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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021331
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】表示装置の製造方法と製造装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240208BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240208BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20240208BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G09F9/00 338
G09F9/33
H01L33/48
G09F9/30 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124083
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】浅田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
(72)【発明者】
【氏名】武政 健一
(72)【発明者】
【氏名】磯野 大樹
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA43
5C094BA23
5F142AA86
5F142CA11
5F142CB23
5F142CD02
5F142DB24
5F142FA32
5F142FA38
5F142FA50
5F142GA02
5G435AA17
5G435BB04
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】転写法に起因する不具合の発生を抑制することが可能なLEDディスプレイの製造方法、およびこの製造方法を実現するための製造装置を提供すること。
【解決手段】この製造方法は、ガリウム系半導体を含む複数の発光素子を基板上に形成すること、第1のベース層と第1のベース層上の第1の粘着層を含む第1のキャリア基板上に複数の発光素子を転置すること、複数の発光素子が配置された第1のキャリア基板とクリーナユニットを互いに重なるように配置すること、およびクリーナユニットを第1のキャリア基板上から除去することを含む。クリーナユニットは、基材と基材上の吸着層を備える。第1のキャリア基板とクリーナユニットの配置は、隣接する発光素子の間に吸着層が挟まれ、かつ、複数の発光素子が吸着層から露出するように行われる。
【選択図】図7B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガリウム系半導体を含む複数の発光素子を基板上に形成すること、
第1のベース層と前記第1のベース層上の第1の粘着層を含む第1のキャリア基板上に前記複数の発光素子を転置すること、
前記複数の発光素子が配置された前記第1のキャリア基板とクリーナユニットを互いに重なるように配置すること、および
前記クリーナユニットを前記第1のキャリア基板上から除去することを含み、
前記クリーナユニットは、基材と前記基材上の吸着層を備え、
前記第1のキャリア基板と前記クリーナユニットの前記配置は、隣接する前記発光素子の間に前記吸着層が挟まれ、かつ、前記複数の発光素子が前記吸着層から露出するように行われる、表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記クリーナユニットの前記配置は、前記吸着層が前記第1のキャリア基板と接するように行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記基材は平板形状を有し、
前記クリーナユニットの前記配置は、前記第1のキャリア基板上において前記クリーナユニットを押し下げることを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記基材は円柱形状であり、
前記クリーナユニットの前記配置は、前記第1のキャリア基板上において前記クリーナユニットを回転することを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記吸着層と前記第1の粘着層は、それぞれエラストマーを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記複数の発光素子を転置することは、前記基板を介して前記複数の発光素子に光を照射することを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記複数の発光素子を、前記第1のキャリア基板から複数のトランジスタが形成されたアレイ基板上に転置することをさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記複数の発光素子を、前記第1のキャリア基板から、第2のベース層と前記第2のベース層上の第2の粘着層を備える第2のキャリア基板上に転置することをさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記複数の発光素子を、前記第2のキャリア基板から複数のトランジスタが形成されたアレイ基板上に転置することをさらに含む、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記第2の粘着層の接着力は、前記第1の粘着層の接着よりも高い、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
ガリウム系半導体を含む複数の発光素子が形成された基板を配置するための第1のステージ、
前記第1のステージ上に配置された光源、
基材と前記基材上の吸着層を有するクリーナユニットを配置するための第2のステージ、および、
第1のキャリア基板を前記基板に接触させ、前記第2のステージ上に搬送し、前記クリーナユニット上に配置するように構成される搬送機構を備える、表示装置の製造装置。
【請求項12】
前記搬送機構は、前記第1のキャリア基板を前記クリーナユニットに接触させるように構成される、請求項11に記載の製造装置。
【請求項13】
複数のトランジスタが形成されたアレイ基板を配置するための第2のステージをさらに備え、
前記搬送機構は、第1のキャリア基板を前記アレイ基板に接触させるように構成される、請求項11に記載の製造装置。
【請求項14】
第2のキャリア基板を配置するための第3のステージをさらに備え、
前記搬送機構は、前記第1のキャリア基板を前記第3のステージ上に搬送し、前記第2のキャリア基板に接触させるように構成される、請求項11に記載の製造装置。
【請求項15】
複数のトランジスタが形成されたアレイ基板を配置するための第2のステージをさらに備え、
前記搬送機構は、さらに、前記第2のキャリア基板を上下反転し、前記第2のステージ上に搬送し、前記アレイ基板に接触させるように構成される、請求項14に記載の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態の一つは、表示装置の製造方法および製造装置に関する。例えば、本発明の実施形態の一つは、無機発光ダイオードを発光素子として備える表示装置の製造方法と製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マトリクス状に配列された画素内に無機発光ダイオード(LED)を配置した表示装置(LEDディスプレイ)の開発が進められている。LEDは、ガリウムやインジウム、ヒ素、亜鉛、セレンなどの第12、13、15族元素などを含む無機化合物を発光体として用いるため、有機発光ダイオード(有機電界発光素子)と比較すると高い信頼性を示し、また、高輝度で高効率な発光が可能である。LEDディスプレイの製造においてLEDを配置する一つの方法として転写法(転置法とも呼ばれる。)が知られている(特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-39212号公報
【特許文献2】特開2022-7774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態の一つは、LEDディスプレイのための新規製造方法、およびこの製造方法を実現するための製造装置を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、転写法に起因する不具合の発生を抑制することが可能なLEDディスプレイの製造方法、およびこの製造方法を実現するための製造装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態の一つは、表示装置の製造方法である。この製造方法は、ガリウム系半導体を含む複数の発光素子を基板上に形成すること、第1のベース層と第1のベース層上の第1の粘着層を含む第1のキャリア基板上に複数の発光素子を転置すること、複数の発光素子が配置された第1のキャリア基板とクリーナユニットを互いに重なるように配置すること、およびクリーナユニットを第1のキャリア基板上から除去することを含む。クリーナユニットは、基材と基材上の吸着層を備える。第1のキャリア基板とクリーナユニットの配置は、隣接する発光素子の間に吸着層が挟まれ、かつ、複数の発光素子が吸着層から露出するように行われる。
【0006】
本発明の実施形態の一つは、表示装置の製造装置である。この製造装置は、ガリウム系半導体を含む複数の発光素子が形成された基板を配置するための第1のステージ、第1のステージ上に配置された光源、基材と基材上の吸着層を有するクリーナユニットを配置するための第2のステージ、および、搬送機構を備える。搬送機構は、第1のキャリア基板を基板に接触させ、第2のステージ上に搬送し、クリーナユニット上に配置するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る製造方法で製造される表示装置の模式的上面図。
図2】本発明の実施形態に係る製造方法で製造される表示装置の模式的端面図。
図3】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示すフローチャート。
図4】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的斜視図。
図5A】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図5B】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図6A】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図6B】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図6C】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図7A】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図7B】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図7C】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図8A】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的上面図。
図8B】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的上面図。
図9A】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的上面図。
図9B】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的上面図。
図10】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図11A】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図11B】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図12A】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図12B】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図12C】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図13】本発明の実施形態に係る表示装置の製造方法を示す模式的端面図。
図14】本発明の実施形態に係る表示装置の製造装置の模式的上面図。
図15】本発明の実施形態に係る表示装置の製造装置の模式的側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各実施形態について、図面などを参照しつつ説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0009】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状などについて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。同一、あるいは類似する複数の構造を総じて表す際にはこの符号が用いられ、これらを個々に表す際には符号の後にハイフンと自然数が加えられる。また、一つの構造の一部を示す際には、符号の後に小文字のアルファベットを付すことがある。
【0010】
本明細書および請求項において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
本明細書および請求項において、「ある構造体が他の構造体から露出する」という表現は、ある構造体の一部が他の構造体によって覆われていない態様を意味し、この他の構造体によって覆われていない部分は、さらに別の構造体によって覆われる態様も含む。また、この表現で表される態様は、ある構造体が他の構造体と接していない態様も含む。
【0012】
1.第1実施形態
本実施形態では、本発明の実施形態の一つである、表示装置の製造方法について説明する。この製造方法で製造される表示装置はLEDディスプレイであり、以下に説明するように、本製造方法に従って各画素にLEDが配置される。
【0013】
(1)表示装置の構造
表示装置の一例を表示装置100として図1に示す。表示装置100はアレイ基板102を備え、アレイ基板102上にはパターニングされた種々の絶縁物、導電体、半導体の薄膜が積層される。これらの薄膜により、複数の画素104、駆動回路(走査線駆動回路106、信号線駆動回路108)、種々の配線(図示しない)などがアレイ基板102上に形成される。複数の画素104は、複数の行と列を有するマトリクス状に配置される。各画素104は一つまたは複数のLEDを含み、色情報を与える最小単位として機能する。全ての画素104を囲む単一の領域が表示領域である。
【0014】
駆動回路からは複数の配線がアレイ基板102の一辺へ延伸し、アレイ基板102の端部で露出して複数の端子(図示しない)を形成する。複数の端子はフレキシブル回路(FPC)基板などのコネクタ110と電気的に接続され、これにより、図示しない外部回路からコネクタ110を介して電源や種々の信号が駆動回路に供給される。なお、信号線駆動回路108に替わり、あるいは信号線駆動回路108とともに、半導体基板上に形成された集積回路を備える駆動IC112をアレイ基板102またはコネクタ110上に搭載してもよい。
【0015】
複数の画素104はそれぞれ走査線駆動回路106と信号線駆動回路108に接続される。走査線駆動回路106と信号線駆動回路108は、外部回路から供給された信号に基づいて映像を表示するための信号(映像信号、ゲート信号、初期化信号など)を生成し、電源と共に画素104へ供給する。これにより、画素104が制御され、表示領域上に映像を表示することができる。
【0016】
各画素104には、駆動回路から供給される信号によって動作してLEDを制御するための画素回路が設けられる。一つの画素104の模式的端面図を図2に示す。図2では、各画素回路に含まれる一つのトランジスタ120だけが示されているが、画素回路の構成は任意に決定することができ、一つまたは複数のトランジスタと一つまたは複数の容量素子などを適宜組み合わせて画素回路が形成される。
【0017】
トランジスタ120を含む画素回路は、アレイ基板102上に直接または任意の構成であるアンダーコート114を介して設けられる。図2に示すトランジスタ120は、第1のゲート電極122、第1のゲート電極122上の第1のゲート絶縁膜124、第1のゲート絶縁膜124上の半導体膜126、半導体膜126上の第2のゲート絶縁膜128、第2のゲート絶縁膜128上の第2のゲート電極130、第2のゲート電極130や第2のゲート絶縁膜128を覆う層間膜132、第2のゲート絶縁膜128と層間膜132に設けられる開口を介して半導体膜126と電気的に接続する第1の端子134と第2の端子136などによって構成される。トランジスタ120は半導体膜126を挟む二つのゲート電極を有するが、トランジスタ120の構成も任意に決定すればよく、例えばボトムゲート型トランジスタまたはトップゲート型トランジスタをトランジスタ120として採用してもよい。
【0018】
画素104は、第1の端子134と第2の端子136上の平坦化膜138、平坦化膜138に設けられる開口を介して第2の端子136と電気的に接続される画素電極140、平坦化膜138上に設けられ、一定電位が供給される共通電極142、画素電極140と共通電極142の端部を覆う保護絶縁膜144をさらに有してもよい。
【0019】
上述した構成は公知の材料と成膜方法を適宜適用して形成することができる。例えば、アレイ基板102としては、ガラス基板、石英基板、ステンレスやアルミニウムなどの金属を含む基板、またはポリイミドやポリカーボネート、ポリエステルなどの高分子材料を含む基板などを使用することができる。アレイ基板102は可撓性を有してもよい。アンダーコート114、第1のゲート絶縁膜124、第2のゲート絶縁膜128、層間膜132、保護絶縁膜144などは、それぞれ化学気相堆積(CVD)法やスパッタリング法などを用い、酸化ケイ素や窒化ケイ素などのケイ素含有無機化合物を含む一つまたは複数の層で構成すればよい。あるいは、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの無機化合物を含む一つまたは複数の層でこれらの膜を形成してもよい。第1のゲート電極122、第2のゲート電極130、第1の端子134、第2の端子136、画素電極140、共通電極142は、CVD法やスパッタリング法などを用いて形成され、タンタルやモリブデン、タングステン、クロム、ハフニウム、チタン、アルミニウム、銅などの金属を含むように構成すればよい。平坦化膜138は、例えばポリイミドやポリアミド、ポリシロキサン、アクリル樹脂などの高分子材料を用いて形成すればよい。層間膜132も高分子材料を用いて形成してもよい。半導体膜126は、シリコンまたは酸化亜鉛、インジウム-ガリウム酸化物、インジウム-ガリウム-酸化物などの酸化物半導体を含むように構成される。半導体膜126もCVD法またはスパッタリング法を適用して形成される。以下、画素回路やその上の平坦化膜138を含む構成を総じて画素回路層116と呼ぶ。
【0020】
画素回路層116上には、LED150が設けられる。LED150は、例えばp型クラッド層156、活性層(発光層)158、およびn型クラッド層160を含む積層体を含むことができ、p型クラッド層156とn型クラッド層160にはそれぞれ陽極152と陰極154が電気的に接続される。共通電極142と画素電極140上には、導電性を有する接着剤としてバンプ146が形成され、バンプ146を介してLED150の陽極152と陰極154がそれぞれ共通電極142と画素電極140に電気的に接続される。バンプ146は、例えば銀やスズなどの金属を含む合金である。図示しないが、LED150は、n型クラッド層160の上(p型クラッド層156とは反対側の面)にバッファ層を備えてもよい。
【0021】
p型クラッド層156、活性層158、およびn型クラッド層160は、それぞれ無機半導体を含む一つまたは複数の機能層で構成される。無機半導体としては、例えば、第13族元素と第15族元素を含む化合物が挙げられる。より具体的には、アルミニウム、ガリウム、および/またはインジウム、ならびに窒素、リン、および/またはヒ素を含む化合物半導体が挙げられる。典型的には、ガリウム系材料が挙げられる。例えば、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)などの窒化ガリウム系材料、リン化ガリウム(GaP)、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlGaInP)などのリン化ガリウム系材料が例示される。各機能層にはドーパントがさらに含まれてもよい。ドーパントとしては、ケイ素やゲルマニウム、マグネシウム、亜鉛、カドミウム、ベリリウムなどの元素が挙げられる。これらの元素を添加することで、各機能層の価電子制御が可能となり、真性(i型)を維持するだけでなく、バンドギャップの制御、p型またはn型の導電性の付与などが可能となる。活性層158は、単層構造でもよく、あるいは量子井戸構造を有してもよい。量子井戸構造とは、バンドギャップが異なり、1から5nm程度の厚さを有する複数の薄膜を交互に積層した構造であり、例えばInGaNとGaNの交互積層体、GaInAsPとInPの交互積層体、AlInAsとInGaAsの交互積層体などが例示される。
【0022】
図2に示すLED150は、一方の側に陽極152と陰極154が設けられるが、LED150は必ずしもこのような構造を有する必要は無い。例えば、後述するように、p型クラッド層156、活性層158、n型クラッド層160が陽極152と陰極154によって挟持された構造を有するLED150を用いてもよい。この場合、図示しない配線によって陽極152に一定電位が供給される。
【0023】
(2)表示装置の製造方法
本発明の実施形態に係る、表示装置100の製造方法の一例を図3のフローチャート、および図4Aから図13を用いて説明する。これらの図では、LED150や画素回路層の詳細な構成は図示されないことがある。なお、画素回路層116は公知の材料や方法を適用して形成することができるので、説明は省略する。
【0024】
図3に示すように、本製造方法では、基板上に作製されたLED150が第1のキャリア基板へ転置され、その後、異物除去の工程を経た後、アレイ基板102上(より具体的には、アレイ基板102上に形成される画素回路層116上)に転置される。また、LED150の構造によっては、第1のキャリア基板上に転置されたLED150がさらに第2のキャリア基板上に転置され、その後、アレイ基板102上に転置される。これらの一連の工程によって各画素104にLED150が配置され、表示装置100を製造することができる。
【0025】
ア LEDの作製
まず、LED150を作製する。LED150は公知の方法によって作製することができるので詳細な説明は割愛するが、例えば図4に示すように、単結晶シリコン基板、サファイア基板などの基板(以下、LED基板)170上に化合物半導体の膜をエピタキシャル成長させてn型クラッド層160、活性層158、p型クラッド層156を形成する。その後、n型クラッド層160とp型クラッド層156上にそれぞれ陰極154と陽極152を形成することで、図5Aに示すように、一つのLED基板170上に複数のLED150を形成することができる。上述したように、LED150は、p型クラッド層156、活性層158、n型クラッド層160が陽極152と陰極154によって挟持された構造を有することができる。この場合、例えば陰極154をLED基板170上に形成し、その後、n型クラッド層160、活性層158、p型クラッド層156を順に成長させ、さらに陽極152が設けられる(図5B参照。)。あるいは、陽極152をLED基板170上に形成し、その後、p型クラッド層156、活性層158、n型クラッド層160を順に成長させ、n型クラッド層160上に陰極154形成してもよい。以下、主に図5Aに示された構造を有するLED150を用いて説明を続ける。
【0026】
イ LEDの第1のキャリア基板への転置
LED150の作製後、LED基板170上のLED150を第1のキャリア基板上に転置する(第1の転置工程)。具体的には、まず、LED基板170に第1のキャリア基板180を貼り合わせる(図6A)。第1のキャリア基板180は、ダイシングフィルムまたはダイシングシートとも呼ばれ、ベース層182と粘着層184を含むことができる。貼り合わせは、粘着層184がLED150と接するように行われる。
【0027】
ベース層182は、石英基板やガラス基板、あるいはステンレス基板などの金属基板に例示される可撓性の低い基板でもよく、あるいはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン、ポリノルボルネンを基本骨格に含むシクロオレフィンポリマー、ノルボルネン類の開環メタセシス重合体などを含む可撓性を有する基板(フィルム)でもよい。一方、粘着層184は、ポリオレフィン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアクリロニトリル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどのエラストマーを含むことができる。より具体的には、粘着層184は、スチレン・ブタジエンゴム、イソブチエン・イソプレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴムのほか、シリコーンゴムや天然ゴムを含むことができる。あるいは、粘着層184として水溶性の接着剤を用いてもよい。
【0028】
その後、LED基板170を透過し、n型クラッド層160に吸収される波長を有する光をLED基板170側から照射する(図6Aの矢印参照。)。光は、非コヒーレント光でもよく、あるいは、レーザでもよい。レーザとしては、200nmから370nmの範囲から選択される波長を有するレーザが例示され、例えばパルス発振の高密度KrFエキシマレーザ、NdイオンなどがドープされたYAGレーザなどを利用することができる。光照射されるLED150は一つでもよく、複数でもよい。例えば、連続して配置される複数のLED150に光照射してもよく、あるいは、アレイ基板102上における画素104のピッチと同じピッチで複数のLED150に光を照射してもよい。n型クラッド層160が光を吸収して発熱すると一部が分解し、その結果、n型クラッド層160とLED基板170間の接着力が低下する。このため、LED基板170を剥離・除去することで、光照射されたLED150を第1のキャリア基板180上に残存させたまま一つまたは複数のLED150をLED基板170から第1のキャリア基板180上に転置することができる(図6B)。
【0029】
第1のキャリア基板180上に転置されたLED150の配置(ピッチ)は、表示装置100におけるLED150の配置(ピッチ)とは異なる場合がある。このため、表示装置100上で要求されるLED150の配置に適合するように、第1のキャリア基板180を適宜引き伸ばし、第1のキャリア基板180上で隣接するLED150間の距離を調節してもよい。
【0030】
ウ 異物の除去
光照射すると、分解されたn型クラッド層160の大部分は気化するものの、一部は気化せずに剥がれ、第1のキャリア基板180上に残存することがある。その結果、LED150を第1のキャリア基板180上に転置する際、第1のキャリア基板180に異物(以下、デブリと記す。)186が生じることがある(図6C)。デブリ186を残存したままLED150を画素回路層116上に転置すると、画素回路層116上にもデブリ186が転置することがある。水などの洗浄液を用いて第1のキャリア基板180上のデブリ186の全てまたは一部を除去することも可能であるが、洗浄によってLED150も除去されることがある。このため、本製造方法では、デブリ186を除去するための工程が実施される。
【0031】
具体的には、LED150が配置された第1のキャリア基板180をクリーナユニット190と重なるように配置する(図7A図7B)。クリーナユニット190は、基材192と吸着層194を備える。基材192は、第1のキャリア基板180のベース層182で使用可能な材料を含むことができ、例えば可撓性の低いまたは可撓性を有する平板形状の基板を用いることができる。吸着層194は、少なくとも表面(基材192に対して反対側の表面)が接着力を有しており、第1のキャリア基板180の粘着層184で使用可能な材料を含むことができる。図示しないが、基材192および/またはベース層182が可撓性を有するまたは十分な剛性が無い場合、第1のキャリア基板180とクリーナユニット190の配置の際に補助基板(図示しない)を基材192および/またはベース層182に設けてもよい。
【0032】
ここで、クリーナユニット190は、クリーナユニット190と第1のキャリア基板180を配置する際に第1のキャリア基板180上で隣接するLED150の間に吸着層194が挟まれ、かつ、LED150が吸着層194から露出するように構成される(図7B参照。)。換言すると、クリーナユニット190と第1のキャリア基板180は、第1のキャリア基板180上で隣接するLED150の間に吸着層194が挟まれ、かつ、LED150が吸着層194から露出する(すなわち、LED150が吸着層194と重ならない)ように配置される。また、吸着層194が第1のキャリア基板180(すなわち、粘着層184)に接するよう、クリーナユニット190と第1のキャリア基板180を互いに押し付けてもよい(スタンプ)。この場合、吸着層194が圧し潰されて変形してもよい。したがって、吸着層194の高さ(基材192の法線方向における長さ)hは、LED150の高さに対して80%以上120%以下、または90%以上110%以下としてもよい。一方、吸着層194の幅(基材192の表面に平行な方向の長さ)wは、例えば第1のキャリア基板180上で隣接するLED150間の距離に対して60%以上100%未満、70%以上90%以下、または70%以上80%以下でもよい。
【0033】
図7Bなどから理解されるように、デブリ186が残留し得る領域はLED150の間である。したがって、吸着層194は、第1のキャリア基板180上で隣接するLED150の間を延伸するように設けられる。例えば図8Aに示すように、吸着層194は格子状の形状を有してもよい。クリーナユニット190と第1のキャリア基板180を配置する際、格子形状の開口部194aにおいて、第1のキャリア基板180上に転置されたLED150が吸着層194から露出する。あるいは、図8Bに示すように、互いに平行または実質的に平行に延伸する複数の吸着層194を基材192上に設けてもよい。この場合、隣接する吸着層194の間でLED150が吸着層194から露出する。吸着層194が格子形状を有する場合、開口部194aのピッチは表示装置100の画素104のピッチと同一でもよく、あるいは異なってもよい。例えば、クリーナユニット190に画素104を重ねた概念図(図9A)に示されるように、開口部194aのピッチは画素104のピッチよりも大きくてもよい。したがって、隣接する開口部194a間の距離は、隣接する画素104の間の距離よりも大きくてもよい。同様に、クリーナユニット190が互いに平行または実質的に平行な複数の吸着層194を有する場合、隣接する吸着層194間の距離は一定でもよく(図8B)、異なってもよい(図9B)。後者の場合、隣接する画素104の間の距離よりも小さい幅を有する吸着層194と大きい幅を有する複数の吸着層194がクリーナユニット190に含まれる。
【0034】
その後、クリーナユニット190を除去する(図7C)。以上のプロセスにより、吸着層194にデブリ186が吸着され、第1のキャリア基板180から除去することができる。なお、デブリ186の除去において第1のキャリア基板180とクリーナユニット190の上下関係に制約はなく、クリーナユニット190を第1のキャリア基板180の下に配置してもよい。また、クリーナユニット190と第1のキャリア基板180を相対的に動かして互いの距離を変化させればよいため、いずれか一方を固定して他方を動かしてもよく、あるいは両者を同時に動かしてもよい。さらに、デブリ186が吸着したクリーナユニット190を水やアルコールなどの洗浄液を用いて洗浄し、デブリ186を除去してもよい。これにより、クリーナユニット190を再使用することができる。
【0035】
クリーナユニット190の形状は必ずしも平板形状に限られず、柱状形状を有してもよい。具体的には、クリーナユニット190は、円柱状形状を有する基材192と基材192を取り囲む吸着層194を備えてもよい(図10)。この場合には、クリーナユニット190を第1のキャリア基板180上で回転させ、隣接するLED150の間に吸着層194を順に配置すればよい。
【0036】
エ LEDの第2のキャリア基板への転置
LED150の陽極152と陰極154が同じ側に設けられる場合(図5A参照。)、LED150をLED基板170から第1のキャリア基板180に転置すると、陽極152と陰極154が第1のキャリア基板180側に位置する。このため、第1のキャリア基板180上に転置されたLED150を直接画素回路層上へ転置すると、LED150を画素回路と電気的に接続することができない。
【0037】
そこで、この場合にはLED150を再度転置する(第2の転置工程)。具体的には、図11Aに示すように、ベース層202と粘着層204を備える第2のキャリア基板200を、粘着層204とLED150が第1のキャリア基板180と第2のキャリア基板200で挟持されるように第1のキャリア基板180に貼り合わせる。その後、第2のキャリア基板200上にLED150を残存させるように第1のキャリア基板180を剥離・除去することで、第2のキャリア基板200上にLED150を転置する(図11B)。異物除去工程と同様、第1のキャリア基板180と第2のキャリア基板200の上下関係に制約はなく、第2のキャリア基板200を第1のキャリア基板180の下に配置してもよい。また、第2のキャリア基板200と第1のキャリア基板180を相対的に動かして互いの距離を変化させればよい。したがって、いずれか一方を固定して他方を動かしてもよく、あるいは両者を同時に動かしてもよい。
【0038】
ベース層202は、第1のキャリア基板180のベース層182で使用可能な材料を含むことができる。粘着層204も第1のキャリア基板180の粘着層184で使用可能な材料を含んでもよいが、LED150を選択的に第2のキャリア基板200上に残存させるため、粘着層204は、粘着層184よりも高い接着力を有することが好ましい。例えば、粘着層184に水溶性の接着剤を用い、水を用いてその接着力を低減させてもよい。あるいは、粘着層184の接着力を粘着層204よりも低減させるため、粘着層184の表面に凹凸を設けてもよい。あるいは、第1のキャリア基板180または第2のキャリア基板200側から光(例えば、400nm以上3000nmの範囲に波長を有する非コヒーレント光またはレーザ)を照射して陽極152と陰極154を加熱し、これらに接する粘着層184の一部を分解することで、粘着層184の接着力を低減させてもよい。なお、LED150間の距離の調節は、第2のキャリア基板200を延伸することで行ってもよい。
【0039】
図示しないが、上述したデブリ186の除去工程においてデブリ186が完全に除去できず、第2のキャリア基板200上に転置された場合には、上記異物除去工程を第2のキャリア基板200上で行ってもよい。すなわち、第2のキャリア基板200上で隣接するLED150の間に吸着層194が挟まれ、かつ、LED150が吸着層194から露出するように第2のキャリア基板200とクリーナユニット190を重ね合わせ、その後クリーナユニット190を除去してもよい。吸着層194と粘着層204が接するよう第2のキャリア基板200とクリーナユニット190を配置してもよい。
【0040】
オ LEDのアレイ基板への転置
引き続き、アレイ基板102と第2のキャリア基板200を貼り合わせる(図12A図12B)。具体的には、アレイ基板102上に設けられる画素回路層116と第2のキャリア基板200上のLED150がアレイ基板102と第2のキャリア基板200の間に挟まれるよう、アレイ基板102と第2のキャリア基板200を互いに押し付ける。貼り合わせの際、LED150の陽極152と陰極154がそれぞれ共通電極142と画素電極140に電気的に接続されるように、アレイ基板102と第2のキャリア基板200のアライメントが行われる。この時、アレイ基板102および/または第2のキャリア基板200が可撓性を有する、または十分な剛性が無い場合には、十分な剛性を有する補助基板(図示しない)をそれぞれアレイ基板102の下および/または第2のキャリア基板200上に配置してもよい。また、バンプ146を介して陽極152と陰極154がそれぞれ共通電極142と画素電極140と確実に電気的に接続されるよう、第2のキャリア基板200側から光(例えば、400nm以上3000nmの範囲に波長を有する光またはレーザ)を照射して陽極152と陰極154を加熱し、この熱によってバンプ146の一部または全体を溶融してもよい。バンプ146が再度凝固することで、陽極152と共通電極142、および陰極154と画素電極140が強固に固定される。
【0041】
その後、第2のキャリア基板200を剥離・除去し、LED150を選択的にアレイ基板102上に残存させることで、表示装置100を製造することができる(図12C)。なお、通常、一つのLED基板170には同一構造の複数のLED150が形成される。すなわち、一つのLED基板170には同色の発光を与えるLED150が形成される。したがって、それぞれ赤色、緑色、青色の発光色のLED150-1から150-3が形成された三つのLED基板170からそれぞれ三つの第1のキャリア基板180-1から180-3にLED150を転写し、その後、三つの第1のキャリア基板180-1から180-3上のLED150を一つの第2のキャリア基板200に転置してもよい。この工程により、赤色、緑色、青色の発光色のLED150を第2のキャリア基板200上に同時に転置することができる(図13)。
【0042】
図示しないが、LED150の陰極154と陽極152がp型クラッド層156、活性層158、およびn型クラッド層160を挟持する構造を有する場合(図5B参照。)、第2の転置工程は行わなくてもよい。この場合には、第1のキャリア基板180上に転置されたLED150をアレイ基板102上に設けられる画素回路層116上に転置すればよい。この転置は、上述した第2の転置工程と同様であるため、詳細な説明は割愛する。
【0043】
上述したように、本製造方法では、LED150を第1のキャリア基板180に転置する際に行われる光照射において発生するデブリ186を除去するため、クリーナユニット190が用いられる。このため、デブリ186に起因する不具合を防止することができる。例えば、図13に示す工程において、第1のキャリア基板180-1上に残存するデブリを除去せずにLED150-1を第2のキャリア基板200上に転置すると、LED150-2、150-3を転置する領域にデブリ186が存在し得るので、LED150-2、150-3の転置に悪影響を及し得る。また、全てのLED150が転置できたとしても、画素回路層116上にデブリ186が残存すると、LED150からの光が乱反射し、表示品質に影響を及ぼすことがある。さらには、デブリ186によってLED150の短絡が生じることがある。
【0044】
したがって、本発明の実施形態の一つに係る本製造方法を適用することで、確実にLED150を転置することができ、その結果、歩留まり良く表示装置100を製造することができる。また、デブリ186の発生による表示品質の低下や短絡発生も防止することができる。
【0045】
2.第2実施形態
本実施形態では、第1実施形態で述べた表示装置の製造方法を実現するための製造装置について説明する。第1実施形態で述べた構成と同様または類似する構成については、説明を割愛することがある。
【0046】
本製造装置の一例を製造装置210として図14図15に示す。製造装置210はチャンバ212を備え、チャンバ212内に後述する様々な構成が配置される。チャンバ212は一つまたは複数のロードロック扉214、216を備え、外部または図示しない他のチャンバと接続することができる。図示しないが、チャンバ212内を排気するための排気装置や、チャンバ212内部に不活性ガスを導入するための配管をチャンバ212に接続してもよい。
【0047】
チャンバ212内には、LED150が形成されたLED基板170を配置するためのピックアップステージ220が設けられる。図示しないが、LED基板170を固定するための固定装置(例えば、静電チャック、あるいはフックなどの物理的固定具など)をピックアップステージ220に設けてもよい。ピックアップステージ220上には、光源224、および光源224を二次元的に移動させるための移動機構222が設けられる。移動機構222は、例えばガイドフレーム、およびガイドフレームに取り付けられ、光源224を保持する台座(図示しない)などによって構成することができる。
【0048】
チャンバ212内には、搬送機構218がさらに設けられる。搬送機構218は、LED基板170、第1のキャリア基板180、第2のキャリア基板200、クリーナユニット190、アレイ基板102などをチャンバ212内で三次元的に移動・搬送するように構成される。搬送機構218は、典型的には搬送マニュピレータまたは搬送ロボットである。
【0049】
チャンバ212内には、さらにクリーニングステージ226が備えられる。図14図15に示すように、クリーニングステージ226は、クリーナユニット190を配置するように構成してもよく、図示しないが、第1のキャリア基板180を配置するように構成してもよい。ピックアップステージ220と同様、クリーニングステージ226にもクリーナユニット190または第1のキャリア基板180を固定するための固定装置を設けてもよい。
【0050】
チャンバ212内には、さらに転置工程を行うための転置ステージ230や、アレイ基板102を配置するための基板ステージ228を設けてもよい。また、図示しないが、第1の転置工程と第2の転置工程を行うために二つの転置ステージを設けてもよい。あるいは、転置ステージ230と基板ステージ228は、ロードロック扉214または216に接続される別のチャンバ内に配置してもよい。図示しないが、転置ステージ230は、水溶性接着剤に対して水を散布するための機構(例えば、ノズル、シャワーヘッドなど)を有してもよい。基板ステージ228上にも二次元的に移動可能な光源を配置してもよい。
【0051】
製造装置210では、第1のキャリア基板180が搬送機構218によってピックアップステージ220上に搬送され、第1の転置工程が行われる。すなわち、第1のキャリア基板180がLED基板170に貼り合わされ、光源224からの光が照射される。その後、搬送機構218は第1のキャリア基板180を上に移動する。この時に、LED150がLED基板170から第1のキャリア基板180に転置される。
【0052】
その後、搬送機構218は、一つまたは複数のクリーナユニット190が配置されたクリーニングステージ226上に、第1のキャリア基板180を搬送し、第1のキャリア基板180とクリーナユニット190を互いに重ねるように配置する。この配置は、第1実施形態で述べたように行えばよい。これにより、異物除去工程が実施される。なお、搬送機構218を用いて第1のキャリア基板180を上下反転してクリーニングステージ226上に搬送し、その後、クリーナユニット190を第1のキャリア基板180上に配置して異物除去工程を行ってもよい。
【0053】
第2の転置工程を行う場合には、搬送機構218は、異物除去工程が施された第1のキャリア基板180を転置ステージ230上に搬送する。第2の転置工程では、搬送機構218を用い、転置ステージ230上に配置される第2のキャリア基板200に第1のキャリア基板180を貼り合わせ、その後、第1のキャリア基板180を上に移動して剥離する。あるいは、搬送機構218を用いて第1のキャリア基板180を上限反転させて転置ステージ230上に搬送し、その後、第2のキャリア基板200を第1のキャリア基板180に貼り合わせ、剥離してもよい。これにより、第1のキャリア基板180上のLED150が第2のキャリア基板200上に転置される。
【0054】
第2の転置工程を行わない場合には、搬送機構218は、異物除去工程が施された第1のキャリア基板180を基板ステージ228上に搬送する。その後、搬送機構218を用い、基板ステージ228上に配置されるアレイ基板102に第1のキャリア基板180を貼り合わせ、その後、第1のキャリア基板180を上に移動して剥離する。この時、光照射を行い、バンプ146を加熱、溶融してもよい。第2の転置工程を行う場合には、LED150が転置された第2のキャリア基板200を上下反転させ、基板ステージ228上に搬送する。その後、搬送機構218を用い、基板ステージ228上に配置されるアレイ基板102に第2のキャリア基板200を貼り合わせ、その後、第2のキャリア基板200を上に移動して剥離すればよい。以上の工程により、第1のキャリア基板180上のLED150が直接、または第2のキャリア基板200を介してアレイ基板102上へ転置される。なお、上述したように、転置ステージ230や基板ステージ228をチャンバ212に接続される他のチャンバに配置する場合には、搬送機構218または他のチャンバに備えられる搬送機構を用いて異物除去工程が施された第1のキャリア基板180を他のチャンバに搬送すればよい。
【0055】
本実施形態で述べた製造装置210を用いることで、LED基板170からLED150を転置する際に生じるデブリ186を除去することができる。このため、確実にLED150をLED基板170からアレイ基板102へ転置することができ、その結果、歩留まり良く表示装置100を製造することができる。また、デブリ186の発生による表示品質の低下も防止することができる。
【0056】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0057】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0058】
100:表示装置、102:アレイ基板、104:画素、106:走査線駆動回路、108:信号線駆動回路、110:コネクタ、112:駆動IC、114:アンダーコート、116:画素回路層、120:トランジスタ、122:第1のゲート電極、124:第1のゲート絶縁膜、126:半導体膜、128:第2のゲート絶縁膜、130:第2のゲート電極、132:層間膜、134:第1の端子、136:第2の端子、138:平坦化膜、140:画素電極、142:共通電極、144:保護絶縁膜、146:バンプ、150:LED、150-1:LED、150-2:LED、150-3:LED、152:陽極、154:陰極、156:p型クラッド層、158:活性層、160:n型クラッド層、170:LED基板、180:第1のキャリア基板、180-1:第1のキャリア基板、180-2:第1のキャリア基板、180-3:第1のキャリア基板、184:粘着層、186:デブリ、190:クリーナユニット、192:基材、194:吸着層、194a:開口部、200:第2のキャリア基板、202:ベース層、204:粘着層、210:製造装置、212:チャンバ、214:ロードロック扉、216:ロードロック扉、218:搬送機構、220:ピックアップステージ、222:移動機構、224:光源、226:クリーニングステージ、228:基板ステージ、230:転置ステージ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15