(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021355
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】給電装置、給電方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/60 20160101AFI20240208BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240208BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20240208BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240208BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20240208BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/10
H02J50/80
H02J7/00 301D
H02J7/04 N
H02J7/10 N
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124128
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】肥後 富男
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CB13
5G503DA04
5G503DA07
5G503FA03
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】非接触充電時における安全性を向上させることができる給電装置、給電方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】給電装置は、載置面に載置された受電機器に給電するための給電部材を有する給電部と、受電機器が載置面に載置されたときに受電機器と給電部材との間に位置する箇所に設けられ、載置部よりも高い熱伝導率を有する熱伝導部材と、熱伝導部材の温度を検知する温度検知部と、を備え、所定のタイミングでの給電部による給電の開始後であって、温度検知部により検知される熱伝導部材の温度が予め定められた条件を満たす場合、給電部による給電を停止する制御を行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電機器が載置される載置面を有する載置部と、
前記載置面に載置された前記受電機器に給電するための給電部材を有する給電部と、
前記受電機器が前記載置面に載置されたときに前記受電機器と前記給電部材との間に位置する箇所に、設けられた熱伝導部材であって、前記載置部よりも高い熱伝導率を有する熱伝導部材と、
前記熱伝導部材の温度を検知する温度検知部と、
所定のタイミングでの前記給電部による給電の開始後であって、前記温度検知部により検知される前記熱伝導部材の温度が予め定められた条件を満たす場合、前記給電部による給電を停止する制御を行う制御部と、
を備える給電装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記温度検知部によって検知される前記熱伝導部材の温度が、前記給電部による給電が開始されてから所定期間内に、当該所定期間に対応して設定された所定の温度幅以上上昇した場合に、前記予め定められた条件を満たすとして、前記給電部による給電を停止する、
請求項1に記載の給電装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記温度検知部によって検知される前記熱伝導部材の温度が、所定の温度幅以上上昇したときが、前記給電部による給電が開始されてから所定期間内であった場合、前記予め定められた条件を満たすとして、前記給電部による給電を停止する、
請求項1に記載の給電装置。
【請求項4】
複数の前記所定の温度幅が設定されており、前記複数の所定の温度幅のそれぞれに対応して互いに異なる前記所定期間が設定されており、
前記制御部は、全ての前記所定の温度幅と当該所定の温度幅に対応する前記所定期間について前記予め定められた条件を満たさないと判定された場合に、前記給電部による給電を継続させる、
請求項2に記載の給電装置。
【請求項5】
前記温度検知部によって検知される前記熱伝導部材の温度が、前記給電部による給電が開始されてから所定期間内に、所定の温度幅以上上昇した場合に、前記載置面に異物が存在すると判定する判定部を、
さらに備える請求項1乃至3のいずれか一項に記載の給電装置。
【請求項6】
前記熱伝導部材は、前記載置部の前記載置面と反対側に設けられている、
請求項3に記載の給電装置。
【請求項7】
前記熱伝導部材は、熱伝導性の接着部材により前記載置部に貼付されている、
請求項5に記載の給電装置。
【請求項8】
受電機器が載置される載置面を有する載置部であって、断熱層として機能する載置部と、
前記載置面に載置された前記受電機器に給電するための給電部材を有する給電部と、
前記載置部における前記載置面側とは反対側の面に設けられた熱伝導部材であって、熱伝導層として機能する熱伝導部材と、
前記熱伝導部材の温度を検知する温度検知部と、
所定のタイミングでの前記給電部による給電の開始後であって、前記温度検知部により検知される前記熱伝導部材の温度が予め定められた条件を満たす場合、前記給電部による給電を停止する制御を行う制御部と、
を備える給電装置。
【請求項9】
受電機器が載置される載置面を有する載置部と、
前記載置面に載置された前記受電機器に給電するための給電部材を有する給電部と、
前記受電機器が前記載置面に載置されたときに前記受電機器と前記給電部材との間に位置する箇所に、設けられた熱伝導部材であって、前記載置部よりも高い熱伝導率を有する熱伝導部材と、
前記熱伝導部材の温度を検知する温度検知部と、
給電の制御を行う制御部と、を備える給電装置による給電方法であって、
所定のタイミングで前記給電部による給電を開始するステップと、
前記温度検知部により検知される前記熱伝導部材の温度が予め定められた条件を満たす場合、前記給電部による給電を停止するステップと、
を備える給電方法。
【請求項10】
受電機器が載置される載置面を有する載置部と、
前記載置面に載置された前記受電機器に給電するための給電部材を有する給電部と、
前記受電機器が前記載置面に載置されたときに前記受電機器と前記給電部材との間に位置する箇所に、設けられた熱伝導部材であって、前記載置部よりも高い熱伝導率を有する熱伝導部材と、
前記熱伝導部材の温度を検知する温度検知部と、
給電の制御を行う制御部と、を備えるコンピュータを、
所定のタイミングでの前記給電部による給電の開始後であって、前記温度検知部により検知される前記熱伝導部材の温度が予め定められた条件を満たす場合、前記給電部による給電を停止する制御を行う制御手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電装置、給電方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非接触式充電装置における充電台に金属異物が存在することによる充電装置の高温化を防止するための様々な工夫がなされている。例えば、特許文献1には、送電コイルの温度を検知する温度センサを備え、充電中の温度が所定温度以上となった場合に充電電流を小さくする非接触式充電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の非接触式充電装置では、例えば急激な温度上昇が発生した場合、所定の温度を超えてしまうおそれがある。そのため、非接触充電時における安全性を向上させるという観点からすると改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、非接触充電時における安全性を向上させることができる給電装置、給電方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る給電装置は、
受電機器が載置される載置面を有する載置部と、
前記載置面に載置された前記受電機器に給電するための給電部材を有する給電部と、
前記受電機器が前記載置面に載置されたときに前記受電機器と前記給電部材との間に位置する箇所に、設けられた熱伝導部材であって、前記載置部よりも高い熱伝導率を有する熱伝導部材と、
前記熱伝導部材の温度を検知する温度検知部と、
所定のタイミングでの前記給電部による給電の開始後であって、前記温度検知部により検知される前記熱伝導部材の温度が予め定められた条件を満たす場合、前記給電部による給電を停止する制御を行う制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、熱伝導部材により温度上昇を緩やかにし、非接触充電時における安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係るロボットの斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る給電装置に受電機器を含むロボットを載置した状態で側面から図示した断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る給電装置の断面拡大図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る給電装置を上面から図示した図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る給電装置の一例を示すブロック図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る給電制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】(A)は、本発明の実施の形態に係るコイルカバーを下面から図示した図である。(B)は、変形例におけるコイルカバーを下面から図示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態の理解を容易にするため、
図1中および
図2中の上下の方向を適宜参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態)
まず、この実施の形態に係る給電装置100の構成について、
図1~
図5を参照して説明する。給電装置100は、
図1に示すロボット200に備えられる受電機器に電気を給電する装置である。
【0011】
この実施の形態におけるロボット200は、小動物を模したペットロボットである。
図1に示すように、ロボット200には、小動物の目を模した装飾部材202が前側に2つ設けられている。また、ロボット200は、小動物の毛を模した毛203が設けられた外装204を有している。また、
図2に示すように、ロボット200には受電機器である受電コイル201が設けられている。受電コイル201は、例えば、渦巻状に巻回された平面コイルであり、給電装置100の載置面であるコイルカバー101の上面に対して平行になるようにコイル面が配置されている。
【0012】
受電コイル201は、給電装置100に設けられた送電コイル106と電磁誘導などの磁界結合によって電力を受電する。受電コイル201が受電した電力は、図示を省略した充電回路に出力される。充電回路は、受電コイル201が受電した交流電力を整流して直流電流に変換し、図示を省略した二次電池を充電する。これにより、給電装置100からロボット200の二次電池に、非接触で電力を供給することができる。そのため、送電コイル106は、給電部材に対応する。また、この実施の形態では、送電コイル106と受電コイル201とにより非接触充電方式が行われる例を示しているがこれに限られない。具体的には、磁界を利用して非接触給電を行うものであればどのような方式の非接触給電であってもよい。
【0013】
給電装置100は、
図2に示すように、コイルカバー101と、床面101aと、熱伝導部材103と、押圧部材104と、温度センサ105と、送電コイル106と、台座107と、基板108と、外枠109と、を備えている。
【0014】
コイルカバー101は、ロボット200が載置される載置部に対応している。また、コイルカバー101は、送電コイル106による給電が行われるときにコイルカバー101自体が発熱しないように、金属とは異なる材料から形成されている。この実施の形態では、コイルカバー101は、プラスチックなどの絶縁部材から形成される。なお、コイルカバー101が、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)など、ロボット200との摩擦が少ない滑らかな部材により構成されていてもよい。床面101aは、例えばプラスチックなどの絶縁部材により構成される。なお、床面101aについても、コイルカバー101と同様に、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)により構成されてもよい。
【0015】
図3に示すように、コイルカバー101の下面側には、熱伝導部材103が、熱伝導性両面テープ102により貼付されている。熱伝導部材103は、例えばアクリル系の材料で形成されたシートである。なお当該熱伝導部材103は、アクリル系の材料の他、シリコン系の材料により形成されてもよい。また、熱伝導性両面テープ102は、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂の両面に熱伝導性のあるアクリル系粘着剤が塗布されたものである。なお、熱伝導性両面テープ102は、熱伝導性のあるアクリル系粘着剤のみであってもよいし、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの両面に熱伝導性のあるアクリル系粘着剤が塗布されたものであってもよい。なお、熱伝導部材103は、コイルカバー101よりも熱伝導率の高い材料から構成されている。
【0016】
押圧部材104は、例えばゴム等の弾性のある部材から形成されている。また、押圧部材104は、熱伝導部材103の下部中央付近において当該温度センサ105の周囲を覆うように設けられている。より具体的には、押圧部材104には貫通孔104aが形成されており、この貫通孔104aの内側に温度センサ105が位置するように押圧部材104が配置されている。
【0017】
温度センサ105は、熱伝導部材103の温度を検知するためのセンサであって、例えば測温抵抗体、リニア抵抗器、サーミスタなどの接触式温度センサであり、
図4に点線で示すように熱伝導部材103の下部中央に設けられている。言い換えると、温度センサ105は、コイルカバー101におけるロボット200が載置される側とは反対側の箇所であって、熱伝導部材103の中央位置に対応する箇所に配置されている。
【0018】
この実施の形態では、温度センサ105は、フレキシブルプリント配線板105aに実装されている。また、温度センサ105にて検出された温度情報が、当該フレキシブルプリント配線板105aを介して、基板108に実装されている電子部品に伝送される。なお、フレキシブルプリント配線板105aとして、例えば、熱伝導率の高い樹脂等からなるフィルムに回路パターンを形成したものが用いられる。
【0019】
また、押圧部材104は、当該押圧部材104によりフレキシブルプリント配線板105aが熱伝導部材103に向かって押しつけられた状態となるように配置されている。このことにより、押圧部材104と、フレキシブルプリント配線板105aと、熱伝導部材103とが密着するようになっている。また、コイルカバー101上に金属異物が存在しており、送電コイル106による給電時に金属異物が発熱した場合でも、発生した熱が、コイルカバー101、熱伝導性両面テープ102、熱伝導部材103、及びフレキシブルプリント配線板105aを介して温度センサ105に熱伝導しやすくなっている。なお、温度センサ105は、温度検知部に対応する。
【0020】
また、上述したように、押圧部材104に形成された貫通孔104aの内側に温度センサ105が配置されている。このため、温度センサ105は、押圧部材104とフレキシブルプリント配線板105aとが接触している部分(具体的には、貫通孔104aの周縁部)とは異なる部分(具体的には、貫通孔104aの周縁部よりも内側の領域)においてフレキシブルプリント配線板105aに接触している。すなわち、押圧部材104を配置しない場合には、温度センサ105によって熱伝導部材103をフレキシブルプリント配線板105aに押し付ける必要があるため温度センサ105に負荷がかかってしまう可能性がある。これに対し、この実施の形態によれば、押圧部材104により熱伝導部材103に押し付けられた状態のフレキシブルプリント配線板105aに接触させるように温度センサ105を配置するため、温度センサ105に負荷がかかってしまうことを抑制することができる。
【0021】
なお、押圧部材104を、温度センサ105を保護するためのクッションとして機能させるようにしてもよい。また、押圧部材104により、コイルカバー101上に載置されたロボット200の重力に応じた反発力を発生させることで、クッションとしての機能を発揮させるようにしてもよい。
【0022】
また、コイルカバー101の下面側に配置された熱伝導部材103の中央位置に対応する箇所の温度を温度センサ105により検知する構成によれば、給電装置100の製造コストを低減することができる。より詳細には、熱伝導部材103が設けられていない場合、コイルカバー101の中央部分や周辺近傍部分の温度変化を検知するためには複数個所に温度センサを設ける必要があり、温度センサの数だけコストがかかってしまう。これに対し、本実施の形態では、金属異物から発生した熱が熱伝導部材103を介して温度センサ105に伝わるようになっている。このため、熱伝導部材103の中央位置に対応する箇所に配置された温度センサ105により、コイルカバー101の中央近傍の部分のみでなく、他の部分の温度変化についても検知することができる。このように、熱伝導部材103は、金属異物から発生した熱を速やかに温度センサ105に伝えるための部材として機能する。また、熱伝導部材103は、発熱した金属異物からの熱を拡散することによって当該金属異物の温度上昇を緩やかにするための部材としても機能する。
【0023】
また、コイルカバー101は、上述したように熱伝導部材103よりも熱伝導率の低い材料から構成されている。このため、熱伝導部材103により形成される熱伝導層と比較して、コイルカバー101は、熱を伝えにくい断熱層として機能する。この場合には、金属異物が発熱した場合でも、その熱がコイルカバー101上の広い領域に拡散しないようになるため、ロボット200に金属異物から発生した熱が伝わってしまうことを抑制することができる。
【0024】
送電コイル106は、例えば渦巻状に巻回された平面コイルでありコイルカバー101の上面に対して平行になるようにコイル面が配置されている。すなわち、送電コイル106は、
図2および
図3に示すように、コイルカバー101に載置されたロボット200の受電コイル201と正対するように配置されている。なお、この実施の形態では、給電装置100の外部または内部に設けられ、家庭用コンセントに接続されたACアダプタから供給された直流電圧を交流に変換し、送電コイル106から電力を伝送する。
【0025】
台座107は、例えばプラスチックなどの絶縁部材により構成され、
図2および
図3に示すように、その上面には送電コイル106が配置される。
【0026】
基板108は、各種電子部品が実装されるプリント基板から構成される。具体的に、基板108には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)を備えるマイクロコンピュータやFPGA(Field-Programmable Gate Array)、および、各種情報を記憶するメモリなどが実装される。
【0027】
外枠109は、例えばプラスチックなどの絶縁部材により構成される。なお、この実施の形態における外枠109は、
図4に示すように楕円形状である例を示しているが、これは一例であり、楕円形状に限られない。例えば、前方が後方よりも膨らんだ形状の、いわゆる卵形の形状であってもよい。また、外枠109には、例えばLEDなどのランプやスピーカなど、ユーザに対して金属異物が存在することを報知する報知部が設けられている(図示省略)。
【0028】
図4に示すように、この実施の形態における給電装置100は、テーブル等の載置面に載置された給電装置100を上方から見たときに楕円形となる形状をしている。また、円形のコイルカバー101の下面側には、円形の熱伝導部材103が、熱伝導性両面テープ102により貼付されている(
図2参照)。そして、円形の熱伝導部材103の中心部分に対応する箇所に温度センサ105が設けられている。なお、図示する例では、コイルカバー101および熱伝導部材103が円形である例を示したが、円形に限られず、例えば楕円形や多角形であってもよい。熱伝導部材103の形状は、コイルカバー101の形状に応じた形状であればよい。
【0029】
次に、この実施の形態における給電装置100の各機能部について、
図5を参照して説明する。
図5に示すように、給電装置100は、記憶部110と、制御部120と、入出力部130と、通信部140と、これらを相互に接続するシステムバス(図示省略)と、を備えている。なお、これらの各機能部は、基板108に実装されたCPU、ROM、およびRAMを備えるマイクロコンピュータやFPGA、および各種情報を記憶するメモリなどにより実現される。
【0030】
記憶部110は、ROMやRAM、フラッシュメモリなどの記憶装置であり、制御部120のCPUが実行するプログラム111を実行する上で予め必要な各種データ(図示省略)と、設定温度情報112と、設定時間情報113と、を記憶する。
【0031】
プログラム111は、後述する給電制御処理を実行するプログラムであり、予め記憶部110に記憶されている。
【0032】
設定温度情報112は、予め設定された温度として、ユーザにより第1設定温度から第n設定温度(nはユーザの設定する2以上の整数)まで複数設定されている。なお、設定温度情報112として設定された温度は、後述する給電制御処理において、温度センサ105にて検出された熱伝導部材103の上昇温度と比較するための基準となる温度である。
【0033】
設定時間情報113は、例えば第1設定温度(例えば3度)に対応した第1設定時間として1秒が設定され、第2設定温度(例えば5度)に対応した第2設定時間として3秒が設定される、といったように、設定温度情報112により設定された設定温度毎に、予めユーザにより第n設定温度に対応した第n設定時間が設定されている。また、第2設定温度は第1設定温度よりも高い温度であり、nの値が大きいほど高い温度であればよい。また、第2設定時間は第1設定時間よりも長い時間であり、nの値が大きいほど長い時間であればよい。
【0034】
制御部120は、CPUやFPGA等から構成される。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラム111に従って動作し、当該プログラム111に従った処理を実行する。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラム111により提供される主要な機能部として、給電制御部121と、判定部122と、を備える。
【0035】
給電制御部121は、判定部122の機能による判定結果に応じてロボット200への給電を開始、継続、停止する制御を行う機能部である。
【0036】
判定部122は、各種判定を行う機能部である。判定部122は、例えばロボット200の通信部と給電装置100の通信部140との通信が確立したか否かを判定することにより、当該ロボット200が給電装置100に置かれたか否かを判定する機能を有する。また、判定部122は、温度センサ105により検知される熱伝導部材103の温度変化の早さに基づいて、給電継続の許容条件を満たすか否かを判定する。より具体的には、判定部122は、給電継続の許容条件を満たさないか、給電継続の許容条件を満たすか、または給電継続の暫定許容条件を満たすか、を判定する。
【0037】
ここで、給電継続の許容条件を満たさないと判定する、とは、コイルカバー101上に金属異物が存在しており、かつ、送電コイル106による給電を続けた場合に金属異物の温度が予め設定された温度(例えば、70度)に達する可能性がある、と判定することに対応する。なお、上記の70度は予め設定された温度の一例であり、目的に応じて異なる温度に設定される。
【0038】
一方、給電継続の許容条件を満たすと判定する、とは、コイルカバー101上に金属異物が存在しない、または、送電コイル106による給電を続けた場合でも予め設定された温度(例えば、70度)に達する金属異物は存在しない、と判定することに対応する。この実施の形態では、金属異物が存在しない場合と金属異物は存在するが70度には到達しない場合とをそれぞれ区別せず、まとめて給電継続の許容条件を満たすと判定するようになっている。また、給電継続の暫定許容条件を満たすと判定する、とは、給電継続の許容条件を満たさないとは判定しないが、給電継続の許容条件を満たすとも判定せず、暫定的に給電を継続するため条件を満たす、と判定することに対応する。
【0039】
また、上述した判定を制御部120により行うときの条件を設定するために、コイルカバー101上に金属異物を配置した状態で、コイルカバー101上に載置したロボット200に給電を行った際のデータを取得するようになっている。より詳細には、給電時における金属異物の温度の変化と、温度センサ105による検知温度の変化と、温度センサ105により検知される温度が所定の温度だけ上昇するまでの時間についてのデータを取得する。そして、取得されたデータに基づいて、第n設定温度と、当該第n設定温度に対応する第n設定時間とをそれぞれ設定する。例えば、給電を続けた場合に異物温度が70度に達した場合のデータに基づいて、給電を継続した場合に金属異物の温度が70度を超える可能性があると判定するための条件を設定可能である。
【0040】
判定部122は、設定温度情報112により示される各設定温度と比較するとともに、当該設定温度以上となった時間と設定時間情報113により示される各設定時間とを比較する機能を有する。さらに、判定部122は、ロボット200の充電が満タンになったかどうかを判定する機能を有する。その他、判定部122は、後述する給電制御処理において必要な判定を行う機能を有する。
【0041】
入出力部130は、温度センサ105にて検出された熱伝導部材103の温度情報や、金属異物が存在することをユーザに報知するための情報など、各種データの入出力を行うための機能部である。
【0042】
通信部140は、給電装置100が、ロボット200の通信部を介して当該ロボット200と通信を行うための機能部である。
【0043】
これら各機能部が協働することで、ロボット200が給電装置100に置かれた際に給電を開始し、熱伝導部材103の温度が予め定められた条件を満たす場合に給電を停止する機能を、当該給電装置100に実現させる。
【0044】
以上が、給電装置100の構成である。続いて給電装置100の動作について説明する。
図6は、給電装置100において実行される給電制御処理の一例を示すフローチャートである。給電制御処理は、判定部122によりロボット200の通信部と給電装置100の通信部140との通信が確立したと判定したことにより実行が開始される。すなわち、給電制御処理は、ロボット200が給電装置100にセットされた際に実行が開始される。なお、この実施の形態では、設定温度情報112として、第1設定温度から第5設定温度まで設定されている場合を例に(すなわちn=5である場合と例に)説明する。なお、nの初期値は1であり、給電制御処理が終了する度に初期値である1にクリアされるものとする。
【0045】
図6に示す給電制御処理を開始すると、制御部120は、まず、給電制御部121の機能により、ロボット200への給電を開始する(ステップS101)。具体的に、ステップS101では、給電装置100の送電コイル106とロボット200の受電コイル201との磁界結合による電力の供給を開始する。なお、ステップS101の処理では、後述するステップS102と同様にして、給電の開始直後における熱伝導部材103の温度も取得する。また、ステップS101の処理にて給電を開始した後、制御部120は、タイマによる計測を開始し、給電開始からの経過時間を計測する。
【0046】
ステップS101の処理を実行した後、制御部120は、熱伝導部材103の温度を取得する(ステップS102)。具体的に、ステップS102の処理では、温度センサ105にて検出された熱伝導部材103の温度情報を、入出力部130を介して取得する。
【0047】
ステップS102の処理を実行した後、制御部120は、判定部122の機能により、熱伝導部材103の上昇温度が第n設定温度以上であるか否かを判定する(ステップS103)。具体的に、ステップS103では、ステップS102で取得した熱伝導部材103の温度からステップS101の処理で取得した熱伝導部材103の温度を減算することで、熱伝導部材103の上昇温度を算出(導出)する。そして算出した上昇温度が、記憶部110に記憶されている設定温度情報112により示される第1設定温度以上であるか否かを判定する。
【0048】
ステップS103の処理において、熱伝導部材103の上昇温度が第n設定温度未満であると判定した場合、すなわちこの例では第1設定温度未満である場合(ステップS103;No)、給電を継続したままステップS102の処理に戻り、再び熱伝導部材103の温度を取得する。
【0049】
一方、熱伝導部材103の上昇温度が第n設定温度以上であると判定した場合、すなわちこの例では第1設定温度(例えば、3度)以上である場合(ステップS103;Yes)、制御部120は、判定部122の機能により、経過時間が第1設定時間(例えば、1秒)未満であるか否かを判定する(ステップS104)。具体的に、ステップS104では、ステップS101の処理で計測を開始した経過時間が、記憶部110に記憶されている設定時間情報113により示される第1設定温度に対応した第1設定時間未満であるか否かを判定する。
【0050】
ステップS104において、経過時間が第1設定時間よりも短いと判定した場合、すなわち温度センサ105により検知される温度が給電を開始してから第1設定温度(例えば、3度)上昇するのにかかった時間が第1設定時間(例えば、1秒)よりも短い場合(ステップS104;Yes)、制御部120は、給電継続の許容条件を満たさないと判定し(ステップS104A)、給電を停止させる(ステップS107)。このように、給電継続の許容条件を満たさないと判定したときに送電コイル106による給電を停止させることにより、非接触給電における安全性を向上させることができる。
【0051】
また、給電継続の許容条件を満たさないと判定した場合、制御部120は、金属異物が存在することをユーザに報知する異物報知処理を行い(ステップS108)、給電制御処理を終了する。具体的に、ステップS108の処理では、入出力部130を介して、外枠109に設けられたLEDなどのランプの点灯やスピーカからの音声出力など、報知部による報知を行う。
【0052】
一方、ステップS104の処理において、経過時間が第n設定時間以上であると判定した場合、すなわちこの例では第1設定時間以上であると判定した場合を説明する。温度センサ105により検知される温度が給電を開始してから第1設定温度(例えば、3度)上昇するのにかかった時間が第1設定時間(例えば、1秒)以上である場合(ステップS104;No)、制御部120は、判定部122の機能により、最大のnの値に対応する第n設定温度であるか否かを判定する(ステップS105)。具体的に、この例における最大のnの値は5であることから、ステップS105の処理では、第5設定温度であるか否かを判定する。
【0053】
ステップS105の処理において、n=1の状態であることから、第5設定温度でないと判定される(ステップS105;No)。そして、制御部120は、判定部122の機能により、充電継続の暫定許容条件を満たすと判定し、給電を継続する(ステップS109)。
【0054】
そして、この例では、ステップS109の処理の後、ステップS111の処理においてnに1加算して2とする。なお、ステップS111の処理で加算されるnの値は、記憶部110に記憶されている設定温度情報112により示される第n設定温度のnに対応し、当該ステップS111の処理は、設定温度情報112により示される第n設定温度のnと同一の値となるまで実行可能である。すなわち、設定温度情報112として第1設定温度から第5設定温度まで設定されている場合には、第5設定温度に対応するn=5となるまでステップS111は実行されることとなり、それ以降は実行されないこととなる。
【0055】
また、n=2としてステップS102の処理に戻った場合、ステップS103の処理において熱伝導部材103の上昇温度が第n設定温度以上であるか否かを判定する際に、今度は設定温度情報112により示される第2設定温度以上であるか否かを判定する。
【0056】
また、2回目のステップS104の処理では、ステップS101の処理で計測を開始した経過時間が、記憶部110に記憶されている設定時間情報113により示される第2設定温度に対応した第2設定時間未満であるか否かを判定する。経過時間が第2設定時間よりも短い場合には給電継続の許容条件を満たさないとして、給電を停止する。一方、経過時間が第2設定時間以上である場合には、給電継続の暫定許容条件を満たすとして給電を継続する。この場合、制御部120は、nに1加算して3とし、ステップS102の処理に戻る。以後同様に繰り返す。
【0057】
そして、この例での最大値となるn=5となるまでステップS111の処理が実行され、熱伝導部材103の温度が第5設定温度上昇したことが検知された場合、制御部120は、経過時間が第5設定時間未満であるか否かを判定する(ステップS104)。制御部120は、経過時間が第5設定時間よりも短いと判定した場合、給電継続の許容条件を満たさないと判定し(ステップS104A)、給電を停止させる(ステップS107)。一方、経過時間が第5設定時間以上である場合、制御部120は、最大のnの値に対応する第n設定温度であるため、給電継続の許容条件を満たすと判定する(ステップS106)。すなわち、制御部120は、コイルカバー101上に金属異物が存在しない、または、送電コイル106による給電を続けた場合でも予め設定された温度(例えば、70度)に達する金属異物は存在しない、と判定し給電を継続させる。
【0058】
ステップS106の処理の後、制御部120は、判定部122の機能により、ロボット200の充電が満タンになったかどうか、すなわちフル給電になったか否かを判定する(ステップS110)。具体的に、ステップS110の処理では、通信部140を介してロボット200からフル給電になったことを示す信号を受信したか否かを確認することで、フル給電になったか否かを判定する。
【0059】
ステップS110の処理において、フル給電になったと判定した場合、すなわち通信部140を介してロボット200からフル給電になったことを示す信号を受信した場合(ステップS110;Yes)、制御部120は、そのまま給電制御処理を終了する。一方、ステップS110の処理において、フル給電になっていないと判定した場合、すなわち通信部140を介してロボット200からフル給電になったことを示す信号を受信していない場合(ステップS110;No)、ロボット200からフル給電になったことを示す信号を受信するまで、給電を継続する。
【0060】
このように、1回目のステップS104の判定において経過時間が第1設定時間以上であるという条件を満たす場合にフル給電となるまで給電を継続する代わりに、給電を継続するか否かを判定するタイミングを複数設定することにより、給電時の安全性をより向上させることができる。
【0061】
また、ロボット200が給電装置100にセットされると、給電制御処理が実行され、熱伝導部材103の温度が予め定められた条件を満たす場合、すなわち熱伝導部材103の上昇温度が予め設定された温度以上となり、かつ予め設定された時間内に当該温度に到達した場合に、給電が停止されることとなる。換言すると、給電が開始されてから所定期間内に、予め設定された上昇温度以上となった場合、給電が停止される。したがって、急激な温度上昇が発生した場合についても給電の安全性を向上させることができ、非接触充電時における安全性を向上させることができる。
【0062】
また、温度センサ105の検知結果に基づいて金属異物の有無等を判定し給電を制御する構成について上述したが、ワイヤレス給電に関する国際標準規格であるQi規格で定められている異物検知方法を併用するようにしてもよい。この異物検知方法は、給電コイルから送電された電力と、受電コイルにより受電された電力との差を電力損失として導出し、この電力損失が閾値を上回る場合に金属異物が存在すると検知する方法である。このような方法を併用することにより、非接触充電における安全性をさらに向上させることができる。
【0063】
(変形例)
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えば、給電装置100やロボット200は、上記実施の形態で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。また、下記の変形例それぞれについて、少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【0064】
上記実施の形態では、熱伝導部材103の形状が円形である例を示したが、これは一例である。上記実施の形態では、
図7(A)に示すように、コイルカバー101の形状と同形状の熱伝導部材103がコイルカバー101の下面に設けられている例を示したが、例えば、
図7(B)に示すように、放射状の熱伝導性部材999が設けられていてもよい。また、放射状の熱伝導性部材999は、熱伝導部材103と同様にアクリル系の材料やシリコン系の材料により形成されていてもよいし、アルミテープなどの金属により形成されてもよい。アルミテープなどの金属により形成される場合には、当該熱伝導性部材999自体が給電中に発熱してしまうことを抑制するため、当該放射状の熱伝導性部材999それぞれの幅を細く形成すればよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、熱伝導部材103がコイルカバー101の下面に設けられている例を示したが、上面に設けられていてもよい。さらに、上記実施の形態では、熱伝導部材103が熱伝導性両面テープ102により貼付されている例を示したが、コイルカバー101に熱伝導性のある素材が付加されていればよく、例えば熱伝導部材103を設けることなく、熱伝導性両面テープ102のみ設けられていてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、設定時間情報113として、設定温度情報112により設定された設定温度毎に、設定時間が予めユーザにより設定されている例を示したが、これは一例である。例えば、第1設定時間よりも遅い時間である第2設定時間が設定されていてもよい。この場合、
図6に示す給電制御処理において、ステップS104の後の処理として、経過時間が第2設定時間を超えているかを判定すればよい。また、経過時間が第2設定時間よりも短い場合に給電を停止するとともに、第2設定時間以上である場合に給電を継続するようにしてもよい。また、これに加えて第3設定温度や第4設定温度が設定されてもよい。そして、第2設定時間に係る上記の処理と同様の処理を、第3設定温度や第4設定温度に対応して行えばよい。
【0067】
また、上記実施の形態では、最大のnが5である場合について説明したが、最大のnが1であってもよい。すなわち、第1設定温度及び第1設定時間のみ設定されてもよい。第1設定温度及び第1設定時間のみが設定される場合、
図6に示す給電制御処理において、ステップS104の処理にてNoと判定した場合、フル給電になるまで給電を継続する。すなわち、1回目のステップS104の判定により、給電継続の許容条件を満たすか、または、給電継続の許容条件を満たさないか、を判定するようにしてもよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、最大のnに対応する第n設定温度及び第n設定時間についての判定結果に基づいて給電継続の許容条件を満たすと判定した場合、フル給電となるまで給電を継続する場合について説明したが、これは一例である。例えば、最大のnに到達するまでのサイクル中にフル給電となるように、第n設定温度および第n設定時間を設定するようにしてもよい。
【0069】
また、
図6に示す給電制御処理におけるステップS103では、熱伝導部材103の上昇温度が第n設定温度以上であるか否かを判定する例を示したが、熱伝導部材103の上昇温度が第n設定温度を超えるか否かを判定してもよい。また、ステップS104の処理では、経過時間が第n設定時間未満であるか否かを判定する例を示したが、経過時間が第n設定時間以下であるか否を判定してもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、温度センサ105により検知される温度変化の早さに基づいて、金属異物の温度が70度に達する可能性があるか否かを判定する構成を説明したが、これは一例である。例えば、制御部120により、熱伝導部材103の温度が70度以上であるか否かを判定するようにしてもよい。具体的に、ステップS102の処理にて取得した熱伝導部材103の温度が、予め設定されている70度以上であるか否かを直接判定するようにしてもよい。
【0071】
そして、熱伝導部材103の温度が70度以上であると判定した場合、判定部122の機能によりロボット200が載置される載置部としてのコイルカバー101上に金属異物が存在すると判定され、制御部120は、給電制御部121の機能により、給電を停止されるようになっていてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態では、金属異物が存在しない場合と金属異物は存在するが70度には到達しない場合とをそれぞれ区別せず、まとめて給電継続の許容条件を満たすと判定するようになっている例を説明したが、他の判定を行うようにしてもよい。例えば、金属異物が存在しない場合と、金属異物は存在するが70度には到達しない場合と、をそれぞれ区別するための条件を設定し、金属異物が存在しない場合と金属異物は存在するが70度には到達しない場合とを分けて判定するようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態では、ロボット200が給電装置100に載置されたときに給電装置100による給電が開始される例を示したが、これは一例である。給電装置100による給電が開始されるタイミングとして、他のものが設定されていてもよい。例えば、ロボット200が給電装置100に載置されたことが検出されてから所定の時間が経過したときに給電を開始するようにしてもよい。また、ロボット200が給電装置100に載置された後、ユーザからの給電開始の指示があった場合に給電を開始するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態では、異物として金属異物の場合を説明したが、これは一例であり、送電コイル106による給電が行われるときに発熱するものであればどのような種類の異物についても適用可能である。
【0075】
また、上記実施の形態では、給電装置100が実行する給電制御処理等のプログラムが、記憶部110に予め記憶されているものとして説明した。しかし、これらのプログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto-Optical disc)、メモリカード、USBメモリ等の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータに読み込んでインストールすることにより、上述の各処理を実行することができるコンピュータを構成してもよい。
【0076】
なお、搬送波に上述の機能を実現させるプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。
【0077】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲とを逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上記実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0078】
(付記1)
受電機器が載置される載置面を有する載置部と、
前記載置面に載置された前記受電機器に給電するための給電部材を有する給電部と、
前記受電機器が前記載置面に載置されたときに前記受電機器と前記給電部材との間に位置する箇所に、設けられた熱伝導部材であって、前記載置部よりも高い熱伝導率を有する熱伝導部材と、
前記熱伝導部材の温度を検知する温度検知部と、
所定のタイミングでの前記給電部による給電の開始後であって、前記温度検知部により検知される前記熱伝導部材の温度が予め定められた条件を満たす場合、前記給電部による給電を停止する制御を行う制御部と、
を備える給電装置。
【0079】
(付記2)
前記制御部は、前記温度検知部によって検知される前記熱伝導部材の温度が、前記給電部による給電が開始されてから所定期間内に、当該所定期間に対応して設定された所定の温度幅以上上昇した場合に、前記予め定められた条件を満たすとして、前記給電部による給電を停止する、
付記1に記載の給電装置。
【0080】
(付記3)
前記制御部は、前記温度検知部によって検知される前記熱伝導部材の温度が、所定の温度幅以上上昇したときが、前記給電部による給電が開始されてから所定期間内である場合、前記予め定められた条件を満たすとして、前記給電部による給電を停止する、
さらに備える付記1に記載の給電装置。
【0081】
(付記4)
複数の前記所定の温度幅が設定されており、前記複数の所定の温度幅のそれぞれに対応して互いに異なる前記所定期間が設定されており、
前記制御部は、全ての前記所定の温度幅と当該所定の温度幅に対応する前記所定期間について前記予め定められた条件を満たさないと判定された場合に、前記給電部による給電を継続させる、
付記2に記載の給電装置。
【0082】
(付記5)
前記温度検知部によって検知される前記熱伝導部材の温度が、前記給電部による給電が開始されてから所定期間内に、所定の温度幅以上上昇した場合に、前記載置面に異物が存在すると判定する判定部を、
さらに備える付記1乃至3のいずれか一つに記載の給電装置。
【0083】
(付記6)
前記熱伝導部材は、前記載置部の前記載置面と反対側に設けられている、
付記3に記載の給電装置。
【0084】
(付記7)
前記熱伝導部材は、熱伝導性の接着部材により前記載置部に貼付されている、
付記5に記載の給電装置。
【0085】
(付記8)
受電機器が載置される載置面を有する載置部であって、断熱層として機能する載置部と、
前記載置面に載置された前記受電機器に給電するための給電部材を有する給電部と、
前記載置部における前記載置面側とは反対側の面に設けられた熱伝導部材であって、熱伝導層として機能する熱伝導部材と、
前記熱伝導部材の温度を検知する温度検知部と、
所定のタイミングでの前記給電部による給電の開始後であって、前記温度検知部により検知される前記熱伝導部材の温度が予め定められた条件を満たす場合、前記給電部による給電を停止する制御を行う制御部と、
を備える給電装置。
【0086】
(付記9)
受電機器が載置される載置面を有する載置部と、
前記載置面に載置された前記受電機器に給電するための給電部材を有する給電部と、
前記受電機器が前記載置面に載置されたときに前記受電機器と前記給電部材との間に位置する箇所に、設けられた熱伝導部材であって、前記載置部よりも高い熱伝導率を有する熱伝導部材と、
前記熱伝導部材の温度を検知する温度検知部と、
給電の制御を行う制御部と、を備える給電装置による給電方法であって、
所定のタイミングで前記給電部による給電を開始するステップと、
前記温度検知部により検知される前記熱伝導部材の温度が予め定められた条件を満たす場合、前記給電部による給電を停止するステップと、
を備える給電方法。
【0087】
(付記10)
受電機器が載置される載置面を有する載置部と、
前記載置面に載置された前記受電機器に給電するための給電部材を有する給電部と、
前記受電機器が前記載置面に載置されたときに前記受電機器と前記給電部材との間に位置する箇所に、設けられた熱伝導部材であって、前記載置部よりも高い熱伝導率を有する熱伝導部材と、
前記熱伝導部材の温度を検知する温度検知部と、
給電の制御を行う制御部と、を備えるコンピュータを、
所定のタイミングでの前記給電部による給電の開始後であって、前記温度検知部により検知される前記熱伝導部材の温度が予め定められた条件を満たす場合、前記給電部による給電を停止する制御を行う制御手段、
として機能させるプログラム。
【符号の説明】
【0088】
100・・・給電装置、101・・・コイルカバー、101a・・・床面、102・・・熱伝導性両面テープ、103・・・熱伝導部材、104・・・押圧部材、104a・・・貫通孔、105・・・温度センサ、106・・・送電コイル、107・・・台座、108・・・基板、109・・・外枠、110・・・記憶部、111・・・プログラム、112・・・設定温度情報、113・・・設定時間情報、120・・・制御部、121・・・給電制御部、122・・・判定部、130・・・入出力部、140・・・通信部、200・・・ロボット、201・・・受電コイル