(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021352
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】線香が収容された包装容器
(51)【国際特許分類】
B65D 85/20 20060101AFI20240208BHJP
B65D 83/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
B65D85/20 Z
B65D83/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124120
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】591058334
【氏名又は名称】株式会社八木研
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八木 龍一
【テーマコード(参考)】
3E068
【Fターム(参考)】
3E068AA40
3E068AC02
3E068BB12
3E068BB17
3E068CC03
3E068CC05
3E068CE02
3E068CE03
3E068CE08
3E068CE11
3E068DD08
3E068DE02
3E068DE05
3E068EE32
(57)【要約】
【課題】本発明は、線香が販売される状態のままで、線香を1本ずつ容易に取り出すことが可能となる、線香入り包装容器の提供を目的とする。
【解決手段】本発明の包装容器1は、複数の線香STが収容された包装容器であって、包装容器1が、軸X方向の一方側に開口部OPを有し、複数の線香STを収容する筒体2と、筒体2の開口部OPを閉鎖するように筒体2に取り付けられる蓋体3とを備え、蓋体3は、線香STを取り出すための取り出し孔Hを有し、取り出し孔Hは、線香STを1本のみ通す大きさおよび形状とされ、取り出し孔Hは、開口部OPが設けられた筒体2の端部の内面に沿った位置に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の線香が収容された包装容器であって、前記包装容器が、
軸方向の一方側に開口部を有し、前記複数の線香を収容する筒体と、
前記筒体の前記開口部を閉鎖するように前記筒体に取り付けられる蓋体と
を備え、
前記蓋体は、前記線香を取り出すための取り出し孔を有し、
前記取り出し孔は、前記線香を1本のみ通す大きさおよび形状とされ、
前記取り出し孔は、前記開口部が設けられた前記筒体の端部の内面に沿った位置に設けられている、包装容器。
【請求項2】
前記線香の長手方向に垂直な断面形状が略円形、略楕円形、略正方形、略長方形および略多角形のうちのいずれか1つであり、
前記取り出し孔の形状が略円形、略楕円形、略正方形、略長方形および略多角形のうちのいずれか1つである、
請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記線香の前記断面形状が略円形であり、前記取り出し孔の形状が略円形であり、
前記取り出し孔の直径が、前記線香の直径の1.1倍以上2倍未満である、
請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記線香の前記断面形状が略円形であり、前記取り出し孔の形状は、前記取り出し孔の開口縁が、前記蓋体の外周から前記蓋体の中心側に向かって互いに平行に延びる一対の直線部と、前記一対の直線部の一端を繋ぐ湾曲部とから構成された略U字状部分を有し、
前記一対の直線部間を結ぶ第1方向での前記取り出し孔の寸法が、前記線香の直径の1.8倍以上2倍未満であり、
前記湾曲部の頂部を通り、前記第1方向に垂直な第2方向での前記取り出し孔の寸法が、前記線香の直径の1.1倍以上2倍未満である、請求項2に記載の包装容器。
【請求項5】
前記筒体は、全体として有底の略円筒状に形成され、
前記筒体は、前記軸方向の一方側に位置し、前記開口部を有する第1筒状部と、前記第1筒状部に対して前記軸方向で他方側に設けられ、前記第1筒状部よりも径が大きい第2筒状部とを備え、
前記蓋体は、前記取り出し孔が設けられ、前記軸方向に対して垂直に延びる板状部と、前記第1筒状部の外側に嵌め込まれる蓋体側筒状部とを備え、
前記蓋体側筒状部は、前記軸方向の一方側の端部において、前記板状部を係止するために内側に巻き込まれた巻き込み部を有し、
前記取り出し孔は、前記巻き込み部の内周に隣接して設けられ、
前記第1筒状部は、前記軸方向の一方側の端部にテーパ部を有し、
前記テーパ部は、
前記開口部の位置における前記テーパ部の内面が、前記巻き込み部の内周と対応した位置に位置するように傾斜し、かつ、
前記テーパ部の内面が、前記取り出し孔の開口縁のうち、前記第1筒状部の径方向で最も外側となる外側開口縁と対応した位置に位置するように傾斜している、請求項1に記載の包装容器。
【請求項6】
前記軸方向で見たときに、前記テーパ部の内面と、前記取り出し孔の開口縁のうち、前記第1筒状部の径方向で最も内側となる内側開口縁との間の距離が、前記線香の断面形状が略円形である場合、前記線香の直径の1.1倍以上2倍未満であり、前記線香の断面形状が略正方形である場合、前記線香の一辺の長さの1.1倍以上2倍未満である、請求項5に記載の包装容器。
【請求項7】
前記線香の前記断面形状が略正方形であり、前記取り出し孔の形状が略円形であり、
前記取り出し孔の直径が、前記線香の一辺の長さの1.1倍以上2倍未満である、
請求項2に記載の包装容器。
【請求項8】
前記線香の前記断面形状が略正方形であり、前記取り出し孔の形状が略正方形または略長方形であり、
前記取り出し孔の一辺および当該一辺に直行する他の辺の長さが、前記線香の一辺の長さの1.1倍以上2倍未満である、
請求項2に記載の包装容器。
【請求項9】
前記筒体は、軸方向の断面が略多角形である有底の略角筒状に形成され、
前記蓋体は、前記取り出し孔が設けられ、前記軸方向に対して垂直に延びる略多角形状の板状部と、前記筒体の外側に嵌め込まれる、軸方向の断面が略多角形である略角筒状に形成された蓋体側筒状部とを備え、
前記取り出し孔は、前記板状部の角部に設けられている、請求項1に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線香が収容された包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、線香は箱状の容器に収容されて販売されている。そのような容器から1本の線香を取り出して使用する場合、箱状の容器を封鎖している蓋を開けた後、複数本の線香が入った箱状の容器に指を入れて、複数本の線香のうちの1本の線香を指で摘まむことで取り出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、容器内に複数本並んで収容された線香を1本ずつ取り出すには器用さが必要である。実際には、線香を複数本取り出してから1本の線香を除く余分な線香を箱に戻したり、線香を取り出す際に、線香が容器から落ちてしまったり、指で摘まんだ際に線香が折れてしまったりする。また、複数本の線香を取り出しやすくするために、箱状の容器から別の容器に移し替えることもできるが、その場合には線香を別の容器に移す作業が面倒であるうえ、線香を別の容器に移す際に線香が折れてしまったり、床に落としてしまったりして、取り扱いが煩雑となる。
【0004】
そこで、本発明は、線香が販売される状態のままで、線香を1本ずつ容易に取り出すことが可能となる、線香入り包装容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の包装容器は、複数の線香が収容された包装容器であって、前記包装容器が、軸方向の一方側に開口部を有し、前記複数の線香を収容する筒体と、前記筒体の前記開口部を閉鎖するように前記筒体に取り付けられる蓋体とを備え、前記蓋体は、前記線香を取り出すための取り出し孔を有し、前記取り出し孔は、前記線香を1本のみ通す大きさおよび形状とされ、前記取り出し孔は、前記開口部が設けられた前記筒体の端部の内面に沿った位置に設けられている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の包装容器によれば、線香が販売される状態のままで、線香を1本ずつ容易に取り出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の包装容器の斜視図である。
【
図2】
図1の包装容器の蓋体を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1の包装容器を傾けた状態において、1本の線香が取り出し孔から取り出された状態を示す図である。
【
図4】
図1の包装容器の取り出し孔の周辺を軸方向に見た図である。
【
図5】略円形の取り出し孔の大きさと略円形の線香の大きさとの関係を示す概略図である。
【
図6】筒体の取り出し孔と蓋体の第1筒状部の内面との間の位置関係を示す図である。
【
図7】略正方形の取り出し孔の大きさと略円形の線香の大きさとの関係を示す概略図である。
【
図8】断面が略正方形の線香が収容された包装容器の取り出し孔の周辺を軸方向に見た図である。
【
図9】略円形の取り出し孔の大きさと略正方形の線香の大きさとの関係を示す概略図である。
【
図10】変形例の包装容器の取り出し孔の周辺を軸方向に見た図である。
【
図11】
図1の包装容器を、取り出し孔を通るように軸方向に切断した断面図である。
【
図13】
図12に示される筒体に蓋体が取り付けられ、蓋体を軸まわりに回転させる前後の状態を示す図である。
【
図14】断面が略矩形状の変形例の包装容器の斜視図である。
【
図15】
図14の包装容器の取り出し孔の周辺を軸方向に見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の包装容器を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の包装容器は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0009】
なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
【0010】
図1および
図2に示されるように、本実施形態の包装容器1は、複数の線香STが予め収容された、線香包装用の容器である。本実施形態の包装容器1は、所定の形状の線香STが複数本同方向に並んで収容されており、線香STが収容された状態で市場に流通する。包装容器1を構成する材料は特に限定されないが、本実施形態では、紙製(紙管)である。なお、包装容器は、紙以外の、金属、木材、プラスチック等の他の材料によって形成されてもよい。包装容器1の全体形状は、複数の線香STを収容することができれば、特に限定されないが、本実施形態では略円筒状である。しかし、包装容器の全体形状は、略円筒状に限定されず、楕円柱状、略四角柱等、略多角柱状であってもよい。包装容器1は、複数の線香STを収容できるように、収容された線香STの延在方向に沿って細長い形状を有している。なお、本明細書において、包装容器1内に収容された線香STの延在方向と平行な方向を、包装容器1の軸X方向と呼ぶ。同様に、包装容器1の構成要素となる、後述する筒体2および蓋体3についても、包装容器1内に収容された線香STの延在方向と平行な方向を軸X方向と呼ぶ。
【0011】
包装容器1は、
図1および
図2に示されるように、軸X方向の一方側(
図1および
図2における上側)に開口部OP(
図2参照)を有し、複数の線香STを収容する筒体2と、筒体2の開口部OPを閉鎖するように筒体2に取り付けられる蓋体3とを備えている。蓋体3は本実施形態では、筒体2に対して着脱可能に設けられている。
【0012】
筒体2は、複数の線香STが収容される部分である。筒体2には、例えば、数十本の線香STが販売前に予め収容される。線香STの長手方向に垂直な断面形状は、本実施形態では、略円形である。しかし、線香STは、略楕円形、略正三角形略正方形、略長方形および略多角形のいずれか1つなど、略円形以外の断面形状を有していてもよい。なお、本明細書において、略円形の「略」とは、円形だけでなく、円形に近い形状も含む。例えば、線香の設計上の断面形状は円形であるが、線香の製造過程で線香の一部がわずかに変形したりして、完全な円形ではなくなった、円形に近い形状のものも略円形に含まれる。略楕円形、略正方形、略長方形および略多角形の「略」も同様である。
【0013】
筒体2は、本実施形態では、略円筒状であるが、筒体2は、線香STを複数本収容することができれば、特に限定されない。例えば、筒体は、軸X方向に垂直な断面が略矩形、略多角形の角筒状であってもよいし、断面が略楕円の筒状であってもよい。本実施形態では、筒体2は、
図2に示されるように、全体として有底の略円筒状に形成され、筒体2は、軸X方向の一方側(
図2における上側)に位置し、開口部OPを有する第1筒状部21と、第1筒状部21に対して軸X方向で他方側(
図2における下側)に設けられ、第1筒状部21よりも径が大きい第2筒状部22とを備えている。軸X方向で第1筒状部21と第2筒状部22との間には、段差部23が設けられており、段差部23に蓋体3の先端(
図2における下端)が係合して、蓋体3が筒体2に対して蓋をした状態となる(
図1参照)。第1筒状部21は、軸X方向の一方側(
図2における上側)の端部に、テーパ部21aを有している。テーパ部21aは、開口部OPが形成された第1筒状部21の先端に向かうにつれて、径が小さくなるように傾斜している。テーパ部21aについては後述する。
【0014】
筒体2の大きさは、収容される線香STの本数や、線香STの長さに応じて適宜変更される。本実施形態では、収容された状態での線香STの端部が開口部OPから突出しないように、筒体2の軸X方向の長さ(第2筒状部22の底部(
図2における第2筒状部22の下面)から開口部OPが設けられた第1筒状部21の先端(
図2における上端)までの長さ)が線香STよりも長くなるように構成されている。しかし、筒体2の軸X方向の長さは、線香STの長さと同じであってもよいし、収容された状態での線香STの端部が開口部OPから突出するように、線香STの長さよりも短くてもよい。なお、図示は省略するが、筒体2の内面に沿って、複数の線香STを取り囲むように設けられた線香保護用のシートが設けられる。
【0015】
蓋体3は、筒体2に取り付けられ、(後述する取り出し孔Hの部分を除いて)筒体2の開口部OPを閉鎖する。蓋体3は、線香STを1本ずつ取り出すための取り出し孔Hを有している。蓋体3の形状および構造は、取り出し孔Hを有し、筒体2の開口部OPを閉鎖することができれば、特に限定されない。本実施形態では、蓋体3は、軸X方向で他方側(
図2における下端側)に開口を有する有底の略円筒状に形成されている。しかし、蓋体3は、筒体2の形状に応じて適宜変更可能であり、軸X方向に垂直な断面が略矩形、略多角形の角筒状であってもよいし、断面が略楕円の筒状であってもよい。
【0016】
本実施形態では、蓋体3は、
図1~
図3に示されるように、取り出し孔Hが設けられ、軸X方向に対して垂直に延びる板状部31と、第1筒状部21の外側に嵌め込まれる蓋体側筒状部32とを備えている。本実施形態では、板状部31は略円板状に形成され、蓋体側筒状部32は略円筒状に形成されている。より具体的には、蓋体側筒状部32は、
図11に示されるように、軸X方向の一方側の端部(板状部31が設けられる側の端部)において、板状部31を係止するために内側に巻き込まれた巻き込み部32aを有している。巻き込み部32aは、蓋体側筒状部32の端部が内側に巻き込まれるように加工されることで、板状部31の周縁部と軸X方向で係合可能となっており、板状部31は巻き込み部32aと当接した状態で保持されている。
【0017】
取り出し孔Hは、上述したように、線香STを取り出すための孔であり、線香STを1本のみ通す大きさおよび形状とされている。したがって、
図3に示されるように、包装容器1の取り出し孔Hが設けられた蓋体3側が下方となるように、包装容器1を傾けることで、線香STを1本ずつ取り出すことができる。
【0018】
取り出し孔Hの大きさおよび形状は、取り出し孔Hから線香STを1本のみ通すことができ、線香STが2本以上通らない大きさおよび形状であれば、特に限定されない。本実施形態では、取り出し孔Hは、略円形である。しかし、取り出し孔は、例えば、略楕円形、略正方形、略長方形および略多角形(略正三角形、略正五角形、正六角形、正八角形など)のうちのいずれか1つであってもよい。なお、略多角形には、例えば星形のように、取り出し孔の中心に向かって凹んだ部分を有するものも含まれる。
【0019】
取り出し孔Hから線香STを1本のみ取り出すようにする場合、例えば、線香STの断面形状が略円形であり、取り出し孔Hの形状が略円形であれば、取り出し孔Hの直径D1(
図4参照)を、線香STの直径D2(
図4参照)の1.1倍以上2倍未満、好ましくは、1.8倍以上2倍未満とすることができる。言い換えると、線香STの断面形状が略円形の場合、取り出し孔Hの直径D1は、線香STの直径D2の2倍の円(
図5の二点鎖線で示される円)の直径D3よりもわずかに小さい(例えば、D3×A1≦D1<D3×1(A1=0.55~0.95、好ましくは、A1=0.8~0.9)とする)。この場合、取り出し孔Hの開口縁と線香STとの間には、1本の線香STを取り出しやすくなる十分な隙間ができる一方で、さらにもう1本の線香STを取り出せる隙間は存在しない(
図6参照)。したがって、1本のみの線香STを容易に取り出すことができる。なお、上記および以下に説明する線香STの断面寸法(例えば線香STの直径や一辺の長さ)は、線香STの切断時に生じるバリや乾燥時の寸法変化などを加味した数値とすることができる。また、上記および以下に説明する線香STの寸法は、包装容器1に収容された全ての線香STの寸法の平均値としてもよい。
【0020】
また、例えば、
図7に示されるように、線香STの断面形状が略円形であり、取り出し孔Hの形状が略正方形または略長方形である場合、取り出し孔Hは、一辺が線香STの直径D2の2倍の正方形(
図7に二点鎖線で示されている)の一辺の長さD5(D5=D2×2)よりも短い一辺の長さD4を有する略正方形(例えば、D5×0.9≦D4<D5×1とする)とするか、長辺および短辺の両方が、一辺の長さD5(D5=D2×2)の正方形よりも短い略長方形(例えば、D5×A2≦長辺の長さ<D5×1(A2=0.55~0.95、好ましくはA2=0.8~0.9)、D5×A3≦短辺の長さ<D5×1(A3=0.55~0.95、好ましくはA3=0.8~0.9)、かつ、長辺の長さ>短辺の長さの長方形)とすることができる。この場合も、取り出し孔Hの開口縁と線香STとの間には、1本の線香STを取り出しやすくなる十分な隙間ができる一方で、さらにもう1本の線香STを取り出せる隙間は存在しない(
図7参照)。したがって、1本のみの線香STを容易に取り出すことができる。
【0021】
また、線香STの断面形状が略円形であり、取り出し孔の形状が略楕円形である場合(図示せず)、略楕円形の取り出し孔の長径および/または短径を、取り出し孔から2本の線香STが取り出せないように、2つの隣接する円形の線香STに外接する楕円の長径および/または短径よりもわずかに短くすればよい(例えば、取り出し孔の長径および/または短径を、2つの隣接する円形の線香STに外接する楕円の長径および/または短径のA4倍以上(A4=0.55~0.95、好ましくはA4=0.8~0.9)、1倍未満とする)。また、線香STの断面形状が略円形であり、取り出し孔の形状が略多角形である場合(図示せず)、取り出し孔は、略多角形の取り出し孔の各辺が、2つの隣接する円形の線香STに外接する多角形の各辺の長さに対してわずかに短く(例えば、多角形の取り出し孔の辺の長さを、2つの隣接する円形の線香STに外接する多角形の辺の長さのA5倍以上(A5=0.55~0.95、好ましくはA3=0.8~0.9)、1倍未満)なるように小さくした相似形の多角形とすればよい。この場合も、取り出し孔の開口縁と線香STとの間には、1本の線香STを取り出しやすくなる十分な隙間ができる一方で、さらにもう1本の線香STを取り出せる隙間は存在しない。したがって、1本のみの線香STを容易に取り出すことができる。
【0022】
また、例えば、
図8に示されるように、線香STの断面形状が略正方形であり、取り出し孔Hの形状が略円形である場合、取り出し孔Hの直径D1を、線香STの一辺の長さD6(
図8参照)の1.1倍以上2倍未満、好ましくは1.8倍以上2倍未満とすることができる。または、取り出し孔Hの直径D1を、
図9に示されるように、2つの隣接する正方形の線香STに外接する円の直径D7よりもわずかに小さくすればよい(例えば、D7×A6≦D1<D7×1(A6=0.55~0.95、好ましくはA6=0.8~0.9))。この場合も、取り出し孔の開口縁と線香STとの間には、1本の線香STを取り出しやすくなる十分な隙間ができる一方で、さらにもう1本の線香STを取り出せる隙間は存在しない。したがって、1本のみの線香STを容易に取り出すことができる。
【0023】
また、後述するように、線香STの断面形状が略正方形であり、取り出し孔Hの形状が略正方形(
図15参照)または略長方形である場合、取り出し孔Hの一辺および当該一辺に直行する他の辺の長さを、線香STの一辺の長さの1.1倍以上2倍未満、好ましくは1.8倍以上2倍未満とすればよい。この場合も、取り出し孔の開口縁と線香STとの間には、1本の線香STを取り出しやすくなる十分な隙間ができる一方で、さらにもう1本の線香STを取り出せる隙間は存在しない。したがって、1本のみの線香STを容易に取り出すことができる。なお、線香STの断面形状が略長方形で、取り出し孔の形状が略正方形である場合(図示せず)、略長方形状の線香STの短辺および長辺は、いずれも取り出し孔の一辺よりも短く、取り出し孔の一辺は、線香STの短辺の2倍よりも短い(線香STの長辺の2倍よりも短い)。線香STの断面形状が略長方形で、取り出し孔の形状が略長方形である場合(図示せず)、略長方形状の線香STの短辺および長辺は、いずれも取り出し孔の短辺および長辺よりも短く、取り出し孔の長辺は、線香STの短辺の2倍よりも短く(線香STの長辺の2倍よりも短い)、かつ、取り出し孔の短辺も、線香STの短辺の2倍よりも短い(線香STの長辺の2倍よりも短い)。
【0024】
また、線香STの断面形状が略正方形であり、取り出し孔の形状が略楕円形である場合(図示せず)、略楕円形の取り出し孔の長径および/または短径を、取り出し孔から2本の線香STが取り出せないように、2つの隣接する正方形の線香STに外接する楕円の長径および/または短径よりもわずかに短くすればよい(例えば、取り出し孔の長径および/または短径を、2つの隣接する正方形の線香STに外接する楕円の長径および/または短径のA7倍以上(A7=0.55~0.95、好ましくはA7=0.8~0.9)、1倍未満とする)。また、線香STの断面形状が略正方形であり、取り出し孔Hの形状が略多角形である場合(図示せず)、取り出し孔は、略多角形の取り出し孔の各辺が、2つの隣接する正方形の線香STに外接する多角形の各辺の長さに対してわずかに短く(例えば、多角形の取り出し孔の辺の長さを、2つの隣接する正方形の線香STに外接する多角形の辺の長さのA8倍以上(A8=0.55~0.95、好ましくはA8=0.8~0.9)、1倍未満)なるように小さくした相似形の多角形とすればよい。この場合も、取り出し孔の開口縁と線香STとの間には、1本の線香STを取り出しやすくなる十分な隙間ができる一方で、さらにもう1本の線香STを取り出せる隙間は存在しない。したがって、1本のみの線香STを容易に取り出すことができる。
【0025】
なお、取り出し孔Hは、
図10に示されるように、取り出し孔Hの開口縁が、蓋体3の外周から蓋体3の中心側(軸Xに近付く方向)に向かって互いに平行に延びる一対の直線部Ha、Hbと、一対の直線部Ha、Hbの蓋体3の中心側の一端を繋ぐ湾曲部Hcとから構成された略U字状部分を有していてもよい。この場合に、一対の直線部Ha、Hb間を結ぶ第1方向(
図10における左右方向)での取り出し孔Hの寸法D8が、線香STの直径D2の1.1倍以上2倍未満、好ましくは1.8倍以上2倍未満であり、湾曲部Hcの頂部を通り、第1方向に垂直な第2方向(
図10における上下方向)での取り出し孔Hの寸法D9が、線香STの直径D2の1.1倍以上2倍未満、好ましくは1.8倍以上2倍未満であることが好ましい。この場合も、取り出し孔の開口縁と線香STとの間には、1本の線香STを取り出しやすくなる十分な隙間ができる一方で、さらにもう1本の線香STを取り出せる隙間は存在しない。したがって、1本のみの線香STを容易に取り出すことができる。また、この場合、一対の直線部Ha、Hbとを蓋体3の径方向外側で繋ぐ連結部Hdは、筒体2(テーパ部21a)の内面に沿って延びており、より線香STを取り出しやすい。
【0026】
また、本実施形態の包装容器1において、取り出し孔Hは、
図6および
図11に示されるように、開口部OPが設けられた筒体2の端部の内面に沿った位置に設けられている。なお、取り出し孔Hに関して、「筒体2の端部の内面に沿った位置に設けられている」とは、軸X方向に見たときに、取り出し孔Hの開口縁(最も軸Xから遠い外側部分)と、筒体2の端部の内面(本実施形態では、テーパ部21aの先端部の内面)とが一致するような位置関係であること、筒体2の端部の内面(本実施形態では、テーパ部21aの先端部の内面IS)が、取り出し孔Hの開口縁(最も軸Xから遠い外側開口縁HE1)に対してわずかに内側(軸Xに近い側)に位置する位置関係(この場合、軸X方向で見たときに、筒体2の端部の内面と、取り出し孔Hの開口縁のうち、最も軸Xに近い内側部分との間の長さが、略円形の線香STの直径の1.1倍以上2倍未満、好ましくは1.8倍以上2倍未満であることが好ましい)であること、または、筒体2の端部の内面(本実施形態では、テーパ部21aの先端部の内面IS)が、取り出し孔Hの開口縁(最も軸Xから遠い外側開口縁HE1(
図11参照))に対してわずかに外側(軸Xから遠い側)に位置する位置関係(
図11参照)であることをいう。
【0027】
取り出し孔Hが筒体2の内面に沿っていることで(軸X方向に見たときに、取り出し孔Hの開口縁のうち外側部分が、筒体2の内面に沿うように延びていることで)、
図11に示されるように、線香STの一端が開口部OPの位置を通り過ぎた後、取り出し孔Hを容易に通り抜けることができる。したがって、線香STが蓋体3の内側部分(
図11における蓋体3の板状部31の下面)で引っかかりにくく、容易に線香STを取り出し孔Hから取り出すことができる。また、線香STが筒体2の内面に沿うことで、線香STの先端が取り出し孔Hに向かって案内されるので、線香が残り数本など少なくなったときであっても、容易に線香を取り出すことができる。この構成は、本実施形態のように、取り出し孔Hが線香STを1本しか通すことができない小さい開口である場合に特に有利である。例えば、取り出し孔Hが軸Xに沿って貫通している場合、残り1本の線香STを取り出す際に、線香STの軸と、取り出し孔Hの軸とが一致しないと残り1本の線香STを取り出すことができない。取り出し孔Hの大きさが小さくなると、線香STの軸と取り出し孔Hの軸とを合わせるのは至難の業である。そのような場合、線香STを取り出すには、包装容器1を何度も振ったりすることで、小さい取り出し孔Hから取り出そうとするが、その場合は、線香STが折れてしまうこともある。本実施形態では、取り出し孔Hが、筒体2の端部の内面に沿った位置に設けられることで、線香STを1本しか通さない小さな取り出し孔Hであっても容易に線香STを取り出すことができる。特に、本実施形態では、
図11に示されるように、筒体2の底部と第2筒状部22とが交わる角部Cと、取り出し孔Hの外側開口縁HE1とを結んだ直線上に、筒体2の端部の内面(テーパ部21aの先端部の内面IS)が位置するように、包装容器1が構成されている。この場合、筒体2から出る線香STがテーパ部21aの内側面に沿って移動して、取り出し孔Hから容易に取り出すことが可能となる。
【0028】
また、本実施形態では、
図11に示されるように、取り出し孔Hは、巻き込み部32aの内周に隣接して設けられ、第1筒状部21は、軸X方向の一方側の端部にテーパ部21aを有している。テーパ部21aは、
図11に示されるように、開口部OPの位置におけるテーパ部21aの内面ISが、巻き込み部32aの内周と対応した位置(筒体2の底部と第2筒状部22とが交わる角部Cと、取り出し孔Hの外側開口縁HE1とを結んだ直線上)に位置するように傾斜している。このように、包装容器1の蓋体3が巻き込み部32aを有していることで、取り出し孔Hが蓋体3の外周よりも内側に配置せざるを得ない場合であっても、上述した位置関係となっていることで、
図11に示されるように、取り出される線香STがテーパ部21aに案内されて、取り出し孔Hから容易かつ円滑に線香STを取り出すことができる。
【0029】
筒体2の開口部OPは、
図12に示されるように、閉鎖部CLによって一部閉鎖されていてもよい。閉鎖部CLは、筒体2から取り出し孔Hへの軸X方向の移動を遮断するように設けられている。閉鎖部CLの形状や設けられる位置は、
図12に示される構造に限定されない。本実施形態では、閉鎖部CLは、第1筒状部21の先端に設けられた半円状の蓋部材によって構成され、蓋体3を筒体2に対して軸Xまわりに相対回転させることで、
図13の左側に示されるように、取り出し孔Hと筒体2の内部とが軸X方向で連通した開放状態と、
図13の右側に示されるように、取り出し孔Hと筒体2の内部とが軸X方向で遮断された遮断状態との間で切り替えが可能となる。これにより、意図しない線香STの排出が防止され、閉鎖部CLと板状部31との間の軸X方向の距離が所定範囲内(例えば0~2mmなど)である場合に、外部環境から内部への湿気の浸入が抑制される。
【0030】
また、変形例の包装容器1として、包装容器1の断面が略多角形状の角筒状に形成されていてもよい。
図14に示される例では、包装容器1は軸X方向に垂直な断面が略矩形となる矩形筒状体によって構成されている。より具体的には、
図14に示されるように、筒体2は、軸X方向の断面が略矩形である有底の略角筒状に形成され、蓋体3は、取り出し孔Hが設けられ、軸X方向に対して垂直に延びる略矩形の板状部31と、筒体2の外側に嵌め込まれる、軸X方向の断面が略矩形である略角筒状に形成された蓋体側筒状部32とを備えている。なお、
図14では、軸X方向に垂直な断面が略矩形となるように、包装容器1の各部位が構成されているが、矩形以外の多角形状(例えば三角柱、五角柱、六角柱など)であってもよい。
【0031】
図14に示される変形例においては、取り出し孔Hは、板状部31の角部に設けられている。この場合、
図15に示されるように、筒体2内部の線香STは、包装容器1を所定の姿勢とすることで、筒部2の角部分に移動する。したがって、取り出し孔Hが板状部31の角部に設けられていることで、筒体2内部の角部分に移動した線香STを容易に取り出すことができる。
【符号の説明】
【0032】
1 包装容器
2 筒体
21 第1筒状部
21a テーパ部
22 第2筒状部
23 段差部
3 蓋体
31 板状部
32 蓋体側筒状部
32a 巻き込み部
CL 閉鎖部
C 筒体の底部と第2筒状部とが交わる角部
H 取り出し孔
Ha、Hb 直線部
Hc 湾曲部
Hd 連結部
HE1 第1筒状部の外側開口縁
HE2 第1筒状部の内側開口縁
IS テーパ部の内面
OP 開口部
ST 線香
X 軸
D1 取り出し孔の直径
D2 線香の直径
D3 線香の直径の2倍の円の直径
D4 一辺が線香の直径の2倍の正方形の一辺の長さよりも短い一辺の長さを有する正方形の一辺の長さ
D5 一辺が線香の直径の2倍の正方形の一辺の長さ
D6 線香の一辺の長さ
D7 2つの隣接する正方形の線香に外接する円の直径
D8 一対の直線部間を結ぶ第1方向での取り出し孔の寸法
D9 湾曲部の頂部を通り、第1方向に垂直な第2方向での取り出し孔の寸法