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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021388
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/20 20180101AFI20240208BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20240208BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240208BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240208BHJP
【FI】
F21S43/20
F21S43/14
F21W103:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124182
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】金徳 大地
(57)【要約】
【課題】板状レンズ部の均一面発光及び奥行き方向の薄型化を同時に実現することができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具10であって、光照射方向に配置される表面21とその反対側の裏面22とを含む板状レンズ部20と、前記板状レンズ部の後方に配置された反射面30と、前記反射面で反射され前記裏面から前記板状レンズ部に入光し前記表面から出光する光を発光する光源50と、を備え、前記表面は、前記光源からの光のうち相対的に明るい光RayBが入射する領域A1を含み、前記領域には、当該領域に入射する前記相対的に明るい光の少なくとも一部を反光源側かつ前記裏面側に向けて全反射する第1全反射面21aが形成されており、前記裏面には、前記反射面からの反射光が入光する入光面22b及び前記第1全反射面からの反射光を前記表面に向けて全反射する第2全反射面22cが形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光照射方向に配置される表面とその反対側の裏面とを含む板状レンズ部と、
前記板状レンズ部の後方に配置された反射面と、
前記反射面で反射され前記裏面から前記板状レンズ部に入光し前記表面から出光する光を発光する光源と、を備え、
前記表面は、前記反射面で反射され前記板状レンズ部に入光した前記光源からの光のうち相対的に明るい光が入射する領域を含み、
前記領域には、当該領域に入射する前記相対的に明るい光の少なくとも一部を反光源側かつ前記裏面側に向けて全反射する第1全反射面が形成されており、
前記裏面には、前記反射面からの反射光が入光する入光面及び前記第1全反射面からの反射光を前記表面に向けて全反射する第2全反射面が形成されており、
前記相対的に明るい光の一部は、前記第1全反射面により反光源側かつ前記裏面側に向けて全反射され、さらに、前記裏面に形成された前記第2全反射面により前記表面に向けて全反射され、当該表面から出光し、
前記入光面から入光した前記反射面からの反射光は、前記表面から出光する車両用灯具。
【請求項2】
前記相対的に明るい光の他の一部は前記第1全反射面で全反射されることなく前記第1全反射面から出光する請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記入光面及び前記第2全反射面は交互に複数設けられている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記第1全反射面及び前記第2全反射面はそれぞれ、反光源側が前記表面側に傾斜した状態で設けられている請求項3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記第1全反射面の傾斜角度及び前記第2全反射面の傾斜角度はそれぞれ前記板状レンズ部が均一に面発光するように調整されている請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記光源は、半導体発光素子である請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記板状レンズ部の表面にはシボ加工が施されている請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用灯具に関し、特に、板状レンズ部の均一面発光及び奥行き方向の薄型化を同時に実現することができる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
光照射方向に配置される表面とその反対側の裏面とを含む板状レンズ部と、前記板状レンズ部の後方に配置された反射面(放物線状に湾曲した反射面)と、前記反射面で反射され前記裏面から前記板状レンズ部に入光し前記表面から出光する光を発光する光源と、を備えた車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これに対して本発明者は、板状レンズ部(例えば、実施形態のインナーレンズ)を均一(概ね均一)に面発光させること、及び、奥行き方向(実施形態のX方向)の薄型化が可能な車両用灯具を検討した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-101626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1においては、板状レンズ部の均一面発光及び奥行き方向の薄型化を同時に実現することについては一切考慮されておらず、改善の余地がある。
【0006】
本開示は、このような問題点を解決するためになされたものであり、板状レンズ部の均一面発光及び奥行き方向の薄型化を同時に実現することができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる車両用灯具は、光照射方向に配置される表面とその反対側の裏面とを含む板状レンズ部と、前記板状レンズ部の後方に配置された反射面と、前記反射面で反射され前記裏面から前記板状レンズ部に入光し前記表面から出光する光を発光する光源と、を備え、前記表面は、前記反射面で反射され前記板状レンズ部に入光した前記光源からの光のうち相対的に明るい光が入射する領域を含み、前記領域には、当該領域に入射する前記相対的に明るい光の少なくとも一部を反光源側かつ前記裏面側に向けて全反射する第1全反射面が形成されており、前記裏面には、前記反射面からの反射光が入光する入光面及び前記第1全反射面からの反射光を前記表面に向けて全反射する第2全反射面が形成されており、前記相対的に明るい光の一部は、前記第1全反射面により反光源側かつ前記裏面側に向けて全反射され、さらに、前記裏面に形成された前記第2全反射面により前記表面に向けて全反射され、当該表面から出光し、前記入光面から入光した前記反射面からの反射光は、前記表面から出光する。
【0008】
このような構成により、板状レンズ部の均一面発光及び奥行き方向の薄型化を同時に実現することができる車両用灯具を提供することができる。
【0009】
板状レンズ部の均一面発光を実現できるのは、主に、反射面で反射された光源からの光(相対的に明るい光)を、第1全反射面及び第2全反射面により周辺(明るさ(輝度)が弱い範囲)に分配することによるものである。具体的には、反射面で反射された光源からの光(相対的に明るい光)を、第1全反射面21aにより反光源側かつ裏面側に向けて全反射し、さらに、当該第1全反射面からの反射光(相対的に明るい光)を、第2全反射面により表面(明るさ(輝度)が弱い範囲)に向けて全反射することによるものである。
【0010】
また、上記車両用灯具において、前記相対的に明るい光の他の一部は前記第1全反射面で全反射されることなく前記第1全反射面から出光してもよい。
【0011】
また、上記車両用灯具において、前記入光面及び前記第2全反射面は交互に複数設けられていてもよい。
【0012】
また、上記車両用灯具において、前記第1全反射面及び前記第2全反射面はそれぞれ、反光源側が前記表面側に傾斜した状態で設けられていてもよい。
【0013】
また、上記車両用灯具において、前記第1全反射面の傾斜角度及び前記第2全反射面の傾斜角度はそれぞれ前記板状レンズ部が均一に面発光するように調整されていてもよい。
【0014】
また、上記車両用灯具において、前記光源は、半導体発光素子であってもよい。
【0015】
また、上記車両用灯具において、前記板状レンズ部の表面にはシボ加工が施されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示により、板状レンズ部の均一面発光及び奥行き方向の薄型化を同時に実現することができる車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】車両用灯具10の斜視図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】比較例1、2の車両用灯具10A、10Bを表す図である。
図4】インナーレンズ20の正面図である。
図5】(a)インナーレンズ20の背面図、(b)図5(a)のB-B断面図である。
図6図2中の点線の円で囲った範囲の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態である車両用灯具10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0019】
図1は、車両用灯具10の斜視図である。図2は、図1のA-A断面図である。
【0020】
本実施形態の車両用灯具10は、車両用信号灯具である。図示しないが、車両用灯具10は、アウターレンズとハウジングとによって構成される灯室内に配置され、ハウジング等に取り付けられる。
【0021】
図1図2に示すように、車両用灯具10は、インナーレンズ20(本開示の板状レンズ部の一例)、反射面30(リフレクタ)、エクステンション40、光源50、ブラケット60を備える。以下、説明の便宜のため、図1等に示すように、XYZ軸を定義する。X軸は、車両前後方向に延びている。Y軸は、車幅方向に延びている。Z軸は、鉛直方向に延びている。
【0022】
図2に示すように、車両用灯具10は、X方向に関し薄型に構成されている。以下、この点について、比較例と対比しながら説明する。
【0023】
図3は、比較例1、2の車両用灯具10A、10Bを表す図である。
【0024】
図3に示すように、比較例1の車両用灯具10Aは、反射面30に代えて反射面130を用い、かつ、インナーレンズ20に代えて平板形状のインナーレンズ120を用いた車両用灯具である。その他の構成は車両用灯具10の構成と同様である。
【0025】
比較例1の反射面130の形状は、光源50から入射する光の反射光の明るさ(輝度)が反射面130上の各位置において同一(略同一)となるように、空気中の光の減衰が距離に依存すること及び出射角度(光源50からの出射角度)に応じて明るさ(光度)が異なる特性を考慮し、次の式1を用いて算出した。
【0026】
B1=A×cosθ ・・・ (式1)
ここで、θは、光源50の光軸AX50に対する角度である。B1は、θに対応する光源50と反射面130(反射点)との間の距離である。Aは、θ=0°に対応する光源50と反射面130(反射点)との間の距離である。
【0027】
この式1を用いることにより、図3に点線で示す形状(断面形状)の反射面130が得られる。反射面130は、図3中Y方向に延びている。
【0028】
上記構成の比較例1の車両用灯具10Aにおいては、光源50から入射する光の反射光の明るさ(輝度)が反射面130上の各位置において同一(略同一)となり、この反射光RayAがインナーレンズ120を透過する。これにより、インナーレンズ120が均一(概ね均一)に面発光する。
【0029】
一方、図3に示すように、比較例2の車両用灯具10Bは、インナーレンズ20に代えて平板形状のインナーレンズ120を用いた車両用灯具である。その他の構成は車両用灯具10の構成と同様である。
【0030】
比較例2の反射面30の形状は、薄型化を考慮し、次の式2を用いて算出した。
【0031】
B2=A×(cosθ) ・・・ (式2)
ここで、θは、光源50の光軸AX50に対する角度である。B2は、θに対応する光源50と反射面30(反射点)との間の距離である。Aは、θ=0°に対応する光源50と反射面30(反射点)との間の距離である。
【0032】
この式2を用いることにより、図3に実線で示す形状(断面形状)の反射面30が得られる。反射面30は、図3中Y方向に延びている。
【0033】
比較例2の車両用灯具10Bにおいては、反射面30を用いることにより、比較例1の車両用灯具10Bと比べ、X方向に関し薄型を実現することができる(図3参照)ものの、次の課題がある。
【0034】
すなわち、上記構成の比較例2の車両用灯具10Bにおいては、反射面30で反射された光源50からの光RayB(相対的に明るい光)がインナーレンズ120(インナーレンズ120の下部のY方向の中央)を透過する。これにより、インナーレンズ120の下部のY方向の中央とそれ以外の周辺との間に明暗差(輝度ムラ)が発生し、インナーレンズ120が均一(概ね均一)に面発光しない(不均一な見栄えになってしまう)という課題がある。
【0035】
これは、図3に示すように、上記構成の比較例2の車両用灯具10Bにおいては、広角方向(例えば、θ=65°付近の方向)に向かい反射面30に入射する光源50からの光の光路長B2(図3参照)が、同じく広角方向(例えば、θ=65°付近の方向)に向かい反射面130に入射する光源50からの光の光路長B1(図3参照)より短いため、広角方向(例えば、θ=65°付近の方向)に向かい反射面30に入射する光源50からの光が十分に減衰されず相対的に明るい光として反射面30で反射されインナーレンズ120(インナーレンズ120の下部のY方向の中央)を透過することによるものである。
【0036】
次に、上記課題を解決するために採用したインナーレンズ20について説明する。
【0037】
図4はインナーレンズ20の正面図である。図5(a)はインナーレンズ20の背面図、図5(b)は図5(a)のB-B断面図である。
【0038】
インナーレンズ20は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂製で、射出成形により成形される。図2に示すように、インナーレンズ20は、光照射方向(図2中左方向)に配置される表面21とその反対側の裏面22とを含む板状レンズ部である。図4図5(a)に示すように、インナーレンズ20の外形は矩形(概ね正方形)である。なお、インナーレンズ20の外形は矩形以外の形状であってもよい。インナーレンズ20は、エクステンション40に固定されている(図2参照)。
【0039】
図1図2図4に示すように、インナーレンズ20の表面21は、反射面30で反射され当該インナーレンズ20に入光した光源50からの光のうち相対的に明るい光RayBが入射する領域A1を含む。この領域A1には、第1全反射面21aが形成されている。第1全反射面21aは、領域A1(第1全反射面21a)に入射する相対的に明るい光RayBの少なくとも一部を反光源50側かつ裏面22側に向けて全反射する(図2参照)。
【0040】
第1全反射面21aは、半円錐面(凹部)で、インナーレンズ20の表面21下部のY方向の中央に形成されている。半円錐面は、光源50側が裏面22側に角度θ1(図2参照)傾斜した直線L1を基準軸AXを中心に回転させることにより得られる。角度θ1は例えば60度である。基準軸AXは、インナーレンズ20の表面21下端部のY方向の中心をとおり、かつ、表面21に直交する方向(X方向)に延びている。なお、図示しないが、インナーレンズ20の表面21には、当該表面21から出光する光を拡散させさらに見栄えを均一にするため、シボ加工が施されている。シボ加工は、表面21の全域に施されていてもよいし、一部領域に施されていてもよい。なお、インナーレンズ20の表面21から出光する光を拡散させさらに見栄えを均一にするための構成は、シボ加工(金型を用いたシボ加工)に限らない。例えば、インナーレンズ20の表面に塗装(例えば、シボに相当する塗装)を施してもよいし、インナーレンズ20として拡散材を混ぜ合わせた乳白レンズを用いてもよい。
【0041】
図5(a)、図5(b)に示すように、インナーレンズ20の裏面22には、反射面30からの反射光が入光する第1入光面22a、第2入光面22b(複数)及び第2全反射面22c(複数)が形成されている。
【0042】
第1入光面22aは、反射面30からの反射光RayB(相対的に明るい光。図2参照)が入光する入光面である。第1入光面22aは、第1全反射面21aに対応する半円形状の入光面で、インナーレンズ20の裏面22下部のY方向の中央に形成されている。第1入光面22aは、表面21に対して平行な半円形状の平面である。
【0043】
第2入光面22b(複数)は、反射面30からの反射光RayC、D(図2参照)が入光する入光面である。第2全反射面22cは、第1全反射面21aからの反射光RayB(相対的に明るい光。図2参照)を表面21に向けて全反射する全反射面である。
【0044】
第2入光面22b(複数)及び第2全反射面22c(複数)はそれぞれ基準軸AXを中心とする円弧状の面で、同心円状に交互に配置されている(図5(a)参照)。
【0045】
第2入光面22bの断面形状(基準軸AXを含む平面による断面形状)は、表面21に対して平行な平面である(図5(b)参照)。第2入光面22bの幅D2は、例えば、1mmである。
【0046】
第2全反射面22cの断面形状(基準軸AXを含む平面による断面形状)は、反光源50側が表面21側に角度θ2傾斜した平面(図5(b)参照)で、第1全反射面21aからの反射光RayB(相対的に明るい光。図2参照)を表面21に向けて全反射する。第2全反射面22cの幅D1は、例えば、0.5mmである。角度θ2は例えば60度である。D1:D2は、例えば、1:4であるがこれに限らない。なお、角度θ2と角度θ1は等しくてもよいし、異なっていてもよい。
【0047】
図2に示すように、インナーレンズ20の後方には、反射面30が配置されている。
【0048】
反射面30の形状は、上記比較例2で説明したとおり、薄型化を考慮して、上記式2を用いて算出されている。反射面30は、図2中Y方向に延びている。反射面30の材料は、例えば、白色材料(例えば、白樹脂)である。なお、図示しないが、反射面30には、シボ加工が施されている。シボ加工は、反射面30の全域に施されていてもよいし、一部領域に施されていてもよい。
【0049】
光源50は、例えば、LED等の半導体発光素子である。光源50は、発光面50a(例えば、1mm角の矩形の発光面)を備える。光源50は、反射面30で反射されインナーレンズ20の裏面22(第1入光面22a、第2入光面22b(複数))からインナーレンズ20に入光しインナーレンズ20の表面21から出光する光を発光する。
【0050】
図2に示すように、光源50は、インナーレンズ20(下端部)及び反射面30(下端部)より下方に配置されている。具体的には、光源50は、側面視(又は断面視)で、インナーレンズ20(下端部)と反射面30(下端部)との間のインナーレンズ20寄り(図2参照)、かつ、正面視で、Y方向の中央(図4参照)に、発光面50aが上向きの状態で配置されている。なお、光源50は、ブラケット60に固定された基板70(図2参照)に実装されている。
【0051】
上記構成の車両用灯具10においては、光源50を点灯すると、図2に示すように、光源50からの光のうち広角方向(例えば、θ=65°方向)に向かう光RayBは、反射面30で反射される。図6に示すように、この反射面30からの反射光RayB(相対的に明るい光)は、インナーレンズ20の裏面22(例えば、第1入光面22a)からインナーレンズ20に入光し、第1全反射面21aに入射する。図6は、図2中の点線の円で囲った範囲の拡大図である。
【0052】
この第1全反射面21aに入射する反射光RayB(相対的に明るい光)の一部は、当該第1全反射面21aにより反光源50側かつ裏面22側に向けて全反射され、さらに、裏面22に形成された第2全反射面22c(複数)により表面21に向けて全反射され、当該表面21から出光する。その際、表面21から出光する光RayB(図6中RayB1と記載)は、当該表面21に施されたシボにより拡散する光として出光する。このように、表面21から略斜め上方向に出光しようとする光を表面21に施されたシボにより拡散させることにより、X方向にも光を照射することができる。
【0053】
なお、第1全反射面21aに入射する光RayBのうち臨界角に達しない角度で入射する光RayBは当該第1全反射面21aで全反射されることなく当該第1全反射面21aから出光する。その際、第1全反射面21aから出光する光RayB(図6中RayB2と記載)は、当該第1全反射面21aに施されたシボにより拡散する光として出光する。このように、第1全反射面21aから略斜め上方向に出光しようとする光を第1全反射面21aに施されたシボにより拡散させることにより、X方向にも光を照射することができる。
【0054】
一方、図2に示すように、光源50からの光のうち挟角方向(例えば、θ<65°方向)に向かう光RayC、Dは、反射面30で反射される。この反射面30からの反射光RayC、Dは、図6に示すように、インナーレンズ20の裏面22に形成された第2入光面22b(複数)からインナーレンズ20に入光し、表面21から出光する。その際、表面21から出光する光RayC、Dは、当該表面21に施されたシボにより拡散する光として出光する。このように、表面21から略斜め上方向に出光しようとする光を表面21に施されたシボにより拡散させることにより、X方向にも光を照射することができる。
【0055】
以上のように、インナーレンズ20の表面21から出光する光RayB(RayB1、B2)、RayC、Dにより、インナーレンズ20の均一面発光が実現される。
【0056】
なお、インナーレンズ20を均一(概ね均一)に面発光させるための条件は、例えば、第1全反射面21aに関する条件(例えば、角度θ1(図2参照)、第1全反射面21aのサイズ、第1全反射面21aを設ける範囲)、第2全反射面22c(例えば、角度θ2(図5(b)参照)、幅D1(図5(b)参照)、第2全反射面22cを設ける範囲)、第1入光面22a(例えば、第1入光面22aのサイズ、第1入光面22aを設ける範囲)、第2入光面22b(例えば、幅D2(図5(b)参照)、第2入光面22bを設ける範囲)である。
【0057】
インナーレンズ20を均一(概ね均一)に面発光させるための条件は、例えば、インナーレンズ20の形状、サイズ、反射面30の形状、サイズ、光源50の種類、サイズ、車両用灯具構成要素(例えば、インナーレンズ20、反射面30、光源50)の配置により変動する。そのため、インナーレンズ20を均一(概ね均一)に面発光させるための条件を具体的な数値等で表すのは困難である。
【0058】
しかしながら、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて、インナーレンズ20を均一(概ね均一)に面発光させるための条件のうち少なくとも1つを変更(調整)し、変更するごとに、インナーレンズ20の発光状態を確認することにより、インナーレンズ20を均一(概ね均一)に面発光させるための条件を見出すことができる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態によれば、インナーレンズ20の均一面発光及び奥行き方向(X方向)の薄型化を同時に実現することができる車両用灯具10を提供することができる。
【0060】
インナーレンズ20の均一面発光を実現できるのは、主に、反射面30で反射された光源50からの光RayB(相対的に明るい光)を、第1全反射面21a及び第2全反射面22c(複数)により周辺(明るさ(輝度)が弱い範囲)に分配することによるものである。具体的には、図2に示すように、反射面30で反射された光源50からの光RayB(相対的に明るい光)を、第1全反射面21aにより反光源50側かつ裏面22側に向けて全反射し、さらに、当該第1全反射面21aからの反射光RayB(相対的に明るい光)を、第2全反射面22c(複数)により表面21(明るさ(輝度)が弱い範囲)に向けて全反射することによるものである。
【0061】
奥行き方向(X方向)の薄型化を実現できるのは、上記式2を用いて反射面30の形状を算出したことによるものである。
【0062】
次に、変形例について説明する。
【0063】
上記実施形態では、上記式2を用いて反射面30の形状を算出することにより、奥行き方向(X方向)の薄型化を実現したが、これに限らない。すなわち、上記式2以外の式を用いて反射面30の形状を算出してもよいし、所定のシミュレーションソフトウエアを用いて、適宜反射面30の形状を変更(調整)してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、光源50として、LEDを用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、光源50として、指向特性(ランバーシアン)がLEDと同様の光源(例えば、バルブ光源)を用いてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、反射面30として、シボ加工が施された白色材料(例えば、白樹脂)製の反射面を用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、反射面30として、鏡面、塗装反射面を用いてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、第1全反射面21aとして、半円錐面(凹部)を用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、第1全反射面21aとして、楕円面や自由曲面を用いてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、本開示の車両用灯具を、車両信号用灯具に適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、本開示の車両用灯具を、車両用信号灯具以外の車両用灯具(例えば、前照灯、加飾灯)に適用してもよい。
【0068】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0069】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本開示は限定的に解釈されるものではない。本開示はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0070】
10、10A、10B…車両用灯具
20…インナーレンズ
21…表面
21a…第1全反射面
22…裏面
22a…第1入光面
22b…第2入光面
22c…第2全反射面
30…反射面
40…エクステンション
50…光源
50a…発光面
60…ブラケット
70…基板
120…インナーレンズ
130…反射面
A1…領域
AX…基準軸
AX50…光軸
B1、B2…光路長
図1
図2
図3
図4
図5
図6