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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021320
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 33/00 20060101AFI20240208BHJP
   H05B 47/13 20200101ALI20240208BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240208BHJP
   F21V 25/04 20060101ALI20240208BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20240208BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20240208BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240208BHJP
【FI】
F21V33/00 400
H05B47/13
F21V23/00 140
F21V25/04
F21V23/00 115
F21V23/00 110
F21Y101:00 100
F21Y103:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124066
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】505455945
【氏名又は名称】コイズミ照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 宏治
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
【Fターム(参考)】
3K014AA00
3K014AA01
3K014RB03
3K014RB06
3K273PA09
3K273QA17
3K273QA29
3K273SA02
3K273SA38
3K273SA46
3K273SA57
3K273TA15
3K273TA41
3K273TA49
3K273UA27
(57)【要約】
【課題】除菌性能及び脱臭性能が高い照明器具を提供することである。
【解決手段】照明器具は、光源と、ダクトと、放電部と、送風部と、制御部とを備える。前記光源は、照明光を出射する。前記ダクトは、前記吸気口と前記吹出口との間で延びる。前記放電部は、前記ダクトに放電生成物を発生させる。前記送風部は、前記吸気口から前記吹出口へ向かう気流を前記ダクトに発生させる。前記停止制御部は、前記放電部を停止させた後に、前記送風部を停止させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を出射する光源と、
空気の吸気口と、前記空気の吹出口とを有しており、前記吸気口と前記吹出口との間で延びるダクトと、
前記ダクトに放電生成物を発生させる放電部と、
前記吸気口から前記吹出口へ向かう気流を前記ダクトに発生させる送風部と、
前記放電部及び前記送風部を停止させる制御を行う停止制御部と
を備え、
前記停止制御部は、前記放電部を停止させた後に、前記送風部を停止させる、照明器具。
【請求項2】
前記放電生成物は、オゾンである、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記光源を消灯させる消灯制御部と、
前記消灯制御部が前記光源を消灯させた場合に、前記放電部と前記送風部との駆動を開始させる開始制御部と
を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記照明光が出射される照明空間に人が居るか否かを判定する人判定部と、
前記人判定部により前記人が居ないと判定された場合に、前記放電部と前記送風部との駆動を開始させる開始制御部と
を更に備える、請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【請求項5】
前記送風部の通電状態に基づいて、前記送風部の動作が異常か否かを判定する動作判定部を更に備え、
前記停止制御部は、前記動作判定部により前記動作が異常であると判定された場合に、前記放電部を停止させる、請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【請求項6】
前記照明光が出射される照明空間の測距結果に基づいて、前記照明空間のサイズを導出するサイズ導出部と、
前記サイズ導出部により導出された前記サイズに基づいて、前記放電生成物の量を決定する量決定部と、
前記放電部と前記送風部との駆動を開始させる開始制御部と
を備え、
前記停止制御部は、前記放電部の駆動開始後、前記量決定部により決定された前記量に基づいて、前記放電部を停止させる、請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【請求項7】
前記停止制御部は、前記放電部を停止させた後、可変値である所定時間経過後に前記送風部を停止させる、請求項1又は請求項2に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具には、光源以外にも、殺菌装置、ファン及びダクトを備える場合がある。ダクトは、空気を吸気口から吹出口まで案内する。ダクトには、殺菌装置及びファンが位置する。殺菌装置は、ファンよりも吹出口の近くに位置する。
【0003】
照明器具のスイッチがオンにされると、光源は、照明空間内に光を出射する。殺菌装置は、通風路内に活性水素と酸素イオンとを発生する。ファンは、吸気口から吹出口に向かう気流を発生する。その結果、照明空間内には、活性水素と酸素イオンとが吹出口から放出される(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-282791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、照明空間内の除菌又は脱臭への関心がより高まっている。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、除菌性能及び脱臭性能が高い照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示する照明器具は、光源と、ダクトと、放電部と、送風部と、停止制御部とを備える。前記光源は、照明光を出射する。前記ダクトは、前記吸気口と前記吹出口との間で延びる。前記放電部は、前記ダクトに放電生成物を発生させる。前記送風部は、前記吸気口から前記吹出口へ向かう気流を前記ダクトに発生させる。前記停止制御部は、前記放電部及び前記送風部を停止させる制御を行う。前記停止制御部は、前記放電部を停止させた後に、前記送風部を停止させる。
【0008】
前記放電生成物は、オゾンである。
【0009】
前記照明器具は、消灯制御部と、開始制御部とを更に備える。前記消灯制御部は、前記光源を消灯させる。前記開始制御部は、前記消灯制御部が前記光源を消灯させた場合に、前記放電部と前記送風部との駆動を開始させる。
【0010】
前記照明器具は、人判定部と、開始制御部とを更に備える。前記人判定部は、前記照明光が出射される照明空間に人が居るか否かを判定する。前記開始制御部は、前記人判定部により前記人が居ないと判定された場合に、前記放電部と前記送風部との駆動を開始させる。
【0011】
前記照明器具は、動作判定部を更に備える。前記動作判定部は、前記送風部の通電状態に基づいて、前記送風部の動作が異常か否かを判定する。前記停止制御部は、前記動作判定部により前記動作が異常であると判定された場合に、前記放電部を停止させる。
【0012】
前記照明器具は、サイズ導出部と、量決定部と、開始制御部とを更に備える。前記サイズ導出部は、前記照明光が出射される照明空間の測距結果に基づいて、前記照明空間のサイズを導出する。前記量決定部は、前記サイズ導出部により導出された前記サイズに基づいて、前記放電生成物の量を決定する。前記開始制御部は、前記放電部と前記送風部との駆動を開始させる。前記停止制御部は、前記放電部の駆動開始後、前記量決定部により決定された前記量に基づいて、前記放電部を停止させる。
【0013】
前記停止制御部は、前記放電部を停止させた後、可変値である所定時間経過後に前記送風部を停止させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、除菌性能や脱臭性能が高い照明器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】照明器具のブロック図である。
図2図1に示す放電部と送風部との配置を示す図である。
図3図1に示す制御部の機能ブロック図である。
図4図1に示す照明器具の要部の通常動作を示す図である。
図5図1に示す放電部が異常時における照明器具の要部の動作の第1例を示す図である。
図6図1に示す放電部が異常時における照明器具の要部の動作の第2例を示す図である。
図7図1に示す送風部が異常時における照明器具の要部の動作を示す図である。
図8図1に示す照明器具の制御部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9図8に示すステップS108の詳細を示す状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0017】
図1は、実施形態に係る照明器具100を示すブロック図である。図1に示されるように、照明器具100は、照明空間200(図2参照)に取り付けられる。照明空間200は、例えば部屋である。この場合、照明器具100は、例えば部屋の天井に設置される。照明器具100は、交流電源300に接続可能である。交流電源300は、例えば、商用電源である。
【0018】
照明器具100は、光源1と、第1電源部2と、放電部31と、駆動IC(Integrated Circuit)32と、スイッチング素子SW1,SW2,SW3と、電圧検出部35と、送風部41と、電流検出部43と、第2電源部5と、人感センサ61と、測距センサ62と、制御部7とを備える。
【0019】
光源1は、制御部7の制御下で、照明光を照明空間200に出射する。光源1は、例えば、複数の発光素子を含む面状光源である。光源1は、面状光源以外にも、例えば、白熱電球又は蛍光ランプでもよい。
【0020】
第1電源部2は、例えば、電源回路であり、ダイオードブリッジ及びトランス等を有する。第1電源部2は、交流電源300から供給される交流電圧を第1直流電圧に変換する。第1直流電圧V1は、第1電源部2のプラス端子T11及びグランド端子T12の間に現れる。第1直流電圧V1は、後述の第2直流電圧よりも高圧である。
【0021】
放電部31は、ダクト92(図2参照)に放電生成物を発生させる。詳細には、放電部31は、放電電極と、誘導電極と、ヒータ電極とを有する。放電電極及びヒータ電極の各々には、駆動IC32を介して第1直流電圧V1が印加される。また、ヒータ電極は、第1直流電圧V1の印加により発熱する。ヒータ電極が発熱することで、放電電極と誘導電極とが加熱される。第1直流電圧V1の印加により、加熱された放電電極と誘導電極との間で放電が発生する。その結果、放電生成物が発生する。放電生成物は、例えばオゾンである。オゾンは、除菌効果及び脱臭効果の面で好適である。
【0022】
駆動IC32は、電源端子T21と、グランド端子T22と、リモート端子T23と、モニタ端子T24とを有する。
【0023】
電源端子T21は、配線81によりプラス端子T11と電気的に接続される。グランド端子T22は、配線82によりグランド端子T12と電気的に接続される。即ち、電源端子T21及びグランド端子T22の間には、第1直流電圧が印加可能である。配線81上においてプラス端子T11と電源端子T21との間には、スイッチング素子SW1が接続される。
【0024】
スイッチング素子SW1は、例えば、パワーMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)である。パワーMOSFETにおいて、ソースは、電源端子T21と電気的に接続される。また、ドレインは、プラス端子T11と電気的に接続される。また、ゲートには、制御部7から送信される制御信号CS1が与えられる。制御信号CS1は、二値信号である。二値信号は、ハイレベル及びローレベルのいずれか一方を有する。制御信号CS1がハイレベルの場合、電源端子T21には、第1直流電圧V1が印加される。一方、制御信号CS1がローレベルの場合、電源端子T21には、第1直流電圧V1は印加されない。
【0025】
リモート端子T23には、スイッチング素子SW2が電気的に接続される。スイッチング素子SW2は、例えばトランジスタである。トランジスタにおいて、エミッタは接地される。また、コレクタは、リモート端子T23と電気的に接続される。また、ベースには、制御部7により、二値信号である制御信号CS2が与えられる。制御信号CS2がハイレベル一定の場合、駆動IC32は、第1直流電圧V1を、放電部31に印加しない。一方、制御信号CS2がローレベルの場合、駆動IC32は、放電部31の放電電極に第1直流電圧V1を印加する。従って、放電部31は、制御信号CS1がハイレベルであり、且つ制御信号CS2がローレベルの場合に、オゾンを発生する。
【0026】
モニタ端子T24には、電圧検出部35が電気的に接続される。電圧検出部35は、コンデンサC1と、外部抵抗R1とを有する。コンデンサC1と外部抵抗R1とは、モニタ端子T24とグランド端子T12との間に並列に接続される。外部抵抗R1により、モニタ端子T24と、グランド端子T12との間には、モニタ電圧Vmnが現れる。モニタ電圧Vmnは、放電部31の動作状態を示す。モニタ電圧Vmnは、第1電圧値及び第2電圧値のいずれか一方を有する。第1電圧値は、第2電圧値より小さい。制御信号CS2がローレベルであって、モニタ電圧Vmnが第1電圧値を有する場合に、放電部31は、動作している状態にある。制御信号CS2がハイレベルであって、モニタ電圧Vmnが第2電圧値を有する場合、放電部31は、異常により動作を停止している状態にある。
【0027】
送風部41は、例えばファン又はブロアであり、電源端子T31と、グランド端子T32と、図示しない羽根車(インペラ)とを有する。
【0028】
電源端子T31は、配線83を通じてプラス端子T11と電気的に接続される。グランド端子T32は、配線84を通じてグランド端子T12と電気的に接続される。
【0029】
配線83上においてプラス端子T11と電源端子T31との間には、スイッチング素子SW3が接続される。スイッチング素子SW3は、パワーMOSFET等である。パワーMOSFETにおいて、ソースは、電源端子T31と電気的に接続される。また、ドレインは、プラス端子T11と電気的に接続される。また、ゲートには、制御部7から出力された制御信号CS3が与えられる。制御信号CS3は、二値信号である。制御信号CS3がハイレベルの場合、電源端子T31には、第1直流電圧V1が印加される。その結果、送風部41において、羽根車は回転する。一方、制御信号CS3がローレベルの場合、電源端子T31には、第1直流電圧V1は印加されない。
【0030】
グランド端子T32には、電流検出部43が接続される。電流検出部43は、抵抗R2と、アンプ431とを有する。抵抗R2は、配線84に接続される。アンプ431には、抵抗R2よりもグランド端子T32側で分岐された電流I1が流れる。電流I1は、アンプ431により増幅された後に、制御部7に与えられる。
【0031】
第2電源部5は、例えば電源回路であり、トライアック等を有する。第2電源部5は、交流電源300から供給される交流電圧を第2直流電圧に変換する。第2直流電圧は、人感センサ61、測距センサ62、及び光源1に与えられる。
【0032】
人感センサ61は、例えば赤外線センサである。人感センサ61は、照明空間200(図2参照)に居る人から放射される赤外線量を検出する。人感センサ61は、検出した赤外線量を示す信号(以下、「検出信号」と記載する)DS1を制御部7に出力する。
【0033】
測距センサ62は、例えば超音波センサである。測距センサ62は、例えばTOF方式により、照明空間200に存在する各種物体までの距離を示す信号(以下、「検出信号」と記載)DS2を制御部7に出力する。各種物体は、例えば壁である。
【0034】
制御部7は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータは、メモリを内蔵する。なお、メモリは、マイクロコンピュータの外部に設けられていてもよい。制御部7は、メモリに予め記憶されている制御プログラムを実行することにより、照明器具100を構成する各部を制御する。
【0035】
図2は、図1に示される放電部31と送風部41との配置を示す図である。図2に示されるように、照明器具100は、筐体91と、ダクト92とを更に備える。
【0036】
筐体91は、照明空間200に面する底面911を有する。底面911からは、光源1と、人感センサ61と、測距センサ62とが露出する。
【0037】
ダクト92は、空気の吸気口921と、空気の吹出口922とを有する。吸気口921と吹出口922とは、底面911に形成される。吸気口921及び吹出口922の各々は、照明空間200に向けて開放された開口である。ダクト92は更に、筐体91内において吸気口921と吹出口922との間で延びる通風路923を有する。
【0038】
放電部31及び送風部41は、通風路923に配置される。放電部31は、通風路923に放電生成物を発生する。送風部41は、例えば、通風路923において放電部31よりも吸気口921に近い位置に配置される。送風部41は、自身の羽根車が回転することにより、二点鎖線の矢印で示される気流A1を、ダクト92が有する通風路923に発生させる。気流は、吸気口921から吹出口922へと向かう。
【0039】
図3は、図1に示される制御部7の詳細な構成を示す機能ブロック図である。図3に示されるように、制御部7は、制御プログラムを実行することで、サイズ導出部71、量決定部72と、点灯制御部73と、人判定部74と、消灯制御部75と、開始制御部76と、停止制御部77と、動作判定部78と、として機能する。
【0040】
サイズ導出部71は、照明器具100の照明空間200(図2参照)への取り付け後、各種スイッチが初めてオンにされた場合に、サイズ導出処理を実行する。各種スイッチの一例は、照明空間200に設けられた照明器具100のスイッチである。各種スイッチの他の例は、照明器具100の遠隔操作器に設けられたスイッチである。サイズ導出処理では、サイズ導出部71は、照明空間200の大まかな容積(体積)V11を導出する。容積V11は、本開示における「サイズ」の一例である。詳細には、サイズ導出部71は、測距センサ62から検出信号DS2を取得する。サイズ導出部71は、検出信号DS2、即ち測距結果に基づき、照明空間200の容量V11を導出する。サイズ導出部71は、導出した容積V11をメモリに記憶する。なお、サイズ導出処理は、スイッチが初めてオンにされた後にサイズ導出処理を実行してもよい。
【0041】
量決定部72は、メモリに記憶された容積V11に基づいて、放電生成物の放出量を決定する。詳細には、量決定部72は、駆動時間T1,T2と、デューティ比DC1,DC2とを決定する。量決定部72は、決定した駆動時間T1,T2と、デューティ比DC1,DC2とをメモリに記憶する。駆動時間T1は、放電部31の駆動時間(例えば60分)であり、より具体的には、スイッチング素子SW2に制御信号CS2が出力される時間である。駆動時間T1は、例えば3分から3時間であり、例えば容積V11に相関する値を有する。駆動時間T2は、送風部41の駆動時間であり、より具体的には、スイッチング素子SW3に制御信号CS3が出力される時間である。また、駆動時間T2は、駆動時間T1よりも所定時間ΔT1だけ長い時間である。ΔT1は、例えば1分である。デューティ比DC1,DC2は、制御信号CS2,CS3のデューティ比である。デューティ比DC1,DC2により、照明空間200に放出される放電生成物の濃度が調整される。
【0042】
点灯制御部73は、点灯条件を満たした場合に、第2電源部5の第2直流電圧を光源1に供給して、光源1を点灯させる。点灯条件は、第1点灯条件及び第2点灯条件の少なくとも一方である。第1点灯条件は、照明器具100の各種スイッチがオンに操作されることである。第2点灯条件は、照明空間200に人が進入したと人判定部74により判定されることである。
【0043】
人判定部74は、人感センサ61の検出信号DS1に基づいて、照明空間200に人が進入したか否かを判定する。人判定部74は、検出信号DS1に基づいて、照明空間200から人が退去したか否かも判定する。詳細には、人判定部74は、検出信号DS1を所定時間間隔で取得する。人判定部74は、複数の検出信号DS1から照明空間200における熱移動を検出する。熱移動の検出結果から、人判定部74は、照明空間200に人が進入したか否かと、照明空間200から人が退去したか否かを判定する。
【0044】
消灯制御部75は、消灯条件を満たした場合に、第2直流電圧を光源1に供給することを停止して、光源1を消灯させる。消灯条件は、第1消灯条件及び第2消灯条件の少なくとも一方である。第1消灯条件は、各種スイッチがオフに操作されることである。第2消灯条件は、照明空間200から人が退去したと人判定部74により判定されることである。
【0045】
開始制御部76は、開始条件を満たした場合に、放電部31と送風部41との駆動を開始させる。開始条件は、第1開始条件及び第2開始条件の少なくとも一方である。第1開始条件は、消灯制御部75が光源1を消灯させることである。第2開始条件は、照明空間200から人が退去したと人判定部74により判定されること、即ち、照明空間200に人が居ないと判定されることである。
【0046】
開始制御部76により、照明空間200に居る人に向けて放電生成物が放出されることが抑制される。
【0047】
停止制御部77は、放電部31を停止させた後に、送風部41を停止させる。従って、放電部31がダクト92に発生した放電生成物(即ち、オゾン)がダクト92の通風路923内に残留することが抑制される。即ち、比較的多くの放電生成物が通風路923の吹出口922から照明空間200へと効果的に放出される。従って、除菌性能及び脱臭性能が高い照明器具100が提供される。また、オゾンが残留による照明器具100の構成部品の劣化が抑制される。
【0048】
詳細には、停止制御部77は、第1停止条件を満たした場合に、スイッチング素子SW2に、ローレベル一定の制御信号CS2を送信する。その結果、放電部31の駆動が停止される。第1停止条件は、放電部31の駆動開始から駆動時間T1が経過することである。停止制御部77は、第2停止条件を満たした場合に、ローレベル一定の制御信号CS3をスイッチング素子SW3に送信する。その結果、送風部41の駆動が停止される。第2停止条件は、送風部41の駆動開始から駆動時間T2が経過することである。即ち、第2停止条件は、放電部31の駆動停止から所定時間ΔT1を経過することである。
【0049】
停止制御部77は更に、送風部41の動作が異常であると動作判定部78が判定した場合、放電部31の駆動を停止させる。従って、送風部41の動作が異常である場合に、放電生成物がダクト92の通風路923内に残留することが抑制される。
【0050】
また、停止制御部77は、放電部31及び送風部41の少なくとも一方が異常であると動作判定部78が判定した場合、放電部31及び送風部41の双方の駆動を停止させる。従って、放電部31又は送風部41の動作が異常である場合に、放電生成物がダクト92の通風路923内に残留することが抑制される。
【0051】
なお、所定時間ΔT1は、可変値であってもよい。より詳細には、所定時間ΔT1は、放出量に相関する長さを有していてもよい。即ち、停止制御部77は、放出量に基づいて、放電部31を停止させる。その結果、放電生成物がダクト92の通風路923内に残留することが更に抑制される。また、照明空間200がより効率的に除菌及び脱臭される。
【0052】
動作判定部78は、放電部31の通電状態に基づいて、放電部31の動作が異常であるか否かを判定する。詳細には、動作判定部78は、電圧検出部35からモニタ電圧Vmnを周期的に取得する。動作判定部78は、制御信号CS2がローレベルである間に、モニタ電圧Vmnの値が第1範囲(例えば、+1.3V超+3.2V以下)にある場合に、放電部31の動作が正常であると判定する。動作判定部78は、制御信号CS2がハイレベルである間に、モニタ電圧Vmnの値が第2範囲(0V超+1.0V以下)にある場合に、放電部31の動作が正常であると判定する。動作判定部78は、放電部31の動作が正常でないと判定したことに応じて、判定結果(放電部異常)を停止制御部77に渡す。
【0053】
動作判定部78は更に、配線83,84に断線等により送風部41の動作が異常であるか否かを、送風部41の通電状態に基づいて判定する。詳細には、動作判定部78は、電流検出部43から電流I1を周期的に取得する。動作判定部78は、電流I1が電流閾値以上である場合に、送風部41の動作が正常であると判定する。動作判定部78は、送風部41の動作が正常でないと判定したことに応じて、判定結果(送風部異常)を停止制御部77に渡す。
【0054】
次に、照明器具100の動作例を説明する。
【0055】
図4は、図1に示す照明器具100の要部の通常動作を示す図である。以下、図1から図4を参照して、照明器具100の通常動作時の動作を説明する。図4に示されるように、点灯条件を満たした場合に、制御部7は、点灯制御部73として機能し、光源1を点灯させる。
【0056】
光源1の点灯後、消灯条件を満たした場合に、制御部7は、消灯制御部75として機能し、光源1を消灯させる。
【0057】
光源1の点灯中、制御部7は、放電部31と送風部41とを駆動しない。その結果、照明空間200に居る人に向けて放電生成物が放出されることが抑制される。
【0058】
光源1の消灯直後、即ち、開始条件を満たした場合に、制御部7は、量決定部72として機能する。量決定部72は、制御部7のメモリに、駆動時間T1,T2と、デューティ比DC1,DC2とを記憶する。
【0059】
また、開始条件を満たした場合に、制御部7は、タイマー(図示せず)により、駆動時間T1,T2の計時を開始させる。
【0060】
また、制御部7は、開始制御部76として機能し始める。詳細には、開始制御部76は、制御信号CS1,CS2,CS3を、スイッチング素子SW1,SW2,SW3にそれぞれ出力し始める。制御信号CS1,CS2は、ハイレベル一定である。制御信号CS3は、デューティ比DC2を有する。その結果、電源端子T21,T31の各々には、第1直流電圧V1(例えば、+12V)が印加される。駆動IC32は、ハイレベル一定の制御信号CS2がスイッチング素子SW2に入力されたことに応じて、エージング(図4参照)を開始する。エージングでは、放電部31のヒータ電極に第1直流電圧V1が印加される。その結果、放電電極及び誘導電極が加熱される。また、送風部41は、電源端子T31に第1直流電圧V1が印加されたことに応じて、自身の羽根車を回転させる。その結果、通風路923には気流A1が発生する。ところで、放電部31及び送風部41が定常状態になるまでに多少の時間が必要である。従って、送風部41の駆動開始がエージングの開始とほぼ同時とすることにより、エージング終了時には、送風部41が定常状態とすることができる。即ち、放電部31により生成される放電生成物が通風路923から照明空間200に効果的に放出される。
【0061】
また、制御部7は、タイマーによる計時開始からエージング終了までの間、動作判定部78が判定結果(送風部異常)を停止制御部77に渡さないことを条件として、開始制御部76と同様の制御信号CS1,CS2,CS3を、スイッチング素子SW1,SW2,SW3にそれぞれ出力する。
【0062】
開始制御部76は、エージング開始から所定時間ΔT2が経過したことに応じて、デューティ比DC1の制御信号CS2をスイッチング素子SW2に出力し始める。所定時間ΔT2は、放電部31の仕様等により予め定められており、例えば1分である。駆動IC32は、デューティ比DC1の制御信号CS2がスイッチング素子SW2に入力されたことに応じて、エージングにより加熱された放電電極及び誘導電極に、第1直流電圧V1を印加し始める。その結果、放電部31は、通風路923に放電生成物(オゾン)を発生する(図4参照)。
【0063】
また、制御部7は、放電生成物の発生開始から駆動時間T1が経過するまでの間、動作判定部78が判定結果(放電部異常)又は判定結果(送風部異常)を停止制御部77に渡さないことを条件として、開始制御部76と同様の制御信号CS1,CS2,CS3を、スイッチング素子SW1,SW2,SW3にそれぞれ出力する。その結果、照明空間200には、適切な濃度の放電生成物(オゾン)が照明器具100から放出される。
【0064】
第1停止条件を満たした場合に、制御部7は、停止制御部77として機能し、放電部31の駆動を停止させる。停止制御部77は、第2停止条件を満たした場合に、送風部41の駆動を停止させる。停止制御部77は更に、送風部41の駆動を停止した後に、ローレベル一定の制御信号CS1をスイッチング素子SW1に出力する。その結果、スイッチング素子SW1,SW3への第1直流電圧V1の印加が停止される。
【0065】
図5は、図1に示す放電部が異常時における照明器具の動作の第1例を示す図である。以下、図1から図3及び図5を参照して、放電部31が異常時の動作の第1例を説明する。
【0066】
図5に示されるように、動作判定部78は、放電生成物の発生開始以降、電圧検出部35からモニタ電圧Vmnを周期的に取得する。動作判定部78は、制御信号CS2がローレベルである間に、モニタ電圧Vmnが第1範囲外(例えば、+1.3V以下)である場合に(時刻T3参照)、判定結果(放電部異常)を停止制御部77に渡す。停止制御部77は、判定結果(放電部異常)を受け取ったことに応じて放電部31を停止させる。その後に所定時間ΔT1が経過すると、停止制御部77は、送風部41を停止させる(時刻T4参照)。
【0067】
図6は、図1に示す放電部が異常時における照明器具の要部の動作の第2例を示す図である。以下、図1から図3及び図6を参照して、放電部31が異常時の動作の第2例を説明する。
【0068】
図6に示されるように、動作判定部78は、放電生成物の発生開始から、電圧検出部35からモニタ電圧Vmnを周期的に取得する。動作判定部78は、制御信号CS2がハイレベルである間に、モニタ電圧Vmnが第2範囲外(例えば、+1.0V超)である場合に(時刻T5参照)、判定結果(放電部異常)を停止制御部77に渡す。停止制御部77は、判定結果(放電部異常)を受け取ったことに応じて放電部31を停止させる。その後に所定時間ΔT1が経過すると、停止制御部77は、送風部41を停止させる(時刻T6参照)。
【0069】
図7は、図1に示す送風部41が異常時における照明器具の要部の動作を示す図である。以下、図1から図3及び図7を参照して、送風部41が異常時の動作例を説明する。
【0070】
図7に示されるように、動作判定部78は、放電生成物の発生開始から、電流検出部43から電流I1を周期的に取得する。動作判定部78は、電流I1が電流閾値未満である場合に(時刻T7参照)、判定結果(送風部異常)を停止制御部77に渡す。停止制御部77は、判定結果(送風部異常)を受け取ったことに応じて、放電部31と送風部41とを同時に停止させる。放電部31と送風部41との同時停止により、放電生成物が通風路923に残留することが抑制される。
【0071】
図8は、照明器具100における制御部7の処理手順の一例を示すフローチャートである。図8に示されるように、制御部7は、ステップS101からS108を実行する。図9は、図8に示されるステップS108の詳細を示す状態遷移図である。ステップS106~S108は、駆動時間T1が経過するまでの間、繰り返される。
【0072】
まず、ステップS101において、制御部7は、点灯条件を満たした場合に、光源1を点灯させる。
【0073】
次に、ステップS102において、制御部7は、消灯条件を満たした場合に、光源1を消灯させる。
【0074】
次に、ステップS103において、制御部7は、開始条件を満たした場合、初期設定処理を実行する。初期設定処理で、制御部7は、メモリに、駆動時間T1,T2と、デューティ比DC1,DC2とを記憶する。制御部7は、タイマーによる計時を開始させる。
【0075】
次に、ステップS104において、制御部7は、制御信号CS1~CS3をスイッチング素子SW1~SW3にそれぞれ出力し始める(エージング)。制御信号CS1,CS2は、ハイレベル一定である。制御信号CS3は、デューティ比DC2を有する。
【0076】
次に、ステップS105において、制御部7は、ハイレベルの制御信号CS2の出力開始から所定時間ΔT2が経過したことに応じて、デューティ比DC1の制御信号CS2をスイッチング素子SW2に出力し始める(放電生成物の発生)。
【0077】
制御部7は、所定時間ΔT2が経過したことに応じて、ステップS106,S107を実行する。
【0078】
まず、ステップS106において、制御部7は、電圧検出部35からのモニタ電圧Vmnに基づき、放電部31の動作が正常であるか否かを判定する。
【0079】
次に、ステップS107において、制御部7は、電流検出部43からの電流I1に基づき、送風部41の動作が正常であるか否かを判定する。
【0080】
なお、ステップS106,S107は、ステップS106,S107の順番で実行されてもよいし、ステップS107,S106の順番で実行されてもよい。
【0081】
ステップS106,S107の実行後、ステップS108において、制御部7は、照明器具100の状態を決定する。図8に示されるように、開始条件を満たした直後の初期状態ST201では、制御部7は、放電部31及び送風部41を駆動し、ハイレベル一定の制御信号CS2を送信する。その結果、エージングが開始される。
【0082】
図9に示されるように、初期状態ST201の開始から判定結果(送風部異常)を制御部7が受け取ることなく所定時間ΔT2(1分)が経過すると、照明器具100の状態は、放電生成物の放出状態ST202に遷移する。一方、初期状態ST201の開始から所定時間ΔT2が経過するまでに判定結果(送風部異常)を制御部7が受け取ると、照明器具100の状態は、送風部異常状態ST203に遷移する。
【0083】
放出状態ST202では、制御部7は、放電部31及び送風部41を駆動し、デューティ比DC1の制御信号CS2を送信する。その結果、通風路923に放電生成物が発生する。
【0084】
放出状態ST202の開始から判定結果(送風部異常)及び判定結果(放電部異常)を制御部7が受け取ることなく駆動時間T1(60分)が経過すると、照明器具100の状態は、放電生成物の放出終了状態ST204に遷移する。一方、放出状態ST202の開始から駆動時間T1が経過するまでに判定結果(送風部異常)及び判定結果(放電部異常)を制御部7が受け取ると、照明器具100の状態は、送風部異常状態ST203及び放電部異常状態ST205に遷移する。
【0085】
放出終了状態ST204において、制御部7は、放電部31及び送風部41のうち放電部31の駆動を停止する。
【0086】
放出終了状態ST204の開始から判定結果(送風部異常)を制御部7が受け取ることなく所定時間ΔT1(1分)が経過すると、照明器具100の状態は、送風部41の停止状態ST206に遷移する。一方、放出終了状態ST204の開始から所定時間ΔT1が経過するまでに判定結果(送風部異常)を制御部7が受け取ると、照明器具100の状態は、送風部異常状態ST203に遷移する。
【0087】
停止状態ST206において、制御部7は、送風部41の駆動を停止する。
【0088】
送風部異常状態ST203において、制御部7は、放電部31と送風部41とを停止させる。
【0089】
放電部異常状態ST205において、制御部7は、放電部31を停止させる。放電部異常状態ST205の開始から判定結果(送風部異常)を制御部7が受け取ることなく所定時間ΔT1(1分)が経過すると、照明器具100の状態は、停止状態ST206に遷移する。一方、放電部異常状態ST205の開始から所定時間ΔT1が経過するまでに判定結果(送風部異常)を制御部7が受け取った場合にも、照明器具100の状態は、停止状態ST206に遷移する。
【0090】
以上、図面を参照して本開示の実施形態について説明した。ただし、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0091】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0092】
(1)実施形態では、放電生成物は、オゾンであった。しかし、これに限らず、放電生成物は、例えば窒素酸化物であってもよい。
【0093】
(2)人感センサ61は、赤外線センサの他にも、超音波センサとすることも可能である。測距センサ62は、超音波センサの他にも、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサであってもよい。人感センサ61及び測距センサ62は、照明器具100の構成ではなくてもよい。例えば、人感センサ61及び測距センサ62は、空気調和機又は別の照明器具に備わっていてもよい。
【0094】
(3)デューティ比DC1,DC2は、制御部7によるPWM(Pulse Width Modulation)制御及びフィードバック制御により、放電部31及び送風部41の駆動中に適宜変更されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、照明器具を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0096】
100 :照明器具
1 :光源
31 :放電部
41 :送風部
7 :制御部
71 :サイズ導出部
72 :量決定部
73 :点灯制御部
74 :人判定部
75 :消灯制御部
76 :開始制御部
77 :停止制御部
78 :動作判定部
92 :ダクト
921 :吸気口
922 :吹出口
923 :通風路
200 :照明空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9