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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021347
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】レゾルバロータおよびレゾルバ
(51)【国際特許分類】
   H02K 24/00 20060101AFI20240208BHJP
   G01D 5/20 20060101ALI20240208BHJP
   H02K 11/225 20160101ALI20240208BHJP
   H02K 1/28 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H02K24/00
G01D5/20 110F
H02K11/225
H02K1/28 Z
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124113
(22)【出願日】2022-08-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大坪 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴
(72)【発明者】
【氏名】久田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】青木 一男
(72)【発明者】
【氏名】小林 晃太朗
【テーマコード(参考)】
2F077
5H601
5H611
【Fターム(参考)】
2F077FF34
2F077PP26
2F077VV02
2F077VV31
5H601AA08
5H601CC04
5H601GA02
5H601GA40
5H601JJ05
5H611AA01
5H611PP07
5H611QQ03
5H611RR01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】変位抑制および荷重調整が可能なレゾルバロータおよびレゾルバを提供する。
【解決手段】実施形態によればレゾルバロータ100は、レゾルバロータ鉄心110とこれをロータシャフト11aに対して周方向および軸方向に拘束するレゾルバロータ鉄心押さえ120を備える。レゾルバロータ鉄心押さえ120は、環状の平板部121、レゾルバロータ鉄心押さえ120のロータシャフト11aとの相対位置を保持しレゾルバロータ鉄心110のロータシャフト11aに対する周方向角度を保持する第1拘束部122、レゾルバロータ鉄心押さえ120のロータシャフト11aとの相対位置を保持する第2拘束部123、およびレゾルバロータ鉄心110のロータシャフト11aに対する軸方向の相対位置を保持する第3拘束部を有する。レゾルバロータ鉄心110は第1拘束部122との係合用の径方向内側凹部を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象回転機器の回転部の回転角度を検出するレゾルバのレゾルバロータであって、
前記対象回転機器のロータシャフトの径方向外側に取り付けられ前記ロータシャフトの軸方向に積層される複数のレゾルバロータ板を有するレゾルバロータ鉄心と、
前記レゾルバロータ鉄心の前記ロータシャフトに対する周方向および前記軸方向の相対位置を維持するレゾルバロータ鉄心押さえと、
を備え、
前記レゾルバロータ鉄心押さえは、
環状の平板部と、
前記平板部の内縁側に形成された2つの溝部に挟まれて前記平板部の内縁側から突出するように形成され、当該レゾルバロータ鉄心押さえの前記ロータシャフトとの相対位置を保持しかつ前記レゾルバロータ鉄心の前記ロータシャフトに対する周方向角度を保持する第1拘束部と、
前記平板部の内縁側に形成された2つの溝部に挟まれて前記平板部の内縁側から突出するように形成され、当該レゾルバロータ鉄心押さえの前記ロータシャフトとの相対位置を保持する第2拘束部と、
前記平板部の内縁側に形成され、前記レゾルバロータ鉄心の前記ロータシャフトに対する前記軸方向の相対位置を保持する第3拘束部と、
を有し、
前記レゾルバロータ鉄心は、第1拘束部と係合するように内縁部に形成された径方向内側凹部を有する、
ことを特徴とするレゾルバロータ。
【請求項2】
前記第1拘束部は、
前記突出する部分の周方向の両側にあって、当該レゾルバロータ鉄心押さえの前記ロータシャフトとの相対位置を保持する2つのツメ部と、
2つの前記ツメ部に挟まれて、先端が前記径方向内側凹部と係合するように曲げられた凸形状舌部と、
を有し、
当該レゾルバロータ鉄心押さえが前記ロータシャフトに取り付けられた状態においては、前記突出する部分の弾性力により2つの前記ツメ部が前記ロータシャフトに押し付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のレゾルバロータ。
【請求項3】
前記第3拘束部は、前記平板部との接続部に前記レゾルバロータ鉄心の側に近づくように段状の基端部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のレゾルバロータ。
【請求項4】
前記平板部には、その外縁の前記回転部の回転中心からの距離が大きな幅広部とその外縁の前記回転部の回転中心からの距離が小さな幅狭部とが交互に形成され、
前記第1拘束部および前記第2拘束部はそれぞれの前記幅広部の周方向の中央に配され、
前記第3拘束部は、前記第1拘束部または前記第2拘束部に隣接した前記幅狭部の側に配される、
ことを特徴とする請求項1に記載のレゾルバロータ。
【請求項5】
対象回転機器の回転部の回転角度を検出するレゾルバのレゾルバロータであって、
前記対象回転機器のロータシャフトの径方向外側に取り付けられ前記ロータシャフトの軸方向に積層される複数のレゾルバロータ板を有するレゾルバロータ鉄心と、
前記レゾルバロータ鉄心の前記ロータシャフトに対する周方向および前記軸方向の相対位置を維持するレゾルバロータ鉄心押さえと、
を備え、
前記レゾルバロータ鉄心押さえは、
環状の平板部と、
前記平板部の内縁側に形成された2つの溝部に挟まれて前記平板部の内縁側から突出するように形成され、当該レゾルバロータ鉄心押さえの前記ロータシャフトとの相対位置を保持する第2拘束部と、
前記平板部の内縁側に形成され、前記レゾルバロータ鉄心の前記ロータシャフトに対する前記軸方向の相対位置および周方向角度を保持する第4拘束部と、
を有し、
前記レゾルバロータ鉄心は、第4拘束部と係合するように形成された拘束用穴を有する、
ことを特徴とするレゾルバロータ。
【請求項6】
前記第4拘束部は、前記平板部との接続部に前記レゾルバロータ鉄心の側に近づくように段状の基端部が形成され、さらに先端部分に前記拘束用穴と係合するように挿入部が形成されたことを特徴とする請求項5に記載のレゾルバロータ。
【請求項7】
前記平板部の外縁は、前記回転部の回転中心からの距離の大きな凸部と距離の小さな凹部とが交互に形成されることにより、前記平板部には幅広部と幅狭部が交互に形成され、
前記第2拘束部はそれぞれの前記幅広部の周方向の中央に配され、
前記第4拘束部は、前記第2拘束部に隣接した前記幅狭部の側に配される、
ことを特徴とする請求項5に記載のレゾルバロータ。
【請求項8】
前記第2拘束部は、
前記突出する部分の周方向の両側にあって、当該レゾルバロータ鉄心押さえの前記ロータシャフトとの相対位置を保持する2つのツメ部を有し、
当該レゾルバロータ鉄心押さえが前記ロータシャフトに取り付けられた状態においては、前記突出する部分の弾性力により2つの前記ツメ部が前記ロータシャフトに押し付けられる、
ことを特徴とする請求項1または請求項5に記載のレゾルバロータ。
【請求項9】
請求項1または請求項5に記載のレゾルバロータと、
前記レゾルバロータの前記レゾルバロータ鉄心の径方向外側にギャップを介して配された円筒状のレゾルバ鉄心と前記レゾルバ鉄心に巻回されたレゾルバ巻線とを有するレズルバステータと、
を備える特徴とするレゾルバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバロータおよびレゾルバに関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機においては、回転軸の回転角度を検出するために回転角度センサが広く用いられている。回転角度センサの一つであるレゾルバは、例えば回転電機の回転軸に固定され、該回転軸と一体に回転するレゾルバロータと、該レゾルバロータの外周と対向して配置されるレゾルバステータを備えて構成される。かかるレゾルバは、レゾルバロータとレゾルバステータとの間の対向間隔(ギャップ)の変化を測定し、回転軸の回転角度を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4628904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転角度の検出精度を高めるため、レゾルバロータは、回転軸に対するレゾルバロータ自体の変位を極力抑制する必要がある。例えば、回転軸にキー溝を形成し、レゾルバロータにキー形状を設けることで、レゾルバロータを周方向に位置決めする方法が従来から採用されている。また、例えばレゾルバロータを回転軸に隙間嵌めした後、カラーなどの部材を回転軸に圧入してレゾルバロータを軸方向に押圧することで、レゾルバロータの軸方向への変位の抑制が可能である。加えて、カラーなどの部材とレゾルバロータとの間に生じる摩擦力により、レゾルバロータの周方向および径方向への変位も抑制可能となる。
【0005】
その一方で、回転軸に圧入された所定の部材でレゾルバロータを軸方向に押圧して位置決めする場合、回転軸に対するレゾルバロータの変位を抑制するために作用させる荷重(押圧力)を適切に調整することが求められる。
【0006】
本発明の目的は、変位抑制および荷重調整が可能なレゾルバロータおよびレゾルバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の実施形態に係るレゾルバロータは、対象回転機器の回転部の回転角度を検出するレゾルバのレゾルバロータであって、前記対象回転機器のロータシャフトの径方向外側に取り付けられ前記ロータシャフトの軸方向に積層される複数のレゾルバロータ板を有するレゾルバロータ鉄心と、前記レゾルバロータ鉄心の前記ロータシャフトに対する周方向および前記軸方向の相対位置を維持するレゾルバロータ鉄心押さえと、を備え、前記レゾルバロータ鉄心押さえは、環状の平板部と、前記平板部の内縁側に形成された2つの溝部に挟まれて前記平板部の内縁側から突出するように形成され、当該レゾルバロータ鉄心押さえの前記ロータシャフトとの相対位置を保持しかつ前記レゾルバロータ鉄心の前記ロータシャフトに対する周方向角度を保持する第1拘束部と、前前記平板部の内縁側に形成された2つの溝部に挟まれて前記平板部の内縁側から突出するように形成され、当該レゾルバロータ鉄心押さえの前記ロータシャフトとの相対位置を保持する第2拘束部と、前前記平板部の内縁側に形成され、前記レゾルバロータ鉄心の前記ロータシャフトに対する前記軸方向の相対位置を保持する第3拘束部と、を有し、前記レゾルバロータ鉄心は、第1拘束部と係合するように内縁部に形成された径方向内側凹部を有する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係るレゾルバを回転電機に取り付けた例を示す縦断面図である。
図2】第1の実施形態に係るレゾルバロータの構成を示す斜視図である。
図3】第1の実施形態に係るレゾルバロータの構成を示す図2のA-A矢視縦断面図である。
図4】第1の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押えの構成を示す図3のB-B矢視正面図である。
図5】第1の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押えの打ち抜き後における第1拘束部の状態を示す部分平面図である。
図6】第1の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押えの取り付け状態における第1拘束部を示す斜視図である。
図7】第1の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押えの打ち抜き後における第2拘束部の状態を示す部分平面図である。
図8】第1の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押えの取り付け状態におけるレゾルバロータ鉄心押さえの第2拘束部を示す斜視図である。
図9】第1の実施形態に係るレゾルバロータのレゾルバロータ鉄心押さえの第3拘束部を示す斜視図である。
図10】第2の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押えの構成を示す正面図である。
図11】第2の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押えの第4拘束部を示す斜視図である。
図12】第2の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押えの第4拘束部の第1の例とレゾルバロータ鉄心に形成された拘束用穴との関係を示す縦断面図である。
図13】第2の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押えの第4拘束部の第2の例ととレゾルバロータ鉄心に形成された拘束用穴との関係を示す縦断面図である。
図14】第2の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押えの第4拘束部の第2の例の変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るレゾルバロータについて説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るレゾルバ20を回転電機10内に取り付けた例を示す縦断面図である。
【0011】
回転電機10は、回転軸周りに回転する回転部分である回転子11と、固定子12と、フレーム13と、レゾルバ20とを有する。
【0012】
回転子11は、回転軸方向に延びたロータシャフト11a、ロータシャフト11aの径方向外側に設けられた回転子鉄心11b、および回転子鉄心11bの軸方向の両側に設けられて回転子鉄心11bを軸方向に拘束する2つの端板11cを有する。ロータシャフト11a、回転子鉄心11b、および2つの端板11cは一体となって、ロータシャフトの回転軸芯Cを中心として回転する。以下の説明においては、 ロータシャフト11aの回転軸芯Cに沿った方向を軸方向、ロータシャフト11aの回転方向を周方向とする。また、軸方向および周方向と直交する方向を径方向とし、径方向において軸心Cに近づく側を内側、離れる側を外側とする。
【0013】
固定子12は、回転子鉄心11bの径方向外側に配された固定子鉄心12a、および固定子鉄心12aを貫通する固定子巻線12bを有する。
【0014】
フレーム13は、回転子鉄心11bおよび固定子12等を収納する。
【0015】
レゾルバ20は、多くはフレーム13内に収納され、レゾルバステータ21およびレゾルバロータ100を有する。
【0016】
レゾルバロータ100については、図2以降を引用しながら詳細を説明するが、ロータシャフト11aに取り付けられて、ロータシャフト11aとともに回転する。
【0017】
レゾルバステータ21は、ギャップを介してレゾルバロータ100の径方向外側に設けられて、フレーム13あるいはこれに接続する静止部分によって支持されている。レゾルバステータ21は、レゾルバステータ鉄心21aと、レゾルバステータ鉄心21aに巻回されたレゾルバステータ巻線(図示せず)を有する。
【0018】
図2は、第1の実施形態に係るレゾルバロータ100の構成を示す斜視図である。また、図3は、第1の実施形態に係るレゾルバロータの構成を示す図2のA-A矢視断面図である。
【0019】
レゾルバロータ100は、軸方向に積層されたたとえば電磁鋼板である複数のレゾルバロータ板111を有するレゾルバロータ鉄心110と、レゾルバロータ鉄心110を拘束するレゾルバロータ鉄心押さえ120を有する。
【0020】
レゾルバロータ鉄心110は、複数の板状の部材(以下、レゾルバロータ板111という)が積層されて構成されている。レゾルバロータ板111は、鋼板を同一形状、同一寸法の環状に成形して構成されており、レゾルバロータ板111どうしは、例えばかしめなどにより軸方向に連結され、一体化されている。
【0021】
それぞれのレゾルバロータ板111は、中心部に形成された円形で同一径の中央開口111hを有している。レゾルバロータ板111は、中央開口111hを同心状に連通させて積層されている。このようにレゾルバロータ板111が積層されて中央開口111hが連通することで、レゾルバロータ鉄心110の中心部に貫通孔110hが生成される。中央開口111hの差渡し径(内径)は、ロータシャフト11aの外周部に隙間嵌め可能な寸法に形成されている。これにより、レゾルバロータ鉄心110は、ロータシャフト11aの外周に貫通孔110hが隙間嵌めされ、ロータシャフト11aに取り付け可能である。
【0022】
また、レゾルバロータ板111の外周縁の輪郭(以下、外周形状という) は、レゾルバステータ21とのギャップを変化させる非円形に形成されている。例えば、レゾルバロータ板111は、対向するレゾルバステータ21の内周部の曲率よりも大きな同一の曲率を有する複数の幅広部111wが周方向に並んだ外周形状をなしている。周方向に隣り合う幅広部111wは、幅狭部111nを介して連続している。幅狭部111nは、レゾルバロータ板111の外周形状が凹状に窪み、隣り合う幅広部111wによって形成され外周形状の差渡し径が最小となる部位である。すなわち、レゾルバロータ板111は、幅広部111wと幅狭部111nとが交互に連続し、外周縁において幅広部111wと幅狭部111nの各外周形状が交互に連続した平面形状をなす。
【0023】
本実施形態では一例として、幅広部111wおよび幅狭部111nは、それぞれ4つずつ設けられ、軸心Cを中心として点対称となるように配置されている。ただし、これらの数は特に限定されない。
【0024】
レゾルバ20(図1)において、レゾルバロータ鉄心110をレゾルバステータ21に対して回転させることで、両者のギャップを周期的に変化させることができる。このとき、ギャップの変化に基づいて、レゾルバロータ鉄心110が取り付けられたロータシャフト11aの回転角度が検出される。例えば、ロータシャフト11aの回転中に、レゾルバステータ21に巻回されたコイルに電流を流して磁界を形成すると、この磁界中でレゾルバロータ鉄心110が回転する。したがって、その際の磁束の変化状態を検出することによって、ロータシャフト11aの回転角度が検出可能となる。このようにレゾルバロータ鉄心110とレゾルバステータ21を備えて構成されるレゾルバ20は、ロータシャフト11aの回転に伴って回転するレゾルバロータの回転角度に応じた回転角度信号を制御装置(図示省略)に出力する。これにより、制御装置は、出力された回転角度信号に基づいて回転電機の回転制御を行う。
【0025】
レゾルバロータ鉄心110は、ロータシャフト11aの外周に貫通孔110hが隙間嵌めされた状態で、ロータシャフト11aの座面部11s(図3)で軸方向に支持されている。図3に示すように、座面部11sは、ロータシャフト11aの外周部における大径部位と小径部位との間の径差によって生ずる段差部分であり、周方向に亘って連続した環状の平面部分である。図3に示す例では、レゾルバロータ鉄心110は、軸方向の端面(図3では下面、以下、第1の端面という)110eが座面部11sに突き当てられ、座面部11sに面接触している。この場合、レゾルバロータ鉄心110は、軸方向の上方から貫通孔110hにロータシャフト11aが挿入された状態で第1の端面110eが座面部11sに突き当てられている。
【0026】
このように第1の端面110eを座面部11sに面接触させた状態で、レゾルバロータ鉄心110は、ロータシャフト11aに対してレゾルバロータ鉄心押さえ120で支持されている。
【0027】
レゾルバロータ鉄心押さえ120は、ロータシャフト11aに圧入可能な環状の部材であり、座面部11sとの間にレゾルバロータ鉄心110を挟み込んで、軸方向にレゾルバロータ鉄心110を位置決め固定する。レゾルバロータ鉄心押さえ120は、温度変化によるレゾルバロータ鉄心110の固定状態の変化を抑制させるべく、例えば線膨張係数がロータシャフト11aと同程度の素材で形成される。これが満たされれば、具体的な素材は特に限定されない。
【0028】
図4は、第1の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押え120の構成を示す図3のB-B矢視正面図である。すなわち、B-B矢視での仮想平面上のロータ鉄心押え120の写像形状を示している。
【0029】
図4に示すように、レゾルバロータ鉄心押さえ120は、環状の平板部121と、平板部121の内縁121h側に設けられた3種類の拘束部、すなわち、第1拘束部122、第2拘束部123および第3拘束部124を備えている。
【0030】
平板部121は、レゾルバロータ鉄心110の軸方向の他の端面(以下、第2の端面という)110fに沿って延在している。第2の端面110fは、軸方向における第1の端面110eの反対側の面であり、図3に示す例では上面である。
【0031】
平板部121は、レゾルバロータ鉄心押さえ120がロータシャフト11aに圧入され、レゾルバロータ鉄心110を位置決め固定した状態で、第2の端面110fと接触する。かかる状態において、平板部121の外周縁の輪郭(外周形状)は、レゾルバロータ鉄心110の 外周形状よりも一回り小さな非円形とされている。これにより、平板部121の外周縁がレゾルバロータ鉄心110の外周縁からはみ出すことを防ぎ、レゾルバが検出する磁束変化、つまりロータシャフト11aの回転角度の検出精度に与える影響が抑えられている。
【0032】
図4に示すように、平板部121は、幅狭部121nと幅広部121wを有している。幅狭部121nは、平板部121の外周面121c(図3)から外周面121cの内向きの法線方向にみた幅が最も狭い部位である。法線方向は径方向に相当する。平板部121の外周面121cは、第1面121aの外周縁と第2面121bの外周縁との間を接続する面部である。幅広部121wは、幅狭部121nよりも幅が広い部位である。ここで、第1面121aおよび第2面121bは、軸方向の両端における各端面であり、第2面121bはレゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fと接触する面である。
【0033】
幅広部121wは、レゾルバロータ板111の幅広部111wの曲率よりも大きな同一の曲率で周方向に湾曲した外周形状をなしている。周方向に隣り合う幅広部121wは、幅狭部121nを介して連続している。幅狭部121nは、平板部121の外周形状が凹状に窪み、隣り合う幅広部121wによって形成される外周形状の差渡し径が最小となる部位である。すなわち、平板部121は、 幅広部121wと幅狭部121nとが交互に連続した平面形状をなす。本実施形態では一例として、幅広部121wおよび幅狭部121nは、それぞれレゾルバロータ板111と同数の4つずつ設けられ、軸心Cを中心として点対称となるように配置されている。ただし、これらの数は特に限定されず、レゾルバロータ板111と一致していなくともよい。
【0034】
レゾルバロータ鉄心押さえ120は、前述のように、それぞれ拘束部として形成された1つの第1拘束部122、3つの第2拘束部123、および8つの第3拘束部を有している。ただし、これらの数はこれに限定されない。
【0035】
第1拘束部122は、4つの幅広部111wのうちの1つの周方向の中央角度を中心にして設けられている。第1拘束部122は、第1拘束部122自身とロータシャフト11aとの相対位置の維持機能、および、レゾルバロータ鉄心110の周方向の拘束機能を有する。
【0036】
第2拘束部123は、4つの幅広部111wのうちの第1拘束部12の設けられていない他の3つの周方向の中央角度を中心にして設けられている。第2拘束部123は、第2拘束部122自身とロータシャフト11aとの相対位置の維持機能を有する。
【0037】
第3拘束部124は、レゾルバロータ鉄心110の軸方向の拘束機能を有する。第3拘束部124は、第1拘束部122および3つの第2拘束部123のそれぞれの周方向の両側に、仮想平面上で、第1拘束部122および3つの第2拘束部123のそれぞれを間隔をもって挟んで互いに対称となるように配されている。なお、図4では、それぞれの第3拘束部124は、第1拘束部122および3つの第2拘束部123のそれぞれに向かって延びているが、対称の配置であれば、逆の方向に延びている場合であってもよい。
【0038】
第1拘束部122および3つの第2拘束部123のそれぞれとその両側に配された2つの第3拘束部124を一組をすると、各組は周方向に互いに間隔をあけて配されている。また、4つの組は、レゾルバ20の磁極配置に合わせて、換言すればレゾルバロータ鉄心110の極ごとに配置されている。
【0039】
以下、これらの拘束部について、それぞれの図面を参照しながら説明する。
【0040】
図5は、第1の実施形態に係るレゾルバロータ100のロータ鉄心押え120の打ち抜き後における第1拘束部122の状態を示す部分平面図である。また、図6は、第1の実施形態に係るレゾルバロータ100のロータ鉄心押え120の取り付け状態における第1拘束部122を示す斜視図である。
【0041】
図5は、ロータ鉄心押え120の打ち抜き後の状態、すなわち、ロータ鉄心押え120の各部の表面が同一平面上にある状態の場合を示している。図5において、平板部121の第1面121a(図3)の内縁121hを含む仮想的な内接円を仮想円Ciで示している。なお、図6においては、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに密着しているロータ鉄心押え120を、説明の便宜上、第2の端面110fから離すようにして図示している。
【0042】
第1拘束部122は、延長部122a、2つのツメ部122b、および凸形状舌部122cを有する。
【0043】
延長部122aは、平板部121の内縁121h側に形成された2つの溝部121fに挟まれている。延長部122aは、図5に示す状態においては、仮想円Ciから回転軸芯C(図2)の方向、すなわち径方向の内側に向かって突出するように形成されている。
【0044】
2つのツメ部122bは、延長部122aの先端において、延長部122aの周方向、すなわち延長部122aの幅方向の両側に鋭角状に形成されている。図5に示す状態においては、2つのツメ部122bのそれぞれの先端は、仮想円Ciの内側となるように径方向の内側に突出している。
【0045】
凸形状舌部122cは、2つのツメ部122bに挟まれて仮想円Ciから切断ステップの方向に突出し、かつ、図6を引用しながら後述するように、レゾルバロータ鉄心110に形成された径方向内側凹部110aと係合するようレゾルバロータ鉄心110側に折り曲げられている。
【0046】
凸形状舌部122cがそれぞれのツメ部122bと分岐する分岐部122gの径方向の位置は、折り曲げられた凸形状舌部122cがロータシャフト11aに接触しないように(図4参照)、平板部121の内縁121hから径方向の外側に内縁121hと十分な間隔を確保するように形成されている。これは、凸形状舌部122cがロータシャフト11aに接触することによるツメ部122bのロータシャフト11aへの押し付け力の低減を防止するためである。
【0047】
第1拘束部122は、各々の、平板部121の第1面121a側に曲がる第1曲がり部122xを起点に弾性変形可能とされている。ここで、第1曲がり部122xは、2つの溝部122fの分岐部分間の部分である。これにより、各々の第1拘束部122は、幅広部111wの外周面121cから外周面121cの内向きの法線方向へ、端的には径方向の内向きに、第1曲がり部122xを起点に弾性変形する。すなわち、第1拘束部122はばね片として機能する。
【0048】
図6に示すように、第1拘束部122は、ロータシャフト11aの外周面S2に接触する2つのツメ部122bを有している。ツメ部122bは、第1拘束部122における径方向の先端部(延出端部)である。レゾルバロータ鉄心押さえ120がロータシャフト11aに圧入される際、第1拘束部122は、ツメ部122bが外周面S2に接触することで、外周面S2から押圧され、外側に反るように平板部121に対して弾性変形する。そして、レゾルバロータ鉄心押さえ120がレゾルバロータ鉄心110を位置決め固定した状態、換言すれば平板部121がレゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに接触した状態で、ツメ部122bは、第1拘束部122の弾性変形の復元力で外周面S2を押圧する。これにより、第1拘束部122は、ロータシャフト11aに対してレゾルバロータ鉄心押さえ120(端的には平板部121)を径方向および軸方向に支持し、位置決め固定する。
【0049】
ツメ部122bと外周面S2との接触態様は、点接触に近いほど、ツメ部122bから外周面S2に押圧力を集中的に作用させることが可能となる。したがって、レゾルバロータ鉄心押さえ120をより強固にロータシャフト11aに対して位置決めするためには 、ツメ部122bは外周面S2と面接触よりも線接触や点接触させることが好ましい。このような観点から本実施形態において、ツメ部122bは、その二点で外周面S2とそれぞれほぼ点接触する。
【0050】
このとき、ツメ部122bがロータシャフト11aの外周面S2を弾性変形の復元力で押圧しており、かかる復元力でツメ部122bが弾性変形することにより生ずる軸方向への荷重(押圧力)を吸収し、平板部121のねじれなどの変形を抑制する。
【0051】
この結果、第1拘束部122は、ロータシャフト11aと同芯の状態で一体で回転することになる。
【0052】
なお、ツメ部122bによる押圧は、第1曲がり部122xとそれぞれのツメ部122b間の長さ、あるいは、レゾルバロータ鉄心押さえ120が均一な厚みの平板から打ち抜かれる場合は平板の厚み、あるいは、分岐部122gの位置すなわちツメ部122bの幅等により弾性変形の弾性を調節することにより、加減することができる。
【0053】
図6に示すように、レゾルバロータ鉄心110の貫通孔110hすなわち径方向の内縁には、第2の端面110fから第1の端面110eに向かって所定の深さに径方向内側凹部110aが形成されている。
【0054】
レゾルバロータ鉄心押さえ120がロータシャフト11aに圧入される際、凸形状舌部122cは、ロータシャフト11aの外周面S2に接触せずに、径方向内側凹部110aに挿入される。
【0055】
径方向内側凹部110aの周方向の幅は、凸形状舌部122cが挿入可能で、かつ、、できるだけギャップが小さくなるように形成されている。
【0056】
この結果、レゾルバロータ鉄心110は、ロータシャフト11aと一体で回転する第1拘束部122の凸形状舌部122cにより拘束され、周方向にロータシャフト11aとの角度位置がずれることがない。すなわち、レゾルバロータ鉄心110は、第1拘束部122の凸形状舌部122cにより周方向に拘束される。
【0057】
図7は、第1の実施形態に係るレゾルバロータ100のロータ鉄心押え120の打ち抜き後における第2拘束部123の状態を示す部分平面図である。また、図8は、第1の実施形態に係るレゾルバロータ100のロータ鉄心押え120の取り付け状態におけるレゾルバロータ鉄心押さえ12-の第2拘束部123を示す斜視図である。
【0058】
第2拘束部123は、延長部123aおよび2つの2つのツメ部123bを有する。
【0059】
延長部123aは、平板部121の内縁121h側に形成された2つの溝部123gに挟まれている。延長部の径方向内側の先端には凹部123cが形成されておち、この結果、2つのツメ部123bが形成される。図7に示す状態においては、2つのツメ部123bのそれぞれの先端は、仮想円Ciの内側となるように径方向の内側に突出している。
【0060】
レゾルバロータ鉄心押さえ120がロータシャフト11aに圧入される際、第2拘束部123は、ツメ部123bが外周面S2に接触することで、外周面S2から押圧され、外側に反るように平板部121に対して弾性変形する。そして、レゾルバロータ鉄心押さえ120がレゾルバロータ鉄心110を位置決め固定した状態、換言すれば平板部121がレゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに接触した状態で、ツメ部123bは、第1拘束部122の弾性変形の復元力で外周面S2を押圧する。これにより、第2拘束部123は、ロータシャフト11aに対してレゾルバロータ鉄心押さえ120を径方向、周方向および軸方向に支持し、位置決め固定する。これらの点では、第1拘束部122と同様である。
【0061】
ここで、ツメ部123bが外周面S2に接触している状態では、凹部123cは外周面S2との間にギャップを有するような形状に形成され、凹部123cが外周面S2に接触しないようになっている。このとき、ツメ部123bがロータシャフト11aの外周面S2を弾性変形の復元力で押圧しており、かかる復元力でツメ部123bが弾性変形することにより生ずる軸方向への荷重(押圧力)を吸収し、平板部121のねじれなどの変形を抑制する。この結果、第2拘束部123は、ロータシャフト11aに対してレゾルバロータ鉄心押さえ120を、確実に径方向、周方向および軸方向に拘束する。
【0062】
なお、ツメ部123bによる押圧は、溝部123gとツメ部123b間の長さ、ツメ部123bの形状・幅を決定する凹部123cの形状、寸法等により、弾性変形の弾性を調節することにより、加減することができる。
【0063】
図9は、第1の実施形態に係るレゾルバロータ100のレゾルバロータ鉄心押さえ120の第3拘束部124を示す斜視図である。
【0064】
第3拘束部124は、平板部121の内縁121h近傍の一部を打ち抜いて形成された板状である。図4に示す方向から見ると、第3拘束部124は、ロータシャフト11aの表面S2とギャップを空けて表面S2の周方向に沿って、平板部121から延びている。第3拘束部124は、基端部124aおよび接触部124bを有する。
【0065】
基端部124aは、第3拘束部124が延びている方向に、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに近づくように形成された段付き部である。
【0066】
接触部124bは、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに面した面が、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに接触する。すなわち、第3拘束部124は、基端部124aに対して接触部124bを弾性変形させることが可能なばね片として構成されている。
【0067】
レゾルバロータ鉄心押さえ120がロータシャフト11aに圧入されると、接触部124bは、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fと接触することにより、第2の端面110fから押圧され、上側に反るように基端部124aに対して弾性変形する。逆に言えば、平板部121からの延長部分である第3拘束部124の接触部124bは、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに接触した状態で、弾性変形の復元力によって第2の端面110fを押圧する。これにより、接触部124bは、レゾルバロータ鉄心110をロータシャフト11aの座面部S1に向けて押し付ける。すなわちこの状態で、レゾルバロータ鉄心押さえ120は、座面部S1との間にレゾルバロータ鉄心110を挟み込んで軸方向に位置決め固定する。また、レゾルバロータ鉄心押さえ120は、レゾルバロータ鉄心110を軸方向に挟み込むことにより、接触部124bとの摩擦力により、レゾルバロータ鉄心110を平面的に、すなわち径方向および軸方向に拘束する。
【0068】
なお、接触部124bによる押圧は、基端部124aの形状、寸法、接触部124bの幅および長さ等により、弾性変形の弾性を調節することにより、加減することができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、レゾルバロータ鉄心押さえ120が第1拘束部122および第2拘束部122を有することにより、レゾルバロータ鉄心押さえ120をロータシャフト11aに対して軸方向、径方向および周方向に位置決め固定することができる。
【0070】
さらに、レゾルバロータ鉄心押さえ120の第1拘束部122のツメ部122bがレゾルバロータ鉄心110に形成された径方向内側凹部110aに嵌合することによって、レゾルバロータ鉄心110が周方向に位置決め固定される。また、レゾルバロータ鉄心押さえ120の第3拘束部124がレゾルバロータ鉄心押さえ120と座面部S1との間にレゾルバロータ鉄心110を挟み込んむことにより、レゾルバロータ鉄心110を軸方向に位置決め固定することができる。
【0071】
以上のように、ロータシャフト11aに対して位置決め固定されたレゾルバロータ鉄心押さえ120がレゾルバロータ鉄心110を拘束することにより、変位抑制および荷重調整が可能となる。
【0072】
[第2の実施形態]
図10は、第2の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押え120aの構成を示す正面図である。
【0073】
本実施形態は、第1の実施形態の変形である。本実施形態では、レゾルバロータ鉄心押さえ120aは、4つの第2拘束部123、6つの第3拘束部124、および2つの第4拘束部125を有する。
【0074】
第2拘束部123は、第1の実施形態における第2拘束部123と同様の構成、形状である。第2拘束部123は、仮想平面において、それぞれの幅広部121wの周方向の中央にその周方向の中央部が位置するように配されている。第1の実施形態における第1拘束部122と3つの第2拘束部123に代えて、本実施形態では、4つの第2拘束部123によって、レゾルバロータ鉄心押さえ120aはロータシャフト11aに径方向、周方向および軸方向に拘束される。すなわち、レゾルバロータ鉄心押さえ120aとロータシャフト11aとは、径方向、周方向および軸方向に結合した状態となる。
【0075】
2つの第4拘束部125は、4つの第2拘束部123のうちの一つを挟んだ両側に、第1の実施形態における第3拘束部124と同様の位置に配置されている。
【0076】
第3拘束部124は、第4拘束部125に挟まれていない他の3つの第2拘束部123のそれぞれを挟んで、第1の実施形態における第3拘束部124と同様の位置に配置されている。
【0077】
4つの第2拘束部123のそれぞれとその両側に配された2つの第3拘束部124または第4拘束部125を一組をすると、各組は周方向に互いに間隔をあけて配されている。また、4つの組は、レゾルバ20の磁極配置に合わせて、換言すればレゾルバロータ鉄心110の極ごとに配置されている。
【0078】
以下、第1の実施形態と異なる第4拘束部125について説明し、第2拘束部123および第3拘束部124については第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0079】
図11は、第2の実施形態に係るレゾルバロータ100のロータ鉄心押え120aの第4拘束部125を示す斜視図である。なお、図11においては、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに密着しているロータ鉄心押え120を、説明の便宜上、第2の端面110fから離すようにして図示している。
【0080】
第4拘束部125は、平板部121の内縁121h近傍の一部を打ち抜いて形成された板状である。図10に示す方向から見ると、第4拘束部125は、ロータシャフト11aの表面S2とギャップを空けて表面S2の周方向に沿って、平板部121から延びている。第4拘束部125は、基端部125a、接触部125b、折り曲げ部125c、および挿入部125dを有する。
【0081】
基端部125aは、第4拘束部125が延びている方向に、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに近づくように形成された段付き部である。
【0082】
接触部125bは、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに面した面が、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに接触する。すなわち、第4拘束部125は、基端部125aに対して接触部125bを弾性変形させることが可能なばね片として構成されている。
【0083】
なお、接触部125bによる押圧は、基端部125aの形状、寸法、接触部125bの幅および長さ等により、弾性変形の弾性を調節することにより、加減することができる。
【0084】
折り曲げ部125cは、接触部125bが延びている方向に、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110f側に90度折り曲げられた部分である。
【0085】
挿入部125dは、接触部125bから延びた部分が折り曲げ部125cにより方向転換し、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに対して垂直方向に延びた部分である。
【0086】
レゾルバロータ鉄心110には、2つの第4拘束部125の挿入部125dに対応する位置に、挿入部125dが挿入可能な拘束用穴110bが形成されている。
【0087】
図12は、第2の実施形態に係るレゾルバロータ100のロータ鉄心押え120aの第4拘束部125の第1の例とレゾルバロータ鉄心110に形成された拘束用穴110bとの関係を示す縦断面図である。すなわち、第4拘束部125の延びる方向に沿った縦断面図である。
【0088】
レゾルバロータ鉄心110の拘束用穴110bは、軸方向に積層されたレゾルバロータ板111のそれぞれに形成された拘束用穴111bが互いに連通することにより形成されている。
【0089】
挿入部125dは接触部125bの延長部分であり、折り曲げ部125cにより90度方向転換した部分である。ここで、接触部125bは、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fに接触する必要がある。このため、折り曲げ部125cの部分に対応するレゾルバロータ板111、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fから折り曲げ部125cの曲率半径分の深さを構成するレゾルバロータ板111については、拘束用穴111bを広げて、折り曲げ部125cとレゾルバロータ板111とが干渉しないように形成されている。
【0090】
挿入部125dは、これよりレゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fより離れた、すなわち第1の端面110eに近い側のレゾルバロータ板111については、拘束用穴111bの拘束側面111cに密着する。
【0091】
レゾルバロータ鉄心110は周方向に回動しようとすると、挿入部125dは、拘束用穴111bの拘束側面111cから押圧され、周方向に反るように折り曲げ部125cに対して弾性変形する。逆に言えば、接触部125bからの延長部分である挿入部125dは、レゾルバロータ鉄心110の各レゾルバロータ板111の拘束側面111cに接触した状態で、弾性変形の復元力によって拘束側面111cを押圧する。これにより、接触部125bは、レゾルバロータ鉄心110を周方向に拘束する。
【0092】
なお、挿入部125dによる押圧は、折り曲げ部125cの曲率半径、挿入部125dの幅および長さ等により弾性変形の弾性を調節することにより、加減することができる。
【0093】
図13は、第2の実施形態に係るレゾルバロータ100のロータ鉄心押え120aの第4拘束部125の第2の例とレゾルバロータ鉄心110に形成された拘束用穴110bとの関係を示す縦断面図である。すなわち、第4拘束部125の延びる方向に沿った縦断面図である。
【0094】
この第2の例は、第1の例における折り曲げ部125cとは異なる折り曲げ部125gを有する。
【0095】
折り曲げ部125gは、接触部125bからの延長部分を、一旦、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fから離れるように曲がった後に、レゾルバロータ鉄心110の第2の端面110f側に曲がる。これにより折り曲げ部125gに接続される挿入部125dは、接触部125bに垂直な方向となるように形成される。
【0096】
このような構成とすることにより、折り曲げ部125gがレゾルバロータ鉄心110内に、すなわちレゾルバロータ鉄心110の第2の端面110fより第1の端面110e側になることがない。すなわち、レゾルバロータ鉄心110の拘束用穴110bに収納されるのは挿入部125dのみである。この結果、各レゾルバロータ板111の拘束用穴111bの拘束側面111cの位置は、いずれも同じ位置でよいこととなる。
【0097】
図14は、第2の実施形態に係るレゾルバロータのロータ鉄心押えの第4拘束部の第2の例の変形例を示す縦断面図である。
【0098】
この変形例では、レゾルバロータ鉄心押さえ120のロータシャフト11aへの圧入前の状態において、折り曲げ部125gに接続される挿入部125dが接触部125bとなす角度Θが90度より小さい角度になるように折り曲げ部125gが形成されている。この結果、レゾルバロータ鉄心押さえ120のロータシャフト11aへの圧入前の状態においては、挿入部125dは、各レゾルバロータ板111の拘束用穴111bの拘束側面111cよりも内側、すなわち、各レゾルバロータ板111と干渉する形状となっている。
【0099】
挿入部125dの先端には、ガイド部125eが設けられている。ガイド部125eは、挿入部125dが90度より大きく内側に傾斜することにより、そのままでは拘束用穴110bへの挿入位置からずれてしまうため、レゾルバロータ鉄心押さえ120の圧入の際の拘束用穴110bへの挿入のガイドとなる。
【0100】
このように形成された本変形例では、レゾルバロータ鉄心押さえ120の圧入後の状態において、折り曲げ部125gがすでに弾性変形をしていることから、挿入部125dは、弾性変形の復元力によって各レゾルバロータ板111の拘束用穴111bの拘束側面111cを押圧する。これにより、接触部125bは、レゾルバロータ鉄心110の周方向の拘束力をさらに確保することができる。
【0101】
以上、説明した実施形態によれば、変位抑制および荷重調整が可能なレゾルバロータおよびレゾルバを提供することができる。
【0102】
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。さらに、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0103】
10…回転電機、11…回転子、11a…ロータシャフト、11b…回転子鉄心、11c…端板、11s…座面部、12…固定子、12a…固定子鉄心、12b…固定子巻線、13…フレーム、20…レゾルバ、21…レゾルバステータ、100…レゾルバロータ、110…レゾルバロータ鉄心、110a…径方向内側凹部、110b…拘束用穴、110e…第1の端面、110f…第2の端面、110h…貫通孔、111…レゾルバロータ板、111a…径方向内側凹部、111b…拘束用穴、111c…拘束側面、111h…中央開口、111n…幅狭部、111w…幅広部、120、120a…レゾルバロータ鉄心押さえ、121…平板部、121a…第1面、121b…第2面、121f、121g…溝部、121h…内縁、121k…外縁、121n…幅狭部、121w…幅広部、122…第1拘束部、122a…延長部、122b…ツメ部、122c…凸形状舌部、122g…分岐部、122x…第1曲がり部、123…第2向拘束部、123a…延長部、123b…ツメ部、123c…凹部、124…第3拘束部、124a…基端部、124b…接触部、125…第4拘束部、125a…基端部、125b…接触部、125c…折り曲げ部、125d…挿入部、125e…ガイド部、125g…折り曲げ部、C…回転軸芯、S1…座面部、S2…外周面
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