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特開2024-21390信号処理装置、OCT装置、信号処理方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021390
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】信号処理装置、OCT装置、信号処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124184
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】501299406
【氏名又は名称】株式会社トーメーコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加茂 考史
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AA09
4C316AA26
4C316AB03
4C316AB11
4C316FB13
4C316FY01
4C316FZ02
(57)【要約】
【課題】FD-OCTにおいて、一度の測定で得られた信号から、従来よりも簡易に測定対象の複数の位置の信号を抽出することを目的とする。
【解決手段】単一の光源から出力され測定対象に向かう測定光路を辿る光と、前記光源から出力され前記測定光路と異なる参照光路を辿る光と、が干渉する複数の干渉光であって、干渉し合う光が辿る前記測定光路と前記参照光路との波長分散特性の差がそれぞれ異なる複数の前記干渉光を受光する単一の受光部から出力される出力信号を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記出力信号と、前記出力信号に波長分散補正処理が施された補正信号と、に基づいて、前記干渉光毎の信号である抽出信号を抽出する抽出部と、を備える。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の光源から出力され測定対象に向かう測定光路を辿る光と、前記光源から出力され前記測定光路と異なる参照光路を辿る光と、が干渉する複数の干渉光であって、干渉し合う光が辿る前記測定光路と前記参照光路との波長分散特性の差がそれぞれ異なる複数の前記干渉光を受光する単一の受光部から出力される出力信号を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記出力信号と、前記出力信号に波長分散補正処理が施された補正信号と、に基づいて、前記干渉光毎の信号である抽出信号を抽出する抽出部と、
を備える信号処理装置。
【請求項2】
複数の前記干渉光は、前記参照光路である複数の光路を辿る複数の光と、前記測定光路を辿る光と、が干渉する光である請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
複数の前記干渉光は、前記測定光路である複数の光路を辿る複数の光と、前記参照光路を辿る光と、が干渉する光である請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項4】
複数の前記干渉光は、それぞれ異なる前記測定光路を辿る光と、それぞれ異なる前記参照光路を辿る光と、が干渉する光である請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、複数の前記干渉光と、前記参照光路のうちの第1の光路を辿る光と前記参照光路のうちの前記第1の光路と異なる第2の光路を辿る光とが干渉する干渉参照光と、を受光する単一の前記受光部から出力される前記出力信号を取得し、
前記抽出部は、前記出力信号と、前記補正信号と、に基づいて、前記干渉参照光の信号を更に抽出し、
前記干渉参照光の信号に基づいて、前記第1の光路と前記第2の光路との差分を導出する導出部を更に備える請求項2に記載の信号処理装置。
【請求項6】
前記測定光路である複数の光路それぞれを辿る複数の光それぞれは、それぞれ異なる位置にフォーカスする請求項1、3、4の何れか1項に記載の信号処理装置。
【請求項7】
前記測定光路である複数の光路それぞれを辿る複数の光それぞれは、異なる光軸を通って前記測定対象に向かう請求項1、3、4の何れか1項に記載の信号処理装置。
【請求項8】
前記抽出部は、前記出力信号と前記補正信号とから最大のピーク信号を抽出し、前記出力信号と前記補正信号とから抽出した前記ピーク信号に応じた信号を除去する処理を繰り返し、前記干渉光毎の前記抽出信号として、前記出力信号から抽出された1つ以上の前記ピーク信号を結合した信号と、前記補正信号から抽出された1つ以上の前記ピーク信号を結合した信号と、を抽出する請求項1乃至5の何れか1項に記載の信号処理装置。
【請求項9】
前記抽出部により前記干渉光毎に抽出された前記抽出信号に基づいて前記干渉光毎に生成された複数の画像を、表示部に表示させる表示制御部を更に備える請求項1乃至5の何れか1項に記載の信号処理装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、複数の前記画像それぞれを、複数の前記画像それぞれの被写体の位置関係に応じた位置関係となるように前記表示部に表示させる請求項9に記載の信号処理装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、複数の前記画像に重複がある場合、重複部分について重複する前記画像を重ねて表示させる請求項10に記載の信号処理装置。
【請求項12】
前記抽出部により前記干渉光毎に抽出された前記抽出信号に基づいて前記干渉光毎に生成された複数の画像を、表示部に表示させる表示制御部を更に備え、
前記表示制御部は、前記第1の光路を辿る光を含む前記干渉光に対応する前記画像と、前記第2の光路を辿る光を含む前記干渉光に対応する前記画像と、を前記差分に応じた距離だけ離した位置関係となるように表示させ、複数の前記画像に重複がある場合には、重複部分について重複する前記画像を重ねて表示させる請求項5に記載の信号処理装置。
【請求項13】
光源と、
受光部と、
前記光源から出力される光が測定対象に向かい、前記測定対象から前記受光部へ向かう光路である測定光路と、前記測定光路と異なる光路であって、前記光源から出力される光が前記受光部へ向かう光路である参照光路を形成する光学系と、
制御部と、
を備え
前記制御部は、単一の前記光源から出力され前記測定光路を辿る光と、前記光源から出力され前記参照光路を辿る光と、が干渉する複数の干渉光であって、干渉し合う光が辿る前記測定光路と前記参照光路との波長分散特性の差がそれぞれ異なる複数の前記干渉光を受光する単一の前記受光部から出力される出力信号を取得し、前記出力信号と、前記出力信号に波長分散補正処理が施された補正信号と、に基づいて、前記干渉光毎の信号を抽出するOCT装置。
【請求項14】
信号処理装置が実行する信号処理方法であって、
単一の光源から出力され測定対象に向かう測定光路を辿る光と、前記光源から出力され前記測定光路と異なる参照光路を辿る光と、が干渉する複数の干渉光であって、干渉し合う光が辿る前記測定光路と前記参照光路との波長分散特性の差がそれぞれ異なる複数の前記干渉光を受光する単一の受光部から出力される出力信号を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された前記出力信号と、前記出力信号に波長分散補正処理が施された補正信号と、に基づいて、前記干渉光毎の信号である抽出信号を抽出する抽出ステップと、
を含む信号処理方法。
【請求項15】
コンピュータに、
単一の光源から出力され測定対象に向かう測定光路を辿る光と、前記光源から出力され前記測定光路と異なる参照光路を辿る光と、が干渉する複数の干渉光であって、干渉し合う光が辿る前記測定光路と前記参照光路との波長分散特性の差がそれぞれ異なる複数の前記干渉光を受光する単一の受光部から出力される出力信号を取得する取得ステップ、
前記取得ステップで取得された前記出力信号と、前記出力信号に波長分散補正処理が施された補正信号と、に基づいて、前記干渉光毎の信号である抽出信号を抽出する抽出ステップ、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理装置、OCT装置、信号処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
光の干渉性を利用し、測定対象の位置を計測する技術として、OCT(Optical Coherence Tomography)がある。OCTには、フーリエドメインFD-OCT(Fourier Domain-OCT)という方式がある。FD-OCTにおいて、一度の測定で得られた信号から、測定対象の複数の位置の信号を抽出する技術がある。特許文献1には、複数の深さ位置を撮像するためのOCTシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-514251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、参照光が辿る複数の光路それぞれの分散特性を、対応する測定光が辿る光路の分散特性に合わせるよう調整する必要があり、手間がかかった。
本発明は、このような課題にかんがみてなされたもので、FD-OCTにおいて、一度の測定で得られた信号から、従来よりも簡易に測定対象の複数の位置の信号を抽出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、信号処理装置は、単一の光源から出力され測定対象に向かう測定光路を辿る光と、前記光源から出力され前記測定光路と異なる参照光路を辿る光と、が干渉する複数の干渉光であって、干渉し合う光が辿る前記測定光路と前記参照光路との波長分散特性の差がそれぞれ異なる複数の前記干渉光を受光する単一の受光部から出力される出力信号を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記出力信号と、前記出力信号に波長分散補正処理が施された補正信号と、に基づいて、前記干渉光毎の信号である抽出信号を抽出する抽出部と、を備える。
【0006】
すなわち、信号処理装置において、波長分散の異なる複数の干渉光の信号である出力信号と、波長分散補正処理が施された補正信号と、から波長分散の補正により信号に生じる変化の特徴を利用して、干渉光毎の信号を抽出する。これにより、対応する測定光路と参照光路との波長分散特性を合わせる手間をかけずに、より簡易に、複数の位置を併せて測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係るFD-OCT装置の構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るFD-OCT装置の構成を示す図である。
図3】波長分散の補正を説明する図である。
図4】波長分散の補正を説明する図である。
図5】測定信号と補正信号との一例を示す図である。
図6】測定信号と補正信号との一例を示す図である。
図7】測定信号と補正信号との一例を示す図である。
図8】測定信号と補正信号との一例を示す図である。
図9】測定信号と補正信号との一例を示す図である。
図10】画像の表示態様の一例を説明する図である。
図11】抽出処理の一例を示すフローチャートである。
図12】本発明の一実施形態に係るFD-OCT装置の構成を示す図である。
図13】本発明の一実施形態に係るFD-OCT装置の構成を示す図である。
図14】本発明の一実施形態に係るFD-OCT装置の構成を示す図である。
図15】本発明の一実施形態に係るFD-OCT装置の構成を示す図である。
図16】本発明の一実施形態に係るFD-OCT装置の構成を示す図である。
図17】補正信号の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態の一例について説明する。
(1)第1の実施形態:
(1-1)FD-OCT装置の構成:
(1-2)抽出処理:
(2)第2の実施形態:
(3)第3の実施形態:
(4)第4の実施形態:
(5)他の実施形態:
【0009】
(1)FD-OCT装置の構成:
以下、本実施形態に係るFD-OCT装置1を説明する。FD-OCT装置1は、信号処理装置の一例である。本実施形態のFD-OCT装置1は、被験者の眼球(以下では、被検眼)の複数の位置を測定対象として、FD-OCT方式(本実施形態では、SD(Spectral-domain)-OCT方式)で測定対象の位置の測定を行う。本実施形態では、FD-OCT装置1は、被検眼の複数の位置(本実施形態では、角膜と網膜とするが、他の位置でもよい)を測定する。図1、2は、本実施形態のFD-OCT装置1の構成を模式的に示す図である。FD-OCT装置1は、制御部10、調整機構11、ミラー12(ミラー12a、ミラー12b)、アライメント機構13、光源14、受光部15、表示部16を備える。また、FD-OCT装置1は、光源14から出力される光の光路を形成する光学部材(分岐部30、伝達部41、42、43、44、ハーフミラー45、波長分散部材46、回折格子47)を備える。本実施形態では、FD-OCT装置1は、光源14から出力される光から、マイケルソン干渉計によって干渉光を生成する。
【0010】
制御部10は、プロセッサ、RAM、ROM等を備え、ROM等に記録されたプログラムを実行することで、FD-OCT装置1を制御する。調整機構11は、光路に沿って直線方向にミラー12a、12bを移動可能な機構である。本実施形態では、調整機構11は、ミラー12a、12bを移動させるボールネジ機構であるとするが、スライダクランク機構、カム等の動力伝達機構等の他の機構であってもよい。ミラー12a、12bは、それぞれ入射された光を反射する。制御部10は、調整機構11を介して、ミラー12a、12bの位置を調整する。アライメント機構13は、FD-OCT装置1と測定対象との位置関係の調整に用いられる機構である。制御部10は、FD-OCTによる測定対象の測定の前に、アライメント機構13を介して、被験者の被検眼の角膜頂点の位置を検出し、検出した角膜頂点の位置とFD-OCT装置1とが既定の位置関係となるようにFD-OCT装置1の位置を調整する。光源14は、制御部10からの指示に応じて、既定の波長帯域の光を出力する。受光部15は、直線状に並べられた複数の受光素子である。
【0011】
分岐部30は、光源14から出力された光から、参照用の光路を辿る参照光と、測定対象に照射される測定光と、を分岐する光学部材であり、例えば、フィルタカプラ等である。以下では、参照光の光路を参照光路とする。また、以下では、測定光の光路を、測定光路とする。伝達部41は、本実施形態では光源14からの光を分岐部30に伝達する光ファイバである。また、伝達部42は、分岐部30から分岐された参照光の光路の形成に用いられる光ファイバである。分岐部30によって分岐された参照光は、伝達部42を通り、ハーフミラー45に向かう。ハーフミラー45は、到達した参照光から、波長分散部材46を通りミラー12aに向かう光と、ミラー12bに向かう光と、を分岐する。以下では、ミラー12aに向かう参照光の光路を、参照光路Aとする。また、以下では、ミラー12bに向かう参照光の光路を、参照光路Bとする。また、以下では参照光路A、Bを辿る参照光を、それぞれ参照光A、Bとする。参照光路A、Bは、それぞれ第1の光路、第2の光路の一例である。波長分散部材46は、分散媒質やパルスストレッチャー等である。このように、本実施形態では、波長分散特性の異なる複数(2つ)の参照光路が構成される。本実施形態では、参照光路Aの方が参照光路Bよりも光路長が長い。すなわち、参照光Aは、参照光Bよりも、測定対象の奥方向の位置の測定に用いられる。ここで奥方向とは、測定対象に入射する際の測定光の進行方向である。また、奥方向の逆方向を手前方向とする。本実施形態では、制御部10は、調整機構11を介してミラー12a、12bを移動させることで、参照光路A、Bの光路長を調整する。ここで、光路長とは、対応する媒体中の光路を光が通過する期間において、光が真空中を通過する距離の長さである。例えば、屈折率が1.2の媒体中の長さ1mの光路の光路長は、この媒体の屈折率1.2×媒体中の長さ1m=1.2mとなる。波長分散部材46を通りミラー12aで反射された参照光は、波長分散部材46及びハーフミラー45を通過し、伝達部42を辿り、分岐部30へ向かう。ミラー12bで反射された参照光は、ハーフミラー45に向かい、ハーフミラー45で向きを変えられ、伝達部42を辿り、分岐部30へ向かう。また、伝達部43は、分岐部30によって分岐された測定光が測定対象に向けて進行する光路の形成に用いられる光ファイバである。測定対象に向かった測定光の一部は、測定対象の角膜に向かい、そこで一部が反射・散乱され、来た方向に返っていく。また、測定対象に向かった測定光の一部は、測定対象の網膜に向かい、そこで一部が反射・散乱され、来た方向に返っていく。以下では、網膜に向かう測定光の光路を、測定光路Aとする。また、以下では、測定光路Aを辿る測定光を、測定光Aとする。また、以下では、角膜に向かう測定光の光路を測定光路Bとする。また、以下では、測定光路Bを辿る測定光を、測定光Bとする。本実施形態では、測定光路A、Bは、被検眼に入射するまでは、一致している。そのため、測定光A、Bは、同じ光軸に沿って被検眼に到達する。測定対象から返ってきた測定光A、Bは、伝達部43を通り、分岐部30に向かう。図2の測定光路におけるゼロ点A、Bは、それぞれ参照光路A、Bのゼロ点である。ゼロ点とは、測定光路上の位置であって、測定光がその位置で逆方向に反射して戻ってきた場合における測定光の光路長が参照光路の光路長と同じになる位置である。ゼロ点Bは、測定対象である被検眼の角膜よりも手前(被検眼から見て前側)になるように調整されている。
【0012】
分岐部30において、参照光Aと測定光Aとの干渉光、参照光Bと測定光Bとの干渉光、及び、参照光Aと参照光Bとの干渉光が生成される。以下では、参照光Aと測定光Aとの干渉光を、干渉光Aとする。また、以下では、参照光Bと測定光Bとの干渉光を、干渉光Bとする。本実施形態では、波長分散部材46が存在するため干渉光Aと干渉光Bとは、対応する測定光路及び参照光路の波長分散特性の差がそれぞれ異なる。すなわち、干渉光Aに対応する参照光路Aと測定光路Aとの波長分散特性の差と、干渉光Bに対応する参照光路Bと測定光路Bとの波長分散特性の差と、は異なっている。また、以下では、参照光Aと参照光Bとの干渉光を、干渉光Cとする。干渉光Cは、干渉参照光の一例である。伝達部44は、分岐部30で生成された各干渉光を含む光の光路を形成する光ファイバである。分岐部30で生成された各干渉光を含む光は、伝達部44を通り、回折格子47に向かう。回折格子47は、到達した光を分散する。そして、分散された光は、回折格子47と受光部15との間に配置された図示しないレンズに到達する。このレンズは、回折格子47で分散された光を、波長成分(波数成分)毎に受光部15の各受光素子に集光する。すなわち、受光部15の各受光素子には、波数の異なる光が受光される。
【0013】
伝達部44を進行する光は、回折格子47で分散されることで、波長成分(波数成分)毎に分かれて受光部15上に集光する。これにより、制御部10は、受光部15の複数の受光素子を介して、受光された光の波長成分(波数成分)毎の強度に応じた信号電流を検出できる。ただし、受光部15の複数の受光素子が受光する光の波数は、等間隔とならない。そこで、制御部10は、検出した信号電流に基づいて、補間処理を行うことで、等間隔の複数の波数値に対応する信号電流を求める。以下では、この等間隔の複数の波数値に対応する信号電流を、測定電流信号とする。制御部10は、測定電流信号を離散フーリエ変換することで、波数-電流空間(以下ではK空間)の信号から、周波数-信号強度空間(以下ではZ空間)の信号に変換する。以下では、ここで変換された信号を、測定信号とする。
【0014】
ここで、従来のFD-OCTで得られる信号について説明する。従来、FD-OCTでは、ゼロ点に対して対称な光路長差を持つサンプルからの信号を区別できなかった。すなわち、ゼロ点よりも奥(被検眼から見て後ろ側)に既定の距離のサンプルから返ってきた測定光と参照光との干渉光は、ゼロ点よりも手前(被検眼から見て前側)に既定の距離のサンプルから返ってきた測定光と参照光との干渉光と、見分けがつかない。この場合、受光部を介して得られた波数に対する電流信号を離散フーリエ変換すると、周波数の正側と負側とに左右対称の信号が得られる。図3Aの破線のグラフに従来のFD-OCTで得られる信号の一例を示す。図3Aでは、周波数の正側と負側とにそれぞれ左右対称に、サンプルに対応するピークが立っていることが分かる。このように、本来の信号と正負が逆の周波数帯に現れる信号をミラー信号とする。このような場合、例えば、ゼロ点をサンプルよりも明らかに手前側又は奥側に調整し、サンプルが存在しない方向の信号を無視することでサンプルの測定が行われる。そのため、ゼロ点の手前側と奥側との一方しか測定できない。
【0015】
そこで、正の周波数の信号と、負の周波数の信号と、を区別することで、正負両側(フルレンジで)の信号(ゼロ点の奥側及び手前側の信号)を取得するフルレンジOCTという技術がある。フルレンジOCTでは、ゼロ点を挟んだ両側を一度に測定できる。フルレンジOCTには、DEFR(Dispersion Encoded Full Range)という手法がある。例えば、図2の波長分散部材46のように波長分散部材を設ける等することで、参照光と測定光との波長分散特性を異ならせることができる。この場合、参照光と測定光との波長分散の差の影響で、参照光と測定光との干渉光が受光部に受光されて得られるZ空間における信号がブロードになる。すなわち、信号のピークの幅が広がり、且つ、信号強度が低下する。図3Aの実線のグラフは、波長分散部材を設けた場合の信号を示す。参照光と測定光との波長分散特性を異ならせることで、信号がブロードになっていることが分かる。
【0016】
ここで、受光部を介して得られた測定電流信号に対して、波長分散の影響を補正する処理を施すことで、離散フーリエ変換後のZ空間において、サンプルに対応するピークの部分がシャープになり(幅が狭く、信号強度が強くなり)、他のピークの部分がブロードになる。より詳細に説明する。
【0017】
OCTの干渉計において、干渉する測定光と参照光とが受光素子により受光される場合に受光素子から出力される信号電流を補間した測定電流信号Iは、以下の式1で表される。
【0018】
【数1】
【0019】
式1の上にバーが記載されたusample(以下では、u sampleと記載する)、ureference(以下では、u referenceと記載する)は、干渉する2つの光それぞれのエネルギーである。ηは、受光部の量子効率(入射する光子のうち信号としての電子に変換されるものの割合)である。hは、プランク定数である。qは、素電荷である。λは、光の波長である。kは、光の波数(波長λの逆数)である。Δzは、干渉する2つの光(測定光、参照光)の光路長の差である。式1の第3項には、光の干渉による影響が表れている。
ここで、参照光路上に波長分散部材が配置されているとすると、Δzは、以下の式2で表される。
【0020】
【数2】
【0021】
式2で、zsampleは、測定光路の光路長である。zreferenceは、参照光路の光路長である。zzero-dispersionは、参照光路における近似的に波長分散特性を持たないとみなせる光路の光路長(波長分散部材の部分を除く部分の光路長)である。Lは、測定光路に設けられた光路における波長分散部材の長さである。n(k)は、波長分散部材における波数kの光の屈折率である。
測定電流信号Iの位相φは、式1の第3項のcosの引数より、波数kの関数として、以下の式3で表される。
【0022】
【数3】
【0023】
また、式3のn(k)を、既定の波数kを基準に波数kについてテーラー展開すると、以下の式4のようになる。
【0024】
【数4】
【0025】
式4を式3に代入すると、以下の式5が得られる。
【0026】
【数5】
【0027】
式5におけるφは、以下の式6で表される。
【0028】
【数6】
【0029】
また、式5におけるΔzは、以下の式7で表される。
【0030】
【数7】
【0031】
式5の位相φの成分のうち、第1項(φ)と第2項(Δz(k-k))とは、kに比例する成分と定数とである。そのため、位相φが第1項と第2項とのみを成分にするならば、測定電流信号Iは、波数kの関数として正弦波の形状となり、測定電流信号Iを離散フーリエ変換しても、ピークの信号が乱れることはない。対して、式5の位相φの第3項は、参照光路と測定光路との分散特性の差の影響を示す。この第3項が存在することで、測定電流信号Iは、正弦波ではなくなる。この結果、測定電流信号Iを離散フーリエ変換した場合、ピークの信号がブロードになる。
【0032】
式5のφが求まれば、求まったφを多項式Σj=0(a(k-k)で近似することで、式5の近似式が求まる。そして、この多項式から、0次項と1次項との成分を引き算することで、式5の第3項の情報は求まる。ここで、aは、j次項の係数を示す。また、式5のφを、多項式Σj=0(a(k-k)で近似し、2次項以降の成分を、式5の第3項の情報としてみなしてもよい。
式5の第3項を、波長分散の大きさを示す無次元の値φdispersionとおく。φdispersionは、以下の式8で表される。
【0033】
【数8】
【0034】
測定電流信号Iは、φdispersionを用いて以下の式9で表される。式9の第1項、第2項は、定数項である。第3項は、サンプルに到達し、サンプルから返ってきた測定光と参照光との干渉信号を示す。第4項は、第3項の複素共役成分(ミラー信号)を示し、第3項と正負が逆の周波数帯の信号となる。
【0035】
【数9】
【0036】
測定電流信号Iにexp(-iφdispersion)をかけることで、波長分散の影響を補正できる。Iにexp(-iφdispersion)をかけると、以下の式10のようになる。
【0037】
【数10】
【0038】
式10の第1項、第2項は、測定光、参照光に起因する定数項であるため、離散フーリエ変換後の信号では無視される。式10の第3項を見ると、式9の第3項にはあったφdispersionがなくなっていることが分かる。すなわち、第3項においては、波長分散の影響が補正されていることが分かる。対して、式10の第4項では、φdispersionが式9の第4項に比べて2倍になっており、波長分散の影響が大きくなっていることが分かる。
【0039】
exp(-iφdispersion)をかけたIを離散フーリエ変換すると、Z空間において、式10の第3項に係る信号と、第3項に係る信号と正負が逆の周波数帯に第4項に係る信号と、が生じる。第3項に係る信号は、波長分散の影響が低減され、シャープになる。第3項に係る信号は、波長分散の影響が増大し、ブロードになる。すなわち、サンプルからの測定光に係る干渉光の信号についてはシャープとなり、ミラー信号についてはブロードとなる。このような特徴を用いて、Z空間において、サンプルの信号と、左右対称に表れるミラー信号と、を区別できる。図3Bに、図3Aの実線のグラフで表される信号に波長分散の補正が行われた場合の信号を示す。図3Aに比べて、正の周波数側のピークがシャープになっており、負の周波数側のピークがブロードになっていることが分かる。このことから、正の周波数側の信号がサンプルに対応する信号であり、負の周波数側の信号がミラー信号であることが分かる。このようにして、本物の信号と、ミラー信号と、を区別することで、フルレンジOCTが実現される。なお、本実施形態では、FD-OCT装置1は、干渉光Aを用いた測定において、フルレンジの測定(ゼロ点Aを挟んで両側の測定)を行う。
【0040】
測定電流信号Iに光路における波長分散特性の差の影響がない場合、exp(-iφdispersion)をかける波長分散の補正を行うと、離散フーリエ変換後の信号は、周波数の正側、負側ともにブロードになる。
波長分散特性が同じ光路を辿る光同士の干渉光の測定電流信号Iは、以下の式11で表される。
【0041】
【数11】
【0042】
この測定電流信号に、exp(-iφdispersion)をかける波長分散の補正を行うと、以下の式12のようになる。
【0043】
【数12】
【0044】
式12の第3項、第4項を見ると、式11の第3項、第4項に比べてφdispersionの影響が生じていることが分かる。このため、波長分散特性が同じ光路を辿る光同士の干渉光の測定電流信号Iに、波長分散の補正を行うとZ空間における信号は、ブロードになる。図4AのグラフにFD-OCTで波長分散の影響がない干渉光により得られる信号の一例を示す。正側及び負側の双方の周波数帯でともに信号がシャープであることが分かる。また、図4Bに、図4Aの信号に波長分散の影響φdispersionの補正がなされた信号を示す。正側及び負側の双方の周波数帯で信号がブロードになっていることが分かる。
【0045】
本実施形態では、制御部10は、このような特徴を用いて、測定信号から、各干渉光に係る信号を抽出する。以下では、FD-OCT装置1の機能及び処理の詳細を説明する。
【0046】
制御部10は、ROMに記憶された信号処理プログラム100を実行することで、取得部101、抽出部102、導出部103、表示制御部104として機能する。そのため、以下では、各機能構成要素を主語とする処理は、実際には制御部10が行う処理となる。
【0047】
取得部101は、単一の光源14から出力され測定光路を辿る測定光と、光源14から出力され参照光路を辿る参照光と、が干渉する複数の干渉光であって、干渉し合う光が辿る測定光路と参照光路との波長分散特性の差がそれぞれ異なる複数の干渉光を受光する単一の受光部15から出力される出力信号を取得する。以下では、取得部101の処理の詳細を説明する。
【0048】
取得部101は、アライメント機構13を介して、既定の位置に存在する被験者の被検眼の角膜頂点の位置を検出し、検出した角膜頂点の位置とFD-OCT装置1とが既定の位置関係となるようにFD-OCT装置1の位置を調整する。取得部101は、光源14に光を出力させる。光源14から光が出力されたことに応じて、受光部15は、干渉光A~Cを含む光を波数成分毎に受光する。取得部101は、干渉光A~Cを含む光を受光した受光部15の各受光素子から出力される信号電流を取得する。そして、制御部10は、検出した信号電流に基づいて、補間処理を行うことで、等間隔の複数の波数値に対応する信号電流を、測定電流信号として求める。制御部10は、測定電流信号を離散フーリエ変換することで、測定信号を取得する。受光部15から出力され、加工がされた測定電流信号、測定信号は、出力信号の一例である。
【0049】
また、取得部101は、本実施形態では、以下の処理も行う。取得部101は、ハーフミラー45を除き、且つ、測定対象の代わりに入射する光を逆方向に反射するためのミラーを配置した状態(参照光B、干渉光B、干渉光Cが存在しない状態)で、干渉光A(参照光Aとミラーから返ってきた測定光との干渉光)が受光された受光部15から出力される信号電流を補間した測定電流信号を離散フーリエ変換した信号を取得する。取得部101は、離散フーリエ変換後の信号のうち、負の周波数帯の信号の値を全て0に置換する。取得部101は、置換後の信号を逆フーリエ変換することで、K空間の複素数の信号を取得する。取得部101は、kの値それぞれについて、虚数成分を、実数成分で除した値のアークタンジェントを求めることで、この測定電流信号の位相φを求める。取得部101は、求めたφを多項式Σj=0(a(k-k)で近似する。取得部101は、近似した多項式から第1項、第2項を削除することで、波長分散部材46により参照光路Aと測定光路Aとの間に生じる波長分散の差(波長分散部材46による影響)の大きさを示す値φdispersionの近似値を求める。ただし、取得部101は、近似した多項式の第3項~第m(3以上の自然数)項を足し合わせて、φdispersionの近似値を求めてもよい。
【0050】
また、φdispersionは、他の方法で求められてもよい。例えば、取得部101は、ハーフミラー45を除き、且つ、測定対象の代わりに入射する光を逆方向に反射するためのミラーを配置した状態(参照光B、干渉光Bが存在しない状態)で干渉光Aが受光された受光部15から出力される信号電流を補間した測定電流信号を取得する。また、取得部101は、φdispersionを既定の初期値にして、この測定電流信号にexp(-iφdispersion)をかけて波長分散を補正し、補正後の測定電流信号を離散フーリエ変換した信号を取得する。次に、取得部101は、φdispersionの値を変動させ、同様の処理を行い、離散フーリエ変換後の信号(Z空間の信号)を取得する。取得部101は、これを繰り返し、φdispersionの値それぞれについてZ空間の信号を取得する。φdispersionの値を変えつつ補正した信号の中で最も波長分散が補正された信号は、最も信号強度が強くなる。そこで、取得部101は、この信号の中で、最も高い(信号強度の強い)ピークが存在する信号を特定し、特定した信号に対応するφdispersionの値を、φdispersionの決定値としてもよい。
【0051】
取得部101は、求めたφdispersionを用いて、測定信号に波長分散の影響を補正する波長分散補正処理が施された補正信号を取得する。より具体的には、取得部101は、測定電流信号にexp(-iφdispersion)をかけ合わせて、波長分散の影響が補正された補正電流信号を取得する。そして、取得部101は、取得した補正電流信号を離散フーリエ変換した信号を、測定信号に波長分散補正処理が施された補正信号として取得する。
【0052】
抽出部102は、取得部101により取得された測定信号と、補正信号と、に基づいて、干渉光A~C毎の信号である抽出信号を抽出する。以下では、抽出部102の処理の詳細を説明する。本実施形態では、ゼロ点Bは、角膜よりも手前に位置する。そのため、測定信号における負側の周波数帯の信号は、正側の周波数帯の信号のミラー信号である。そこで、本実施形態では、抽出部102は、測定信号の負側の周波数帯の信号は無視して、正側の周波数帯の信号と補正信号とから各干渉光の信号を抽出する。
【0053】
抽出部102は、測定信号と補正信号とから信号強度が最も大きい信号を、最大のピークの信号であるピーク信号として抽出する。ピーク信号は、抽出信号の一例である。図5に測定信号と補正信号との一例を示す。図5の例では、信号p1が最も信号強度が大きい信号である。
【0054】
波長分散の補正処理(測定電流信号にexp(-iφdispersion)をかける処理)により、波長分散の影響が補正された信号は、元の信号よりも幅が狭く、強度が強くなる。波長分散の補正処理により補正されなかった信号については、φdispersionの影響が大きくなり、元の信号よりもブロード(幅が広く、強度が弱く)になる。そのため、信号強度が最も大きい信号が補正信号内に存在する場合、この信号は、波長分散部材46による波長分散が補正された信号(すなわち、元々、波長分散部材46による影響を受けた干渉光A、干渉光Cに係る信号)である。また、信号強度が最も大きい信号が測定信号内に存在する場合、この信号は、元々、波長分散部材46による影響を受けていない干渉光Bに係る信号である。
【0055】
抽出部102は、抽出したピーク信号が補正信号に含まれる場合、干渉光A、Cに係る信号として、RAMに記憶する。
ここで、ピーク信号のZ空間での座標値を、(周波数fr、信号強度str、位相θ)とおくと、ピーク信号はstr×F[exp(i fr・k+i θ)]で表される。ここで、Fは、離散フーリエ変換を表す演算子である。F演算子の計算は、F[(f(x)]=Σy=0 N-1f(x)exp(-2πixy/N)と定義される。
【0056】
抽出部102は、ピーク信号が補正信号に含まれる場合、ピーク信号に基づいて、補正信号におけるピーク信号のミラー信号を求める。以下では、補正信号におけるピーク信号のミラー信号を、ミラーピーク信号とする。より具体的には、抽出部102は、ピーク信号(str×F[exp(i fr・k)+i θ])を、(F[exp(2i φdispersion)]/N)でコンボリューションする。ここで、Nは、離散フーリエ変換のデータ数を示す。すなわち、抽出部102は、str×F[exp(i fr・k+i θ)])*(F[exp(2i φdispersion)]/N)を求める。ここで、*は、コンボリューションを表す演算子である。関数f(x)を関数g(x)でコンボリューションすることは、以下のように定義される。すなわち、f(x)*g(x)=Σy=0 N-1(f(y)×g(x-y))と定義される。そして、抽出部102は、コンボリューション結果における従属変数kの符号を反転させた値を求める。抽出部102は、求めた値の複素共役の信号を、ミラーピーク信号として取得する。
【0057】
また、抽出部102は、ピーク信号が補正信号に含まれる場合、ピーク信号に基づいて、測定信号におけるピーク信号に対応する信号(波長分散の影響の補正前のピーク信号)を求める。以下では、測定信号におけるピーク信号に対応する信号を、補正前ピーク信号とする。より具体的には、抽出部102は、図5のP1のようにピーク信号が正側の周波数帯に存在する場合、ピーク信号を(F[exp(i φdispersion)]/N)でコンボリューションすることで、補正前ピーク信号を取得する。また、抽出部102は、ピーク信号が負側の周波数帯に存在する場合、ピーク信号(str×F[exp(i fr・k+i θ)])を(F[exp(i φdispersion)]/N)でコンボリューションする。そして、抽出部102は、コンボリューション結果における従属変数kの符号を反転させた値を求め、求めた値の複素共役を求めることで、補正前ピーク信号を取得する。
そして、抽出部102は、測定信号から補正前ピーク信号を削除する。また、抽出部102は、補正信号からピーク信号及びミラーピーク信号を削除する。図6に、図5の例においてピーク信号P1、補正前ピーク信号、ミラーピーク信号が削除された例を示す。図6の破線の信号は、削除された信号を示す。これにより、測定信号、補正信号からピーク信号に対応する信号が削除される。
【0058】
また、抽出部102は、抽出したピーク信号が測定信号に含まれる場合、干渉光Bに係る信号として、RAMに記憶する。測定信号及び補正信号が図6の実線の信号である場合、抽出部102は、信号p2をピーク信号として抽出する。
抽出部102は、ピーク信号が測定信号に含まれる場合、ピーク信号に基づいて、補正信号におけるピーク信号に対応する信号(波長分散部材46による波長分散の影響の補正が行われたピーク信号)と、その信号のミラー信号と、を求める。以下では、補正信号におけるピーク信号に対応する信号を、補正後ピーク信号とする。より具体的には、抽出部102は、ピーク信号を、(F[exp(-i φdispersion)]/N)でコンボリューションすることで、補正後ピーク信号を取得する。また、抽出部102は、ピーク信号を(F[exp(i φdispersion)]/N)でコンボリューションし、コンボリューション結果における従属変数kの符号を反転させた値を求める。抽出部102は、求めた値の複素共役を求めることで、補正後ピーク信号のミラー信号を取得する。
そして、抽出部102は、測定信号からピーク信号を削除する。図7に、図6の例において、測定信号及び補正信号から信号p2に対応する信号が削除された様子を示す。図7の破線の信号は、削除された信号を示す。また、抽出部102は、補正信号から補正後ピーク信号及び補正後ピーク信号のミラー信号を削除する。これにより、測定信号、補正信号からピーク信号に対応する信号が削除される。
【0059】
抽出部102は、以上の処理(測定信号と補正信号とからピーク信号を抽出、記憶し、測定信号と補正信号とからピーク信号に対応する信号を削除する処理)を、測定信号と補正信号とに既定の閾値以上の信号強度の信号がなくなるまで繰り返す。図8に、図5の例において、既定の閾値以上の信号強度の信号がなくなるまでこの処理が繰り返された際の測定信号と補正信号とを示す。
【0060】
抽出部102は、抽出したピーク信号に対応する信号が削除された補正信号と、RAMに記憶した干渉光A、Cに係るピーク信号と、を結合する。このようにして、抽出部102は、干渉光A、Cを用いて測定された信号を抽出する。また、抽出部102は、抽出したピーク信号に対応する信号が削除された測定信号と、RAMに記憶した干渉光Bに係るピーク信号と、を結合する。これにより、抽出部102は、干渉光Bを用いて測定された信号を抽出する。図9に、図5の例において抽出された干渉光A、Cに係る信号と、干渉光Bに係る信号と、を示す。
このようにして、抽出部102は、測定信号から、干渉光それぞれに係る信号を抽出する。
【0061】
本実施形態では、抽出部102は、干渉光毎に抽出した信号から、公知の方法で、測定対象の画像を生成する。より具体的には、抽出部102は、干渉光A、Cを用いて測定された信号を用いて、干渉光Aを用いて測定される網膜近傍の画像(A画像)を生成する。また、抽出部102は、干渉光Bを用いて測定された信号を用いて、干渉光Bを用いて測定される角膜近傍の画像(B画像)を生成する。
【0062】
導出部103は、抽出部102により抽出される抽出信号のうち、参照光路Aを辿る参照光Aと、参照光路Bを辿る参照光Bと、の干渉光である干渉光Cに対応する抽出信号に基づいて、参照光路Aと参照光路Bとの差分を導出する。以下で、導出部103の処理の詳細を説明する。抽出部102により抽出された干渉光A、Cに係る信号には、干渉光Cに係る信号が含まれる。この信号は、Z空間において、ゼロ点Aとゼロ点Bとの距離に対応する周波数のピークとして現れる。本実施形態では、ゼロ点Aから見てゼロ点Bが存在しうる範囲が予め定められている。導出部103は、抽出部102により抽出された干渉光A、Cに係る信号において、この範囲に対応する周波数帯に含まれるピークを、干渉光Cに係る信号として特定する。導出部103は、特定した信号の周波数から、ゼロ点Aとゼロ点Bとの距離(参照光路Aと参照光路Bとの差分)を導出する。このようにして、導出部103は、ゼロ点間の距離を求めることができる。
【0063】
表示制御部104は、抽出部102により抽出された抽出信号に基づいて干渉光毎に生成された複数の画像を、表示部16に表示させる。表示制御部104の処理の詳細を説明する。
【0064】
表示制御部104は、抽出部102により生成された複数の画像それぞれを、被写体の位置関係に応じた位置関係となるように表示部16に表示させる。すなわち、表示制御部104は、B画像内の角膜とA画像内の網膜とが画像内の縮尺で実際の角膜と網膜との位置関係と同じになるように、B画像とA画像とを表示する。より具体的には、表示制御部104は、B画像におけるゼロ点Bの位置と、A画像におけるゼロ点Aの位置と、を特定する。また、表示制御部104は、導出部103により導出された参照光路Aと参照光路Bとの差(ゼロ点Aとゼロ点Bとの距離)に基づいて、A画像におけるゼロ点Bの位置を特定する。表示制御部104は、B画像におけるゼロ点Bの位置と、A画像におけるゼロ点Bの位置と、が重なるように、B画像とA画像とを表示する。また、表示制御部104は、B画像とA画像とが一部重複している場合、重複部分についてB画像とA画像とを重ねて表示する。より具体的には、表示制御部104は、重複部分について、B画像とA画像とを50%ずつ合成した画像を表示する。ただし、表示制御部104は、重複部分について、B画像とA画像との何れかを表示してもよい。図10に、重ねて表示されるB画像とA画像との一例を示す。これにより、表示制御部104は、実際の位置関係と同じ位置関係で複数の測定対象の画像をユーザに提示できる。また、表示制御部104は、A画像とB画像とを重複部分について重ねて表示することで、A画像とB画像とを一体としてユーザに提示できる。
【0065】
なお、表示制御部104は、B画像とA画像とにおけるゼロ点Bの位置を特定しなくてもよい。例えば、表示制御部104は、A画像及びB画像から、同じオブジェクト(例えば、水晶体)を検出し、検出したオブジェクトを重ね合わせるようにB画像とA画像とを表示してもよい。
【0066】
ただし、表示制御部104は、他の表示態様で、B画像とA画像とを表示させてもよい。例えば、表示制御部104は、角膜から見た網膜の方向と、B画像内の角膜から見たA画像の網膜の方向と、が同じになるようにすれば、B画像とA画像とを他の表示態様で表示してもよい。例えば表示制御部104は、B画像とA画像とを重ならないように表示してもよい。
【0067】
以上、本実施形態の構成により、FD-OCT装置1は、対応する測定光路と参照光路との波長分散特性の差が異なる干渉光A、Bに係る信号である測定信号を取得し、取得した測定信号に干渉光Aについての波長分散の補正処理を施し補正信号を取得する。そして、FD-OCT装置1は、波長分散の補正処理に応じた信号の変化の特徴を利用して、測定信号と、補正信号と、から、干渉光Aを用いて測定される被検眼の網膜の信号と、干渉光Bを用いて測定される被検眼の角膜の信号と、を抽出する。このように、FD-OCT装置1は、測定光路と参照光路との波長分散特性を同じにする手間をかけることなく、従来よりも簡易に複数の位置の信号を抽出できる。
【0068】
(1-2)抽出処理:
図11を用いて、本実施形態のFD-OCT装置1が実行する眼軸長測定処理を説明する。制御部10は、被験者の被検眼が既定の位置に配置された後で、指定されたタイミングで、図11の処理を開始する。
【0069】
ステップS100において、取得部101は、アライメント機構13を介して、既定の位置に存在する被験者の被検眼の角膜頂点の位置を検出し、検出した角膜頂点の位置とFD-OCT装置1とが既定の位置関係となるようにFD-OCT装置1の位置を調整する。取得部101は、ステップS100の処理の完了後に、処理をステップS105に進める。
【0070】
ステップS105において、取得部101は、光源14から光を出力させ、受光部15から出力される信号電流を波数kについて補間することで、測定電流信号を取得する。取得部101は、ステップS105の処理の完了後に、処理をステップS110に進める。
【0071】
ステップS110において、取得部101は、参照光路Aと測定光路との波長分散特性の差の大きさφdispersionを取得する。そして、ステップS105で取得された測定電流信号にexp(-i φdispersion)をかけて波長分散を補正し、補正した信号を離散フーリエ変換することで、補正信号を取得する。取得部101は、ステップS110の処理の完了後に、処理をステップS115に進める。ステップS105~ステップS110の処理は、取得ステップの一例である。
【0072】
ステップS115において、抽出部102は、以下の処理を行う。ステップS105で取得された測定信号と、ステップS110で取得された補正信号と、から最大のピークをピーク信号として抽出する。抽出部102は、ピーク信号が補正信号に含まれる場合、ピーク信号を、干渉光A、Cに係る信号としてRAMに記憶する。そして、抽出部102は、ピーク信号に基づいて、ミラーピーク信号、補正前ピーク信号を求める。抽出部102は、補正信号からピーク信号及び、ミラー信号を削除し、測定信号から補正前ピーク信号を削除する。また、抽出部102は、ピーク信号が測定信号に含まれる場合、ピーク信号を、干渉光Bに係る信号としてRAMに記憶する。そして、抽出部102は、ピーク信号に基づいて、補正後ピーク信号、補正後ピーク信号のミラー信号を求める。抽出部102は、補正信号から補正後ピーク信号及び、補正後ピーク信号のミラー信号を削除し、測定信号からピーク信号を削除する。抽出部102は、以上の処理を、測定信号及び補正信号から既定の閾値以上の信号強度の信号がなくなるまで繰り返す。
【0073】
抽出部102は、ピーク信号、補正前ピーク信号が削除された測定信号に、RAMに記憶した干渉光Bに係るピーク信号を結合させることで、干渉光Bに係る信号を抽出する。また、抽出部102は、ピーク信号、ミラーピーク信号、補正後ピーク信号、補正後ピーク信号のミラー信号が削除された補正信号に、RAMに記憶した干渉光A、Cに係るピーク信号を結合させることで、干渉光A、Cに係る信号を抽出する。抽出部102は、抽出した干渉光Bに係る信号に基づいて、角膜近傍の画像を生成する。また、抽出部102は、抽出した干渉光A、Cに係る信号に基づいて、網膜近傍の画像を生成する。抽出部102は、ステップS115の処理の完了後に、処理をステップS120に進める。ステップS115の処理は、抽出ステップの一例である。
【0074】
ステップS120において、導出部103は、ステップS115で抽出された干渉光Cに係る信号に基づいて、ゼロ点Aとゼロ点Bとの距離を導出する。導出部103は、ステップS120の処理の完了後に、処理をステップS125に進める。
ステップS125において、表示制御部104は、ステップS115で生成された角膜近傍の画像におけるゼロ点Bの位置を特定する。また、表示制御部104は、ステップS120で導出された距離に基づいて、ステップS115で生成された網膜近傍の画像におけるゼロ点Bの位置を特定する。そして、表示制御部104は、画像内のゼロ点Bの位置を合わせるように、角膜近傍の画像と網膜近傍の画像とを表示部16に表示させる。
【0075】
(2)第2の実施形態:
第1の実施形態では、波長分散特性の異なる複数の参照光路が設けられる場合について説明した。本実施形態では、波長分散特性の異なる複数の測定光路が設けられる場合について説明する。
図12に、本実施形態のFD-OCT装置1の構成を示す。図12において、図2と同様の符号のものは、図2と同様のものである。本実施形態のFD-OCT装置1の構成のうち、第1の実施形態と異なる点を説明する。
本実施形態では、FD-OCT装置1は、ミラー12b、ハーフミラー45、波長分散部材46を備えず、参照光路は1つとなる。また、FD-OCT装置1は、波長分散特性の異なる複数の測定光路を形成するための光学系(偏光ビームスプリッター48、51、ミラー49、50、波長分散部材52、レンズ53a、53b)を備える。
【0076】
本実施形態のFD-OCT装置1において、測定光が辿る測定光路を説明する。分岐部30で分岐された測定光は、偏光ビームスプリッター48に向かう。偏光ビームスプリッター48において、測定光は、ミラー49に向かう光と、ミラー50に向かう光と、に分岐される。本実施形態では、ミラー50に向かう光は、被検眼の網膜の測定に用いられる測定光である。以下では、被検眼の網膜の測定に用いられる測定光を、測定光Aとする。また、測定光Aの辿る光路を、測定光路Aとする。また、ミラー49に向かう光は、被検眼の角膜の測定に用いられる測定光である。以下では、被検眼の角膜の測定に用いられる測定光を、測定光Bとする。また、測定光Bの辿る光路を、測定光路Bとする。
【0077】
偏光ビームスプリッター48で分岐されミラー50に到達した測定光Aは、ミラー50で反射され、波長分散部材52、レンズ53aを通過し、偏光ビームスプリッター51に向かう。レンズ53aは、測定光Aを用いて測定される測定対象の位置の近傍でフォーカスする(焦点を結ぶ)レンズである。ただし、本実施形態では、測定光Aを用いて測定される対象は網膜であり、測定光Aは被検眼の角膜・水晶体により網膜の近傍で集光されることが考えられる。そのため、レンズ53aを設けないこととしてもよい。そして、測定光Aは、偏光ビームスプリッター51を通過し、測定対象である被検眼の網膜に向かう。測定光Aは、網膜で反射・散乱し、一部が入射方向と逆方向に返っていく。測定光Aは、偏光ビームスプリッター51、レンズ53a、波長分散部材52、ミラー50、偏光ビームスプリッター48を経由して、分岐部30に戻る。
【0078】
偏光ビームスプリッター48で分岐された測定光Bは、レンズ53bを通過して、ミラー49に向かう。レンズ53bは、レンズ53aと異なる位置である、測定光Bを用いて測定される角膜近傍でフォーカスするレンズである。このように、測定光路において、測定対象近傍にフォーカスするレンズを設けることで、FD-OCT装置1は、より精度のよい測定ができる。測定光Bは、ミラー49で反射され、偏光ビームスプリッター51に向かい、偏光ビームスプリッター51で向きを変えられ、被検眼の角膜で反射・散乱され、一部が入射方向と逆方向に返っていく。測定光Bは、偏光ビームスプリッター51、ミラー49、レンズ53b、偏光ビームスプリッター48を経由して、分岐部30に戻る。
【0079】
分岐部30において、測定光Aと参照光(ミラー12aに向かい、ミラー12aから戻ってきた光)との干渉光(以下では、干渉光A)と、測定光Bと参照光との干渉光(以下では、干渉光B)と、が生成される。生成された干渉光A、Bは、伝達部44、回折格子47を経由して、波数成分毎に受光部15に受光される。干渉光Aは、波長分散部材52の影響により波長分散が生じている。干渉光Bには、波長分散部材52の影響がない。
【0080】
本実施形態のFD-OCT装置1の処理を説明する。
本実施形態の取得部101の処理は、第1の実施形態と同様である。すなわち、取得部101は、干渉光A~Cを受光した受光部15から出力される信号電流を波数kについて補間し、測定電流信号を取得する。そして、取得部101は、取得した測定電流信号を離散フーリエ変換し、測定信号を取得する。
【0081】
また、取得部101は、干渉光Aにおける波長分散部材52の影響による波長分散の大きさφdispersionを求める。取得部101は、第1の実施形態と同様の方法で、φdispersionを求める。すなわち、取得部101は、レンズ53bを遮光した状態(測定光B、干渉光Bが存在しない状態)で干渉光Aが受光された受光部15から出力される信号電流を補間した測定電流信号に基づいて、φdispersionの近似値を求める。
【0082】
取得部101は、求めたφdispersionを用いて、第1の実施形態と同様の方法で、測定信号に波長分散の影響を補正する波長分散補正処理が施された補正信号を取得する。
【0083】
抽出部102は、取得部101により取得された測定信号と、補正信号と、に基づいて、干渉光A、B毎の抽出信号を抽出する。本実施形態では、測定光路Bにおけるゼロ点Bは、角膜よりも手前側に位置する。そのため、測定信号の負側の周波数帯の信号は、正側の信号のミラー信号である。そこで、本実施形態では、抽出部102は、測定信号の負側の周波数帯の信号を無視して、測定信号の正側の周波数帯の信号と、補正信号と、から各干渉光の抽出信号を抽出する。
【0084】
抽出部102は、第1の実施形態と同様の処理を行うことで、測定信号と補正信号とから、干渉光Aに係る信号と、干渉光Bに係る信号と、を抽出する。すなわち、抽出部102は、測定信号と補正信号とから信号強度が最も大きい信号を、最大のピークの信号であるピーク信号として抽出する。
抽出部102は、抽出したピーク信号が補正信号に含まれる場合、干渉光Aに係る信号として、ピーク信号をRAMに記憶する。また、抽出部102は、ピーク信号に基づいて、ミラーピーク信号と補正前ピーク信号とを取得する。
そして、抽出部102は、測定信号から補正前ピーク信号を削除する。また、抽出部102は、補正信号からピーク信号及びミラーピーク信号を削除する。これにより、測定信号、補正信号からピーク信号に対応する信号が削除される。
【0085】
また、抽出部102は、抽出したピーク信号が測定信号に含まれる場合、干渉光Bに係る信号として、RAMに記憶する。また、抽出部102は、ピーク信号に基づいて、補正後ピーク信号と補正後ピーク信号のミラー信号とを取得する。
そして、抽出部102は、測定信号からピーク信号を削除する。また、抽出部102は、補正信号から補正後ピーク信号及び補正後ピーク信号のミラー信号を削除する。これにより、測定信号、補正信号からピーク信号に対応する信号が削除される。
【0086】
抽出部102は、以上の処理を、測定信号と補正信号とに既定の閾値以上の信号強度の信号がなくなるまで繰り返す。
【0087】
抽出部102は、抽出したピーク信号に対応する信号が削除された補正信号と、RAMに記憶した干渉光Aに係るピーク信号と、を結合する。これにより、抽出部102は、干渉光Aを用いて測定された信号を抽出する。また、抽出部102は、抽出したピーク信号に対応する信号が削除された測定信号に、RAMに記憶した干渉光Bに係るピーク信号を結合する。これにより、抽出部102は、干渉光Bを用いて測定された信号を抽出する。
このようにして、抽出部102は、測定信号から、干渉光それぞれに係る信号を抽出する。
【0088】
本実施形態では、抽出部102は、干渉光毎に抽出した信号から、公知の方法で、測定対象の画像を生成する。より具体的には、抽出部102は、干渉光Aを用いて測定された信号を用いて、干渉光Aを用いて測定される網膜近傍の画像(A画像)を生成する。また、抽出部102は、干渉光Bを用いて測定された信号を用いて、干渉光Bを用いて測定される角膜近傍の画像(B画像)を生成する。
【0089】
表示制御部104の処理は、第1の実施形態と同じである。
【0090】
以上、本実施形態の構成により、FD-OCT装置1は、測定光路が複数存在する場合でも、従来よりも簡易に複数の位置を併せて測定できる。
【0091】
また、測定光Aと測定光Bとが別々の測定対象に向かうよう、測定光路Aと測定光路Bとが構成されてもよい。例えば、図13に示すように、測定光Aが測定光Bと異なる光軸を通り、測定光Bの測定対象と異なる測定対象に向かうこととしてもよい。また、図14に示すように、測定光Aと測定光Bとが同じ測定対象の異なる位置に異なる光軸を通り向かうよう、測定光路Aと測定光路Bとが構成されてもよい。これにより、FD-OCT装置1は、異なる光軸上に存在する複数の位置を併せて測定できる。
【0092】
(3)第3の実施形態:
本実施形態では、測定対象の測定に用いられる各干渉光が、それぞれ異なる測定光路を辿る測定光と、それぞれ異なる参照光路を辿る参照光と、の干渉光である場合について説明する。すなわち、測定に用いられる干渉光毎に、異なる参照光路と、異なる測定光路と、が存在する場合について説明する。
図15に、本実施形態のFD-OCT装置1の構成を示す。図2と同じ記号のものは、図2と同様である。本実施形態のFD-OCT装置1は、参照光路A及び測定光路Aを形成するための伝達部及び分岐部を、参照光路B及び測定光路Bを形成するための伝達部及び分岐部と別に備える点で、第1の実施形態と異なる。
【0093】
本実施形態では、FD-OCT装置1は、図2の伝達部41~44及び分岐部30に相当する組を2つ(伝達部41a~44a及び分岐部30a、伝達部41b~44b及び分岐部30b)備える。伝達部41a~44a及び分岐部30aは、ミラー12aに向かう参照光(参照光A)が辿る参照光路(参照光路A)と測定光(測定光A)が辿る測定光路(測定光路A)との形成に用いられる。伝達部41b~44b及び分岐部30bは、ミラー12bに向かう参照光(参照光B)が辿る参照光路(参照光路B)と測定光(測定光B)が辿る測定光路(測定光路B)との形成に用いられる。
【0094】
伝達部43aから出力される測定光Aは、偏光ビームスプリッター54を通り、測定対象に向かい、測定対象から、偏光ビームスプリッター54を通り伝達部43aへ返ってくる。分岐部30aにおいて、返ってきた測定光Aと参照光Aとが合成され、干渉光Aが生成される。干渉光Aは、伝達部44a、偏光ビームスプリッター56、回折格子47を通り、受光部15へ向かう。また、伝達部43bから出力される測定光Aは、ミラー55、偏光ビームスプリッター54を通り、測定対象に向かい、測定対象から、偏光ビームスプリッター54、ミラー55を通り伝達部43bへ返ってくる。分岐部30bにおいて、返ってきた測定光Bと参照光Bとが合成され、干渉光Bが生成される。干渉光Bは、伝達部44b、偏光ビームスプリッター56、回折格子47を通り、受光部15へ向かう。
本実施形態のFD-OCT装置1の処理は、第1の実施形態と同様である。
【0095】
以上、本実施形態の構成により、FD-OCT装置1は、測定に用いられる干渉光毎に、異なる参照光路と、異なる測定光路と、が存在する場合でも、従来よりも簡易に複数の位置を併せて測定できる。
【0096】
(4)第4の実施形態:
第1の実施形態では、測定される位置は、2つであった。本実施形態では、測定される位置が3つ以上である場合を説明する。
本実施形態のFD-OCT装置1の構成を図16に示す。図2と同様の符号のものは、図2と同様である。本実施形態のFD-OCT装置1の構成について、第1の実施形態との違いを説明する。本実施形態のFD-OCT装置1は、X(3以上の整数)個の参照光路を形成するためのハーフミラーとミラーとの組をX個備える。本実施形態では、n組目の参照光路(以下では、参照光路(n))を形成するためのハーフミラーとミラーとを、ハーフミラー45(n)とミラー12(n)と表現する。また、2以上のnについて、ハーフミラー45(n)とミラー12(n)との間にそれぞれ波長分散特性の異なる波長分散部材46(n)が配置されている。
【0097】
伝達部42から出力された参照光(n)は、ハーフミラー(1)~(n)、及び、波長分散部材46(n)を通り、ミラー12(n)に到達し、反射され、波長分散部材46(n)及び、ハーフミラー(n)~(1)、伝達部42を通り、分岐部30に到達する。
【0098】
分岐部30では、参照光(1)~(X)それぞれと、測定光と、の干渉光が生成される。以下では、参照光(n)と測定光との干渉光を干渉光(n)とする。干渉光(1)~(X)を含む光は、受光部15に向かい、受光される。本実施形態では、波長分散部材46(2)~(X)の影響により、干渉光(1)~(X)は、干渉し合う参照光及び測定光が辿る参照光路及び測定光路の波長分散特性の差がそれぞれ異なる。すなわち、干渉光(n)に含まれる参照光及び測定光が辿る参照光路及び測定光路との波長分散特性の差は、干渉光(m)(m≠n)に含まれる参照光及び測定光が辿る参照光路及び測定光路との波長分散特性の差と異なる。
【0099】
本実施形態のFD-OCT装置1の処理を説明する。
取得部101は、受光部15から出力される信号電流を波数kについて補間して測定電流信号を取得する。そして、取得部101は、取得した測定電流信号を離散フーリエ変換することで、測定信号を取得する。取得部101は、求めたφを多項式Σj=0(aj(k-k0)j)で近似する。取得部101は、近似した多項式から第1項、第2項を削除することで、波長分散部材46により参照光路Aと測定光路Aとの間に生じる波長分散の差(波長分散部材46による影響)の大きさを示す値φdispersion の近似値を求める。ただし、取得部101は、近似した多項式の第3項~第m(3以上の自然数)項を 足し合わせて、φdispersionの近似値を求めてもよい。
【0100】
取得部101は、干渉光(2)~(X)それぞれにおける波長分散部材46(2)~46(X)それぞれの影響による波長分散の大きさφdispersion_2~φdispersion_Xを求める。取得部101は、第1の実施形態と同様の方法で、φdispersion_n(n:1~Xそれぞれ)を求める。すなわち、取得部101は、参照光(n)以外の参照光が存在しない状態(例えば、ハーフミラー45(1)~45(X)のうちハーフミラー45(n)以外を除いた状態)で干渉光(n)が受光された受光部15から出力される信号電流を補間した測定電流信号を離散フーリエ変換した信号を取得する。取得部101は、離散フーリエ変換の信号のうち、負の周波数帯の信号の値を全て0に置換する。取得部101は、置換後の信号を逆フーリエ変換することで、K空間の複素数の信号を取得する。取得部101は、kの値それぞれについて、虚数成分を実数成分で除した値のアークタンジェントを求めることで、この測定電流信号の位相φを求める。取得部101は、求めたφを多項式Σj=0(a(k-k)で近似する。取得部101は、近似した多項式から第1項、第2項を削除することで、波長分散部材52により参照光路と測定光路Aとの間に生じる波長分散の差(波長分散部材46(n)による影響)の大きさを示す値φdispersion_nの近似値を求める。ただし、取得部101は、近似した多項式の第3項~第m(3以上の自然数)項を足し合わせて、φdispersion_nの近似値を求めてもよい。また、取得部101は、干渉光(1)における波長分散の大きさφdispersion_1を取得する。本実施形態では、参照光路(1)には、波長分散部材が配置されていないため、取得部101は、干渉光(1)に波長分散の大きさφdispersion_1を0とする。
【0101】
また、φdispersion_nは、他の方法で求められてもよい。例えば、取得部101は、参照光(n)以外の参照光が存在しない状態で、干渉光(n)を含む光が受光された受光部15から出力される信号電流を補間した測定電流信号を取得する。また、取得部101は、φdispersion_nを既定の初期値にして、この測定電流信号にexp(-iφdispersion_n)をかけて波長分散を補正し、補正後の測定電流信号を離散フーリエ変換した信号を取得する。次に、取得部101は、φdispersion_nの値を変動させ、同様の処理を行い、離散フーリエ変換後の信号(Z空間の信号)を取得する。取得部101は、これを繰り返し、φdispersion_nの値それぞれについてZ空間の信号を取得する。φdispersion_nの値を変えつつ補正した信号の中で最も波長分散が補正された信号は、最も信号強度が強くなる。そこで、取得部101は、この信号の中で、最も高い(信号強度の強い)ピークが存在する信号を特定し、特定した信号に対応するφdispersion_nの値を、φdispersion_nの決定値としてもよい。
また、取得部101は、干渉光(1)における波長分散の大きさφdispersion_1を0として取得する。本実施形態では、参照光路(1)には、波長分散部材が配置されていないため、干渉光(1)における波長分散の大きさφdispersion_1を0とする。
【0102】
取得部101は、φdispersion_1~φdispersion_Xのφdispersion_nそれぞれについて、測定電流信号にexp(-i φdispersion_n)をかけて波長分散を補正し、離散フーリエ変換することで、干渉光(n)における波長分散が補正された補正信号(n)を取得する。また、以下では、取得部101は、測定信号を、補正信号(1)として扱う。本実施形態では、測定光路における参照光路(1)のゼロ点は、測定対象よりも手前にくるよう調整されている。そのため、補正信号(1)の負の周波数帯の信号は無視される。
【0103】
抽出部102は、補正信号(1)~(n)から信号強度が最も大きい信号を、最大のピークの信号であるピーク信号として抽出する。図17に、測定信号と、補正信号と、の一例を示す。図17の例では、信号pnが最も信号強度が大きい信号である。
【0104】
抽出部102は、抽出したピーク信号が補正信号(n)に含まれる場合、干渉光(n)(又は、参照光(n)と参照光(1)との干渉光)に係る信号として、RAMに記憶する。
抽出部102は、ピーク信号が補正信号(n)に含まれる場合、ピーク信号に基づいて、補正信号(n)におけるピーク信号のミラー信号(ミラーピーク信号)を求める。より具体的には、抽出部102は、ピーク信号(str×F[exp(i fr・k+i θ)])を、(F[exp(2i φdispersion_n)]/N)でコンボリューションする。そして、抽出部102は、コンボリューション結果における従属変数kの符号を反転させた値を求める。抽出部102は、求めた値の複素共役の信号を、ミラーピーク信号として取得する。
【0105】
また、抽出部102は、ピーク信号が補正信号(n)に含まれる場合、ピーク信号に基づいて、他の補正信号におけるピーク信号に対応する信号を求める。より具体的には、抽出部102は、以下のようにして、補正信号(m)(m≠n)におけるピーク信号に対応する信号と、この信号のミラー信号と、を求める。以下では、補正信号(m)におけるピーク信号に対応する信号を、対応信号(m)とする。すなわち、抽出部102は、ピーク信号を、(F[exp(iφdispersion_n-iφdispersion_m)]/N)でコンボリューションすることで、対応信号(m)を取得する。また、抽出部102は、ピーク信号を、(F[exp(iφdispersion_niφdispersion_m)]/N)でコンボリューションする。そして、抽出部102は、コンボリューション結果における従属変数kの符号を反転させ、複素共役をとることで、対応信号(m)のミラー信号を取得する。ただし、m=1の場合、抽出部102は、対応信号(m)と、対応信号(m)のミラー信号と、のうち負の周波数帯に存在する信号については、取得しなくてもよい。図17に、補正信号(n)に存在するピーク信号pnの対応信号(m)と、対応信号(m)のミラー信号と、を破線で示す。
【0106】
抽出部102は、補正信号(n)からピーク信号と、ミラーピーク信号と、を削除する。また、抽出部102は、他の補正信号(m)それぞれから対応信号(m)と、対応信号(m)のミラー信号と、を削除する。ただし、m=1の場合、抽出部102は、対応信号(m)と、対応信号(m)のミラー信号と、のうち正の周波数帯に存在する信号について削除する。
【0107】
抽出部102は、以上の処理(補正信号(1)~(X)からピーク信号を抽出、記憶し、補正信号(1)~(X)からピーク信号に対応する信号を削除する処理)を、補正信号(1)~(X)から既定の閾値以上の信号強度の信号がなくなるまで繰り返す。
【0108】
抽出部102は、補正信号それぞれについて、抽出したピーク信号に対応する信号が削除された補正信号(n)と、RAMに記憶した干渉光(n)(又は、参照光(1)と参照光(n)との干渉光)に係るピーク信号と、を結合する。これにより、抽出部102は、干渉光(n)を用いて測定された信号を抽出する。
このようにして、抽出部102は、測定信号から、干渉光それぞれに係る信号を抽出する。
【0109】
本実施形態では、抽出部102は、干渉光毎に抽出した信号から、公知の方法で、測定対象の画像を生成する。
【0110】
本実施形態の導出部103は、第1の実施形態と同様の方法で、抽出部102により抽出された干渉光(n)を用いて測定された信号に基づいて、参照光路(1)と参照光路(n)との差(測定光路における参照光路(1)のゼロ点と、参照光路(n)のゼロ点との距離)を求める。
【0111】
本実施形態の表示制御部104は、第1の実施形態と同様に、抽出部102により生成された画像を、被写体の位置関係に応じた位置関係で表示部16に表示させる。
【0112】
以上、本実施形態の構成により、FD-OCT装置1は、干渉光毎にそれぞれ異なるφdispersion_nを利用して、干渉光それぞれに係る信号を抽出でき、3つ以上の異なる位置を併せて測定できる。
【0113】
本実施形態では、3つ以上の参照光路について、波長分散特性を異ならせることで、干渉光(1)~(X)それぞれについて、対応する参照光路及び測定光路の波長分散特性の差を異ならせるとした。ただし、測定光路を3つ以上構成し、測定光路それぞれについて、波長分散特性を異ならせることで、干渉光(1)~(X)それぞれについて、対応する参照光路及び測定光路の波長分散特性の差を異ならせるとしてもよい。
【0114】
(5)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。従って、上述の実施形態の少なくとも一部の構成が省略、置換、された構成であってもよい。また、上述の実施形態が適宜組み合わされた構成であってもよい。また、取得部101、抽出部102、導出部103、表示制御部104の機能の少なくとも一部が、FD-OCT装置1と別の信号処理装置(例えば、FD-OCT装置1に組み込まれたコンピュータ、FD-OCT装置1に接続されたコンピュータ等)に実装されてもよい。
【0115】
上述の各実施形態では、測定光路と参照光路とのうち波長分散特性を異ならせない方の光路については、波長分散部材を設けず、波長分散を生じさせないとした。ただし、測定光路と参照光路とのうち波長分散特性を異ならせない方の光路についても、各光路に同じ波長分散部材を設けるなどして波長分散(以下では、この波長分散の大きさをφとする)を生じさせてもよい。この場合、FD-OCT装置1は、測定信号について、正の周波数帯、負の周波数帯の何れかを無視しなくてもよい。抽出部102は、抽出した干渉光B(第4の実施形態では、干渉光(1))に係る信号について、φの波長分散を補正し、補正前後の信号に基づいてDEFRと同じ方法でミラー信号を除くことで、干渉光B(干渉光(1))についてもフルレンジでの測定ができる。
【0116】
また、上述の実施形態2では、測定光路それぞれに対応する測定対象の位置の近傍にフォーカスするレンズを設けることした。ただし、何れの実施形態の場合でも、測定光路の少なくとも一部に測定対象の位置の近傍にフォーカスするレンズを設けてもよい。
【0117】
また、上述の各実施形態では、測定光路と参照光路とのうち波長分散特性を異ならせる方の光路の1つについては、波長分散部材を設けず、波長分散を生じさせないとした。ただし、この光路にも波長分散部材を設ける等して波長分散(以下では、この波長分散の大きさをφdisとする)を生じさせてもよい。この場合、FD-OCT装置1は、測定信号について、正の周波数帯、負の周波数帯の何れかを無視しなくてもよい。抽出部102により抽出される干渉光B(第4の実施形態では、干渉光(1))に係る信号について、φdisの波長分散を補正し、補正前後の信号に基づいてDEFRと同じ方法でミラー信号を除くことで、干渉光B(干渉光(1))についてもフルレンジでの測定ができる。
【0118】
また、上述の各実施形態では、参照光路と測定光路との何れか1つに波長分散部材を設けることで、測定に係る複数の干渉光それぞれについて、対応する参照光路及び測定光路の波長分散特性の差を異ならせるとした。ただし、測定に係る複数の干渉光それぞれについて、対応する参照光路及び測定光路の波長分散特性の差を異ならせることができれば、他の態様を採用してもよい。例えば、参照光路と測定光路との双方に波長分散部材を設けてもよい。
【0119】
また、上述の実施形態では、FD-OCT装置1は、SD-OCT方式で測定を行うとした。ただし、FD-OCT装置1は、SS(Swept source)-OCT方式等の他のFD-OCT方式で測定を行う装置であってもよい。
【0120】
また、上述の実施形態では、測定対象は、被検眼の角膜、及び、網膜であるとした。ただし、測定対象は、被検眼の他の部位(角膜における角膜頂点と異なる部位、虹彩、結膜等)等の他の位置でもよい。
また、上述の実施形態では、FD-OCT装置1は、干渉光を生成する干渉計として、マイケルソン干渉計を構成するとした。ただし、FD-OCT装置1は、バランスドマイケルソン干渉計、マッハツェンダー干渉計等の他の干渉計を構成してもよい。
【0121】
さらに、本発明は、プログラムや方法としても適用可能である。例えば、以上のような装置で実現される方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、プログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様である。
【符号の説明】
【0122】
1…FD-OCT装置、10…制御部、11…調整機構、12…ミラー、13…アライメント機構、14…光源、15…受光部、16…表示部、100…信号処理プログラム、101…取得部、102…抽出部、103…導出部、104…表示制御部、30…分岐部、41…伝達部、42……伝達部、43…伝達部、44……伝達部、45…ハーフミラー、46…波長分散部材、47…回折格子、48…偏光ビームスプリッター、49…ミラー、50…ミラー、51…偏光ビームスプリッター、52…波長分散部材、53…レンズ、54…偏光ビームスプリッター、55…ミラー、56…偏光ビームスプリッター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17