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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021305
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20240208BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240208BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240208BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20240208BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20240208BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20240208BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20240208BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H05B33/04
H01L27/32
H05B33/14 A
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/26 Z
H05B33/28
G09F9/30 365
G09F9/30 343
G09F9/30 348A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124038
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 裕之
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC23
3K107CC33
3K107DD23
3K107DD27
3K107DD37
3K107DD89
3K107DD90
3K107DD95
3K107EE03
3K107EE48
3K107EE50
3K107FF15
5C094AA31
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA15
5C094EA04
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制する。
【解決手段】一実施形態によれば、表示装置は、基板と、前記基板の上方において、表示領域に亘って配置され、前記表示領域の外側に延出した導電層と、前記導電層の上方において、前記表示領域にマトリクス状に配置された複数の下電極と、無機絶縁材料で形成され、前記複数の下電極の各々と重なる複数の開口を有するリブと、前記開口において前記下電極の上に配置された有機層と、前記有機層の上に配置され、帯状に形成され、前記表示領域の外側に位置する両端部で前記導電層に接する上電極と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方において、表示領域に亘って配置され、前記表示領域の外側に延出した導電層と、
前記導電層の上方において、前記表示領域にマトリクス状に配置された複数の下電極と、
無機絶縁材料で形成され、前記複数の下電極の各々と重なる複数の開口を有するリブと、
前記開口において前記下電極の上に配置された有機層と、
前記有機層の上に配置され、帯状に形成され、前記表示領域の外側に位置する両端部で前記導電層に接する上電極と、
を備える、表示装置。
【請求項2】
さらに、
前記基板の上方に配置され、前記下電極と電気的に接続された駆動トランジスタと、
前記駆動トランジスタを覆う有機絶縁層と、
前記有機絶縁層の上に配置され、前記駆動トランジスタと高電位電圧電源線とを電気的に接続する金属層と、
前記有機絶縁層の上に配置され、前記導電層と低電位電圧電源線とを電気的に接続する接続電極と、
前記金属層と前記導電層との間に介在する第1無機絶縁層と、
前記導電層と前記下電極との間に介在する第2無機絶縁層と、を備え、
前記上電極は、前記第2無機絶縁層に形成されたコンタクトホールにおいて前記導電層に接する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記導電層、前記金属層、及び、前記接続電極の各々は、一対のチタン層の間にアルミニウム層が位置する積層体である、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記リブ、前記第1無機絶縁層、及び、前記第2無機絶縁層の各々は、シリコン窒化物で形成されている、請求項2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記有機層は、複数の島状に形成され、前記複数の下電極の各々の上に配置される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記有機層は、前記上電極とほぼ平行に延出した帯状に形成され、前記複数の下電極の上に配置される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
さらに、
前記上電極の上に配置され、前記上電極とほぼ平行に延出した帯状に形成されたキャップ層と、
無機絶縁材料によって形成され、前記上電極及び前記キャップ層を覆い、前記上電極とほぼ平行に延出した帯状に形成された封止層と、を備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記封止層は、シリコン窒化物で形成されている、請求項7に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、薄膜トランジスタを含む画素回路と、画素回路に接続された下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極と、を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。
このような表示素子を製造する過程において、信頼性の低下を抑制する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置は、
基板と、前記基板の上方において、表示領域に亘って配置され、前記表示領域の外側に延出した導電層と、前記導電層の上方において、前記表示領域にマトリクス状に配置された複数の下電極と、無機絶縁材料で形成され、前記複数の下電極の各々と重なる複数の開口を有するリブと、前記開口において前記下電極の上に配置された有機層と、前記有機層の上に配置され、帯状に形成され、前記表示領域の外側に位置する両端部で前記導電層に接する上電極と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
図2図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図3図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
図4図4は、表示装置DSPの主要部の一構成例を示す平面図である。
図5図5は、図4中のC-D線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
図6図6は、表示装置DSPの主要部の他の構成例を示す平面図である。
図7図7は、表示装置DSPの他の主要部の一構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向と称し、Y軸に沿った方向を第2方向と称し、Z軸に沿った方向を第3方向と称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0009】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0010】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
【0011】
表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの外側の周辺領域SAと、を有している。
【0012】
基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。基板10は、第1方向Xに沿った一対の辺10A及び10Bと、第2方向Yに沿った一対の辺10C及び10Dと、を有している。信号源であるドライバICチップ30は、辺10Aに沿った周辺領域SAに実装されている。
【0013】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0014】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の副画素SPを備えている。互いに異なる色の副画素SPは、画素PXを構成する。一例では、画素PXは、第1色の副画素SP1、第2色の副画素SP2、及び、第3色の副画素SP3を含む。第1色、第2色、及び、第3色は、互いに異なる色である。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0015】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0016】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。走査線GLは、表示領域DAにおいて、例えば第1方向Xに延出している。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極に接続されている。信号線SLは、表示領域DAにおいて、例えば第2方向Yに延出している。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は高電位電圧電源線PL1(vdd)に接続され、他方は表示素子20のアノード及びキャパシタ4に接続されている。表示素子20のカソードは、低電位電圧電源線PL2(vss)に接続されている。画素回路1に接続される各種配線の少なくとも一部は、ドライバICチップ30と電気的に接続されている。
【0017】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えてもよい。
【0018】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)であり、有機EL素子と称する場合がある。
【0019】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
【0020】
図2に示した例においては、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3は、第1方向Xに並んでいる。なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは、図2の例に限らない。
【0021】
表示領域DAには、リブ5が配置されている。リブ5は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ開口AP1,AP2,AP3を有している。
【0022】
副画素SP1,SP2,SP3は、表示素子20として、それぞれ表示素子201,202,203を備えている。
副画素SP1の表示素子201は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1及び有機層OR1を備えている。副画素SP2の表示素子202は、開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2及び有機層OR2を備えている。副画素SP3の表示素子203は、開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3及び有機層OR3を備えている。
【0023】
ここでは、下電極LE1、LE2、LE3の外形は点線で示し、有機層OR1、OR2、OR3の外形は一点鎖線で示し、上電極UE1、UE2、UE3の外形は二点鎖線で示している。下電極LE1、LE2、LE3のそれぞれの周縁部は、リブ5に重なっている。なお、図示した下電極、有機層、上電極のそれぞれの外形は、正確な形状を反映したものとは限らない。
【0024】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、表示素子のアノードに相当する。下電極LE1、LE2、LE3は、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。有機層OR1、OR2、OR3は、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。上電極UE1、UE2、UE3は、表示素子のカソード、あるいは、共通電極に相当する。上電極UE1、UE2、UE3は、第1方向Xに間隔をおいて並び、それぞれ第2方向Yに延出している。
【0025】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1の駆動トランジスタ3(図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1の駆動トランジスタ3に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1の駆動トランジスタ3に接続されている。
【0026】
図2の例においては、開口AP1、開口AP2、及び、開口AP3の各々の面積は、ほぼ同一である。但し、開口AP1、開口AP2、及び、開口AP3の各々の面積は、互いに異なっていてもよい。例えば、開口AP2の面積が開口AP1の面積よりも大きく、開口AP3の面積が開口AP2の面積よりも大きくてもよい。
【0027】
例えば、副画素SP1の表示素子201は、赤波長域の光を放つように構成される。また、副画素SP2の表示素子202は、緑波長域の光を放つように構成され、また、副画素SP3の表示素子203は、青波長域の光を放つように構成される。
【0028】
図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
【0029】
表示素子201、202、203は、基板10の上方に配置されている。回路層11は、基板10の上に配置されている。回路層11は、図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SL、高電位電圧電源線PL1、及び、低電位電圧電源線PL2などの各種回路や配線を含む。回路層11は、絶縁層12により覆われている。絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。
【0030】
金属層ML1、ML2、ML3は、絶縁層12の上に配置され、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。金属層ML1は表示素子201の直下に位置し、金属層ML2は表示素子202の直下に位置し、金属層ML3は表示素子203の直下に位置している。このような金属層ML1、ML2、ML3の各々は、高電位電圧電源線PL1と駆動トランジスタ3とを電気的に接続するものである。金属層ML1、ML2、ML3は、絶縁層13によって覆われている。
【0031】
導電層CLは、絶縁層13の上に配置されている。導電層CLは、単一の平板状に形成され、複数の表示素子201に亘って共通に設けられている。導電層CLは、絶縁層13を介して金属層ML1、ML2、ML3に対向している。導電層CLは、低電位電圧電源線PL2と電気的に接続されている。導電層CLは、絶縁層14によって覆われている。
【0032】
下電極LE1,LE2,LE3は、絶縁層14の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3は、絶縁層14を介して導電層CLに対向している。リブ5は、絶縁層12及び下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。つまり、下電極LE1,LE2,LE3の端部は、絶縁層14とリブ5との間に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3のうち、互いに隣接する下電極の間では、絶縁層14がリブ5により覆われている。
【0033】
有機層OR1は、開口AP1を通じて下電極LE1に接触し、下電極LE1を覆うとともに、リブ5の一部に重なっている。上電極UE1は、下電極LE1と対向するとともに、有機層OR1の上に配置され、有機層OR1を覆っている。
【0034】
有機層OR2は、開口AP2を通じて下電極LE2に接触し、下電極LE2を覆うとともに、リブ5の一部に重なっている。上電極UE2は、下電極LE2と対向するとともに、有機層OR2の上に配置され、有機層OR2を覆っている。
【0035】
有機層OR3は、開口AP3を通じて下電極LE3に接触し、下電極LE3を覆うとともに、リブ5の一部に重なっている。上電極UE3は、下電極LE3と対向するとともに、有機層OR3の上に配置され、有機層OR3を覆っている。
【0036】
図示した例では、副画素SP1,SP2,SP3は、有機層OR1,OR2,OR3の発光層が発する光の光学特性を調整するためのキャップ層(光学調整層)CA1、CA2、CA3を含む。
キャップ層CA1は、開口AP1に位置し、上電極UE1の上に配置されている。キャップ層CA2は、開口AP2に位置し、上電極UE2の上に配置されている。キャップ層CA3は、開口AP3に位置し、上電極UE3の上に配置されている。
【0037】
副画素SP1,SP2,SP3には、封止層SE1,SE2,SE3がそれぞれ配置されている。
封止層SE1は、キャップ層CA1及び上電極UE1を覆っている。封止層SE2は、キャップ層CA2及び上電極UE2を覆っている。封止層SE3は、キャップ層CA3及び上電極UE3を覆っている。封止層SE1,SE2,SE3は、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。
封止層SE1,SE2,SE3は、保護層15により覆われている。
【0038】
絶縁層12は、有機絶縁層である。
絶縁層13、絶縁層14、リブ5、及び、封止層SE1,SE2,SE3は、無機絶縁層である。
【0039】
絶縁層13及び絶縁層14は、無機絶縁材料の一例であるシリコン窒化物(SiNx)で形成されている。絶縁層13は第1無機絶縁層に相当し、絶縁層14は第2無機絶縁層に相当する。
【0040】
リブ5は、無機絶縁材料の一例であるシリコン窒化物(SiNx)で形成されている。なお、リブ5は、他の無機絶縁材料として、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al)のいずれかの単層体として形成されてもよい。また、リブ5は、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、シリコン酸窒化物層、及び、酸化アルミニウム層のうちの少なくとも2つの組合せによる積層体として形成されてもよい。
リブ5の厚さは、絶縁層12の厚さに比べて十分に小さい。一例では、リブ5の厚さは、200nm以上かつ400nm以下である。
【0041】
封止層SE1,SE2,SE3は、いずれも同一の無機絶縁材料で形成されている。
封止層SE1,SE2,SE3は、無機絶縁材料の一例であるシリコン窒化物(SiNx)で形成されている。なお、封止層SE1,SE2,SE3は、他の無機絶縁材料として、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al)のいずれかの単層体として形成されてもよい。また、封止層SE1,SE2,SE3は、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、シリコン酸窒化物層、及び、酸化アルミニウム層のうちの少なくとも2つの組合せによる積層体として形成されてもよい。このため、封止層SE1,SE2,SE3は、リブ5と同一材料で形成される場合があり得る。
【0042】
封止層SE1の厚さ、封止層SE2の厚さ、及び、封止層SE3の厚さは、ほぼ同等であり、例えば、1μm程度である。
【0043】
保護層15は、透明な薄膜の多層体によって形成され、例えば、薄膜として、無機材料によって形成された薄膜及び有機材料によって形成された薄膜を含んでいる。
【0044】
下電極LE1,LE2,LE3は、ITOなどの透明導電材料で形成されてもよいし、銀(Ag)などの金属材料と透明導電材料との積層構造を有してもよい。上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウム及び銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。上電極UE1,UE2,UE3は、ITOなどの透明導電材料で形成されてもよい。
【0045】
有機層OR1,OR2,OR3の各々は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの複数の機能層を含む。また、有機層OR1は、発光層EM1を含む。有機層OR2は、発光層EM2を含む。発光層EM2は、発光層EM1とは異なる材料で形成されている。有機層OR3は、発光層EM3を含む。発光層EM3は、発光層EM1及びEM2とは異なる材料で形成されている。
【0046】
発光層EM1を形成する材料、発光層EM2を形成する材料、及び、発光層EM3を形成する材料は、互いに異なる波長域の光を放つ材料である。
一例では、発光層EM1は、赤波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM2は、緑波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM3は、青波長域の光を放つ材料によって形成されている。
【0047】
キャップ層CA1、CA2、CA3は、例えば、透明な薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、薄膜として、無機材料によって形成された薄膜及び有機材料によって形成された薄膜を含んでいてもよい。また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UE1、UE2、UE3の材料とは異なり、また、封止層SE1、SE2、SE3の材料とも異なる。なお、キャップ層CA1、CA2、CA3は、省略してもよい。
【0048】
このような表示素子201、202、203において、上電極UE1,UE2,UE3には、それぞれ共通電圧が供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0049】
下電極LE1と上電極UE1の間に電位差が形成されると、有機層OR1のうちの発光層EM1が赤波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2の間に電位差が形成されると、有機層OR2のうちの発光層EM2が緑波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3の間に電位差が形成されると、有機層OR3のうちの発光層EM3が青波長域の光を放つ。
【0050】
図4は、表示装置DSPの主要部の一構成例を示す平面図である。
【0051】
導電層CLは、基板10の上方において、表示領域DAのほぼ全域に亘って配置され、さらに、表示領域DAの外側の周辺領域SAに延出している。導電層CLは、接続部CP11、CP21、CP31において、基板10の辺10Aと表示領域DAとの間に位置する低電位電圧電源線PL2と電気的に接続されている。
【0052】
複数の下電極LE1、LE2、LE3は、導電層CLの上方に位置し、表示領域DAにおいて、第1方向X及び第2方向Yのマトリクス状に配置されている。複数の下電極LE1が並んだ列、複数の下電極LE2が並んだ列、及び、複数の下電極LE3が並んだ列は、第1方向Xに並んでいる。
【0053】
複数の下電極LE1は、第2方向Yに沿って間隔をおいて一列に並んでいる。有機層OR1は、複数の島状に形成され、下電極LE1の各々の上に配置され、第2方向Yに沿って間隔をおいて一列に並んでいる。
【0054】
上電極UE1は、第2方向Yに延出した帯状に形成され、複数の下電極LE1が並んだ一列に対応して配置されている。つまり、上電極UE1は、表示領域DAにおいて有機層OR1の上に配置されている。また、上電極UE1は、表示領域DAを超えて周辺領域SAに延出している。
上電極UE1のうち、基板10の辺10Aと表示領域DAとの間に延出した端部は、接続部CP11において導電層CLに接し、導電層CLと電気的に接続されている。上電極UE1のうち、基板10の辺10Bと表示領域DAとの間に延出した端部は、接続部CP12において導電層CLに接し、導電層CLと電気的に接続されている。
【0055】
複数の下電極LE2は、第2方向Yに沿って間隔をおいて一列に並んでいる。有機層OR2は、複数の島状に形成され、下電極LE2の各々の上に配置され、第2方向Yに沿って間隔をおいて一列に並んでいる。
【0056】
上電極UE2は、第2方向Yに延出した帯状に形成され、複数の下電極LE2が並んだ一列に対応して配置されている。つまり、上電極UE2は、表示領域DAにおいて有機層OR2の上に配置されている。また、上電極UE2は、表示領域DAを超えて周辺領域SAに延出している。
上電極UE2のうち、基板10の辺10Aと表示領域DAとの間に延出した端部は、接続部CP21において導電層CLに接し、導電層CLと電気的に接続されている。上電極UE2のうち、基板10の辺10Bと表示領域DAとの間に延出した端部は、接続部CP22において導電層CLに接し、導電層CLと電気的に接続されている。
【0057】
複数の下電極LE3は、第2方向Yに沿って間隔をおいて一列に並んでいる。有機層OR3は、複数の島状に形成され、下電極LE3の各々の上に配置され、第2方向Yに沿って間隔をおいて一列に並んでいる。
【0058】
上電極UE3は、第2方向Yに延出した帯状に形成され、複数の下電極LE3が並んだ一列に対応して配置されている。つまり、上電極UE3は、表示領域DAにおいて有機層OR3の上に配置されている。また、上電極UE3は、表示領域DAを超えて周辺領域SAに延出している。
上電極UE3のうち、基板10の辺10Aと表示領域DAとの間に延出した端部は、接続部CP31において導電層CLに接し、導電層CLと電気的に接続されている。上電極UE3のうち、基板10の辺10Bと表示領域DAとの間に延出した端部は、接続部CP32において導電層CLに接し、導電層CLと電気的に接続されている。
【0059】
一例では、上電極UE1、UE2、UE3の第1方向Xに沿った幅は、1000ppi以上の精細度が要求される仕様において、3μm~10μmである。
【0060】
図5は、図4中のC-D線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。なお、図5においては、キャップ層、封止層、保護層の図示を省略している。
【0061】
図3に示した回路層11は、絶縁層111、絶縁層112、絶縁層113、駆動トランジスタ3、高電位電圧電源線PL1、低電位電圧電源線PL2などを有している。絶縁層111、絶縁層112、及び、絶縁層113は、無機絶縁層である。
【0062】
駆動トランジスタ3は、絶縁層111の上に配置され、絶縁層12で覆われている。駆動トランジスタ3は、半導体層SCと、ゲート電極GEと、接続電極CN1及びCN2と、を備えている。
【0063】
半導体層SCは、絶縁層111の上に配置され、絶縁層112で覆われている。ゲート電極GEは、絶縁層112の上に配置され、絶縁層113で覆われている。接続電極CN1及びCN2は、絶縁層113の上に配置され、絶縁層12で覆われている。
【0064】
半導体層SCの高抵抗領域はゲート電極GEに重畳し、半導体層SCの低抵抗領域は接続電極CN1及びCN2に接続されている。接続電極CN1は、半導体層SCと下電極LE1とを電気的に接続する。接続電極CN2は、半導体層SCと金属層ML1とを電気的に接続する。
【0065】
高電位電圧電源線PL1及び低電位電圧電源線PL2は、絶縁層113の上に配置され、絶縁層12で覆われている。高電位電圧電源線PL1及び低電位電圧電源線PL2は、接続電極CN1及びCN2と同一材料によって形成され、例えば、図中に拡大して示すように、一対のチタン層TI1及びTI2の間にアルミニウム層AL1が位置する積層体である。
【0066】
金属層ML1及び接続電極CNは、絶縁層12の上に配置され、絶縁層13で覆われている。金属層ML1は、駆動トランジスタ3と高電位電圧電源線PL1とを電気的に接続する。接続電極CNは、接続部CP11において、低電位電圧電源線PL2に接している。金属層ML1及び接続電極CNは、同一材料によって形成され、例えば、図中に拡大して示すように、一対のチタン層TI1及びTI2の間にアルミニウム層AL1が位置する積層体である。
【0067】
導電層CLは、絶縁層13の上に配置され、絶縁層14で覆われている。導電層CLは、周辺領域SAの接続部CP11において、接続電極CNに接している。つまり、接続電極CNは、導電層CLと低電位電圧電源線PL2とを電気的に接続する。
導電層CLは、表示領域DAにおいて、下電極LE1と駆動トランジスタ3との電気的な接続を可能とするための開口OPを有している。また、導電層CLは、表示領域DAにおいて、絶縁層13を介して金属層ML1と対向し、キャパシタ4を構成している。導電層CLは、例えば、図中に拡大して示すように、一対のチタン層TI1及びTI2の間にアルミニウム層AL1が位置する積層体である。
【0068】
下電極LE1は、絶縁層14の上に配置され、絶縁層13を介して導電層CLと対向している。このような下電極LE1と導電層CLとでもキャパシタ4を構成することができる。下電極LE1は、例えば、一対の透明電極(ITO)の間に反射電極(Ag)が位置する積層体である。
【0069】
上電極UE1は、表示領域DA及び周辺領域SAに亘って延出し、接続部CP11において、絶縁層14に形成されたコンタクトホールにおいて導電層CLに接している。これにより、上電極UE1は、導電層CLと電気的に接続されるとともに、低電位電圧電源線PL2と電気的に接続される。上電極UE1は、例えば、マグネシウム及び銀の合金で形成されている。
【0070】
以上説明したように、表示領域DAのほぼ全域に亘って配置された導電層CLは、金属材料の積層体で形成されている。導電層CLの抵抗値は、透明酸化物で形成された導電層の抵抗値と比較して低く、導電層CLの面内での電位勾配の生成が抑制される。上電極UE1、UE2、UE3の各々は、帯状に形成され、表示領域DAの外側の周辺領域SAに延出した両端部で導電層CLに接続されている。このため、上電極UE1、UE2、UE3の各々に関して、基板10の辺10Aの側と、基板10の辺10Bの側とでの抵抗差が低減される。つまり、上電極UE1、UE2、UE3の各々について、所望の電圧を印加することができる。このため、表示領域DAの全域の副画素SPにおいて、所望の表示性能を実現することができ、信頼性の低下が抑制される。
【0071】
また、基板10の辺10Bと表示領域DAとの間に複雑な構造の給電部を設ける必要がなく、辺10Bと表示領域DAとの間の狭額縁化が可能となる。
【0072】
さらに、基板10の辺10Cと表示領域DAとの間、及び、基板10の辺10Dと表示領域DAとの間に、給電配線を引き回す必要がなく、辺10Cと表示領域DAとの間の狭額縁化、及び、辺10Dと表示領域DAとの間の狭額縁化が可能となる。
【0073】
図6は、表示装置DSPの主要部の他の構成例を示す平面図である。
【0074】
図6に示す構成例は、図4に示した構成例と比較して、有機層OR1、OR2、OR3の各々が帯状に形成された点で相違している。ここでは、図4を参照して説明した構成については同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。
【0075】
導電層CLは、表示領域DAのほぼ全域に亘って配置され、さらに、表示領域DAの外側の周辺領域SAに延出している。導電層CLは、接続部CP11、CP21、CP31おいて、基板10の辺10Aと表示領域DAとの間に位置する低電位電圧電源線PL2と電気的に接続されている。
【0076】
複数の下電極LE1は、第2方向Yに沿って間隔をおいて一列に並んでいる。上電極UE1は、第2方向Yに延出した帯状に形成され、複数の下電極LE1が並んだ一列に対応して配置されている。有機層OR1は、第2方向Yに延出した帯状に形成され、上電極UE1とほぼ平行に延出し、下電極LE1の各々の上に配置されている。上電極UE1は、表示領域DAにおいて有機層OR1の上に配置され、表示領域DAを超えて周辺領域SAに延出している。
【0077】
上電極UE1のうち、基板10の辺10Aと表示領域DAとの間に延出した端部は、接続部CP11において導電層CLに接している。上電極UE1のうち、基板10の辺10Bと表示領域DAとの間に延出した端部は、接続部CP12において導電層CLに接している。
【0078】
複数の下電極LE2は、第2方向Yに沿って間隔をおいて一列に並んでいる。上電極UE2は、第2方向Yに延出した帯状に形成され、複数の下電極LE2が並んだ一列に対応して配置されている。有機層OR2は、第2方向Yに延出した帯状に形成され、上電極UE2とほぼ平行に延出し、下電極LE2の各々の上に配置されている。上電極UE2は、表示領域DAにおいて有機層OR2の上に配置され、表示領域DAを超えて周辺領域SAに延出している。
【0079】
上電極UE2のうち、基板10の辺10Aと表示領域DAとの間に延出した端部は、接続部CP21において導電層CLに接している。上電極UE2のうち、基板10の辺10Bと表示領域DAとの間に延出した端部は、接続部CP22において導電層CLに接している。
【0080】
複数の下電極LE3は、第2方向Yに沿って間隔をおいて一列に並んでいる。上電極UE3は、第2方向Yに延出した帯状に形成され、複数の下電極LE3が並んだ一列に対応して配置されている。有機層OR3は、第2方向Yに延出した帯状に形成され、上電極UE3とほぼ平行に延出し、下電極LE3の各々の上に配置されている。上電極UE3は、表示領域DAにおいて有機層OR3の上に配置され、表示領域DAを超えて周辺領域SAに延出している。
【0081】
上電極UE3のうち、基板10の辺10Aと表示領域DAとの間に延出した端部は、接続部CP31において導電層CLに接している。上電極UE3のうち、基板10の辺10Bと表示領域DAとの間に延出した端部は、接続部CP32において導電層CLに接している。
【0082】
このような構成例においても、上記したのと同様の効果が得られる。
【0083】
図7は、表示装置DSPの他の主要部の一構成例を示す平面図である。ここでは、有機層等の図示を省略している。
【0084】
図3に示したキャップ層CA1及び封止層SE1の各々は、平面視において、第2方向Yに延出している。すなわち、キャップ層CA1は、上電極UE1の上に配置され、上電極UE1とほぼ平行に延出した帯状に形成されている。封止層SE1は、上電極UE1及びキャップ層CA1を覆い、上電極UE1とほぼ平行に延出した帯状に形成されている。
【0085】
キャップ層CA2は、上電極UE2の上に配置され、上電極UE2とほぼ平行に延出した帯状に形成されている。封止層SE2は、上電極UE2及びキャップ層CA2を覆い、上電極UE2とほぼ平行に延出した帯状に形成されている。
キャップ層CA3は、上電極UE3の上に配置され、上電極UE3とほぼ平行に延出した帯状に形成されている。封止層SE3は、上電極UE3及びキャップ層CA3を覆い、上電極UE3とほぼ平行に延出した帯状に形成されている。
【0086】
これらの形状のキャップ層CA1、CA2、CA3、及び、封止層SE1、SE2、SE3は、図4に示したように有機層OR1、OR2、OR3が複数の島状に形成されている場合に適用可能であり、また、図6に示したように有機層OR1、OR2、OR3が帯状に形成されている場合にも適用可能である。
【0087】
封止層SE1、SE2、SE3の各々は、シリコン窒化物等の無機絶縁材料で形成され、互いに離間している。このため、封止層SE1、SE2、SE3を通じた水分の浸入を抑制することができ、下電極及び上電極の腐食や、図示を省略した有機層の劣化が抑制される。
【0088】
以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置を提供することができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0090】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0091】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0092】
DSP…表示装置 DA…表示領域 SA…周辺領域
SP1,SP2,SP3…副画素
10…基板
3…駆動トランジスタ
5…リブ AP1,AP2,AP3…開口
20,201,202,203…表示素子(有機EL素子)
LE1,LE2,LE3…下電極(アノード)
UE1,UE2,UE3…上電極(カソード)
OR1,OR2,OR3…有機層
CA1,CA2,CA3…キャップ層
SE1,SE2,SE3…封止層
CL…導電層
ML1,ML2,ML3…金属層
12…絶縁層(有機絶縁層)
13…絶縁層(第1無機絶縁層) 14…絶縁層(第2無機絶縁層)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7