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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021401
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】サーバ、車両およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240208BHJP
   G08G 1/08 20060101ALI20240208BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/08 C
G08G1/09 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124205
(22)【出願日】2022-08-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・ウェブサイトのアドレス ▲1▼https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2021/20211117_01/ ▲2▼https://www.honda.co.jp/news/2021/c211117.html 掲載日 令和3年11月17日 公開者 ソフトバンク株式会社、本田技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 弘一
(72)【発明者】
【氏名】榎本 光洋
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】遮蔽物よって車両と歩行者が相手の存在に気付かないまま移動し、出合い頭に接触してしまう可能性を低減させる。
【解決手段】サーバ(2)は、端末装置(M)から端末位置情報を受信する制御を行う第一受信制御部(231)と、車両から、遮蔽物(S)によって視認困難な領域である第一領域の範囲を受信する制御を行う第二受信制御部(232)と、第一領域の少なくとも一部を含む第二領域の内側の位置を示す特定の端末位置情報が含まれる場合、当該特定の端末位置情報を送信してきた端末装置に、車両接近情報を送信する制御を行う警告送信制御部(234)と、を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者が所持する可搬型または歩行者が装着する装着型の端末装置、および車両と通信する通信部と、
前記端末装置から、当該端末装置の位置を示す端末位置情報を繰り返し受信するよう前記通信部を制御する第一受信制御部と、
走行中の前記車両から、当該車両が走行する車道上または当該車道に接する領域であって、当該車両よりも当該車両の進行方向側に存在する遮蔽物によって当該車両から視認または撮影が困難な領域である第一領域の範囲を示す領域情報を受信するよう前記通信部を制御する第二受信制御部と、
直近に受信した前記端末位置情報の中に、前記第一領域の少なくとも一部を含み水平方向に所定の広がりを持つ第二領域の内側の位置を示す特定の端末位置情報が含まれる場合、当該特定の端末位置情報を送信してきた前記端末装置に、前記車両が接近している旨の車両接近情報を送信するよう前記通信部を制御する警告送信制御部と、
を備える、サーバ。
【請求項2】
直近に受信した前記端末位置情報の中に、前記第一領域の少なくとも一部を含み水平方向に所定の広がりを持つ第二領域の内側の位置を示す特定の端末位置情報が含まれる場合、前記第一領域の内側またはその付近に歩行者が存在する旨の歩行者存在情報を前記車両へ送信するよう前記通信部を制御する通知送信制御部を備える、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記車道上に位置する複数の車両から、各車両の位置情報および進行方向を含む車両情報を受信するよう前記通信部を制御する第三受信制御部を備える、
請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
直近に受信した前記端末位置情報の中に、前記特定の端末位置情報が含まれない場合、前記車両情報に基づいて、前記車両とは異なる方向から前記第一領域に向かって走行し、かつ外側の情報を取得する情報取得部を備える第二車両を特定する特定部と、
前記外側の情報を取得し、かつ前記外側の情報に基づいて前記第一領域に歩行者が存在するか否かを判定する旨の判定代行指示を、前記第二車両へ送信するよう前記通信部を制御する指示送信制御部と、
前記第二車両から、前記第一領域に歩行者が存在するか否かの判定結果を受信するよう前記通信部を制御する第四受信制御部と、を備え、
前記通知送信制御部は、前記判定結果が前記第一領域に歩行者が存在するものであった場合、前記歩行者存在情報を前記車両へ送信するよう前記通信部を制御する、
請求項3に記載のサーバ。
【請求項5】
前記車両情報に基づいて、前記車道上を、前記第一領域が存在する方向に向かって走行する車両であって、前記車両および前記第二車両とは異なる第三車両を特定する第二特定部を備え、
前記通知送信制御部は、前記歩行者存在情報を、前記第三車両へ送信するよう前記通信部を制御する、
請求項4に記載のサーバ。
【請求項6】
前記領域情報を前記第三車両へ送信するよう前記通信部を制御する情報送信制御部を備え、
前記通知送信制御部は、前記領域情報が前記第三車両へ送信され、かつ前記第三車両から前記第一領域に歩行者が存在するか否かの問い合わせを受信した場合に、前記歩行者存在情報を前記第三車両へ送信するよう前記通信部を制御する、
請求項5に記載のサーバ。
【請求項7】
歩行者が所持する可搬型または歩行者が装着する装着型の端末装置、および車両と通信する通信部と、
前記端末装置から、当該端末装置の位置を示す端末位置情報を繰り返し受信するよう前記通信部を制御する第一受信制御部と、
走行中の前記車両から、当該車両が走行する車道上または当該車道に接する領域であって、当該車両よりも当該車両の進行方向側に存在する遮蔽物によって当該車両から視認または撮影が困難な領域である第一領域の範囲を示す領域情報を受信するよう前記通信部を制御する第二受信制御部と、
直近に受信した前記端末位置情報の中に、前記第一領域の少なくとも一部を含み水平方向に所定の広がりを持つ第二領域の内側の位置を示す特定の端末位置情報が含まれる場合、前記第一領域に歩行者が存在する旨の歩行者存在情報を前記車両へ送信するよう前記通信部を制御する通知送信制御部と、
を備える、サーバ。
【請求項8】
前記第一領域は、前記遮蔽物を起点として前記進行方向に沿って延びる第一の辺と、前記遮蔽物を起点として前記車道の中心線から離れる方向に伸びる第二の辺と、を有する矩形をなしており、
前記第二領域は、前記第一領域の内側に中心を有し、前記第一領域を全て含む所定半径の円形をなしている、
請求項1または7に記載のサーバ。
【請求項9】
歩行者が所持する可搬型または歩行者が装着する装着型の端末装置、および車両と通信する通信部と、
前記端末装置から、当該端末装置の位置を示す端末位置情報を繰り返し受信するよう前記通信部を制御する第一受信制御部と、
走行中の前記車両から、当該車両が走行する車道上または当該車道に接する領域であって、当該車両よりも当該車両の進行方向側に存在する遮蔽物によって当該車両から視認または撮影が困難な領域である第一領域の範囲を示す領域情報を受信するよう前記通信部を制御する第二受信制御部と、
直近に受信した前記端末位置情報の中に、当該端末位置情報が示す位置を含み水平方向に所定の広がりを持つ他の領域の一部が、前記第一領域の一部と重なる特定の端末位置情報が含まれる場合、当該特定の端末位置情報を送信してきた前記端末装置に、前記車両が接近している旨の車両接近情報を送信するよう前記通信部を制御する警告送信制御部と、
を備える、サーバ。
【請求項10】
前記他の領域は、端末位置情報が示す位置を中心とする所定半径の円形をなしている、
請求項9に記載のサーバ。
【請求項11】
前記所定半径は、前記第一受信制御部が前記端末位置情報の受信を繰り返す周期に応じて決定されている、
請求項10に記載のサーバ。
【請求項12】
請求項1に記載のサーバと通信する通信部を備える車両であって、
当該車両の外側の情報を取得する情報取得部と、
前記外側の情報に基づいて、当該車両が走行する車道上または当該車道に接する領域であって、当該車両よりも当該車両の進行方向側に存在する遮蔽物を検知する検知部と、
前記遮蔽物に基づいて、当該遮蔽物によって前記車両から視認または撮影が困難な領域である第一領域を定義する領域定義部と、
前記領域定義部が前記第一領域を定義した場合に、前記第一領域の範囲を示す領域情報を前記サーバへ送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、
を備える車両。
【請求項13】
前記通信部は、前記サーバであって、端末装置から直近に受信した端末位置情報の中に、前記第一領域の少なくとも一部を含み水平方向に所定の広がりを持つ第二領域の内側の位置を示す特定の端末位置情報が含まれる場合、前記第一領域に歩行者が存在する旨の通知を前記車両へ送信するよう構成された前記サーバと通信し、
前記サーバから、前記通知を受信するよう前記通信部を制御する受信制御部を備える、
請求項12に記載の車両。
【請求項14】
警音器と、
前記通信部が前記通知を受信した場合に、前記警音器が警笛を鳴らすための制御を行う警笛制御部と、
を備える請求項13に記載の車両。
【請求項15】
請求項1に記載のサーバとしてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
上記第一受信制御部、上記第二受信制御部および上記警告送信制御部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ、車両およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両と接触する可能性が高い歩行者に対し警告するための各種技術が提案されている。例えば下記特許文献1には、車両側の端末である注意喚起装置と、歩行者が携帯している携帯機器と、車両又は注意喚起装置に設けられ、所定範囲の歩行者を検知するセンサと、注意喚起装置に設けられ、センサにより検知された歩行者が携帯している携帯機器に対して、危険を意味する危険信号を送出する信号送出部と、携帯機器に設けられ、危険信号を受信した場合に、本携帯機器を携帯している歩行者に危険を報知する報知部と、を含む注意喚起システムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-178127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車道または車道に接する領域(例えば歩道)には、当該車道上を走行する車両よりも当該車両の進行方向側に遮蔽物が存在する場合がある。この場合、当該遮蔽物よって当該車両から視認または撮影が困難な領域が生じる。また、こうした領域には、車両から直接確認できない歩行者が存在する可能性がある。しかしながら、上記特許文献1に記載されたような従来技術では、当該領域に歩行者が存在するか否かを、車両は事前に把握することができない。一方、当該領域に存在する歩行者も、遮蔽物によって車両を視認することができない場合がある。このような場合、両者が相手の存在に気付かないまま移動し、出合い頭に接触してしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るサーバは、歩行者が所持する可搬型または歩行者が装着する装着型の端末装置、および車両と通信する通信部と、前記端末装置から、当該端末装置の位置を示す端末位置情報を繰り返し受信するよう前記通信部を制御する第一受信制御部と、走行中の前記車両から、当該車両が走行する車道上または当該車道に接する領域であって、当該車両よりも当該車両の進行方向側に存在する遮蔽物によって当該車両から視認または撮影が困難な領域である第一領域の範囲を示す領域情報を受信するよう前記
一領域の少なくとも一部を含み水平方向に所定の広がりを持つ第二領域の内側の位置を示す特定の端末位置情報が含まれる場合、当該特定の端末位置情報を送信してきた前記端末装置に、前記車両が接近している旨の車両接近情報を送信するよう前記通信部を制御する警告送信制御部と、を備える。
【0006】
また、本発明の他の態様に係るサーバは、歩行者が所持する可搬型または歩行者が装着する装着型の端末装置、および車両と通信する通信部と、前記端末装置から、当該端末装置の位置を示す端末位置情報を繰り返し受信するよう前記通信部を制御する第一受信制御部と、走行中の前記車両から、当該車両が走行する車道上または当該車道に接する領域であって、当該車両よりも当該車両の進行方向側に存在する遮蔽物によって当該車両から視認または撮影が困難な領域である第一領域の範囲を示す領域情報を受信するよう前記通信部を制御する第二受信制御部と、直近に受信した前記端末位置情報の中に、前記第一領域の少なくとも一部を含み水平方向に所定の広がりを持つ第二領域の内側の位置を示す特定の端末位置情報が含まれる場合、前記第一領域に歩行者が存在する旨の歩行者存在情報を前記車両へ送信するよう前記通信部を制御する通知送信制御部と、を備える。
【0007】
また、本発明の他の態様に係るサーバは、歩行者が所持する可搬型または歩行者が装着する装着型の端末装置、および車両と通信する通信部と、前記端末装置から、当該端末装置の位置を示す端末位置情報を繰り返し受信するよう前記通信部を制御する第一受信制御部と、走行中の前記車両から、当該車両が走行する車道上または当該車道に接する領域であって、当該車両よりも当該車両の進行方向側に存在する遮蔽物によって当該車両から視認または撮影が困難な領域である第一領域の範囲を示す領域情報を受信するよう前記通信部を制御する第二受信制御部と、直近に受信した前記端末位置情報の中に、当該端末位置情報が示す位置を含み水平方向に所定の広がりを持つ第二領域の一部が、前記第一領域の一部と重なる特定の端末位置情報が含まれる場合、当該特定の端末位置情報を送信してきた前記端末装置に、前記車両が接近している旨の車両接近情報を送信するよう前記通信部を制御する警告送信制御部と、を備える。
【0008】
本発明の他の態様に係る車両は、本発明の一態様に係るサーバと通信する通信部を備える車両であって、当該車両の外側の情報を取得する情報取得部と、前記外側の情報に基づいて、当該車両が走行する車道上または当該車道に接する領域であって、当該車両よりも当該車両の進行方向側に存在する遮蔽物を、機械学習により構築された検知モデルを用いて検知する検知部と、前記遮蔽物に基づいて、当該遮蔽物によって前記車両から視認または撮影が困難な領域である第一領域を定義する領域定義部と、前記領域定義部が前記第一領域を定義した場合に、前記第一領域の範囲を示す領域情報を前記サーバへ送信するよう前記通信部を制御する送信制御部と、を備える。
【0009】
本発明の各態様は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記システムが備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることによりシステムをコンピュータにて実現させるプログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第一発明の実施形態に係る車両と、第二(第三)発明の実施形態に係るサーバと、によって構成される車両接近警告システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】同車両の機能的構成を示すブロック図である。
図3】同車両の領域定義部が動作しているときの道路の状態を示す平面図である。
図4】第二発明の実施形態に係るサーバの機能的構成を示すブロック図である。
図5】同サーバが管理する情報の一例を示す表である。
図6】同サーバの判断部が動作しているときの道路の状態を示す平面図である。
図7】同サーバと通信する端末装置が行う警告の一例を示す図である。
図8】同サーバが第二車両と通信しているときの道路の状態を示す平面図である。
図9】同サーバが第三車両と通信しているときの道路の状態を示す平面図である。
図10】同サーバが奏する効果を説明する図である。
図11】第三発明の実施形態に係るサーバの機能的構成を示すブロック図である。
図12】同サーバの判断部が動作しているときの道路の状態を示す平面図である。
図13】第四発明の実施形態に係る車両接近警告方法を、車両接近警告システムを用いて実施する場合の流れを示すシーケンス図である。
図14】同実施形態の変形例1に係る車両接近警告方法を、車両接近警告システムを用いて実施する場合の流れを示すシーケンス図である。
図15】同実施形態の変形例2に係る車両接近警告方法を、車両接近警告システムを用いて実施する場合の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第一発明:車両>
まず、第一発明の実施形態に係る車両1について説明する。
【0012】
[車両の構成]
車両1は、図1に示したように、後述するサーバ2(2A)と共に車両接近警告システム100(100A)を構成する。この車両接近警告システム100(100A)は、少なくとも一つの端末装置Mと通信する。端末装置Mは、歩行者が所持する可搬型のもの、または歩行者が装着する装着型のものである。なお、本発明において「歩行者」とは、端末装置Mが発する警告を確認可能な状態で路上に位置する者であり、自転車や車椅子等に乗車する者を含む。本実施形態に係る車両1は、セルラー方式で(基地局3を介して)サーバ2(2A)と通信する。なお、車両1は、特定の電波を用いてサーバ2(2A)と直接(基地局3を介さずに)通信するよう構成されていてもよい。本実施形態に係る車両1は、図2に示したように、情報取得部11と、第二情報取得部12と、車両側通信部13(通信部)と、車両側記憶部14と、警音器15と、車両側制御部16と、を備える。
【0013】
〔情報取得部〕
情報取得部11は、車両1の外側の情報を取得する。本実施形態に係る情報取得部11は、車両1の進行方向を含む車両1の外側を撮影し、画像を生成するカメラである。すなわち、本実施形態に係る情報取得部11が取得する外側の情報は、画像である。本実施形態に係る情報取得部11は、取得した外側の情報(生成した画像)を車両側記憶部14に記憶させる。なお、カメラは、車両1の外側を動画撮影するものであってもよいし、静止画撮影するものであってもよい。また、情報取得部11は、カメラ以外の各種センサであってもよい。
【0014】
〔第二情報取得部〕
第二情報取得部12は、車両1の位置を示す車両位置情報を取得する。本実施形態に係る第二情報取得部12は、GNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機等で構成されている。そして、第二情報取得部12は、衛星から受信した信号に基づいて位置情報を生成する。また、本実施形態に係る第二情報取得部12は、車両位置情報を繰り返し取得する。本実施形態に係る第二情報取得部12が取得する車両位置情報は、経度、緯度およびこれらの取得時刻を含む。本実施形態に係る第二情報取得部12は、取得した車両位置情報を車両側記憶部14に記憶させる。
【0015】
〔車両側通信部〕
車両側通信部13は、後述するサーバ2(2A)と通信する。本実施形態に係る車両側通信部13は、無線通信モジュールで構成されている。すなわち、本実施形態に係る車両側通信部13は、サーバ2(2A)と無線通信する。
【0016】
〔車両側記憶部〕
車両側記憶部14は、少なくとも外側の情報および車両位置情報を記憶することが可能に構成されている。本実施形態に係る車両側記憶部14は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等で構成されている。なお、車両側記憶部14は、外側の情報を記憶するものと、車両位置情報を記憶するものとに分かれていてもよい。
【0017】
〔警音器〕
警音器15(クラクション)は、車両1の進行方向に向かって警笛を鳴らす。
【0018】
〔車両側制御部〕
車両側制御部16は、車両1の各部を制御する。本実施形態に係る車両側制御部16は、検知部161と、領域定義部162と、車両側送信制御部163(送信制御部)と、車両側受信制御部164(受信制御部)と、警笛制御部165と、を備える。
【0019】
(検知部)
検知部161は、外側の情報に基づいて、遮蔽物Sを検知する。遮蔽物Sは、車両1が走行する車道上または当該車道に接する領域であって、当該車両1よりも当該車両1の進行方向側に存在するものである。遮蔽物Sには、例えば、停車している車両、街路樹、看板、塀、建物等が含まれる。本実施形態に係る検知部161は、カメラが生成した画像に基づいて、遮蔽物Sを検知する。これにより、他の手段を用いる場合に比べて遮蔽物を容易に検知することができる。また、本実施形態に係る検知部161は、機械学習により構築された検知モデルを用いて遮蔽物Sを検知する。検知モデルには、例えば、道路および当該道路上の遮蔽物Sが写った画像を教師データとする機械学習により構築されたものであって、道路が写った画像が入力されることで、当該道路上に遮蔽物Sが存在するか否かの判定結果を出力するものを用いることができる。
【0020】
(領域定義部)
領域定義部162は、遮蔽物Sに基づいて、第一領域Rを定義する。第一領域Rは、遮蔽物Sによって車両1から視認または撮影が困難な領域である。本実施形態に係る領域定義部162が定義する第一領域Rは、図3に示したように、遮蔽物Sを起点Pとして進行方向に沿って延びる第一の辺Eと、遮蔽物Sを起点Pとして車道の中心線から離れる方向に伸びる第二の辺Eと、を有する矩形(長方形)をなしている。具体的には、領域定義部162は、検知した遮蔽物Sにおける一点(例えば端部)の、車両1に対する相対的な経度および緯度を算出する。そして、領域定義部162は、算出した経度および緯度を、直近に取得した(車両側記憶部14に記憶されている中で最新の)車両位置情報に含まれる経度および緯度と合算し、第一領域Rの起点Pを定義する。そして、領域定義部162は、起点Pから車両1の進行方向に沿って延びる長さlの長辺(第一の辺E)と、車道の中心線から離れる方向に起点Pから伸びる長さlの短辺(第二の辺E)と、を2辺とする長方形の第一領域Rを定義する。矩形の第一領域Rの各辺の長さは、公知の各種技術を用いて設定することができる。なお、第一領域Rは、円形、楕円形、台形、平行四辺形、その他の形状をなしていてもよい。
【0021】
(車両側送信制御部)
車両側送信制御部163は、図2に示したように、領域定義部162が第一領域Rを定義した場合に、領域情報をサーバ2(2A)へ送信するよう車両側通信部13を制御する。領域情報は、第一領域Rの範囲を示す情報である。
【0022】
(車両側受信制御部)
車両側受信制御部164は、サーバ2(2A)から、歩行者存在情報を受信するよう車両側通信部13を制御する。歩行者存在情報は、第一領域Rの内側またはその付近に歩行者が存在する旨の情報である。これにより、第一領域Rに端末装置M(それを所持または装着する歩行者)が存在する場合に、車両1は第一領域Rの歩行者の有無を把握することができるようになる。
【0023】
(警笛制御部)
警笛制御部165は、車両側通信部13が通知を受信した場合に、警音器15が警笛を鳴らすための制御を行う。これにより、車両1は通知を受信した(端末装置Mを所持または装着する歩行者が第一領域Rに存在する)場合に、警笛を鳴らす。この警笛を聞いた歩行者は、車両1の接近をより確実に(端末装置Mの警告を見落としていても)認識することができる。このため、歩行者の安全をより一層確保することができる。なお、後述するサーバ2(2A)が、歩行者に対し十分な警告を行えるよう構成されている場合、車両側制御部16は、この警笛制御部165を備えていなくてもよい。
【0024】
[車両の作用効果]
車両1からは、第一領域Rに歩行者が存在するか否かを視認(車載カメラによる検知も含む)することができない。しかし、以上説明してきた本実施形態に係る車両1によれば、遮蔽物Sを検知する度に、第一領域Rを定義し、領域情報をサーバ2(2A)へ送信する。これにより、サーバ2(2A)は、第一領域Rに端末装置Mを所持または装着する歩行者が存在する場合に、遮蔽物Sよって車両1と歩行者が相手の存在に気付かないまま移動し、出合い頭に接触してしまう可能性を低減させるための処理(例えば、後述する車両接近情報を端末装置Mに送信、歩行者存在情報を車両1に送信等)することができるようになる。
【0025】
<第二発明:サーバ>
次に、第二発明の実施形態に係るサーバ2について説明する。
【0026】
[サーバの構成]
サーバ2は、図1に示したように、上記車両1と共に車両接近警告システム100を構成する。本実施形態に係るサーバ2は、セルラー方式で(基地局3を介して)車両1および端末装置Mと通信する。本実施形態に係るサーバ2は、図4に示したように、サーバ側通信部21(通信部)と、サーバ側記憶部22と、サーバ側制御部23と、を備える。
【0027】
〔サーバ側通信部〕
サーバ側通信部21は、端末装置M、および車両1と通信する。本実施形態に係るサーバ側通信部21は、通信モジュールで構成されるとともに、基地局3に接続されている。すなわち、本実施形態に係るサーバ側通信部21は、基地局3を介して端末装置Mおよび車両1と無線通信する。
【0028】
〔サーバ側記憶部〕
サーバ側記憶部22は、データベース221を格納している。本実施形態に係るサーバ側記憶部22は、半導体メモリ、ハードディスクドライブ等で構成されている。
【0029】
〔サーバ側制御部〕
サーバ側制御部23は、第一受信制御部231と、第二受信制御部232と、判断部233と、警告送信制御部234と、通知送信制御部235と、第三受信制御部236と、特定部237と、指示送信制御部238と、第四受信制御部239と、第二特定部240と、情報送信制御部241と、を備える。
【0030】
(第一受信制御部)
第一受信制御部231は、端末装置Mから、当該端末装置Mの位置を示す端末位置情報を繰り返し受信するようサーバ側通信部21を制御する。本実施形態に係る第一受信制御部231は、サーバ側通信部21が受信した端末位置情報をデータベース221に蓄積する。本実施形態に係る第一受信制御部231がデータベース221に蓄積する端末位置情報は、例えば図5に示したように、端末装置Mの識別情報(Ped)、端末装置Mの経度(Lon)、端末装置Mの緯度(Lat)およびこれらの取得時刻(GNSS Time)を含む。これにより、端末装置Mを所持または装着する歩行者の動きを記録しておくことができる。その結果、後で動作の検証等が可能となる。
【0031】
(第二受信制御部)
第二受信制御部232は、図4に示したように、走行中の車両1から、領域情報を受信するようサーバ側通信部21を制御する。本実施形態に係る第二受信制御部232は、サーバ側通信部21が受信した歩行者位置情報をデータベース221に蓄積する。
【0032】
(判断部)
判断部233は、サーバ側通信部21が直近に受信した端末位置情報の中に、サーバ側通信部21が受信した領域情報が示す第二領域Rの内側の位置を示す特定の端末位置情報が含まれるか否かを判断する。第二領域Rは、第一領域Rの少なくとも一部を含み水平方向に所定の広がりを持つ領域である。本実施形態に係る判断部233が判断に用いる第二領域Rは、図6に示したように、第一領域Rの内側に中心を有し、第一領域Rを全て含む所定半径rの円形をなしている。なお、第二領域Rの中心は、第一領域Rの中心または重心(矩形の場合には対角線の交点)と一致していてもよい。これにより、第二領域Rを容易に設定することができる。その結果、警報を送信する端末装置Mも容易に特定することができる。
【0033】
そして、判断部233は、各端末装置Mからそれぞれ直近に受信した端末位置情報のうち、第二領域Rの内側の位置を示す端末位置情報、を送信してきた端末装置Mを特定する。上述したように、第一受信制御部231は、サーバ側通信部21が受信した端末位置情報をデータベース221に蓄積する。このため、本実施形態に係る判断部233は、データベース221に蓄積されている最新の端末位置情報のうち、第二領域Rの内側の位置を示す端末位置情報、を送信してきた端末装置Mを特定する。第二領域Rの内側の位置を示す端末位置情報が複数存在する場合、判断部233は、これらの端末位置情報を送信してきた全ての端末装置Mを特定する。
【0034】
(警告送信制御部)
警告送信制御部234は、直近に受信した端末位置情報の中に、第二領域Rの内側の位置を示す特定の端末位置情報が含まれると判断部233が判断した場合、図4に示したように、当該特定の端末位置情報を送信してきた端末装置Mに、車両接近情報を送信するようサーバ側通信部21を制御する。車両接近情報は、端末装置Mに車両1が接近している旨の情報である。車両接近情報を受信した端末装置Mは、端末装置Mを所持または装着する歩行者へ、車両1が接近している旨警告する。警告は、例えば図7に示したような画面表示、音声出力および振動のいずれか、またはこれらの少なくとも二つの組み合わせによって行われる。これにより、端末装置Mを所持または装着する歩行者であって、第二領域Rの内側に存在する歩行者は、車両1が接近している場合に警告を受けることになる。一方、第二領域Rの外側に存在する歩行者は、警告を受けない。本実施形態に係る警告送信制御部234は、車両接近情報を、セルラー方式で端末装置Mへ送信するようサーバ側通信部21を制御する。これにより、携帯電話機が発する電波を妨害する電波を用いる従来技術と異なり、携帯電話機が発する電波と同じ電波を用いて通信するため、干渉が生じない。
【0035】
また、判断部233が、第二領域Rの内側の位置を示す端末位置情報を送信してきた二以上の端末装置Mを特定した場合、本実施形態に係る警告送信制御部234は、これらの端末装置M全てに車両接近情報を送信するようサーバ側通信部21を制御する。これにより、第二領域Rに複数の歩行者が存在する場合であっても、それぞれの歩行者に、車両1と接触する可能性があることを事前に警告することができる。なお、サーバ側制御部23が後述する通知送信制御部235を備えている場合、サーバ側制御部23は、この警告送信制御部234を備えていなくてもよい。
【0036】
(通知送信制御部)
通知送信制御部235は、直近に受信した端末位置情報の中に、第二領域Rの内側の位置を示す特定の端末位置情報が含まれると判断部233が判断した場合、歩行者存在情報を車両1へ送信するようサーバ側通信部21を制御する。歩行者存在情報を受信した車両1は、車両1に乗車している乗員へ、第一領域Rの内側またはその付近に歩行者が存在する旨通知する。通知は、画面表示または音声、もしくはこれらの組み合わせによって行われる。これにより、車両1に乗車している乗員は、第二領域Rに端末装置Mが存在する場合に通知を受けることになる。このため、車両1およびその乗員は、第一領域Rの内側またはその付近における歩行者の有無を把握することができるようになる。また、サーバ2が車両1の位置情報を把握できなくても(通信ができてさえいれば)、車両接近情報を端末装置Mへ送信する(端末装置Mが歩行者へ警告する)ことができる。なお、サーバ側制御部23が上記警告送信制御部234を備えている場合、サーバ側制御部23は、この通知送信制御部235を備えていなくてもよい。
【0037】
(第三受信制御部)
第三受信制御部236は、車道上に位置する複数の車両1から、各車両1の位置情報および進行方向を含む車両情報を受信するようサーバ側通信部21を制御する。これにより、少なくとも歩行者存在情報の送信先となる車両1の位置を考慮した制御(送信のタイミングを決定する、送信先となる車両1にとっての第一領域Rを、異なる場所から視認するよう他の車両1を制御する等)を行うことができる。
【0038】
(特定部)
特定部237は、直近に受信した端末位置情報の中に、特定の端末位置情報が含まれないと判断部233が判断した場合、サーバ側通信部21が受信した車両情報に基づいて、第二車両1Aを特定する。第二車両1Aは、車両1とは異なる方向から第一領域Rに向かって走行し、かつ外側の情報を取得する情報取得部11を備える車両である。本実施形態に係る特定部237は、車両1とは異なる方向から第一領域Rに向かって走行し、かつ情報取得部11を備える車両であって、第三領域Rの内側に存在する第二車両1Aを特定する。第三領域Rは、第一領域Rの少なくとも一部を含み水平方向に所定の広がりを持つ領域である。本実施形態に係る特定部237が特定に用いる第三領域Rは、図8に示したように、第一領域Rの内側に中心を有し、第一領域Rを全て含む所定半径rの円形をなしている。このように、第三領域Rの半径rを第一領域Rの半径rよりも大きくすることにより、情報取得部11がカメラである場合に、遮蔽物と歩行者を同時に撮像可能な第二車両1Aを特定しやすくなる。なお、第三領域Rの中心は、第一領域Rの中心または重心と一致していてもよい。また、第二車両1Aは、例えば図8に示したような、車両1が走行する車線の対向車線上を車両1と反対方向に走行する車両(車両1の対向車両)であってもよいし、車両1が走行する道路と交差する道路上を走行する車両であってもよい。
【0039】
(指示送信制御部)
指示送信制御部238は、図4に示したように、判定代行指示を、第二車両1Aへ送信するようサーバ側通信部21を制御する。判定代行指示は、外側の情報を取得し、かつ外側の情報に基づいて第一領域Rに歩行者が存在するか否かを判定する旨の指示である。
【0040】
(第四受信制御部)
第四受信制御部239は、第二車両1Aから、第一領域Rに歩行者が存在するか否かの判定結果を受信するようサーバ側通信部21を制御する。
【0041】
(通知送信制御部その2)
本実施形態に係る通知送信制御部235は、サーバ側通信部21が受信した判定結果が第一領域Rに歩行者が存在するものであった場合、歩行者存在情報を車両1へ送信するようサーバ側通信部21を制御する。これにより、車両1は第一領域Rの内側にいる端末装置Mを所持または装着しない歩行者の存在を把握することができる。
【0042】
(第二特定部)
第二特定部240は、サーバ側通信部21が受信した車両情報に基づいて、車道上を、第一領域Rが存在する方向に向かって走行する車両であって、車両1および第二車両1Aとは異なる第三車両1Bを特定する。第三車両1Bは、車両1が走行する車線の対向車線上を車両1と反対方向に走行する車両であってもよいし、車両1が走行する道路と交差する道路上を走行する車両であってもよい。また、第三車両1Bは、例えば図9に示したような、車両1が走行する道路上を当該車両1と同方向に走行する車両(車両1の後続車両)であってもよい。
【0043】
(情報送信制御部)
情報送信制御部241は、領域情報を第三車両1Bへ送信するようサーバ側通信部21を制御する。
【0044】
(通知送信制御部その3)
本実施形態に係る通知送信制御部235は、歩行者存在情報を、第三車両1Bへ送信するようサーバ側通信部21を制御する。これにより、第一領域Rに近づく第三車両1Bに対しても、第一領域Rに歩行者が存在する旨を迅速に通知することができる。本実施形態に係る通知送信制御部235は、図4に示したように、領域情報が第三車両1Bへ送信され、かつ第三車両1Bから第一領域Rに歩行者が存在するか否かの問い合わせを受信した場合に、歩行者存在情報を第三車両1Bへ送信するようサーバ側通信部21を制御する。第一領域Rが多数存在する場合、第三車両1Bへのアラートが頻発しスムーズな運転が阻害される可能性がある。しかし、上記構成により、第三車両1Bが必要に応じて求める場合のみ歩行者が存在する旨通知する。その結果、第三車両1Bはスムーズな運転を継続することができる。
【0045】
[サーバの作用効果]
車両1からは、第一領域Rに歩行者が存在するか否かを視認(車載カメラによる検知も含む)することができない。しかし、以上説明してきた本実施形態に係るサーバ2によれば、図10に示したように、第二領域Rに端末装置Mが存在する場合に、サーバ2が車両接近情報を端末装置Mへ送信する(第二領域Rの外に位置する端末装置Mには送信しない)。そして、車両接近情報を受信した端末装置Mが、端末装置Mを所持または装着する歩行者へ、車両1が接近している旨警告する。このため、端末装置Mを所持または装着する歩行者は、車両1と接触する可能性があることを認識することができるようになる。また、サーバ2によれば、サーバ2が車両1の位置情報を把握できなくても(通信ができてさえいれば)、車両接近情報を端末装置Mへ送信する(端末装置Mが歩行者へ警告する)ことができる。警告を受けた端末装置Mを所持または装着する歩行者は、車両1の接近を意識するようになる。その結果、遮蔽物Sよって車両1と歩行者が相手の存在に気付かないまま移動し、出合い頭に接触してしまう可能性を低減させることができる。
【0046】
<第三発明:サーバ>
次に、第三発明の実施形態に係るサーバ2Aについて説明する。
【0047】
[サーバの構成]
サーバ2Aは、図1に示したように、上記車両1と共に車両接近警告システム100Aを構成する。本実施形態に係るサーバ2Aは、図11に示したように、上記サーバ2と同様のサーバ側通信部21(通信部)およびサーバ側記憶部22の他に、サーバ側制御部23Aを備える。
【0048】
〔サーバ側制御部〕
サーバ側制御部23Aは、上記サーバ2と同様の第一受信制御部231および第二受信制御部232の他に、判断部233Aと、警告送信制御部234Aおよび通知送信制御部235Aの少なくとも一方と、を備える。なお、サーバ側制御部23Aは、上記サーバ2と同様の第三受信制御部236、特定部237、指示送信制御部238、第四受信制御部239、第二特定部240および情報送信制御部241の少なくともいずれかを更に備えていてもよい。
【0049】
(判断部)
判断部233Aは、直近に受信した端末位置情報の中に、図12に示したように、当該端末位置情報が示す位置を含み水平方向に所定の広がりを持つ第四領域R(他の領域)の一部が、第一領域Rの一部と重なる特定の端末位置情報が含まれるか否かを判断する。本実施形態に係る判断部233Aが判断に用いる第四領域Rは、端末位置情報が示す位置を中心とする所定半径rの円形をなしている。所定半径rは、第一受信制御部231が端末位置情報の受信を繰り返す周期に応じて決定されている。具体的には、周期が長い場合には所定半径rを大きくし、短い場合には小さくする。端末位置情報の受信を繰り返す周期が長い(短い)と、1周期の間に歩行者が移動する距離は相対的異に長く(短く)なる。このため、上記構成によれば、所定半径rを適切に設定することができる。
【0050】
(警告送信制御部)
本実施形態に係る警告送信制御部234Aは、直近に受信した端末位置情報の中に、第四領域Rの一部が、第一領域Rの一部と重なる特定の端末位置情報が含まれると判断部233Aが判断した場合に、当該特定の端末位置情報を送信してきた端末装置Mに、車両接近情報を送信するようサーバ側通信部21を制御する。
【0051】
(通知送信制御部)
本実施形態に係る通知送信制御部235Aは、直近に受信した端末位置情報の中に、第四領域Rの一部が、第一領域Rの一部と重なる特定の端末位置情報が含まれると判断部233Aが判断した場合、歩行者存在情報を車両1へ送信するようサーバ側通信部21を制御する。
【0052】
[サーバの作用効果]
車両1からは、第一領域Rに歩行者が存在するか否かを視認(車載カメラによる検知も含む)することができない。しかし、以上説明してきた本実施形態に係るサーバ2Aによれば、第四領域Rの一部が、第一領域Rの一部と重なる(端末装置Mが第一領域Rに存在する)場合に、サーバ2Aが車両接近情報を端末装置Mへ送信する(第四領域Rが第一領域Rと接しない端末装置Mには送信しない)。そして、車両接近情報を受信した端末装置Mが、端末装置Mを所持または装着する歩行者へ、車両1が接近している旨警告する。このため、端末装置Mを所持または装着する歩行者は、自身が車両1から視認できない可能性がある位置にいることを認識することができ、それにより車両1と接触する可能性があることを認識することができるようになる。また、サーバ2Aによれば、サーバ2Aが車両1の位置情報を把握できなくても(通信ができてさえいれば)、車両接近情報を端末装置Mへ送信する(端末装置Mが歩行者へ警告する)ことができる。警告を受けた端末装置Mを所持または装着する歩行者は、車両1の接近を意識するようになる。その結果、遮蔽物Sよって車両1と歩行者が相手の存在に気付かないまま移動し、出合い頭に接触してしまう可能性を低減させることができる。
【0053】
<第四発明:車両接近警告方法>
次に、第四発明の実施形態に係る車両接近警告方法について説明する。
【0054】
[車両接近警告方法の流れ]
車両接近警告方法は、図13に示したように、測定ステップS1と、第一通知ステップS2と、検知ステップS3と、定義ステップS4と、第二通知ステップS5と、判断ステップS6と、警告ステップS7と、を有する。
【0055】
(測定ステップ)
初めの測定ステップS1では、歩行者が所持または装着する端末装置Mの位置を測定する。この測定ステップS1は、例えば端末装置Mが自身の位置を測定し端末位置情報を生成することにより行うことができる。本実施形態に係る車両接近警告方法では、この測定ステップS1を、所定周期で繰り返し行う。
【0056】
(第一通知ステップ)
端末装置Mが位置を測定した後は、第一通知ステップS2に移る。第一通知ステップS2では、測定した端末装置Mの位置をサーバ2、2Aへ通知する。この第一通知ステップS2は、例えば端末装置Mが端末位置情報を送信し、それを上記サーバ2、2Aが受信することにより行うことができる。本実施形態に係る車両接近警告方法では、この第一通知ステップS2を、端末装置Mが位置を測定する度に行う。すなわち、この第一通知ステップS2を、繰り返し行う。
【0057】
(検知ステップ)
上記ステップS1、S2の繰り返しと並行して、検知ステップS3を行う。検知ステップS3では、遮蔽物Sを検知する。この検知ステップS3は、例えば上記車両1が、外側の情報に基づいて、遮蔽物Sを検知することにより行うことができる。本実施形態に係る車両接近警告方法では、この測定ステップS1を、繰り返し行う。
【0058】
(定義ステップ)
遮蔽物Sを検知した後は、定義ステップS4に移る。定義ステップS4では、検知した遮蔽物Sに基づいて、第一領域Rを定義する。この定義ステップS4は、例えば上記車両1が領域情報を生成することにより行うことができる。
【0059】
(第二通知ステップ)
第一領域Rを定義した後は、第二通知ステップS5に移る。第二通知ステップS5では、定義した第一領域Rの範囲をサーバ2、2Aへ通知する。この第二通知ステップS5は、例えば、上記車両1が領域情報を送信し、それをサーバ2、2Aが受信することにより行うことができる。
【0060】
(判断ステップ)
第一領域Rの範囲を通知した後は、判断ステップS6に移る。判断ステップS6では、第二領域Rの内側に端末装置Mが存在するか否かを判断する。この判断ステップS6は、例えば、上記サーバ2が直近に受信した端末位置情報の中に、第二領域Rの内側の位置を示す特定の端末位置情報が含まれるか否かを判断することにより行うことができる。なお、この判断ステップS6で、上記サーバ2Aが直近に受信した端末位置情報の中に、当該端末位置情報が示す位置を含み水平方向に所定の広がりを持つ第四領域Rの一部が、第一領域Rの一部と重なる特定の端末位置情報が含まれるか否かを判断してもよい。
【0061】
(警告ステップ)
第二領域Rの内側に端末装置Mが存在すると判断した場合は、警告ステップS7に移る。警告ステップS7では、特定の端末装置Mを所持または装着する歩行者へ、車両1が接近している旨警告する。この警告ステップS7は、例えば上記サーバ2、2Aが車両接近情報を送信し、それを端末装置Mが受信し、受信した車両接近情報に基づいて警告することにより行うことができる。
【0062】
[車両接近警告方法の作用効果]
車両1からは、第一領域Rに歩行者が存在するか否かを視認(車載カメラによる検知も含む)することができない。しかし、以上説明してきた車両接近警告方法によれば、第二領域Rに端末装置Mを所持または装着する歩行者が存在する場合、第二領域Rの内側に存在する全ての歩行者に警告する。このため、第二領域Rの内側で端末装置Mを所持または装着する歩行者は、車両1と接触する可能性があることを認識することができるようになる。その結果、遮蔽物Sよって車両1と歩行者が相手の存在に気付かないまま移動し、出合い頭に接触してしまう可能性を低減させることができる。
【0063】
[変形例1]
なお、車両接近警告方法は、図14に示したように、上記ステップS1~S6の他に、第三通知ステップS11と、第二判断ステップS12と、第二警告ステップS13と、第四通知ステップS14と、を有していてもよい。
【0064】
(第三通知ステップ)
第二領域Rの内側に端末装置Mが存在すると判断した(ステップS6:YESの)場合に行われる第三通知ステップS11では、第二通知ステップS5において通知された第一領域Rの範囲を端末装置Mへ通知する。この第三通知ステップS11は、例えば上記サーバ2、2Aが領域情報を送信し、それを上記端末装置Mが受信することにより行うことができる。
【0065】
(第二判断ステップ)
第一領域R1の範囲を通知した後は、第二判断ステップS12に移る。第二判断ステップS12では、第一領域Rの内側に端末装置Mが存在するか否かを判断する。この第二判断ステップS12は、例えば上記端末装置Mが直近に生成した端末位置情報が、第一領域Rの内側の位置を示しているか否かを判断することにより行うことができる。
【0066】
(警告ステップ)
端末装置Mが第一領域R1の内側に存在すると判断した場合は、第二警告ステップS13に移る。第二警告ステップS13では、第一領域Rの内側に存在する端末装置Mを所持または装着する歩行者へ、車両1が接近している旨警告する。この第二警告ステップS7は、例えば端末装置Mが警告することにより行うことができる。
【0067】
(第四通知ステップ)
上記第二警告ステップS13と並行して、第四通知ステップS14を行う。第四通知ステップS14では、車両1へ、第一領域Rの内側またはその付近に歩行者が存在する旨通知する。この第四通知ステップS14は、例えば、端末装置Mが歩行者存在情報を送信し、それをサーバ2、2Aが車両1へ転送し、それを車両1が受信し、受信した歩行者存在情報に基づいて通知することにより行うことができる。
【0068】
以上説明してきたようにすれば、端末装置Mを所持または装着する歩行者への警告、および車両1へ乗車している乗員への通知を、リアルタイムに限りなく近い端末装置Mの位置に基づいて行うことができる。なお、上記実施形態に係る車両接近警告方法は、対象歩行者選択の精度が変形例1に係る方法よりも低い。一方、上記実施形態に係る方法は、変形例1よりも迅速に歩行者へ警告することができる。
【0069】
[変形例2]
また、車両接近警告方法は、図15に示したように、上記ステップS1~S5の他に、第三判断ステップS21と、第三警告ステップS22と、を有していてもよい。
【0070】
(判断ステップ)
第一領域Rの範囲を通知した(ステップS5の)後に行われる第三判断ステップS21では、第二領域Rの内側、かつ第一領域Rの内側に端末装置Mが存在するか否かを判断する。この第三判断ステップS21は、例えば、上記サーバ2が直近に受信した端末位置情報の中に、第二領域Rの内側、かつ第一領域Rの内側の位置を示す特定の端末位置情報が含まれるか否かを判断することにより行うことができる。
【0071】
(警告ステップ)
第二領域Rの内側、かつ第一領域Rの内側に端末装置Mが存在すると判断した場合は、第三警告ステップS22に移る。第三警告ステップS22では、特定の端末装置Mを所持または装着する歩行者へ、車両1が接近している旨警告する。この警告ステップS7は、例えば上記サーバ2、2Aが車両接近情報を送信し、それを端末装置Mが受信し、受信した車両接近情報に基づいて警告することにより行うことができる。
【0072】
端末装置Mおよびそれを所持または装着する歩行者が、第二領域R内には存在するが第一領域Rの外側に存在している場合、当該歩行者は、第一領域R1の内側に存在する場合に比べ、車両1と衝突する可能性が低くなる。そこで、以上説明してきたようにすれば、上記のような場合に、歩行者に警告が行われなくなる。すなわち、以上説明してきたようにすれば、警告すべき歩行者の選択精度を向上させることができる。
【0073】
<第一~第四発明その他>
上記車両1、サーバ2、2Aおよび端末装置M(以下、装置)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に車両側制御部16、サーバ側制御部23、23Aに含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記実施形態で説明した各機能が実現される。上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0074】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0075】
また、以上説明してきた本発明の各態様によれば、上述した作用効果を奏することにより、車両1と歩行者との接触事故による死傷者を低減させることが可能となる。その結果、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標3「すべての人に健康と福祉を」の達成に貢献することができる。
【0076】
また、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
100、100A 車両接近警告システム
1 車両
11 情報取得部
12 第二情報取得部
13 車両側通信部
14 車両側記憶部
15 警音器
16 車両側制御部
161 検知部
162 領域定義部
163 車両側送信制御部
164 車両側受信制御部
165 警笛制御部
1A 第二車両
1B 第三車両
2、2A サーバ
21 サーバ側通信部
22 サーバ側記憶部
221 データベース
23、23A サーバ側制御部
231 第一受信制御部
232 第二受信制御部
233、233A 判断部
234、234A 警告送信制御部
235、235A 通知送信制御部
236 第三受信制御部
237 特定部
238 指示送信制御部
239 第四受信制御部
240 第二特定部
241 情報送信制御部
3 基地局
第一領域
P 起点
第一の辺
第二の辺
第二領域
第三領域
第四領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15