(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021380
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】ビーコン装置
(51)【国際特許分類】
G01S 1/68 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
G01S1/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124169
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】志熊 純一
(72)【発明者】
【氏名】村上 豪
(57)【要約】
【課題】荷札やキーホルダのように太陽電池の受光面が常に外光側を向いていないような用途にも適した太陽電池付きのビーコン装置を提供する。
【解決手段】位置情報を受信者に報知するためのビーコン装置200は、ビーコン信号を発信する発信装置210と、発信装置の電力源となる太陽電池と、を備える。太陽電池は、好ましくは色素増感型太陽電池100であり、好ましくは、発信装置210を包囲して複数の太陽電池(色素増感型太陽電池100)が配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報を受信者に報知するためのビーコン装置であって、
ビーコン信号を発信する発信装置と、
前記発信装置の電源となる太陽電池と、
を備える、ビーコン装置。
【請求項2】
前記太陽電池が色素増感型太陽電池である、請求項1に記載のビーコン装置。
【請求項3】
複数の前記色素増感型太陽電池が積層されている、請求項2に記載のビーコン装置。
【請求項4】
前記発信装置を包囲して複数の前記太陽電池が配置されている、請求項1に記載のビーコン装置。
【請求項5】
前記発信装置と、前記太陽電池とを、透光性の収容ケースに収容した、請求項1に記載のビーコン装置。
【請求項6】
前記収容ケースが密封構造であり、かつ、内部が減圧されている、請求項5に記載のビーコン装置。
【請求項7】
前記収容ケースが密封構造であり、かつ、内部に不活性ガスが充填されている、請求項5に記載のビーコン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置情報を受信者に報知するためのビーコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、位置情報を取得するために、ビーコン装置が使用されている。例えば、特許文献1には、基板上に太陽電池と通信モジュールとを配設し、これらを太陽電池の受光面となる開口部が一方の面に形成されたカバーで包囲した太陽電池付電子機器が記載されている。この太陽電池付電子機器では、通信モジュールの電力源が太陽電池であるため、省電力化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、ビーコン装置を内蔵した荷札を荷物に装着したり、ビーコン装置を内蔵したキーホルダを鍵に装着しておき、これらを紛失した際に、所有者が携帯電話端末などを用いてビーコン装置からのビーコン信号を受信して紛失物を見つけることが行われている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の太陽電池付電子機器は平面型であり、壁面や天井などに、開口部が形成されている面が常に外光側を向くように配置されている。
そのため、太陽電池付電子機器を荷物や鍵に装着した場合、荷物や鍵は自由に動くため、カバーの開口部が形成されている面が外光側とは反対側を向くこともあり、外光が太陽電池の受光面に入光せずに、通信モジュールへの給電が行われないおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、荷札やキーホルダのように太陽電池の受光面が常に外光側を向いていないような用途にも適した太陽電池付きのビーコン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、ビーコン装置に係る下記[1]の構成により達成される。
【0008】
[1] 位置情報を受信者に報知するためのビーコン装置であって、
ビーコン信号を発信する発信装置と、
前記発信装置の電源となる太陽電池と、
を備える、ビーコン装置。
【0009】
また、ビーコン装置に係る本発明の好ましい実施形態は、以下の[2]~[7]に関する。
【0010】
[2] 前記太陽電池が色素増感型太陽電池である、[1]に記載のビーコン装置。
[3] 複数の前記色素増感型太陽電池が積層されている、[2]に記載のビーコン装置。
[4] 前記発信装置を包囲して複数の前記太陽電池が配置されている、[1]に記載のビーコン装置。
[5] 前記発信装置と、前記太陽電池とを、透光性の収容ケースに収容した、[1]に記載のビーコン装置。
[6] 前記収容ケースが密封構造であり、かつ、内部が減圧されている、[5]に記載のビーコン装置。
[7] 前記収容ケースが密封構造であり、かつ、内部に不活性ガスが充填されている[5]に記載のビーコン装置。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、太陽電池を電力源とするため省電力化が図られているとともに、荷札やキーホルダのように太陽電池の受光面が常に外光側を向いていないような用途にも適している太陽電池付きのビーコン装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、2つの色素増感型太陽電池100A,100Bを、電解質層の厚み方向に積層した場合を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明のビーコン装置の一例(多面体型)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、太陽電池を電力源として省電力化を図るとともに、太陽電池をビーコン信号の発信装置の周囲に複数設けることにより、荷札やキーホルダのように太陽電池の受光面が常に外光側を向いていないような用途にも適用できることを見出した。本発明はこのような知見に基づくものであり、以下に図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
【0015】
本実施形態のビーコン装置は、ビーコン信号を発信する発信装置と、発信装置の電源となる太陽電池とを備える。
【0016】
発信装置は、ビーコン信号を発信できる限り特に制限はなく、市販品を適宜使用することができる。
【0017】
太陽電池としては、色素増感型太陽電池が好適である。色素増感型太陽電池は、導電性基材上に色素を吸着した半導体からなる光電変換層を持つ半導体電極と、導電性基材上に触媒層を設けた対向電極と、半導体電極と対向電極との間に保持された電解質層から構成されている。また、電解質層の電荷輸送剤としては、増感色素の色彩を反映して意匠性を高めることができることから、ヨウ化物イオンのモル量に対する三ヨウ化物イオンのモル量の割合が1%未満である組成や、ヒドロキノン誘導体/ベンゾキノン誘導体が好ましい。
なお、このような色素増感型太陽電池の具体例として、本出願人による国際公開第2019/017473号、特開2012-99230号公報、特開2012-243721号公報等を参照することができる。
【0018】
また、本実施形態における色素増感型太陽電池は単一層であってもよいが、小型化や発電効率を上げるために、後述する
図1で示すように、複数の色素増感型太陽電池を積層してもよい。色素増感型太陽電池は、電解質層が透光性であるため、積層したときに外光が下層にも入光する。よって、後述する本実施形態に係るビーコン装置に用いられる色素増感型太陽電池としては、単一層からなる色素増感型太陽電池であってもよく、あるいは複数の色素増感型太陽電池を積層したものであってもよい。
【0019】
図1は、2つの色素増感型太陽電池100A,100Bを、電解質層の厚み方向に積層した場合を示す断面図である。図示されるように、2つの色素増感型太陽電池100A、100Bとの間には、透明基材8が配置されており、その両面に透明導電膜7,7′が形成されている。そして、一方の透明導電膜7の上には、増感色素6を吸着した半導体粒子が集積して半導体層5が形成されており、半導体電極10を構成している。また、半導体電極10に対向して対向電極9が配置されており、この対向電極9と半導体電極10との間に電解質層4が挟持され、封止材(図示せず)で封止されている。なお、対向電極9は、透明基材1に透明導電膜2を介して触媒層3を順次積層したものである。このようにして、一方の色素増感型太陽電池100Aが構成される。
【0020】
また、他方の透明導電膜7′の上には、増感色素6′を吸着した半導体粒子が、異なる平面パターンを形成するように積層して半導体層5′が形成されており、半導体電極10′を構成している。また、半導体電極10′に対向して対向電極9′が配置されており、この対向電極9′と半導体電極10′との間に電解質層4′が挟持され、封止材(図示せず)で封止されている。なお、対向電極9′は、透明基材1′に透明導電膜2′を介して触媒層3′を順次積層したものである。このようにして、他方の色素増感型太陽電池100Bが構成される。
【0021】
そして、透明基材8を共用して、一方の色素増感型太陽電池100Aと、他方の色素増感型太陽電池100Bとを、半導体層5,5´の半導体粒子の集積パターン同士が重ならないように、積層して一つの色素増感型太陽電池100を構成している。外光は、一方の色素増感型太陽電池100Aに入光するとともに、一方の色素増感型太陽電池100Aの半導体層5を除いた部分を透過して他方の色素増感型太陽電池100Bに入光するため、他方の色素増感型太陽電池100Bによる発電が加味される。
【0022】
続いて、本実施形態に係るビーコン装置の一例を説明する。
図2は、多面体型のビーコン装置を示す図である。本実施形態に係るビーコン装置は、
図2に示すビーコン装置200のように、発信装置210を包囲するように、複数の色素増感型太陽電池100を配設してもよい。なお、
図2では、発信装置210は、三角錐状の容器内に発信器(図示せず)を収容したものであり、容器の表面となる四面のうち三面にそれぞれ色素増感型太陽電池100を配設した四面体構造のビーコン装置200を示しているが、ビーコン装置200は、五面以上の多面体状であってもよく、あるいは球状であってもよい。
また、
図2に示すビーコン装置200は、容器の表面となる四面のうち三面にそれぞれ色素増感型太陽電池100を配設した、複数枚の色素増感型太陽電池100を用いる構成となっているが、本実施形態のビーコン装置は、少なくとも1つの色素増感型太陽電池100が用いられていればよいことは言うまでもない。
【0023】
上述したように、太陽電池付きのビーコン装置を荷札やキーホルダに適用した場合、荷札やキーホルダの姿勢によっては、外光が太陽電池の受光面に入光しないことがある。しかし、このように複数の色素増感型太陽電池100を発信装置210の周囲に配設した多面体構造のビーコン装置200にすることにより、ビーコン装置200がどのような姿勢になっても、いずれかの色素増感型太陽電池100が外光を受光することができ、ビーコン装置200を稼働させることができる。
【0024】
なお、複数の色素増感型太陽電池100は、全て同一の単一色を呈していてもよいし、互いに異なる単一色を呈していてもよいし、さらには多種類の色を呈していてもよい。各面の色やパターンが異なることにより、例えば、荷札やキーホルダに適用した場合、物や鍵を紛失した時に、荷物や鍵を発見しやすくなる。
多種類の色を呈するには、増感色素をインクジェット印刷法により半導体層に吸着させることができる。インクジェット印刷法については、例えば、本出願人による特許第6885202号公報を参照することができる。
【0025】
また、
図2に示すように、発信装置210と、複数の色素増感型太陽電池100とを、1つの収容ケース220に収容してもよい。なお、収容ケース220は、透光性を有する材料からなる。図示の例では、発信装置210の形状に合わせて、収容ケース220の各面221a~221d(221a、221b、221c、221d)を三角形状とし、発信装置210の色素増感型太陽電池100を覆うように各面221a~221dを連結している。これにより、収容ケース220が、発信装置210や色素増感型太陽電池100の保護部材となる。
【0026】
なお、収容ケース220は、密封構造にして内部を減圧してもよく、内部に不活性ガスを充填してもよい。これにより、ビーコン装置200を多様な用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0027】
100,100A,100B 色素増感型太陽電池
1,1′ 透明基材
2,2′ 透明導電膜
3,3′ 触媒層
4,4′ 電解質層
5,5′ 半導体層
6,6′ 増感色素
7,7′ 透明導電膜
8 透明基材
9,9′ 対向電極
10,10′ 半導体電極
200 ビーコン装置
210 発信装置
220 収容ケース
221a~221d(221a、221b、221c、221d) 収容ケースの面