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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021336
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】押圧マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 39/04 20060101AFI20240208BHJP
   A61H 7/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
A61H39/04 H
A61H7/00 300J
A61H39/04 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124093
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】趙 雄翔
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【テーマコード(参考)】
4C100
4C101
【Fターム(参考)】
4C100AA06
4C100AA13
4C100AA33
4C100BB03
4C100BC03
4C100BC08
4C100CA06
4C100DA05
4C101BA01
4C101BB05
4C101BB06
4C101BC22
4C101BD02
4C101BD04
4C101BD26
4C101BE07
(57)【要約】
【課題】コンパクト且つ薄型であって、リラックスして安寧な体勢で、施療部に対して押圧マッサージを付与できる押圧マッサージ機を提供する。
【解決手段】本発明の押圧マッサージ機1は、ケース体2の上面から外部へ突出するように設けられ施療子3と、施療子3をケース体2に対して出入りするように駆動させる駆動機構7と、を有しているものであって、駆動機構7は、ケース体2内に収納され且つ上面に施療子3が配備された枠体10と、この枠体10をケース体2内で上下方向に往復移動させる往復機構20とを有しており、往復機構20が、枠体10で囲まれた内部空間であって側面視で枠体とオーバラップする位置に配備されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース体の上面から外部へ突出するように設けられ施療子と、前記施療子をケース体に対して出入りするように駆動させる駆動機構と、を有している押圧マッサージ機において、
前記駆動機構は、ケース体内に収納され且つ上面に前記施療子が配備された枠体と、この枠体を前記ケース体内で上下方向に往復移動させる往復機構と、を有しており、
前記往復機構が、前記枠体で囲まれた内部空間であって側面視で前記枠体とオーバラップする位置に配備されている
ことを特徴とする押圧マッサージ機。
【請求項2】
前記往復機構は、前記枠体の内部空間内で水平方向に架け渡された駆動軸と、前記駆動軸を回転駆動させる電動モータと、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の押圧マッサージ機。
【請求項3】
前記駆動軸の両端部は、前記枠体に形成された水平方向を向くスライド孔に偏心状態で嵌まり込んでおり、前記駆動軸が伝達する回転駆動力の上下方向成分のみを枠体に伝える構成とされている
ことを特徴とする請求項2に記載の押圧マッサージ機。
【請求項4】
前記枠体には、上下方向を向くスライドバーが貫通状に嵌まり込んでおり、前記スライドバーに沿って前記枠体が上下方向に往復移動するように構成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の押圧マッサージ機。
【請求項5】
前記枠体に形成されたスライド孔を前後に挟むように、前記スライドバーが前記枠体に嵌まり込んでいる
ことを特徴とする請求項4に記載の押圧マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の施療部に対して押圧マッサージ(ツボ押しマッサージ)を行う押圧マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マッサージ師によるツボ押しの如く、使用者の施療部に対して局所的な押圧マッサージを行うマッサージ機が数多く販売されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、座板に座金を取り付け、指圧ボールを取り付けたり、取りはずしたりすることの出来るスポンジゴムボール付き指圧機が開示されており、詳しくは、スポンジゴムボール付き指圧機は座板に取り付けられた、座金は異なる場所に設置されており、指圧ボールの長さはそれぞれ長短あり、ネジ式であるのでネジにより、1本、1本の高さを調節することが出来る指圧機を使用する際には、指圧ボールを幾通りにも組合せ、組変えて指圧することの出来るものとなっている。
【0004】
特許文献2には、電動機で回転するカムにより上下する従動体の先端で、身体に連続的に圧迫を加える装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録番号第3010381号公報
【特許文献2】特開昭51-35091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された押圧マッサージ機は、使用者が自ら施療子に自分の体を押し付けたり体重をかけたりすることで、押圧マッサージが行われる。そのため、強い揉み感のマッサージを得ようと意図すれば、必然的に自分の体を施療子(言い換えればマッサージ機)に押し付ける必要がある。これでは、リラックスしつつマッサージを受けることができず、心地よいマッサージを付与可能なマッサージ機とはなっていなかった。
【0007】
特許文献2の装置は、電動機で回転するカムにより上下する従動体の先端(施療子)で、身体に連続的に圧迫を加える構成であるため、自分の体を施療部材に押し付ける必要はない。しかしながら、特許文献2の図3などを見ると、施療子の真下に当該施療子を上下動させるための歯車やカムが存在するため、装置自体の厚み(上下高さ)が厚いものとなっている。この種のマッサージ機は、使用者の背中を施術する場合があり、その場合は、特許文献2のマッサージ機を床面に置き、そのマッサージ機の上に、使用者が寝転ぶことになる。特許文献2の装置のように装置本体が厚い場合、本マッサージ機の上に寝転ぶといったことが困難であり、ひいては快適なマッサージを受けることを難しいと思われる。
【0008】
また、従来の小型のマッサージ機は、椅子に着座した使用者の上体と、椅子の背もたれ部との間に挟んで背中を施術する場合、装置本体が厚いので、使用者の上体が前方に押し出されるような姿勢となってしまい、心地よいマッサージを受けることができなくなる。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、コンパクト且つ薄型であって、リラックスして安寧な体勢で、施療部に対して押圧マッサージを付与できる押圧マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の押圧マッサージ機は、以下の技術的手段を講じている。
【0011】
すなわち、本発明の押圧マッサージ機は、ケース体の上面から外部へ突出するように設けられ施療子と、前記施療子をケース体に対して出入りするように駆動させる駆動機構と、を有している押圧マッサージ機において、前記駆動機構は、ケース体内に収納され且つ上面に前記施療子が配備された枠体と、この枠体を前記ケース体内で上下方向に往復移動させる往復機構と、を有しており、前記往復機構が、前記枠体で囲まれた内部空間であって側面視で前記枠体とオーバラップする位置に配備されていることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記往復機構は、前記枠体の内部空間内で水平方向に架け渡された駆動軸と、前記駆動軸を回転駆動させる電動モータと、を有するとよい。
【0013】
好ましくは、前記駆動軸の両端部は、前記枠体に形成された水平方向を向くスライド孔に偏心状態で嵌まり込んでおり、前記駆動軸が伝達する回転駆動力の上下方向成分のみを枠体に伝える構成とされているとよい。
【0014】
好ましくは、前記枠体には、上下方向を向くスライドバーが貫通状に嵌まり込んでおり、前記スライドバーに沿って前記枠体が上下方向に往復移動するように構成されているとよい。
【0015】
好ましくは、前記枠体に形成されたスライド孔を前後に挟むように、前記スライドバーが前記枠体に嵌まり込んでいるとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の押圧マッサージ機によれば、コンパクト且つ薄型な装置が実現でき、リラックスして安寧な体勢で、施療部に対して押圧マッサージを受けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】押圧マッサージ機の外観を示す左前方からの斜視図である。
図2】押圧マッサージ機の内部構造を示す左前方からの斜視図である。
図3】押圧マッサージ機の内部構造を示す右後方からの分解斜視図である。
図4A】押圧マッサージ機の使用態様(腰掛けた状態で肩部を施術)を示した図である。
図4B】押圧マッサージ機の使用態様(腰掛けた状態で腰部を施術)を示した図である。
図5】押圧マッサージ機の使用態様を示した側面図である(仰向けに寝た姿勢で背中を施術)。
図6】押圧マッサージ機の内部構造(往復機構が枠体とオーバラップする位置)を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明にかかる押圧マッサージ機1を、図面に基づき詳しく説明する。なお、説明における前後方向、左右方向(幅方向)、上下方向は、図面において適宜示すことにしている。
【0019】
図1は、本発明の押圧マッサージ機1の外観を示す斜視図である。
【0020】
図1などに示すように、押圧マッサージ機1(以降、単にマッサージ機1ということもある)は、平面視で約15cm×約10cm程度の略長方形の形状のケース体2を有した小型の機器である。図5に示すように、ケース体2の上面は、中央が盛り上がった曲面状となっていて、高いところでの厚みは約7cm程度である。なお、ケース体2の底面は平坦となっており、四隅に設置用のゴムパッド(滑り止め部材)が配設されている。また、ケース体2の形状や大きさ、材質などは限定されない。
【0021】
図2は、マッサージ機1の内部構造を示す左前方からの斜視図である。図3は、マッサージ機1の内部構造を示す右後方からの分解斜視図である。
【0022】
図1図3などに示すように、このマッサージ機1には、使用者Uの施療部S(例えば、背中など)に対し押圧マッサージを行う施療子3が複数設けられている。詳しくは、ケース体2の前方側には、左右一対の施療子3aが設けられている。またケース体2の上面の後方にも、左右一対に施療子3bが設けられている。
【0023】
施療子3は、棒体4と施療部材5とを有している。棒体4は直径約2cm、長さ約5cmでありプラスチックなどで形成されている。棒体4の先端部には、棒体4に対して脱着可能な施療部材5が設けられている。施療部材5(施療子3の頭部)は、直径2cm~3cm程度の円形ボール形状乃至は楕円ボール形状であったり、上方が尖った形態の擬宝珠形状であったりする。施療部材5の材質については、マッサージ時の痛みを抑えるため、例えば所定の弾性を有する樹脂などが好ましい。なお、施療部材5の形状や大きさ、材質などは限定されない。
【0024】
棒体4は、ケース体2の上面に開けられた開孔6に遊嵌状態で貫通している。また、棒
体4の基端は、ケース体2に内蔵された駆動機構7に取り付けられている。この駆動機構7により、棒体4(すなわち、施療子3)はケース体2から往復出退(以降、上下動と呼ぶこともある)が可能となっている。この棒体4の上下動により施療部材5を介して、使用者Uの施療部S(例えば、背中など)に対し局所的な押圧マッサージ(ツボ押しマッサージ)を行うものとなっている。
【0025】
ケース体2上面の前側に配備された左右一対の施療子3aの間隔は、ケース体2上面の後側に配備された左右一対の施療子3bの間隔より広いものとなっている。本実施形態では、前側の施療子3aの間隔は、およそ12cm程度とされている。また、後側の施療子3bの間隔は、およそ8cm程度とされている。また、前側の施療子3aと施療子3bの間隔は、およそ7cm程度とされている。
【0026】
施療子3の突出量(高さ)について、前側の施療子3aの方が後側の施療子3bよりやや高い突出量となっている(図5を参照)。前側の施療子3aは、停止時(最も下がった位置)で載置面からおよそ10cm程度となっている。また、後側の施療子3bは、停止時で載置面からおよそ9cm程度となっている。
【0027】
しかしながら、この前後左右の間隔前側に配備された左右一対の施療子3aの間隔と、後側に配備された左右一対の施療子3bの間隔は略同じであってもよく、前側の施療子3aの間隔が狭くてもよい。また同様に、施療子3の突出量(高さ)の設定も適宜変更可能であり、前側の施療子3aと後側の施療子3bの突出量は略同じ量(高さ)であってもよく、前側の施療子3aの方が低くてもよい。
【0028】
施療子3を上下動させる機構としては、様々なものが採用可能である。例えば、エアバッグの上面に施療子3を構成する棒体4の基端を取り付けておき、エアバッグに圧縮空気を出し入れすることで、エアバッグが膨張・収縮させる。エアバッグが膨張した場合、施療子5の棒体4は上方へ持ち上がることになり、開孔6を介して棒体4がケース体2の外側に突出するようになる。すると、棒体4の先端に取り付けられた施療部材5が、使用者Uの施療部S(例えば、背中など)を押圧することになり、まるでマッサージ師の指でツボを指圧しているかのようなマッサージを受けることが可能となる。
【0029】
しかしながら、本実施形態では、以下に述べる機械式の駆動機構7を採用し、施療子3を上下動するようにしている。
【0030】
図2図3、特に図3に詳しく示されるように、本実施形態の押圧マッサージ機1は、薄型でコンパクトでありながら、施療子3を機械式の駆動機構7により確実に上下動させるものとなっている。
【0031】
まず、マッサージ機1のケース体2内に収納されている駆動機構7は、鉛直に立設するスライドバー8を有する基盤体9を有している。基盤体9は、左右一方に膨らんだ半円形状を有する板体であり、この板体の底面はケース体2の内部底面に取り付けられている。基盤体9の上面には、前後方向一対のスライドバー8が立設されている。このスライドバー8は断面が円形状、すなわち円柱状の軸部材である。スライドバー8は、例えばプラスチック製で形成されている。なお、スライドバー8の形状や材質などは限定されない。
【0032】
基盤体9は、ケース体2の内部底面の左右にそれぞれ対称となる位置に配備されている。それ故、ケース体2の内部底面からは、上方を向くスライドバー8が4本立設されている状態となる。
【0033】
このスライドバー8に嵌まり込みつつ上下動するガイド体10が設けられている。ガイド体10は平面視で四角形状の枠体10であり、中央部が空間となっている。加えて、ガイド体10(枠体10)は前側が大きく切り欠かれた部材であり、左右に伸びる後枠体10a、後枠体10aの両端からそれぞれ前方に延びる右枠体10b及び左枠体10cを備えている。
【0034】
つまり、本実施形態のガイド体10は「コ」の字型の枠体10である。ただし、ガイド体10は本実施形態の形状に限定されず、例えば前後左右の広さを大きくして「ロ」の字型の枠体にしても可能である。すなわち、ガイド体10の内部空間に駆動機構7(往復機構20)を収容することができるものであるとよい。
【0035】
ガイド体10には、上下方向を向くスライドバー8が貫通状に嵌まり込んでおり、スラ
イドバー8に沿ってガイド体10が上下方向に往復移動するように構成されている。
【0036】
具体的には、左枠体10cの前側と後側のそれぞれに上下方向に貫通する円形の貫通孔11が形成されており、前述したスライドバー8が摺動自在に嵌まり込んでいる。右枠体10bの前側と後側のそれぞれにも上下方向を向く円形の貫通孔11が形成されており、前述したスライドバー8が摺動自在に嵌まり込んでいる。そのため、ガイド体10はスライドバー8に沿って上下方向に移動可能となっている。
【0037】
また、詳しくは後述するが、右枠体10b及び左枠体10cのそれぞれ内側に前後方向を向くようにスライド孔24が形成されており、このスライド孔24を前後に挟むように、スライドバー8が嵌まり込んでいる。
【0038】
このような構成のため、ガイド体10は4本のスライドバー8で安定して支持されつつ上下に摺動し、ガイド体10はその上面が傾いたりせず、水平状態を維持しつつ上下(鉛直方向)に往復動可能となっている。
【0039】
「コ」の字型の枠体であるガイド体10の中央空間には、左右方向を向くように駆動軸12が配設されている。駆動軸12は回転枢支部13により回転自在に枢支されている。回転枢支部13は、駆動軸12の右側部と中央部と左側部に設けられている。すなわち、駆動軸12は3つの回転枢支部13により、ケース体2の内部底面から所定距離をもって回転自在に枢支されている。駆動軸12の右側(右側回転枢支部13と中央回転枢支部13との間)には、ウォームホイル14が設けられている。このウォームホイル14は、上部に設けられたウォームギア15と噛合している。
【0040】
ウォームギア15は、前後方向を向く中間駆動軸16の後方端に設けられている。中間駆動軸16は、駆動軸12と直交するように配備されている。この中間駆動軸16の前方端には、ウォームホイル17が設けられている。このウォームホイル17は、下部に設けられたウォームギア19と噛合している。ウォームホイル17は、電動モータ18の出力軸18aの先端に設けられている。
【0041】
電動モータ18は、駆動軸12の前側に配備されている。電動モータ18は、出力軸18aが駆動軸12と平行になるように、出力軸18aが左右方向を向くように配備されている。このように、電動モータ18もガイド体10の内部空間に収まるように配備されている。
【0042】
すなわち、駆動機構7は、ケース体2内に収納され且つ上面に施療子3が配備されたガイド体10(枠体10)と、このガイド体10をケース体2内で上下方向に往復移動させる往復機構20と、を有している。この往復機構20は、ガイド体10の内部空間内で水平方向に架け渡された駆動軸12と、この駆動軸12を回転駆動させる電動モータ18と、を有する。
【0043】
ガイド体10の前部は切り欠かれており、前枠体は存在しないものとなっている。この切り欠かれた部位には、左右方向を向くように長円柱状の電池21が配備されている。電池21は、電動モータ18を駆動するに十分な電力を供給可能なものであり、リチウムイオン電池が採用されている。また、電池21(バッテリー)は、コンパクトなマッサージ機1(ケース体2)に内蔵されるため、小型のものを採用している。本実施形態では、例えば、長さ:約8cm×直径:約3cm程度の円柱形状の筐体を有する小型のバッテリー21を用いている。なお、電池21については例示したものに限定されない。
【0044】
以上のことから明らかなように、駆動軸12や、電動モータ18を備える往復機構20と、電池21などの駆動機構7は、ガイド体10の内部空間に収められている。また、駆動機構7は、側面視でガイド体10から上下に大きくはみ出さないように配備されている。つまり、図6に示すように、往復機構20は、ガイド体10で囲まれた内部空間であって側面視でガイド10とオーバラップする位置に配備されている。
【0045】
このように、ガイド体10の下方に電動モータ18などが存在しないため、本実施形態のマッサージ機1は上下方向に厚みを有さず、薄型でコンパクトなものとなっている。
【0046】
本実施形態のマッサージ機1において、駆動軸12の先端(右先端部、左先端部)とガイド体10の係合は、特徴的なものとなっている。
【0047】
図3に示す如く、例えば、駆動軸12の右先端部においては、駆動軸12の軸心から偏
心した位置に先端軸22が設けられている。この先端軸22の基端部と駆動軸12の右先端部は、突出片23で連結されている。突出片23は、クランク形状に形成された部材である。先端軸22の軸心は、クランク形状の突出片23により、駆動軸12の軸心と同一軸心では無く、同方向を向き且つ並行となるように配置されている。従って、駆動軸12が回転することにより、先端軸22は、突出片23を介して駆動軸12の軸心回りに偏心回転するようになる。
【0048】
また、先端軸22は、ガイド体10の右枠体10bに水平方向に開口されたスライド孔24へ向けてスライド自在に嵌まり込んでいる。スライド孔24は、右枠体10bの内側に前後方向を向くように開口された長溝状の開孔であり、本実施形態の場合は、右枠体10bを左右方向に貫くように形成されている。
【0049】
すなわち、駆動軸12の両端部(左右の先端軸22)は、ガイド体10に形成された水平方向を向くスライド孔24に突出片23を介して偏心状態で嵌まり込んでおり、この駆動軸12が伝達する回転駆動力の上下方向成分のみをガイド体10に伝える構成とされている。
【0050】
この先端軸22とスライド孔24などが、ガイド体10をケース体2内で上下方向に往復移動させる往復機構20である。上記の構造により、駆動軸12が回転すると、先端軸22はスライド孔24内でスライドしながら、駆動軸12の軸心回りに偏心回転し、スライドバー8に案内されてガイド体10が上下動する。
【0051】
なお、上記した駆動軸12に対して偏心した先端軸22やスライド孔24などの往復機構20の構造については、駆動軸12の左端部においても同様の構造であり、駆動軸12の左端部に偏心状に設けられた先端軸22は、左枠体10cに水平方向に開口されたスライド孔24へ向けて、突出片23を介してスライド自在に嵌まり込んでいる。
【0052】
図2図3に示すように、ガイド体10の上面には、4つの施療子3が設けられている。具体的には、右枠体10bの先端部に一つの施療子3aが設けられ、左枠体10cの先端部にも一つの施療子3aが設けられている。後枠体10aの中央部には、左右方向に距離を開けて一対の施療子3bが設けられている。
【0053】
各施療子3は、同じ構造をしており、上方に立設された棒体4を有している。この棒体4はケース体2の上面に開けられた開孔6を遊嵌するように貫通していて、先端はケース体2の外側に飛び出るように備えられている。
【0054】
ケース体2の外側に飛び出た棒体4の先端には、脱着自在に施療部材5が設けられている。この施療部材5により、使用者Uの施療部Sを押圧マッサージすることになる。施療部材5の直径は約2cm~3cmであるため、施療部材5による押圧の圧力は強いものになり、マッサージ師による指圧、ツボ押しマッサージに近い効果的なマッサージとなる。
【0055】
なお、施療部材5の形状や材質などについては様々なものが採用可能であり、円状や楕円形状であってもよく、先端(上部)が尖った擬宝珠状であってもよい。また、施療部材5の材質については、マッサージ時に不快な痛みを付与しないため、例えば所定の硬さ(少し変形することが可能な硬さ)を有する樹脂が好ましい。これら施療部材5は、棒体4の先端に付け替え自在に取り付けられる。
【0056】
棒体4の基端はガイド体10に取り付けられている。詳しくは、ガイド体10には棒体4の基端が入り込む案内孔25(上下方向を向く筒状孔)が形成されており、この案内孔25の底部にはバネ体26が挿入されている。つまり、施療子3はバネ体26上に配置され、案内孔25内を上下方向に摺動可能となっている。それ故、棒体4は上下方向に弾性移動可能となっており、施療部材5に過度な押圧力が加わったとしても、バネ体26の変形量だけ棒体4(施療子3)は下方へ沈み込むことが可能となる。このバネ体26の作用により、施療部材5で使用者Uの施療部Sを過度に押圧することを回避でき、常に心地よい押圧力で使用者Uの施療部Sを押すことが可能となる。また、バネ体26の弾性により過剰な力を逃すことで、施療子3の損傷を防ぐことができる。
[使用態様]
以上述べた構成を有する押圧マッサージ機1の使用態様について述べる。
【0057】
例えば、図4A図4Bに示すように、使用者Uは椅子Cに座り、椅子Cの背もたれ部
と使用者Uの施療部Sとの間にマッサージ機1を挟み込むように配置する。
【0058】
図4Aに示す如く、肩Kをマッサージする場合は、首筋に対応する部分に左右間隔の狭い施療子3を充てがうようにするとよいが、それに限定されるものではない。同様に、図4Bに示すように、マッサージ機1を腰Wに充てがう際には、左右間隔の広い方の施療子3を臀部に近い側へ充てがうようにするとよいが、それに限定されるものではない。
【0059】
なお、マッサージ機1について、例えば、椅子Cの背もたれ部で使用する場合、前側を上に向けて配置してもよいし、後側を上に向けて配置してもよい。また、左右のいずれかを上に向けて配置してもよい。
【0060】
図5に示すように、床面F上にマッサージ機1を載置し、その上に寝転ぶようにして施療部(多くの場合、背中)を充てがってマッサージを行うようにしてもよい。
【0061】
図4A図4B図5などの状態で、ケース体2の側部に設けられたスイッチを操作し電動モータ18を駆動させる。すると、出力軸18aから回転駆動力が出力され、中間駆動軸16のウォームホイル17とウォームギア15を経て、ウォームホイル14へ伝達される。ウォームホイル14により、ガイド体10の内部空間において左右方向を向くように配備された駆動軸12が回転し、この駆動軸12の両端(右端部、左端部)に偏心状に設けられた先端軸22が偏心回転するようになる。
【0062】
この先端軸22は、右枠体10b及び左枠体10cに形成された前後方向を向くスライド孔24の内側をスライド移動し、上下方向成分の駆動力のみをガイド体10へ伝達する。つまり、駆動軸12の回転は、先端軸22がスライド孔24内を前後に摺動しながら回転することで、クランク形状の突出片23により偏心回転に変換される。
【0063】
そのため、ガイド体10がスライドバー8に案内されて水平を維持しながら上下動し、ひいては、施療子3がケース体2の上面から出入りし施療子3に備えられた施療部材5が使用者Uの施療部Sをツボ押しマッサージする。
【0064】
なお、マッサージ中に、施療部材5に過度な力が加わったとしても、棒体4の基端側に配備されたバネ部材26の変形量だけ施療部材5が逃げることになるため、使用者Uへの過度な押圧マッサージを回避することができる。また、使用者Uの好みにより、施療部材5を様々な形状のものへ付け替えることができるため、効果的なマッサージを付与することが可能となる。
【0065】
以上、本実施形態のマッサージ機1によれば、コンパクト且つ薄型な装置が実現でき、リラックスして安寧な体勢で、使用者Uの施療部Sに対して押圧マッサージを受けることができる。
【0066】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。例えば、施療子3の形状・大きさや配置の間隔、突出のリズムや突出量、ガイド体10(枠体10)の形状や内部空間の大きさ、上下動の大きさ、駆動軸12に対する先端軸21の偏心度合い等については、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 押圧マッサージ機
2 ケース体
3 施療子
4 棒体
5 施療部材
7 駆動機構
8 スライドバー
9 基盤体
10 ガイド体(枠体)
11 貫通孔
12 駆動軸
16 中間駆動軸
18 電動モータ
20 往復機構
22 先端軸
23 突出片
24 スライド孔
25 案内孔
26 バネ体
U 使用者
S 施療部
C 椅子
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6