(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021287
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ソール及びシューズ
(51)【国際特許分類】
A43B 13/14 20060101AFI20240208BHJP
A43B 13/42 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A43B13/14 A
A43B13/14 B
A43B13/42 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124010
(22)【出願日】2022-08-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 4年 6月 2日(公開場所現地時間) モントルイユ大会にて公開 令和 4年 6月 5日(公開場所現地時間) オーレン ヤヌス クソシンスキー メモリアルにて公開 令和 4年 6月 9日(公開場所現地時間) ダイヤモンドリーグ ローマ大会にて公開 令和 4年 6月 11日(公開場所現地時間) モンペリエ大会にて公開 令和 4年 6月 15日(公開場所現地時間) マルセイユ陸上競技大会にて公開 令和 4年 6月 18日(公開場所現地時間) 2022年マドリード大会にて公開 令和 4年 6月 24日(公開場所現地時間) イタリア陸上競技選手権大会にて公開 令和 4年 6月 23日~25日(公開場所現地時間) 2022年全米陸上競技選手権大会にて公開 令和 4年 7月 15日~24日(公開場所現地時間) 2022年世界陸上競技選手権大会にて公開 令和 4年 8月 2日~3日(公開場所現地時間) バーミンガム 2022 コモンウェルスゲームズにて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 博道
(72)【発明者】
【氏名】高野 博行
(72)【発明者】
【氏名】菱川 文智
(72)【発明者】
【氏名】西村 裕彰
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BA04
4F050BA20
4F050BA25
(57)【要約】
【課題】接地から蹴り出し時に至る間の足の動きの安定性を高めることが可能なソール及びシューズを提供すること。
【解決手段】ソール10は、ミッドソールと、ボトムプレート200と、トッププレートと、少なくとも1つのピン保持部材600と、を備える。ボトムプレート200は、基準面を有するプレート本体210と、少なくとも1つの台座部220と、を有する。ボトムプレート200は、MP重なり部から前方に向かってソール10の全長の20%の第1部位と、MP重なり部から後方に向かってソール10の全長の20%の第2部位と、の間の範囲で、かつ、足の母指を支持する範囲である母指球領域R1を有する。少なくとも1つの台座部220は、母指球領域R1に配置された母指球台座部221を含む。母指球台座部221の下面は、基準面と面一又は基準面よりも上方に窪むように形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シューズの一部を構成するソールであって、
ミッドソールと、
前記ミッドソールの下面に接続されたボトムプレートと、
前記ミッドソールの上面に接続されたトッププレートと、
スパイクピンを保持する少なくとも1つのピン保持部材と、を備え、
前記ボトムプレートは、
基準面を有するプレート本体と、
前記少なくとも1つのピン保持部材を保持する少なくとも1つの台座部と、を有し、
前記ボトムプレートは、前記ソールの厚み方向に前記シューズの着用者の足のMP関節と重なるMP重なり部から前記ソールの足長方向における前方に向かって前記ソールの全長の20%の第1部位と、前記MP重なり部から前記足長方向における後方に向かって前記ソールの全長の20%の第2部位と、の間の範囲で、かつ、前記着用者の足の母指を支持する範囲である母指球領域を有し、
前記少なくとも1つの台座部は、前記母指球領域に配置された母指球台座部を含み、
前記母指球台座部の下面は、前記基準面と面一又は前記基準面よりも上方に窪むように形成されている、ソール。
【請求項2】
前記ボトムプレートは、前記足長方向における前記第1部位の前方で、かつ、前記厚み方向に前記着用者の足のつま先を支持するつま先領域を有し、
前記少なくとも1つのピン保持部材は、複数のピン保持部材を含み、
前記少なくとも1つの台座部は、前記つま先領域に配置されたつま先台座部を含む、請求項1に記載のソール。
【請求項3】
前記ボトムプレートは、前記第1部位と前記第2部位との間の範囲で、かつ、前記着用者の足の小指を支持する範囲である外足側領域を有し、
前記少なくとも1つの台座部は、前記外足側領域に配置された外足側台座部を含む、請求項2に記載のソール。
【請求項4】
前記つま先台座部の下面は、前記基準面から下方に突出している、請求項2に記載のソール。
【請求項5】
前記つま先台座部の下面及び前記外足側台座部の下面は、前記基準面と面一に形成されている、請求項3に記載のソール。
【請求項6】
前記少なくとも1つのピン保持部材は、前記スパイクピンを着脱可能に保持可能である、請求項1に記載のソール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のソールと、
前記ソールに接続されており、前記ソールとともに前記着用者の足の収容空間を形成するアッパーと、を備えるシューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ソール及びシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001-340101号公報には、足の底面を支持する板状の靴底本体部と、靴底本体部の裏面に形成された複数のスパイク装着部と、を備える陸上用スパイクシューズの硬質靴底が開示されている。各スパイク装着部には、金属製のスパイクが固定される。複数のスパイク装着部は、第1中足趾節関節に相当する位置に設けられた第1スパイク装着部を含んでいる。各スパイク装着部は、靴底本体部の裏面から突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2001-340101号公報に記載される陸上用スパイクシューズの硬質靴底では、接地から蹴り出し時に至る間の足の動きの安定性を高めることが望ましい。
【0005】
本開示の目的は、接地から蹴り出し時に至る間の足の動きの安定性を高めることが可能なソール及びシューズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この開示の一局面に従ったソールは、シューズの一部を構成するソールであって、ミッドソールと、前記ミッドソールの下面に接続されたボトムプレートと、前記ミッドソールの上面に接続されたトッププレートと、スパイクピンを保持する少なくとも1つのピン保持部材と、を備え、前記ボトムプレートは、基準面を有するプレート本体と、前記少なくとも1つのピン保持部材を保持する少なくとも1つの台座部と、を有し、前記ボトムプレートは、前記ソールの厚み方向に前記シューズの着用者の足のMP関節と重なるMP重なり部から前記ソールの足長方向における前方に向かって前記ソールの全長の20%の第1部位と、前記MP重なり部から前記足長方向における後方に向かって前記ソールの全長の20%の第2部位と、の間の範囲で、かつ、前記着用者の足の母指を支持する範囲である母指球領域を有し、前記少なくとも1つの台座部は、前記母指球領域に配置された母指球台座部を含み、前記母指球台座部の下面は、前記基準面と面一又は前記基準面よりも上方に窪むように形成されている。
【0007】
また、この開示の一局面に従ったシューズは、前記ソールと、前記ソールに接続されており、前記ソールとともに前記着用者の足の収容空間を形成するアッパーと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
この開示によれば、接地から蹴り出し時に至る間の足の動きの安定性を高めることが可能なソール及びシューズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態におけるシューズを概略的に示す断面図である。
【
図4】
図3におけるIV-IV線での断面図である。
【
図6】
図3におけるVI-VI線での断面図である。
【
図7】
図3におけるVII-VII線での断面図である。
【
図8】本開示の第2実施形態におけるシューズのソールの底面図である。
【
図9】
図8におけるIX-IX線での断面図である。
【
図10】本開示の第3実施形態におけるシューズを概略的に示す断面図である。
【
図13】
図11におけるXIII-XIII線での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一又はそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。以下の説明では、足長方向、足幅方向、前方、後方等の用語が用いられる。これら方向を示す用語は、地面等の平坦面P(
図1を参照)に置かれたシューズ1を着用した着用者の視点から見た方向を示す。例えば、前方は、つま先側を指し、後方は、踵側を指す。また、内側又は内足側は、足幅方向における足の第1趾(母指)側を指し、外側又は外足側は、足幅方向における足の第5趾側を指す。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態におけるシューズを概略的に示す断面図である。
図2は、ソールの平面図である。
図3は、ソールの底面図である。なお、
図2及び
図3には、左足用のソール10が示されているが、このソール10は、右足にも適用可能である。この場合、右足用のソールは、左足用のソールと左右対称な形状、あるいは、概ねそれに準じる形状に形成される。本実施形態のシューズ1は、スパイクピンを備えるスパイクシューズ、特に、陸上用のスパイクシューズとして好適である。ただし、シューズ1の用途は、これらに限られず、野球やサッカーなどの球技用スパイクシューズにも適用できる。
【0012】
図1に示されるように、シューズ1は、ソール10と、アッパー20と、を備えている。
【0013】
アッパー20は、ソール10に接続されている。アッパー20は、ソール10とともに着用者の足の収容空間を形成する。アッパー20は、着用者の足の上面を被覆する。
【0014】
ソール10は、シューズ1の一部を構成している。ソール10は、アッパー20の下部に接続されている。
図1に示されるように、ソール10は、ミッドソール100と、ボトムプレート200と、トッププレート300と、ミッドソールトップ400と、アウトソール500と、少なくとも1つのピン保持部材600と、を備えている。
【0015】
ミッドソール100は、接地時における緩衝機能や蹴り出し時における反発機能等を備えている。ミッドソール100は、適度な強度を有しつつ緩衝性に優れる発泡樹脂又は発泡ゴムにより形成されることが好ましい。
図1に示されるように、ミッドソール100は、フォアミッドソール110と、リアミッドソール120と、を有している。
【0016】
フォアミッドソール110は、着用者の足の前足部ないし中足部を支持する。フォアミッドソール110は、例えば反発性を有する材料(ナイロン等)を物理発泡することにより形成されている。
【0017】
リアミッドソール120は、着用者の足の後足部を支持する。リアミッドソール120は、フォアミッドソール110の後端部から後方に向かって延びる形状を有している。リアミッドソール120は、例えば、主成分としての樹脂材料と、副成分としての発泡剤や架橋剤と、を含む樹脂製のフォーム材により形成される。リアミッドソール120は、例えばEVAを化学発泡することにより形成されている。
【0018】
ボトムプレート200は、ミッドソール100の下面に接続されている。ボトムプレート200は、熱可塑性樹脂等からなる。ボトムプレート200の硬度は、ミッドソール100のそれよりも大きい。ボトムプレート200は、プレート本体210と、少なくとも1つの台座部220と、補強部230と、を有している。
【0019】
プレート本体210は、ミッドソール100の前端から後方に向かって延びる形状を有している。具体的に、プレート本体210は、フォアミッドソール110の前端からフォアミッドソール110とリアミッドソール120との境界部を超える位置まで延びている。プレート本体210は、基準面210Sを有している。基準面210Sは、プレート本体210のうち最も厚い部分をつないだ面の下面を意味する。なお、
図4及び
図5では、基準面210Sが二点鎖線で示されている。
【0020】
台座部220は、ピン保持部材600を保持する。台座部220は、ピン保持部材600を包囲する形状を有している。
【0021】
本実施形態では、少なくとも1つの台座部220は、複数の台座部220を含んでいる。
図2及び
図3に示されるように、複数の台座部220は、2つの母指球台座部221と、2つの外足側台座部222と、2つのつま先台座部223と、を有している。
【0022】
各母指球台座部221は、母指球領域R1に配置されている。
図2に示されるように、母指球領域R1は、MP重なり部からソール10の足長方向(
図2における上下方向)における前方に向かってソール10の全長の20%、より好ましくは15%の第1部位L1と、MP重なり部から足長方向における後方に向かってソール10の全長の20%、より好ましくは15%の第2部位L2と、の間の範囲で、かつ、着用者の足の母指を支持する範囲である。MP重なり部は、ボトムプレート200のうちソール10の厚み方向にシューズ1の着用者の足のMP関節(
図2を参照)と重なる部位である。
図2及び
図3では、母指球領域R1が斜線で示されている。
【0023】
なお、足長方向は、シューズセンターSC(
図2及び
図3を参照)と平行な方向である。シューズセンターSCは、シューズ1の中心線に限らず、シューズ1の標準的な着用者の踵骨の中心と第1趾及び第2趾間とを結ぶ直線に対応する線としてもよい。また、
図2には、ヒールセンターHC(シューズ1の標準的な着用者の踵骨の中心と第4趾付近とを結ぶ直線)が示されている。
【0024】
図1は、
図2に示される線分AB、曲線BC、線分CD及び線分DEに沿ったシューズ1の断面である。点Aは、シューズセンターSCとソール10の前端との交点である。点Bは、第2中節骨とシューズセンターSCとの交点である。点Cは、第4中足骨の後部とヒールセンターHCとの交点である。点Dは、ヒールセンターHCとシューズセンターSCとの交点である。点Eは、シューズセンターSCとソール10の後端との交点である。
【0025】
本実施形態では、一方の母指球台座部221(以下、「母指球台座部221A」と表記することもある。)は、MP重なり部と第1部位L1との間に配置されており、他方の母指球台座部221(以下、「母指球台座部221B」と表記することもある。)は、MP重なり部と第2部位L2との間に配置されている。
【0026】
図4に示されるように、MP重なり部と第1部位L1との間に配置された母指球台座部221Aの下面221Sは、プレート本体210の基準面210Sよりも上方に窪むように形成されている。プレート本体210のうち母指球台座部221Aの周囲の部位には、基準面210Sから上方に窪む複数の凹部211が形成されている。プレート本体210のうち凹部211が形成された部位の厚みt1(
図4を参照)は、1.0mm~2.0mm程度に設定されている。台座部220の厚みt2(
図4を参照)は、プレート本体210の前記部位の厚みt1よりも大きい。台座部220の厚みt2は、3.0mm~4.0mm程度に設定されている。
【0027】
図5に示されるように、MP重なり部と第2部位L2との間に配置された母指球台座部221Bの下面221Sは、プレート本体210の基準面210Sと面一に形成されている。ただし、母指球台座部221Bの下面221Sは、プレート本体210の基準面210Sよりも上方に窪むように形成されていてもよい。プレート本体210のうち母指球台座部221Bの周囲の部位には、基準面210Sから上方に窪む複数の凹部212が形成されている。基準面210Sからの凹部212の窪み量は、基準面210Sからの凹部211の窪み量よりも小さく、0.3mm程度に設定されている。
【0028】
各外足側台座部222は、外足側領域R2に配置されている。
図2に示されるように、外足側領域R2は、第1部位L1と第2部位L2との間の範囲で、かつ、着用者の足の小指を支持する範囲である。
図2及び
図3では、外足側領域R2が斜線で示されている。
【0029】
本実施形態では、一方の外足側台座部222は、MP重なり部と第1部位L1との間に配置されており、他方の外足側台座部222は、MP重なり部と第2部位L2との間に配置されている。
【0030】
MP重なり部と第1部位L1との間に配置された外足側台座部222の下面は、プレート本体210の基準面210Sと面一又は基準面210Sよりも上方に窪むように形成されている。プレート本体210のうち当該外足側台座部222の周囲の部位には、複数の凹部211や複数の凹部212が形成されていてもよい。
【0031】
MP重なり部と第2部位L2との間に配置された外足側台座部222の下面は、プレート本体210の基準面210Sと面一に形成されている。プレート本体210のうち当該外足側台座部222の周囲の部位には、複数の凹部212が形成されている。
【0032】
各つま先台座部223は、つま先領域R3に配置されている。
図2に示されるように、つま先領域R3は、足長方向における第1部位L1の前方で、かつ、厚み方向に着用者の足のつま先を支持する範囲である。
図2及び
図3では、つま先領域R3が斜線で示されている。
【0033】
本実施形態では、一方のつま先台座部223は、足幅方向(
図2及び
図3における左右方向)におけるシューズセンターSCの内側に配置されており、他方のつま先台座部223は、足幅方向におけるシューズセンターSCの外側に配置されている。
【0034】
図6に示されるように、足幅方向におけるシューズセンターSCの内側に配置されたつま先台座部223の下面223Sは、プレート本体210の基準面210Sよりも下方に突出している。足幅方向におけるシューズセンターSCの外側に配置されたつま先台座部223の下面223Sも、プレート本体210の基準面210Sよりも下方に突出している。
【0035】
フォアミッドソール110は、各台座部220を受け入れるように上方に窪む受入部112(
図4~
図6を参照)を有している。フォアミッドソール110のうち台座部220と重なる部位の厚みは、台座部220の厚みt2の0.9倍以上2.3倍以下に設定されている。
【0036】
補強部230は、プレート本体210を補強する。
図2及び
図3に示されるように、補強部230は、プレート本体210のうち着用者の足の土踏まずの近傍の部位に設けられている。
図7に示されるように、補強部230は、足幅方向(
図7における左右方向)に並ぶ複数のリブで構成されている。各リブは、足長方向に延びる形状を有している。
【0037】
トッププレート300は、ミッドソール100の上面に接続されている。トッププレート300は、ソール10の曲げ剛性を高める機能や、ミッドソール100に均一に荷重を作用させる機能等を有している。トッププレート300は、繊維強化樹脂や非繊維強化樹脂からなる。本実施形態では、トッププレート300は、炭素繊維強化樹脂からなる。トッププレート300の厚みは、1.0mm~2.0mm程度に設定されている。
【0038】
図1及び
図2に示されるように、トッププレート300は、ソール10の厚み方向に着用者のつま先を支持する領域から着用者の踵骨を支持する領域に至るように足長方向に延びる形状を有している。トッププレート300のうちMP重なり部と対応する部位よりも前方の部位は、下向きに凸となるように湾曲する形状を有しており、当該部位では、曲率半径が段階的に変化している。これにより、段階的に変化する反発力が得られる。トッププレート300のうちMP重なり部と対応する部位よりも後方の部位は、上向きに凸となるように湾曲する形状を有している。これにより、蹴り出し時にトッププレート300により中足部が有効に支持される。
【0039】
ミッドソールトップ400は、トッププレート300の上面に接続されている。ミッドソールトップ400は、例えば、EVAを化学発泡することにより形成される。
図2に示されるように、ミッドソールトップ400の前端部は、トッププレート300の前端部と同じ位置に形成されている。ミッドソールトップ400の後端部は、リアミッドソール120の後端部と同じ位置に形成されている。ミッドソールトップ400の厚みは、1.5mm程度に設定されている。
【0040】
アウトソール500は、リアミッドソール120の下面に接続されている。アウトソール500は、ゴム等からなる。アウトソール500の厚みは、2.0mm~3.0mm程度に設定されている。
【0041】
ピン保持部材600は、スパイクピン(図示略)を保持する部材である。ピン保持部材600は、スパイクピンを着脱可能に保持することが可能である。これにより、使用目的やピンの摩耗状況に応じてスパイクピンを取り換えることが可能となる。ピン保持部材600は、ナットで構成されている。本実施形態では、少なくとも1つのピン保持部材600は、複数のピン保持部材600を含んでいる。具体的に、複数のピン保持部材600は、各台座部220に配置される6つのピン保持部材600を有している。なお、スパイクピンは、着脱式に限らず、固定式でもよい。
【0042】
以上に説明したように、本実施形態におけるソール10では、母指球台座部221の下面221Sがプレート本体210の基準面210Sと面一又は基準面210Sよりも上方に窪むように形成されているため、接地から蹴り出しに至る間における足の動きの安定性が高まる。
【0043】
また、プレート本体210の厚みが台座部220の厚みよりも小さく、かつ、ミッドソール100が母指球台座部221を受け入れる受入部112を有しているため、ミッドソール100の厚みとボトムプレート200の厚みとの総和が増大するのを回避しながら、ミッドソール100のうち母指球台座部221と重ならない部位の厚みが大きく確保される。よって、緩衝性が高まる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、
図8及び
図9を参照しながら、本開示の第2実施形態におけるシューズ1のソール10について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0045】
本実施形態では、プレート本体210には凹部211及び凹部212が形成されていない。また、
図9に示されるように、母指球台座部221の下面221Sは、プレート本体210の基準面210Sと面一に形成されている。このことは、他の台座部220の下面220Sについても同様である。本実施形態におけるプレート本体210の厚みt1は、第1実施形態において、プレート本体210のうち凹部211が形成された部位の厚みt1と同じである。
【0046】
(第3実施形態)
次に、
図10~
図13を参照しながら、本開示の第3実施形態におけるシューズ1のソール10について説明する。なお、第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0047】
本実施形態では、
図11に示されるように、複数の台座部220は、1つの母指球台座部221と、2つの外足側台座部222と、1つのつま先台座部223と、を有している。各台座部220にピン保持部材600が配置されている。
【0048】
また、第2実施形態と同様に、プレート本体210には凹部211及び凹部212が形成されていない。
図12に示されるように、母指球台座部221の下面221S及び外足側台座部222の下面222Sは、プレート本体210の基準面210Sと面一に形成されている。このことは、他の台座部220の下面220Sについても同様である。
【0049】
図11及び
図13に示されるように、補強部230を構成する複数のリブの各々の足幅方向における長さは、第1実施形態におけるそれよりも小さく設定されている。
【0050】
上述した例示的な実施形態は、以下に記載される態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0051】
[態様1]
シューズの一部を構成するソールであって、
ミッドソールと、
前記ミッドソールの下面に接続されたボトムプレートと、
前記ミッドソールの上面に接続されたトッププレートと、
スパイクピンを保持する少なくとも1つのピン保持部材と、を備え、
前記ボトムプレートは、
基準面を有するプレート本体と、
前記少なくとも1つのピン保持部材を保持する少なくとも1つの台座部と、を有し、
前記ボトムプレートは、前記ソールの厚み方向に前記シューズの着用者の足のMP関節と重なるMP重なり部から前記ソールの足長方向における前方に向かって前記ソールの全長の20%の第1部位と、前記MP重なり部から前記足長方向における後方に向かって前記ソールの全長の20%の第2部位と、の間の範囲で、かつ、前記着用者の足の母指を支持する範囲である母指球領域を有し、
前記少なくとも1つの台座部は、前記母指球領域に配置された母指球台座部を含み、
前記母指球台座部の下面は、前記基準面と面一又は前記基準面よりも上方に窪むように形成されている、ソール。
【0052】
このソールでは、母指球台座部の下面がボトムプレートの基準面と面一又は基準面よりも上方に窪むように形成されているため、接地から蹴り出しに至る間における足の動きの安定性が高まる。
【0053】
[態様2]
前記ボトムプレートは、前記足長方向における前記第1部位の前方で、かつ、前記厚み方向に前記着用者の足のつま先を支持するつま先領域を有し、
前記少なくとも1つのピン保持部材は、複数のピン保持部材を含み、
前記少なくとも1つの台座部は、前記つま先領域に配置されたつま先台座部を含む、態様1に記載のソール。
【0054】
この態様では、蹴り出し時に十分なグリップ力を発揮することを可能にする。
【0055】
[態様3]
前記ボトムプレートは、前記第1部位と前記第2部位との間の範囲で、かつ、前記着用者の足の小指を支持する範囲である外足側領域を有し、
前記少なくとも1つの台座部は、前記外足側領域に配置された外足側台座部を含む、態様2に記載のソール。
【0056】
この態様では、接地時から蹴り出し時に十分なグリップ力と安定性を両立することを可能にする。
【0057】
[態様4]
前記つま先台座部の下面は、前記基準面から下方に突出している、態様2又は3に記載のソール。
【0058】
この態様では、蹴り出し時の安定性をより高める目的でミッドソールを薄く設定している部位においてピン保持部材による足への突き上げを防止することが可能となる。
【0059】
[態様5]
前記つま先台座部の下面及び前記外足側台座部の下面は、前記基準面と面一に形成されている、態様3に記載のソール。
【0060】
この態様では、接地から蹴り出しに至る間における足の動きの安定性がより高まる。
【0061】
[態様6]
前記少なくとも1つのピン保持部材は、前記スパイクピンを着脱可能に保持可能である、態様1から5のいずれかに記載のソール。
【0062】
この態様では、使用目的やスパイクピンの摩耗状況に応じてスパイクピンを取り換えることが可能となる。
【0063】
[態様7]
態様1から6のいずれかに記載のソールと、
前記ソールに接続されており、前記ソールとともに前記着用者の足の収容空間を形成するアッパーと、を備えるシューズ。
【0064】
なお、今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1 シューズ、10 ソール、20 アッパー、100 ミッドソール、110 フォアミッドソール、120 リアミッドソール、200 ボトムプレート、210 プレート本体、210S 基準面、211 凹部、212 凹部、220 台座部、221 母指球台座部、222 外足側台座部、223 つま先台座部、230 補強部、300 トッププレート、400 ミッドソールトップ、500 アウトソール、600 ピン保持部材、R1 母指球領域、R2 外足側領域、R3 つま先領域、SC シューズセンター。