(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021395
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】残圧排気エア回路及び残圧排気弁
(51)【国際特許分類】
F15B 20/00 20060101AFI20240208BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
F15B20/00 E
F16K37/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124192
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】野口 和宏
【テーマコード(参考)】
3H065
3H082
【Fターム(参考)】
3H065AA04
3H065BA02
3H065BA07
3H065CA01
3H082AA20
3H082AA22
3H082CC03
3H082DA11
3H082DA18
3H082DA24
3H082DA40
3H082DA41
3H082DA48
3H082DE05
(57)【要約】
【課題】流路を切り換える2つの電磁弁の誤作動を1つの圧力センサによって検出すると同時に、エア機器の残圧を電磁弁を通じて迅速且つ確実に排気することができるようにする。
【解決手段】残圧排気エア回路1は、エア源2からのエアをエアシリンダ100に供給する主流路9と、エアシリンダ100のエアを排気する排気流路10と、電磁弁12,13の誤作動を検出する第1センサ8と、該第1センサ8に前記エア源2からのエアを供給する検出流路11と、主流路9、排気流路10及び検出流路11の連通状態を切り換える2つの電磁弁12,13とを有し、2つの電磁弁12,13は、オフ時の第1位置12a,13aとオン時の第2位置12b,13bとを有する2位置弁からなっていて、同期的にオン・オフ制御され、2つの電磁弁12,13が同期して動作しない場合、エア源2からのエアを第1センサ8に供給して2つの電磁弁12,13の誤作動を検出すると同時に、エアシリンダ100のエアを電磁弁12,13を通じて排気する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エア源からのエアをエアシリンダに供給する主流路と、前記エアシリンダのエアを排気する排気流路と、前記エア源からのエアを第1センサに供給する検出流路と、前記主流路、排気流路及び検出流路の連通状態を切り換える2つの電磁弁と、前記2つの電磁弁の誤作動をエアの作用により検出する前記第1センサとを有し、
前記2つの電磁弁は、オフ時の第1位置とオン時の第2位置とを有する2位置弁であって、同期的にオン・オフ制御され、
前記2つの電磁弁が共に前記第1位置にあるときは、前記主流路が遮断されて前記エアシリンダへのエアの供給が停止されると共に、前記エアシリンダ及び検出流路が前記排気流路に接続されることにより該エアシリンダ及び検出流路が排気状態にされ、
前記2つの電磁弁が共に前記第2位置にあるときは、前記主流路が導通状態になってエア源からのエアが該主流路を通じて前記エアシリンダに供給されると共に、前記排気流路及び前記検出流路が遮断されることにより前記排気流路によるエアシリンダのエアの排気及び前記検出流路による前記第1センサへのエアの供給が停止され、
前記2つの電磁弁の一方が第1位置にあって他方が第2位置にあるときは、前記主流路が遮断されて前記エアシリンダへのエアの供給が停止されると共に、前記排気流路が前記エアシリンダに接続されることにより該排気流路を通じて前記エアシリンダのエアの排気が行われ、且つ、前記検出流路がエア源に接続されて該エア源からのエアが前記第1センサに供給されることにより該第1センサで前記2つの電磁弁の誤作動が検出される、
ように構成されていることを特徴とする残圧排気エア回路。
【請求項2】
前記主流路にソフトスタートバルブが接続され、
前記ソフトスタートバルブは、エアで操作される切換弁と、エアの流量を制限する絞り弁とを並列に接続することにり構成されていて、前記2つの電磁弁が共にオンになって前記主流路を通じてエア源と前記エアシリンダとが接続されたとき、前記絞り弁を通じて前記エアシリンダに制限流量のエアを供給することにより該エアシリンダをソフトスタートさせ、前記主流路のエアの一部が前記切換弁にフィードバックされると該切換弁が切り換わり、前記エア源からのエアを自由流れ状態で前記エアシリンダに供給するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の残圧排気エア回路。
【請求項3】
前記2つの電磁弁の一方は、前記主流路の前記入力ポート寄りの位置に接続された第1電磁弁であり、他方は、前記主流路の前記出力ポート寄りの位置に接続された第2電磁弁であり、
前記排気流路は、前記第1電磁弁の故障時に、前記第2電磁弁を通じて前記エアシリンダのエアを排気し、前記第2電磁弁の故障時に、該第2電磁弁を経由して前記第1電磁弁を通じて前記エアシリンダのエアを排気する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の残圧排気エア回路。
【請求項4】
前記主流路に、前記エアシリンダに供給されるエアの圧力を検出する第2センサとエアの圧力を表示するエアゲージとが接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の残圧排気エア回路。
【請求項5】
ハウジングに、エア源に接続される入力ポートと、エアシリンダに接続される出力ポートと、外部に開放する排気ポートとを設けると共に、前記入力ポートと出力ポートとを結ぶ主流路と、前記出力ポートと排気ポートとを結ぶ排気流路と、前記入力ポートと第1センサとを結ぶ検出流路と、前記主流路、排気流路及び検出流路の連通状態を切り換える2つの電磁弁と、前記検出流路を通じて供給されるエアの作用により前記2つの電磁弁の誤作動を検出する前記第1センサと、前記エアシリンダをソフトスタートさせるためのソフトスタートバルブとを設けることにより構成され、
前記2つの電磁弁は、オフ時の第1位置とオン時の第2位置とを有する2位置弁であって、同期的にオン・オフ制御され、
前記2つの電磁弁が共に前記第1位置にあるときは、前記主流路が遮断されて前記エアシリンダへのエアの供給が停止されると共に、前記エアシリンダ及び検出流路が前記排気流路に接続されることにより該エアシリンダ及び検出流路が排気状態にされ、
前記2つの電磁弁が共に前記第2位置にあるときは、前記主流路が導通状態になってエア源からのエアが該主流路を通じて前記エアシリンダに供給されると共に、前記排気流路及び前記検出流路が遮断されることにより前記排気流路によるエアシリンダのエアの排気及び前記検出流路による前記第1センサへのエアの供給が停止され、
前記2つの電磁弁の一方が第1位置にあって他方が第2位置にあるときは、前記主流路が遮断されて前記エアシリンダへのエアの供給が停止されると共に、前記排気流路が前記エアシリンダに接続されることにより該排気流路を通じて前記エアシリンダのエアの排気が行われ、且つ、前記検出流路がエア源に接続されて該エア源からのエアが前記第1センサに供給されることにより該第1センサで前記2つの電磁弁の誤作動が検出される、
ように構成されていることを特徴とする残圧排気弁。
【請求項6】
前記ハウジングに、前記出力ポートから前記エアシリンダに供給されるエアの圧力を検出する第2センサとエアの圧力を表示するエアゲージとが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の残圧排気弁。
【請求項7】
前記ハウジングは、前後方向に細長い直方体状をしていて、該ハウジングの内部に、該ハウジングの前後方向に並行して延びる第1軸線及び第2軸線に沿って3つの弁孔が形成され、前記第1軸線に沿って形成された第1弁孔の内部に、前記第1電磁弁の第1スプールが摺動自在に収容され、前記第2軸線に沿って形成された第2弁孔及び第3弁孔のうち、ハウジングの後方側に位置する第2弁孔の内部に、前記第2電磁弁の第2スプールが摺動自在に収容され、ハウジングの前方側に位置する第3弁孔の内部に、前記ソフトスタートバルブの第3スプールが摺動自在に収容されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の残圧排気弁。
【請求項8】
前記ハウジングは、中央の本体ブロックと、該本体ブロックの後端部に取り付けられた後部カバーと、前端部に取り付けられた前部プレート及び前部カバーとを有し、
前記本体ブロックに、前記入力ポート及び出力ポートと、前記第1スプール、第2スプール及び第3スプールが設けられると共に、前記エアゲージが設けられ、
前記後部カバーに前記排気ポートが設けられ、
前記前部プレートに、前記第1電磁弁の第1パイロット弁と、前記第2電磁弁の第2パイロット弁とが取り付けられると共に、前記第1センサと第2センサとが取り付けられ、
前記前部カバーは、前記第1パイロット弁、第2パイロット弁、第1センサ及び第2センサを覆うと共に、該前部カバーに、給電用及び信号用の電気配線を接続するためのコネクタが設けられている、
ことを特徴とする請求項6を引用する請求項7に記載の残圧排気弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアシリンダ等のエア機器を制御するエア回路の電磁弁が誤作動して前記エア機器が停止した場合等に、該電磁弁の誤作動を検出すると同時に前記エア機器の残圧を排気することができる残圧排気エア回路及び残圧排気弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エアシリンダ等のエア機器を制御するエア回路の電磁弁が誤作動して前記エア機器が停止した場合に、前記電磁弁の誤作動を検出して前記エア機器の残圧を排気するようにしたエア回路は、
図14に示すように公知である。この公知のエア回路は、エア源70とエア機器71とを結ぶエアライン72中に、リミットスイッチ76付きの2つの3ポート電磁弁73,74を接続することにより構成され、前記エア機器の動作中に一方の電磁弁73又は74が故障して正常に作動しなくなった場合に、その故障をリミットスイッチ76により検出して他方の電磁弁74又は73をオフにすることにより、エア機器中の残圧を排気して安全性を確保するようにしたものである。
【0003】
しかしながら、前記公知のエア回路は、2つの電磁弁73,74の故障をそれぞれに取り付けたリミットスイッチ76で機械的に検出し、その検出信号を比較することにより、シーケンサ等の制御装置75で他方の電磁弁をオフにするなどの制御を行うものであるため、リミットスイッチ付きの電磁弁を使用する必要があると同時に、前記シーケンサ及びその制御プログラムも必要であり、設備コストがかかる上に、安全機能とシーケンサプログラムとに精通した技術者を確保しなければならないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、リミットスイッチ付きの電磁弁を使用することなく、2つの電磁弁の誤作動を1つの圧力センサによって検出することができると共に、エア機器の残圧を電磁弁を通じて迅速且つ確実に排気することができる残圧排気エア回路及び残圧排気弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明によれば、エア源からのエアをエアシリンダに供給する主流路と、前記エアシリンダのエアを排気する排気流路と、前記エア源からのエアを第1センサに供給する検出流路と、前記主流路、排気流路及び検出流路の連通状態を切り換える2つの電磁弁と、前記2つの電磁弁の誤作動をエアの作用により検出する前記第1センサとを有する残圧排気エア回路が提供される。
前記残圧排気エア回路において、前記2つの電磁弁は、オフ時の第1位置とオン時の第2位置とを有する2位置弁であって、同期的にオン・オフ制御され、前記2つの電磁弁が共に前記第1位置にあるときは、前記主流路が遮断されて前記エアシリンダへのエアの供給が停止されると共に、前記エアシリンダ及び検出流路が前記排気流路に接続されることにより該エアシリンダ及び検出流路が排気状態にされ、前記2つの電磁弁が共に前記第2位置にあるときは、前記主流路が導通状態になってエア源からのエアが該主流路を通じて前記エアシリンダに供給されると共に、前記排気流路及び前記検出流路が遮断されることにより前記排気流路によるエアシリンダのエアの排気及び前記検出流路による前記第1センサへのエアの供給が停止され、前記2つの電磁弁の一方が第1位置にあって他方が第2位置にあるときは、前記主流路が遮断されて前記エアシリンダへのエアの供給が停止されると共に、前記排気流路が前記エアシリンダに接続されることにより該排気流路を通じて前記エアシリンダのエアの排気が行われ、且つ、前記検出流路がエア源に接続されて該エア源からのエアが前記第1センサに供給されることにより該第1センサで前記2つの電磁弁の誤作動が検出されるように構成されている。
【0006】
本発明においては、前記主流路にソフトスタートバルブが接続され、該ソフトスタートバルブは、エアで操作される切換弁と、エアの流量を制限する絞り弁とを並列に接続することにり構成されていて、前記2つの電磁弁が共にオンになって前記主流路を通じてエア源と前記エアシリンダとが接続されたとき、前記絞り弁を通じて前記エアシリンダに制限流量のエアを供給することにより該エアシリンダをソフトスタートさせ、前記主流路のエアの一部が前記切換弁にフィードバックされると該切換弁が切り換わり、前記エア源からのエアを自由流れ状態で前記エアシリンダに供給するように構成されていても良い。
【0007】
また、本発明において、前記2つの電磁弁の一方は、前記主流路の前記入力ポート寄りの位置に接続された第1電磁弁であり、他方は、前記主流路の前記出力ポート寄りの位置に接続された第2電磁弁であり、前記排気流路は、前記第1電磁弁の故障時に、前記第2電磁弁を通じて前記エアシリンダのエアを排気し、前記第2電磁弁の故障時には、該第2電磁弁を経由して前記第1電磁弁を通じて前記エアシリンダのエアを排気するように構成されていることが好ましい。
【0008】
また、本発明においては、前記主流路に、前記エアシリンダに供給されるエアの圧力を検出する第2センサとエアの圧力を表示するエアゲージとが接続されていても良い。
【0009】
また、本発明によれば、ハウジングに、エア源に接続される入力ポートと、エアシリンダに接続される出力ポートと、外部に開放する排気ポートとを設けると共に、前記入力ポートと出力ポートとを結ぶ主流路と、前記出力ポートと排気ポートとを結ぶ排気流路と、前記入力ポートと第1センサとを結ぶ検出流路と、前記主流路、排気流路及び検出流路の連通状態を切り換える2つの電磁弁と、前記検出流路を通じて供給されるエアの作用により前記2つの電磁弁の誤作動を検出する前記第1センサと、前記エアシリンダをソフトスタートさせるためのソフトスタートバルブとを設けることにより構成された残圧排気弁が提供される。
前記残圧排気弁において、前記2つの電磁弁は、オフ時の第1位置とオン時の第2位置とを有する2位置弁であって、同期的にオン・オフ制御され、前記2つの電磁弁が共に前記第1位置にあるときは、前記主流路が遮断されて前記エアシリンダへのエアの供給が停止されると共に、前記エアシリンダ及び検出流路が前記排気流路に接続されることにより該エアシリンダ及び検出流路が排気状態にされ、前記2つの電磁弁が共に前記第2位置にあるときは、前記主流路が導通状態になってエア源からのエアが該主流路を通じて前記エアシリンダに供給されると共に、前記排気流路及び前記検出流路が遮断されることにより前記排気流路によるエアシリンダのエアの排気及び前記検出流路による前記第1センサへのエアの供給が停止され、前記2つの電磁弁の一方が第1位置にあって他方が第2位置にあるときは、前記主流路が遮断されて前記エアシリンダへのエアの供給が停止されると共に、前記排気流路が前記エアシリンダに接続されることにより該排気流路を通じて前記エアシリンダのエアの排気が行われ、且つ、前記検出流路がエア源に接続されて該エア源からのエアが前記第1センサに供給されることにより該第1センサで前記2つの電磁弁の誤作動が検出されるように構成されている。
【0010】
本発明においては、前記ハウジングに、前記出力ポートから前記エアシリンダに供給されるエアの圧力を検出する第2センサとエアの圧力を表示するエアゲージとが設けられていても良い。
【0011】
また、本発明において、前記ハウジングは、前記ハウジングは、前後方向に細長い直方体状をしていて、該ハウジングの内部に、該ハウジングの前後方向に並行して延びる第1軸線及び第2軸線に沿って3つの弁孔が形成され、前記第1軸線に沿って形成された第1弁孔の内部に、前記第1電磁弁の第1スプールが摺動自在に収容され、前記第2軸線に沿って形成された第2弁孔及び第3弁孔のうち、ハウジングの後方側に位置する第2弁孔の内部に、前記第2電磁弁の第2スプールが摺動自在に収容され、ハウジングの前方側に位置する第3弁孔の内部に、前記ソフトスタートバルブの第3スプールが摺動自在に収容されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明において、前記ハウジングは、中央の本体ブロックと、該本体ブロックの後端部に取り付けられた後部カバーと、前端部に取り付けられた前部プレート及び前部カバーとを有し、前記本体ブロックに、前記入力ポート及び出力ポートと、前記第1スプール、第2スプール及び第3スプールが設けられると共に、前記エアゲージが設けられ、前記後部カバーに前記排気ポートが設けられ、前記前部プレートに、前記第1電磁弁の第1パイロット弁と、前記第2電磁弁の第2パイロット弁とが取り付けられると共に、前記第1センサ及び第2センサが取り付けられ、前記前部カバーは、前記第1パイロット弁、第2パイロット弁、第1センサ及び第2センサを覆うと共に、該前部カバーに、給電用及び信号用の電気配線を接続するためのコネクタが設けられている、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、残圧排気エア回路及び残圧排気弁を、リミットスイッチ付きの電磁弁やシーケンサ等を使用することなく、1つの圧力センサによって電磁弁の誤作動を検出することができるように構成したので、その構成が非常に簡易で設備コストも低く、シーケンサプログラムに精通した技術者を確保する必要もない。また、電磁弁が誤作動した場合には、エア機器の残圧を直ちに排気することができるので、安全性にも勝れる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る残圧排気エア回路の回路図であって、電磁弁がオフの時の動作状態を示す図である。
【
図2】前記残圧排気エア回路の異なる動作状態を示す回路図である。
【
図3】前記残圧排気エア回路の更に異なる動作状態を示す回路図である。
【
図4】前記残圧排気エア回路の更に異なる動作状態を示す回路図である。
【
図5】前記残圧排気エア回路の更に異なる動作状態を示す回路図である。
【
図7】
図6の残圧排気弁を2つの電磁弁と切換弁との位置で切断して示す縦断面図であって、2つの電磁弁及び切換弁が何れもオフ時の第1位置にある状態を示す図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図10】
図7の状態から2つの電磁弁がオンになって第2位置に切り換わった時の状態を示す断面図である。
【
図11】
図10の状態から切換弁がオンになって第2位置に切り換わった時の状態を示す断面図である。
【
図12】
図11の状態から第2電磁弁がオフになって第1位置に復帰した時の状態を示す断面図である。
【
図13】
図11の状態から第1電磁弁がオフになって第1位置に復帰した時の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1-
図5には、本発明に係る誤作動検出機能を有する残圧排気エア回路の回路図が示されている。この残圧排気エア回路1は、圧縮空気を供給するエア源2に入力配管3により接続される入力ポート4と、エア機器の一種であるエアシリンダ100に出力配管7により接続される出力ポート5と、外部に開放する排気ポート6と、電磁弁12,13の誤作動をエアの作用により検出する第1センサ8と、前記エア源2からのエアを前記エアシリンダ100に供給する際に前記入力ポート4と出力ポート5とを結ぶ主流路9と、前記エアシリンダ100のエアを排気する際に前記出力ポート5と排気ポート6とを結ぶ排気流路10と、前記電磁弁12,13が誤作動した時に前記入力ポート4と第1センサ8とを結ぶ検出流路11と、前記主流路9、排気流路10及び検出流路11の連通状態を切り換える2つの前記電磁弁12,13とを設けることにより構成されている。
【0016】
前記エアシリンダ100は、ピストン101及びロッド102が、圧力室103に供給されるエアと復帰ばね104とによって往復駆動される単動形のエアシリンダである。
【0017】
前記2つの電磁弁12、13は、電磁操作式のパイロット弁12P、13Pを有し、該パイロット弁12P、13Pのオン、オフ操作により給排されるパイロットエアと、復帰ばね14とにより、オフ時(非通電時)の第1位置12a、13a(
図1参照)とオン時(通電時)の第2位置12b、13b(
図2参照)とに切り換えられる内部パイロット式の2位置5ポート形スプール弁であり、不図示の制御装置により互いに同期してオン・オフ制御される。
【0018】
前記2つの電磁弁12、13のうち、前記主流路9の入力ポート4寄りの位置に接続された第1電磁弁12は、入力口P1、出力口A1、排気口R1、検出口SP1、及び検出排気口SRを有し、
図1に示すように、該第1電磁弁12が前記第1位置12aにある時には、入力口P1と検出口SP1とが連通すると共に、排気口R1と出力口A1とが連通し、
図2に示すように、該第1電磁弁12が前記第2位置12bに切り換わると、入力口P1と出力口A1とが連通すると共に、検出排気口SRと検出口SP1とが連通する。
【0019】
また、前記主流路9の出力ポート5寄りの位置に配置された第2電磁弁13は、入力口P2、出力口A2、排気口R2、検出口SP2、及び検出出力口SAを有し、
図1に示すように、該第2電磁弁13が前記第1位置13aにある時は、入力口P2と検出出力口SAとが連通すると共に、排気口R2と出力口A2とが連通し、
図2に示すように、該第2電磁弁13が前記第2位置13bに切り換わると、入力口P2と出力口A2とが連通すると共に、検出口SP2と検出出力口SAとが連通する。
【0020】
前記第1電磁弁12の入力口P1は、主流路9の一部を構成する入力流路17を通じて前記入力ポート4に接続され、該第1電磁弁12の出力口A1は、第1連通路18を通じて前記第2電磁弁13の入力口P2に接続され、前記第1電磁弁12の検出口SP1は、第2連通路19を通じて前記第2電磁弁13の検出口SP2に接続され、前記第1電磁弁12の排気口R1は、排気連通路10aを通じて前記排気流路10に接続されている。
【0021】
また、前記第2電磁弁13の出力口A2は、出力流路20を通じて前記出力ポート5に接続され、該第2電磁弁13の検出出力口SAは、前記検出流路11を通じて前記第1センサ8に接続され、該第2電磁弁13の排気口R2は、前記排気流路10を通じて前記排気ポート6に接続されている。
【0022】
なお、前記出力流路20は、前記エア源2からのエアが前記エアシリンダ100に供給されるときは前記主流路9の一部を構成し、前記エアシリンダ100のエアが排気されるときは前記排気流路10の一部を構成する。同様に、前記第1連通路18は、前記エア源2からのエアが前記エアシリンダ100に供給されるときは前記主流路9の一部を構成し、前記電磁弁12,13の誤作動時には前記検出流路11の一部を構成する。
【0023】
前記主流路9には、前記エアシリンダ100をソフトスタートさせるためのソフトスタートバルブ21が接続されている。
【0024】
前記ソフトスタートバルブ21は、切換弁22と、エアの流量を制限する絞り弁23とを並列に接続することにより構成されていて、前記入力流路17の前記第1電磁弁12と入力ポート4との間に接続されている。
【0025】
前記切換弁22は、ノーマルクローズ型の2ポートスプール弁であって、入力口SSP及び出力口SSAを有し、通常は、
図1に示すように第1位置22a(オフ位置)にあって、前記入力口SSPと出力口SSAとが遮断されることにより入力流路17を遮断(閉鎖)しているが、前記出力流路20からエアシリンダ100に供給されるエアの一部が該出力流路20に接続されたフィードバック流路24を通じてフィードバックされると
図3に示す第2位置22b(オン位置)に切り換わり、前記入力口SSPと出力口SSAとが導通することにより前記入力流路17を開放(導通)する。
【0026】
前記絞り弁23は、流路断面積を調整可能な可変絞り弁であり、前記切換弁22を迂回する入力分岐路17aに接続されている。
【0027】
次に、前記残圧排気エア回路の動作について説明する。
【0028】
図1には、前記第1電磁弁12及び第2電磁弁13が共にオフで第1位置12a及び13aを占めることにより、前記主流路9を遮断している状態が示されている。
【0029】
このとき、前記エアシリンダ100の圧力室103に前記エア源2からのエアは供給されず、該圧力室103内のエアは、前記出力流路20が第2電磁弁13を通じて排気流路10に接続されることにより、該排気流路10を通じて排気ポート6から排気される。このため、前記エアシリンダ100は、前記ピストン101及びロッド102が復帰ばね104に押されて初期位置まで後退した状態にある。
【0030】
また、前記検出流路11は、前記第2電磁弁13、第1連通路18、第1電磁弁12、排気分流路10a及び排気流路10を通じて排気ポート6に接続されるため、該検出流路11内のエアも排気され、前記第1センサ8にエアは供給されない。
【0031】
更に、前記ソフトスタートバルブ21の切換弁22は、第1位置22aにあって前記入力流路17を遮断している。前記絞り弁23を通じて前記切換弁22を迂回するエアは、前記主流路9が前記第1電磁弁12及び第2電磁弁13によって遮断されているため、前記エアシリンダ100の圧力室103に供給されない。
【0032】
この状態から、
図2に示すように、前記第1電磁弁12及び第2電磁弁13を同時にオンになって第2位置12b,13bに切り換わると、前記入力流路17と第1連通路18及び出力流路20が導通するため、エア源2からのエアが、前記絞り弁23により流量制限された状態で徐々にエアシリンダ100の圧力室103に供給され、該圧力室103内のエア圧力の上昇と共に、ピストン101が作業位置に向けてゆっくり前進を開始する。
【0033】
このとき、前記出力流路20内のエアの一部は、前記フィードバック流路24を通じて前記ソフトスタートバルブ21の切換弁22にフィードバックされ、前記ピストン101のソフトスタート開始後に、
図3に示すように、該切換弁22を第2位置22bに切り換える。これにより、前記エア源2からのエアは、前記切換弁22を通じて流量制限されない自由流れ状態でエアシリンダ100の圧力室103に供給されるため、前記ピストン101は、速度を速めて作業位置まで前進する。
【0034】
このとき、前記排気流路10は、第1電磁弁12及び第2電磁弁13によって出力ポート5から遮断されるため、前記エアシリンダ100の圧力室103の排気は行われず、また、前記検出流路11も、前記第1電磁弁12及び第2電磁弁13によって入力ポート4から遮断されるため、前記第1センサ8にエアは供給されない。
【0035】
なお、
図1に示すように、前記出力流路20に第2センサ25を接続し、この第2センサ25で、前記出力ポート5からエアシリンダ100に出力されるエアの圧力を測定することもできる。また、前記出力流路20に圧力ゲージ26を接続し、この圧力ゲージ26にエア圧力を表示させるように構成することもできる。
【0036】
続いて、
図3の状態から、前記2つのパイロット弁12P、13Pを同時にオフにした場合、前記2つの電磁弁12、13が正常に動作すればそれぞれが第1位置12a、13aに切り換わるため、
図1に示す動作状態に復帰するが、どちらか一方の電磁弁12又は13が故障して前記第1位置12a又は13aに切り換わらない場合には、以下に説明するように、それが前記第1センサ8により誤作動として検出されると同時に、安全確保のため、前記エアシリンダ100の圧力室103内のエアが排気される。
【0037】
先ず、
図4に示すように、第1電磁弁12が故障して第2位置12bに残り、第2電磁弁13が正常に動作して第1位置13aに復帰した場合には、前記第1センサ8に通じる検出流路11が、第2電磁弁13、第1連通路18及び第1電磁弁12を通じて入力流路17に接続されることにより、エア源2からのエアが該検出流路11を通じて第1センサ8に供給されるため、該第1センサ8が制御装置に検出信号を出力し、その検出信号により、前記2つの電磁弁12,13が同期して作動していないことが誤作動として検出される。
【0038】
それと同時に、前記出力流路20が、前記第2電磁弁13を介して排気流路10に接続されるため、前記エアシリンダ100の圧力室103内のエアは、前記排気流路10から排気ポート6を通じて外部に排気され、前記エアシリンダ100のピストン101は復帰ばね104の力で初期位置に復帰する。
【0039】
また、
図5に示すように、第1電磁弁12が正常に動作して第1位置12aに復帰し、第2電磁弁13が故障して第2位置13bに残った場合には、前記検出流路11が、第2電磁弁13、第2連通路19及び第1電磁弁12を通じて入力流路17に接続されることにより、エア源2からのエアが該検出流路11を通じて第1センサ8に供給されされるため、該第1センサ8が制御装置に検出信号を出力し、その検出信号により、前記2つの電磁弁12,13が同期して作動していないことが誤作動として検出される。
【0040】
それと同時に、前記出力流路20が、前記第2電磁弁13、第1連通路18、第1電磁弁12、及び排気分流路10aを通じて排気流路10に接続されるため、前記エアシリンダ100の圧力室103のエアは、前記出力流路20から、前記第2電磁弁13、第1連通路18、第1電磁弁12、排気分流路10a及び排気流路10を通じて前記排気ポート6から外部に排気され、前記エアシリンダ100のピストン101は初期位置に復帰する。
【0041】
このように、2つの電磁弁12,13のどちらか一方が故障した場合には、前記第1センサ8によりその故障を確実に検出することができると同時に、安全性確保のため、前記エアシリンダ100の圧力室103内のエアを直ちに排気することができる。ただし、どちらの電磁弁12,13が故障したのかということは検出することができない。
【0042】
図6-
図13には、
図1のエア回路1を構成する各要素を1つのハウジング30に組み込んで構成した残圧排気弁90が示されている。
【0043】
前記ハウジング30は、
図6及び
図7に示すように、前後方向に細長い直方体状をしていて、中央の本体ブロック31と、該本体ブロック31の後端部に取り付けられた後部プレート32及び後部カバー33と、前端部に取り付けられた前部プレート34a,34b及び前部カバー35とからなっている。
【0044】
前記本体ブロック31は、
図8から明らかなように、一方の第1側面31aに前記入力ポート4が開設され、他方の第2側面31bに前記出力ポート5が開設され、該本体ブロック31の内部には、
図7に示すように、前記第1電磁弁12の第1スプール36、前記第2電磁弁13の第2スプール37、前記ソフトスタートバルブ21を構成する切換弁22の第3スプール38が設けられると共に、前記絞り弁23が、
図8に示すように、該本体ブロック31の上面側から進退動操作することによって流量を調節可能なるように設けられ、該本体ブロック31の上面に前記圧力ゲージ26が取り付けられている。
【0045】
また、前記後部カバー33には、前記排気ポート6が形成され、前記前部プレート34bには、
図9に示すように、前記第1電磁弁12の第1パイロット弁12P及び第2電磁弁13の第2パイロット弁13Pと、第1センサ8及び第2センサ25とが取り付けられ、これら第1パイロット弁12P、第2パイロット弁13P、第1センサ8及び第2センサ25が前記前部カバー35で覆われており、該前部カバー35には、給電用及び信号用の電気配線を接続するためのコネクタ39が設けられている。
【0046】
前記本体ブロック31に前記第1スプール36、第2スプール37及び第3スプール38を組み込むため、該本体ブロック31の内部には、
図7から明らかなように、前記ハウジング30の長手方向(前後方向)に延びる互いに並行な第1軸線L1及び第2軸線L2に沿って3つの弁孔41,42,43が形成され、前記第1軸線L1に沿って形成された第1弁孔41の内部に、前記第1スプール36が摺動自在に収容され、前記第2軸線L2に沿って形成された第2弁孔42及び第3弁孔43のうち、ハウジング30の後方側に位置する第2弁孔42の内部に、前記第2スプール37が摺動自在に収容され、ハウジング30の前方側に位置する第3弁孔43の内部に、前記第3スプール38が摺動自在に収容されている。前記第2弁孔42と第3弁孔43とは隔壁44で仕切られている。
【0047】
また、前記本体ブロック31の内部には、前記第1弁孔41及び第2弁孔42を横切る第1凹溝45及び第2凹溝46と、前記第1弁孔41及び第3弁孔43を横切る第3凹溝47とが、それぞれ本体ブロック31の底面から上面側に向けて延在するように形成され、各凹溝の底部は、前記本体ブロック31の底面に取り付けられた蓋プレート50で塞がれている。
【0048】
また、前記第1凹溝45と第2凹溝46との間の位置には、前記第2弁孔42を横切る第4凹溝48が形成され、前記第3凹溝47よりも本体ブロック31の前端側に寄った位置には、前記第3弁孔43を横切る第5凹溝49が形成されている。前記弁孔41,42,43及び凹溝45,46,47,48,49は、前記主流路9、排気流路10、検出流路11の一部を構成する。
【0049】
前記第1スプール36は、
図12に詳細に示すように、外周にシール部材40が取り付けられた第1-第6の6つのランド36a,36b,36c,36d,36e,36fを有し、このうち、該第1スプール36の両端に設けられた第1ランド36a及び第6ランド36fは、前記第1弁孔41の両端部を封止するものであり、第2ランド36bは、前記第1弁孔41が前記第1凹溝45に連通する部分に形成された第1開口41aを開閉し、第3ランド36cは、前記第1弁孔41が前記第3凹溝47に連通する部分に形成された第2開口41bを開閉し、第4ランド36dは、前記第1弁孔41の端部の中継室41dが前記第3凹溝47に連通する部分に形成された第3開口41cを開閉し、第5ランド36eは、前記中継室41dに開口する検出口SP1と検出排気口SRとを相互に連通(
図12参照)させたり遮断(
図7参照)したりする。
【0050】
前記検出口SP1は、ハウジング30に形成された第2連通路19を通じて第2電磁弁の中継室42dに形成された検出口SP2に連通している。
【0051】
また、前記第1スプール36の一端及び他端には、
図10に示すように、第1パイロット圧力室51と復帰ばね14とが設けられ、前記第1パイロット圧力室51は、ハウジング30の内部に形成された第1パイロット流路53を通じて前記第1パイロット弁12Pに連通している。
【0052】
そして、前記第1スプール36は、前記第1パイロット弁12Pが非通電のためオフ状態にあると、前記復帰ばね14に押されて
図7の第1位置を占めることにより、前記第1開口41a及び第3開口41cを開放すると共に前記第2開口41bを閉鎖し、且つ、前記第5ランド36eで前記検出口SP1と検出排気口SRとを相互に遮断する。
【0053】
また、前記第1パイロット弁12Pが通電によりオンになると、前記第1スプール36は、
図10に示すように、前記第1パイロット流路53を通じて前記第1パイロット圧力室51に供給されるパイロットエアにより第2位置に切り換わり、前記第1開口41a及び第3開口41cを閉鎖すると共に前記第2開口41bを開放する。このとき、前記検出口SP1は第3凹溝47から遮断され、該検出口SP1と前記検出排気口SRとが相互に連通する。
【0054】
また、前記第2スプール37は、
図12に詳細に示すように、外周にシール部材40が取り付けられた第7-第12の6つのランド37a,367,37c,37d,37e,37fを有し、このうち、該第2スプール37の両端に設けられた第7ランド37a及び第12ランド37fは、前記第2弁孔42の両端部を封止するものであり、第8ランド37bは、前記第2弁孔42の前記第1凹溝45と第4凹溝48とを連通する部分に形成された第4開口42aを開閉し、第9ランド37cは、前記第2弁孔42の前記第2凹溝46と第4凹溝48とを連通する部分に形成された第5開口42bを開閉し、第10ランド37dは、前記第2弁孔42の端部の中継室42dと前記第2凹溝46とを連通する第6開口42cを開閉し、第11ランド37eは、前記中継室42dに開口する検出出力口SAと検出口SP2とを互いに連通させたり遮断したりする。前記検出出力口SAは、ハウジング30に形成された検出流路11を通じて第1センサ8に接続されている。
【0055】
また、該第2スプール37の一端及び他端には、第2パイロット圧力室54と復帰ばね14とが設けられ、前記第2パイロット圧力室54は、ハウジング30の内部に形成された第2パイロット流路56(
図10参照)を通じて前記第2パイロット弁13Pに接続されている。
【0056】
そして、前記第2スプール37は、前記第2パイロット弁13Pが非通電のためオフ状態にあると、前記復帰ばね14により押されて
図7の第1位置を占めることにより、前記第4開口42aを開放すると共に前記第5開口42bを閉鎖し、且つ前記第6開口42cを開放して前記中継室42d(従って検出出力口SA)を前記第2凹溝46に連通させる。また、前記検出出力口SAと検出口SP2とは、前記第11ランド37eにより相互に遮断される。
【0057】
一方、前記第2パイロット弁13Pが通電によりオンになると、前記第2スプール37は、
図10に示すように、前記第2パイロット流路56を通じて前記第2パイロット圧力室54に供給されるパイロットエアにより第2位置に切り換わり、前記第4開口42a及び第6開口42cを閉鎖すると共に、前記第5開口42bを開放し、前記検出出力口SAと検出口SP2とは、前記中継室42d内において相互に連通する。
【0058】
更に、前記第3スプール38は、
図7及び
図13に示すように、第13ランド38aを有し、該第13ランド38aは、前記第3弁孔43の前記第3凹溝47と第5凹溝49とを結ぶ第7開口43aをシール部材40で開閉する。該第3スプール38の一端及び他端には、該第3スプール38と一体の大径ピストン部38bと、該第3スプール38と別体の小径ピストン64とが設けられると共に、該小径ピストン64が面する第3パイロット圧力室57と、前記大径ピストン部38bが面するフィードバック圧力室58とがそれぞれ形成されている。前記大径ピストン部38bの受圧面積は前記小径ピストン64の受圧面積より大きい。前記第3パイロット圧力室57は、パイロット供給路57aにより前記入力ポート4に連通し、前記フィードバック圧力室58は、フィードバック流路24(
図10参照)を通じて前記出力ポート5に連通している。
【0059】
前記ソフトスタートバルブ21における切換弁22の第3スプール38は、通常は前記第3パイロット圧力室57に供給されるパイロットエアの作用により
図7の第1位置を占めていて、前記第5開口43aを閉鎖しているが、前記出力ポート5からエアシリンダ100に供給されるエアの一部が前記フィードバック流路24を通じてフィードバック圧力室58にフィードバックされると、前記大径ピストン部38bの作用で
図11の第2位置に切り換わり、前記第7開口43aを開放する。
【0060】
前記主流路9は、
図7に矢印点線によって模式的に示すように、前記入力ポート4と出力ポート5とを、前記第5凹溝49、ソフトスタートバルブ21の第5開口43a、第3凹溝47、第1電磁弁12の第2開口41b、第1弁孔41、第2凹溝46、第2電磁弁13の第4開口42b及び第4凹溝48を介して接続するように形成されている。
【0061】
なお、前記出力ポート5は、実際には、
図8に示すように、前記本体ブロック31の第2側面31bに設けられているが、
図1-
図5の回路図では第2電磁弁13側に配置されているため、この回路図を参照した場合に分かり易いように、
図7、
図10ー
図13においては、便宜的に第2電磁弁13の近くに描かれている。
【0062】
図7は、前記ソフトスタートバルブ21と第1電磁弁12及び第2電磁弁13とが全てオフの状態にあって、各スプール36,37,38が第1位置にあるときの状態であり、これは
図1の動作状態と同じである。
【0063】
このとき、前記主流路9は、前記ソフトスタートバルブ21、第1電磁弁12及び第2電磁弁13により遮断されているため、前記エア源2からのエアは前記エアシリンダ100の圧力室103に供給されない。絞り弁23を経由するエアも同様である。一方、排気流路10は、出力ポート5と排気ポート6とを、第4凹溝48、第4開口42a、第1凹溝45を通じて連通しているため、エアシリンダ100の圧力室103内のエアは、該排気流路10を通じて排気ポート6から排気される。このため、前記エアシリンダ100は、前記ピストン101及びロッド102が後退した初期位置にある。
【0064】
また、前記検出流路11は、第2弁孔42の中継室42dに開口する前記検出出力口SAが、第2凹溝46、第1弁孔41及び第1凹溝45を通じて前記排気流路10に連通するため、該検出流路11内のエアも排気された状態になり、前記第1センサ8にエアは供給されない。
【0065】
図7の状態から、第1パイロット弁12P(第1電磁弁12)及び第2パイロット弁13P(第2電磁弁13)が共にオンになると、
図10に示すように、第1パイロット圧力室51及び第2パイロット圧力室54に第1パイロット流路53及び第2パイロット流路56を通じてそれぞれパイロットエアが供給されるため、第1スプール36及び第2スプール37が共に第2位置に切り換わり、主流路9の第1電磁弁12及び第2電磁弁13を経由する部分が導通した状態になる。この状態は
図2の動作状態と同じである。
【0066】
このため、エア源2からのエアは、入力分岐路17a及び主流路9を通じて絞り弁23により流量制限された状態で徐々にエアシリンダ100の圧力室103に供給され、該圧力室103内のエア圧力の上昇と共にピストン101は作業位置に向けてゆっくり前進を開始する。一方、前記エアシリンダ100に供給されるエアの一部は、フィードバック流路24を通じてフィードバック圧力室58にフィードバックされ、フィードバックされたエアによりソフトスタートバルブ21の切換弁22の第3スプール38が、
図11に示すように第2位置に切り換わる。このときの動作状態は、
図3に示す動作状態と同じである。
【0067】
これにより、前記エア源2からのエアは、前記切換弁22を通じて流量制限されない自由流れ状態でエアシリンダ100の圧力室103に供給されるため、前記ピストン101及びロッド102は、速度を速めて作業位置まで前進する。
【0068】
続いて、
図11の状態から前記第1パイロット弁12P及び第2パイロット弁13Pを同時にオフにすると、第1パイロット圧力室51及び第2パイロット圧力室54内のパイロットエアが、前記第1パイロット流路53及び第2パイロット流路56を通じて前記第1パイロット弁12P及び第2パイロット弁13Pからそれぞれ排気されるため、前記第1スプール36及び第2スプール37は、それぞれ復帰ばね14の力で
図7の第1位置に復帰する。これにより、前記エアシリンダ100の圧力室103へのエアの供給が停止されると共に、該圧力室103内のエアが、前記排気流路10を通じて排気ポート6から排気され、前記エアシリンダ100のピストン101及びロッド102は、復帰ばね104に押されて初期位置に後退する。この時の動作状態は、
図1の動作状態と同じである。
【0069】
しかし、第1スプール36及び第2スプール37どちらか一方が故障して前記第1位置12a又は13aに復帰しない場合には、以下に説明するように、前記第1電磁弁12及び第2電磁弁13の動作の不一致が誤作動として第1センサ8により検出され、それと同時に、前記エアシリンダ100のエアが排気されて該エアシリンダ100が初期位置に復帰する。
【0070】
先ず、
図12及び
図4に示すように、第1電磁弁12の第1スプール36が故障して第2位置12bに残り、第2電磁弁13の第2スプール37が正常に動作して第1位置13aに復帰した場合には、エア源2からのエアは、前記第2電磁弁13により前記第2凹溝46の位置で遮断されてエアシリンダ100に供給されないが、第2弁孔42の中継室42dに開口する前記検出出力口SAが前記第2凹溝46に連通するため、エア源2からのエアは、前記第2凹溝46から前記検出出力口SA及び検出流路11を通じて第1センサ8に供給される。これにより、該第1センサ8が制御装置に検出信号を出力するため、その検出信号によって前記2つの電磁弁12,13の動作の不一致が誤作動として検出される。
【0071】
それと同時に、前記排気流路10が、前記出力ポート5と排気ポート6とを、第4凹溝48、第2電磁弁13の第3開口42a、及び第1凹溝45を通じて連通させるため、前記エアシリンダ100の圧力室103内のエアは、前記第1排気流路10を通じて排気ポート6から外部に排気され、前記エアシリンダ100のピストン101及びロッド102は、復帰ばね104の力で初期位置に復帰する。
【0072】
また、
図13及び
図5に示すように、第2電磁弁13の第2スプール37が故障して第2位置13bに残り、第1電磁弁12の第1スプール36が正常に動作して第1位置12aに復帰した場合には、エア源2からのエアは前記第1電磁弁13により第3凹溝47の位置で遮断されてエアシリンダ100に供給されないが、第1弁孔41の中継室41dが前記第3凹溝47に連通するため、該中継室41dに開口する検出口SP1が前記第3凹溝47に連通する。このため、エア源2からのエアは、前記第3凹溝47から前記検出口SP1、第2連通路19、第2電磁弁13の検出口SP2を通って第2弁孔42の中継室42dに流入し、この中継室42dに開口する前記検出出力口SAから前記検出流路11を通って第1センサ8に供給される。このため、該第1センサ8が制御装置に検出信号を出力し、その検出信号によって前記2つの電磁弁12,13の動作の不一致が誤作動として検出される。
【0073】
それと同時に、前記排気流路10が、前記出力ポート5と排気ポート6とを、第4凹溝48、第2電磁弁13の第5開口42b、第2凹溝46、第1弁孔41、第1開口41a、及び第1凹溝45を通じて連通させるため、前記エアシリンダ100の圧力室103内のエアは、前記第1排気流路10を通じて排気ポート6から外部に排気され、前記エアシリンダ100のピストン101及びロッド102は、復帰ばね104の力で初期位置に復帰する。
【0074】
以上に説明したように、本発明によれば、前記2つの電磁弁12,13の動作が一致しない場合に、それを誤作動として1つの第1センサ8で確実に検出することができると共に、エア機器の残圧を排気することができるので、安全性に勝れる。
【符号の説明】
【0075】
1 残圧排気エア回路
2 エア源
4 入力ポート
5 出力ポート
6 排気ポート
8 第1センサ
9 主流路
10 排気流路
11 検出流路
12 第1電磁弁
12a 第1位置
12b 第2位置
13 第2電磁弁
13a 第1位置
13b 第2位置
21 ソフトスタートバルブ
22 切換弁
23 絞り弁
25 第2センサ
26 圧力ゲージ
30 ハウジング
31 本体ブロック
33 前部カバー
34b 後部プレート
35 後部カバー
36 第1スプール
37 第2スプール
38 第3スプール
39 コネクタ
41 第1弁孔
42 第2弁孔
43 第3弁孔
90 残圧排気弁
100 エアシリンダ