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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021369
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/202 20210101AFI20240208BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
H01M50/202 201
H05K5/02 L
H01M50/202 501S
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124154
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山名 康介
(72)【発明者】
【氏名】吉峯 如
【テーマコード(参考)】
4E360
5H040
【Fターム(参考)】
4E360AB09
4E360AB64
4E360AC03
4E360CA02
4E360EA03
4E360EE02
4E360GA22
4E360GC08
5H040AA31
5H040AT06
5H040AY03
(57)【要約】
【課題】電気機器に付着した異物によって、電気機器の保持や端子接続に影響が出る事態を回避する。
【解決手段】保持装置は、電気機器(100)を着脱可能に保持する保持部(32)と、電気機器(100)が有する第1端子(108)に接続される第2端子(54)と、を備え、保持部(32)は、該保持部(32)に保持された電気機器(100)の底面(103)に対向する対向面を有し、対向面は、第1端子(108)及び、第1端子(108)に接続される第2端子(54)のいずれかが通過する端子用孔部(41)と、該対向面の表面に沿って延びる溝部(221A)とを有し、端子用孔部(41)は、対向面の中心から第1方向(α)にオフセットした位置に設けられ、溝部(221A)は、該対向面の表面に沿う方向のうち、第1方向(α)と略直交する第2方向に延びている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子を有する電気機器を収容、又は載置して保持する保持装置であって、
前記電気機器を着脱可能に保持する保持部と、
前記第1端子に接続される第2端子と、を備え、
前記保持部は、
該保持部に保持された前記電気機器の底面に対向する対向面を有し、
前記対向面は、前記第1端子及び前記第2端子のいずれかが通過する端子用孔部と、該対向面の表面に沿って延びる溝部とを有し、
前記端子用孔部は、前記対向面の中心から第1方向にオフセットした位置に設けられ、
前記溝部は、該対向面の表面に沿う方向のうち、前記第1方向と略直交する第2方向に延びる
ことを特徴とする保持装置。
【請求項2】
前記溝部は、互いに略平行な複数の溝を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
複数の前記溝は、前記対向面の半分以上の領域に渡って設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
複数の前記溝は、前記対向面の前記第2方向の長さの略全長に渡って延びる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の保持装置。
【請求項5】
複数の前記溝の間に、溝が形成されない非溝部を有する
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項6】
前記非溝部は、頂部に平坦面を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の保持装置。
【請求項7】
複数の前記溝は、略等間隔である
ことを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項8】
複数の前記溝は、略同一の深さである
ことを特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項9】
前記溝の間隔は、前記溝の深さよりも大きい
ことを特徴とする請求項2から8のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項10】
前記溝の間隔は、前記溝の深さの2倍以上である
ことを特徴とする請求項9に記載の保持装置。
【請求項11】
前記対向面は、前記溝部と交差する方向に延在する平坦部又は他の溝部を有する
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項12】
前記平坦部又は前記他の溝部は、前記端子用孔部と接続されないよう設けられる
ことを特徴とする請求項11に記載の保持装置。
【請求項13】
前記対向面は、該保持部の内外を連通する連通孔を更に有する
ことを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項14】
前記連通孔は、前記端子用孔部及び前記溝部を避けた位置に設けられる
ことを特徴とする請求項13に記載の保持装置。
【請求項15】
前記保持部は、前記対向面の裏面に、前記溝部の形状とは異なる形状で突出する突出部を有している
ことを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の保持装置。
【請求項16】
前記突出部は、多角形状の断面で突出する形状である
ことを特徴とする請求項15に記載の保持装置。
【請求項17】
前記突出部は、互いに隣接し、少なくとも一つの辺を共有する複数の多角形状の断面である
ことを特徴とする請求項16に記載の保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器を保持する保持装置が知られている。この種の保持装置には、電気機器の一種であるバッテリを着脱可能に保持する保持部と、バッテリに設けられた第1端子に接続される第2端子とを備え、バッテリの電力を変換して出力する機能や、外部電力を入力してバッテリを充電する機能を有したものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2020/235617号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、屋外でバッテリを外している場合、バッテリの底面等に砂等の異物が付着することが予想される。
砂等の異物が保持部内に落下した場合、バッテリと保持部との間に異物が挟まってバッテリを適切に保持できなくなるおそれや、異物が端子に付着して端子同士の接続を妨げるおそれが生じる。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、電気機器に付着した異物によって、電気機器の保持や端子接続に影響が出る事態を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1端子を有する電気機器を収容、又は載置して保持する保持装置であって、前記電気機器を着脱可能に保持する保持部と、前記第1端子に接続される第2端子と、を備え、前記保持部は、該保持部に保持された前記電気機器の底面に対向する対向面を有し、前記対向面は、前記第1端子及び前記第2端子のいずれかが通過する端子用孔部と、該対向面の表面に沿って延びる溝部とを有し、前記端子用孔部は、前記対向面の中心から第1方向にオフセットした位置に設けられ、前記溝部221は、該対向面の表面に沿う方向のうち、前記第1方向と略直交する第2方向に延びることを特徴とする保持装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
電気機器に付着した異物によって、電気機器の保持や端子接続に影響が出る事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る収容装置の斜視図である。
図2】収容装置の分解斜視図である。
図3】収容装置を図1に示す平面Mで切断した縦断面図である。
図4】バッテリを斜め上方から示す斜視図である。
図5】バッテリを斜め下方から示す斜視図である。
図6】バッテリケースを斜め上方から示す斜視図である。
図7】バッテリケースを上方から示す図である。
図8】バッテリケースを斜め下方から示す図である。
図9】第1溝部の側断面を周辺構成とともに示す図である。
図10】変形例の説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
各図面において、符号FRは、収容装置1が下面を設置面に接する底面として設置された状態における前方を示し、符号UPは、当該収容装置1の上方を示し、符号LHは、当該収容装置1の左方を示す。以下の説明において、特に説明がない限り、各方向は、これらの収容装置1の方向に沿った方向である。以下、収容装置1が下面を設置面に接する底面として設置された状態を第1姿勢という。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る収容装置1の斜視図である。図2は、収容装置1の分解斜視図である。
図1及び図2に示すように、収容装置1は、直方体状の筐体10と、後述するバッテリ100を収容して保持可能な収容機構30とを備え、バッテリ100の電力を変換して出力する機能や、外部電力を入力してバッテリ100を充電する機能を有している。筐体10は、いずれも平坦面である上面と、下面と、前面と、後面と、左右に位置する一対の側面とを備える。収容装置1の第1姿勢では、筐体10の下面が設置面に接する底面となる。なお、筐体10は、直方体状に限らず、例えば略立方体状等、互いに異なる方向を向く6つの略四角形状の面を有するとともに、略多面体であればどのような形状であってもよい。
【0010】
筐体10は、上面を形成する上面パネル12と、底面となる下面を形成する下面パネル14と、前面を形成する前面パネル16と、後面を形成する後面パネル18と、左右の側面の各々を形成する一対の側面パネル19とを備える。上面パネル12の前端には、前面パネル16の上端が連結され、上面パネル12の後端には、後面パネル18の上端が連結される。下面パネル14の前端には、前面パネル16の下端が連結され、下面パネル14の後端には、後面パネル18の下端が連結される。これによって、上面パネル12と、下面パネル14と、前面パネル16と、後面パネル18とは、矩形の枠状となるように互いに連結され、収容装置1の強度を向上できる。
なお、各パネルは、ねじ等の締結部材によって互いに連結される。本実施の形態において、各パネルは、いずれも樹脂材によって形成されるが、これに限らず、少なくとも一つが金属材等の他の材料で形成されていてもよい。
【0011】
上面パネル12は、バッテリ100を挿脱可能な上面開口13(図2参照)を有するとともに、上面開口13を開閉する蓋体20を有している。蓋体20は、バッテリ100の断面形状と略同形状に形成され、蓋体20の後縁を基準にして上下に開閉自在に上面パネル12に支持される。
なお、蓋体20はユーザが手動で開閉する構成であるが、アクチュエータ等を利用して開閉する構成でもよい。この蓋体20の裏側には、下方に膨出する膨出部21(図2参照)が設けられる。膨出部21は、ケーブル等の物品を収納可能な物品収納部に形成されている。また、膨出部21は、蓋体20を閉じた場合に、下方に位置する保持ハンドル62の回動を規制する規制部材としても機能する。
【0012】
下面パネル14の下面には、外部に向かって突出する複数の脚部17が設けられている。第1姿勢では、収容装置1から下方に各脚部17が突出し、各脚部17を介して収容装置1が設置面に設置される。下面パネル14には、上方に向かって突出する複数(本構成では4本)のパネル側ボス29が設けられる。これらパネル側ボス29には、収容機構30の一部を構成するバッテリケース32が載置され、ねじ等の連結部材を介してパネル側ボス29とバッテリケース32とが連結されている。
【0013】
前面パネル16には、表示ユニット22、端子ユニット24、及び前面吸気口23が上下に間隔を空けて設けられる。表示ユニット22は、収容装置1の運転状態や、バッテリ100のエネルギの残量等を表示するディスプレイエリアと、ユーザから収容装置1の運転状態の切り替え指示等といった操作を受ける操作子であるスイッチが設けられるスイッチエリアとを備える。例えば、表示ユニット22は、LED(Light Emitting Diode)を利用して運転状態を表示する。
【0014】
端子ユニット24は、複数種類の端子と、設定用の操作子と、これら端子及び操作子を覆うカバー部材26とを備えている。複数種類の端子は、バッテリ100の電力から得た交流電力を出力する交流電力出力端子、バッテリ100の電力から得た直流電力を出力する直流電力出力端子、及び、外部から所定の電力を入力するための入力端子等である。カバー部材26は、開閉自在又は着脱自在に設けられ、不使用の端子や操作子等を覆うことで、これら端子等の保護カバー(保護部材)として機能する。
【0015】
前面吸気口23は、収容装置1の前面から外部空気を吸気するための吸気口である。前面吸気口23は、前面パネル16の下部にて前方に開口し、複数のルーバを有している。後面パネル18には、収容装置1内の空気を排気するための後面排気口25が設けられる。後面排気口25は、前面吸気口23よりも高い位置にて後方に開口し、複数のルーバを有している。
【0016】
前面パネル16の上部、及び、後面パネル18の上部には、筐体10の左右方向に延びる棒状の把手28が設けられる。ユーザは、これら把手28を把持することで収容装置1の運搬や設置が容易となる。なお、把手28は、ユーザが全周を握ることができる形状に限らず、例えば溝形状のように、ユーザが指や手を掛けて収容装置1を保持可能な他の形状でもよい。
【0017】
側面パネル19の各々は、平面視で矩形の板形状に形成されている。側面パネル19の各辺には、上面パネル12と下面パネル14と前面パネル16と後面パネル18の各々に係合する係合片が設けられる。なお、側面パネル19の各々は、ねじ等の締結部材を用いて各パネルに固定されてもよい。筐体10を構成する各パネルは1つの部材に限らず2つ以上の部材から形成されてもよい。
【0018】
図3は、収容装置1を図1に示す平面Mで切断した縦断面図である。平面Mは、収容装置1の左右の略中央を通る仮想面である。図3には、バッテリ100、膨出部21、及び後述するロック機構76等を一点鎖線で示している。
図3に示すように、筐体10の前後中央、かつ、上面開口13の直下には、収容機構30が設けられている。筐体10における収容機構30の後方スペースには、インバータユニット80が配置される。インバータユニット80は、インバータ82と、シュラウド90とを備える。インバータ82は、インバータ回路やコンバータ回路等を構成する電気部品86を実装した基板84を有し、バッテリ100の電力を所定電力に変換し、端子ユニット24の各端子に出力する機能等を備えている。なお、基板84には、DC-DCコンバータ等の、他の電気作動部が実装されてもよい。
【0019】
インバータユニット80は、上縁支持部材87及び下縁支持部材88により、筐体10の内部に支持される。上縁支持部材87は、基板84を上下方向に沿わせた状態(基板84を立てた状態に相当)で基板84の上縁を支持し、下縁支持部材88は、上記基板84の下縁を支持する。上縁支持部材87及び下縁支持部材88は、本開示における「支持部材」に相当する。また、インバータユニット80は、本開示における「作動装置」に相当する。
【0020】
シュラウド90は、インバータユニット80を後方から囲う被覆形状を有し、筐体10内の空気が通過する風路を区画する。シュラウド90には、シュラウド90内の空気をシュラウド90外に排出する送風機92が設けられる。送風機92を駆動することで、収容機構30周囲の空気がシュラウド90内に吸い込まれ、インバータユニット80周囲を流れた後、シュラウド90外に排出される。シュラウド90から排出された空気(送風機92の排気)は後面排気口25から排気される。つまり、シュラウド90及び送風機92は、インバータユニット80等を冷却する冷却機構として機能する。
【0021】
図4は、バッテリ100を斜め上方から示す斜視図、図5は、バッテリ100を斜め下方から示す斜視図である。図4図5では、説明の便宜上、バッテリ100の平面視における中心を通り、バッテリ100の長手方向に沿って延びる仮想線Vを二点鎖線で示している。
バッテリ100は、内部に電池セル等のエネルギ蓄積器が収められ、蓄電装置と言うこともできる。本構成のバッテリ100は、バッテリ100の長手方向両端に位置して上面及び下面を構成する一対の端面101,103と、4つの側面107とを有する略直方体形状に形成されている。
【0022】
バッテリ100の上面を構成する端面101には、ユーザが把持可能なバッテリハンドル102が設けられる。バッテリハンドル102は、一方の端面101の一辺に沿って延びる辺ハンドル部104と、辺ハンドル部104の長手方向における略中央から、反対側に位置する辺まで延びる中央ハンドル部106とで形成され、平面視で略T字状に形成される。
バッテリ100の底面を構成する端面103には、バッテリ端子108が設けられる。バッテリ端子108は、端面103において、一辺に接近する位置に設けられ、当該辺に沿って延びる雌型の端子である。このバッテリ端子108には、レセプタクル端子、及び雌形コネクタに分類される端子が採用されている。
【0023】
バッテリ端子108が接近して配置される端面103の辺は、バッテリ100の長手方向における平面視で、辺ハンドル部104が設けられる端面101の辺に重なる。端面103の略中央には、端面103の周縁よりも外方に突出する突出面部105が設けられる。突出面部105は、平面視で略矩形状に形成され、突出端が平坦面に形成される。
【0024】
バッテリ側面107のうちの背面に相当する1つのバッテリ側面109は、バッテリ100の長手方向から視て、バッテリ100の長手方向に交差する方向に沿って、曲線を描くように曲がる曲面に形成される。これに対して、他のバッテリ側面107は、略平坦面に形成される。そのため、バッテリ100は、仮想線Vを回転軸とする回転非対称の形状に形成される。曲面に形成されるバッテリ側面109は、バッテリ端子108が接近して配置される端面103の辺と、辺ハンドル部104が設けられる端面101の辺とに連続する。なお、バッテリ100は、本開示の「電気機器」に相当する。
【0025】
図2に示すように、収容機構30は、バッテリ100を着脱可能に保持するバッテリケース32と、ケース枠体50と、保持ハンドル(操作レバー、ロックレバーとも称される)62と、ロック機構76(図3参照)と、ケース側接続端子54とを備えている。バッテリケース32は、バッテリの100外形状に沿った樹脂製の箱形ケースであり、上面開口13に連通し、バッテリ100を出し入れ自在な出し入れ口31を有している。バッテリ100は、仮想線Vを回転軸とする回転非対称の外形状に形成され、この外形状に合わせてバッテリケース32が形成されるので、曲面のバッテリ側面109を後方に向けた姿勢でしか、バッテリ100をバッテリケース32に挿入することができない。そのため、バッテリ100の向きを間違えてバッテリケース32に挿入する事態が回避される。
【0026】
また、バッテリケース32と、左右一方の側面パネル19との間には、起動バッテリ94(図2参照)が配置される。起動バッテリ94は、収容装置1の制御を行うプロセッサや各種の電気部品に電力を供給する蓄電装置である。収容装置1を起動させる操作子が操作されると、この起動バッテリ94がプロセッサに給電し、当該プロセッサが収容装置1の制御を開始することで収容装置1が駆動する。起動バッテリ94は、バッテリ100よりも低い電圧で電力を供給する。本構成の起動バッテリ94は、固定ブラケット96(図2参照)を介してバッテリケース32に取り付けられている。
【0027】
ケース枠体50は、枠形状の部材であり、バッテリケース32の上部に固定される。ケース枠体50は、バッテリケース32よりも高い強度を有する材料、例えば、金属材料で形成される。保持ハンドル62は、バッテリケース32の出し入れ口31の上方に相当する位置(以下、ロック位置と言う)、及び、出し入れ口31から待避した位置(以下、アンロック位置と言う)とに移動自在に、バッテリケース32に取り付けられる。
【0028】
ロック機構76(図3参照)は、バッテリケース32の出し入れ口31に設けられ、出し入れ口31からのバッテリ100の取り外しを規制可能に開閉する開閉部を有している。本構成のロック機構76は、保持ハンドル62の動きに連動することにより、保持ハンドル62がロック位置に移動した場合に出し入れ口31を閉じる側に移動し、バッテリ100の取り出しを規制する。保持ハンドル62がアンロック位置に移動した場合、ロック機構76は、出し入れ口31から待避する側に移動し、バッテリ100の取り出しが可能になる。
【0029】
ケース側接続端子54は、バッテリケース32内のバッテリ100のバッテリ端子108に接続される端子であり、バッテリケース32の下方に設けられる。このケース側接続端子54には、プラグ、及び雄型コネクタに分類される端子が採用されている。
本構成のケース側接続端子54は、保持ハンドル62の動きに連動することにより、保持ハンドル62がロック位置に移動した場合に、バッテリ端子108に接続する位置に上昇し、保持ハンドル62がアンロック位置に移動した場合に、バッテリ端子108から待避する位置に下降する。
【0030】
バッテリケース32は、本開示の「保持部」に相当し、保持ハンドル62は、本開示の「操作レバー」に相当する。また、バッテリ端子108は、本開示における「第1端子」に相当し、ケース側接続端子54は、本開示における「第2端子」に相当する。以下の説明において、バッテリ端子108を「第1端子108」と表記し、ケース側接続端子54を「第2端子54」と表記する。また、バッテリ100の端面103を「バッテリ100の底面103」と表記する。
【0031】
図6は、バッテリケース32を斜め上方から示す斜視図、図7は、バッテリケース32を上方から示す図、図8は、バッテリケース32を斜め下方から示す図である。
バッテリケース32の底板40は、バッテリケース32の下部(奥部)を構成する部分である。この底板40の上面が、バッテリケース32にバッテリ100を収容した場合に、バッテリ100の底面103に対向する対向面となる。本構成では、対向面を含む底板40は、バッテリ100の底面103と略同じ矩形形状に形成される。なお、対向面を含む底板40の形状は適宜に変更してもよい。
【0032】
対向面には、端子用孔部41、複数の凹み部201、複数の連結部211、及び溝部221等が形成される。端子用孔部41は、バッテリ100と収容装置1とを電気的に接続するための端子が通過する孔であり、端子孔とも称される。本構成では、端子用孔部41を第2端子54が通過する。但し、この構成に限定されず、例えば、バッテリ端子108を下方に突出する構成にした場合や、バッテリ端子108を、第2端子54側である下方に移動させる構成にした場合、端子用孔部41を、第1端子108が通過するように構成してもよい。
【0033】
端子用孔部41は、対向面の中心CP(図7参照)に対し、後方に相当する第1方向αにオフセットした位置に設けられる。この端子用孔部41は、第1方向αに直交する左右方向に延びる長孔形状に形成されている。
図3に示すように、第2端子54は、対向面の中心CPから後方(第1方向αに相当)にオフセットした位置にて筐体10の下部に取り付けられ、第2端子54の先端を上方に向けて配置される。本構成では、保持ハンドル62の操作に連動して第2端子54を上下動させる連動機構が設けられている。この連動機構は、保持ハンドル62がロック側である前方に移動した場合(ロック位置に相当)、第2端子54を上方に移動させて端子用孔部41を通過させ、バッテリ100に設けられた第1端子108に接続させる。また、連動機構は、保持ハンドル62がアンロック側である後方に移動した場合(アンロック位置に相当)、第2端子54を下方に移動させて第1端子108から離脱させる。
【0034】
図6及び図7に示すように、複数の凹み部201は、下方に凹んだ形状を有している。各凹み部201は、バッテリ100の底面103に設けられた不図示の脚部に対応する位置に設けられ、脚部を逃げる逃げ部として機能する。本構成の凹み部201は、対向面の中心CPに対して略均等に離れた位置であって、対向面の4隅に対応する位置、かつ、端子用孔部41を避けた位置に設けられる。これら凹み部201の最下部となる中心位置には、底板40の内外を連通するように上下方向に貫通する連通孔201Hが設けられている。
【0035】
また、バッテリケース32には、底板40から側面107の下部に渡って上下方向に延在するスリット状の連通孔202Hが設けられる。さらに、複数の連結部211には、中心からずれた位置に、底板40の内外を連通するように上下方向に貫通する連通孔203Hが設けられている。これら連通孔201H,202H,203Hは、底板40の内外を連通し、バッテリケース32に浸入した水分等を排出する水抜き穴として機能する。なお、凹み部201、及び連通孔201H,202H,203Hの位置や形状は適宜に変更可能である。
【0036】
複数の連結部211は、端子用孔部41及び凹み部201の領域を避けて、前後及び左右の少なくともいずれかの方向に間隔を空けて設けられる。これら連結部211は、バッテリケース32の底板40と、筐体10のパネル側ボス29(図2参照)とを連結するための連結部材(例えばねじ)を通すことが可能な環状のボスに形成されている。本構成では、図8に示すように、これら連結部211が、バッテリケース32の底板40から下方に突出するボス形状に形成されている。そのため、バッテリケース32と筐体10との連結箇所の強度を十分に確保できるとともに、バッテリケース32の底板40と筐体10との間に、配線等の部品を配置するスペースを確保し易くなる。
【0037】
図8に示すように、底板40の裏面には、多角形形状の断面を有する突出部213が前後左右に間隔を空けて形成される。これら突出部213は底板40を補強する補強リブとして機能する。本構成では、各突出部213が六角形の断面に形成され、隣接する突出部213と各辺を共有することによって、いわゆるハニカム構造に形成されている。本構成では、底板40の裏面のうち、連結部211を除く領域の略全体がハニカム構造に形成されている。
【0038】
なお、突出部213の数、形状及び範囲は適宜に変更してもよい。例えば、突出部213に、互いに隣接し、少なくとも一つの辺を共有する複数の多角形状を適用することで、突出部213を、底板40の強度を効果的に高める補強リブとして機能させることができる。また、突出部213に、多角形状以外の形状を適用してもよい。また、突出部213の形状は、溝部221の形状と異なることが好ましい。突出部213が溝部221の形状と異なることで、局所的に厚い部分が直線状に継続する事態を回避でき、底板40の強度の偏り等を抑え易くなる。
【0039】
溝部221は、対向面の表面に沿って延びる溝を有する部分である。
本構成の溝部221は、左右方向に延びる第1溝M1を有する第1溝部221Aを備えている。第1溝M1が延びる左右方向は、端子用孔部41が対向面の中心CPからオフセットする方向(第1方向α)に直交する方向に相当する。
対向面に第1溝部221Aを設けることによって、バッテリ100の底面103に付着した砂等の異物を第1溝部221A内へ入り込ませることができる。そのため、バッテリ100の底面103と対向面との間に異物が挟まる事態を回避できる。これにより、バッテリケース32内に異物が進入しても、バッテリ100を適切に保持することが可能になる。しかも、第1溝部221Aは、端子用孔部41が対向面の中心CPからオフセットする後方(第1方向α)に直交する方向に延びているので、第1溝部221Aに入り込んだ異物が端子用孔部41側に移動する事態を回避できる。これらにより、異物が第1及び第2端子54に付着して端子同士の接続を妨げる事態も回避できる。
【0040】
第1溝部221Aは、対向面のうち、端子用孔部41よりも前方(第1方向αの反対方向である第2方向)の領域に渡って設けられることで、対向面の半分以上の領域に設けられている。より具体的には、第1溝部221Aは、端子用孔部41よりも前方の領域であって、複数の凹み部201及び連結部211に挟まれる領域の略全体に設けられている。
この第1溝部221Aは、互いに平行な複数の第1溝M1からなり、各第1溝M1は、対向面の左右の略全長に渡って延びている。複数の第1溝M1を有するので、第1溝M1の面積が拡がり、異物を第1溝M1に補足し易くなる。
【0041】
図7に示すように、溝部221は、さらに、第1溝M1と交差する方向に延びる第2溝M2を有する第2溝部221Bを備えている。第2溝M2は、対向面のうち、端子用孔部41よりも前方(第2方向)の領域にて、前後方向に直交する左右方向に間隔を空けて設けられている。つまり、本構成の溝部221は、左右方向に延びる横溝に相当する第1溝M1と、前後方向に延びる縦溝に相当する第2溝M2とを備えている。いずれの溝M1,M2によっても、バッテリ100に付着した砂等の異物を補足することができる。そのため、異物によって、バッテリ100を適切に保持できなくなる事態や、端子接続に影響が出る事態を回避できる。
さらに、上記溝部221によってバッテリケース32の底板40が波状に形成されるので、底板40が撓み難くなり、底板40の強度向上を図ることもできる。また、第1溝部221A及び第2溝部221Bのいずれも端子用孔部41と接続されていない。そのため、各溝221A及び221Bを通って、異物や水分が端子用孔部41に落ちることを抑制できる。
【0042】
次いで、端子用孔部41の周囲を含む細部の構造、及び、溝部221の断面について説明する。
図7には端子用孔部41の周囲を拡大して示している。
この図に示すように、端子用孔部41と溝部221との境界箇所には、上方に突出する山部230が延在している。また、山部230と第2溝M2との間には、第1溝M1と平行に延びる溝M1Xが延在している。仮に、第1溝M1、及び/又は第2溝M2から異物や水分が端子用孔部41側に移動したとしても、山部230及び溝M1Xによって、異物や水分が端子用孔部41に落ちる事態を防止できる。
本構成では、山部230の高さは、第1溝M1の頂部と略同じ高さであり、バッテリ100を山部230にも載置でき、バッテリ100の保持に有利である。なお、溝M1Xは、第1溝M1と同形状の溝でもよいし、第1溝M1と異なる溝でもよい。また、溝M1Xが一本の場合を例示したが、2本以上でもよい。
【0043】
図9は、第1溝部221Aの側断面を周辺構成とともに示す図である。
図9に示すように、第1溝M1のそれぞれは、下方に行くほど溝幅が狭くなる凹形状に形成され、隣接する第1溝M1のピッチ(間隔)は略同一である。第1溝M1の深さd1及び間隔W1は、バッテリ100に付着することが想定される異物が入るサイズに形成される。本構成では、第1溝M1の深さd1は略同一の値であり、例えば2mmである。また、第1溝M1の間隔W1は、第1溝M1の深さd1の2倍以上の略同一の値であり、例えば4.5mmである。つまり、第1溝M1の深さd1<第1溝M1の間隔W1の関係となっている。
【0044】
隣接する第1溝M1の間には、山の頂部T1が位置し、各頂部T1にはバッテリ100の底面103が載置される。本構成では、山の頂部T1が平坦面に形成されている。なお、平坦面の幅TWは、第1溝M1の深さd1よりも小さく、例えば1.5mmに形成される(TW<d1)。山の頂部T1を平坦面にすることによって、バッテリ100の底面103との接触面積を増大でき、バッテリ100の保持に有利となる。
【0045】
隣接する第1溝M1の間に位置する山の頂部T1は、底板40を補強する補強リブとして機能する。したがって、底板40の強度向上に有利である。なお、上記山の頂部T1は、本開示の「溝が形成されない非溝部」に相当する。山の頂部T1は平坦面に限定されず、適宜な形状に変更してもよい。
【0046】
なお、第2溝M2についても、第1溝M1と同様に、バッテリ100に付着することが想定される異物が入り込むように、溝の深さ及び幅が設定される。例えば、第1溝M1と第2溝M2とで、溝の深さ及び幅を同じにしてもよいし、異ならせてもよい。
本構成では、図7に示すように、第2溝M2を左右に間隔を空けて一本ずつ設けているが、この構成に限定されない、例えば、第2溝M2を互いに平行に複数本設けるようにしてもよく、さらに、第2溝M2の間に相当する山の頂部を平坦面にしてもよい。
【0047】
上記したように、底板40の裏面には、下方に突出する六角形断面の突出部213が形成され、これら突出部213が、底板40を補強する補強リブとして機能する。つまり、底板40の表面(対向面)の補強リブはシンプルな直線状のリブとなるのに対し、底板40の裏面の補強リブは、シンプルな直線状とは異なる多角形状のリブとなる。仮に、底板40の裏面の補強リブを、直線形状のリブにすると、表面の補強リブと裏面の補強リブとが一致する部分では、局所的に厚い部分が直線状にでき、周囲の強度とのバランスが不揃いになったり、応力集中が生じ易い箇所ができたりするおそれがある。本構成では、底板40の裏面の補強リブを、直線状ではないリブにすることで、底板40の強度の偏り等を抑えている。
【0048】
本構成では、樹脂材料を利用して、バッテリケース32、端子用孔部41、複数の凹み部201、複数の連結部211、溝部221、山部230、及び溝M1Xを一体に成型している。この場合、公知の樹脂成型方法を利用することで、高精度かつ容易に各部の形状を容易かつ短時間で製作できる。但し、一体に成型する方法に限定されず、いずれか一部を別体の部品で製作してもよいし、切削加工等によって製作してもよい。例えば、端子用孔部41、複数の凹み部201、複数の連結部211、溝部221、山部230、及び溝M1Xのいずれかを孔加工や切削加工によって製作してもよい。また、樹脂材料を使用する場合に限定されず、全て、或いは一部を、樹脂材料以外の部品、例えば、カーボン材料や金属材料を使用して製作してもよい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態のバッテリケース32は、バッテリ100に対向する対向面に、端子用孔部41と溝部221とを有し、端子用孔部41は、対向面の中心CPから第1方向αである後方にオフセットした位置に設けられる。さらに、溝部221は、対向面の表面に沿う方向のうち、第1方向αと直交する左右方向に延びる第1溝部221Aを有している。これらにより、バッテリ100の底面103等に付着した砂等の異物を溝部221内に入り込ませ、かつ、異物が端子用孔部41側に移動する事態を回避できる。したがって、バッテリ100に付着した異物によって、バッテリ100の保持や端子接続に影響が出る事態を回避できる。
【0050】
なお、第1溝部221Aが、第1方向αと直交する方向とやや異なる方向に延びるようにしても、異物を端子用孔部41側に移動させ難くなる。そのため、第1溝部221Aは、第1方向αと略直交する方向に延びていることが好ましい。ここで、第1方向αと略直交する方向は、直交する方向と同一方向に加え、異物を端子用孔部41側に移動させ難い全ての方向を含んでいる。この「第1方向αと略直交する方向」は、本開示の「第2方向」に相当している。
【0051】
また、第1溝部221Aは、互いに平行な複数の第1溝M1を有している。この構成によれば、第1溝M1の範囲を拡げ、異物を補足し易くなる。また、いずれかの第1溝M1に入った異物がその第1溝M1から出たとしても、隣接する第1溝M1に入るので、異物が第1溝部221A外に移動し難くなる。なお、第1溝M1は略平行であることが好ましい。なお、本開示の「略平行」は、平行に加え、異物の補足に有効な全ての方向を含んでいる。
【0052】
また、複数の第1溝M1は、対向面の半分以上の領域に渡って設けられる。この構成によれば、バッテリ100からの異物をいずれかの第1溝M1で補足し易くなる。なお、複数の第1溝M1は、対向面の半分以上の領域に渡って設けられることが望ましいが、対向面の半分未満の領域に設けるようにしてもよい。
【0053】
また、複数の第1溝M1は、対向面の第1方向αと直交する方向の長さの略全長に渡って延びている。この構成によれば、第1溝M1を可及的に長くすることができ、バッテリ100からの異物をより補足し易くなり、かつ、異物を第1溝M1に留めやすくなる。なお、複数の第1溝M1は、対向面の第1方向αと略直交する方向の長さの略全長に渡って延びていることが好ましい。この場合の「略直交する方向」は、異物の補足等に有効な範囲で、直交する方向以外の方向も含んでおり、本開示の「第2方向」に相当している。
【0054】
また、複数の第1溝M1の間に、溝が形成されない非溝部に相当する山の頂部T1を備えている。この構成によれば、非溝部により、対向面の領域を補強したり、隣接する第1溝M1間での異物の移動を抑制したりし易くなる。
また、非溝部は、頂部に平坦面を有している。この構成によれば、非溝部にバッテリ100を載置し易くなり、バッテリ100との接触面積を増大させ、バッテリ100の保持に有利となる。
【0055】
さらに、複数の第1溝M1は等間隔である。そのため、単位面積あたりの第1溝M1の数を揃えることができ、異物を均等に補足し易くなる。なお、複数の第1溝M1は略等間隔であることが好ましいが、等間隔に限定しなくてもよい。なお、本開示の「略等間隔」は、同一の間隔に加えて、単位面積あたりの第1溝M1の数が同等とみなせる範囲を含んでいる。
【0056】
また、複数の第1溝M1は同一の深さd1である。そのため、第1溝M1の深さd1を異物が十分に入り込む深さにしておくことで、異物がバッテリ100の保持や端子接続に影響する事態を適切に回避できる。なお、異物の補足に有効な範囲で、複数の第1溝M1は略同一の深さであればよい。
【0057】
また、第1溝M1の間隔W1は、第1溝M1の深さd1よりも大きい。この構成によれば、第1溝M1の深さd1を抑えつつ、異物を第1溝M1に入れやすくなる。本構成では、第1溝M1の間隔W1を、第1溝M1の深さd1の2倍以上にすることで、第1溝M1の深さd1をより抑えつつ、異物を第1溝M1に入れやすくなる。なお、第1溝M1の間隔W1を、第1溝M1の深さd1の2倍未満にしてもよいし、異物の補足に有効であれば、第1溝M1の深さd1よりも小さくしてもよい。
【0058】
また、溝部221は、第1溝部221Aと交差して第1方向αに延在する他の溝部に相当する第2溝部221Bを有している。この構成によれば、バッテリ100の底面103等に付着した砂等の異物を第2溝部221Bに入り込ませたり、第2溝部221Bの位置で、第1溝M1内の異物の移動を規制したりすることができる。なお、第2溝部221Bの方向、数及び形状は適宜に変更してもよく、例えば、第1溝部221Aと交差する方向の範囲で第2溝部221Bが延在する方向を変更してもよいし、第2溝部221Bの数を増やしてもよいし、第2溝部221Bを省略してもよい。
【0059】
また、第2溝部221Bは、端子用孔部41と接続されないよう設けられる。この構成によれば、第2溝部221Bを通って、異物等が端子用孔部41に落ちることを抑制できる。
また、対向面は、バッテリケース32の内外を連通する連通孔201H,202H,203Hを有するので、連通孔201H,202H,203Hによって、バッテリケース32に浸入した水分等を排出することができる。
【0060】
また、バッテリケース32は、対向面の裏面に、溝部221の形状とは異なる形状で突出する突出部213を有している。そのため、突出部213により対向面を補強できる。しかも、溝部221と突出部213とで局所的に厚い部分が直線状にできる事態を避け易くなり、対向面の強度の偏り等を抑え易くなる。
さらに、突出部213は、多角形状の断面で突出する形状であるので、突出部213による補強効果を高めやすくなる。また、突出部213は、互いに隣接し、少なくとも一つの辺を共有する複数の多角形状の断面であるので、より補強効果を高めることができる。なお、突出部213の形状や数は、補強効果が得られる範囲で適宜に変更してもよい。
【0061】
本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図10に示すように、第2溝部221Bに代えて、平坦部221Cを設けるようにしてもよい。この平坦部221Cは、第1溝M1と交差する方向に同じ高さで延びる平坦部分である。この平坦部221Cの高さは、第1溝M1の頂部以下の高さであって、第1溝M1の最深部よりも高いが、この高さに限定しなくてもよい。本構成の平坦部221Cは、第2溝部221Bと同じ位置に設けられている。この平坦部221Cは、底板40を補強する補強リブ、かつ、第1溝部221Aの各第1溝M1をつなぐつなぎ部材として機能するので、底板40の強度向上に有利である。また、平坦部221Cは、第1溝部221Aの各第1溝M1を仕切る仕切り壁としても機能する。そのため、第1溝M1内の異物の移動を規制することが可能である。
【0062】
また、平坦部221Cは、端子用孔部41と接続されないよう設けられる。そのため、平坦部221Cを通って、異物等が端子用孔部41に落ちることを抑制できる。
なお、平坦部221Cの方向、数及び形状は適宜に変更してもよく、例えば、第1溝部221Aと交差する方向の範囲で平坦部221Cが延在する方向を変更してもよいし、平坦部221Cの数を増やしてもよいし、平坦部221Cを省略してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、保持ハンドル62の操作に連動して第2端子54が端子用孔部41を通過する手動式の場合を例示したが、この構成に限定されない。例えば、第2端子54及び第1端子108のいずれか一方を、バッテリ100が収容された場合に他方の端子に接続される位置に固定してもよい。この場合、第1端子108及び第2端子54のいずれかが端子用孔部41を通過することになる。
また、バッテリ100側の第1端子108を、バッテリケース32側の第2端子54へ向かって移動させるアクチュエータ、及び/又は、第2端子54を第1端子108に向かって移動させるアクチュエータを設けるようにしてもよい。
【0064】
また、バッテリ100及びバッテリケース32が略直方体形状の場合を例示したが、曲面のない直方体形状にしてもよいし、直方体以外の形状にしてもよい。その場合、バッテリ100の側面の少なくとも一部を曲面形状にし、このバッテリ100を収納できるように、バッテリケース32の少なくとも一部を曲面形状にすることで、バッテリ100の向きを間違えてバッテリケース32に挿入する事態を避けやすくなる。
【0065】
また、バッテリケース32が、バッテリ100を収容して保持する構成の場合を例示したが、これに限定されず、バッテリケース32が、バッテリ100の少なくとも一部を露出した状態で載置して保持する構成でもよい。
また、本発明を、図1等に示す収容装置1に適用する場合を説明したが、この収容装置1に限定されず、バッテリ100等の電気機器を収容、又は載置して保持する保持部を有する保持装置に広く適用可能である。なお、本開示の電気機器は、第1端子108に対応する端子を備え、この端子が、保持装置側の第2端子に接続される構成のものを広く適用可能である。
【0066】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0067】
(構成1)第1端子を有する電気機器を収容、又は載置して保持する保持装置であって、前記電気機器を着脱可能に保持する保持部と、前記第1端子に接続される第2端子と、を備え、前記保持部は、該保持部に保持された前記電気機器の底面に対向する対向面を有し、前記対向面は、前記第1端子及び前記第2端子のいずれかが通過する端子用孔部と、該対向面の表面に沿って延びる溝部とを有し、前記端子用孔部は、前記対向面の中心から第1方向にオフセットした位置に設けられ、前記溝部は、該対向面の表面に沿う方向のうち、前記第1方向と略直交する第2方向に延びることを特徴とする保持装置。
この構成によれば、電気機器の底面等に付着した砂等の異物を溝部内に入り込ませ、かつ、溝部が端子用孔部側に移動する事態を回避できる。これにより、電気機器に付着した異物によって、電気機器の保持や端子接続に影響が出る事態を回避することができる。
【0068】
(構成2)前記溝部は、互いに略平行な複数の溝を有することを特徴とする構成1に記載の保持装置。
この構成によれば、溝の範囲を拡げ、異物を補足し易くなる。
【0069】
(構成3)複数の前記溝は、前記対向面の半分以上の領域に渡って設けられることを特徴とする構成2に記載の保持装置。
この構成によれば、電気機器からの異物をいずれかの溝で補足し易くなる。
【0070】
(構成4)複数の前記溝は、前記対向面の前記第2方向の長さの略全長に渡って延びることを特徴とする構成2又は3に記載の保持装置。
この構成によれば、溝を可及的に長くすることができ、電気機器からの異物をより補足し易くなり、かつ、異物を溝に留めやすくなる。
【0071】
(構成5)複数の前記溝の間に、溝が形成されない非溝部を有することを特徴とする構成2から4のいずれか一項に記載の保持装置。
この構成によれば、非溝部により、対向面の領域を補強したり、隣接する溝間での異物の移動を抑制したりし易くなる。
【0072】
(構成6)前記非溝部は、頂部に平坦面を有することを特徴とする構成5に記載の保持装置。
この構成によれば、非溝部を、電気機器が載置される載置部として機能させることができ、電気機器の保持に有利となる。
【0073】
(構成7)複数の前記溝は、略等間隔であることを特徴とする構成2から6のいずれか一項に記載の保持装置。
この構成によれば、単位面積あたりの溝の数を揃えることができ、異物を均等に補足し易くなる。
【0074】
(構成8)複数の前記溝は、略同一の深さであることを特徴とする構成2から7のいずれか一項に記載の保持装置。
この構成によれば、溝の深さを異物が十分に入り込む深さにしておくことで、異物が電気機器の保持や端子接続に影響する事態を適切に回避できる。
【0075】
(構成9)前記溝の間隔は、前記溝の深さよりも大きいことを特徴とする構成2から8のいずれか一項に記載の保持装置。
この構成によれば、溝の深さを抑えつつ、異物を溝に入れやすくなる。
【0076】
(構成10)前記溝の間隔は、前記溝の深さの2倍以上であることを特徴とする構成9に記載の保持装置。
この構成によれば、溝の深さをより抑えつつ、異物を溝に入れやすくなる。
【0077】
(構成11)前記対向面は、前記溝部と交差する方向に延在する平坦部又は他の溝部を有することを特徴とする構成1から10のいずれか一項に記載の保持装置。
この構成によれば、平坦部により、対向面を補強したり、溝部内の異物の移動を規制したりすることが可能になる。また、他の溝部により、異物を補足したり、溝部内の異物の移動を規制したりすることが可能になる。
【0078】
(構成12)前記平坦部又は前記他の溝部は、前記端子用孔部と接続されないよう設けられることを特徴とする構成11に記載の保持装置。
この構成によれば、平坦部又は他の溝部を通って、異物等が端子用孔部に落ちることを抑制できる。
【0079】
(構成13)前記対向面は、該保持部の内外を連通する連通孔を更に有することを特徴とする構成1から10のいずれか一項に記載の保持装置。
この構成によれば、連通孔によって、保持部に浸入した水分等を排出することができる。
【0080】
(構成14)前記連通孔は、前記端子用孔部及び前記溝部を避けた位置に設けられることを特徴とする構成13に記載の保持装置。
この構成によれば、連通孔と端子用孔部と溝部との間で異物等が移動する事態を避けやすくなる。
【0081】
(構成15)前記保持部は、前記対向面の裏面に、前記溝部の形状とは異なる形状で突出する突出部を有していることを特徴とする構成1から14のいずれか一項に記載の保持装置。
この構成によれば、突出部により対向面を補強することができる。また、溝部と突出部とで局所的に厚い部分が直線状にできる事態を避け易くなり、対向面の強度の偏り等を抑え易くなる。
【0082】
(構成16)前記突出部は、多角形状の断面で突出する形状であることを特徴とする構成15に記載の保持装置。
この構成によれば、突出部による補強効果を高めやすくなる。
【0083】
(構成17)前記突出部は、互いに隣接し、少なくとも一つの辺を共有する複数の多角形状の断面であることを特徴とする構成16に記載の保持装置。
この構成によれば、突出部による補強効果をより高めやすくなる。
【符号の説明】
【0084】
1…収容装置(保持装置)、10…筐体、30…収容機構、32…バッテリケース(保持部)、41…端子用孔部、54…ケース側接続端子(第2端子)、100…バッテリ(電気機器)、103…バッテリの端面(底面)、108…バッテリ端子(第1端子)、201H,202H…連通孔、213…突出部、221…溝部、221A…第1溝部、221B…第2溝部(他の溝部)、221C…平坦部、CP…対向面の中心、α…第1方向、M1…第1溝、M2…第2溝、T1…山の頂部(非溝部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10