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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021302
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】詰替え用包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/58 20060101AFI20240208BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D33/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124033
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】金澤 岳
(72)【発明者】
【氏名】佐々 志歩
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064AB23
3E064BA07
3E064BA17
3E064BA26
3E064BA29
3E064BA30
3E064BA35
3E064BA36
3E064BA37
3E064BA38
3E064BA46
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064FA04
3E064FA05
3E064HM01
3E064HP02
3E064HS05
3E064HS10
3E067AA03
3E067AA04
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB12A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067CA04
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB03
3E067EB11
3E067EE15
3E067EE40
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】本発明の解決しようとする課題は、詰め替え操作時における注出口の外れが生じず、安定して詰め替え操作が可能な詰替え用包装袋を提案するものである。
【解決手段】内径がa(mm)の円形の開口部21を有する容器20に、内容物を詰め替えるための詰替え用包装袋1であって、内容物を注出するための注出口11を、一辺の中央部に有し、注出口の左右の肩部にそれぞれ凹み12を有し、前記左右2つの凹みの内側同士の距離x(mm)が、a≦x≦1.5aであり、前記凹みの中央を通る直線と前記注出口の中央を通る直線のなす角度α(°)が、0≦α≦60であり、前記左右2つの凹みは、前記注出口の中央を通る直線に対して左右対称に設けられていることを特徴とする詰替え用包装袋である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内径がa(mm)の円形の開口部を有する容器に、内容物を詰め替えるための詰替え用包装袋であって、
内容物を注出するための注出口を、一辺の中央部に有し、
前記注出口の左右の肩部にそれぞれ凹みを有し、
前記左右2つの凹みの内側同士の距離x(mm)が、a≦x≦1.5aであり、
前記凹みの中央を通る直線と前記注出口の中央を通る直線のなす角度α(°)が、
0≦α≦60であり、
前記左右2つの凹みは、前記注出口の中央を通る直線に対して左右対称に設けられていることを特徴とする詰替え用包装袋。
【請求項2】
前記容器の開口部の厚さをb(mm)、前記凹みの幅をy(mm)とした時、
b≦y≦3bであることを特徴とする請求項1に記載の詰替え用包装袋。
【請求項3】
前記容器の開口部の高さをc(mm)、前記凹みの深さをz(mm)とした時、
1≦z≦cであることを特徴とする請求項1に記載の詰替え用包装袋。
【請求項4】
胴部、および底部、および分岐から構成されており、
前記胴部は、前側胴部および後側胴部から構成されて、左右両側端部はシールされており、
前記胴部の下部において、前記前側胴部と前記後側胴部の間に底板がシールされて、拡張可能に密封された前記底部を形成しており、
前記胴部の上端部は充填口となっており、内容物の充填後にシールされて上端部のシール部を形成しており、
前記前側胴部には、前側胴部から前記分岐の先端部を有して張り出した前記分岐が形成されており、
前記分岐は、分岐と前記前側胴部の境界で、前側胴部の上方に向けて折り返し可能に、包装袋高さ方向の中央部に設けられており、
前記分岐は、前記前側胴部上方から連続する積層体と、前記前側胴部下方から連続する積層体とが重なって、前記分岐の周縁部をシールされ、密封されてなり、
前記分岐と前記前側胴部の境界線から、前記分岐先端までの距離は、前記分岐と前記前側胴部の境界線から、前記胴部の上端までの距離より短く形成されており、
前記分岐の先端部には、切り取りのための開封予定線が設けられ、この先端部の切り取りによって前記分岐に、前記注出口を形成することができることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の詰替え用包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繰り返し使用する本容器に、詰め替える内容物を収納する詰替え用包装袋に関し、特に詰め替え操作時の安定性を改善した詰替え用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプーやリンスなどにおいて、例えばポンプ付きの丈夫な本容器に、内容物のみを詰め替えて、本容器を繰り返し使用する使い方がある。このような用途に用いる詰替え用包装袋としては、底面を持ち、自立性を備えたスタンディングパウチと称する柔軟な容器が多く用いられている。
【0003】
従来の詰替え用包装袋は、詰替え操作時の利便性を高めるためにさまざまな工夫がなされてきた。例を挙げれば、注出口を開口し易くする工夫や、注出口が閉塞し難い工夫、あるいは注出速度を上げる工夫等である。本出願人の出願になる特許文献1に記載された軟質包装袋は、内容物が残り少なくなっても注出口が密着して閉塞することのない詰め替え用包装袋である。
【0004】
また、同様に本出願人の出願になる特許文献2に記載された詰め替え用包装袋は、注出路を特殊な形状とすることで、詰め替え操作時に容器を徐々に傾けるという手間が掛からず、表裏のフィルムが接して内容物が流れなくなってしまうことのない詰め替え用包装袋である。
【0005】
一方、詰替え操作時の他の問題として、注出口が本容器の開口部から外れやすいという問題があった。注出口が外れると、内容物が本容器の外にこぼれて不経済なばかりでなく、周囲を掃除する手間が掛かる等、非常に好ましくない問題が生じる。しかし特許文献1に記載された軟質包装袋にも、特許文献2に記載された詰め替え用包装袋にも、この点に対する考慮がなされていなかった。
【0006】
詰替え用包装袋の注出口が、本容器の開口部から外れ難くする工夫として、詰替え用包装袋の注出口の両側の肩部に凹みを設けて、本容器の開口部が、この凹みに引っ掛かるようにするという手段がある。同じく本出願人の出願になる特許文献3に記載された詰め替え用包装袋は、プラスチックフィルムを基材とした詰め替え用包装袋において、輸送時の振動や落下に起因するピンホールやシワの発生がなく、一連の詰め替え作業をより容易に行うことができる、詰め替え用包装袋である。
【0007】
特許文献3の図1に示された例においては、分岐の一部に凹みが設けてあり、これを設ける場合には、詰め替え作業において詰め替え先の容器の口元に凹みを合わせることによって、注ぎ口をぐらつきなく安定して差し込んで詰め替え作業を行うことが可能であるとしている。
【0008】
しかし特許文献3には、この凹みに関する詳細な説明がなく、その後種々検討した結果、本発明者らは、凹みを設ける場合の有効なパラメーターが存在することを見出し、本発明を完成させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第4910528号公報
【特許文献2】特開2016-108037号公報
【特許文献3】特開2021-113084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は、詰め替え操作時における注出口の外れが生じず、安定して詰め替え操作が可能な詰替え用包装袋を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、内径がa(mm)の円形の開口部を有する容器に、内容物を詰め替えるための詰替え用包装袋であって、
内容物を注出するための注出口を、一辺の中央部に有し、前記注出口の左右の肩部にそれぞれ凹みを有し、
前記左右2つの凹みの内側同士の距離x(mm)が、a≦x≦1.5aであり、
前記凹みの中央を通る直線と前記注出口の中央を通る直線のなす角度α(°)が、
0≦α≦60であり、
前記左右2つの凹みは、前記注出口の中央を通る直線に対して左右対称に設けられていることを特徴とする詰替え用包装袋である。
【0012】
本発明に係る詰替え用包装袋は、容器の開口部に挿入する注出口の左右の肩部にそれぞれ凹みを設け、その凹みの仕様を規定したことにより、詰替え操作時に注出口が外れることなく、安定して詰替え操作ができる。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、前記容器の開口部の厚さをb(mm)、前記凹みの幅をy(mm)とした時、b≦y≦3bであることを特徴とする請求項1に記載の詰替え用包装袋である。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、前記容器の開口部の高さをc(mm)、前記凹みの深さをz(mm)とした時、1≦z≦cであることを特徴とする請求項1に記載の詰替え用包装袋である。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、胴部、および底部、および分岐から構成されており、胴部は、前側胴部および後側胴部から構成されて、左右両側端部はシールされており、胴部の下部において、前側胴部と後ろ側胴部の間に底板がシールされて、拡張可能に密封された底部を形成しており、胴部の上端部は充填口となっており、内容物の充填後にシールされて上端部のシール部を形成しており、前側胴部には、前側胴部から分岐の先端部を有して張り出した分岐が形成されており、分岐は、分岐と前側胴部の境界で、前側胴部の上方に向けて折り返し可能に、包装袋高さ方向の中央部に設けられており、分岐は、前側胴部上方から連続する積層体と、前側胴部下方から連続する積層体とが重なって、分岐の周縁部をシールされ、密封されてなり、分岐と前側胴部の境界線から、分岐先端までの距離は、分岐と前側胴部の境界線から、胴部の上端までの距離より短く形成されており、分岐の先端部には、切り取りのための開封予定線が設けられ、この先端部の切り取りによって分岐に、前記注出口を形成することができることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の詰替え用包装袋である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る詰替え用包装袋は、容器の開口部に挿入する注出口の左右の肩部にそれぞれ凹みを設け、その凹みの仕様を規定したことにより、詰替え操作時に注出口が外れることなく、安定して詰替え操作ができる。
【0017】
凹み同士の距離xが、容器開口幅aに対して1~1.5倍の範囲内である時、凹みに容
器の口元を差し込むことで注入作業の安定性が向上する。また、凹みの首部注ぎ口側の角度の大きさが0°から60°までの範囲内である時、凹みに容器の口元を差し込んだ際に、パウチの開口部が開く方向にあるため、注ぎ性が向上する。
【0018】
凹みの幅yが容器の厚さbに対して1~3倍の範囲内である時、凹みに容器の口元を差し込むことが可能であり、注入作業の安定性がより向上する。
【0019】
凹みの深さzが1mm~容器の口元高さcの範囲内である時、凹みに容器の口元を差し込んだ際に、注入作業の安定性がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明に係る詰替え用包装袋の一実施態様を示した説明図である。
図2図2は、本発明に係る詰替え用包装袋の内容物を移し替える容器の開口部を示した説明図である。
図3図3は、図1に示した詰替え用包装袋から、図2に示した容器に内容物を移し替える状態を示した説明図である。
図4図4は、凹みの形状の例を示した模式図である。
図5図5は、凹みの形状の例を示した模式図である。
図6図6は、凹みの形状の例を示した模式図である。
図7図7は、凹みの形状の例を示した模式図である。
図8図8は、本発明に係る詰替え用包装袋の他の実施態様を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面を参照しながら、本発明に係る詰替え用包装袋について詳細に説明する。図1は、本発明に係る詰替え用包装袋の一実施態様を示した説明図である。図2は、本発明に係る詰替え用包装袋の内容物を移し替える容器の開口部を示した説明図である。図3は、図1に示した詰替え用包装袋から、図2に示した容器に内容物を移し替える状態を示した説明図である。
【0022】
本発明に係る詰替え用包装袋1は、内径がa(mm)の円形の開口部を有する容器20に、内容物を詰め替えるための詰替え用包装袋であって、内容物を注出するための注出口11を、一辺の中央部に有する。
【0023】
注出口11の左右の肩部には、それぞれ凹み12を有し、左右2つの凹み12の内側同士の距離x(mm)が、a≦x≦1.5aであり、凹み12の中央を通る直線と注出口の中央を通る直線のなす角度α(°)が、0≦α≦60であり、左右2つの凹み12は、注出口11の中央を通る直線に対して左右対称に設けられていることを特徴とする。
【0024】
ここで、凹み12の中央を通る直線と注出口の中央を通る直線のなす角度α(°)が0°ということは、両者が平行であることを意味している。
【0025】
図1に示した詰替え用包装袋の例は、胴部2と底部6から構成されており、胴部2は、
前側胴部3および後側胴部4から構成されて、左右両側端部はシールされており、胴部2の下部において、前側胴部3と後側胴部4の間に底板5がシールされて、拡張可能に密封された底部6を形成した、一般的にスタンディングパウチと称される包装袋である。
【0026】
詰替え用包装袋においては、一般的にスタンディングパウチ形状の包装袋が用いられることが多いが、本発明に係る詰替え用包装袋1は、特にこれに限定されない。
【0027】
詰替え用包装袋1の内容物を容器20に移し替える時には、図3に示したように、開封予定線9を開封して注出口11を形成した後、詰替え用包装袋1を反転させ、注出口11を容器20の開口部21に挿入する。この時、容器開口部21の先端が詰替え用包装袋1の凹み12に納まることにより、詰替え用包装袋1が安定して保持されるのである。
【0028】
この、凹み12と容器開口部21の形状との間には、詰替え用包装袋1が安定するための条件が存在することを発見し、本発明を完成したものである。これが即ち、左右2つの凹み12の内側同士の距離x(mm)が、容器開口部の内径a(mm)よりも大きいか等しく、容器開口部の内径aの1.5倍よりも小さいか等しい範囲であり、かつ凹み12の中央を通る直線と注出口11の中央を通る直線のなす角度α(°)が、0°以上、60°以下であるという2つの条件を満たすことであることが判明した。
【0029】
凹み12同士の距離x(mm)が、容器開口幅a(mm)に対して1~1.5倍の範囲内である時、凹み12に容器の開口部21を差し込むことで注入作業の安定性が向上する。凹み間距離x(mm)が容器開口幅a(mm)よりも小さい場合、凹み12に容器の開口部21を差し込むことが出来ず、安定性に寄与しないか、差し込むことが出来ても包装袋の注出口の開口を阻害することになり、注出性が悪化する。
【0030】
凹みの距離x(mm)が容器開口幅a(mm)よりも特に大きい場合、凹み12に容器の開口部21を差し込んだ際に、包装袋の注出口11の開口を阻害することになり、注出性が悪化する。ここで、特に大きい場合とは、凹みの距離xが容器開口幅aの半円周長(1/2πa)を上回るような場合であって、xの余った長さの分だけ開口を阻害することになるからである。
【0031】
また、凹み12の中央を通る直線と注出口11の中央を通る直線のなす角度α(°)が、0°以上、60°以下である時、凹み12に容器の開口部21を差し込んだ際に、包装袋の注出口11が開く方向になるため、注出性がより向上する。
【0032】
角度αが0°よりも小さい(負である)場合、凹み12の向きが容器の開口部21に合うように包装袋を変形させると、包装袋の注出口11の開口を閉塞させる方向に変形させる必要があるため、注出性は悪化する。逆に角度αが60°より大きい場合、凹み12の向きが容器の開口部21に合うように包装袋を変形させると、包装袋の注出口11付近を歪ませるように変形させる必要が出てくるため、注出性は悪化する。
【0033】
凹み12の幅y(mm)が容器の厚さb(mm)に対して1~3倍の範囲内である時、凹み12に容器の開口部21を差し込むことが可能であり、注入作業の安定性が向上する。凹み12よりも容器の開口部21の厚さb(mm)が大きい場合、そもそも凹み12に差し込むことが出来ないため、安定性に寄与しない。
【0034】
凹み12が容器の開口部21の厚さb(mm)よりも特に大きい場合、凹み12に差し込むことは容易になるが、差し込むことによる安定性の向上は期待できない。容器に内容物を注出する際に、上から内容物を押し出す圧力をかけた際に、開口部がずれる遊び部分が、生じてしまうからである。
【0035】
凹み12の深さz(mm)が、1mm~容器の開口部の高さc(mm)の範囲内である時、凹みに容器の開口部21を差し込んだ際に、注入作業の安定性が向上する。凹み12の深さz(mm)が浅すぎる場合、仮に容器の開口部21を差し込んでも安定性に寄与しない。なお、凹み12の深さzとは、図1に示したように、凹み12の中央を通る直線上で最も深い地点までの距離である。
【0036】
凹み12の深さz(mm)が容器の開口部の高さc(mm)よりも大きい場合、余剰分の包装袋の肩の部分が、容器20の開口部21以外の部分に接触してしまい、安定性を損なう。
【0037】
図4図7は、凹み12の形状の例を示した模式図である。図4に示した例は、凹み12の形状として、底部が半円形状の場合を示している。図5に示した例は、凹み12の形状として、底部が直線状の場合を示している。図6に示した例は、凹み12の形状として、底部が三角形状の場合を示している。図7に示した例は、凹み12の形状として、底部が6角形の半分の形状の場合を示している。図4図6に示した形状は、凹み12の中央部分が最も深くなる構造であるため、安定性が得られ易い。
【0038】
凹み12の底部の形状は、詰め替えるべき容器20の開口部21の先端の形状に合わせて設定されるべきである。
【0039】
図8は、本発明に係る詰替え用包装袋1の他の実施態様を示した説明図である。この例では、詰替え用包装袋1は、胴部2、底部6、および分岐7から構成されている。胴部2は、前側胴部3および後側胴部4から構成されて、左右両側端部はシールされている。
【0040】
胴部2の下部において、前側胴部3と後側胴部4の間に底板5がシールされて、拡張可能に密封された底部6を形成している。
【0041】
胴部2の上端部は充填口10となっており、内容物の充填後にシールされて上端部のシール部13を形成している。
【0042】
前側胴部3には、前側胴部3から分岐7の先端部を有して張り出した分岐7が形成されており、分岐7は、分岐7と前側胴部3の境界で、前側胴部3の上方に向けて折り返し可能に、包装袋高さ方向の中央部に設けられている。
【0043】
分岐7は、前側胴部3の上方から連続する積層体と、前側胴部3の下方から連続する積層体とが重なって、分岐7の周縁部をシールされ、密封されてなり、分岐7と前側胴部3の境界線から、分岐7の先端までの距離は、分岐7と前側胴部3の境界線から、胴部2の上端までの距離より短く形成されている。
【0044】
分岐7の先端部には、切り取りのための開封予定線9が設けられ、この先端部の切り取りによって分岐7に、注出口11を形成することができる。
【0045】
図8に示した詰替え用包装袋の例では、内容物を充填する充填口10と、内容物を注出する注出口11とを完全に分離することができるため、注出口11の設計の自由度が高まり、注出時の安定性について、最も安定的に注出できる形状に設計することが可能となる。
【0046】
またこのような形状であると、分岐7は、分岐7と前側胴部3の境界で、前側胴部3の上方に向けて折り返し可能に、包装袋高さ方向の中央部に設けられていることによって、
包装袋の幅を細くすることが可能になり、詰め替え時には片手でも持ちやすいサイズとすることができる。また、胴部2を、後側胴部4同士が対向する形でほぼ二つ折りにして、開封、注ぎ出しを行うことができるため、段差ができにくく持ちやすい形状となっている。
【0047】
本発明に係る詰替え用包装袋1に用いる積層体の構成について述べる。基材層としては、一般的には、印刷加工適性と耐熱性を備えた合成樹脂フィルムが用いられる。具体的には、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)等のポリエステル系樹脂、セロハン、三酢酸セルロース(TAC)樹脂等のセルロース系樹脂、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)、アイオノマー樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ナイロン-6、ナイロン-66等のポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の合成樹脂フィルムが用いられる。
【0048】
シーラント層の材質としては、ポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等が使用される。
【0049】
基材層とシーラント層の間に、特に図示しないが、中間層を設ける場合もある。中間層は、積層体の強度や厚さ、コシの調整、ガスバリア性の付与等を目的として用いられる。中間層としては、基材層やシーラント層に用いられるものと同様の合成樹脂フィルムを用いることができる。中間層をガスバリア層として用いる場合には、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、ガスバリア性ナイロンフィルム、ガスバリア性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のガスバリア性フィルムや、PETフィルム等にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着フィルムや、PETフィルムに酸化アルミニウムや酸化珪素等の無機酸化物を蒸着させた無機酸化物蒸着フィルム、あるいは、ポリ塩化ビニリデンコーティング、水溶性樹脂と無機層状化合物を含有する被膜や金属アルコキシドあるいはその加水分解物とイソシアネート化合物を反応させた被膜からなる樹脂層などのガスバリアコーティング層、あるいはアルミニウム箔等の金属箔などを用いることができる。
【0050】
以下、凹みの距離x(mm)、凹みの幅y(mm)、凹みの深さz(mm)、角度α(°)を変化させた時に、注出時の安定性がどのように変化するかを調べた結果を示す。実施例、比較例の詰替え用包装袋に用いた積層体の構成としては、基材フィルムとして厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用い、中間層として厚さ15μmのポリアミドフィルムを用い、シーラント層として厚さ100μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムを用いた。
【0051】
容器20の開口部21の形状としては、厚さbを2mm、高さcを15mmに統一し、内径aについては、35mmのものを標準として、一部50mmのものを使用した。詰替え用包装袋の形状としては、図1に示した標準的なスタンディングパウチ形状と、図8に示した形状のものを採用した。
【0052】
評価方法としては、詰替え用包装袋の注出口を容器の開口部に差し込んだ後、容器から手を放して包装袋のみを両手でつかんだ際の安定性について官能試験を行った。
<評価基準>
凹みと開口部の接触が十分で、遊び(グラグラ揺れる)がない:◎
開口部に凹みを差し込むことが出来るが、包装袋のみを両手でつかんだ際に安定性にかける:〇
開口部を差し込めない、あるいは差し込むと注出性に悪影響が出る:×
結果を表1に示す。
【表1】
【0053】
表1の結果から、本発明に係る詰替え用包装袋の優位性が分かる。
【符号の説明】
【0054】
1・・・詰替え用包装袋
2・・・胴部
3・・・前側胴部
4・・・後側胴部
5・・・底板
6・・・底部
7・・・分岐
8・・・分岐の先端部
9・・・開封予定線
10・・・充填口
11・・・注出口
12・・・凹み
13・・・上端部シール部
x・・・凹みの内側同士の距離
y・・・凹みの幅
z・・・凹みの深さ
α・・・凹みの中央を通る直線と注出口の中央を通る直線のなす角度
20・・・容器
21・・・開口部
a・・・容器開口部の内径
b・・・容器開口部の厚さ
c・・・容器開口部の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8