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特開2024-21326情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021326
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/06 20120101AFI20240208BHJP
【FI】
G06Q20/06
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124077
(22)【出願日】2022-08-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-02
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】江田 哲平
(72)【発明者】
【氏名】下平 正人
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA15
(57)【要約】
【課題】暗号資産の利用を促進させる。
【解決手段】暗号資産管理システム1は、所定の地域において流通する暗号資産の移転を管理する移転管理部133と、ユーザの口座に預け入れられている暗号資産の残高を減少させるための減少条件を記憶する記憶部12と、各ユーザの口座に預け入れられている暗号資産のうち、減少条件を満たす暗号資産の残高を減少させる更新部135と、を有する。減少条件には、暗号資産の保有期間に関する条件が定められており、更新部135は、暗号資産がユーザの口座に預け入れられてからの期間が減少条件に含まれる保有期間に関する条件を満たす暗号資産の残高を減少させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の地域において流通する暗号資産の移転を管理する移転管理部と、
ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産の残高を減少させるための減少条件を記憶する記憶部と、
ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産のうち、前記減少条件を満たす前記暗号資産の残高を減少させる更新部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記減少条件には、前記暗号資産の保有期間に関する条件が定められており、
前記更新部は、前記暗号資産がユーザの口座に預け入れられてからの期間が前記減少条件に含まれる前記保有期間に関する条件を満たす暗号資産の残高を減少させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記減少条件には、前記暗号資産の移転回数に関する条件が含まれており、
前記更新部は、前記ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産の移転回数が前記減少条件に含まれる前記移転回数に関する条件を満たす前記暗号資産の残高を減少させる、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記暗号資産を発行するための原資を負担した原資負担者から前記減少条件を取得し、前記記憶部に記憶させる条件管理部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記移転管理部は、ユーザが他のユーザに支払う代金を決済するための決済要求に応じて、当該代金に相当する前記暗号資産を、ユーザの口座から他のユーザの口座に移転させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記暗号資産を発行するための原資を負担した原資負担者からの要求に応じて、前記原資負担者が負担した負担額に相当する第1資産と、前記負担額に応じて上乗せされる第2資産とを含む前記暗号資産を発行し、発行した前記暗号資産に含まれる前記第1資産と前記第2資産とをユーザの口座に入金する発行部をさらに有し、
前記更新部は、ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産に含まれる前記第1資産及び前記第2資産のうち、前記第2資産を減少させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ユーザからの要求に応じて前記暗号資産を所定の通貨に換金する場合において、前記第1資産を換金する場合、換金される前記第1資産に相当する金額を前記原資負担者に負担させ、前記第2資産を換金する場合、換金される前記第2資産に相当する金額を、決済を管理する事業者に負担させる換金部をさらに有する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記更新部は、ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産の残高に応じて減少させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記移転管理部は、前記更新部が減少させた暗号資産を、前記暗号資産を発行するための原資を負担した原資負担者の口座に移転させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記暗号資産の残高が減少された場合に、前記暗号資産の残高が減少されたことをユーザに通知する通知部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記更新部が前記暗号資産の残高を減少する前に、前記暗号資産の残高が減少されることをユーザに通知する通知部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
ユーザの口座に前記暗号資産が預け入れられてから前記暗号資産が移転されるまでの間における前記暗号資産の減少額を、前記暗号資産を発行するための原資を負担した原資負担者に通知する通知部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
コンピュータが実行する、
所定の地域において流通する暗号資産の移転を管理するステップと、
ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産のうち、記憶部に記憶されている減少条件であってユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産の残高を減少させるための前記減少条件を満たす前記暗号資産の残高を減少させるステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項14】
コンピュータを、
所定の地域において流通する暗号資産の移転を管理する移転管理部、及び
ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産のうち、記憶部に記憶されている減少条件であってユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産の残高を減少させるための前記減少条件を満たす前記暗号資産の残高を減少させる更新部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号資産に関する情報を処理するための情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、暗号資産(仮想通貨ともいう)で決済するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-77640公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
経済循環を活性化させることを目的として、決済に利用可能な暗号資産を発行することが行われている。しかしながら、ユーザは、発行された暗号資産が給付されても、暗号資産をすぐに利用しない場合がある。暗号資産が利用されないと、経済循環が活性化しないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、暗号資産の利用を促進させることができる情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、所定の地域において流通する暗号資産の移転を管理する移転管理部と、ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産の残高を減少させるための減少条件を記憶する記憶部と、ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産のうち、前記減少条件を満たす前記暗号資産の残高を減少させる更新部と、を有する。
【0007】
前記減少条件には、前記暗号資産の保有期間に関する条件が定められていてもよいし、前記更新部は、前記暗号資産がユーザの口座に預け入れられてからの期間が前記減少条件に含まれる前記保有期間に関する条件を満たす暗号資産の残高を減少させてもよい。
【0008】
前記減少条件には、前記暗号資産の移転回数に関する条件が含まれていてもよいし、前記更新部は、前記ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産の移転回数が前記減少条件に含まれる前記移転回数に関する条件を満たす前記暗号資産の残高を減少させてもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記暗号資産を発行するための原資を負担した原資負担者から前記減少条件を取得し、前記記憶部に記憶させる条件管理部をさらに有してもよい。
【0010】
前記移転管理部は、ユーザが他のユーザに支払う代金を決済するための決済要求に応じて、当該代金に相当する前記暗号資産を、ユーザの口座から他のユーザの口座に移転させてもよい。
【0011】
前記情報処理装置は、前記暗号資産を発行するための原資を負担した原資負担者からの要求に応じて、前記原資負担者が負担した負担額に相当する第1資産と、前記負担額に応じて上乗せされる第2資産とを含む前記暗号資産を発行し、発行した前記暗号資産に含まれる前記第1資産と前記第2資産とをユーザの口座に入金する発行部をさらに有してもよいし、前記更新部は、ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産に含まれる前記第1資産及び前記第2資産のうち、前記第2資産を減少させてもよい。
【0012】
前記情報処理装置は、ユーザからの要求に応じて前記暗号資産を所定の通貨に換金する場合において、前記第1資産を換金する場合、換金される前記第1資産に相当する金額を前記原資負担者に負担させ、前記第2資産を換金する場合、換金される前記第2資産に相当する金額を、決済を管理する事業者に負担させる換金部をさらに有してもよい。
【0013】
前記更新部は、ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産の残高に応じて減少させてもよい。
前記移転管理部は、前記更新部が減少させた暗号資産を、前記暗号資産を発行するための原資を負担した原資負担者の口座に移転させてもよい。
【0014】
前記情報処理装置は、前記暗号資産の残高が減少された場合に、前記暗号資産の残高が減少されたことをユーザに通知する通知部をさらに有してもよい。
前記情報処理装置は、前記更新部が前記暗号資産の残高を減少する前に、前記暗号資産の残高が減少されることをユーザに通知する通知部をさらに有してもよい。
【0015】
前記情報処理装置は、ユーザの口座に前記暗号資産が預け入れられてから前記暗号資産が移転されるまでの間における前記暗号資産の減少額を、前記暗号資産を発行するための原資を負担した原資負担者に通知する通知部をさらに有してもよい。
請求項1に記載の情報処理装置。
【0016】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、所定の地域において流通する暗号資産の移転を管理するステップと、各ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産のうち、記憶部に記憶されている減少条件であってユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産の残高を減少させるための前記減少条件を満たす前記暗号資産の残高を減少させるステップと、を有する。
【0017】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、所定の地域において流通する暗号資産の移転を管理する移転管理部、及びユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産のうち、記憶部に記憶されている減少条件であってユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産の残高を減少させるための前記減少条件を満たす前記暗号資産の残高を減少させる更新部、として機能させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、暗号資産の利用を促進させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの構成図である。
図2】本実施形態に係る決済サーバのブロック図である。
図3】情報処理システムが暗号資産を管理する方法を説明するための模式図である。
図4】暗号資産の移転を模式的に表した図である。
図5】本実施形態に係る暗号資産管理システムが実行する例示的な情報処理方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、暗号資産管理システム1と、決済サーバ2と、ユーザ端末3を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0021】
暗号資産管理システム1(情報処理装置)は、所定の地域において流通する暗号資産に関する情報を管理するための一以上のコンピュータである。暗号資産は、代金の決済等に利用可能であり、法定通貨(日本円や米国ドル等)とは異なる電子的な資産である。暗号資産は、法定通貨を裏付けとした電子的な資産、例えば法定通貨と同等の価値及び保証を有する電子的な資産であってもよく、ステーブルコインやデジタル通貨であってもよい。暗号資産は、所定の変換比率で所定の通貨に変換可能である。暗号資産は、例えば記憶装置において当該暗号資産を保有するユーザに関連付けられており、決済に利用される際に顧客であるユーザから店舗であるユーザに移転される。
【0022】
暗号資産は、例えば、ブロックチェーンによって管理される電子的な資産である。また、暗号資産は、ブロックチェーンに限られず、データベース等によって管理される電子的な資産であってもよい。暗号資産は、決済に利用される所定の単位(例えば、流通する単位)である資産単位で管理される。以下、暗号資産の資産単位をコインと呼ぶが、その他の名称であってもよい。
【0023】
暗号資産は、所定の地域において利用可能な地域デジタル通貨であってもよい。例えば、地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、所定の地域内の店舗において実行可能であり、当該地域外の店舗において実行不可能である。また、地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、所定の地域内の所定の店舗(例えば、登録された店舗)のみにおいて実行可能であってもよい。
【0024】
暗号資産は、所定のユーザが利用可能な地域デジタル通貨であってもよい。例えば、地域デジタル通貨である暗号資産を用いた決済は、所定のユーザによる要求に応じて所定の地域内の店舗において実行可能であり、所定のユーザによる要求に応じて所定の地域外の店舗、及び所定のユーザ以外のユーザによる要求に応じて当該地域内外の店舗において実行不可能である。所定の地域及び所定のユーザにおいては、例えば、暗号資産の原資負担者によって定められる。原資負担者は、暗号資産を発行するための原資を負担した者であり、例えば、自治体、又はユーザに所定のサービスを提供する事業者等である。
【0025】
暗号資産管理システム1は、各ユーザが保有する暗号資産を、当該ユーザに関連付けられた暗号資産口座において管理する。暗号資産管理システム1は、例えば、決済サーバ2から受信した移転要求に応じて、暗号資産をあるユーザの暗号資産口座から別のユーザの暗号資産口座に移転する。暗号資産管理システム1は、ネットワークを介して決済サーバ2及びユーザ端末3と通信可能である。
【0026】
決済サーバ2は、暗号資産を用いて代金の決済を行うためのコンピュータである。決済サーバ2は、例えば、ユーザ端末3から決済要求を受信したことに応じて、暗号資産管理システム1に対して決済対象の金額に対応する暗号資産をあるユーザから他のユーザに移転させる移転要求を送信する。決済サーバ2は、ネットワークを介して暗号資産管理システム1及びユーザ端末3と通信可能である。
【0027】
ユーザ端末3は、ユーザが利用するコンピュータである。ユーザは、例えば、店舗である他のユーザに対して、商品(物品、サービス等)の代金を、暗号資産を利用して支払う顧客である。また、ユーザは、店舗である他のユーザに対して、暗号資産を利用して代金を支払う店舗であってもよい。ユーザ端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。ユーザ端末3は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、情報を読み取るためのカメラ等の撮像部と、を有する。ユーザ端末3は、ネットワークを介して決済サーバ2と通信可能である。
【0028】
情報処理システムSは、各ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産のうち、減少条件を満たす暗号資産の残高を減少させる。減少条件は、ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産の残高を減少させるための条件であり、例えば、暗号資産の保有期間に関する条件、及び暗号資産の移転回数に関する条件のうちの少なくともいずれかである。
【0029】
暗号資産の移転回数は、ユーザの暗号資産口座ごとに異なる。暗号資産においては、経済循環を活性化させるために、移転回数が多い方が望ましい。そこで、情報処理システムSは、暗号資産の移転回数が多い場合の減少量を、暗号資産の移転回数が少ない場合の減少量未満として暗号資産の残高を減少させる。
【0030】
このようにすることで、情報処理システムSは、暗号資産の残高が減少される前に当該暗号資産を利用する動機づけをユーザに提供することができる。これにより、情報処理システムSは、暗号資産の利用を促進させることができる。その結果、情報処理システムSは、暗号資産の利用により経済循環を活性化させることができる。
以下、暗号資産管理システム1の構成について説明する。
【0031】
[暗号資産管理システム1の構成]
図2は、本実施形態に係る暗号資産管理システム1のブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0032】
暗号資産管理システム1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。暗号資産管理システム1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、暗号資産管理システム1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0033】
通信部11は、ネットワークを介して決済サーバ2及びユーザ端末3との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、決済サーバ2又はユーザ端末3からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータを決済サーバ2又はユーザ端末3に送信する。
【0034】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、暗号資産管理システム1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0035】
制御部13は、発行部131と、換金部132と、移転管理部133と、条件管理部134と、更新部135と、通知部136と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、発行部131、換金部132、移転管理部133、条件管理部134、更新部135及び通知部136として機能する。発行部131、換金部132、移転管理部133、条件管理部134、更新部135及び通知部136それぞれが行う処理については後述する。
【0036】
[口座の説明]
まず、情報処理システムSが暗号資産を管理する方法を説明する。図3は、情報処理システムSが暗号資産を管理する方法を説明するための模式図である。
【0037】
暗号資産管理システム1は、複数のユーザそれぞれが保有する暗号資産を、暗号資産口座において管理する。複数のユーザそれぞれの暗号資産口座は、当該ユーザの識別情報(ID:Identification)、例えば、暗号資産口座のIDに関連付けられている。暗号資産管理システム1は、暗号資産の管理として、暗号資産口座に対して暗号資産を入金及び出金し、又は複数の暗号資産口座間で暗号資産を移転する。
【0038】
暗号資産管理システム1は、例えば、ブロックチェーンを用いて、コインを資産単位として暗号資産を管理する。暗号資産管理システム1は、例えば、ユーザのIDと、当該ユーザの暗号資産口座における取引の内容と、を関連付けたブロック(データ)を、ネットワーク上の一又は複数の記憶装置上にブロックチェーンとして記憶する。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0039】
暗号資産管理システム1は、ブロックチェーンに限られず、例えば、ユーザのIDと、当該ユーザの暗号資産口座の残高と、当該ユーザの暗号資産口座における一又は複数の取引の内容と、を関連付けたデータを記憶部12上にデータベースとして記憶してもよい。
【0040】
暗号資産管理システム1は、暗号資産の管理として、暗号資産を発行し、発行した暗号資産をユーザの暗号資産口座に入金する。具体的には、まず、発行部131は、原資負担者からの発行要求に応じて暗号資産を発行する。発行要求は、暗号資産を発行するための要求であり、例えば、発行する暗号資産の額と、当該暗号資産を入金する暗号資産口座に関連付けられているユーザのIDとを含む。そして、発行部131は、要求された額の暗号資産を発行し、発行した暗号資産をユーザのIDによって示されるユーザの暗号資産口座に入金する。
【0041】
発行部131は、暗号資産を上乗せして発行してもよい。具体的には、まず、発行部131は、原資負担者からの発行要求に応じて、第1資産と第2資産とを含む暗号資産を発行する。第1資産は、原資負担者が負担した負担額に相当する暗号資産である。第2資産は、原資負担者が負担した負担額に応じて上乗せされる暗号資産である。例えば、暗号資産管理システム1には上乗せ率が予め定められており、発行部131は、第1資産の額と上乗せ率とを乗算することにより第2資産の額を算出し、発行要求に含まれる額の第1資産と、算出した額の第2資産とを含む暗号資産を発行する。
【0042】
そして、発行部131は、発行した暗号資産に含まれる第1資産と第2資産とをユーザの暗号資産口座に入金する。このようにすることで、暗号資産管理システム1は、多くの暗号資産をユーザに提供することができる。
【0043】
暗号資産管理システム1は、暗号資産の管理として、暗号資産を所定の通貨に換金するする。具体的には、換金部132は、ユーザからの換金要求に応じて暗号資産を所定の通貨に換金する。換金要求は、暗号資産を所定の通貨に換金するための要求であり、例えば、ユーザのIDと、換金する暗号資産の額とを含む。
【0044】
換金部132は、ユーザが換金を要求した暗号資産の種類に応じた者に対して、暗号資産を所定の通貨に換金することに伴う金額を負担させてもよい。例えば、換金要求には、ユーザが選択した暗号資産の種類を示す情報がさらに含まれる。
【0045】
この場合において、換金部132は、第1資産を換金する場合、換金される第1資産に相当する金額を原資負担者に負担させる。一方、換金部132は、第2資産を換金する場合、換金される第2資産に相当する金額を決済事業者に負担させる。決済事業者は、決済を管理する事業者である。このようにすることで、暗号資産管理システム1は、ユーザが換金を要求した暗号資産の種類に応じた者に対して、暗号資産を所定の通貨に換金することに伴う金額を負担させることができる。
【0046】
[移転処理の説明]
次に、情報処理システムSが暗号資産を移転する処理を実行するための構成を以下に説明する。決済サーバ2は、ユーザ端末3から暗号資産を決済するための決済要求を受信する。決済要求は、第1ユーザが第2ユーザに支払う代金を決済するための要求、具体的には、第1ユーザに関連付けられている暗号資産口座から第2ユーザに関連付けられている暗号資産口座に決済金額の移転を暗号資産管理システム1に実行させるための要求である。決済要求は、例えば、第1ユーザのIDと、第2ユーザのIDと、決済金額とを含む。
【0047】
具体的には、まず、ユーザ端末3は、決済要求を決済サーバ2に送信する。例えば、ユーザ端末3は、第2ユーザから提示されたQR(Quick Response)コード(登録商標)を読み取ることによって第2ユーザのIDを取得し、ユーザ端末3に関連付けられている第1ユーザのIDと、取得した第2ユーザのIDと、第1ユーザが入力した暗号資産による決済金額とを含む決済要求を決済サーバ2に送信する。そして、決済サーバ2は、決済要求をユーザ端末3から取得する。
【0048】
決済サーバ2は、決済要求を受信すると、第1ユーザが保有する暗号資産を第2ユーザに移転させる。具体的には、決済サーバ2は、暗号資産管理システム1に対して、第1ユーザに関連付けられている暗号資産口座から第2ユーザに関連付けられている暗号資産口座に決済金額を移転するための移転要求を通知することにより、第1ユーザが保有する暗号資産を第2ユーザに移転させる。移転要求は、第1ユーザのIDと、第2ユーザのIDと、決済金額とを含む。
【0049】
暗号資産管理システム1において、移転管理部133は、暗号資産の移転を管理する。具体的には、移転管理部133は、ユーザ端末3による決済要求に応じて、代金に相当する暗号資産を、第1ユーザの暗号資産口座から第2ユーザの暗号資産口座に移転させる。より具体的には、移転管理部133は、決済要求を受信した決済サーバ2から移転要求を取得すると、当該移転要求に含まれる決済金額に対応する暗号資産を、当該移転要求に含まれる第1ユーザのIDによって特定される第1ユーザの暗号資産口座から当該移転要求に含まれる第2ユーザのIDによって特定される第2ユーザの暗号資産口座に移転する。
【0050】
移転管理部133は、例えば、ブロックチェーンを用いて暗号資産を管理している場合、ブロックチェーンに対して、決済金額に対応するコインの保有者を第1ユーザから第2ユーザに変更することを示すブロックを追加する。また、移転管理部133は、例えば、データベースを用いて暗号資産を管理している場合、データベースにおいて、第1ユーザの暗号資産口座から決済金額に対応するコインを減算し、第2ユーザの暗号資産口座に決済金額に対応するコインを加算してもよい。
【0051】
移転管理部133は、移転回数が少ない暗号資産を優先して移転させてもよい。具体的には、まず、移転管理部133は、暗号資産が流通する単位である資産単位ごとに、過去において移転された移転回数を特定する。
【0052】
例えば、暗号資産管理システム1がブロックチェーンを用いて暗号資産を管理している場合、移転管理部133は、資産単位ごとに、ブロックチェーンに格納されているトランザクションを参照し、当該資産単位の移転回数を特定する。例えば、暗号資産管理システム1がデータベースを用いて暗号資産を管理している場合、移転管理部133は、資産単位ごとに、データベースに記憶されている暗号資産の移転の履歴を参照し、当該資産単位の移転回数を特定する。
【0053】
そして、移転管理部133は、第1ユーザが保有する暗号資産のうち、移転回数が相対的に少ない暗号単位を優先して移転させる。移転管理部133は、例えば、第1ユーザが保有する暗号資産のうち、移転回数が最も少ない暗号資産単位を移転させる。このようにすることで、暗号資産管理システム1は、移転回数のばらつきを小さくすることができる。
【0054】
移転管理部133は、第2ユーザが暗号資産の利用許可条件を満たすか否かを判定し、第2ユーザが暗号資産の利用許可条件を満たすと判定した場合に、第1ユーザが保有する暗号資産を第2ユーザに移転させてもよい。利用許可条件は、代金の支払いに対する利用が許可されている条件が定められている暗号資産の利用を許可するための条件であり、例えば、第2ユーザである店舗が存在する地域が暗号資産の利用が可能な地域であるか否か、又は店舗が暗号資産の利用が可能な店舗であるか否か等である。利用許可条件は、第2ユーザが暗号資産口座を保有しているか否かであってもよい。なお、決済サーバ2が、第2ユーザが暗号資産の利用許可条件を満たすか否かを判定し、判定した結果を暗号資産管理システム1に通知してもよい。
【0055】
移転管理部133は、第1ユーザが支払条件を満たすか否かを判定し、第1ユーザが支払条件を満たすと判定した場合に、第1ユーザが保有する暗号資産を第2ユーザに移転させてもよい。支払条件は、利用元ユーザが暗号資産で代金を支払うための条件であり、例えば、第1ユーザが暗号資産を利用可能なユーザであるか否か等である。移転管理部133は、例えば、第1ユーザの暗号資産口座が存在するか否かを判定し、判定した結果に基づいて、第1ユーザが支払条件を満たすか否かを判定する。
【0056】
移転管理部133は、第2ユーザが暗号資産の利用許可条件を満たさないと判定した場合、又は第1ユーザが支払条件を満たさないと判定した場合、暗号資産を利用できない旨を、決済サーバ2を介してユーザ端末3に通知してもよい。
【0057】
[更新処理の説明]
次に、情報処理システムSがユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産の残高を更新する処理を実行するための構成を以下に説明する。暗号資産管理システム1において、更新部135は、減少条件に基づいて、各ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産の残高を減少させる。
【0058】
減少条件は、例えば、原資負担者によって定められた条件である。具体的には、まず、条件管理部134は、原資負担者(原資負担者が使用する不図示の端末)から減少条件を示す情報を取得する。そして、条件管理部134は、取得した減少条件を記憶部12に記憶させる。
【0059】
更新部135は、各ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産のうち、減少条件を満たす暗号資産の残高を減少させる。減少条件に含まれる暗号資産の保有期間に関する条件として、暗号資産の残高の減少を開始するまでの減少開始期間が定められているとする。この場合において、更新部135は、暗号資産がユーザの暗号資産口座に預け入れられてからの保有期間が減少条件を満たす暗号資産、すなわち、暗号資産の保有期間が減少開始期間を経過した暗号資産の残高を減少させる。
【0060】
具体的には、更新部135は、ユーザの暗号資産口座ごとに暗号資産の保有期間を特定し、各ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産のうち、特定した保有期間が減少条件を満たす暗号資産の残高を減少させる。例えば、暗号資産管理システム1がブロックチェーンを用いて暗号資産を管理している場合、更新部135は、資産単位ごとに、ブロックチェーンに格納されているトランザクションを参照して保有期間を特定する。例えば、暗号資産管理システム1がデータベースを用いて暗号資産を管理している場合、移転管理部133は、資産単位ごとに、データベースに記憶されている暗号資産の移転の履歴を参照して保有期間を特定する。例えば、減少条件が1週間である場合、更新部135は、各ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産のうち、保有期間が1週間を経過した暗号資産の残高を減少させる。
【0061】
減少条件に含まれる暗号資産の移転回数に関する条件として、残高を減少させる暗号資産の対象を定めるために設定された設定回数が定められているとする。この場合、更新部135は、ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産の移転回数が減少条件を満たす暗号資産、すなわち、暗号資産の移転回数が設定回数以下である暗号資産の残高を減少させる。
【0062】
具体的には、まず、更新部135は、ユーザ間における暗号資産の移転の移転履歴に基づいて、ユーザの暗号資産口座ごとに暗号資産の移転回数を特定する。例えば、暗号資産管理システム1がブロックチェーンを用いて暗号資産を管理している場合、更新部135は、ブロックチェーンに格納されているトランザクションを参照し、暗号資産の移転回数を特定する。また、例えば、暗号資産管理システム1がデータベースを用いて暗号資産を管理している場合、更新部135は、データベースにおいて暗号資産の移転履歴を参照し、暗号資産の移転回数を特定する。
【0063】
そして、更新部135は、各ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産のうち、特定した移転回数が減少条件を満たす暗号資産の残高を減少させる。例えば、減少条件として定められている設定回数が0回である場合、更新部135は、各ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産のうち、移転回数が0回以下である暗号資産の残高を減少させる。
【0064】
更新部135は、ユーザ間における暗号資産の移転の移転履歴によって特定される暗号資産の移転回数が多い場合の減少量を、移転回数が少ない場合の減少量未満とする。更新部135は、例えば、暗号資産の移転回数が少ないほど暗号資産の残高の減少量を多くし、暗号資産の移転回数が多いほど暗号資産の残高の減少量を少なくする。
【0065】
更新部135は、例えば、暗号資産の移転回数が減少条件を満たす暗号資産(例えば、移転回数が0回の暗号資産)を減少させ、暗号資産の移転回数が減少条件を満たさない暗号資産(例えば、移転回数が1回以上の暗号資産)の減少を禁止する。更新部135は、例えば、暗号資産の移転回数が減少条件を満たす暗号資産(例えば、移転回数が3回未満である暗号資産)において、暗号資産の移転回数が少ないほど(例えば、暗号資産の移転回数が1回である場合)暗号資産の残高の減少量を多くし、暗号資産の移転回数が多いほど(例えば、暗号資産の移転回数が2回である場合)暗号資産の残高の減少量を少なくしてもよい。
【0066】
更新部135は、例えば、減少開始期間が定められている第1の減少条件と、設定回数が定められている第2の減少条件とのいずれも満たす暗号資産の残高を減少させる。図4は、暗号資産の移転を模式的に表した図である。図4(a)に示す例においては、原資負担者の発行要求によって暗号資産の1,000コインが発行され、発行された1,000コインが第1ユーザの暗号資産口座に預け入れられている。
【0067】
この場合において、更新部135は、第1ユーザの暗号資産口座に預け入れられている1,000コインが発行されてからの保有期間が減少開始期間を経過したか否かを判定する。そして、更新部135は、第1ユーザの暗号資産口座に預け入れられている1,000コインが発行されてからの保有期間が減少開始期間を経過したと判定した場合に、当該1,000コインの移転回数が設定回数以下であるか否かを判定する。図4に示す例においては、1,000コインの移転回数が0回であるため、更新部135は、1,000コインの移転回数が設定回数以下であると判定し、1,000コインを減少させる。
【0068】
続いて、図4(b)に示す例においては、第1ユーザの暗号資産口座に預け入れられている1,000コインのうち、100コインが第2ユーザの暗号資産口座に移転されたとする。この場合において、更新部135は、第2ユーザの暗号資産口座に預け入れられている100コインが移転されてからの保有期間が減少開始期間を経過したか否かを判定し、第2ユーザの暗号資産口座に預け入れられている100コインが移転されてからの保有期間が減少開始期間を経過したと判定した場合に、100コインの移転回数が設定回数以下であるか否かを判定する。図4(b)に示す例においては、100コインの移転回数が1回であるため、更新部135は、1,000コインの移転回数が設定回数以下ではない判定し、100コインを減少させずに処理を終了する。
【0069】
更新部135は、第1ユーザの暗号資産口座の900コインにおいては、図4(a)と同様の処理を実行し、各減少条件を満たすと判定した場合に900コインを減少させる。上記において、更新部135が、第1の減少条件を満たすと判定した後に第2の減少条件を満たすか否かを判定する例を説明したが、これに限らない。例えば、更新部135は、第2の減少条件を満たすと判定した後に第1の減少条件を満たすか否かを判定してもよいし、第1の減少条件と第2の減少条件とを同時に判定してもよい。
【0070】
また、上記において、更新部135が、第1の減少条件と第2の減少条件とのいずれも満たす暗号資産の残高を減少させる例を説明したが、これに限らない。例えば、更新部135は、第1の減少条件と第2の減少条件とのうちのいずれかを満たす暗号資産の残高を減少させてもよい。
【0071】
更新部135は、ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産の残高に応じて減少させてもよい。例えば、記憶部12には暗号資産の残高を減少させるための係数が定められており、更新部135は、ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産のうちの減少条件を満たす暗号資産の残高と、記憶部12に記憶されている係数とを乗算することにより減少額を算出し、暗号資産の残高を減少額で減算することにより、暗号資産を減少させる。更新部135は、所定の間隔(例えば1週間おき)で、最初に算出した減少額で暗号資産の残高を減算する。更新部135は、所定の間隔で減少額を算出し、算出した減少額で暗号資産の残高を減算してもよい。
【0072】
更新部135は、暗号資産の種類に応じて暗号資産の残高を減少させてもよい。具体的には、更新部135は、ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産に含まれる第1資産及び第2資産のうち、第2資産を減少させる。
【0073】
更新部135は、例えば、ユーザの暗号資産口座に預け入れられている第2資産のうちの減少条件を満たす第2資産の残高と、記憶部12に記憶されている係数とを乗算することにより減少額を算出し、第2資産の残高を減少額で減算することにより、暗号資産を減少させる。このようにすることで、暗号資産管理システム1は、暗号資産が減少され過ぎることを防ぐことができる。
【0074】
移転管理部133は、更新部135が減少させた暗号資産を、原資負担者の暗号資産口座に移転させてもよい。具体的には、移転管理部133は、更新部135が減少させる対象の暗号資産を、ユーザの暗号資産口座から原資負担者の暗号資産口座に移転する。このようにすることで、暗号資産管理システム1は、利用されていない暗号資産を原資負担者に利用させることができる。
【0075】
通知部136は、暗号資産の残高が減少された場合に、暗号資産の残高が減少されたことをユーザに通知してもよい。具体的には、通知部136は、更新部135がユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産の残高を減少させた場合に、当該ユーザが使用するユーザ端末3に対して暗号資産が減少されたことを示すメッセージを通知する。このようにすることで、暗号資産管理システム1は、暗号資産の利用をユーザに促すことができる。
【0076】
通知部136は、更新部135が暗号資産の残高を減少する前に、暗号資産の残高が減少されることをユーザに通知してもよい。具体的には、まず、更新部135は、各ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産のうち、減少条件を満たす暗号資産があるか否かを判定する。そして、通知部136は、更新部135が減少条件を満たす暗号資産があると判定した場合に、当該暗号資産が暗号資産口座に預け入れられているユーザが使用するユーザ端末3に対して暗号資産が減少されることを示すメッセージを通知する。その後、更新部135は、通知部136がメッセージを通知してから所定の期間が経過した場合に、暗号資産の残高を減少させる。このようにすることで、暗号資産管理システム1は、暗号資産の利用をユーザに促すことができる。
【0077】
通知部136は、ユーザの暗号資産口座に暗号資産が預け入れられてから暗号資産が移転されるまでの間における暗号資産の減少額を、原資負担者に通知してもよい。このようにすることで、暗号資産管理システム1は、ユーザに提供した暗号資産が利用されているか否かを把握することができる。
【0078】
[情報処理方法のシーケンス]
図5は、本実施形態に係る暗号資産管理システム1が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートである。本処理は、更新部135が、各ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産の中に、暗号資産の保有期間が第1の減少条件である減少開始期間を経過した暗号資産があるか否かを判定したことを契機として開始する(S1)。
【0079】
更新部135は、各ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産の中に、暗号資産の保有期間が減少条件である減少開始期間を経過した暗号資産が無いと判定した場合(S1においてNOの場合)、処理をS1に戻す。一方、更新部135は、各ユーザの暗号資産口座に預け入れられている暗号資産の中に、暗号資産の保有期間が減少条件である減少開始期間を経過した暗号資産があると判定した場合(S1においてYESの場合)、当該暗号資産の移転回数を特定する(S2)。
【0080】
更新部135は、特定した暗号資産の移転回数が第2の減少条件として定められた設定回数以下であるか否かを判定する(S3)。更新部135は、特定した暗号資産の移転回数が第2の減少条件として定められた設定回数以下ではないと判定した場合(S3においてNOの場合)、処理を終了させる。一方、更新部135は、特定した暗号資産の移転回数が第2の減少条件として定められた設定回数以下であると判定した場合(S3においてYESの場合)、暗号資産の残高を減少させる(S4)。
【0081】
[本実施形態における効果]
以上説明したとおり、情報処理システムSは、各ユーザの口座に預け入れられている暗号資産のうち、減少条件を満たす暗号資産の残高を減少させる場合、暗号資産の移転回数が多い場合の減少量が、移転回数が少ない場合の減少量未満となるように暗号資産の残高を減少させる。このようにすることで、情報処理システムSは、暗号資産の残高が減少される前に当該暗号資産を利用する動機づけをユーザに提供することができる。これにより、情報処理システムSは、暗号資産の利用を促進させることができる。その結果、情報処理システムSは、暗号資産の利用により経済循環を活性化させることができる。
【0082】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0083】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0084】
1 暗号資産管理システム
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 発行部
132 換金部
133 移転管理部
134 条件管理部
135 更新部
136 通知部
2 決済サーバ
3 ユーザ端末
S 情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の地域において流通する暗号資産の移転を管理する移転管理部と、
ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産の残高を減少させるための減少条件であって、前記暗号資産の移転回数に関する条件が含まれる前記減少条件を記憶する記憶部と、
前記暗号資産が管理されているブロックチェーンに格納されているトランザクションを参照して、決済に利用される所定の単位である資産単位ごとに、前記ユーザの口座に預け入れられている当該資産単位の移転回数を特定し、前記ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産のうち、特定した前記移転回数が前記減少条件に含まれる前記移転回数に関する条件を満たす前記暗号資産の残高を減少させる更新部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記減少条件には、前記暗号資産の保有期間に関する条件が定められており、
前記更新部は、前記トランザクションを参照して、前記資産単位ごとに、当該資産単位がユーザの口座に預け入れられてからの期間を特定し、特定した前記期間が前記減少条件に含まれる前記保有期間に関する条件をさらに満たす前記暗号資産の残高を減少させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記暗号資産を発行するための原資を負担した原資負担者から前記減少条件を取得し、前記記憶部に記憶させる条件管理部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記移転管理部は、ユーザが他のユーザに支払う代金を決済するための決済要求に応じて、当該代金に相当する前記暗号資産を、ユーザの口座から他のユーザの口座に移転させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記暗号資産を発行するための原資を負担した原資負担者からの要求に応じて、前記原資負担者が負担した負担額に相当する第1資産と、前記負担額に応じて上乗せされる第2資産とを含む前記暗号資産を発行し、発行した前記暗号資産に含まれる前記第1資産と前記第2資産とをユーザの口座に入金する発行部をさらに有し、
前記更新部は、ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産に含まれる前記第1資産及び前記第2資産のうち、前記第2資産を減少させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ユーザからの要求に応じて前記暗号資産を所定の通貨に換金する場合において、前記第1資産を換金する場合、換金される前記第1資産に相当する金額を前記原資負担者に負担させ、前記第2資産を換金する場合、換金される前記第2資産に相当する金額を、決済を管理する事業者に負担させる換金部をさらに有する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記更新部は、ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産の残高に応じて減少させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記移転管理部は、前記更新部が減少させた暗号資産を、前記暗号資産を発行するための原資を負担した原資負担者の口座に移転させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記暗号資産の残高が減少された場合に、前記暗号資産の残高が減少されたことをユーザに通知する通知部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記更新部が前記暗号資産の残高を減少する前に、前記暗号資産の残高が減少されることをユーザに通知する通知部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
ユーザの口座に前記暗号資産が預け入れられてから前記暗号資産が移転されるまでの間における前記暗号資産の減少額を、前記暗号資産を発行するための原資を負担した原資負担者に通知する通知部をさらに有する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
ユーザの口座に預け入れられている、所定の地域において流通する暗号資産の残高を減少させるための減少条件であって、前記暗号資産の移転回数に関する条件が含まれる前記減少条件を記憶する記憶部を有するコンピュータが実行する、
前記暗号資産の移転を管理するステップと、
前記暗号資産が管理されているブロックチェーンに格納されているトランザクションを参照して、決済に利用される所定の単位である資産単位ごとに、前記ユーザの口座に預け入れられている当該資産単位の移転回数を特定するステップと、
前記ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産のうち、特定した前記移転回数が前記減少条件に含まれる前記移転回数に関する条件を満たす前記暗号資産の残高を減少させるステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項13】
ユーザの口座に預け入れられている、所定の地域において流通する暗号資産の残高を減少させるための減少条件であって、前記暗号資産の移転回数に関する条件が含まれる前記減少条件を記憶する記憶部を有するコンピュータを、
前記暗号資産の移転を管理する移転管理部、及び
前記暗号資産が管理されているブロックチェーンに格納されているトランザクションを参照して、決済に利用される所定の単位である資産単位ごとに、前記ユーザの口座に預け入れられている当該資産単位の移転回数を特定し、前記ユーザの口座に預け入れられている前記暗号資産のうち、特定した前記移転回数が前記減少条件に含まれる前記移転回数に関する条件を満たす前記暗号資産の残高を減少させる更新部、
として機能させるプログラム。