ装置である。
【0009】
本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、前記円周の中心部に配置される円柱形の円形をさらに備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マンホール等の地中空間に配置されるアンテナ装置の地上における無線通信サービスエリアの拡充を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係るアンテナ装置の配置例を説明するための説明図である。
【
図2】一実施形態に係るアンテナ装置の配置例を説明するための説明図である。
【
図3】一実施形態に係るアンテナ装置の構成例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係るアンテナ装置の寸法図である。
【
図5】一実施形態に係るアンテナ装置の寸法図である。
【
図6】一実施形態に係るアンテナ装置のシミュレーション結果を示す図である。
【
図7】一実施形態に係るアンテナ装置のシミュレーション結果を示す図である。
【
図8】一実施形態に係るアンテナ装置のシミュレーション結果を示す図である。
【
図9】一実施形態に係るアンテナ装置のシミュレーション結果を示す図である。
【
図10】一実施形態に係るアンテナ装置のシミュレーション結果を示す図である。
【
図11】一実施形態に係るアンテナ装置のシミュレーション結果を示す図である。
【
図12】一実施形態に係るアンテナ装置のシミュレーション結果を示す図である。
【
図13】一実施形態に係るアンテナ装置のシミュレーション結果を示す図である。
【
図14】一実施形態に係るアンテナ装置のシミュレーション結果を示す図である。
【
図15】一実施形態に係るアンテナ装置のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1及び
図2は、一実施形態に係るアンテナ装置10の配置例を説明するための説明図であって、
図1は側面から見た図であり、
図2は上面から見た図である。
【0013】
アンテナ装置10は、マンホール4に配置される。マンホール4は、地中2に形成された空間(地中空間)である。マンホール4は、地表面3から地下に向けて設けられる。マンホール4は、地表面3にマンホール蓋1が設けられる。マンホール蓋1は、マンホール4を塞ぐ蓋である。
【0014】
マンホール蓋1の素材は、マンホール4に配置されたアンテナ装置10の電波伝搬に影響を及ぼさない素材であることが好ましい。マンホール蓋1の素材は、例えばFRP(Fiber Reinforced Plastics)である。
【0015】
マンホール4に配置されたアンテナ装置10には、通信ケーブルや電気ケーブル等のケーブル20が接続される。アンテナ装置10は、ケーブル20によって信号の送受信や給電が行われる。
【0016】
図3は、本実施形態に係るアンテナ装置10の構成例を示す図であって、上面から見た図である。
図3は、水平面(x-y面)の配置を示している。
図3において、z軸方向は垂直方向である。
【0017】
アンテナ装置10は、6個の垂直偏波モノポールアンテナ11(11-1,11-2,11-3,11-4,11-5,11-6)と、6個の水平偏波ダイポールアンテナ13(13-1,13-2,13-3,13-4,13-5,13-6)と、円形15とを備える。
【0018】
地板100は、平板状の導体である。地板100には、各垂直偏波モノポールアンテナ11(11-1,11-2,11-3,11-4,11-5,11-6)の給電部12(12-1,12-2,12-3,12-4,12-5,12-6)が設けられている。各垂直偏波モノポールアンテナ11(11-1,11-2,11-3,11-4,11-5,11-6)は各給電部12(12-1,12-2,12-3,12-4,12-5,12-6)から給電される。
【0019】
地板100には、各水平偏波ダイポールアンテナ13(13-1,13-2,13-3,13-4,13-5,13-6)の給電部14(14-1,14-2,14-3,14-4,14-5,14-6)が設けられている。各水平偏波ダイポールアンテナ13(13-1,13-2,13-3,13-4,13-5,13-6)は、地板100から一定の高さに配置されている。各水平偏波ダイポールアンテナ13(13-1,13-2,13-3,13-4,13-5,13-6)は、各給電部14(14-1,14-2,14-3,14-4,14-5,14-6)から給電線(図示せず)を介して給電される。
【0020】
6個の垂直偏波モノポールアンテナ11(11-1,11-2,11-3,11-4,11-5,11-6)は、第1の円周上に等間隔で配置される。垂直偏波モノポールアンテナ11-1は0度の配置であり、垂直偏波モノポールアンテナ11-2は60度の配置であり、垂直偏波モノポールアンテナ11-3は120度の配置であり、垂直偏波モノポールアンテナ11-4は180度の配置であり、垂直偏波モノポールアンテナ11-5は240度の配置であり、垂直偏波モノポールアンテナ11-6は300度の配置である。
【0021】
アンテナ装置10は、0度、120度及び240度の各配置の3個の垂直偏波モノポールアンテナ11-1,11-3,11-5により第1のアレイアンテナを構成する。アンテナ装置10は、60度、180度及び300度の各配置の3個の垂直偏波モノポールアンテナ11-2,11-4,11-6により第2のアレイアンテナを構成する。
【0022】
6個の水平偏波ダイポールアンテナ13(13-1,13-2,13-3,13-4,13-5,13-6)は、第2の円周上に等間隔で配置される。水平偏波ダイポールアンテナ13-1は30度の配置であり、水平偏波ダイポールアンテナ13-2は90度の配置であり、水平偏波ダイポールアンテナ13-3は150度の配置であり、水平偏波ダイポールアンテナ13-4は210度の配置であり、水平偏波ダイポールアンテナ13-5は270度の配置であり、水平偏波ダイポールアンテナ13-6は330度の配置である。
【0023】
アンテナ装置10は、30度、150度及び270度の各配置の3個の水平偏波ダイポールアンテナ13-1,13-3,13-5により第3のアレイアンテナを構成する。アンテナ装置10は、90度、210度及び330度の各配置の3個の水平偏波ダイポールアンテナ13-2,13-4,13-6により第4のアレイアンテナを構成する。
【0024】
垂直偏波モノポールアンテナ11が配置される第1の円周と、水平偏波ダイポールアンテナ13が配置される第2の円周とは、同心円である。垂直偏波モノポールアンテナ11が配置される第1の円周は、水平偏波ダイポールアンテナ13が配置される第2の円周よりも内側である。
【0025】
円形15は円柱形である。円形15は、第1の円周及び第2の円周の中心部に配置される。
【0026】
図4及び
図5は、本実施形態に係るアンテナ装置10の寸法図であって、
図4は上面から見た図であり、
図5は側面から見た図である。
図4は、水平面(x-y面)の配置を示している。
図4において、z軸方向は垂直方向である。
図5は、垂直面(x-z面)の配置を示している。
【0027】
垂直偏波モノポールアンテナ11は、棒状であって、長さがH1である。水平偏波ダイポールアンテナ13の全長はW1であって、全長の中間点に給電部14から給電される。水平偏波ダイポールアンテナ13は、絶縁体(図示せず)によって、地板100から高さH2に配置される。
【0028】
垂直偏波モノポールアンテナ11は、第1の円周の中心部(円形15の中心部)から距離D1に配置される。水平偏波ダイポールアンテナ13は、第2の円周の中心部(円形15の中心部)から距離D2に配置される。
【0029】
円形15は円柱形であり、円柱形の半径はR1であり、円柱形の高さはH3である。
【0030】
次に
図6-
図15を参照して本実施形態に係るアンテナ装置10の効果を説明する。
【0031】
図6-
図15は、本実施形態に係るアンテナ装置10のシミュレーション結果を示す図である。
図6-
図15に示されるシミュレーションに使用するアンテナ装置10は、上記した
図4及び
図5における寸法が「W1=36ミリメートル(mm)、D1=38mm、D2=48mm、H1=17mm、H2=26mm、H3=30mm、R1=15mm」である。
【0032】
図6は、垂直偏波モノポールアンテナ11により構成される第1のアレイアンテナ及び第2のアレイアンテナのリターンロス特性を示すグラフ図である。
図7は、水平偏波ダイポールアンテナ13により構成される第3のアレイアンテナ及び第4のアレイアンテナのリターンロス特性を示すグラフ図である。
図6及び
図7において、横軸は周波数(単位はギガヘルツ(GHz)、縦軸はリターンロス(単位はデシベル(dB))である。
【0033】
図6及び
図7のグラフ図に示されるように、使用周波数帯である3.5GHz帯において、垂直偏波のリターンロスが「-7dB」以下であり、水平偏波のリターンロスが「-9dB」以下であり、垂直偏波及び水平偏波ともに良好な結果が得られている。
【0034】
図8-
図11は、垂直偏波モノポールアンテナ11により構成される第1のアレイアンテナ及び第2のアレイアンテナの電波放射パターンを示す図である。
図12-
図15は、水平偏波ダイポールアンテナ13により構成される第3のアレイアンテナ及び第4のアレイアンテナの電波放射パターンを示す図である。
図8-
図15の電波放射パターンのシミュレーションに使用する使用周波数帯は、3.5GHz帯である。
【0035】
図8には、垂直偏波モノポールアンテナ11により構成される第1のアレイアンテナの垂直面内の電波放射パターンが示される。
図8の垂直面内の電波放射パターンに示されるように、メインローブが天空方向(z軸方向)よりも地表面方向(x軸方向)に向いている。天空方向(z軸方向)にはヌルが形成されている。メインローブが天空方向(z軸方向)よりも地表面方向(x軸方向)に向いていることによって、アンテナ装置10がマンホール4に配置されても、地上における無線通信サービスエリアを拡充する効果が得られる。
【0036】
図9には、垂直偏波モノポールアンテナ11により構成される第2のアレイアンテナの垂直面内の電波放射パターンが示される。
図9の垂直面内の電波放射パターンに示されるように、メインローブが天空方向(z軸方向)よりも地表面方向(x軸方向)に向いている。天空方向(z軸方向)にはヌルが形成されている。メインローブが天空方向(z軸方向)よりも地表面方向(x軸方向)に向いていることによって、アンテナ装置10がマンホール4に配置されても、地上における無線通信サービスエリアを拡充する効果が得られる。
【0037】
図10には、垂直偏波モノポールアンテナ11により構成される第1のアレイアンテナの水平面内の電波放射パターンが示される。
図10の水平面内の電波放射パターンに示されるように、ほぼ全方位に渡って良好な放射強度が得られている。
【0038】
図11には、垂直偏波モノポールアンテナ11により構成される第2のアレイアンテナの水平面内の電波放射パターンが示される。
図11の水平面内の電波放射パターンに示されるように、ほぼ全方位に渡って良好な放射強度が得られている。
【0039】
図12には、水平偏波ダイポールアンテナ13により構成される第3のアレイアンテナの垂直面内の電波放射パターンが示される。
図12の垂直面内の電波放射パターンに示されるように、メインローブが天空方向(z軸方向)よりも地表面方向(x軸方向)に向いている。天空方向(z軸方向)にはヌルが形成されている。メインローブが天空方向(z軸方向)よりも地表面方向(x軸方向)に向いていることによって、アンテナ装置10がマンホール4に配置されても、地上における無線通信サービスエリアを拡充する効果が得られる。
【0040】
図13には、水平偏波ダイポールアンテナ13により構成される第4のアレイアンテナの垂直面内の電波放射パターンが示される。
図13の垂直面内の電波放射パターンに示されるように、メインローブが天空方向(z軸方向)よりも地表面方向(x軸方向)に向いている。天空方向(z軸方向)にはヌルが形成されている。メインローブが天空方向(z軸方向)よりも地表面方向(x軸方向)に向いていることによって、アンテナ装置10がマンホール4に配置されても、地上における無線通信サービスエリアを拡充する効果が得られる。
【0041】
図14には、水平偏波ダイポールアンテナ13により構成される第3のアレイアンテナの水平面内の電波放射パターンが示される。
図14の水平面内の電波放射パターンに示されるように、ほぼ全方位に渡って良好な放射強度が得られている。
【0042】
図15には、水平偏波ダイポールアンテナ13により構成される第4のアレイアンテナの水平面内の電波放射パターンが示される。
図15の水平面内の電波放射パターンに示されるように、ほぼ全方位に渡って良好な放射強度が得られている。
【0043】
上述したように本実施形態によれば、アンテナ装置10の垂直面内の電波放射パターンを、天空方向よりも地表面方向に向かせることができる。これにより、マンホール4に配置されるアンテナ装置10の地上における無線通信サービスエリアの拡充を図る効果が得られる。
【0044】
また、本実施形態によれば、垂直偏波モノポールアンテナ11を用いた第1のアレイアンテナ及び第2のアレイアンテナと、水平偏波ダイポールアンテナ13を用いた第3のアレイアンテナ及び第4のアレイアンテナとの合計4個のアレイアンテナを構成する。これにより、4ブランチMIMO(Multi Input Multi Output)通信を行うことができる。
【0045】
なお、上述した実施形態では、垂直偏波モノポールアンテナ11と水平偏波ダイポールアンテナ13の両方を用いたが、これに限定されない。
【0046】
例えば、
図3において、6個の水平偏波ダイポールアンテナ13(13-1,13-2,13-3,13-4,13-5,13-6)を削除し、6個の垂直偏波モノポールアンテナ11(11-1,11-2,11-3,11-4,11-5,11-6)を用いた第1のアレイアンテナ及び第2のアレイアンテナのみを構成してもよい。
【0047】
例えば、
図3において、6個の垂直偏波モノポールアンテナ11(11-1,11-2,11-3,11-4,11-5,11-6)を削除し、6個の水平偏波ダイポールアンテナ13(13-1,13-2,13-3,13-4,13-5,13-6)を用いた第1のアレイアンテナ及び第2のアレイアンテナのみを構成してもよい。
【0048】
また、上述した実施形態では、円形15を備えたが、円形15は備えなくてもよい。
【0049】
また、上述した実施形態では、垂直偏波モノポールアンテナ11が配置される第1の円周と水平偏波ダイポールアンテナ13が配置される第2の円周とは同心円であって、当該第1の円周は当該第2の円周よりも内側であるが、その逆、つまり当該第1の円周は当該第2の円周よりも外側であってもよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、マンホール4にアンテナ装置10を配置したが、アンテナ装置10が配置される地中空間はマンホール4に限定されず、マンホール4以外の他の地中空間にアンテナ装置10を配置してもよい。
【0051】
なお、これにより、例えば無線ネットワークにおける総合的なサービス品質の向上を実現することができることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…マンホール蓋、2…地中、3…地表面、4…マンホール、10…アンテナ装置、11…垂直偏波モノポールアンテナ、13…水平偏波ダイポールアンテナ、12,14…給電部、15…円形、20…ケーブル、100…地板