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特開2024-21360道路工事表示装置および道路工事箇所の表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021360
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】道路工事表示装置および道路工事箇所の表示方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/615 20160101AFI20240208BHJP
   E01C 19/48 20060101ALI20240208BHJP
   E01F 9/662 20160101ALI20240208BHJP
【FI】
E01F9/615
E01C19/48 A
E01F9/662
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124139
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000232508
【氏名又は名称】日本道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 博志
(72)【発明者】
【氏名】渡部 賢
【テーマコード(参考)】
2D052
2D064
【Fターム(参考)】
2D052BD12
2D064AA15
2D064BA01
2D064BA03
2D064DA09
2D064EA01
2D064EB01
(57)【要約】
【課題】照明装置を増やすことなく、工事をしている区域と一般車両等が走可能な区域との境界を示すことができる道路工事表示装置を提供する。
【解決手段】道路工事用車両7に設置される装置本体部3と、装置本体部3に設けられており、道路工事用車両7が工事をしている道路9の路面11に向けて光を照射することで、道路9の長手方向に延びている被照射部位13を道路9の路11面に形成する路面照射部5とを有する道路工事表示装置1である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路工事用車両に設置される装置本体部と、
前記装置本体部に設けられており、前記道路工事用車両が工事をしている道路の路面に向けて光を照射することで、前記道路の長手方向に延びている被照射部位を前記道路の路面に形成する路面照射部と、
を有する道路工事表示装置。
【請求項2】
前記装置本体部に設けられており、前記道路工事用車両の存在を示すために、前記道路の長手方向に光を発する発光部を有する請求項1に記載の道路工事表示装置。
【請求項3】
前記発光部は、前記装置本体部の、前記道路の長手方向を向いている一対の面のうちの一方の面である第1の面に設けられており、
前記路面照射部が発する光は、前記道路の長手方向で見て、前記路面照射部から所定の幅で下方に向かって進み路面に到達するようになっており、
前記路面照射部は、一対で設けられており、
前記道路の長手方向に対して直交する方向を横方向とすると、前記一対の路面照射部のうちの一方の路面照射部である第1の路面照射部は、前記横方向で前記装置本体部の一方の側に位置しており、前記一対の路面照射部のうちの他方の路面照射部である第2の路面照射部は、前記横方向で前記装置本体部の他方の側に位置しており、
前記装置本体部の前記道路工事用車両への設置態様に応じて、前記第1の路面照射部もしくは前記第2の路面照射部が発光するように構成されている請求項2に記載の道路工事表示装置。
【請求項4】
前記道路工事用車両は、アスファルトフィニッシャ本体部とこのアスファルトフィニッシャ本体部から幅方向で突出しているスクリードとを備えて構成されているアスファルトフィニッシャであり、
前記スクリードは、前記アスファルトフィニッシャ本体部からの突出量を変更できるように構成されており、
前記装置本体部は前記スクリードに支持されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の道路工事表示装置。
【請求項5】
道路における工事の箇所を、前記道路を走行している車両の運転者に知らせるための道路工事表示装置であって、
前記工事の箇所と工事がされていない箇所との区切りを示すために、前記道路の路面に向けて光を照射することで、前記道路の長手方向に延びている被照射部位を前記道路の路面に形成する路面照射部を有する道路工事表示装置。
【請求項6】
工事をしている道路の路面に向けて光を照射することで、前記道路の長手方向に延びている被照射部位を、前記道路の工事がされている区域と工事がされていない区域とを区切るために、前記道路の路面に形成する被照射部位形成段階と、
前記道路の工事がされている区域であって前記被照射部位の近傍に設置されたロードコーンが光を発する発光段階と、
を有する道路工事箇所の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路工事表示装置および道路工事箇所の表示方法に係り、たとえば、道路工事用車両に設置されて使用され、また、道路工事用車両での工事箇所を表示するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、夜間道路工事では、アスファルトフィニッシャと呼ばれる舗装機械等の道路工事用車両に照明装置を配置し、視認性を確保している。また、工事をしている区域と一般車両等が走可能な区域とを、ロードコーンやその他の工事規制材を置き区分している。ここで、従来の技術に関連する特許文献として、特許文献1を掲げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3208674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の夜間道路工事でも、照明装置の照明が届く範囲は十分明るくなっている。しかし、アスファルトフィニッシャの横の作業員が作業している場所等のかなり暗い箇所が存在することがある。また、工事範囲と一般車両の通行帯を区分するロードコーン等の工事規制材は、視認性が悪くなっている。
【0005】
夜間道路工事において照明を増やすという案が考えられるが、夜間照明が多すぎると通行車両(一般車両等)が眩しすぎて、運転しづらいという事態が発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、照明装置を増やすことなく、工事をしている区域と一般車両等が走行可能な区域との境界を示すことができる道路工事表示装置および道路工事箇所の表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様に係る道路工事表示装置は、道路工事用車両に設置される装置本体部と、前記装置本体部に設けられており、前記道路工事用車両が工事をしている道路の路面に向けて光を照射することで、前記道路の長手方向に延びている被照射部位を前記道路の路面に形成する路面照射部とを有する道路工事表示装置である。
【0008】
また、本発明の態様に係る道路工事表示装置は、装置本体部に設けられており道路工事用車両の存在を示すために道路の長手方向に光を発する発光部を有する道路工事表示装置である。
【0009】
また、本発明の態様に係る道路工事表示装置では、前記発光部が、前記装置本体部の、前記道路の長手方向を向いている一対の面のうちの一方の面である第1の面に設けられており、前記路面照射部が発する光が、前記道路の長手方向で見て、前記路面照射部から所定の幅で下方に向かって進み路面に到達するようになっており、前記路面照射部が、一対で設けられており、前記道路の長手方向に対して直交する方向を横方向とすると、前記一対の路面照射部のうちの一方の路面照射部である第1の路面照射部が、前記横方向で前記装置本体部の一方の側に位置しており、前記一対の路面照射部のうちの他方の路面照射部である第2の路面照射部が、前記横方向で前記装置本体部の他方の側に位置しており、前記装置本体部の前記道路工事用車両への設置態様に応じて、前記第1の路面照射部もしくは前記第2の路面照射部が発光するように構成されている。
【0010】
本発明の態様に係る道路工事表示装置では、前記道路工事用車両が、アスファルトフィニッシャ本体部とこのアスファルトフィニッシャ本体部から幅方向で突出しているスクリードとを備えて構成されているアスファルトフィニッシャであり、前記スクリードが、前記アスファルトフィニッシャ本体部からの突出量を変更できるように構成されており、前記装置本体部が前記スクリードに支持されている道路工事表示装置である。
【0011】
本発明の態様に係る道路工事表示装置は、道路における工事の箇所を、前記道路を走行している車両の運転者に知らせるための道路工事表示装置であって、前記工事の箇所と工事がされていない箇所との区切りを示すために、前記道路の路面に向けて光を照射することで、前記道路の長手方向に延びている被照射部位を前記道路の路面に形成する路面照射部を有する道路工事表示装置である。
【0012】
本発明の態様に係る道路工事箇所の表示方法は、工事をしている道路の路面に向けて光を照射することで、前記道路の長手方向に延びている被照射部位を、前記道路の工事がされている区域と工事がされていない区域とを区切るために、前記道路の路面に形成する被照射部位形成段階と、前記道路の工事がされている区域であって前記被照射部位の近傍に設置されたロードコーンが光を発する発光段階とを有する道路工事箇所の表示方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、照明装置を増やすことなく、工事をしている区域と一般車両等が走可能な区域との境界を示すことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る道路工事表示装置とこの道路工事表示装置が設置されたアスファルトフィニッシャとの概要を示す斜視図である。
図2図1におけるII矢視図である。
図3図1におけるIII矢視図である。
図4図1におけるIV矢視図である。
図5図4におけるV部の拡大図である。
図6図5におけるVI矢視図である。
図7】本発明の実施形態に係る道路工事表示装置の発光部の発光パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る道路工事表示装置1は、夜間もしくはトンネル内等、暗い環境下で使用されるものであり、図1から図4で示すように、装置本体部3と路面照射部5とを備えて構成されている。なお、道路工事表示装置1が昼間等の明るい環境下で使用されてもよい。また、図1では、路面照射部5の表示を省略している。
【0016】
ここで、説明の便宜のために、水平な所定の一方向を前後方向とし、水平な所定の他の一方向であって前後方向に対して直交する方向を横方向とし、前後方向と横方向とに対して直交する方向を上下方向とする。
【0017】
装置本体部3は、道路工事用車両(たとえばアスファルトフィニッシャ)7に一体的に設置されるようになっている。
【0018】
路面照射部5は、装置本体部3に設けられている。路面照射部5は、道路工事用車両7が工事をしている道路9の路面11の所定の部位に向けて光L1を照射するようになっている。そして、この照射をすることで、道路9の長手方向に延びている被照射部位13(図2等参照)を、道路9の路面11に形成するようになっている。被照射部位13は、道路9の他の路面11の部位(たとえば被照射部位13まわりの暗い部位)よりも明るくなっている。
【0019】
道路工事用車両7は、道路工事のために、たとえば道路9の長手方向(延伸方向)に沿って走行するようになっている。被照射部位13は、道路9の幅方向で道路工事用車両7から僅かに離れている。
【0020】
なお、道路9の長手方向は、前後方向になっており、道路9の幅方向は横方向になっている。道路工事用車両7は、前後方向で走行するようになっている。
【0021】
道路9の工事として、たとえば、車線規制を伴う工事を掲げる。このような道路9の工事は、道路9の幅方向の全幅ではなく道路9の幅方向の一部の区域についてされるようになっている。道路9の工事がされている区域15に道路工事用車両7が入り工事をするようになっている。道路9の工事がされていない区域17では、一般車両や他の道路工事用車両やその他の車両(救急車等)が走行できるようになっている。
【0022】
たとえば、片側2車線の道路では、2車線のうちの一方の車線に道路工事用車両7が入って、一方の車線で所定の長さにわたり工事がされるが、2車線のうちの他方の車線では、一般車両や他の工事車両やその他の車両(救急車等)が走行できるようになっている。
【0023】
路面照射部5によって生成される被照射部位13は、走行可能区域17と走行不可能区域15を区切るために、走行可能区域17と走行不可能区域15との境界に形成される。走行可能区域17は、工事がされていない区域であって一般車両等が走行可能な区域であり、走行不可能区域15は、工事がされている区域であって一般車両等が走行することができない区域である。
【0024】
被照射部位13は所定の狭い幅で形成されており、被照射部位13の幅方向は、道路9の幅方向と一致している。また、図2で示すように、上下方向で見て、被照射部位13は、路面照射部5から道路9の長手方向の両方向(前方向および後方向)に向かって延びている。
【0025】
被照射部位13の明るさは、被照射部位13の幅方向(横方向)では変化が無いが、被照射部位13の長手方向(前後方向)では、路面照射部5のところ(路面照射部5の真下)で最も明るく、路面照射部5から離れるにしたがって次第に暗くなっている。
【0026】
なお、路面照射部5は、時間的に連続して(途切れることなく)点灯し光L1を照射しているが、路面照射部5が、肉眼で認識できる態度の短い時間間隔で断続的に光L1を照射するように(点滅するように)なっていてもよい。
【0027】
また、道路工事表示装置1には、発光部19を備えて構成されている。発光部19は装置本体部3に設けられている。発光部19は、道路工事用車両7の存在を道路9の走行可能区域17を走行している一般車両等の運転者に示すために設けられており、図2図3で示すように、道路9の長手方向に光L3を発するようになっている。
【0028】
発光部19は、装置本体部3の、道路9の長手方向を向いている一対の面のうちの一方の面である第1の面21にのみに設けられている。
【0029】
これにより、発光部19は、装置本体部3から道路9の長手方向のうちの一方の方向である第1の方向(後側)のみに向けて第1の面21から光L3を発するようになっている。一対の面のうちの他方の面である第2の面23からは光を発しないようになっている。発光部19が発した光L3は、装置本体部3から道路9の長手方向のうちの他方の方向である第2の方向(前側)には照射されないようになっている。
【0030】
装置本体部3から第1の方向(後方向)を見ると、道路9を走行している一般車両等が装置本体部3に近づいてくる。装置本体部3から第2の方向(前方向)を見ると、道路を走行している一般車両等が装置本体部3から遠ざかる。
【0031】
路面照射部5が発する光L1は、道路9の長手方向で見て、図4で示すように、路面照射部5からほぼ一定の幅で、斜め下方に向かって進み路面11に到達するようになっている。さらに説明すると、道路9の長手方向で見て、路面照射部5が発した光L1は、上下方向に対して僅かに傾いた方向であって装置本体部3から離れる方向で、斜め下方に向かって進み、路面11に到達するようになっている。なお、路面照射部5が発した光L1が、道路9の長手方向で見て、路面照射部5からほぼ一定の幅で、真下に向かって進み路面11に到達するようになっていてもよい。
【0032】
また、路面照射部5が発する光は、道路9の幅方向で見て、図3で示すように、路面照射部5から扇形状になって下方に向かって進み路面11に到達するようになっている。なお、路面照射部5は上記扇形状の中心角のところに位置している。
【0033】
ところで、路面照射部5は、図2等で示すように、一対で設けられている。一対の路面照射部5のうちの一方の路面照射部である第1の路面照射部5Aは、横方向で装置本体部3の一方の側に位置している。一対の路面照射部5のうちの他方の路面照射部である第2の路面照射部5Bは、横方向で装置本体部3の他方の側に位置している。また、装置本体部3の道路工事用車両7に対する設置態様を変更できるように構成されている。
【0034】
そして、装置本体部3の道路工事用車両7への設置態様に応じて、第1の路面照射部5Aもしくは第2の路面照射部5Bが発光するように構成されている。
【0035】
装置本体部3の道路工事用車両7への1つ目の設置態様では、図2等で示すように、第1の路面照射部5Aが、装置本体部3を間にして、道路工事用車両7とは反対側(走行可能区域17側)に位置している。
【0036】
また、1つ目の設置態様では、道路9の幅方向で走行可能区域17側から走行不可能区域15側に向かい第1の路面照射部5A、装置本体部3、第2の路面照射部5Bがこの順にならぶようにして、道路工事表示装置1が道路工事用車両7に設置されている。この第1の設置態様では、第1の路面照射部5Aのみが発光するようになっている。
【0037】
装置本体部3の道路工事用車両7への2つ目の設置態様では、第2の路面照射部5Bが、装置本体部3を間にして、道路工事用車両7とは反対側(走行可能区域17側)に位置している。
【0038】
また、2つ目の設置態様では、道路9の幅方向で走行可能区域17側から走行不可能区域15側に向かい第2の路面照射部5B、装置本体部3、第1の路面照射部5Aがこの順にならんで、道路工事表示装置1が道路工事用車両7に設置されている。この第2の設置態様では、第2の路面照射部5Bのみが発光するようになっている。
【0039】
道路工事用車両7の例であるアスファルトフィニッシャは、図1等で示すように、アスファルトフィニッシャ本体部25とスクリード27とを備えて構成されている。アスファルトフィニッシャ本体部25は、アスファルト合材を積み込むホッパー、原動機、走行装置等を備えて構成されている。スクリード27は、アスファルトフィニッシャ本体部25から幅方向で側方に突出している(道路9の幅員方向に突出している)。
【0040】
スクリード27が、伸縮自在になっていることで、たとえば、道路9の幅員に合わせて、アスファルトフィニッシャ本体部25からの突出量を変更できるようになっている。なお、スクリード27が伸縮自在になっている構成は公知であり、図1等では、スクリード27が伸縮自在になっている構成を省略している。装置本体部3は、図1で示すように、スクリード27(スクリード27の、アスファルトフィニッシャ本体部25に対して横方向に移動する部位)に、支持材43を用いて一体的に支持されている。
【0041】
装置本体部3がスクリード27に一体的に支持されていることで、スクリード27の突出量に合わせて、道路工事表示装置1も移動するようになっている。すなわち、スクリード27の先端の位置と、道路工事表示装置1の位置との相対的な関係は、スクリード27の突出量が変わっても、変わることが無いようになっている。
【0042】
道路工事表示装置1についてさらに詳しく説明する。道路工事表示装置1は、すでに理解されるように、また、図1で示すように、支持材43によって、スクリード27の、アスファルトフィニッシャ本体部25に対して横方向に移動する部位に、一体的に設置されている。
【0043】
装置本体部3は、筐体29を備えて構成されている。筐体29の外形は直方体状になっている。筐体29の横方向の寸法の値は、筐体29の前後方向の寸法の値よりも大きくなっており、筐体29の上下方向の寸法の値は、筐体29の横方向の寸法の値よりも大きくなっている。
【0044】
装置本体部3の一対の面21、23は、前後方向に対して直交する矩形な平面状になっている。図2図3等では、第1の面21が後を向き、第2の面23が前を向いているが、道路工事用車両7に対する道路工事表示装置1(装置本体部3;筐体29)の付け替えをすることで、第1の面21が前を向き、第2の面23が後を向くようになる。
【0045】
筐体29の内部には、路面照射部5や発光部19の発光を制御する制御部(図示せず)が設けられている。第1の路面照射部5A、第2の路面照射部5Bのいずれかを発光させるかの発光の切り替えは、筐体29に設けられている切り替えスイッチ(図示せず)でなされるようになっている。この切り替えスイッチは、たとえば、筐体29の内部に設けられている。切り替えスイッチの操作は、筐体29に設けられている扉(図示せず)を空けてされるようになっている。
【0046】
第1の路面照射部5Aは、筐体29の外側で、図示しない連結部材を介して筐体29に一体的に設けられている。また、第1の路面照射部5Aは、上下方向では、筐体29の上端のところ(上端よりも僅かに上側)に設けられており、前後方向では、筐体29のところに設けられており、横方向では、横方向の一方の側で筐体29から僅かに離れている。
【0047】
第2の路面照射部5Bは、筐体29の中央面に対して、第1の路面照射部5Aと対称に配置されており、第1の路面照射部5Aと同様にして筐体29に一体的に設けられている。なお、筐体29の中央面とは、筐体29の中心を含み横方向に対して直交する平面である。
【0048】
路面照射部5はライン灯で構成されており、路面照射部5が発する光L1は、所定の一色(たとえば緑色)になっている。また、被照射部位13の長さは、上下方向で見て所定の長さ(たとえば20m程度)になっている。すなわち、上下方向で見て、路面照射部5から前側に延びている被照射部位13の長さが10m程度になっており、路面照射部5から後側に延びている被照射部位13の長さも10m程度になっている。
【0049】
なお、上述した説明では、上下方向で見て、路面照射部5から後側に延びている被照射部位13の長さと、路面照射部5から前側に延びている被照射部位13の長さとが互いに等しくなっている。これに対し、路面照射部5から後側に延びている被照射部位13の長さが、路面照射部5から前側に延びている被照射部位13の長さよも長くなっていてもよい。これにより、走行可能区域17を走行している一般車両の運転者に一層的確な注意喚起をすることができる。
【0050】
図5で示すように、発光部19は、筐体29第1の面21に配置された複数の発光源(たとえばLED素子)31を備えて構成されている。
【0051】
複数の発光源31は、第1の所定の色(たとえば黄色)の光を発する複数の第1の発光源31Aと、第1の発光源31Aとは異なる第2の所定の色(たとえば緑色)の光を発する複数の第2の発光源31Bとで構成されている。第1の発光源31Aの数と同数の第2の発光源31Bの数とは、たとえば、互いが一致している。
【0052】
装置本体部3(筐体29)の第1の面21を見ると、複数の発光源31のそれぞれは、たとえば小さな円形状になっている。また、発光源31は、装置本体部3に埋め込まれている。これにより、装置本体部3の所定の第1の面21のうちの発光源31が非存在である部位の平面と、発光源31の平面状の表面とは、所定の1つの平面上に位置している。また、複数の発光源31は、所定の規則で所定の間隔を空けて配置されている。
【0053】
複数の第1の発光源31Aは、斜めな格子状にならんでいる第1群の発光源33として配置されている。第1群の発光源33は、複数(33A~33F)設けられている。複数の前記第2の発光源31Bも、第1の発光源31Aと同様に、斜めな格子状にならんでいる第2群の発光源35として配置されている。第2群の発光源35も、複数(35A~35F)設けられている。
【0054】
第1群の発光源33と第2の発光源35とは、下を向いている矢印の矢尻状になって、上下方向で交互にならんで配置されている。そして、上記制御部の制御の下、第1群の発光源33と第2の発光源35とが発光するようになっている。
【0055】
この発光している第1群の発光源33と第2の発光源35とを、道路9の走行可能区域17を走行している一般車両(道路工事表示装置1に近づいている一般車両)等の運転者が見る。すると、上記矢印の矢尻が下方に向かって進むように見える。これにより、道路9の走行可能区域17を走行している一般車両等の運転者に注意喚起がされ、道路工事用車両7のありかが認識され、走行速度を遅くするようになる。
【0056】
また、第1群の発光源33と第2の発光源35とは点滅しているので、照明と異なり、常に明るいわけではない。このため、一般通行帯(走行可能区域17)の運転者の視認性が阻害されないとともに、点滅により作業位置を明確にすることができる。
【0057】
ところで、道路工事において、図2から図4で示すように、1つまたは複数のロードコーン37を併用してもよい。ロードコーン37は、ロードコーン本体39と発光部41とを備えて構成されている。ロードコーン本体39の外形は円錐状に形成されている。発光部41は、ロードコーン本体39の頂上(上端)から上側に突出して、ロードコーン本体39に一体的に設けられている。
【0058】
発光部41は、所定の色(たとえばオレンジ色)の光を発するようになっている。発光部41は、たとえば、点滅する態様で、光を発するようになっている。たとえば、装置本体部3の発光部19のほうが、ロードコーン37の発光部41よりも明るく光るようになっている。
【0059】
道路工事をするとき、ロードコーン37は、道路9の路面11上に設置される。また、道路工事をするとき、上下方向で見て、ロードコーン37は、道路工事用車両7および道路工事表示装置1と被照射部位13との間であって被照射部位13の近傍に設置される(図2参照)。なお、路面照射部5Aと被照射部位13との間の寸法(横方向での寸法)の値は、500mm程度なっており、ロードコーン37は、概ね、路面照射部5Aと被照射部位13との間のスペースに設置されるようになっている。なお、図2で示すよりも、ロードコーン37を被照射部位13側に近づけてもよい。たとえば、ロードコーン37が被照射部位13に接していてもよい。
【0060】
また、複数のロードコーン37を設置している態様では、複数のロードコーン37は、道路9の長手方向(前後方向)で、所定の間隔をあけてならんでいる。なお、ロードコーン37が、被照射部位13を間にした道路工事用車両7および道路工事表示装置1とは反対側であって被照射部位13の近傍に設置されてもよい。
【0061】
道路工事のために道路9に設置されたロードコーン37の発光部41は、後側および前側に向けて光L7を発するようになっている。なお、道路工事のために道路9に設置されたロードコーン37の発光部41が、後側のみもしくは前側のみに向けて光L7を発するようになっていてもよい。
【0062】
次に、道路工事表示装置1の動作について説明する。初期状態では、道路工事用車両7に道路工事表示装置1が設置されており、道路工事用車両7が道路9の走行不可能区域15に入っており、ロードコーン37の設置がされているものとする。
【0063】
上記初期状態において、一対の路面照射部5のうちの一方の路面照射部5Aが道路9の路面11が光L1を照射し被照射部位13を形成し、発光部19が光L3を発し、ロードコーン37の発光部41も光L7を発するとともに、道路工事用車両7が道路9の工事を開始する。
【0064】
ここで、発光部19での発光動作について、図7を参照しつつ説明する。
【0065】
発光部19が発光を開始したときには、図7(a)で示すように、一対の第1群の発光源33Aが発光(点灯)する。なお、図7に参照符号「L5」で示す第1群の発光源33や第2群の発光源35が、発光している発光源である。
【0066】
一対の第1群の発光源33Aが発光を開始したときから所定の短い時間(たとえば、0.5秒)が経過すると、一対の第1群の発光源33Aが消灯すると同時に、図7(b)で示すように、一対の第2群の発光源35Aが発光する。
【0067】
一対の第2群の発光源35Aが発光を開始したときから所定の短い時間(たとえば、0.5秒)が経過すると、一対の第2群の発光源35Aが消灯すると同時に、図7(c)で示すように、一対の第1群の発光源35Bが発光する。
【0068】
同様にして、一対の第1群の発光源33と一対の第2群の発光源35とが上から下に向かって交互に発光する(図7(d)から図7(f)参照)。さらに、最も下の一対の第2群の発光源35F(図5参照)が消灯すると同時に、最も上の一対の第1群の発光源33Aが発光を開始する。以下この動作を繰り返す。
【0069】
道路工事表示装置1の路面照射部5が、道路工事用車両7が工事をしている道路9の路面11に向けて光を照射することで、道路9の長手方向に延びている被照射部位13を道路9の路面11に形成するようになっている。
【0070】
ここで、工事をしている区域15と一般車両等が走可能な区域17との境界のところに、被照射部位13が生成されるようにする。これにより、照明装置を特に増やすことなく(従来の照明を特に変えることなく)、工事をしている区域15と一般車両等が走可能な区域17との境界を示すことができる。そして、道路9を走行している一般車両、道路工事の作業員および道路工事用車両等の安全を確保することができる。
【0071】
なお、従来の照明では作業員が影となるため、横を走行する一般車両からは作業員、ロードコーンとも視認しづらい。しかし、道路工事表示装置を用いることで、緑色の被照射部位13が生成される。そして、工事作業帯(走行不可能区域15)と一般車両の通行帯(走行可能区域17)の区分が分かり易くなるともに路面11に縦断方向に被照射部位13が光るため、注意喚起効果がより向上する。
【0072】
また、道路工事表示装置1は、道路9の走行可能区域17を走行している一般車両等の運転者に道路工事用車両7の存在を示すための発光部19を備えて構成されている。これにより、施工機械(道路工事用車両)7の視認性(一般車両等の運転者にとっての視認性)が向上する。そして、道路9を走行している一般車両、道路工事の作業員および道路工事用車両7等の安全を確保することができる。
【0073】
また、路面照射部5の発する光L1や発光部19が発する光L3のところに道路工事の作業員が誤って入ってしまった場合、作業員が明るく照らされる。そして、道路工事の作業員の視認性(一般車両等の運転者にとっての視認性)が向上する。
【0074】
また、道路工事表示装置1では、発光部19が装置本体部3の第1の面21にのみ設けられている。これにより、道路工事表示装置1の構成が簡素化される。
【0075】
また、道路工事表示装置1では、装置本体部3の道路工事用車両7への設置態様に応じて、第1の路面照射部5Aもしくは第2の路面照射部5Bが発光するように構成されている。これにより、道路工事表示装置1の設置態様を変更する場合、道路工事用車両7に対する装置本体部3の設置の向きを変えるだけで、被照射部位13を生成することができ、道路工事表示装置1の使い勝手が良くなっている。
【0076】
アスファルトフィニッシャ7では、スクリード27がアスファルトフィニッシャ本体部25からの突出量を変更できるようになっており、装置本体部3(工事表示装置1)がスクリード27に一体的に支持されている。
【0077】
これにより、道路9の幅員(幅寸法)が変わっても、工事をしている区域15と一般車両等が走可能な区域17との境界のところに、被照射部位13をほぼ自動的に生成することができる。また、道路9の幅方向における発光部19の位置の調整もほぼ自動的にすることができる。
【0078】
また、上述したように、ロードコーン37を併用することで、道路工事箇所の視認性が向上し、道路9を走行している一般車両、道路工事の作業員および道路工事用車両7等の安全を一層確実に確保することができる。
【0079】
なお、上述した道路工事表示装置1を、道路における工事の箇所を、前記道路を走行している車両の運転者に知らせるための道路工事表示装置として把握することができる。この道路工事表示装置は、前記工事の箇所と工事がされていない箇所(一般車両等が走行可能な箇所)との区切りを示すために、前記道路の路面の所定の部位に向けて光を照射することで、前記道路の長手方向に延びている被照射部位(他の路面の部位よりも明るくなっている部位)を前記道路の路面に形成する路面照射部を有する。
【0080】
なお、上記記載内容を道路工事箇所の表示方法として把握してもよい。
【0081】
すなわち、道路工事用車両が工事をしている道路の路面に向けて光を照射することで、前記道路の長手方向に延びている被照射部位を、前記道路の工事がされている区域と工事がされていない区域とを区切るために、前記道路の路面に形成する被照射部位形成段階と、前記道路の工事がされている区域の道路の路面であって前記被照射部位形成段階で形成されている被照射部位の近傍(道路工事用車両と路面照射部形成段階で形成される被照射部位との間であって被照射部位の近傍)に設置されたロードコーンが、光を発する発光段階とを有する道路工事箇所の表示方法として把握してもよい。
【0082】
なお、前記被照射部位形成段階では、道路工事がされているときに、前記道路の長手方向に延びている前記被照射部位を前記道路の路面に、連続しもしくは断続的に、被照射部位を形成し続けるようになっている。すなわち、前記被照射部位が形成されていると肉眼で認識できる状態が維持されるようになっている。
【0083】
また、前記発光段階でも、道路工事がされているときに、前記ロードコーンが前記道路に設置され続けており、前記ロードコーンが、連続しもしくは断続的に、光を発し続けるようになっている。すなわち、前記ロードコーンの発光部が、光を発していると肉眼で認識できる状態が維持されるようになっている。
【0084】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 道路工事表示装置
3 装置本体部
5 路面照射部
5A 第1の路面照射部
5B 第2の路面照射部
7 道路工事用車両
9 道路
11 路面
13 被照射部位
19 発光部
21 第1の面
25 アスファルトフィニッシャ本体部
27 スクリード
37 ロードコーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7