(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021327
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】凝集造粒装置及び水処理装置
(51)【国際特許分類】
B01F 27/701 20220101AFI20240208BHJP
B01F 27/072 20220101ALI20240208BHJP
B01F 27/112 20220101ALI20240208BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20240208BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20240208BHJP
B01F 23/53 20220101ALI20240208BHJP
C02F 1/52 20230101ALI20240208BHJP
【FI】
B01F27/701
B01F27/072
B01F27/112
B01F35/71
B01F35/75
B01F23/53
C02F1/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124078
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】出 健志
(72)【発明者】
【氏名】仕入 英武
(72)【発明者】
【氏名】早見 美意
(72)【発明者】
【氏名】早見 徳介
(72)【発明者】
【氏名】松代 武士
(72)【発明者】
【氏名】小鍜治 利彦
【テーマコード(参考)】
4D015
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4D015BA21
4D015BB09
4D015BB12
4D015CA14
4D015CA20
4D015DA04
4D015DA05
4D015DA13
4D015DA15
4D015DB01
4D015DC02
4D015DC07
4D015DC08
4D015EA02
4D015EA06
4D015EA16
4D015EA39
4G035AB46
4G035AE13
4G037AA02
4G037AA11
4G037DA21
4G037EA03
4G078AA08
4G078AA15
4G078BA01
4G078DA01
4G078DB03
4G078DB10
4G078EA10
(57)【要約】
【課題】 被処理水の処理量が大きい場合であっても、より小さい撹拌動力で被処理水を撹拌し、被処理水の一部を凝集造粒させることが可能な凝集造粒装置を提供すること。
【解決手段】 実施形態によれば、凝集造粒装置は、管路と、凝集剤注入部と、複数の撹拌機とを備える。管路は、被処理水が導入される導入口、及び、被処理水が排出される排出口を有する。凝集剤注入部は、管路内を流れる被処理水に凝集剤を注入する。複数の撹拌機は、管路内において、被処理水の流れ方向に交差する方向に並設され、凝集剤が注入された被処理水に旋回流れを発生させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水が導入される導入口、及び、前記被処理水が排出される排出口を有する管路と、
前記管路内を流れる前記被処理水に、凝集剤を注入する凝集剤注入部と、
前記管路内において、前記被処理水の流れ方向に交差する方向に並設され、前記凝集剤が注入された前記被処理水に旋回流れを発生させる、複数の撹拌機と
を備える、凝集造粒装置。
【請求項2】
前記複数の撹拌機は、それぞれ、前記管路内において、前記被処理水に前記旋回流れを発生させる、1又は複数の撹拌翼を有する、
請求項1に記載の凝集造粒装置。
【請求項3】
前記1又は複数の撹拌翼は、それぞれ、前記管路の内径の1/2以下の外径を有する、請求項2に記載の凝集造粒装置。
【請求項4】
前記複数の撹拌機は、それぞれ、前記複数の撹拌翼を、前記流れ方向に離間して配置する、
請求項2又は請求項3に記載の凝集造粒装置。
【請求項5】
前記複数の撹拌機のそれぞれにおける前記複数の撹拌翼は、前記管路の流れ方向に沿う間隔が前記流れ方向に沿うエリアによって異なる、
請求項4に記載の凝集造粒装置。
【請求項6】
前記複数の撹拌機のそれぞれにおける前記複数の撹拌翼は、前記管路の流れ方向に対して、前記凝集剤の注入領域及びその近傍と、前記凝集剤の前記注入領域及びその近傍よりも下流側とで、数が異なる、
請求項4に記載の凝集造粒装置。
【請求項7】
前記複数の撹拌翼は、前記流れ方向に対して、前後の撹拌翼の羽根の位置がずれている、請求項4に記載の凝集造粒装置。
【請求項8】
前記複数の撹拌翼の少なくとも1つは、複数の羽根を有し、
前記複数の羽根は、流れ方向に対して-20°~+20°度の角度に傾斜する、
請求項4に記載の凝集造粒装置。
【請求項9】
前記複数の撹拌機は、それぞれ、前記1又は複数の撹拌翼が設けられ、駆動力の入力によりその軸回りに回転する回転軸を有し、
前記複数の撹拌機の前記回転軸は、それぞれ平行に配置される、
請求項2又は請求項3に記載の凝集造粒装置。
【請求項10】
前記複数の撹拌機のうち、隣接する2つの撹拌機の前記回転軸の一方は所定方向から見て時計回り方向であり、他方は前記所定方向から見て反時計回り方向である、
請求項9に記載の凝集造粒装置。
【請求項11】
前記複数の撹拌機は、前記撹拌機の前記回転軸がそれぞれその軸回りに回転するように前記回転軸が1枚の円盤状部材に支持され、
前記円盤状部材は、前記管路となる配管の一端のフランジに固定されている、
請求項9に記載の凝集造粒装置。
【請求項12】
前記複数の撹拌機のうちの少なくとも1つの撹拌機の外周には、前記流れ方向と平行に、長尺の1又は複数の撹拌板が設けられる、
請求項1に記載の凝集造粒装置。
【請求項13】
前記複数の撹拌板は、前記撹拌機の外周に円筒状に配置される、
請求項12に記載の凝集造粒装置。
【請求項14】
前記複数の撹拌板の外周には、円筒状の壁が設けられる、
請求項12に記載の凝集造粒装置。
【請求項15】
前記円筒状の壁は、前記管路の開口を有する円盤体に固定され、
前記円盤体は、前記管路となる配管の他端のフランジに固定される、
請求項14に記載の凝集造粒装置。
【請求項16】
前記撹拌板は、円盤体に固定され、
前記円盤体は、前記管路となる配管の他端のフランジに固定される、
請求項12に記載の凝集造粒装置。
【請求項17】
前記凝集剤注入部は、前記複数の撹拌機で前記被処理水に前記旋回流れを発生させる位置に、前記凝集剤から選択される、異なる種類の凝集剤を前記管路の流れ方向に沿って段階的に注入可能である、
請求項1に記載の凝集造粒装置。
【請求項18】
前記凝集剤注入部は、無機凝集剤を前記管路内に注入する第1のポート、及び、前記第1のポートよりも前記管路の下流側に設けられ高分子凝集剤を注入する第2のポートを備える、
請求項17に記載の凝集造粒装置。
【請求項19】
前記凝集剤注入部は、前記管路の上流側から下流側に沿って、3つ以上のポートを備え、
前記3つ以上のポートの前記管路の流れ方向に沿う間隔は、前記複数の撹拌機による撹拌時間に応じた寸法に配置される、
請求項1に記載の凝集造粒装置。
【請求項20】
請求項1に記載の凝集造粒装置と、
前記凝集造粒装置の下流側に連結され、前記凝集剤が注入された前記被処理水から凝集物を固液分離して、汚泥を取り出すとともに、処理水を排出する固液分離装置と
を有する水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、凝集造粒装置、及び、その凝集造粒装置を含む水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浄水場や産業排水を始めとするプラント、発電所等では、固液分離装置によって、原水から、金属イオン、有機物、無機塩等の懸濁物質(以下、「濁質」とも称する)の分離および除去がなされている。
この種の固液分離装置に適用されている代表的な技術に、凝集沈殿処理技術や遠心分離技術がある。
遠心分離技術が適用された固液分離装置では、固形物がフロック化された後、遠心分離機によって、フロックを含む原水が旋回され、遠心力の作用により、所定の粒径以上のフロックが、原水から分離される。遠心分離機では、重力よりも加速度の大きな遠心力が利用されるため、重力を利用する場合よりも短時間で固形物を分離できるので、沈殿槽の容量を小型化することができる。
【0003】
しかしながら、遠心分離機において、結合力が弱いフロックを高速で旋回させると、一度形成されたフロックが分裂し微細化することがある。したがって、遠心分離技術を適用する際には、分裂や微細化しにくいフロックを形成するために、フロック形成槽を設ける必要がある。さらに、高密度かつ高強度のフロックを形成するために、フロックの壁面との衝突を促進するように、フロック形成槽内に、棚板で流路を形成する必要がある。
【0004】
このように、遠心分離技術が適用された固液分離装置は、沈殿槽の容量を小型化することはできるものの、フロック形成槽を設ける必要があるので、装置全体の小型化を実現することが難しい。また、フロック形成槽の構造が複雑であるので、製造が容易ではない。
【0005】
そこで、装置全体の小型化の実現のため、配管型混合器において、原水に無機系凝集剤、カチオン系高分子凝集剤およびアニオン系高分子凝集剤を添加し、高速(例えば、1000(rpm)~15000(rpm))で撹拌することで、原水に含まれる濁質を凝集および造粒する凝集造粒機能を備えた固液分離装置が開示されている。
【0006】
配管型混合器は、コンパクト化が可能であるが、撹拌のために、配管中で撹拌翼を高速で回転させる必要がある。このため、処理量が大きいと、大径の撹拌翼を高速で回転させるには、撹拌動力が大きくなり、装置の消費電力、即ち、ランニングコストが増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4875129号公報
【特許文献2】特開2010-214248号公報
【特許文献3】特許第6805282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、被処理水の処理量が大きい場合であっても、より小さい撹拌動力で被処理水を撹拌し、被処理水の一部を凝集造粒させることが可能な凝集造粒装置、及び、凝集造粒装置を含む水処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、凝集造粒装置は、流路と、凝集剤注入部と、複数の撹拌機とを備える。管路は、被処理水が導入される導入口、及び、被処理水が排出される排出口を有する。凝集剤注入部は、管路内を流れる被処理水に凝集剤を注入する。複数の撹拌機は、管路内において、被処理水の流れ方向に交差する方向に並設され、凝集剤が注入された被処理水に旋回流れを発生させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る水処理装置の凝集造粒装置及び固液分離装置を示すブロック図。
【
図2】実施形態に係る水処理装置の凝集造粒装置及び固液分離装置を示す概略図。
【
図3】
図2の水処理装置の凝集造粒装置及び固液分離装置を示す斜視図。
【
図4】
図3の水処理装置の凝集造粒装置及び固液分離装置を示す分解斜視図。
【
図5】凝集造粒装置の撹拌機モジュールを示す概略的な斜視図。
【
図7】凝集造粒装置の撹拌機モジュールの撹拌翼及び回転軸を示す概略図。
【
図8】
図7の撹拌機モジュールの撹拌翼及び回転軸を示す概略的な斜視図。
【
図9】凝集造粒装置の撹拌板ユニットのチャンネルアセンブリを示す概略的な斜視図。
【
図10】凝集造粒装置の撹拌板ユニットを示す概略的な斜視図。
【
図12】固液分離装置のゲート弁ユニットの縦断面図。
【
図13】固液分離装置のゲート弁ユニットの開度16%の概略的な正面図。
【
図14】固液分離装置のゲート弁ユニットの開度50%の概略的な正面図。
【
図15】固液分離装置の固液分離ユニットの縦断面図。
【
図16】サイクロンによる固液分離のメカニズムを説明するための模式図。
【
図17】流入シェル、処理水シェル、および汚泥回収シェルにおける圧力分布の解析結果の一例を示す図。
【
図18】固液分離装置の固液分離ユニットの概略的な正面図。
【
図19】実施形態に係る凝集造粒システムの動作例を示すフローチャート。
【
図20】被処理水に無機系凝集剤が注入されてから、凝集フロックが成長するまでの過程を示す模式図。
【
図21】
図20に続く、被処理水に無機系凝集剤が注入されてから、凝集フロックが成長するまでの過程を示す模式図。
【
図22】
図21に続く、被処理水に無機系凝集剤が注入されてから、凝集フロックが成長するまでの過程を示す模式図。
【
図23】
図22に続く、被処理水に無機系凝集剤が注入されてから、凝集フロックが成長するまでの過程を示す模式図。
【
図24】比較例及び本実施形態に係る水処理装置について、1000m
3/日を処理するための撹拌動力を示す表。
【
図25】変形例に係る凝集造粒装置の撹拌機モジュールの撹拌翼及び回転軸を示す概略図。
【
図26】
図25の撹拌機モジュールの撹拌翼及び回転軸を示す概略的な斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る凝集造粒システム1を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、凝集造粒システム1は、水処理装置2と、水処理装置2に原水、すなわち被処理水Wを供給する送水ポンプ3とを有する。
【0013】
図1から
図3に示すように、本実施形態では、水処理装置2は、例えば円筒状などの筒状の配管10の内部に構成される配管型として形成されることが好適である。水処理装置2は、水処理装置2の大型化を抑制するため、できるだけ真っ直ぐに形成されることが好適である。本実施形態では、水処理装置2の配管10は、それぞれ円筒状で、4つなどの複数の直管11~14を順に繋いで形成される。直管11~14は、一例として、それぞれ、耐圧性の300Aのステンレス鋼を用いることができる。直管11~14の長さは、それぞれ適宜に設定される。
【0014】
水処理装置2は、凝集造粒装置5と、凝集造粒装置5の下流側に連結される固液分離装置6とを有する。凝集造粒装置5は、浄水場や産業排水を始めとするプラント、発電所等において、被処理水Wに含まれる濁質を、凝集および造粒する。本実施形態では、凝集造粒装置5は、原水に適宜の凝集剤(薬品)を付加して、それらの混合液である被処理水Wを撹拌し、被処理水W内に凝集物を造粒する。固液分離装置6は、凝集剤が注入された被処理水Wから凝集物を固液分離して、例えば、上方から一部の上澄み水を返送水(ブロー水)とし、下方から汚泥を取り出すとともに、配管10の終端である排出口10bから処理水Tを排出する。なお、返送水Rは、被処理水Wと混合され、送水ポンプ3により配管10から再び凝集造粒装置5内に入れられることで繰り返し処理される。
【0015】
本実施形態では、凝集造粒装置5は、例えば2つの直管(管路)11,12を有する。固液分離装置6は、例えば2つの直管(管路)13,14を有する。
【0016】
凝集造粒装置5の直管11,12は真っ直ぐに直列的に接続されることが好適である。固液分離装置6の直管13,14は真っ直ぐに直列的に接続されることが好適である。また、凝集造粒装置5の直管12と、固液分離装置6の直管13とは、真っ直ぐに直列的に接続されることが好適である。このとき、直管11~14の中心軸は、一致することが好適である。そして、配管10は、配管10の導入口10aと排出口10bとの間の直管11~14により、被処理水Wを処理する流路15を形成する。
【0017】
凝集造粒装置5は、直管11に被処理水Wを導入する導入配管16を有する。導入配管16は、直管11に対して例えば直接固定される。
【0018】
本実施形態では、凝集造粒装置5の前段(上流側)の導入配管16には、送水ポンプ3が接続される。送水ポンプ3は、被処理水Wを凝集造粒装置5の流路15内に適宜の圧力で導入する。
【0019】
なお、本実施形態では、水処理装置2において、被処理水Wを凝集造粒装置5に導入する側を上流側、固液分離装置6から被処理水Wを排出する側を下流側と称する。また、被処理水Wが配管11~14に順に流れる方向を流れ方向Lと称する。
【0020】
図2から
図4に示すように、凝集造粒装置5は、直管11を含む凝集造粒ユニット22と、配管12を含む接続ユニット24とを有する。本実施形態では、凝集造粒装置5は、例えば、ギヤ列26、及び、ギヤ列26を駆動するモータ28を有する。モータ28の駆動はコントローラ30により制御される。コントローラ30は、凝集造粒装置5又は水処理装置2が有していてもよく、適宜の位置にあるサーバーにあってもよい。このため、モータ28は、遠隔操作されることも好適である。
【0021】
なお、
図1に示すコントローラ30は、送水ポンプ3を制御することも好適である。また、コントローラ30は、後述するゲート弁71の上下の位置を制御することも好適である。
【0022】
図1から
図4に示すように、凝集造粒ユニット22は、配管部としての直管11,16と、撹拌機モジュール34と、撹拌板ユニット36とを有する。
【0023】
直管11は、凝集造粒装置5の主配管として用いられる。主配管11には、撹拌機モジュール34及び撹拌板ユニット36が挿入される。主配管11の全長は例えば1200mm程度で、内径は例えば300mm程度である。
【0024】
直管16は、主配管11に被処理水Wを導入する導入配管として用いられる。導入配管16は、被処理水Wを直管11~14に連続して形成する流路15に入れる導入口10aを有する。導入配管16の中心軸と、主配管11の中心軸とは直交するなど、交差することが好適である。導入配管16の中心軸と、主配管11の中心軸とはねじれの位置にあってもよい。
【0025】
主配管11は、上流側端部に径方向外方に突出するフランジ部11Aを有し、下流側端部に径方向外方に突出するフランジ部11Bを有する。主配管11のフランジ部11Aの近傍には、導入配管16が接続されている。導入配管16の内径は主配管11の内径よりも小さく、導入配管16の中心軸と主配管11の中心軸とは直交するなど、交差するように、主配管11に対して導入配管16が固定される。そして、導入配管16は主配管11に連通する。
【0026】
導入配管16には、第1のポート381が設けられる。第1のポート381は、例えば薬品注入管として形成される。第1のポート381を通して、導入配管16内には、例えばpH調整剤Maが注入される。導入配管16の中心軸と第1のポート381の中心軸とが直交するなど、交差するように、導入配管16に対して第1のポート381が固定される。導入配管16の中心軸と、第1のポート381の中心軸とはねじれの位置にあってもよい。
【0027】
主配管11のフランジ部11Aの近傍には、第2のポート382、第3のポート383、第4のポート384が設けられる。第2のポート382、第3のポート383、及び、第4のポート384は、例えば薬品注入管として形成される。なお、第2のポート382、第3のポート383及び第4のポート384は、主配管11のうち、上流側端部から、主配管11の全長の、一例であるが、1/6から1/3程度の位置に設けられることが好適である。第2のポート382、第3のポート383及び第4のポート384は、各凝集剤の注入後、必要な凝集反応時間(滞留時間)を確保できる位置に設けられる。
【0028】
主配管11内には、第2のポート382を通して、無機系凝集剤Mbが注入される。主配管11内には、第3のポート383を通して、カチオン系高分子凝集剤Mcが注入される。主配管11内には、第4のポート384を通して、アニオン系高分子凝集剤Mdが注入される。すなわち、主配管11内には、第2のポート382、第3のポート383、及び、第4のポート384を通して、異なる種類の凝集剤を段階的に注入可能である。
【0029】
なお、pH調整エリア41において注入されるpH調整剤Maは、混和エリア42で注入される無機系凝集剤Mbの種類に応じて適切に決定される。例えば、混和エリア42で、硫酸バンドおよびポリ塩化アルミニウムのように弱酸性領域や中性領域で使用される無機系凝集剤Mbが添加される場合には、pH調整エリア41では、例えば塩酸、硫酸、炭酸がpH調整剤として注入される。また、被処理水Wが、強酸性の場合は、苛性ソーダや重曹等がpH調整剤として注入することもある。混和エリア42で、硫酸第一鉄のようにアルカリ領域で使用される無機系凝集剤Mbが添加される場合には、pH調整エリア41では、苛性ソーダや重曹等がpH調整剤Maとして注入される。また、被処理水Wが、強アルカリ性の場合は、例えば塩酸、硫酸、炭酸がpH調整剤Maとして注入されることもある。
【0030】
無機系凝集剤Mbとしては、例えば、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、硫酸第一鉄、塩化第二鉄等が挙げられるが、これらに限定されない。硫酸バンドおよびポリ塩化アルミニウムは、酸性領域、或いは、中性領域で使用される。硫酸第一鉄は、アルカリ領域で使用される。塩化第二鉄は、酸性領域でもアルカリ領域でも使用される。
【0031】
本実施形態では、説明の簡単のため、第1のポート381、第2のポート382、第3のポート383及び第4のポート384が同じ径を有する、主配管11に対する連通部を有する場合を例にして説明する。そして、第2のポート382、第3のポート383及び第4のポート384のそれぞれの中心軸と主配管11の中心軸とが直交するなど、交差するように、主配管11に対して第2のポート382、第3のポート383及び第4のポート384が固定されることが好適である。
【0032】
第2のポート382の中心軸と、導入配管16の中心軸とが直交するなど、交差するように、第2のポート382が主配管11に固定されることが好適である。すなわち、導入配管16の中心軸と第2のポート382の中心軸とは、同軸上になく、例えば90°など、主配管11の中心軸に対して周方向にずらして配置されることが好適である。
【0033】
第2のポート382、第3のポート383及び第4のポート384のうち、主配管11との連通部は、主配管11の中心軸に平行又は略平行な流れ方向Lに沿って並べられることが好適である。
【0034】
第2のポート382の中心軸と第3のポート383の中心軸との間の距離、第3のポート383の中心軸と第4のポート384の中心軸との間の距離は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0035】
なお、接続ユニット24は、フランジ部12A,12Bを有する配管12を備える。主配管11のフランジ部11Bには、直管(接続配管)12のフランジ部12Aが連結される。接続ユニット24のフランジ部12Bの内側は、凝集造粒装置5の排出口として形成される。
【0036】
図4及び
図5に示すように、撹拌機モジュール34は、基体としての円盤(円盤状部材)341と、円盤341に支持される複数の撹拌機342a~342gとを有する。
【0037】
円盤341は、主配管11のフランジ部11Aに図示しないシールパッキンを介して固定される。円盤341と主配管11のフランジ部11Aとは、例えばボルト及びナットにより固定される。円盤341により、主配管11の上流側の開口は閉塞される。
【0038】
本実施形態では、例えば7つの撹拌機342a~342gが円盤341に対して回転可能に支持される。撹拌機342aは、円盤341の中心軸上、かつ、主配管11の中心軸上に配置されることが好適である。残りの6つの撹拌機342b~342gは、円盤341の中心を図心とする正六角形の頂点の位置に配置されることが好適である。
【0039】
各撹拌機342a~342gは、円盤341を貫通する回転軸344と、回転軸344に設けられる1又は複数の撹拌翼346とを有する。
【0040】
回転軸344は、例えば円盤341の中心位置、及び、円盤341の中心を図心とする正六角形の頂点の位置を貫通する。このため、本実施形態では、7つの回転軸344が円盤341を貫通する。なお、7つの回転軸344と円盤341の貫通孔との間には、図示しないOリングが配設され、円盤341に対して7つの回転軸344が回転可能でありながら、円盤341を通して流体が行き来することが防止されている。
なお、回転軸344の直径は、それぞれ例えば16mmである。
【0041】
回転軸344のうち、円盤341の中心を図心とする正六角形の頂点の位置に設けられる回転軸344は、円盤341の中心に対して周方向に隣接する回転軸344に対して回転方向が反対となる。円盤341の中心位置を貫通する回転軸344の回転方向は、適宜に設定可能である。
【0042】
7つの回転軸344には、
図1に示すギヤ列26が接続される。また、ギヤ列26には、モータ28が接続される。ギヤ列26は、モータ28の回転による駆動力を、各回転軸344に伝達する。このとき、ギヤ列26は、7つの回転軸344を所望の方向に回転させる。7つの回転軸344の回転速度は、互いに同じであることが好適である。
【0043】
なお、7つの回転軸344は、例えば1つのモータ28を用いてギヤ列26を介して所定の方向に回転される構造であってもよく、各回転軸344又は同じ回転方向に回転させる3つ又は4つの回転軸344ごとに、1つのモータ28を用いて回転される構造であってもよい。また、7つの回転軸344は、それぞれ別のモータ28を用いて、個別に回転される構造であってもよい。コントローラ30は、1又は複数のモータ28の駆動(回転)を制御可能である。
【0044】
図5及び
図6に示すように、本実施形態では、1つの回転軸344に対して複数の撹拌翼346が回転軸344の長手方向に沿って例えば所定間隔又は適宜の間隔に設けられる。複数の撹拌翼346は、1つの回転軸344に対して、流れ方向Lに沿う方向の領域(後述するエリア41~44)ごとに、異なる間隔に配置されることも好適である。
【0045】
なお、1つの回転軸344に対して1つ(一体)の撹拌翼346が設けられる場合、回転軸344の外周に例えば螺旋状に連続するように形成されることが好適である。
【0046】
本実施形態では、1つの回転軸344に対して例えば24個の撹拌翼346が固定される。
図7及び
図8に示すように、各撹拌翼346は、本実施形態では、回転軸344に対して固定される固定盤3461と、固定盤3461に設けられる例えば6枚の羽根(翼部)3462とを有する。各羽根3462は、例えばラシュトン翼(ディスクタービン翼)として形成される。各羽根3462は、回転軸344の中心軸に対して径方向に延びる矩形板状に形成される。隣接する羽根3462は、回転軸344の中心軸の周方向に例えば60°の間隔で配置される。各羽根3462の大きさ及び形状は同じであることが好適である。各撹拌翼346の直径(羽根3462の遠位端から回転軸344の中心を挟んで反対側の羽根3462の遠位端までの距離)は、例えば70(mm)となる。各撹拌翼346の直径は、主配管11の内径に対して適宜に小径で、被処理水Wに対して比較的強力な旋回流を発生させるため、例えば50(mm)から120(mm)程度であることが好適である。
なお、各撹拌翼346は、それぞれ、主配管(管路)11の内径の1/2以下の外径を有することが好適である。このため、主配管11内で流れ方向Lに直交する方向に、複数の撹拌翼346を配置しやすい。各撹拌翼346が主配管(管路)11の内径の1/2の外径を有する場合、流れ方向Lに直交する撹拌翼346の羽根3462同士が干渉しないように、回転角度をずらして配置することが好適である。
【0047】
図5及び
図6に示すように、上述した回転軸344の長手方向に24個並ぶ撹拌翼346の羽根3462は、回転軸344が予定する回転方向に応じて、長手方向に隣接する撹拌翼346の羽根3462に対して例えば30°ずつ所定方向にずれている。このため、各撹拌機342a~342gは、長手方向に24個並ぶ撹拌翼346の羽根3462が、隣り合う羽根3462同士で螺旋流れを発生している
以下、本実施形態では、撹拌翼346の羽根3462は、長手方向に隣接する撹拌翼346の羽根3462に対して例えば30°ずつ所定方向にずれている例について説明する。図示しないが、撹拌翼346の羽根3462は、回転軸344が予定する回転方向に応じて、長手方向に隣接する撹拌翼346の羽根3462に対して例えば10°ずつ所定方向にずれていることも好適である。この場合、各撹拌機342a~342gは、長手方向に24個並ぶ撹拌翼346の羽根3462が、回転軸344の中心軸の軸回りに螺旋状に並ぶように形成される。
【0048】
なお、正六角形の頂点の位置に周方向に隣接する撹拌機342b,342c同士の撹拌翼346、撹拌機342c,342d同士の撹拌翼346、撹拌機342d,342e同士の撹拌翼346、撹拌機342e,342f同士の撹拌翼346、撹拌機342f,342g同士の撹拌翼346は、螺旋の方向が異なっていることが好適である。例えば、円盤341側から下流側を見て、回転軸344が時計回りに回転する撹拌機342a,342b,342d,342fの場合、撹拌翼346の羽根3462による螺旋は例えば右ねじの螺旋と同様に形成される。円盤341側から下流側を見て、回転軸344が反時計回りに回転する撹拌機342c,342e,342gの場合、撹拌翼346の羽根3462による螺旋は例えば左ねじの螺旋と同様に形成される。
【0049】
図4、
図9、
図10に示すように、撹拌板ユニット36は、チャンネルアセンブリ361と、撹拌板モジュール(撹拌板)362とを有する。
【0050】
図9に示すように、チャンネルアセンブリ361は、円盤体363A,363Bと、7つのチャンネル364a~364gとを有する。
【0051】
円盤体363Aは主配管11内に挿入可能な外径に形成される。円盤体363Aの外縁と、主配管11の内周面との間は、例えばOリング等でシールされることが好適である。このため、円盤体363Aの外側を通して被処理水が行き来することが防止されている。そして、円盤体363Aの外側と、円盤体363Bとの間で、チャンネル364a~364gの外側に被処理水Wが滞留することが、防止される。
【0052】
円盤体363Bは、主配管11のフランジ部11Bに当接される大きさに形成される。円盤体363Bと主配管11のフランジ部11Bとの間は、シールパッキンを介して固定される。なお、主配管11のフランジ部11B、チャンネルアセンブリ361の円盤体363B及び直管12のフランジ部12Aは、例えばボルト及びナットにより固定される。このとき、円盤体363A,363Bの中心軸は、主配管11の中心軸に一致する。
【0053】
各チャンネル364a~364gは、例えば円筒として形成される。各チャンネル364a~364gの大きさ及び長さは同じであることが好適である。チャンネル364a~364gは、撹拌機342a~342gの下流端側の外側を覆う位置に配置される。チャンネル364aの中心軸は、主配管11の中心軸上に配置される。チャンネル364b~364gは、チャンネル364aの外周に配置される。チャンネル364b~364gは、主配管11の中心を図心とする正六角形の頂点を中心とし、その中心が撹拌機342b~342gの回転軸344の中心軸上に配置される。
【0054】
なお、チャンネル364a~364gは、チャンネル364aとチャンネル364b~364gとの間、チャンネル364b,364c間、チャンネル364c,364d間、チャンネル364d,364e間、チャンネル364e,364f間、チャンネル364f,364g間、チャンネル364g,364b間が接するように配置されることが好適である。
各チャンネル364a~364gの内径は、撹拌翼346の直径(例えば70(mm))よりも大きく、例えば90(mm)である。
【0055】
円盤体363Aは、円盤体363Aを上流側から下流側に向かって見たとき、円盤体363Aの外縁の内側に7つのチャンネル364a~364gの外縁が入る。また、各チャンネル364a~364gの上流側開口は、円盤体363Aに形成される。各チャンネル364a~364gの下流側開口は、円盤体363Bに形成される。
【0056】
図10に示すように、撹拌板モジュール362は、7つのチャンネル364a~364gの内壁面にそれぞれ長手方向に沿って長く形成される、7つのアセンブリ体362a~362gを有する。
【0057】
各アセンブリ体362a~362gでは、各チャンネル364a~364gの長手方向に平行な複数の撹拌板(ロッド状部材)3621が各チャンネル364a~364gの内壁に沿って周方向に並べられる。周方向に隣接する撹拌板3621同士は、各チャンネル364a~364gの中心軸に対して、周方向に15°から90°の範囲など、周方向に適宜の間隔に形成される。本実施形態では、18個の撹拌板3621が、回転軸344の中心軸の周方向に20°ごとに配置されている。
各撹拌板3621は、例えば主配管11の中心軸に平行に延びていることが好適である。このため、各アセンブリ体362a~362gは、複数の撹拌板3621により、周方向に離間する略管状体として骨組み構造に組まれて形成される。複数の撹拌板3621は、例えば複数の円環体3622の内周面に固定されている。
【0058】
各アセンブリ体362a~362gの内径は、撹拌翼346の直径よりも大きい。各アセンブリ体362a~362gの撹拌板3621は、一例として、周方向の厚さ1.5(mm)、チャンネル364a~364gの内周面に対する突出量(高さ)10(mm)、長さ1200(mm)に形成される。
【0059】
なお、複数の撹拌板3621による略管状の各アセンブリ体362a~362gの内径は、各撹拌機342a~342gの撹拌翼346が回転するときに当接しない位置及び大きさに形成されている。複数の撹拌板3621の断面形状は、例えば矩形状など、適宜の形状に形成される。
【0060】
撹拌板ユニット36は、各チャンネル364a~364g内にそれぞれ1つの対応する撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gが挿入されて固定される。撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gの撹拌板3621の上流側端部は、円盤体363Aよりも上流側に突出して配置される。すなわち、撹拌板モジュール362の撹拌板3621の上流側端部及び円環体3622は、7つのチャンネル364a~364gが存在していない部分にも配置される。撹拌板モジュール362の撹拌板3621の上流側端部は、撹拌機モジュール34の円盤341に近接又は当接されることが好適である。撹拌板モジュール362の撹拌板3621の上流側端部は、pH調整エリア41又は混和エリア42に配置されていることが好適である。
【0061】
なお、各撹拌板3621の下流側端部は、チャンネル364a~364gの下流側端部と例えば面一に配置される。各撹拌板3621の下流側端部がチャンネル364a~364gの下流側端部に対して上流側の位置に配置されてもよく、下流側の位置に配置されてもよい。後者の場合、各撹拌板3621の下流側端部は、円盤体363Bの下流側の面(直管12のフランジ部12Aとの接触面)よりも上流側に配置されることが好適である。
【0062】
主配管11に対して、上述したように形成された撹拌機モジュール34が上流側から挿入されて固定され、このように形成された撹拌板ユニット36が下流側から挿入されて固定される。
【0063】
なお、第4のポート384の位置は、撹拌板ユニット36の円盤体363Aの位置よりも上流側にある。
【0064】
図11は、凝集造粒装置5の主配管11内の概略的な断面を示す。主配管11内のうち、第4のポート384と主配管11の下流端の開口との間には、7つの撹拌機342a~342gが、対応するチャンネル364a~364g及び対応する撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gの内側に配置される。
【0065】
撹拌板モジュール362は、複数の真っ直ぐの撹拌板(ロッド状部材)3621を周方向に並べて円筒状に形成する例について説明したが、撹拌板(ロッド状部材)3621は例えば曲がった状態に形成されることも好適である。撹拌板モジュール362の各アセンブリ体362a~362gが複数の撹拌板3621で筒状に形成される場合、撹拌機342a~342gの回転方向に合わせて複数の撹拌板3621が螺旋状に形成されていてもよい。この場合も、撹拌板モジュール362の各アセンブリ体362a~362gは、撹拌機342a~342gの外周に円筒状に配置されることが好適である。
【0066】
図11中、撹拌板3621は、断面が略矩形状に形成される例を示したが、撹拌翼346の羽根3462のように、平板状に形成されることが好適である。
【0067】
図1に示すように、この状態において、導入配管16及び主配管11内には、模式的に、第1のポート381と第2のポート382との間に被処理水WのpHを調整するpH調整エリア41が形成される。主配管11内には、第2のポート382と第3のポート383との間に、pHを調整した被処理水Wに無機系凝集剤Mbを混和させる混和エリア42が形成される。主配管11内には、第3のポート383と第4のポート384との間に、無機系凝集剤Mbが混和された被処理水Wに対してカチオン系高分子凝集剤Mcを混和させ、被処理水Wに含まれる濁質の凝集を促進する凝集エリア43が形成される。主配管11内には、第4のポート384と主配管11の下流端の開口との間に、被処理水Wに含まれる濁質が凝集された被処理水Wに対してアニオン系高分子凝集剤Mdを混和させ、被処理水Wに含まれる凝集物を粒状にしながら粗大化、高密度化する造粒エリア44が形成される。
【0068】
このため、凝集造粒ユニット22は、pH調整エリア41、混和エリア42、凝集エリア43、及び、造粒エリア44を上流側から下流側に向かって順に有する。すなわち、凝集造粒ユニット22は、主配管11の上流側端部及びその近傍から下流側の位置において、被処理水Wの処理に関するフェーズが異なる4つのエリアを形成する。
【0069】
pH調整エリア41、混和エリア42、凝集エリア43、造粒エリア44の上流側の部分の流路15は、チャンネル(隔壁)364a~364gにより主配管11の中心軸に対して交差する方向に区分けされた流路ではなく、主配管11内を1つの連続する流路として形成される。造粒エリア44の下流側の部分の流路15は、チャンネル(隔壁)364a~364gにより主配管11の中心軸に対して交差する方向に区分けされた7つの流路として形成される。
【0070】
固液分離装置6は、直管13を有するゲート弁ユニット61と、直管14を有する固液分離ユニット62とを備える。
【0071】
直管13のフランジ部13Aは、接続ユニット24の直管12のフランジ部12Bにシールパッキンを介して連結される。なお、直管12のフランジ部12B、及び直管13のフランジ部13Aは、例えばボルト及びナットにより固定される。
【0072】
図12から
図14に示すように、ゲート弁ユニット61は、直管13のフランジ部13A,13B間の途中に設けられるゲート弁71と、ゲート弁71の下流側で、直管13の内側に配設された流入口調整モジュール72とを有する。
【0073】
ゲート弁71は、直管13のフランジ部13A,13B間の途中で、直管13の中心軸を横切るように上下に移動可能である。ゲート弁71は、流入口調整モジュール72の上流側端面に対して摺動可能である。ゲート弁71は、直管13のフランジ部13A,13B間の途中から被処理水Wが漏れないようにシール構造(詳細は図示せず)を有する。ゲート弁71の下端は、略円弧状で、直管13の内周面に沿う形状に形成される。
【0074】
流入口調整モジュール72は、配管10の周方向に、順に、流路72aと、流路72b1,72b2と、流路72c1,72c2と、流路72d1,72d2と、流路72e1,72e2と、流路72fとを有する。流路72aは、例えば最も下方の位置に形成される。流路72aは、他の流路72b1,72b2,72c1,72c2,72d1,72d2,72e1,72e2,72fに比べて大きく形成されていることが好適である。流路72fは、例えば最も上方の位置に形成される。これら流路72a,72b1,72b2,72c1,72c2,72d1,72d2,72e1,72e2,72fは、配管10の中心軸に沿い、配管10の上下を横切る面に対して対称に形成される。各流路72a,72b1,72b2,72c1,72c2,72d1,72d2,72e1,72e2,72fは、流入口調整モジュール72の上流端から下流端まで流れ方向Lに沿って連続する。これら流路72a,72b1,72b2,72c1,72c2,72d1,72d2,72e1,72e2,72fの上流側開口は、ゲート弁71により開閉可能である。これら流路72a,72b1,72b2,72c1,72c2,72d1,72d2,72e1,72e2,72fの下流側開口は、固液分離ユニット62の後述する固液分離モジュール81の流入シェル812の後述の対応するシェル(流路)81a,81b1,81b2,81c1,81c2,81d1,81d2,81e1,81e2,81fに接続されている。
【0075】
ゲート弁71を例えば上方及び下方に動かすと、流入口調整モジュール72の開口量、すなわち、直管13の内部の流路断面積の大きさが調整される。
図13は、ゲート弁71の開度が16%である状態の概略図である。
図14は、ゲート弁71の開度が50%である状態の概略図である。したがって、ゲート弁ユニット61は、固形物を凝集し、造粒された凝集物が含まれる被処理水Wが流れる流路を選択可能である。この場合、流入口調整モジュール72は、流路72a、流路72b1,72b2、流路72c1,72c2、流路72d1,72d2、流路72e1,72e2、流路72fの順に選択される。このため、ゲート弁ユニット61の内部に挿入された流入口調整モジュール72は、ゲート弁71の開度によって、固液分離モジュール81への被処理水Wの流入量を調整する。
【0076】
図15に示すように、固液分離ユニット62は、直管14の内側に配設された固液分離モジュール81と、汚泥回収管82と、ブロー配管83を有する。
【0077】
直管14のフランジ部14Bは、本実施形態では解放されている。直管14のフランジ部14Bの内側には、排出口10bが形成される。
【0078】
固液分離モジュール81は、複数の固液分離機(サイクロンアセンブリ)811と、流入シェル812と、処理水シェル813と、汚泥回収シェル814と、フランジ部815を備える。
【0079】
固液分離モジュール81は略円筒又は円柱状に形成され、フランジ部815は固液分離モジュール81の上流端に形成される。直管13のフランジ部13Bと直管14のフランジ部14Aとの間には、固液分離モジュール81のフランジ部815が挟まれる。直管13のフランジ部13Bと固液分離モジュール81のフランジ部815との間、固液分離モジュール81のフランジ部815と直管14のフランジ部14Aとの間は、それぞれ、シールパッキンを介して連結される。直管13のフランジ部13B、固液分離モジュール81のフランジ部815、直管14のフランジ部14Aは、例えばボルト及びナットにより固定される。
【0080】
また、固液分離モジュール81の流入シェル812は、複数の固液分離機811の後述する入口管86aと共通して空間連通する。固液分離モジュール81の処理水シェル813は、処理水シェル開口部813aにて、複数の固液分離機811のすべての排出口10bと共通して空間連通する。固液分離モジュール81の汚泥回収シェル814は、複数の固液分離機811のすべての後述する汚泥排出管86cと共通して空間連通する。
【0081】
本実施形態では、固液分離モジュール81は、流れ方向Lに5つの固液分離機811が並べられる。
図16及び
図17に示す例では、流れ方向Lに3つの固液分離機811が並べられる。これらは何れも一例であり、並列配置される固液分離機811の数に限定はない。
【0082】
図15に示すように、各固液分離機811は、例えば略コーン形状の複数のサイクロン(遠心分離機)85を有する。複数のサイクロン85は、直管14の中心軸に対して周方向に並べられている。各サイクロン85の中心軸は、直管14の中心軸に対して径方向に延びる。
【0083】
サイクロン85は、直管14の中心軸側の中空円錐部85aと、直管14の中心軸から離間する円筒部85bとが一体化又は接合されている。
【0084】
サイクロン85は、円筒部85bに接続され、造粒エリア44から送液された凝集物gを含む被処理水Wを、円筒部85bの内壁の接線方向から、サイクロン85内に流入させるための入口管86aを備えている。サイクロン85は、円筒部85bを閉塞する閉塞面中心に接続され、サイクロン85による固液分離作用によって、凝集物gを分離された被処理水Wである処理水Tを、接線方向と直交する方向(円筒部85bの軸方向)へ、サイクロン85から排出するための出口管86bを備えている。サイクロン85は、中空円錐部85aの先端に設けられ、サイクロン85による固液分離作用によって、凝集物gを含む被処理水Wから分離された凝集物gを含む汚泥Sを、サイクロン85から排出するための汚泥排出管86cを備えている。なお、
図15では、複数のサイクロン85の汚泥排出管86cは直管14の中心軸に対して等距離の位置に配置されている。
【0085】
円筒部85bの内径サイズは、例えば20(mm)以上で、30(mm)であることがより好ましい。
【0086】
サイクロン85では、円筒部85bの内径、すなわち、中空円錐部85aの最大内径が小さくなるほど旋回力が大きくなり固液分離性能が向上する。一方、各サイクロン85の入口管86aおよび汚泥排出管86cの内径は、造粒エリア44から送液される被処理水Wに含まれる凝集物のサイズより大きくする必要ある。造粒エリア44から送液される被処理水Wに含まれる凝集物のサイズは、例えば数十(μm)~数(mm)である。このため、各サイクロン85の入口管86aおよび汚泥排出管86cの内径をそれ以上のサイズにする必要がある。そのため、円筒部85bの内径サイズは、最低でも20(mm)必要となり、30(mm)であることが好ましい。
【0087】
図15及び
図18に示すように、固液分離モジュール81の流入シェル812は、流れ方向Lに壁により仕切られている。流入シェル812は、直管14の周方向に、順に、シェル(流路)81a,81b1,81b2,81c1,81c2,81d1,81d2,81e1,81e2,81fを有する。なお、シェル81a,81b1,81b2,81c1,81c2,81d1,81d2,81e1,81e2,81fは、ゲート弁ユニット61の流入口調整モジュール72の流路72a,72b1,72b2,72c1,72c2,72d1,72d2,72e1,72e2,72fに対応する流路として形成される。
【0088】
本実施形態では、流入口調整モジュール72の流路72aは、固液分離モジュール81の下側手前の固液分離機811の4つのサイクロン85、及び、奥行き(流れ方向L)に沿って5段分の固液分離機の4つのサイクロン85への流入シェル81aと連通する。すなわち、流入口調整モジュール72の流路72aは、20個(4×5段)のサイクロン85と連通する。流路72b1,72b2は、流入シェル81aの周方向の両脇の手前の固液分離機811の2つのサイクロン85、奥行き5段分の流入シェル81b1,81b2に連通する。すなわち、流入口調整モジュール72の流路72b1,72b2は、10個(2×5段)のサイクロン85と連通する。流路72c1,72c2は、流入シェル81b1,81b2の周方向の外側の固液分離機811の2つのサイクロン85、奥行き5段分の流入シェル81c1,81c2に連通する。すなわち、流入口調整モジュール72の流路72c1,72c2は、10個(2×5段)のサイクロン85と連通する。流路72d1,72d2は、流入シェル81c1,81c2の周方向の外側の固液分離機811の2つのサイクロン85、奥行き5段分の流入シェル81d1,81d2に連通する。すなわち、流入口調整モジュール72の流路72d1,72d2は、10個(2×5段)のサイクロン85と連通する。流路72e1,72e2は、流入シェル81d1,81d2の周方向の外側の固液分離機811の2つのサイクロン85、奥行き5段分の流入シェル81e1,81e2に連通する。すなわち、流入口調整モジュール72の流路72e1,72e2は、10個(2×5段)のサイクロン85と連通する。流路72fは、固液分離モジュール81の上側手前の固液分離機811の4つのサイクロン85、奥行き5段分の流入シェル81fに連通する。すなわち、流入口調整モジュール72の流路72fは、20個(4×5段)のサイクロン85と連通する。
【0089】
処理水シェル813は、処理水シェル開口部813aにおいて、固液分離エリア92の下流側と空間連通する。
【0090】
汚泥回収シェル814は胴形状を有する。汚泥回収シェル814には、胴の周囲を360°周回するように、複数のサイクロン85が、何れも汚泥排出管86cを汚泥回収シェル814側に向けて配置されている。
【0091】
汚泥回収シェル814の下流端近傍には、サイクロン85によって周回されていない領域814a(
図16及び
図17参照)が存在する。この領域814aには、入口管86aと反対側でサイクロン円錐部の先端、サイクロンの中心軸方向に延伸するように、汚泥排出管86cから、汚泥回収シェル814の中心軸に向かって排出された凝集物gのスラッジである汚泥Sを回収するための汚泥回収管82が接続されている。即ち、この領域814aには、固液分離モジュール81のサイクロン85が装填されていない汚泥回収シェル814の空間(下流側)にて、重力により沈降したスラッジ高濃度排水のみを回収するための汚泥回収管82が、接続されている。
【0092】
さらに固液分離モジュール81の汚泥回収シェル814には、ブロー配管接続部816bを介してブロー配管83が接続されている。ブロー配管83は、汚泥排出管86cから、凝集物gと同伴して排出された被処理水Wの上澄み液を、返送水(ブロー水)Rとして、導入口10a側へ戻すための配管である。
【0093】
図1に示すように、配管10内は、導入口10a側から排出口10b側に向かって順に、流路15内において、pH調整エリア41、混和エリア42、凝集エリア43、造粒エリア44が連続する。そして、造粒エリア44の後段、即ち、下流側に固液分離のための、固液分離装置6にて、流入口調整エリア91、固液分離エリア92が連続する。
【0094】
次に、以上のような実施形態の凝集造粒システム1を用いた水処理の一連の流れの一例について説明する。
【0095】
図19は、実施形態の水処理装置2の凝集造粒装置5及び固液分離装置6の動作例を示すフローチャートである。
【0096】
浄水場や産業排水を始めとするプラント、発電所等から排出された被処理水Wは、送水ポンプ3にて加圧されて配管10の導入口10aから凝集造粒装置5の流路15に導入される(ステップS1)。このため、水処理装置2のコントローラ30は、送水ポンプ3により、導入配管16の導入口10aを通して主配管11内の流路15に被処理水Wを導入するとともに、モータ28を回転させる。複数の撹拌機342a~342gは、駆動力の入力によりその軸回りに回転する。このため、ギヤ列26を介して、撹拌機342a,342b,342d,342fの回転軸344が主配管11の上流側からみて、例えば時計回りに回転するとともに、撹拌機342c,342e,342gの回転軸344が主配管11の上流側からみて、反時計回りに回転する。撹拌機342a~342gは、凝集造粒ユニット22の主配管11内の被処理水Wを撹拌する。被処理水Wは、撹拌機342a~342gによって主配管11内で撹拌されながら、配管10内の流路15を上流側から下流側へ螺旋状に流れるように送液される。
【0097】
凝集造粒装置5は、導入配管16を通して主配管11内の流路15に被処理水Wを導入する際、導入配管16の第1のポート381を通して被処理水WにpH調整剤Maを注入する(ステップS2)。
【0098】
被処理水Wは、撹拌機342a~342gの回転に応じて撹拌される(ステップS3)。そして、pHが注入された被処理水Wは、主配管11内の流路15を上流側(第1のポート381側)から下流側(第2のポート382側)のpH調整エリア41に送られる。このため、被処理水WのpHがpH調整エリア41で調整される。
【0099】
凝集造粒装置5は、pHが調整された被処理水Wに対して、主配管11の第2のポート382を通して被処理水Wに無機系凝集剤Mbを注入する(ステップS4)。
【0100】
被処理水Wは、撹拌機342a~342gの回転に応じて撹拌される(ステップS5)。そして、pHが調整され、無機系凝集剤Mbが注入されて撹拌された被処理水Wは、主配管11内の流路15を上流側(第2のポート382側)から下流側(第3のポート383側)の混和エリア42に送られる。
【0101】
凝集造粒装置5は、pHが調整され、無機系凝集剤Mbが注入されて撹拌された被処理水Wに対して、主配管11の第3のポート383を通して被処理水Wにカチオン系高分子凝集剤Mcを注入する(ステップS6)。
【0102】
被処理水Wは、撹拌機342a~342gの回転に応じて撹拌される(ステップS7)。被処理水Wは、撹拌機342a~342gの回転に応じて撹拌される。そして、pHが調整され、無機系凝集剤Mb、カチオン系高分子凝集剤Mcが注入されて撹拌された被処理水Wは、主配管11内の流路15を上流側(第3のポート383側)から下流側(第4のポート384側)の凝集エリア43に送られる。すなわち、凝集物gを含む被処理水Wが、混和エリア42の下流側の凝集エリア43へ送られる。凝集エリア43では、被処理水Wにおける凝集物gが大きく成長する。
【0103】
凝集造粒装置5は、pHが調整され、無機系凝集剤Mb、カチオン系高分子凝集剤Mcが注入されて撹拌された被処理水Wに対して、主配管11の第4のポート384を通して被処理水Wにアニオン系高分子凝集剤Mdを注入する(ステップS8)。
【0104】
被処理水Wは、撹拌機342a~342gの回転に応じて撹拌される(ステップS9)。被処理水Wは、撹拌機342a~342gの回転に応じて撹拌される。そして、pHが調整され、無機系凝集剤Mb、カチオン系高分子凝集剤Mc、アニオン系高分子凝集剤Mdが注入されて撹拌された被処理水Wは、主配管11内の流路15を上流側(第4のポート384側)から下流側(チャンネルアセンブリ361側)の造粒エリア44へ送られる。造粒エリア44では、被処理水Wにおける凝集物gがさらに大きく成長し、造粒される。
【0105】
このように、凝集造粒装置5は、主配管11において、流路15を流れ方向Lに沿って流れる被処理水Wに対し、無機系凝集剤Mb、カチオン系高分子凝集剤Mc、およびアニオン系高分子凝集剤Mdを順に撹拌しながら注入する。
【0106】
ここで、
図20から
図23は、被処理水Wに無機系凝集剤Mbが注入されてから、凝集物(凝集フロック)gが成長するまでの過程を示す模式図である。
図20は、被処理水Wに無機系凝集剤Mbが注入された瞬間における濁質eとの関係を示す模式図である。
【0107】
混和エリア42では、無機系凝集剤Mbによって被処理水W中の固形物である濁質eの表面電位を中和し、凝集し易くなった濁質e同士が、撹拌機342a~342gによる強い撹拌力により衝突する。
図20及び
図21に示すように、凝集物fが形成され、その後、
図22に示すように、凝集物fの表面が球面化する。さらに、
図23に示すように、凝集物fの粒径分布が均一化する。その結果、最小限の大きさで、粒度分布も狭く、高密度かつ高強度の微細な凝集物gが得られる。
【0108】
円盤体363Aよりも上流側で、撹拌機モジュール34の複数の撹拌機342a~342gのうちの少なくとも1つの撹拌機の外周には、流路15の流れ方向Lと平行に、撹拌板ユニット36の撹拌板モジュール362の長尺の1又は複数のアセンブリ体362a~362gが例えば円筒状に設けられる。各撹拌機342a~342gの回転により発生した旋回流は、撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gに当たる。このため、撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gの表面には渦が発生する。その渦は撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gと間の流速差からせん断流れとなり、被処理水Wの凝集、造粒反応速度を向上させることができる。このとき、撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gは撹拌機342a~342gの外周側を囲うだけである。このため、撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gは、被処理水Wの凝集、造粒反応速度をさせながら、凝集造粒装置5の大型化を抑制することができる。
【0109】
このように、被処理水Wは、主配管11内の流路15で撹拌されながら、pH調整エリア41、混和エリア42、凝集エリア43、造粒エリア44の順に連続的に移動する。被処理水Wに含まれる凝集物は、凝集剤Mb,Mc,Mdの注入及び撹拌により、造粒エリア44で粒状にされながら粗大化し、高密度化する。
【0110】
撹拌機モジュール34による撹拌力について説明する。撹拌力は、下記(1)式におけるG(1/S)として表される。
【0111】
G=(P/(V・μ))1/2・・・(1)
ここで、Pは凝集造粒装置5に投入されたエネルギー(W)、VはpH調整エリア41、混和エリア42、凝集エリア43、造粒エリア44の容量(m3)、μは水の粘性係数(kg/m・s)である。
【0112】
撹拌機モジュール34は、例えば、5000(1/S)≦G≦25000(1/S)の範囲の撹拌力Gで、pH調整剤Ma、無機系凝集剤Mb、カチオン系高分子凝集剤Mc、アニオン系高分子凝集剤Mdが順に注入された被処理水Wを撹拌する。pH調整剤Ma、無機系凝集剤Mb、カチオン系高分子凝集剤Mc、アニオン系高分子凝集剤Mdが注入された被処理水Wは、例えば、0.5秒~5秒間、5000(1/S)≦G≦25000(1/S)の範囲の撹拌力Gで撹拌される。
また、Vを混和エリア42のみの容量(m3)とすると、混和エリア42では、750(1/S)≦G≦5500(1/S)の撹拌力Gで無機系凝集剤Mbが注入された被処理水Wを撹拌する。これらの撹拌力Gを実現するために、凝集造粒装置5は、例えば、撹拌機342a~342gを、500(rpm)以上で15000(rpm)以下の、例えば1000(rpm)の回転速度で回転させる。これによって、無機系凝集剤Mbが注入された被処理水Wは、混和エリア42を通過する間、一般に0.1秒~1秒間、750(1/S)≦G≦5500(1/S)の範囲の撹拌力Gで撹拌される。
【0113】
このように混和エリア42にて、500(1/S)≦G≦5500(1/S)の撹拌力Gで、0.1秒~1秒間撹拌すれば、結合力が強く、比重が例えば1.1~1.5の高密度な凝集物fが生成される。さらに、凝集物fの表面を球面化するとともに、粒度分布を狭くすることによって、凝集物fから、微細かつ高密度な凝集物gが形成される。
【0114】
なお、本実施形態の場合、主配管11の内側に例えば7つなど複数の撹拌機342a~342gが収容されて、複数の撹拌機342a~342gにて撹拌する。また、造粒エリア44において、各撹拌機342a~342gの外周に円筒状に配置した撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gと、それら撹拌機342a~342g及び撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gの一部が、円筒状のチャンネル364a~364gの内側に設置されている。これらにより、各撹拌機342a~342gに対し、より小さい撹拌動力で大きな撹拌力が得られるとともに、凝集速度に寄与する流れのせん断速度が大きくなる。
【0115】
なお、円盤体363Aよりも下流側で、凝集造粒装置5内の後半の造粒エリア44は、第1から第7までの7つのアセンブリ体362a~362gに加えて、チャンネル364a~364gを有する。
【0116】
撹拌機342a~342gの外周側に円筒状に配置された撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gの更に外周には、円筒状のチャンネル364a~364gにて壁が設けられている。凝集造粒装置5は、撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gを用いるだけでなく、チャンネル364a~364gを用い、アセンブリ体362a~362gの表面に渦を発生させるとともに、そのチャンネル364a~364gの壁面に渦を発生させる。このため、凝集造粒装置5は、被処理水Wの凝集、造粒反応速度をさらに向上させることができる。このとき、チャンネル364a~364gは撹拌機342a~342g、撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gの外周側を囲うだけであるので、被処理水Wの凝集、造粒反応速度をさせながら、凝集造粒装置5の大型化を抑制することができる。
【0117】
このように造粒された凝集物gを含む被処理水Wは、凝集造粒ユニット22から接続ユニット24に排出される。接続ユニット24は、凝集造粒ユニット22で凝集し、造粒した濁質eを含む被処理水Wを固液分離装置6に排出する。このとき、接続ユニット24は、凝集造粒ユニット22の下流端でチャンネルアセンブリ361により7つに分離された流路15を1つの流路15にして、被処理水Wを固液分離装置6に排出する。
【0118】
このため、被処理水Wは、凝集造粒装置5の下流側の固液分離装置6のゲート弁ユニット61内の流入口調整エリア91へ送液される(ステップS10)。
【0119】
ゲート弁ユニット61は、ゲート弁71の開閉度を調整する。このため、ゲート弁ユニット61のゲート弁71の開閉度を調整し、被処理水Wが流入する流入シェル812を選択する。このため、被処理水Wの流量変動毎に被処理水Wに含まれる凝集物gを固液分離するサイクロン85の本数を調整する。
【0120】
ゲート弁ユニット61のゲート弁71の開閉度を調整し、流入口調整エリア91から固液分離エリア92に凝集物gを含む被処理水Wが到達する。このため、凝集物gを含む被処理水Wは、固液分離モジュール81内に配管10の中心軸に沿う流れ方向Lの軸方向に並列接続された複数の固液分離機811へ送られる。これら固液分離機811では、コーン形状のサイクロン85の遠心力による固液分離作用によって、被処理水Wから凝集物gが分離される(ステップS11)。
【0121】
なお、本実施形態の場合、直管13の下方の流路72aのみ、直管13の中心軸に対する他の流路72b1,72b2,72c1,72c2,72d1,72d2,72e1,72e2,72fに対して外縁の位置(径方向の幅)を直管13の内周面側(外周側(下側))に広げている。このため、
図13に示す、ゲート弁71の開度16%のときに流路72b1,72b2,72c1,72c2,72d1,72d2,72e1,72e2,72fに被処理水Wが流入することなく、流路72aのみに流入する。このとき、流路72aに連通する、固液分離モジュール81の流入シェル812のシェル81aにのみ被処理水Wが流入する。
【0122】
また、
図14に示す、ゲート弁71の開度50%のときに流路72a,72b1,72b2,72c1,72c2に被処理水Wが流入し、流路72d1,72d2,72e1,72e2,72fは遮蔽される。このとき、流路72a,72b1,72b2,72c1,72c2に連通する、固液分離モジュール81の流入シェル812のシェル81a,81b1,81b2,81c1,81c2にのみ被処理水Wが流入する。
【0123】
流入シェル812、処理水シェル813、および汚泥回収シェル814は、複数のサイクロン85によって隔てられている。これによって、流入シェル812、処理水シェル813、および汚泥回収シェル814のそれぞれの内部における圧力が均一になる。
【0124】
凝集物gが分離された被処理水Wは、処理された処理水Tとして、サイクロン85から排出口10bにて排出される。処理水Tは、処理水シェル813で合流してから固液分離モジュール81から流れ方向Lに向かって固液分離装置6(直管14)内に移動し、固液分離装置6の排出口10bから排出される(ステップS12)。
【0125】
一方、被処理水Wから分離された凝集物gを含む汚泥Sは、サイクロン85から汚泥排出管86cを介して汚泥回収シェル814に集められ、汚泥回収シェル814で凝集物gを多く含む汚泥S(沈殿物)と上澄み水Rに固液分離する(ステップS13)。汚泥回収シェル814で固液分離された汚泥S(沈殿物)は、汚泥回収管接続部816aを通して汚泥回収管82から固液分離装置6の外部へ排出される(ステップS14)。上澄み水は、ブロー水(返送水R)として、ブロー配管接続部816bを通してブロー配管83から固液分離装置6の外部へ排出される。そして、ブロー水(返送水)Rは、送水ポンプ3の入口側の被処理水Wに戻される(ステップS15)。
【0126】
図16及び
図17は、流入シェル812、処理水シェル813、および汚泥回収シェル814における圧力分布の解析結果の一例を示す図である。
図16及び
図17より、流入シェル812、処理水シェル813、および汚泥回収シェル814において、各シェル内の圧力が均一になり、その結果、各サイクロン85の入口管86a、出口管86b、および汚泥排出管86cの圧力差が均一化され、並列配置された各サイクロン85における被処理水W均等分配(すなわち、各サイクロン85への被処理水Wの流入量の均一化、分離性能の均一化)を実現する。
【0127】
凝集造粒システム1は、このようにして、凝集造粒装置5で、被処理水Wを撹拌しながら、被処理水WのpHを調整した後、被処理水Wに含まれる濁質を凝集して凝集物gを造粒し、造粒された凝集物gを含む被処理水Wを固液分離装置6に排出することができる。また、凝集造粒システム1は、凝集造粒装置5の下流側の固液分離装置6で配管10から処理水、汚泥、返送水を分離して排出することができる。このため、水処理装置2によれば、凝集造粒装置5によって、被処理水Wに含まれる濁質eを、大きな凝集物gに成長させた後、固液分離装置6によって、大きな凝集物gを含む被処理水Wに対して、遠心分離を適用することによって、被処理水Wから凝集物gを分離するとともに、凝集物gが分離された被処理水Wを処理水Tとして回収することができる。
【0128】
被処理水Wに含まれる大きな凝集物gは、結合力が強く高密度であるので、遠心分離を行っても、遠心力で破壊され難い。したがって、実施形態の水処理装置2では、凝集槽および沈殿槽が不要となる。これによって、凝集槽および沈殿槽の設置に要していた面積を削減できるので、水処理装置2全体の小型化を達成することができる。
【0129】
本実施形態の場合、被処理水Wの処理量を1000(m3/日)として、ステンレス鋼材の300Aサイズで、長さが1200(mm)の主配管11を用い、主配管11内に7つ(複数)の回転軸344の撹拌機342a~342gを準備した。各撹拌機342a~342gの外径は70(mm)である。一般に、配管10内を流れる流体の流速は最大2(m/s)で設計されており、この最大流速で被処理水Wが流れる場合、0.1秒~1秒間、撹拌するためには、流れ方向Lに、pH調整エリア41、混和エリア42、凝集エリア43、造粒エリア44を合わせた長さが0.2(m)~2(m)の長さ確保する必要がある。本実施形態では、長さが1200(mm)の主配管11を用いた。この場合、各撹拌機342a~342gを動かしながら凝集剤注入部としてのポート382,383,384から凝集剤Mb,Mc,Mdを順に注入し、被処理水Wを凝集、造粒し、固液分離可能な状態まで到達し得るように撹拌させるための駆動力は、例えばトータルで6(kW)であった。
なお、撹拌機342a~342gに投入されるエネルギーP(W)は撹拌機342a~342gの回転軸344を回転させるモータ28の電力計等によって確認することができる。
一例として、被処理水Wの処理量を1000(m3/日)として、本実施形態とは異なる、ステンレス鋼材の250Aサイズの配管(外径200(mm))、及び、配管の内側には、配管の中心軸上に1つ(複数でない)の回転軸の撹拌機を準備した。この場合の撹拌機の撹拌翼は、実施形態に係る撹拌機342a~342gの撹拌翼346に比べて外径が数倍程度大きい。この撹拌機の撹拌翼は、直径が200(mm)である。この場合の配管の長さは例えば1200(mm)である。この場合、撹拌機を動かしながら凝集剤注入部から凝集剤を注入し、被処理水Wを凝集、造粒し、固液分離可能な状態まで到達し得るように撹拌させるための駆動力は、例えばトータルで46(kW)であった。
したがって、本実施形態に係る凝集造粒装置5を用いる場合、本実施形態とは異なるサイズの配管(外径200(mm))及び配管の中心軸上の1つ(複数でない)の回転軸の撹拌機を用いる場合に比べて、被処理水W中の濁質eを必要な大きさの凝集物gに凝集し、造粒するために必要な撹拌動力を大きく低下させることができる。したがって、本実施形態に係る、主配管11内に複数の撹拌機342a~342gを有する凝集造粒装置5を用いることにより、被処理水Wの処理を行う際の消費電力、即ち、ランニングコストを低下させることができる。
本実施形態に係る、複数の撹拌機342a~342gを有する凝集造粒装置5は、適宜の消費電力での小さい撹拌動力P、および、撹拌力Gにて、サイクロン型の固液分離装置6の遠心力で壊れることなく、固液分離が可能な凝集物gを作成することができる。本実施形態に係る凝集造粒装置5は、250Aサイズのステンレス鋼材の配管(外径200(mm))及び1つ(複数でない)の回転軸の撹拌機を用いる場合と同程度の、結合力が強く、比重が例えば1.1~1.5の高密度な凝集物gを生成することができる。
【0130】
したがって、本実施形態によれば、被処理水Wの処理量が適宜に大きい場合であっても、より小さい撹拌動力で被処理水Wを撹拌し、被処理水Wの一部を凝集し、造粒させることが可能な凝集造粒装置5、及び、凝集造粒装置5を有する水処理装置2を提供することができる。
【0131】
このような実施形態の凝集造粒装置5によれば、配管10内の流れ方向Lに直交するなど、交差する流路断面を複数に分け、分けられた流路断面毎に旋回流れを発生させる小径の複数の撹拌翼346を備える撹拌機342a~342gを備えることによって、配管10内の流路サイズに近い大径の撹拌翼を有する1つの撹拌機で撹拌するよりも、凝集造粒に必要な撹拌力を維持しながら撹拌動力を低減することができる。
【0132】
本実施形態に係る凝集造粒装置5では、7つの撹拌機342a~342gを用いる例について説明したが、3つ以上の撹拌機を用いることが好適である。この場合、凝集造粒装置5では、例えば、円盤341に対して、正三角形の頂点の位置に回転軸344が配置される。
凝集造粒装置5では、並設する2つの撹拌機を用いてもよい。この場合、凝集造粒装置5では、例えば、円盤341に対して、所定距離離間して回転軸344が配置される。
凝集造粒装置5では、例えば8つの撹拌機や、9つの撹拌機など、複数の撹拌機が使用され得る。
本実施形態に係る凝集造粒装置5の撹拌機モジュール34は、主配管11の中心に対して点対称又は回転対称等の位置に配置されることが好適である。
【0133】
また、複数の撹拌機342a~342gは、それぞれ、主配管11の流路15内において、被処理水Wに旋回流れを発生させる、1又は複数の撹拌翼346を有する。例えば1つの回転軸344に対して1つの撹拌翼346が取り付けられている場合、撹拌翼346の羽根3462は例えば螺旋状に形成される。流路15内を最大値が例えば2(m/s)で流れる被処理水Wの圧力によって、螺旋状の羽根3462は、複数の撹拌機342a~342gが回転軸344の軸回りに回転していても、していなくても、被処理水Wに旋回流れを発生させることができる。
凝集造粒装置5では、配管10の流路の流れ方向Lに平行して、各撹拌機342a~342gに複数の比較的小径の撹拌翼346を取り付けることで、主配管11内を流れる被処理水Wに対して、低動力で必要な撹拌力を維持しながら被処理水Wを撹拌することができる。凝集造粒装置5では、その流路15の途中にpH調整剤Ma、無機凝集剤Mb、カチオン系高分子凝集剤Mc、アニオン系高分子凝集剤Mdの順に注入することで、主配管11内部で濁質eを凝集物gとして凝集、造粒するのに必要な撹拌力を維持しながら撹拌することができる。そして、凝集造粒装置5では、被処理水Wに含まれる固形物である濁質eをサイクロン型の固液分離装置6で、遠心力で壊し難く、固液分離が可能な凝集物gまで、被処理水Wを凝集し、造粒することができる。
【0134】
例えば1つの回転軸344に対して複数の撹拌翼346が流れ方向Lに離間して取り付けられている場合、撹拌翼346の羽根3462は全体として、例えば螺旋状に形成される。すなわち、回転軸344の軸方向に沿って隣接する撹拌翼346の羽根3462は、回転軸344の周方向に適宜の角度ずつずらされている。このため、流路15内を流れる被処理水Wの圧力によって、螺旋状の羽根3462は、複数の撹拌機342a~342gが回転軸344の軸回りに回転していても、していなくても、被処理水Wに旋回流れを発生させることができる。
これらの場合、複数の撹拌機342a~342gを回転軸344の軸回りに回転させることにより、主配管11内により大きな撹拌力を得ることができる。
【0135】
複数の撹拌機342a~342gの回転軸344は、それぞれ平行に配置されることが好適である。このため、隣接する撹拌機342a~342g同士が干渉することが抑制される。
【0136】
複数の撹拌機342a~342gのうち、隣接する2つの撹拌機342b,342c間、撹拌機342c,342d間、撹拌機342d,342e間、撹拌機342e,342f間、撹拌機342f,342g間、撹拌機342g,342b間の回転軸344の一方は所定方向から見て時計回り方向であり、他方は前記所定方向から見て反時計回り方向であることが好適である。その場合、隣り合う旋回流の外側の流れが、それぞれの旋回流の接触する部分で同じ方向に向く。このため、撹拌機モジュール34の複数の撹拌機342a~342gは、それぞれの回転により、被処理水Wの旋回流れが干渉して乱れさせることなく、渦を維持することができる。
【0137】
図5及び
図6中、複数の撹拌機342a~342gのそれぞれにおける複数の撹拌翼346は、流路15の流れ方向Lに沿う間隔が等距離である。複数の撹拌機342a~342gの回転軸344にそれぞれ取り付けられる複数の撹拌翼346は、流路15の流れ方向Lに沿う間隔が適宜にずらされ、異なる距離に配置されていてもよい。例えば、主配管11中において、撹拌力を比較的高くしたい部分について、撹拌翼346の密度を大きくし、撹拌力が比較的小さくてもよい部分について、撹拌翼346の密度を低くしてもよい。撹拌翼346の密度は、上述したpH調整エリア41、混和エリア42、凝集エリア43、造粒エリア44ごとに変更してもよい。また、各エリア41,42,43,44内で変更してもよい。すなわち、複数の撹拌機342a~342gのそれぞれにおける複数の撹拌翼346は、主配管11の流れ方向Lに沿う間隔が流れ方向Lに沿うエリア42,43,44によって異なる。
複数の撹拌機342a~342gのそれぞれにおける複数の撹拌翼346は、主配管11の流れ方向Lに対して、凝集剤Mb,Mc,Mdの注入領域及びその近傍と、凝集剤Mb,Mc,Mdの注入領域及びその近傍よりも下流側とで、単位長さあたりの数(密度)が異なることも好適である。例えば、凝集剤Mdの注入領域及びその近傍と、凝集剤Mdの注入領域及びその近傍よりも下流側とを比較すると、凝集剤Mdの注入領域及びその近傍よりも下流側の方が撹拌翼346の密度が高いことが好適である。この場合、凝集剤Mdの注入領域及びその近傍で撹拌翼346の密度を低くし、凝集剤Mdを主配管11の周方向について、ポート384から遠位の位置まで行きわたりやすくすることができる。凝集剤Mdの注入領域及びその近傍の下流側での撹拌翼346の密度を高くし、造粒エリア44において凝集剤Mdをより確実に被処理水Wと撹拌することができる。
【0138】
図7及び
図8中、複数の撹拌翼346は、流路15における被処理水Wの流れ方向Lに対して、撹拌翼346の各羽根(翼部)3462が平行に配置される例について説明した。
図25及び
図26に示すように、流路15における被処理水Wの流れ方向Lに対して、撹拌翼346の各羽根(翼部)3462が互いにずれていてもよい。複数の撹拌翼346の少なくとも1つの撹拌翼346の複数の羽根3462は、流れ方向に対して適宜の角度θに傾斜することが好適である。角度θとしては、例えば、-20°~+20°の角度に傾斜することが好適である。撹拌翼346の羽根3462を、流れ方向Lに対して例えば角度θとして-20°~+20°の角度をつけて撹拌翼346に固定し、撹拌機342a~342gの回転方向が主配管11上流側からみて時計回りの場合は、マイナス角度、反時計回りにする場合は、プラス角度(
図25及び
図26参照)に取り付ける。このため、撹拌翼346を含む各々の撹拌機342a~342gが、主配管11内部で回転することによって、配管10の導入口10aから受け入れられた被処理水Wが、主配管11内を流路15に沿って上流側から下流側へ螺旋状に流れるように送液される。撹拌機342a~342gに取り付けられた撹拌翼346の羽根3462の角度を、被処理水Wを送液、加圧可能な形状、角度にすることで、送水ポンプ3の動力削減をすることができる。或いは、送水ポンプ3を省略することができる。
【0139】
複数の撹拌機342a~342gは、撹拌機342a~342gの回転軸344がそれぞれその軸回りに回転するように回転軸344が1枚の円盤341に支持される。そして、円盤341は、流路15となる主配管11の一端のフランジ部11Aに固定されている。このため、撹拌機モジュール34を容易に主配管11から引き出すことができ、撹拌機モジュール34のメンテナンスや、撹拌翼346の位置調整が容易である。
【0140】
撹拌機モジュール34の複数の撹拌機342a~342gのうちの少なくとも1つの撹拌機の外周には、流路15の流れ方向Lと平行に、撹拌板ユニット36の撹拌板モジュール362の長尺の1又は複数のアセンブリ体362a~362gが例えば円筒状に設けられる。各撹拌機342a~342gの回転により、発生した旋回流が、撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gに当たって、撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gの表面で更に渦が発生する。その渦が撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gと間の流速差からせん断流れとなり、被処理水Wの凝集、造粒反応速度を向上させることができる。その結果、被処理水Wに含まれる固形物である濁質eをサイクロン型の固液分離装置6の遠心力で壊すことなく、固液分離が可能な凝集物gに凝集、造粒させるのに必要な強力な撹拌力を得ることができる。このとき、撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gは撹拌機342a~342gの外周側を囲うだけであるので、被処理水Wの凝集、造粒反応速度を向上させながら、凝集造粒装置5の大型化を抑制することができる。
【0141】
撹拌板モジュール362の複数のアセンブリ体362a~362gの外周には、円筒状の壁としてのチャンネル364a~364gが設けられる。撹拌機342a~342gの外周側に円筒状に配置された撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gの更に外周に円筒状のチャンネル364a~364gにて壁を設けて、その壁面で渦を発生させることにより、被処理水Wの凝集、造粒反応速度をさらに向上させることができる。その結果、被処理水Wに含まれる固形物である濁質eをサイクロン型の固液分離装置6の遠心力で壊すことなく、固液分離が可能な凝集物gに凝集、造粒させるのに必要な更に強力な撹拌力を得ることができる。このとき、チャンネル364a~364gは撹拌機342a~342g、撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gの外周側を囲うだけであるので、被処理水Wの凝集、造粒反応速度を向上させながら、凝集造粒装置5の大型化を抑制することができる。
【0142】
チャンネル364a~364gは、主配管11の流路15のための下流側の開口を有する1枚の円盤体363Bに固定され、円盤体363Bは、流路15となる主配管11の他端のフランジ部11Bに固定される。また、撹拌板モジュール362の複数のアセンブリ体362a~362gは、1枚の円盤体363Bに固定され、円盤体363Bは、流路15となる主配管11の他端のフランジ部11Bに固定される。そうすることで、撹拌板モジュール362の複数のアセンブリ体362a~362gを容易に凝集造粒装置5の内部、すなわち、主配管11内に撹拌機342a~342gと干渉することなく挿入することができる。
【0143】
本実施形態に係る凝集造粒装置5は、凝集剤注入部として、無機凝集剤Mbを流路15内に注入する第2のポート382、及び、第2のポート382よりも流路15の下流側に設けられ高分子凝集剤Mc,Mdを注入する第3のポート383、第4のポート384を備える。この場合、主配管11内部で被処理水Wに含まれる固形物である濁質eを凝集し、造粒するために必要な程度に撹拌され、被処理水Wに含まれる固形物である濁質eをサイクロン型の固液分離装置6の遠心力で壊すことなく、固液分離が可能な凝集物gまで、凝集し、造粒することができる。
【0144】
本実施形態では、凝集造粒装置5は、流路15の上流側から下流側に沿って、凝集剤注入部として、3つ以上のポート382,383,384を備える。3つ以上のポート382,383,384の流路15の流れ方向Lに沿う間隔は、被処理水Wがポート382,383,384に到達し得る速度、複数の撹拌機342a~342gによる撹拌時間等に応じてずらされることが好適である。すなわち、3つ以上のポート382,383,384の主配管11の流れ方向Lに沿う間隔は、複数の撹拌機342a~342gによる撹拌時間に応じた寸法に配置される。3つ以上のポート382,383,384の間隔は、適宜に設定可能である。
すなわち、主配管11内の流路15に対して、被処理水Wの流れ方向Lに沿う流速に応じ、流路15の途中に接続するポート382,383,384の間隔をずらして、各凝集剤を注入することで、凝集剤注入後の撹拌時間を調整することができる。無機凝集剤Mbを注入後、
図20から
図23までの凝集物gを進めるのに必要な十分な撹拌力と撹拌時間を与えるため、本実施形態の場合、導入配管16の入口側から、カチオン系凝集剤Mcが注入されるポート382までの距離を長くとっている。そうすることで、混和エリア42の通過時間を0.1秒~1秒間、750≦G≦5500(1/S)の範囲の撹拌力Gで撹拌することができる。また、カチオン系高分子凝集剤Mc、アニオン系高分子凝集剤Mdを、それぞれポート383、ポート384から注入した後の流路15および撹拌機342a~342gの後半の長さを長くし、撹拌翼346の数を多くすることで、撹拌機342a~342gで0.2秒~4秒間以上の長い時間、撹拌力を維持しながら撹拌することできる。このため、各凝集剤Mb,Mc,Mdが被処理水W内を順に満遍なく行きわたる。その結果、被処理水Wに含まれる固形物である濁質eをサイクロン型の固液分離装置6で壊すことなく、固液分離が可能な凝集物gまで造粒することができる。本実施形態に係る凝集造粒装置5では、図示しないが、撹拌翼346の間隔を変更することで、撹拌翼346の間隔が短いエリアを例えばより弱い撹拌力で長い時間撹拌することができる。本実施形態に係る凝集造粒装置5では、被処理水Wの水質によっては、小さい撹拌力で長い時間撹拌して、凝集、或いは、造粒する必要がある場合は、無駄な撹拌動力を追加することなく、必要な撹拌を実現できる。
【0145】
本実施形態では、撹拌機342a~342gに設けられている複数の撹拌翼346は、
図5の破線枠で囲った部分を拡大する
図6に示すように、主配管11内の流れ方向Lに沿う、前後の撹拌翼346の羽根(翼部)3462の位置をずらして撹拌機342a~342gの回転軸344に固定されている。このため、主配管11内の流れ方向Lに沿う撹拌翼346の間隔同士が短くても強い撹拌力が得られる。
【0146】
本実施形態では、上述したように、第2のポート382、第3のポート383及び第4のポート384は、主配管11のうち、上流側端部から、主配管11の全長のうち、一例であるが、1/6から1/3程度の位置に設けられる。このため、第4のポート384から主配管11の最も下流側の開口までの距離を長くし、すなわち、カチオン系高分子凝集剤Mc及びアニオン系高分子凝集剤Mdを注入した後の流路15を長くすることができる。流路15を長くすることに伴って、カチオン系高分子凝集剤Mc及びアニオン系高分子凝集剤Mdを注入した後、撹拌機342a~342gで撹拌される領域を長く取ることができる。このため、カチオン系高分子凝集剤Mc及びアニオン系高分子凝集剤Mdを注入した後の被処理水Wが通過する撹拌翼346の数を多くすることができる。このとき、例えば、0.2秒~4秒間以上といった、比較的長い時間、撹拌機342a~342gで被処理水Wを撹拌することができる。したがって、本実施形態に係る凝集造粒装置5を用いることにより、被処理水Wに対する撹拌力Gを維持しながら流路15内を撹拌することできる。その結果、被処理水Wに含まれる固形物である濁質eを、固液分離装置6の遠心力で壊すことなく、固液分離が可能な凝集物gまで造粒することができる。
【0147】
本実施形態では、複数の小径の撹拌機342a~342gを、各撹拌機342a~342gが回転するように1枚の円盤341に固定された撹拌機モジュール34が、凝集造粒ユニット22の主配管11の上流側から挿入して、凝集造粒ユニット22のフランジ部11Aとシールパッキン(図示せず)を挟んでボルトナットで固定されている。それにより、撹拌機モジュール34を容易に配管10から引き出すことができ、撹拌機モジュール34のメンテナンス、各撹拌機342a~342gの位置調整を行いながら、凝集造粒ユニット22を組み立てることができる。このとき、各撹拌機342a~342gの撹拌翼346の羽根3462が流れ方向Lに沿って、螺旋状となるように、各撹拌機342a~342gにおける撹拌翼346を調整するとともに、主配管11の中心軸に直交する方向に並べられる撹拌機342a~342gの配置を調整することができる。
【0148】
固液分離装置6は、チャンネルアセンブリ361の第1~第7のアセンブリ体362a~362gを有する造粒エリア44において造粒された凝集物gを含む被処理水Wから、遠心力により、凝集物gを分離し、凝集物gが分離された被処理水Wを回収することによって固液分離する複数の固液分離機811を並列接続する。また、チャンネルアセンブリ361の第1~第7のアセンブリ体362a~362gを有する造粒エリア44において造粒された凝集物を含む被処理水Wは、接続ユニット24にて合流した後、ゲート弁ユニット61にて再度流路を選択して、固液分離する固液分離機811の数を調整することができる。
【0149】
なお、本実施形態にかかる凝集造粒装置5を用いて処理される、被処理水Wに含まれる大きな凝集物gは、結合力が強く高密度となるので、遠心分離をかけても、遠心力で破壊することが防止される。したがって、本実施形態にかかる凝集造粒装置5を用いる場合、凝集造粒装置5に接続する固液分離装置6を用いることができ、凝集槽および沈殿槽が不要となる。これによって、凝集槽および沈殿槽の設置に要していた面積を削減でき、水処理装置2の小型化を図ることができる。
【0150】
撹拌機モジュール34が、対応する撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gの内側に収まるように、撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gを1枚の円盤体363Bに固定し、凝集造粒ユニット22の主配管11の下流側から挿入する。撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gと一体化された円盤体363Bを凝集造粒ユニット22のフランジ部11Bと、接続ユニット24のフランジ部12Aにて円盤体363Bを挟むようにシールパッキン(図示せず)を入れた上でボルトナット固定することもできる。そうすることで、撹拌機モジュール34を容易に凝集造粒ユニット22の主配管11の内部、要するに配管10内に撹拌機342a~342gと干渉することなく挿入することができる。
【0151】
一方、本実施形態では、撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gを挿入するチャンネル364a~364gを円盤体363A,363Bで挟むように固定した撹拌板ユニット36にして、チャンネル364a~364gに対応する撹拌板モジュール362のアセンブリ体362a~362gを装填し、凝集造粒ユニット22の下流側から挿入する。凝集造粒ユニット22のフランジ部11Bと接続ユニット24のフランジ部12Aで挟むように撹拌板ユニット36の円盤体363Bを挟むようにシールパッキン(図示せず)を入れた上でボルトナット固定されている。そうすることで、撹拌機モジュール34を容易に凝集造粒ユニット22の主配管11の内部、要するに配管10内に撹拌機342a~342gと干渉することなく挿入することができる。
【0152】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の凝集造粒装置5によれば、被処理水Wの処理量が適宜に大きい場合であっても、より小さい撹拌動力で被処理水Wを撹拌し、被処理水Wの一部を凝集し、造粒させることができる。
【0153】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0154】
1…凝集造粒システム、2…水処理装置、3…送水ポンプ、5…凝集造粒装置、6…固液分離装置、10…配管、10a…導入口、10b…排出口、11~14…直管、11A,11B,12A,12B,13A,13B,14A,14B…フランジ部、15…流路、16…導入配管、22…凝集造粒ユニット、24…接続ユニット、26…ギヤ列、28…モータ、30…コントローラ、34…撹拌機モジュール、341…円盤、342a~342g…撹拌機、344…回転軸、346…撹拌翼、3461…固定盤、3462…羽根、36…撹拌板ユニット、361…チャンネルアセンブリ、362…撹拌板モジュール、362a~362g…アセンブリ体、3621…撹拌板、3622…円環体、363A,363B…円盤体、364a~364g…チャンネル、381~384…ポート、41…pH調整エリア、42…混和エリア、43…凝集エリア、44…造粒エリア。