(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021337
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】エアストレッチ運動装置
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
A61H7/00 322E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124094
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】玉木 賢
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD02
4C100BA02
4C100BB05
4C100BC12
4C100BC14
4C100CA02
4C100DA01
4C100DA04
4C100DA05
4C100DA10
(57)【要約】
【課題】使用者の部位に対して施術を行えるエアバッグを格納したシート部を備えておき、仰臥した状態で使用者の背部などに対してエアバッグの膨張により伸ばすストレッチ運動に加え、シート部上に着座して上体を起こした状態にして脚部の施療部に対してエアバッグの膨張により押圧することができるエアストレッチ装置を提供する。
【解決手段】本発明は、使用者Uの頭部Hが載置可能な枕部2と、当該枕部2の前側に接続され且つ可撓性を有するシート部3と、シート部3に配設され且つ使用者Uの施療部に対して押圧する第1のエアバック4と、当該第1のエアバック4を駆動する駆動部と、を備えているエアストレッチ運動装置1において、シート部3は、使用者Uの施療部が載置可能な広さを備えた本体部5と、本体部5から幅方向右外側に配設された第1延設部6と、本体部か5ら幅方向左外側に配設された第2延設部7と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部が載置可能な枕部と、当該枕部の前側に接続され且つ可撓性を有するシート部と、前記シート部に配設され且つ前記使用者の施療部に対して押圧する第1のエアバックと、当該第1のエアバックを駆動する駆動部と、を備えているエアストレッチ運動装置において、
前記シート部は、前記使用者の施療部が載置可能な広さを備えた本体部と、前記本体部から幅方向右外側に配設された第1延設部と、前記本体部から幅方向左外側に配設された第2延設部と、を有する
ことを特徴とするエアストレッチ運動装置。
【請求項2】
前記第1延設部は、帯状で可撓性を備えていて、前記使用者の右腿部に巻き付けることができる構成とされていて、
前記第2延設部は、帯状で可撓性を備えていて、前記使用者の左腿部に巻き付けることができる構成とされている
ことを特徴とする請求項1に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項3】
前記第1延設部及び前記第2延設部には、前記駆動部から供給される空気により膨張する第2のエアバッグが設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項4】
前記シート部は、前記本体部の右側に配設された第3延設部と、前記第3延設部と対となるように配備され且つ左側に配設された第4延設部と、を有する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項5】
前記第3延設部は、帯状で可撓性を備えていて、前記使用者の右脹脛に巻き付けることができる構成とされていて、
前記第4延設部は、帯状で可撓性を備えていて、前記使用者の左脹脛に巻き付けることができる構成とされている
ことを特徴とする請求項4に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項6】
前記第1延設部及び前記第2延設部は、前記枕部側の前記シート部に設けられ、
前記第3延設部及び前記第4延設部は、前記枕部の反対側である前側の前記シート部に設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項7】
前記本体部には、前記駆動部から供給される空気により膨張する前記第1のエアバッグが、少なくとも前側と後側に設けられている
ことを特徴とする請求項2又は6に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項8】
前記後側エアバッグの上に載置された前記右腿部を、前記第1延設部で巻き付けるとともに、前記後側エアバッグの上に載置された前記左腿部を、前記第2延設部で巻き付けることで、
前記右腿部及び前記左腿部に対して、前記後側エアバッグの膨張により押圧することが可能とされている
ことを特徴とする請求項7に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項9】
前記前側エアバッグの上に載置された前記右脹脛を、前記第3延設部で巻き付けるとともに、前記前側エアバッグの上に載置された前記左脹脛を、前記第4延設部で巻き付けることで、
前記右脹脛及び前記左脹脛に対して、前記前側エアバッグの膨張により押圧することが可能とされている
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項10】
前記本体部は、前記使用者が仰臥可能な広さを備えていて、
前記枕部に前記使用者の頭部を載置して前記本体部に仰向けに寝た状態で、前記使用者の背部から臀部までの施療部に対して、前記本体部に配設された前記第1のエアバッグの膨張により伸ばすストレッチ運動を行うことができる構成とされている
ことを特徴とする請求項1に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項11】
前記前側エアバッグ及び前記後側エアバッグは、独立乃至は協働して膨張と収縮を繰り返す制御が行われる
ことを特徴とする請求項7に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項12】
前記第1延設部と前記第2延設部は、ベルト部材からなり、前記本体部の裏面側に設けられていて、
前記ベルト部材は、可撓性を備えていて、前記使用者の施療部に巻き付けることができる構成とされている
ことを特徴とする請求項1又は8に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項13】
前記ベルト部材は、前記第1延設部と前記第2延設部が前記本体部の左右から突出するように設けられ且つ、前記本体部から着脱可能とされている
ことを特徴とする請求項12に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項14】
前記本体部の裏面には、左右方向に前記ベルト部材を通すことができるベルト孔が設けられている
ことを特徴とする請求項13に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項15】
前記ベルト孔は、前記本体部に前後方向に沿って複数形成されていることを特徴とする請求項14に記載のエアストレッチ運動装置。
【請求項16】
前記シート部は、前記枕部側に向かってロール状に巻回することができる構成とされていることを特徴とする請求項1に記載のエアストレッチ運動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面やベッドなど略水平な場所に載置し、使用者が仰臥してストレッチ運動をすることが可能であるとともに、シート部上に着座して施療部に対して押圧することが可能なシート型のエアストレッチ運動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では体を動かす機会が少なかったり、長時間同じ姿勢でいることがよくある。そのため、身体の筋や腱などが収縮した状態となったり、筋肉が凝り固まったりすることがよくある。このような身体(施療部)に対して、伸ばすストレッチ運動ができる装置が市販されている。肩部~腰部までの背部や臀部などの施療部をストレッチ運動させることのできる運動機が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1のストレッチ運動機はシート型とされ、そのシート部上に使用者が仰臥して背部や臀部などを伸ばしてストレッチ運動を行うものである。
【0003】
また、使用者の施療部に対してエアバッグを用いて押圧動作を行う装置も市販されている。腿部や脹脛などの脚部に対してエアバッグを用いて押圧動作を行う装置が、例えば特許文献2に開示されている。特許文献2には、腿部に巻き付け可能な帯状の第1脚被覆部と、脹脛に巻き付け可能な帯状の第2脚被覆部を備えた装置が開示されている(例えば、実施の形態3、
図7などを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許7054919号公報
【特許文献2】特開2018-183282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、肩部・背中・腰部などの背部や臀部などに対して十分にストレッチ運動を行うことができ、高いストレッチ効果を得ることができるものである。
【0006】
さて、特許文献2は、左右の脚部のそれぞれにおいて、帯状の第1脚被覆部を腿部に巻き付けるとともに、帯状の第2脚被覆部を脹脛に巻き付ける煩雑な装置であり、押圧動作の施術をする前の使用者に大きな負担がかかっていた。この装置は、煩雑な装置であるにも関わらず、施術を行える箇所が使用者の腿部などの脚部に限定されるものであった。
【0007】
このようなことより、近年では、使用者から左右の脚部だけでなく、他の施療部に対しても、ストレッチ運動(施術1)や押圧動作(施術2)を一つの装置で行えるようにしてほしいとの要望があった。
【0008】
例えば、背部・腰部・臀部などの施療部に対してストレッチ運動などの施術1が行えることに加えて、左右の脚部に対して押圧動作などの施術2が行えるような装置が望まれている。すなわち、従来の装置のように脚部だけなどの施療部に限定されずに、様々な部位に対してストレッチ運動などの施術1と押圧動作などの施術2を行える装置が望まれていた。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、使用者の部位に対して施術を行えるエアバッグを格納したシート部を備えておき、仰臥した状態で使用者の背部や臀部などの施療部に対してエアバッグの膨張により伸ばすストレッチ運動に加え、シート部上に着座して上体を起こした状態にして脚部の腿部や脹脛などの施療部に対してエアバッグの膨張により押圧することができるエアストレッチ運動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
【0011】
本発明にかかるエアストレッチ運動装置は、使用者の頭部が載置可能な枕部と、当該枕部の前側に接続され且つ可撓性を有するシート部と、前記シート部に配設され且つ前記使用者の施療部に対して押圧する第1のエアバックと、当該第1のエアバックを駆動する駆動部と、を備えているエアストレッチ運動装置において、前記シート部は、前記使用者の
施療部が載置可能な広さを備えた本体部と、前記本体部から幅方向右外側に配設された第1延設部と、前記本体部から幅方向左外側に配設された第2延設部と、を有することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記第1延設部は、帯状で可撓性を備えていて、前記使用者の右腿部に巻き付けることができる構成とされていて、前記第2延設部は、帯状で可撓性を備えていて、前記使用者の左腿部に巻き付けることができる構成とされているとよい。
【0013】
好ましくは、前記第1延設部及び前記第2延設部には、前記駆動部から供給される空気により膨張する第2のエアバッグが設けられているとよい。
【0014】
好ましくは、前記シート部は、前記本体部の右側に配設された第3延設部と、前記第3延設部と対となるように配備され且つ左側に配設された第4延設部と、を有するとよい。
【0015】
好ましくは、前記第3延設部は、帯状で可撓性を備えていて、前記使用者の右脹脛に巻き付けることができる構成とされていて、前記第4延設部は、帯状で可撓性を備えていて、前記使用者の左脹脛に巻き付けることができる構成とされているとよい。
【0016】
好ましくは、前記第1延設部及び前記第2延設部は、前記枕部側の前記シート部に設けられ、前記第3延設部及び前記第4延設部は、前記枕部の反対側である前側の前記シート部に設けられているとよい。
【0017】
好ましくは、前記本体部には、前記駆動部から供給される空気により膨張する前記第1のエアバッグが、少なくとも前側と後側に設けられているとよい。
【0018】
好ましくは、前記後側エアバッグの上に載置された前記右腿部を、前記第1延設部で巻き付けるとともに、前記後側エアバッグの上に載置された前記左腿部を、前記第2延設部で巻き付けることで、前記右腿部及び前記左腿部に対して、前記後側エアバッグの膨張により押圧することが可能とされているとよい。
【0019】
好ましくは、前記前側エアバッグの上に載置された前記右脹脛を、前記第3延設部で巻き付けるとともに、前記前側エアバッグの上に載置された前記左脹脛を、前記第4延設部で巻き付けることで、前記右脹脛及び前記左脹脛に対して、前記前側エアバッグの膨張により押圧することが可能とされているとよい。
【0020】
好ましくは、前記本体部は、前記使用者が仰臥可能な広さを備えていて、前記枕部に前記使用者の頭部を載置して前記本体部に仰向けに寝た状態で、前記使用者の背部から臀部までの施療部に対して、前記本体部に配設された前記第1のエアバッグの膨張により伸ばすストレッチ運動を行うことができる構成とされているとよい。
【0021】
好ましくは、前記前側エアバッグ及び前記後側エアバッグは、独立乃至は協働して膨張と収縮を繰り返す制御が行われるとよい。
【0022】
好ましくは、前記第1延設部と前記第2延設部は、ベルト部材からなり、前記本体部の裏面側に設けられていて、前記ベルト部材は、可撓性を備えていて、前記使用者の施療部に巻き付けることができる構成とされているとよい。
【0023】
好ましくは、前記ベルト部材は、前記第1延設部と前記第2延設部が前記本体部の左右から突出するように設けられ且つ、前記本体部から着脱可能とされているとよい。
【0024】
好ましくは 前記本体部の裏面には、左右方向に前記ベルト部材を通すことができるベルト孔が設けられているとよい。
【0025】
好ましくは、前記ベルト孔は、前記本体部に前後方向に沿って複数形成されているとよい。
【0026】
好ましくは、前記シート部は、前記枕部側に向かってロール状に巻回することができる構成とされているとよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、使用者の部位に対して施術を行えるエアバッグを格納したシート部を備えておき、仰臥した状態で使用者の背部や臀部などの施療部に対してエアバッグの膨張により伸ばすストレッチ運動に加え、シート部上に着座して上体を起こした状態にして脚部の腿部や脹脛などの施療部に対してエアバッグの膨張により押圧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明のエアストレッチ運動装置の第1実施形態の概略を模式的に示した斜視図である。
【
図2】本発明のエアストレッチ運動装置の第1実施形態の概略を模式的に示した正面図である。
【
図3】本発明のエアストレッチ運動装置の第1実施形態の使用態様1(施術1)を示した図である。
【
図4】本発明のエアストレッチ運動装置の第1実施形態の使用態様2(施術2)を示した図である。
【
図5A】本発明のエアストレッチ運動装置の第2実施形態の表面側を示した図である(バックル止め)。
【
図5B】本発明のエアストレッチ運動装置の第2実施形態の裏面側を示した図である。
【
図5C】本発明のエアストレッチ運動装置の第2実施形態の変形例を示した図である(面ファスナー止め)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明にかかるエアストレッチ運動装置1の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を具体化した一例であって、その具体例をもって本発明の構成を限定するものではない。また、図面に関して、見やすくするため、構成部品の一部を省略したり、仮想線などを用いて描いている。
【0030】
本実施形態を説明するにあたり、シート型のエアストレッチ運動装置1の方向について、説明の便宜上、以下のように定義する。
【0031】
図1~
図5などに示すように、シート型のエアストレッチ運動装置1の長手方向において、枕部2側を「後側」とし、枕部2の反対側であるシート部3(本体部5)の端部側を「前側」とする。
図4に示すように、使用者Uがシート型のエアストレッチ運動装置1上に上体Bを起こして着座した場合、その使用者Uから見た前方の方向は、エアストレッチ運動装置1の「前側」となる。
【0032】
また、
図3に示すように、使用者Uがシート型のエアストレッチ運動装置1上に仰臥した場合、その使用者Uが見上げた方向(天井方向)を、エアストレッチ運動装置1の「上側」とする。なお、エアストレッチ運動装置1の左右方向については、図面に示す通りである。
[第1実施形態]
図1~
図4に、本発明にかかるエアストレッチ運動装置1の第1実施形態の構成及び使用態様を示す。
【0033】
図1~
図4などに示すように、本発明にかかるエアストレッチ運動装置1は、床面Fやベッドなど平らな面上に敷設でき、例えば仰臥した使用者Uの肩部から背中を経て腰部までの背部Kや臀部Dなどの施療部に対して伸ばしてほぐすストレッチ運動(施術1)が行えることに加えて、上体Bを起こした状態で脚部L(下肢L)の腿部Tや脹脛Cなどの施療部に対して押圧動作(施術2)が一つの装置で行えるものである。また、本実施形態のエアストレッチ運動装置1は、シート部3をロール状に巻いてコンパクトにして携帯することができるものである。
【0034】
本実施形態のエアストレッチ運動装置1は、仰向けに寝た使用者Uの頭部Hを載置することが可能な枕部2と、この枕部2の前側に接続され且つ可撓性を有するシート部3と、このシート部3の内部に格納され且つ使用者Uの施療部に対して膨張することで押圧してほぐす第1のエアバック4と、この第1のエアバック4を駆動する駆動部(図示せず)と、を備えている。なお、第1のエアバック4を単にエアバック4と呼ぶ。
【0035】
本実施形態のエアストレッチ運動装置1の大きさを例示すると、広げたときのシート部3の左右方向の長さ(幅)は、使用者Uの肩幅よりやや大きいものである。なお、本実施形態では、シート部3から右方向に延設された第1延設部6(詳細は後述)と、シート部3から左方向に延設された第2延設部7(詳細は後述)を備えている。そのため、エアストレッチ運動装置1は、使用者Uの両腕部を左右に広げた状態での上腕部までの長さを備えているものとなっている。
【0036】
また、このエアストレッチ運動装置1を広げたときの前後方向の長さは、およそ使用者Uの頭部Hから背部Kを経て臀部Dにかけての長さに相当するものである。すなわち、エアストレッチ運動装置1は、上体Bを載置できる大きさである。
【0037】
図1~
図4などに示すように、枕部2は、内部が空洞とされ且つ左右方向に長尺な部材である。この枕部2は、エアバッグ4を駆動する駆動部を格納する格納体である。枕部2は、シート部3上に仰向けに寝た使用者Uの頭部Hが載置可能なものである。枕部2の上面側は、例えば丸みを帯びた形状や平らな面を有する形状などが挙げられる。また、枕部2の下面側は、枕部2を床面Fなどの平らな面に載置するため、略水平面とされている。
【0038】
枕部2は、外周全体(特に、頭部Hと接する上面側)がクッション部材に覆われている。本実施形態の枕部2は、左右方向に長い円筒形状の部材とされている。なお、枕部2の形状については、本実施形態で例示した形状に限定されない。
【0039】
なお、
図4に示すように、枕部2は、使用者Uがシート部3に腰を下ろして着座したとき、臀部Dと接触して、後方への移動を防ぐストッパ部材となる。
【0040】
枕部2の前側には、シート部3が接続されている。つまり、シート部3の後側に枕部2が接続されている。シート部3は、床面Fなどに敷設可能なものであって、使用者Uが腰を下ろして着座可能な大きさである。また、シート部3は、使用者Uが仰向けに寝る(上体Bを載置する)ことができる大きさでもある。すなわち、シート部3は、使用者Uの施療部(例えば、脚部L又は背部Kなど)の下に広げられる広さを有している。また、シート部3は、例えば布などの可撓性の部材で形成されている。
【0041】
シート部3は、使用者Uの施療部が載置可能な広さを備えた本体部5と、本体部5から幅方向右外側に帯状に延設された第1延設部6と、本体部5から幅方向左外側に帯状に延設された第2延設部7と、を有する。第1延設部6及び第2延設部7には、駆動部から供給される空気により膨張する第2のエアバッグ4が設けられている。なお、第2のエアバック4を単にエアバック4と呼ぶ。
【0042】
また、シート部3は、本体部5の中央から上方右側に向かって帯状に延設された第3延設部8と、第3延設部8と対となるように配備され且つ上方左側に向かって帯状に延設された第4延設部9と、を有する。
【0043】
本体部5は、使用者Uが仰臥可能な広さで且つ、腰を下ろして着座可能な大きさの面積を備えている。本体部5としては、例えば二枚の同形状の布材(上布材、下布材)の端部を縫い合わせることで、内部に空間を設けて袋状にするとよい。
【0044】
その本体部5の内部(上布と下布の間)には、エアバッグ4が複数備えられている。エアバッグ4は、本体部5上に上体Bを載せて仰臥した使用者Uの背部K、臀部Dなどの施療部を上方に押し上げて、伸ばしてほぐすストレッチ運動を行う。また、エアバッグ4は、本体部5上に腰を下ろし上体Bを起こした使用者Uの脚部L(腿部T、脹脛C)の施療部に対して押圧する動作を行う。
【0045】
また、図示はしないが、シート部3(本体部5)は、枕部2側に向かってロール状に巻回することができる構成とされているとよい。例えば、第1延設部6と第2延設部7を折りたたんだ本体部5をロール状に巻き、枕部2の傍に並列状態にしてまとめて、本体部5がほどけないように、面ファスナーなどで係合することができる構成であってもよい。また、第1延設部6と第2延設部7を折りたたんだ本体部5を枕部2の外周回りに巻き付けてロール状にまとめて、本体部5がほどけないように、面ファスナーなどで係合することができる構成であるとよい。
【0046】
このように、本体部5をロール状に巻き取って面ファスナーなどで係合すると、エアストレッチ運動装置1がコンパクトになり携帯しやすくなる。また、収納場所も小さくて済むようになる。また、面ファスナーの係合を解除することで、本体部5を枕部2から開放することができ、エアストレッチ運動装置1を床面Fなどに簡単に敷設することができる。
【0047】
図1~
図4などに示すように、本体部5(シート部3)の内部には、駆動部から供給される空気により膨張するエアバッグ4が、少なくとも前側と後側に設けられている。本実施形態では、エアバッグ4は、後側エアバッグ4aと前側エアバッグ4bからなる。
【0048】
後側エアバッグ4aとして、第1エアバッグ10と第2エアバッグ11(詳細は後述)が設けられている。また、前側エアバッグ4bとして、第3エアバッグ14と第4エアバッグ15(詳細は後述)が設けられている。すなわち、本実施形態においては、本体部5の内部にエアバッグ4が4個格納されている。
【0049】
なお、これら複数のエアバッグ4は、空気を不透過とされた布体(ビニールなど)を上下に配置し、その周縁を溶着などにより気密状態に接合した構造とされている(溶着構造)。
【0050】
詳しくは、
図1や
図2に示すように、本体部5の右後側(枕部2側)には、第1エアバッグ10が配置されている。また、本体部5の左後側(枕部2側)には、第2エアバッグ11が配置されている。つまり、第1エアバッグ10と第2エアバッグ11は、本体部5の後側において、左右一対となるように隣接配置されている。
【0051】
第1エアバッグ10(右後側エアバッグ10)は、本体部5の右後側に配備されているものであって、本体部5上に仰臥した使用者Uの右側の背部K(肩部、背中、腰部など)に対応する位置に配置されている。また、第1エアバッグ10は、本体部5上に着座した使用者Uの右腿部TRなどに対応する位置に配置されているものでもある。
【0052】
第1エアバッグ10は、例えば「長方形状」や「楕円形状」などの形状とされた袋体である。本実施形態の第1エアバッグ10は、平面視で、前後方向に長い長方形状の袋体とされている。第1エアバッグ10は、枕部2内の駆動部のポンプからの加圧された空気を貯留可能であり、大きく膨張できるように膨縮自在となっている。
【0053】
第1エアバッグ10の後側(枕部2側)には、第1空気供給口12が設けられている。第1空気供給口12は、第1空気供給ホースを介して枕部2内のポンプに接続されている。そのポンプにて加圧された空気が、第1空気供給口12を通過して第1エアバッグ10内に供給される。この加圧された空気により、第1エアバッグ10は膨張する。
【0054】
この第1エアバッグ10が本体部5の上面から上方向に向かって膨張することで、本体部5上に仰向けに寝た使用者Uの右側の背部K(肩部~腰部)の施療部を持ち上げて、伸ばしてほぐすストレッチ運動を付与する。また、第1エアバッグ10の上方向の膨張により、本体部5上に着座した使用者Uの右腿部TRの施療部を持ち上げて、押圧してほぐす動作を付与する。
【0055】
第2エアバッグ11(左後側エアバッグ11)は、第1エアバッグ10を左に反転(鏡像反転)させて配置したものである。すなわち、第2エアバッグ11と第1エアバッグ10は、左右対称のものである。なお、第2エアバッグ11の構成については、第1エアバッグ10とほぼ同じであるので、詳細な説明を省略する。ただし、この第2エアバッグ11については、概略のみ説明する。
【0056】
第2エアバッグ11の後側(枕部2側)には、第2空気供給口13が設けられている。枕部2内のポンプにて加圧された空気が、第2空気供給口13を通過して第2エアバッグ11内に供給されることで、第2エアバッグ11は膨張する。
【0057】
この第2エアバッグ11が本体部5の上面から上方向に向かって膨張することで、本体部5上に仰向けに寝た使用者Uの左側の背部K(肩部~腰部)の施療部を持ち上げて、伸ばしてほぐすストレッチ運動を付与する。また、第2エアバッグ11の上方向の膨張により、本体部5上に着座した使用者Uの左腿部TLの施療部を持ち上げて、押圧してほぐす動作を付与する。
【0058】
さて、本体部5の右前側(第1エアバッグ10の前側)には、第3エアバッグ14が配置されている。また、本体部5の左前側(第2エアバッグ11の前側)には、第4エアバッグ15が配置されている。つまり、第3エアバッグ14と第4エアバッグ15は、本体部5の後側において、左右一対となるように隣接配置されている。また、第1エアバッグ10と第3エアバッグ14は、本体部5の右側において、前後に列をなすように備えられている。
【0059】
第3エアバッグ14(右前側エアバッグ14)は、本体部5の右前側に配備されているものであって、本体部5上に仰臥した使用者Uの右側の臀部Dなどに対応する位置に配置されている。また、第3エアバッグ14は、本体部5上に着座した使用者Uの右脹脛CR
などに対応する位置に配置されているものでもある。
【0060】
第3エアバッグ14は、例えば「長方形状」や「楕円形状」などの形状とされた袋体である。本実施形態の第3エアバッグ14は、平面視で、左右方向に長い楕円形状の袋体とされている。第3エアバッグ14は、枕部2内の駆動部のポンプからの加圧された空気を貯留可能であり、大きく膨張できるように膨縮自在となっている。
【0061】
この第3エアバッグ14の後側には、ポンプから供給された空気が通過する右空気通路16が設けられている。この右空気通路16は、第1エアバッグ10の右外側を通過するように備えられている。右空気通路16は、平面視で、前後方向に長い筒形状の袋体とされている。すなわち、右空気通路16は、第3エアバッグ14と連通状態となるように形成されている。
【0062】
右空気通路16の後側(枕部2側)には、第3空気供給口17が設けられている。第3空気供給口17は、第3空気供給ホースを介して枕部2内のポンプに接続されている。そのポンプにて加圧された空気が、第3空気供給口17から入って右空気通路16を通過し第3エアバッグ14内に供給される。この加圧された空気により、第3エアバッグ14は膨張する。
【0063】
この第3エアバッグ14が本体部5の上面から上方向に向かって膨張することで、本体部5上に仰向けに寝た使用者Uの右側の臀部Dなどの施療部を持ち上げて、伸ばしてほぐすストレッチ運動を付与する。また、第3エアバッグ14の上方向の膨張により、本体部5上に着座した使用者Uの右脹脛CRの施療部を持ち上げて、押圧してほぐす動作を付与する。
【0064】
第4エアバッグ15(左前側エアバッグ15)は、第3エアバッグ14を左に反転(鏡像反転)させて配置したものである。すなわち、第4エアバッグ15と第3エアバッグ14は、左右対称のものである。また、第2エアバッグ11と第4エアバッグ15は、本体部5の左側において、前後に列をなすように備えられている。なお、第4エアバッグ15の構成については、第3エアバッグ14とほぼ同じであるので、詳細な説明を省略する。ただし、この第4エアバッグ15については、概略のみ説明する。
【0065】
この第4エアバッグ15の後側には、ポンプから供給された空気が通過する左空気通路18が設けられている。この左空気通路18は、第2エアバッグ11の左外側を通過するように備えられている。
【0066】
左空気通路18の後側(枕部2側)には、第4空気供給口19が設けられている。枕部2内のポンプにて加圧された空気が、第4空気供給口19から入って左空気通路18を通過し第4エアバッグ15内に供給されることで、第4エアバッグ15は膨張する。
【0067】
この第4エアバッグ15が本体部5の上面から上方向に向かって膨張することで、本体部5上に仰向けに寝た使用者Uの左側の臀部Dなどの施療部を持ち上げて、伸ばしてほぐすストレッチ運動を付与する。また、第4エアバッグ15の上方向の膨張により、本体部5上に着座した使用者Uの左脹脛CLの施療部を持ち上げて、押圧してほぐす動作を付与する。
【0068】
これら第1エアバッグ10~第4エアバッグ15(後側エアバッグ4a及び前側エアバッグ4b)は、それぞれ独立乃至は協働して膨張と収縮を繰り返す制御が行われる。この制御により、様々なストレッチ運動や押圧する動作(マッサージ動作)などが得られる。
【0069】
なお、第1エアバッグ10~第4エアバッグ15の形状に関しては、本体部5(シート部3)上に仰臥した使用者U(上体B)の背部Kや臀部Dなどの施療部に対してストレッチ運動することができるとともに、本体部5上に着座した使用者Uの腿部Tや脹脛Cなどの施療部に対して押圧する動作を付与することができるものであれば、特に限定しない。
【0070】
図1~
図4などに示すように、第1延設部6は、本体部5の右縁から幅方向右外側に帯状に(例えば、右腕を伸ばすように)延設された部材である。本実施形態の第1延設部6は、枕部2側の本体部5(シート部3)の後側で且つ右縁に設けられている。第1延設部6は、例えば、使用者Uが本体部5上に着座した状態のとき右腿部TRの付け根に対応する箇所、又は、本体部5上に仰臥した状態のとき上体Bの右肩に対応する箇所に設けられている。
【0071】
第1延設部6は、可撓性を備えている。そのため、第1延設部6は、本体部5の上に折りたたんで重ね合わせることができる。第1延設部6の長さは、本体部5の上に載置された使用者Uの施療部の一つである右腿部TR(第1施療部)に巻き付けることができる長さとなっている。なお、第1延設部6は、本体部5の同じ材質の布材で形成されていてもよい。
【0072】
すなわち、第1延設部6は、床面Fに敷設したり、右外側から内側に向かって引っ張ることで、右腿部TRに巻き付けたりすることができる部材である。なお、使用者Uが本体部5の上に仰向けに寝た場合、使用者Uの右腕を載置することができる。この第1延設部6については、本体部5と同じように、二枚の同形状の布材を縫い合わせて袋状に形成されている。
【0073】
さらに本実施形態では、エアバッグ4は、第5エアバッグ20と第6エアバッグ22を備えている。
【0074】
第1延設部6の内部には、駆動部から供給される空気により膨張する第5エアバッグ20(エアバッグ4)が設けられている。第1延設部6を右腿部TRに巻き付ける場合、第5エアバッグ20は、第1エアバッグ10と対面する位置に配備される。
【0075】
第5エアバッグ20は、枕部2内のポンプと接続されている。枕部2内のポンプにて加圧された空気が、第5エアバッグ20内に供給されることで、第5エアバッグ20は膨張する。
【0076】
この第5エアバッグ20が第1延設部6の上面から上方向に向かって膨張することで、第1延設部6上に載置された右腕の施療部を持ち上げることとなり、伸ばしてほぐすストレッチ運動を付与する。また、本体部5上に着座した使用者Uの右腿部TRに、第1延設部6を巻き付けた場合、第5エアバッグ20が下方に膨張することで、右腿部TRの施療部に対して押圧する動作を付与する。
【0077】
なお、第1延設部6及び第5エアバッグ20の形状に関しては、本体部5(シート部3)上に着座した使用者Uの腿部Tの施療部を巻ける形状のものであれば、特に限定しない。
【0078】
図1~
図4などに示すように、第2延設部7は、第1延設部6を左に反転(鏡像反転)させた構成である。すなわち、第2延設部7と第1延設部6は、左右対称のものである。なお、第2延設部7の構成については、第1延設部6とほぼ同じである。
【0079】
第2延設部7は、本体部5の左縁から幅方向左外側に帯状に(例えば、左腕を伸ばすように)延設された部材である。本実施形態の第2延設部7は、枕部側2の本体部5(シート部3)の後側で且つ左縁に設けられている。第2延設部7は、例えば、使用者Uが本体部5上に着座した状態のとき左腿部TLの付け根に対応する箇所、又は、本体部5上に仰臥した状態のとき上体Bの左肩に対応する箇所に設けられている。
【0080】
第2延設部7は、可撓性を備えている。そのため、第2延設部7は、本体部5の上に折りたたんで重ね合わせることができる。第2延設部7の長さは、本体部5の上に載置された使用者Uの施療部の一つである左腿部TL(第2施療部)に巻き付けることができる長さとなっている。なお、第2延設部7は、本体部5の同じ材質の布材で形成されていてもよい。
【0081】
すなわち、第2延設部7は、床面Fに敷設したり、左外側から内側に向かって引っ張ることで、左腿部TLに巻き付けたりすることができる部材である。なお、使用者Uが本体部5の上に仰向けに寝た場合、使用者Uの左腕を載置することができる。この第2延設部7については、第1延設部6と同じように、二枚の同形状の布材を縫い合わせて袋状に形成されている。
【0082】
その第2延設部7の内部には、駆動部から供給される空気により膨張する第6エアバッグ22(エアバッグ4)が設けられている。第6エアバッグ22は、第5エアバッグ20を左に反転(鏡像反転)させた構成である。すなわち、第6エアバッグ22と第5エアバッグ20は、左右対称のものである。なお、第6エアバッグ22の構成については、第5エアバッグ20とほぼ同じである。
【0083】
第2延設部7を左腿部TLに巻き付ける場合、第6エアバッグ22は、第2エアバッグ
11と対面する位置に配備される。第6エアバッグ22は、枕部2内のポンプと接続されている。枕部2内のポンプにて加圧された空気が、第6エアバッグ22内に供給されることで、第6エアバッグ22は膨張する。
【0084】
なお、第5エアバッグ20及び第6エアバッグ22は、それぞれ独立して交互に膨縮することが可能な構成とされている。また、第5エアバッグ20及び第6エアバッグ22は、第1エアバッグ10~第4エアバッグ22に対しても、独立して交互に膨縮する。
【0085】
この第6エアバッグ22が第2延設部7の上面から上方向に向かって膨張することで、第2延設部7上に載置された左腕の施療部を持ち上げることとなり、伸ばしてほぐすストレッチ運動を付与する。また、本体部5上に着座した使用者Uの左腿部TLに、第2延設部7を巻き付けた場合、第6エアバッグ22が下方に膨張することで、左腿部TLの施療部に対して押圧する動作を付与する。
【0086】
なお、第2延設部7及び第6エアバッグ22の形状に関しては、本体部5(シート部3)上に着座した使用者Uの腿部Tの施療部を巻ける形状のものであれば、特に限定しない。
【0087】
ところで、本体部5の第1エアバッグ10~第4エアバッグ15、第1延設部6の第5エアバッグ20、第2延設部7の第6エアバッグ22(エアバッグ4)は溶着構造で構成されている。また、第3エアバッグ14にポンプからの空気を供給する右空気通路16、第4エアバッグ15にポンプからの空気を供給する左空気通路18なども溶着構造で構成されている。つまり、各エアバッグ10,11,14,15,20,22(エアバッグ4)も可撓性を備えている。
【0088】
そのため、シート部3は、第1延設部6と第2延設部7を本体部5上に積層し、その本体部5をロール状に容易に巻き取ることができる。このとき、各エアバッグ10,11,14,15,20,22(エアバッグ4)が折れ曲がったりよれたりすることがなく、右空気通路16、左空気通路18などを痛めることもない。
【0089】
さて、第1延設部6と第2延設部7とを係合する係合部材21が備えられている。本実施形態では係合部材21は、バックル部材21とされている。第1延設部6の先端側には、第2延設部7との係合に用いるバックル部材21の一方側が備えられている。また、第2延設部7の先端側には、第1延設部6との係合に用いるバックル部材21の他方側が備えられている。
【0090】
第1延設部6を右腿部TRの外周回りに巻き付けるとともに、第2延設部7を左腿部TLの外周回りに巻き付ける。第1延設部6の先端に設けられたバックル部材21の一方と、第2延設部7の先端に設けられたバックル部材21の他方を係合してバックル部材21を固定する。そのバックル部材21に通されたベルトの長さを調整することで、本体部5の上に載置された左右の腿部Tを適度に締め付けて、右腿部TR及び左腿部TLを固定する。これにより、右腿部TR及び左腿部TL(脚部L)は、本体部5の上で安定した状態となる。
【0091】
なお、係合部材21として面ファスナーを備えてもよい。この場合、第1延設部6と第2延設部7が互いに貼り合わせるようにして係合される。
【0092】
図1~
図4などに示すように、第3延設部8は、枕部2の反対側である前側のシート部3に設けられている。すなわち、第3延設部8は、本体部5の前端側に設けられている。この第3延設部8は、基端が本体部5の中央から上方に突出し、先端が斜め右側に向かって延設された帯状の部材である。
【0093】
第3延設部8は、可撓性を備えている。そのため、第3延設部8は、基端から立ち上がり先端側に向かって本体部5上に重なり合うように設けられている。すなわち、第3延設部8は、本体部5(第3エアバッグ14)上に積層するように配備され且つ、持ち上げ可能となっている。なお、第3延設部8は、本体部5の同じ材質の布材で形成されていてもよい。
【0094】
本実施形態の第3延設部8は、本体部5上の右前側の領域に設けられている。第3延設部8は、例えば、使用者Uが着座した状態のとき右脹脛CRに対応する箇所、又は、仰臥した状態のとき右側の臀部Dに対応する箇所に設けられている。第3延設部8の長さは、
使用者Uの施療部の一つである右脹脛CR(第3施療部)を内側から右外側に向かって巻き付けることができる長さとなっている。
【0095】
なお、第3延設部8については、第1延設部6と同じように、二枚の同形状の布材を縫い合わせて袋状に形成されていてもよい。その場合、第3延設部8の内部に、駆動部から供給される空気により膨張するエアバッグ4が設けられているとよい。
【0096】
第3延設部8の先端側には、本体部5の前側右縁との係合に用いる係合部材23が備えられている。本実施形態では、係合部材23は面ファスナー23とされ、その一方側が備えられている。また、本体部5の前側右縁の裏面には、面ファスナー23の他方側が備えられている。
【0097】
右脹脛CRの外周回りに第3延設部8を巻き付けるとともに、本体部5の前側右縁を持ち上げて互いに貼り合わせて、面ファスナー23で第3延設部8を係合する。本体部5の上に載置された右脹脛CRを適度に締め付けて、右脹脛CRを固定する。これにより、右脹脛CR(脚部L)は、本体部5の上で安定した状態となる。
【0098】
図1~
図4などに示すように、第4延設部9は、枕部2の反対側である前側のシート部3に設けられている。すなわち、第4延設部9は、本体部5の前端側に設けられている。第4延設部9は、第3延設部8と隣り合って配備されている。
【0099】
この第4延設部9は、基端が本体部5の中央から上方に突出し、先端が斜め左側に向かって延設された帯状の部材である。すなわち、第4延設部9は、第3延設部8と左右一対となるように配備されている。
【0100】
第4延設部9は、可撓性を備えている。そのため、第4延設部9は、基端から立ち上がり先端側に向かって本体部5上に重なり合うように設けられている。すなわち、第4延設部9は、本体部5(第4エアバッグ15)上に積層するように配備され且つ、持ち上げ可能となっている。なお、第4延設部9は、本体部5の同じ材質の布材で形成されていてもよい。
【0101】
本実施形態の第4延設部9は、本体部5上の左前側の領域に設けられている。第4延設部9は、例えば、使用者Uが着座した状態のとき左脹脛CLに対応する箇所、又は、仰臥した状態のとき左側の臀部Dに対応する箇所に設けられている。第4延設部9の長さは、使用者Uの施療部の一つである左脹脛CL(第4施療部)を内側から左外側に向かって巻き付けることができる長さとなっている。
【0102】
なお、第4延設部9については、第2延設部7と同じように、二枚の同形状の布材を縫い合わせて袋状に形成されていてもよい。その場合、第4延設部9の内部に、駆動部から供給される空気により膨張するエアバッグ4が設けられているとよい。
【0103】
また、第3延設部8及び第4延設部9の形状に関しては、本体部5(シート部3)上に着座した使用者Uの脹脛Cの施療部を巻ける形状のものであれば、特に限定しない。
【0104】
第4延設部9の先端側には、本体部5の前側左縁との係合に用いる係合部材24が備えられている。本実施形態では、係合部材24は面ファスナー24とされ、その一方側が備えられている。また、本体部5の前側左縁の裏面には、面ファスナー24の他方側が備えられている。
【0105】
左脹脛CLの外周回りに第4延設部9を巻き付けるとともに、本体部5の前側左縁を持ち上げて互いに貼り合わせて、面ファスナー24で第4延設部9を係合する。本体部5の上に載置された左脹脛CLを適度に締め付けて、左脹脛CLを固定する。これにより、左脹脛CL(脚部L)は、本体部5の上で安定した状態となる。
【0106】
ここで、エアバッグ4を膨張させる駆動部について簡単に説明する。
【0107】
駆動部は、枕部2の内部に格納されている。駆動部は、各エアバッグ4(第1エアバッグ10~第6エアバッグ22)を膨張させるため、加圧した空気を供給するポンプ(コンプレッサ)と、ポンプに接続されていて空気を各エアバッグ4に導く空気供給ホースと、各エアバッグ4に供給する空気の量を制御する電磁弁と、この電磁弁を制御する制御部と、を有している。
【0108】
ポンプは、加圧した空気を電磁弁に送出し、その電磁弁を経た後に空気供給ホースなどより、各エアバッグ4に加圧空気を供給する。電磁弁は、各エアバッグ4への空気の導入
と、各エアバッグ4からの空気の排出を切り替えるものである。ポンプからの加圧空気が電磁弁を経て、空気供給ホースなどを通過することにより、各エアバッグ4に供給されて膨張する。
【0109】
この電磁弁は、制御部にて制御されており、ポンプから送出された空気を所定の各エアバッグ4に送出する。制御部には、複数のストレッチ運動及び/又は押圧動作(マッサージ動作)を行わせるプログラムが組み込まれていて、プログラムごとに各エアバッグ4の膨張及び収縮を制御している。
【0110】
これらより、使用者Uは、背部Kや臀部Dなどの施療部、又は、腿部Tや脹脛Cなどの施療部に対して、所望するストレッチ運動及び/又は押圧動作を選択することができる。なお、駆動部に空気を温める構造を備えてもよい。すなわち、ポンプからの加圧空気を温めてエアバッグ4に温風を提供し、シート部3において温ストレッチ運動(押圧マッサージ)も行えるようにするとよい。
[使用態様]
次いで、本発明のエアストレッチ運動装置1の第1実施形態の使用態様について、図を参照しながら説明する。
[施術1(ストレッチ運動)]
図3に、本実施形態のエアストレッチ運動装置1の使用態様1「施術1」を示す。
【0111】
図3に示すように、本実施形態のエアストレッチ運動装置1は、使用者Uの背部Kや臀部Dなどの施療部に対して伸ばしてほぐすストレッチ運動ができるものである。
【0112】
詳しくは、エアストレッチ運動装置1は、枕部2に使用者Uの頭部Hを載置して、本体部5上に上体Bを載せて仰向けに寝た状態で、使用者Uの背部Kから臀部Dまでの施療部に対して、本体部5に内蔵されたエアバッグ4の膨張と収縮(膨縮)により伸ばすストレッチ運動を行うことができる。
【0113】
ここで、「施術1」での第1エアバッグ10~第4エアバッグ15の膨縮について説明する。本実施形態では、第1エアバッグ10~第4エアバッグ15は、それぞれ独立して交互に膨縮することが可能な構成とされている。
<前後のエアバッグが交互に膨張>
例えば、シート部3を構成する本体部5の後側に配置されている第1エアバッグ10と第2エアバッグ11を膨張させる。各エアバッグ10,11を収縮させると同時に、本体部5の前側に配置されている第3エアバッグ14と第4エアバッグ15を膨張させ始めるような、交互に膨縮する制御を行ってもよい。
【0114】
具体的には、第1エアバッグ10が膨張することで、本体部5に仰向けに寝た使用者Uの右側の背部Kが持ち上げられるとともに、第2エアバッグ11が膨張することで、使用者Uの左側の背部Kが持ち上げられることにより、背部Kに対するストレッチ運動が行われる。
【0115】
次いで、エアバッグ10,11が収縮し、第3エアバッグ14が膨張することで、使用者Uの右側の臀部Dが持ち上げられるとともに、第4エアバッグ15が膨張することで、使用者Uの左側の臀部Dが持ち上げられることにより、臀部Dに対するストレッチ運動が行われる。
【0116】
つまり、第1エアバッグ10と第2エアバッグ11(後側エアバッグ4a)を用いて、背部Kのストレッチをし、第3エアバッグ14と第4エアバッグ15(前側エアバッグ4b)を用いて、臀部Dのストレッチをするようにしてもよい。
<左右のエアバッグが交互に膨張>
また、シート部3を構成する本体部5の右側に配置されている第1エアバッグ10と第3エアバッグ14を膨張させる。各エアバッグ10,14を収縮させると同時に、本体部5の左側に配置されている第2エアバッグ11と第4エアバッグ15を膨張させ始めるような、交互に膨縮する制御を行ってもよい。
【0117】
具体的には、第1エアバッグ10が膨張することで、本体部5に仰向けに寝た使用者Uの右側の背部Kが持ち上げられるとともに、第3エアバッグ14が膨張することで、使用者Uの右側の臀部Dが持ち上げられることにより、右側の背部Kと臀部Dに対するストレ
ッチ運動が行われる。
【0118】
次いで、エアバッグ10,14が収縮し、第2エアバッグ11が膨張することで、使用者Uの左側の背部Kが持ち上げられるとともに、第4エアバッグ15が膨張することで、使用者Uの左側の臀部Dが持ち上げられることにより、左側の背部Kと臀部Dに対するストレッチ運動が行われる。
【0119】
つまり、右側の第1エアバッグ10と第3エアバッグ14を用いて、右側の背部Kと臀部Dのストレッチをし、左側の第2エアバッグ11と第4エアバッグ15を用いて、左側の背部Kと臀部Dのストレッチをするようにしてもよい。
<クロス方向のエアバッグが交互に膨張>
また、シート部3を構成する本体部5において配置関係がクロス方向である、右後側の第1エアバッグ10と左前側の第4エアバッグ15を膨張させる。各エアバッグ10,15を収縮させると同時に、反対のクロス方向の配置である、左後側の第2エアバッグ11と右前側の第3エアバッグ14を膨張させ始めるような、交互に膨縮する制御を行ってもよい。
【0120】
具体的には、第1エアバッグ10が膨張することで、本体部5に仰向けに寝た使用者Uの右側の背部Kが持ち上げられるとともに、第4エアバッグ15が膨張することで、使用者Uの左側の臀部Dが持ち上げられることにより、右側の背部Kと左側の臀部Dに対するストレッチ運動が行われる。
【0121】
次いで、エアバッグ10,15が収縮し、第2エアバッグ11が膨張することで、使用者Uの左側の背部Kが持ち上げられるとともに、第3エアバッグ14が膨張することで、使用者Uの右側の臀部Dが持ち上げられることにより、左側の背部Kと右側の臀部Dに対するストレッチ運動が行われる。
【0122】
つまり、クロス方向に配置された、第1エアバッグ10と第4エアバッグ15を用いて、右側の背部Kと左側の臀部Dのストレッチをし、第2エアバッグ11と第3エアバッグ14を用いて、左側の背部Kと右側の臀部Dのストレッチをするようにしてもよい。
【0123】
このように、所定のエアバッグ10,11,14,15を交互に膨張と収縮の動作を行うようにすると、所望のストレッチ運動の効果が得られる。なお、各エアバッグ10,11,14,15を膨縮させるタイミングについては、個別に遅らせたり早めたりする制御も可能である。
[施術2(押圧動作)]
図4に、本実施形態のエアストレッチ運動装置1の使用態様2「施術2」を示す。
【0124】
図4に示すように、本実施形態のエアストレッチ運動装置1は、使用者Uの腿部Tや脹脛Cなど脚部Lの施療部に対して押圧する動作ができるものである。
【0125】
詳しくは、エアストレッチ運動装置1は、第1エアバッグ10(後側エアバッグ4a)の上に載置された右腿部TRを、第5エアバッグ20を備えた第1延設部6で巻き付けるとともに、第2エアバッグ11(後側エアバッグ4a)の上に載置された左腿部TLを、第6エアバッグ22を備えた第2延設部7で巻き付ける。
【0126】
この第1エアバッグ10(後側エアバッグ4a)と第5エアバッグ20の膨縮により、右腿部TRに対して押圧動作が可能となるとともに、第2エアバッグ11(後側エアバッグ4a)と第6エアバッグ22の膨縮により、左腿部TLに対して、押圧動作が可能となる。
【0127】
また、エアストレッチ運動装置1は、第3エアバッグ14(前側エアバッグ4b)の上に載置された右脹脛CRを、第3延設部8で巻き付けるとともに、第5エアバッグ15(前側エアバッグ4b)の上に載置された左脹脛CLを、第4延設部9で巻き付ける。
【0128】
この第3エアバッグ14(前側エアバッグ4b)の膨縮により、右脹脛CRに対して前側エアバッグ4bの膨縮により押圧動作が可能となるとともに、第5エアバッグ15(前側エアバッグ4b)の膨縮により、左脹脛CLに対して押圧動作が可能となる。
【0129】
まず、右脹脛CRの外周回りに第3延設部8を巻き付けるとともに、本体部5の前側右縁を持ち上げて、面ファスナー23で第3延設部8を係合する。また、左脹脛CLの外周回りに第4延設部9を巻き付けるとともに、本体部5の前側左縁を持ち上げて、面ファス
ナー24で第4延設部9を係合する。これにより、右脹脛CRと左脹脛CL(脚部L)は固定され、本体部5の上で安定した状態となる。なお、右脹脛CRには第3エアバッグ14が接触しており、左脹脛CLには第4エアバッグ15が接触している。
【0130】
右腿部TRの外周回りに第1延設部6を巻き付けるとともに、左腿部TLの外周回りに第2延設部7を巻き付けて、バックル部材21で第1延設部6と第2延設部7を固定する。これにより、右腿部TRと左腿部TL(脚部L)は固定され、本体部5の上で安定した状態となる。
【0131】
なお、右腿部TRには第1エアバッグ10と第5エアバッグ20が接触しており、左腿部TLには第2エアバッグ11と第6エアバッグ22が接触している。つまり、第5エアバッグ20は、第1エアバッグ10と右腿部TRを挟んで対面する位置に配備される状態となる。また、第6エアバッグ22は、第2エアバッグ11と左腿部TLを挟んで対面する位置に配備される状態となる。
【0132】
ここで、「施術2」での第1エアバッグ10~第6エアバッグ22の膨縮について説明する。本実施形態では、第1エアバッグ10~第6エアバッグ22は、それぞれ独立して交互に膨縮することが可能な構成とされている。
<前後のエアバッグが交互に膨張>
例えば、シート部3を構成する本体部5の後側(枕部2側)に配置されている第1エアバッグ10と第5エアバッグ20及び、第2エアバッグ11と第6エアバッグ22を膨張させる。各エアバッグ10,11,20,22を収縮させると同時に、本体部5の前側に配置されている第3エアバッグ14と第4エアバッグ15を膨張させ始めるような、交互に膨縮する制御を行ってもよい。
【0133】
具体的には、第1エアバッグ10と第5エアバッグ20が膨張することで、本体部5上に着座し上体Bを起こした使用者Uの右腿部TRが押圧されるとともに、第2エアバッグ11と第6エアバッグ22が膨張することで、使用者Uの左腿部TLが押圧されることにより、腿部Tに対する押圧動作が行われる。
【0134】
次いで、各エアバッグ10,11,20,22が収縮し、第3エアバッグ14が膨張することで、使用者Uの右脹脛CRが押圧されるとともに、第4エアバッグ15が膨張することで、使用者Uの左脹脛CLが押圧されることにより、脹脛Cに対する押圧動作が行われる。
【0135】
つまり、第1エアバッグ10と第5エアバッグ20及び、第2エアバッグ11と第6エアバッグ22(後側エアバッグ4a)を用いて、腿部Tの押圧マッサージをし、第3エアバッグ14と第4エアバッグ15(前側エアバッグ4b)を用いて、脹脛Cの押圧マッサージをするようにしてもよい。
<左右のエアバッグが交互に膨張>
また、シート部3を構成する本体部5の右側に配置されている第1エアバッグ10と第5エアバッグ20及び、第3エアバッグ14を膨張させる。各エアバッグ10,14,20を収縮させると同時に、本体部5の左側に配置されている第2エアバッグ11と第6エアバッグ22及び、第4エアバッグ15を膨張させ始めるような、交互に膨縮する制御を行ってもよい。
【0136】
具体的には、第1エアバッグ10と第5エアバッグ20が膨張することで、本体部5上に着座し上体Bを起こした使用者Uの右腿部TRが押圧されるとともに、第3エアバッグ14が膨張することで、使用者Uの右脹脛CRが押圧されることにより、右腿部TRと右脹脛CRに対する押圧動作が付与される。
【0137】
次いで、エアバッグ10,14,20が収縮し、第2エアバッグ11と第6エアバッグ22が膨張することで、使用者Uの左腿部TLが押圧されるとともに、第4エアバッグ15が膨張することで、使用者Uの左脹脛CLが押圧されることにより、左腿部TLと左脹脛CLに対する押圧動作が付与される。
【0138】
つまり、右側の第1エアバッグ10と第5エアバッグ20及び、第3エアバッグ14を用いて、右腿部TRと右脹脛CRの押圧マッサージをし、左側の第2エアバッグ11と第6エアバッグ22及び、第4エアバッグ15を用いて、左腿部TLと左脹脛CLの押圧マ
ッサージをするようにしてもよい。
<クロス方向のエアバッグが交互に膨張>
また、シート部3を構成する本体部5において配置関係がクロス方向である、右後側の第1エアバッグ10と第5エアバッグ20及び、左前側の第4エアバッグ15を膨張させる。各エアバッグ10,15,20を収縮させると同時に、反対のクロス方向の配置である、左後側第2エアバッグ11と第6エアバッグ22の及び、右前側の第3エアバッグ14を膨張させ始めるような、交互に膨縮する制御を行ってもよい。
【0139】
具体的には、第1エアバッグ10と第5エアバッグ20が膨張することで、本体部5上に着座し上体Bを起こした使用者Uの右腿部TRが押圧されるとともに、第4エアバッグ15が膨張することで、使用者Uの左脹脛CLが押圧されることにより、右腿部TRと左脹脛CLに対する押圧動作が付与される。
【0140】
次いで、エアバッグ10,15,20が収縮し、第2エアバッグ11と第6エアバッグ22が膨張することで、使用者Uの左腿部TLが押圧されるとともに、第3エアバッグ14が膨張することで、使用者Uの右脹脛CRが押圧されることにより、左腿部TLと右脹脛CRに対する押圧動作が付与される。
【0141】
つまり、クロス方向に配置された、第1エアバッグ10と第5エアバッグ20及び、第4エアバッグ15を用いて、右腿部TRと左脹脛CLの押圧マッサージをし、第2エアバッグ11と第6エアバッグ22及び、第3エアバッグ14を用いて、左腿部TLと右脹脛CRの押圧マッサージをするようにしてもよい。
【0142】
このように、所定のエアバッグ10,11,14,15,20,22を交互に膨張と収縮の動作を行うようにすると、所望の押圧効果(マッサージ効果)が得られる。なお、各エアバッグ10,11,14,15,20,22を膨縮させるタイミングについては、個別に遅らせたり早めたりする制御も可能である。
[第2実施形態]
図5Aに、本発明にかかるエアストレッチ運動装置1の第2実施形態の表面側を模式的に示す。
図5Bに、本発明にかかるエアストレッチ運動装置1の第2実施形態の裏面側を模式的に示す。
【0143】
なお、本実施形態においては、枕部2、シート部3の本体部5、本体部5に内蔵されたエアバッグ4(後側エアバッグ4aの第1エアバッグ10と第2エアバッグ11、前側エアバッグ4bの第3エアバッグ14と第4エアバッグ15)等の構成について、上で詳説した第1実施形態の例と略同じであるので、構成の詳細な説明については省略する。
【0144】
図5A,Bなどに示すように、本実施形態の第1延設部6は、本体部5の前端側から延設されている帯状の部材である。つまり、第1延設部6は、本体部5前端側の右縁から幅方向右外側に延設されたベルト状の部材である。
【0145】
本実施形態の第1延設部6は、本体部5の前端で且つ右縁に設けられている。第1延設部6は、例えば、使用者Uが本体部5上に着座した状態のとき右脹脛CRに対応する箇所、又は、仰臥した状態のとき右側の臀部D乃至は腰部に対応する箇所に設けられている。
【0146】
第1延設部6は、可撓性を備えている。そのため、第1延設部6は、本体部5前端側に折りたたんで重ね合わせることができる。第1延設部6の長さは、本体部5の上に載置された右脹脛CRに巻き付けることができる長さとなっている。第1延設部6は、本体部5の同じ材質の布材で形成されていてもよい。なお、本実施形態では、第5エアバッグ20(エアバッグ4)は内蔵されていない。
【0147】
本実施形態の第2延設部7は、本体部5の前端側から延設されている帯状の部材である。つまり、第2延設部7は、本体部5前端側の左縁から幅方向左外側に延設されたベルト状の部材である。
【0148】
本実施形態の第2延設部7は、本体部5の前端で且つ左縁に設けられている。第2延設部7は、例えば、使用者Uが着座した状態のとき左脹脛CLに対応する箇所、又は、仰臥した状態のとき左側の臀部D乃至は腰部に対応する箇所に設けられている。
【0149】
第2延設部7は、可撓性を備えている。そのため、第2延設部7は、本体部5前端側に折りたたんで重ね合わせることができる。第2延設部7の長さは、本体部5の上に載置さ
れた左脹脛CLに巻き付けることができる長さとなっている。第2延設部7は、本体部5の同じ材質の布材で形成されている。なお、本実施形態では、第6エアバッグ22(エアバッグ4)は内蔵されていない。また、本実施形態では、第3延設部8と第4延設部9は設けられていない。
【0150】
図5Aに示すように、本実施形態では、係合部材21にバックル部材21を採用している。本実施形態においては、第1延設部6の先端側には、バックル部材21の一方側が備えられている。また、第2延設部7の先端側には、バックル部材21の他方側が備えられている。
【0151】
第1延設部6を右脹脛CRの外周回りに巻き付けるとともに、第2延設部7を左脹脛CLの外周回りに巻き付け、各延設部6,7の先端に設けられたバックル部材21の一方と他方を係合してバックル部材21を固定する。これにより、右脹脛CR及び左脹脛CL(脚部L)は、本体部5の上で安定した状態となる。
【0152】
図5Bに示すように、本実施形態では、第1延設部6と第2延設部7は、本体部5とは別に設けられた一本のベルト部材25とされている。ベルト部材25は、本体部5の裏面側に設けられている。ベルト部材25は、第1延設部6と第2延設部7が本体部5の左右から突出するように設けられ且つ、本体部5から着脱可能とされている。
【0153】
ベルト部材25は、左右方向に長尺な帯部材であり、長手方向中途部の幅が細くなっている。つまり、ベルト部材25は長手方向中途部がくびれている。ベルト部材25は、可撓性を備えている。これにより、ベルト部材25は、折り曲げることや、使用者Uの施療部や身体などの外周回りに巻き付けることができるものである。
【0154】
本体部5の裏面には、ベルト部材25の位置を合わせて留めるベルト留め部材26が設けられている。本実施形態では、ベルト留め部材26は、前後方向に長い長方形の布材で形成されている。このベルト留め部材26は、本体部5裏面の前側で且つ左右方向の中央に縫い付けられている。ベルト留め部材26には、左右方向にベルト部材25を通すことができるベルト孔27が設けられている。このベルト孔27は、ベルト部材25の前後方向の位置を調整することができるものであり前後に複数設けられている。
【0155】
詳しくは、ベルト留め部材26は、前縁と後縁が左右(幅)方向の縫い付けで本体部5の裏面に取り付けられるとともに、長手方向中途部が左右方向の縫い付けで本体部5の裏面に取り付けられる。つまり、ベルト留め部材26は、前後方向で等間隔に4箇所縫い付けられることにより、本体部5の裏面に取り付けられている。この縫い付け部分と縫い付け部分の間には、左右方向に貫通した空間27が形成されている。この空間27が上記したベルト孔27である。このベルト孔27の大きさは、ベルト部材25の幅広部分より小さく且つ、くびれた部分(長手方向中途部)より大きい孔となっている。ベルト部材25の幅広部分の方がベルト孔27より大きいため、本体部5に装着時にベルト留め部材26から脱落しないようになっている。
【0156】
ベルト孔27は、ベルト留め部材26の前後方向において、等間隔に並ぶように複数設けられている。本実施形態においては、ベルト留め部材26は、前後方向に3つのベルト孔27a~27cができるように本体部5の裏面に縫い付けられている。このベルト孔27a~27cのいずれかにベルト部材25を通すことで、本体部5におけるベルト部材25の前後方向の位置を調整する。これにより、第1延設部6及び第2延設部7の施療部に対する巻き付け位置を変更することができる。なお、ベルト孔27の個数については、例示したものに限らず、2個でもよいし4個でもよく、個数に限定されない。
【0157】
図5Bに示すように、例えば、ベルト部材25の幅広部分(第1延設部6又は第2延設部7)をベルト孔27bより小さくなるように折り曲げて、ベルト部材25をベルト孔27bに通す。ベルト部材25のくびれた部分(長手方向中途部)に到達すれば、第1延設部6と第2延設部7が本体部5の左右から突出するので、ここでベルト部材25の折り曲げを戻す。ベルト部材25は、幅広部分がベルト孔27bより大きいため、本体部5(ベルト留め部材26)から脱落しないようになる。なお、ベルト部材25をベルト孔27aに通してもよいし、ベルト孔27cに通してもよい。
【0158】
このようにすることにより、ベルト部材25は前後方向の位置が決まり、本体部5に装
着されることとなる。そして、本体部5上に載置された使用者Uの施療部に、第1延設部6と第2延設部7を巻き付けてバックル部材21を固定する。
【0159】
なお、ベルト孔27b(ベルト留め部材26)からベルト部材25を抜くことで、本体部5からベルト部材25を外すことが可能となっているので、ベルト部材25の位置を変える場合や、エアストレッチ運動装置1を収納する場合に行うとよい。
【0160】
図5Cに、本発明にかかるエアストレッチ運動装置1の第2実施形態の変形例を模式的に示す。
【0161】
図5Cに示すように、本変形例では、係合部材21に面ファスナー21を採用している。なお、本変形例のその他の構成については、上記した第2実施形態と略同じである。
【0162】
本変形例においては、第1延設部6の先端側には、面ファスナー21の一方側が備えられている。また、第2延設部7の先端側には、面ファスナー21の他方側が備えられている。
【0163】
第1延設部6を右脹脛CRの外周回りに巻き付けるとともに、第2延設部7を左脹脛CLの外周回りに巻き付け、各延設部6,7の先端に設けられた面ファスナー21の一方と他方を係合して面ファスナー21を固定する。これにより、右脹脛CR及び左脹脛CLは、本体部5の上で安定した状態となる。
【0164】
本体部5(シート部3)の前端縁の中央には、係合部材28が備えられている。本変形例では、係合部材21に面ファスナー21を採用している。本体部5を枕部2の外周回りに巻き付けて、本体部5がほどけないように面ファスナー21で係合する。すなわち、シート部3(本体部5)は、枕部2側に向かってロール状に巻回することができる構成とされている。
【0165】
このように、本体部5をロール状に巻き取って面ファスナー21などで係合すると、エアストレッチ運動装置1がコンパクトになり携帯しやすくなる。また、収納場所も小さくて済むようになる。また、面ファスナー21の係合を解除することで、本体部5を枕部2から開放することができ、エアストレッチ運動装置1を床面Fなどに簡単に敷設することができる。
【0166】
本発明のエアストレッチ運動装置1によれば、様々な部位に対して施術を行えるエアバッグ4を格納したシート部3を備えておき、シート部3(本体部5)上に仰臥した状態で使用者Uの背部Kや臀部Dなどの施療部に対してエアバッグ4の膨縮により伸ばしてほぐすストレッチ運動に加え、本体部5上に着座して上体Bを起こした状態にして脚部Lの腿部Tや脹脛Cなどの施療部に対してエアバッグ4(第1エアバッグ10~第6エアバッグ22)の膨縮により揉みほぐす押圧マッサージ動作も行うことができる。
【0167】
さらには、本発明のエアストレッチ運動装置1は、シート部3(本体部5)をロール状に巻き取ることができるので、スムーズ且つコンパクトに収納することができるものである。この構成により、使用者Uが簡単に、床面Fなどに敷設したり収納することができる。つまり、本発明のエアストレッチ運動装置1は、設置場所に限定されないものである。
【0168】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
【0169】
特に、今回開示された実施形態において、明示されていない事項、例えば、作動条件や操作条件、構成物の寸法、重量などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。例えば、第1延設部6と第2延設部7の配置や形状などの構成については、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。同様に、第3延設部8と第2延設部9の配置や形状などの構成についても、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。また、第1エアバッグ10~第6エアバッグ22(エアバッグ4)の配置や形状などの構成、膨張と収縮のリズムや、膨張させる順番等については、施療範囲を鑑み適宜変更可能である。エアバッグ4について、本体部5内に収まる一枚のものでも可能である。また、エアバッグ4に関しては、上布無しの状態で、本体部5の上面に載せるように備えてもよい。ベルト部材25については、本体部5に縫い付けて固定してもよいし、上で述べたように本体部5にから着脱可能な別部材としてもよい。
【符号の説明】
【0170】
1 エアストレッチ運動装置
2 枕部
3 シート部
4 エアバック
4a 後側エアバッグ
4b 前側エアバッグ
5 本体部
6 第1延設部
7 第2延設部
8 第3延設部
9 第4延設部
10 第1エアバッグ
11 第2エアバッグ
14 第3エアバッグ
15 第4エアバッグ
20 第5エアバッグ
21 係合部材
22 第6エアバッグ
23 係合部材
24 係合部材
25 ベルト部材
26 ベルト留め部材
27 ベルト孔
28 係合部材
U 使用者
H 頭部
B 上体
K 背部
D 臀部
L 脚部(下肢)
T 腿部
TR 右腿部
TL 左腿部
C 脹脛
CR 右脹脛
CL 左脹脛