(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021386
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B60R 16/04 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B60R16/04 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124179
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】下池 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 一人
(72)【発明者】
【氏名】河端 真一
(57)【要約】
【課題】走行装置を駆動する電動モータと、カバー部材によって形成されるバッテリールームと、バッテリールームに設けられ、電動モータに電力を供給するバッテリーとが備えられた作業車において、サービスプラグを誤って操作され難い状態、かつ泥土などによって汚損され難い状態で備える。
【解決手段】バッテリー14の上面部14aに、凹入部27、および、凹入部27を開閉可能な蓋部材28が設けられている。サービスプラグ20が凹入部27に収容され、かつ、蓋部材28によって上方から覆われている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置を駆動する電動モータと、
開閉可能なカバー部材によって形成されるバッテリールームと、
前記バッテリールームに設けられ、前記電動モータに電力を供給するバッテリーと、
前記バッテリーを電源とする電源回路を遮断可能なサービスプラグと、が備えられ、
前記バッテリーの上面部に、凹入部、および、前記凹入部を開閉可能な蓋部材が設けられ、
前記サービスプラグは、前記凹入部に収容され、かつ、前記蓋部材によって上方から覆われている作業車。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記カバー部材の車体後方側の端部に車体横幅方向に沿う状態で位置する開閉軸芯を揺動支点にして上下に揺動開閉可能に支持され、
前記凹入部の開口の車体後方側の端部が前記開閉軸芯の下方に位置している請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記開口は、非円形状であり、
前記開口の周縁のうち、前記開口の車体後方側の端部に対応する第1周縁部分が前記開閉軸芯に沿って車体横幅方向に延びており、前記開口の周縁のうち、前記開口の車体前方側の端部に対応する第2周縁部分が車体横幅方向に前記第1周縁部分と平行に延びている請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記開口は、八角形である請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記開口の両横側において前記蓋部材を前記上面部に締め付けるネジ部材が備えられ、
前記ネジ部材は、前記開閉軸芯よりも車体前側に設けられている請求項2から4のいずれか一項に記載の作業車。
【請求項6】
前記サービスプラグと隣り合わせに電源用のヒューズが設けられている請求項1に記載の作業車。
【請求項7】
前記ヒューズは、前記サービスプラグよりも車体前側に設けられている請求項6に記載の作業車。
【請求項8】
前記上面部に、前記凹入部とは別の第2凹入部、および、前記第2凹入部を開閉可能であると共に前記蓋部材とは別の第2蓋部材が設けられ、
前記ヒューズは、前記第2凹入部に収容され、かつ、前記第2蓋部材によって上方から覆われている請求項6または7に記載の作業車。
【請求項9】
前記第2蓋部材を前記上面部に締め付けるヘクサロビュラネジが備えられている請求項8に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、走行装置を駆動する電動モータと、開閉可能なカバー部材(ボンネット)によって形成されるバッテリールームと、バッテリールームに設けられ、電動モータに電力を供給するバッテリーと、を備える作業車(電動トラクタ)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した作業車では、バッテリーを電源とする電源回路を遮断可能なサービスプラグを備えられるが、サービスプラグを誤って操作されると、電源回路が遮断されて走行装置を駆動できなくなる。
【0005】
本発明は、サービスプラグを誤って操作され難い状態、かつ泥土などによって汚損され難い状態で備える作業車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による作業車は、
走行装置を駆動する電動モータと、開閉可能なカバー部材によって形成されるバッテリールームと、前記バッテリールームに設けられ、前記電動モータに電力を供給するバッテリーと、前記バッテリーを電源とする電源回路を遮断可能なサービスプラグと、が備えられ、前記バッテリーの上面部に、凹入部、および、前記凹入部を開閉可能な蓋部材が設けられ、前記サービスプラグは、前記凹入部に収容され、かつ、前記蓋部材によって上方から覆われている。
【0007】
本構成によると、サービスプラグは、バッテリーの凹入部に位置すると共に蓋部材によって覆われて隠れるので、サービスプラグを誤って操作され難くできる。バッテリーのうち、凹入部が位置する上面部にあっては、泥土などが走行装置によって跳ね上げられても届き難いので、サービスプラグを泥土などによって汚損され難くできる。
【0008】
本発明においては、
前記カバー部材は、前記カバー部材の車体後方側の端部に車体横幅方向に沿う状態で位置する開閉軸芯を揺動支点にして上下に揺動開閉可能に支持され、前記凹入部の開口の車体後方側の端部が前記開閉軸芯の下方に位置していると好適である。
【0009】
本構成によると、開口が開閉軸芯に対して車体前方側に離れて位置する場合に比べ、カバー部材を開けたときのカバー部材と開口との間隔が狭い。つまり、カバー部材を開けても、カバー部材と蓋部材との間隔が狭いのでサービスプラグを誤って操作され難くできる。
【0010】
本発明においては、
前記開口は、非円形状であり、前記開口の周縁のうち、前記開口の車体後方側の端部に対応する第1周縁部分が前記開閉軸芯に沿って車体横幅方向に延びており、前記開口の周縁のうち、前記開口の車体前方側の端部に対応する第2周縁部分が車体横幅方向に前記第1周縁部分と平行に延びていると好適である。
【0011】
本構成によると、開口を円形にした場合に比べ、カバー部材を開けてもカバー部材と開口との間隔があまり広くならないようにしつつ、開口を広くできるので、電源回路の遮断が必要な際、サービスプラグを操作し易い。
【0012】
本発明においては、
前記開口は、八角形であると好適である。
【0013】
本構成によると、開口のうちの開閉軸芯よりも車体前方側に位置する部位の面積を広くできるので、サービスプラグを操作し易い。
【0014】
本発明においては、
前記開口の両横側において前記蓋部材を前記上面部に締め付けるネジ部材が備えられ、前記ネジ部材は、前記開閉軸芯よりも車体前側に設けられていると好適である。
【0015】
本構成によると、開閉軸芯に対して車体前側に離れた箇所、すなわちカバー部材が操作障害になり難い箇所でネジ部材を操作できるので、ネジ部材を操作し易い。
【0016】
本発明においては、
前記サービスプラグと隣り合わせに電源用のヒューズが設けられていると好適である。
【0017】
本構成によると、ヒューズを点検するなどのメンテナンス作業を行う場合、ヒューズとサービスプラグとが近くてサービスプラグを操作し易いので電源回路を遮断し易い。
【0018】
本発明においては、
前記ヒューズは、前記サービスプラグよりも車体前側に設けられていると好適である。
【0019】
本構成によると、サービスプラグよりも車体前側でヒューズを点検するなどが可能なので、ヒューズのメンテナンス作業を行い易い。
【0020】
本発明においては、
前記上面部に、前記凹入部とは別の第2凹入部、および、前記第2凹入部を開閉可能であると共に前記蓋部材とは別の第2蓋部材が設けられ、前記ヒューズは、前記第2凹入部に収容され、かつ、前記第2蓋部材によって上方から覆われていると好適である。
【0021】
本構成によると、サービスプラグを操作する際、ヒューズを第2蓋部材によって覆われたままにしてヒューズに触れないようにしながらできる。
【0022】
本発明においては、
前記第2蓋部材を前記上面部に締め付けるヘクサロビュラネジが備えられていると好適である。
【0023】
本構成によると、第2蓋部材が操作し難いヘクサロビュラネジによって上面部に締め付けられているので、ヒューズを誤って操作され難くできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】サービスプラグ、ヒューズ、開き状態の第1凹入部、および開き状態の第2凹入部を示す平面図である。
【
図4】閉じ状態の第1凹入部および閉じ状態の第2凹入部を示す平面図である。
【
図9】別実施形態の第1凹入部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る作業車の一例である電動トラクタの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
〔全体構成〕
図1及び
図2に、電動トラクタが示されている。この電動トラクタは、車体後部にロータリ耕耘装置(図示せず)を連結して乗用型耕耘機を構成、あるいは車体下部に草刈装置(図示せず)を連結して乗用型草刈機を構成するなど、各種の作業機を構成するものである。
【0027】
電動トラクタの走行車体の前後方向を定義するときは、作業状態における車体進行方向に沿って定義し、走行車体の左右方向を定義するときは、走行車体の進行方向視で見た状態で左右を定義する。すなわち、
図1,2などに符号(F)で示す方向が車体前側、
図1,2などに符号(B)で示す方向が車体後側である。
図2などに符号(L)で示す方向が車体左側、
図2などに符号(R)で示す方向が車体右側である。従って、車体左右方向が車体横幅方向に対応する。また、
図1などに符号(U)で示す方向が車体上側、
図1などに符号(D)で示す方向が車体下側である。
【0028】
電動トラクタは、左右一対の走行装置としての操向かつ駆動可能な前車輪1と、左右一対の走行装置としての駆動可能な後車輪2とによって支持される走行車体3を備えている。走行車体3の前部に、前車輪1および後車輪2を駆動する電動モータ4を備える原動部5が設けられている。走行車体3の後部に、作業者が搭乗する運転部6が設けられている。運転部6には、運転座席7、前車輪1を操向操作するステアリングホイール8、運転者保護装置としてのロプス9が備えられている。車体フレーム10は、前車輪1などを支持する前部フレーム11a、前部フレーム11aの後部に前部が連結され、後車輪2などを支持するミッションケース11などによって構成されている。
【0029】
〔原動部〕
図1,2,6に示されるように、原動部5は、カバー部材12によって形成されるバッテリールーム13を備えている。バッテリールーム13にバッテリー14が設けられている。バッテリー14の下方に、前車輪1および後車輪2を駆動する電動モータ4、バッテリー14からの直流電力を交流電力に変換して電動モータ4に供給するインバータ15が設けられている。電動モータ4とインバータ15とは、電動モータ4がインバータ15よりも車体後側に位置する状態で車体前後方向に並べられている。
【0030】
電動モータ4は、前部フレーム11aに支持されている。電動モータ4の出力が電動モータ4から車体後方側に向かって延びる回転軸16(
図1参照)を介し、ミッションケース11の前部に設けられた静油圧式の無段変速装置17(
図1参照)に入力され、無段変速装置17からミッションケース11に入力される。入力された動力が走行用ミッション(図示せず)に伝達されて走行用ミッションから後車輪2および前車輪1に伝達される。走行用ミッションから前車輪1への動力伝達は、ミッションケース11から車体前向きに延びる回転軸18を介して行われる。
【0031】
バッテリー14は、前部フレーム11aに支持されたバッテリー載置台19(
図1参照)に載置されている。バッテリー14には、バッテリー14を電源とする電源回路の遮断が可能なサービスプラグ20(
図3,5参照)および2つのヒューズ21(
図3,5参照)が設けられている。インバータ15は、バッテリー載置台19の下方で前部フレーム11aに支持されている。
【0032】
図1,2に示されるように、カバー部材12は、カバー部材12の車体後方側の端部に車体横幅方向に沿った状態で位置する開閉軸芯Pを備え、開閉軸芯Pを揺動支点にして上下に揺動開閉可能な状態で支持フレーム22に支持されている。
【0033】
具体的には、
図3,5,6に示されるように、支持フレーム22は、バッテリー14の後端部における上部を囲う正面視門型に形成され、支持フレーム22の中間部と前部フレーム11aとにわたって設けられた支柱部材23を介して前部フレーム11aに支持されている。支持フレーム22の両端部22bがバッテリー14の横端部に係合され、バッテリー14によって支持されている。カバー部材12の車体後方側の端部における内側に補強部材24が連結されている。補強部材24の左右2箇所に備えられた連結部24aが支持フレーム22の左右2箇所に備えられた支持部22aに支点軸25を介して回転可能に支持されている。支点軸25の軸芯が開閉軸芯Pになっている。
【0034】
〔サービスプラグ〕
図1,5,6に示されるように、バッテリー14は、バッテリー14の上部に設けられた上カバー部14aを備えている。上カバー部14aは、バッテリー14の電気回路部14bを覆うように構成されている。
【0035】
図3,4,5に示されるように、バッテリー14の上面部としての上カバー部14aにおける車体後方側の端部に、第1開口26を有する第1凹入部27および、第1開口26を開閉することによって第1凹入部27を開閉する第1蓋部材28が設けられている。第1凹入部27の周壁および底壁を形成する箱状部材29が上カバー部14aの内側に設けられている。バッテリー14を電源とする電源回路を遮断可能なサービスプラグ20が第1凹入部27に収容され、第1蓋部材28によって上方から覆われている。
【0036】
本実施形態では、第1凹入部27を上カバー部14aの車体後方側の端部に設けているが、上カバー部14aの車体前方側の端部、あるいは、上カバー部14aの車体前後方向での中央部など、上カバー部14aのどのような部位に設けることも可能である。
【0037】
第1蓋部材28は、
図4に示されるように、4本の第1ネジ部材としての第1連結ボルト30によって上カバー部14aに脱着するように構成されている。具体的には、4本の第1連結ボルト30のうちの2本の第1連結ボルト30は、上カバー部14aのうちの第1開口26の左横側の部位に係合されることによって第1蓋部材28を上カバー部14aに締め付け連結するように構成されている。4本の第1連結ボルト30のうちの他の2本の第1連結ボルト30は、上カバー部14aのうちの第1開口26の右横側の部位に係合されることによって第1蓋部材28を上カバー部14aに締め付け連結するように構成されている。上カバー部14aに対する第1連結ボルト30の係合は、上カバー部14aの裏面側に固定されたネジ穴部材に係合されることによって行われる。第1蓋部材28と上カバー部14aとの間にはシール用のガスケット31(
図5参照)が介装される。
【0038】
サービスプラグ20は、誤って操作されないように、かつ、前車輪1によって跳ね上げられた泥土などが付着しないように、第1凹入部27に収容されると共に第1蓋部材28によって覆われて隠されている。サービスプラグ20は、第1蓋部材28を取り外して第1開口26を開けることにより、第1開口26を介して上方に抜き外すことができる。
【0039】
図3,5に示されるように、第1開口26は、第1開口26の車体後方側の端部26aがカバー部材12の開閉軸芯Pの下方に位置する状態で設けられている。第1開口26が開閉軸芯Pに対して車体前方側に離れて位置する場合に比べ、カバー部材12を開けたときのカバー部材12と第1開口26との間隔を狭く済ませることができる。すなわち、カバー部材12を開けても、カバー部材12と第1蓋部材28との間隔が狭くてサービスプラグ20を操作され難くできる。
【0040】
図3に示されるように、第1開口26は、八角形に形成されている。第1開口26の周縁32のうち、第1開口26の車体後方側の端部26aに対応する第1周縁部分32aは、開閉軸芯Pに沿って車体横幅方向に延ばされている。第1開口26の周縁32のうち、第1開口26の車体前方側の端部26bに対応する第2周縁部分32bは、車体横幅方向に第1周縁部分32aと平行に延ばされている。第1開口を円形にした場合に比べ、カバー部材12を開けたときのカバー部材12と第1開口26との間隔を狭く済ませながら、サービスプラグ20を操作し易いように第1開口26を広くできる。
【0041】
図4に示されるように。4本の第1連結ボルト30は、カバー部材12の開閉軸芯Pよりも車体前側に設けられている。第1蓋部材28を開閉する際、開閉軸芯Pに対して車体前方側に離れた箇所、すなわちカバー部材12が操作障害になり難い箇所で第1連結ボルト30を操作することができる。
【0042】
本実施形態では、第1開口26の両横側に2本の第1連結ボルト30を設けているが、第1開口26の両横側に3本以上の第1連結ボルト30を設けることが可能である。本実施形態では、第1連結ボルト30を採用しているが、上カバー部14aに固定されたボルトと、このボルトに係合されて第1蓋部材28を上カバー部14aに締め付けるネジ穴部材とを第1連結ボルト30に替えて採用することが可能である。
【0043】
〔ヒューズ〕
図3に示されるように、2つのヒューズ21は、バッテリー14の上カバー部14aのうち、サービスプラグ20と隣り合せの部位に設けられている。2つのヒューズ21とサービスプラグ20とが近いので、2つのヒューズ21のメンテンス作業を行う際、サービスプラグ20を操作し易くて電源回路を遮断し易い。
【0044】
具体的には、
図3,5に示されるように、上カバー部14aのうち、第1凹入部27の前隣の部位に、第1凹入部27とは別の第2凹入部33が設けられている。第2凹入部33には、第1開口26とは別の第2開口34が設けられている。第2凹入部33は、第1蓋部材28とは別の第2蓋部材35によって第2開口34が開閉されることによって開閉される。2つのヒューズ21は、第2凹入部33に収容され、かつ、第2蓋部材35によって上方から覆われている。サービスプラグ20を操作する際、2つのヒューズ21を第2蓋部材35によって覆われたままにしながらできる。2つのヒューズ21の第2凹入部33への収納は、2本のヒューズ21が第2凹入部33に設けられたヒューズ支持台36に取付けられることによって行われる。
【0045】
第2蓋部材35は、
図4に示されるように、4本の第2ネジ部材としての第2連結ボルト37によって上カバー部14aに脱着するように構成されている。具体的には、4本の第2連結ボルト37のうちの2本の第2連結ボルト37は、上カバー部14aのうち、第2開口34の車体後方側の端部の両横側の部位に係合されることによって第2蓋部材35を上カバー部14aに締め付け連結するように構成されている。4本の第2連結ボルト37のうちの他の2本の第2連結ボルト37は、上カバー部14aのうち、第2開口34の車体前方側の端部の両横側の部位に係合されることによって第2蓋部材35を上カバー部14aに締め付け連結するように構成されている。上カバー部14aに対する第2連結ボルト37の係合は、上カバー部14aの裏面側に固定されたネジ穴部材に第2連結ボルト37が係合することによって行われる。第2蓋部材35と上カバー部14aとの間にはシール用のガスケット41(
図5参照)が介装される。
【0046】
4本の第2連結ボルト37のうちの3本の第2連結ボルト37aは、
図7に示される如く頭部38が六角形の連結ボルトによって構成されている。4本の第2連結ボルト37のうちの他の1本の第2連結ボルト37bは、
図8に示される如く頭部39に六角形の取付け穴40が備えられたヘクサビュラネジによって構成されている。ヘクサビュラネジは、第2蓋部材35の車体前方側の端部、すなわち、カバー部材12の開閉軸芯Pから遠い方の端部の締め付けに採用されている。
【0047】
本実施形態では、4本の第2連結ボルト37を設けているが、6本以上の第2連結ボルト37を設けることが可能である。本実施形態では、第2連結ボルト37を採用しているが、上カバー部14aに固定されたネジ軸と、このネジ軸に係合されて第2蓋部材35を上カバー部14aに締め付けるネジ穴部材とを第2連結ボルト37に替えて採用することが可能である。
【0048】
〔別実施形態〕
(1)
図9は、別実施形態の第1凹入部27を示す平面図である。別実施形態の第1凹入部27では、第1凹入部27の第1開口26が四角形状にされている。第1開口26の周縁32のうち、第1開口26の後側の一辺に対応する第1周縁部分32aが開閉軸芯Pの下方に開閉軸芯Pに沿って位置している。上カバー部14aのうち、第1開口26の四つの角部それぞれに対応する箇所に、第1蓋部材28を締め付け連結する第1連結ボルト30を取り付けるように構成されている。本実施形態では、第1開口26は、四箇所で角取りをした四角形状にされているが、角取りをしないものであってもよい。尚、第1開口26の非円形としは、八角形、四角形状に限らず、六角形などを採用可能である。
【0049】
(2)上記した実施形態では、第1凹入部27を上カバー部14aの車体後方側の端部に設けた例を示したが、第1凹入部27を上カバー部14aの車体前方側の端部、あるいは、上カバー部14aの車体前後方向での中間部など、上カバー部14aのどのような部位に設けたものであってもよい。
【0050】
(3)上記した実施形態では、第1開口26が八角形である例を示したが、これに限らず、六角形などの非円形状である第1開口の採用が可能である。
【0051】
(4)上記した実施形態では、2つのヒューズ21が設けられた例を示したが、1つだけ、あるいは、3つ以上のヒューズが設けられたものであってもよい。
【0052】
(5)上記した実施形態では、ヒューズ21がサービスプラグ20の前隣に設けた例を示したが、ヒューズ21がサービスプラグ20の横隣に設けられたものであってもよい。
【0053】
(6)上記した実施形態では、第1凹入部27と第2凹入部33とを別々に設け、第1蓋部材28と第2蓋部材35とを別々に設けた例を示したが、これに限らない。たとえば、サービスプラグ20とヒューズ21を同じ凹入部に収容するものであってもよい。また、第1凹入部27と第2凹入部33とを別々に設け、第1凹入部27の第1開口26と第2凹入部33の第2開口34を同一の蓋部材によって開閉するものであってもよい。
【0054】
(7)上記した実施形態では、ヘクサロビュラネジを採用した例を示したが、ヘクサロビュラネジを採用しないものであってもよい。
【0055】
(8)上記した実施形態では、前車輪1および後車輪2を備えた例を示したが、クローラ走行装置あるいはミニクローラを走行装置として備えたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、走行装置を駆動する電動モータと、開閉可能なカバー部材によって形成されるバッテリールームと、バッテリールームに設けられ、電動モータに電力を供給するバッテリーと、が備えられた作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1 前車輪(走行装置)
2 後車輪(走行装置)
4 電動モータ
12 カバー部材
13 バッテリールーム
14 バッテリー
14a 上カバー部(上面部)
20 サービスプラグ
21 ヒューズ
26 第1開口(開口)
26a 端部
26b 端部
27 第1凹入部(凹入部)
28 第1蓋部材(蓋部材)
30 第1連結ボルト(ネジ部材)
32 周縁
32a 第1周縁部分
32b 第2周縁部分
33 第2凹入部
34 第2開口
35 第2蓋部材
37b 第2連結ボルト(ヘクサロビュラネジ)