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特開2024-21425液体レベルセンサ、液体貯留装置および薬注システム
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  • 特開-液体レベルセンサ、液体貯留装置および薬注システム 図1
  • 特開-液体レベルセンサ、液体貯留装置および薬注システム 図2
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  • 特開-液体レベルセンサ、液体貯留装置および薬注システム 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021425
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】液体レベルセンサ、液体貯留装置および薬注システム
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/292 20060101AFI20240208BHJP
   C02F 1/66 20230101ALI20240208BHJP
   C02F 5/00 20230101ALI20240208BHJP
【FI】
G01F23/292 B
C02F1/66 530K
C02F1/66 530C
C02F5/00 610F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124241
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】濱田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】松村 涼
(72)【発明者】
【氏名】田窪 千菜
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB01
2F014FA01
(57)【要約】
【課題】結露による検出不良を抑制できる液体レベルセンサを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る液体レベルセンサ20は、液体を貯留する液体タンク10の上部に取り付けられ、上下に貫通するレーザ光路211を有するホルダ21と、前記レーザ光路211の上端に配置され、前記レーザ光路211を通してレーザ光を照射する投光部および前記レーザ光の反射光を受光する受光部を有するレーザユニット22と、を備え、前記ホルダ21は、前記レーザ光路211を液体タンク10の外部空間に連通させる通気孔212をさらに有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する液体タンクの上部に取り付けられ、上下に貫通するレーザ光路を有するホルダと、
前記レーザ光路の上端に配置され、前記レーザ光路を通してレーザ光を照射する投光部および前記レーザ光の反射光を受光する受光部を有するレーザユニットと、
を備え、
前記ホルダは、前記レーザ光路を液体タンクの外部空間に連通させる通気孔をさらに有する、液体レベルセンサ。
【請求項2】
前記レーザ光路は、上側に向かって縮径する円錐状である、請求項1に記載の液体レベルセンサ。
【請求項3】
前記ホルダは、下部外側に突出するフランジ部と、前記フランジ部より下方に突出する環状の突端部と、をさらに有する、請求項1または2に記載の液体レベルセンサ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の液体レベルセンサと、
上部に前記ホルダが取り付けられるセンサ開口を有し、前記液体を貯留する液体タンクと、
を備える、液体貯留装置。
【請求項5】
前記液体タンクは、上部に前記センサ開口から独立して設けられる液体投入口をさらに有し、前記レーザユニットは、前記液体投入口よりも高い位置に配置される、請求項4に記載の液体貯留装置。
【請求項6】
請求項3に記載の液体レベルセンサと、
上部に外ねじが形成された筒状のセンサ取付部を有し、前記液体を貯留する液体タンクと、
前記外ねじに螺合し、前記フランジ部を前記センサ取付部の上端に押圧するナットと、
を備える、液体貯留装置。
【請求項7】
請求項4に記載の液体貯留装置と、
前記液体タンクから前記液体を排出する排出装置と、
前記排出装置を制御する排出制御部、並びに前記液体レベルセンサの検出値および前記排出装置への指令値に基づいて前記排出装置の動作状態を判定する動作状態判定部を有する制御装置と、
とを備える、薬注システム。
【請求項8】
前記動作状態判定部は、前記指令値の積算値が所定量だけ前記液体を排出させる値に達するごとに前記排出装置の動作状態を判定する、請求項7に記載の薬注システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記液体レベルセンサの検出値の移動平均に基づいて前記液体タンク内の前記液体の量を算出する液量算出部をさらに有し、
前記動作状態判定部は、前記液量算出部が前記移動平均を算出する期間よりも長い期間の前記液体レベルセンサの検出値の平均に基づいて前記排出装置の動作状態を判定する、請求項7に記載の薬注システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体レベルセンサ、液体貯留装置および薬注システムに関する。
【背景技術】
【0002】
液体貯留装置の液体レベル、つまり貯留されている液体の液面高さを検出する液体レベルセンサが広く利用されている。液体レベルセンサには様々な方式のものがあるが、液面にレーザ光を照射して液面での反射光を受光し、レーザ光の出射から反射光の受光までの時間からセンサと液面との距離を算出するToF(Time of Flight)方式の液体レベルセンサが知られている。
【0003】
液体レベルセンサについて、液体の特性を考慮して検出精度を向上する様々な提案がなされている。例として、液面の波打ちによる検出精度の低下を抑制するために、複数組のレーザ照射機および受光器を設け、複数の計測値の平均として液面高さを算出することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-258223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体レベルセンサは、液体貯留装置の蓋体に配設されることが多い。蓋体によって封止された液体貯留装置のヘッドスペースは、液体の溶媒の蒸気で満たされ得る。このような場合、雰囲気温度の低下により液体レベルセンサのレーザ光出射部に結露が付着し、検出が阻害される場合がある。
【0006】
このため、本発明は、結露による検出不良を抑制できる液体レベルセンサ、液体貯留装置および薬注システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る液体レベルセンサは、液体を貯留する液体タンクの上部に取り付けられ、上下に貫通するレーザ光路を有するホルダと、前記レーザ光路の上端に配置され、前記レーザ光路を通してレーザ光を照射する投光部および前記レーザ光の反射光を受光する受光部を有するレーザユニットと、を備え、前記ホルダは、前記レーザ光路を液体タンクの外部空間に連通させる通気孔をさらに有する。
【0008】
上述の液体レベルセンサにおいて、前記レーザ光路は、上側に向かって縮径する円錐状であってもよい。
【0009】
上述の液体レベルセンサにおいて、前記ホルダは、下部外側に突出するフランジ部と、前記フランジ部より下方に突出する環状の突端部と、をさらに有してもよい。
【0010】
本発明の一態様に係る液体貯留装置は、上述の液体レベルセンサと、上部に前記ホルダが取り付けられるセンサ開口を有し、前記液体を貯留する液体タンクと、を備える。
【0011】
上述の液体貯留装置において、前記液体タンクは、上部に前記センサ開口から独立して設けられる液体投入口をさらに有し、前記レーザユニットは、前記液体投入口よりも高い位置に配置されてもよい。
【0012】
本発明の別の態様に係る液体貯留装置は、上述の液体レベルセンサと、上部に外ねじが形成された筒状のセンサ取付部を有し、前記液体を貯留する液体タンクと、前記外ねじに螺合し、前記フランジ部を前記センサ取付部の上端に押圧するナットと、を備える。
【0013】
本発明の一態様に係る薬注システムは、上述の液体貯留装置と、前記液体タンクから前記液体を排出する排出装置と、前記排出装置を制御する排出制御部、並びに前記液体レベルセンサの検出値および前記排出装置への指令値に基づいて前記排出装置の動作状態を判定する動作状態判定部を有する制御装置と、とを備える。
【0014】
上述の薬注システムにおいて、前記動作状態判定部は、前記指令値の積算値が所定量だけ前記液体を排出させる値に達するごとに前記排出装置の動作状態を判定してもよい。
【0015】
上述の薬注システムにおいて、前記制御装置は、前記液体レベルセンサの検出値の移動平均に基づいて前記液体タンク内の前記液体の量を算出する液量算出部をさらに有し、前記動作状態判定部は、前記液量算出部が前記移動平均を算出する期間よりも長い期間の前記液体レベルセンサの検出値の平均に基づいて前記排出装置の動作状態を判定してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、結露による検出不良を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る薬注システムを示す斜視図である。
図2図1の薬注システムの正面図である。
図3図1の薬注システムの概略構成図である。
図4図1の薬注システムの液体レベルセンサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明をする。図1は、本発明の一実施形態に係る薬注システム1を示す斜視図である。図2は、薬注システム1の正面図である。図3は、薬注システム1の概略構成図である。
【0019】
発明の一実施形態に係る薬注システム1は、液体を貯留する液体貯留装置100と、液体貯留装置100から液体を排出する排出装置200と、液体貯留装置100および排出装置200に関する制御を行う制御装置300と、を備える。薬注システム1は、例えば水処理設備において被処理水に薬液を注入するために用いられる。したがって、薬注システム1が取り扱う液体としては、例えばpH調整剤、スケール防止剤、腐食防止剤等の薬液が想定される。
【0020】
液体貯留装置100は、それ自体が本発明に係る液体貯留装置の一実施形態である。液体貯留装置100は、液体を貯留する液体タンク10と、液体タンク10に貯留される液体の高さを検出する液体レベルセンサ20と、液体レベルセンサ20を液体タンク10に取り付けるナット30と、を備える。また、液体貯留装置100は、液体タンク10の液面の高さを目視確認するためのチューブラ式液面計40をさらに備える。
【0021】
液体タンク10は、液体レベルセンサ20が用いるレーザ光を反射せず、かつ外光を遮断する材料から形成されることが好ましく、例えば樹脂製のタンクとすることができる。液体タンク10の有効高さ(液体レベルセンサ20の検出範囲)は、本発明の効果が特に顕著となる範囲として、好ましくは0.3m以上1.0m以下、より好ましくは0.4m以上0.8m以下とされる。このため、液体タンク10の容量としては、10L以上500L以下が想定される。
【0022】
液体タンク10は、上部に、液体レベルセンサ20が取り付けられるセンサ開口11を有するセンサ取付部12と、センサ開口11から独立して設けられる液体投入口13を有する液体投入部14と、を有する。センサ取付部12は、センサ開口11を封止するよう、液体レベルセンサ20を取り付けるために、例えばねじ、フランジ、フェルール等の周知の継手構造を有し得る。本実施形態において、センサ取付部12は、外ねじが形成された筒状に構成されている。液体投入部14も、液体投入口13を封止するための任意の継手構造を有し得る。本実施形態において、液体投入部14は、センサ取付部12と同様に外ねじを有する筒状に形成される。これにより、液体投入口13は、内ねじを有する筒部と筒部の上端を封止する蓋部とを有するキャップ部材15によって封止され得る。なお、センサ取付部12および液体投入部14の継手構造は、液体タンク10の内圧の変動を防止するために、完全な気密構造とされないこと、例えばシール部材を使用しないことが好ましい。
【0023】
液体レベルセンサ20は、それ自体が本発明に係る液体レベルセンサの一実施形態である。液体レベルセンサ20は、図4および図5に詳しく示すように、液体タンク10の上部のセンサ取付部12に取り付けられるホルダ21と、ホルダ21の上端に取り付けられるレーザユニット22と、を備える。本実施形態の液体レベルセンサ20は、ホルダ21とレーザユニット22の間に挟み込まれるレンズ23およびスペーサ24と、ホルダ21に固定され、レーザユニット22を覆うケース25と、をさらに備える。また、本実施形態の液体レベルセンサ20でが、ホルダ21とレンズ23の間にはカバーパッキン26が配設され、ホルダ21とスペーサ24の間には下側Oリング27が配設され、スペーサ24とレーザユニット22の間には上側Oリング28が配設され、ホルダ21とケース25の間にはケースパッキン29が配設される。
【0024】
ホルダ21は、レーザユニット22を保持すると共に、レーザユニット22の測定光の光路を提供する。ホルダ21は、上下に貫通するレーザ光路211と、レーザ光路211を液体タンク10の外部空間に連通させる1または複数の通気孔212と、下部外側に突出するフランジ部213と、フランジ部213より下方に突出し、レーザ光路211を取り囲む環状の突端部214と、を有する。また、ホルダ21は、頂部にレンズ23およびスペーサ24を受け入れるよう形成される凹部215を有する。
【0025】
ホルダ21は、レーザユニット22を液体投入口13よりも高い位置に保持することが好ましい。これにより、誤って液体タンク10に液体を投入し過ぎた場合にもレーザ光路211の上部まで液体が入り込むことを防止できる。また、ホルダ21は、金属等と比べて熱伝導率が低く、レーザユニット22が用いるレーザ光を実質的に反射しないように着色された樹脂で形成されることが好ましい。
【0026】
レーザ光路211は、上側に向かって縮径する円錐状であることが好ましい。これにより、レーザ光路211の容積を比較的小さくして通気孔212から導入される外気により効果的に結露を抑制できる。円錐状のレーザ光路211の頂角としては、通気孔212から導入される外気を効果的に頂部に導いて結露を抑制するために、30°以上60°以下が好ましい。レーザ光路211の高さとしては、通気孔212から導入される外気で内部を置換し易くしつつ液体タンク10の内部空間からの独立性を高めて液体タンク10からの蒸気の進入を抑制するために、20mm以上50mm以下が好ましい。
【0027】
通気孔212は、ケース25とナット30の間に位置するよう形成され、レーザ光路211を外部空間に連通させる。通気孔212は、1つでもよいが、複数形成することによって、いずれかが液滴で封止されても他の通気孔212から外気を導入できる。具体的な通気孔212の数としては、ホルダ21のコストおよび強度を考慮して、3または4とすることが好ましい。
【0028】
通気孔212は、ホルダ21の高さを不必要に増大させないよう水平に形成されてもよい。また、通気孔212は、径方向に形成されてもよく、例えば接線方向等の傾斜方向に形成されてもよい。通気孔212の径としては、液滴等で閉塞を防止しつつホルダ21の高さを抑制するために、2mm以上5mm以下とすることが好ましい。
【0029】
フランジ部213は、センサ取付部12の上端、つまりセンサ開口11の周囲に当接し、ホルダ21を液体タンク10に対して位置決めするために用いられる。本実施形態において、フランジ部213は、ナット30によってセンサ取付部12の上端に押圧される設計であるため、比較的幅の狭い簡素な平板リング状の構成であるが、例えばボルト穴を有する構成、ヘルールによって保持可能なテーパ構造を有する構成等も採用可能である。
【0030】
突端部214は、フランジ部213よりも下方に突出し、レーザ光路211の内面を伝い降りる液滴を液体タンク10の内部に落下させ、液体がフランジ部213とセンサ取付部12との隙間に浸入することを防止する。これにより、液体タンク10に貯留される液体が外部に染み出すことがないので、多様な薬液を比較的安全に取り扱うことができる。
【0031】
液体レベルセンサ20は、レーザユニット22が通気孔212により外部と連通するレーザ光路211を通してレーザ光を投光および受光する。外気温度が低下して、液体タンク10のヘッドスペースの内壁に結露が生じる場合であっても、液体タンク10のヘッドスペースの内圧低下により通気孔212からレーザ光路211に外気が吸い込まれ、液体の蒸気の濃度が低下するので、レーザ光路211には結露が生じにくい。このため、液体レベルセンサ20は、結露によってレーザ光の投光および受光が阻害されることによる検出不良を抑制できる。
【0032】
レーザユニット22は、レーザ光路211の上端に配置され、レーザ光路211を通してレーザ光を照射する投光部およびレーザ光の反射光を受光する受光部を有する。投光部と発光部とが別々に設けられてもよいが、本実施形態のレーザユニット22は、基板221と、基板に実装され、レーザダイオードからなる投光部およびフォトダイオードからなる受光部を有する単一のセンサチップ222と、を有する構成とされている。
【0033】
レーザユニット22は、例えば基板221を貫通するユニット固定ネジ223によってホルダ21に取り付けられる。基板221は、スペーサ24を介してレンズ23を凹部215の底面に圧接し、レーザ光路211を封止する。
【0034】
レンズ23は、レーザユニット22の投光部から出射されるレーザ光を適切に液面に照射し、液面の反射光がレーザユニット22の受光部に適切に入射するよう、レーザ光を調整する。また、レンズ23は、レーザ光路211を封止し、液体タンク10の内部の気体がレーザユニット22に接触することを防止するカバーとしても機能する。
【0035】
スペーサ24は、センサチップ222を収容する開口を有し、センサチップ222が直接レンズ23に圧接されることを防止する。
【0036】
ケース25は、センサチップ222とは接触しないようホルダ21に取り付けられ、レーザユニット22を収容する密閉空間を形成する。つまり、ケース25は、レーザユニット22を保護する外装部材である。
【0037】
ナット30は、液体タンク10のセンサ取付部12の外ねじに螺合し、ホルダ21のフランジ部213をセンサ取付部12の上端に押圧する。つまり、ナット30は、液体レベルセンサ20を液体タンク10に固定する固定部材である。
【0038】
排出装置200は、制御装置300から指示される量だけ液体タンク10から液体を送出するポンプを有する周知の液体供給装置である。
【0039】
制御装置300は、例えばメモリ、プロセッサ等を有し、適切な制御プログラムを実行する1または複数のコンピュータ装置によって構成され得る。なお、制御装置300は、薬注システム1の他の構成要素と一体に設けられる必要はなく、その一部または全体が複数の薬注システム1および他の機器を遠隔制御する集中制御装置であってもよく、一部または全体がネットワーク上に分散配置されるクラウドコンピュータであってもよい。制御装置300は、排出装置200を制御する排出制御部301と、液体タンク10が貯留する液体の量を算出する液量算出部302と、排出装置200の動作状態を判定する動作状態判定部303と、を有する構成とされ得る。なお、制御装置300の構成要素は、制御装置300の機能を類別したものであって、物理構成およびプログラム構成において明確に区分できるものでなくてもよい。
【0040】
排出制御部301は、操作プログラム、外部信号等に従って、排出装置200を制御する。例として、排出制御部301は、薬注システム1により水処理剤を投入する水処理設備において、水質等を監視しながら設備全体を管理する主制御装置からの要求信号に応じて排出装置200を適切な量だけ動作させるような指令値を入力する構成とされ得る。
【0041】
液量算出部302は、液体レベルセンサ20の検出値に基づいて、液体タンク10内の液体の量の現在値を算出する。液量算出部302は、例えば散乱光、液面の揺れ等に起因する誤差を低減するために、液体レベルセンサ20の検出値の移動平均に基づいて、液体タンク10内の液体の量を算出することが好ましい。液量算出部302が液体レベルセンサ20の検出値を平均する時間範囲の下限としては、十分な測定精度を得るために、10秒が好ましく、30秒がより好ましい。一方、液量算出部302が液体レベルセンサ20の検出値を平均する時間範囲の上限としては、リアルタイムに液量を確認するために、5分が好ましく、3分がより好ましい。
【0042】
動作状態判定部303は、液体レベルセンサ20の検出値および排出装置200への指令値に基づいて排出装置200の動作状態を判定する。つまり、動作状態判定部303は、排出装置200への指令値に基づく液体の排出量の理論値と、液体レベルセンサ20により確認される液体タンク10内の液体の実際の減少量と、の差が大きい場合には、排出装置200の動作不良等の異常の可能性があると判定する。
【0043】
動作状態判定部303は、液量算出部302が移動平均を算出する期間よりも長い期間の液体レベルセンサ20の検出値の平均に基づいて排出装置200の動作状態を判定することが好ましい。液量算出部302による液体の現在量の算出よりもさらに誤差が小さくなる長時間の平均値により液体の実際の減少量を確認することで、排出装置200の動作状態をより正確に判定できる。動作状態判定部303が液体レベルセンサ20の検出値を平均する時間範囲の下限としては、十分な測定精度を得るために、1時間が好ましく、3時間がより好ましい。一方、動作状態判定部303が液体レベルセンサ20の検出値を平均する時間範囲の上限としては、動作不良の発見の遅れを抑制するために、24時間が好ましく、12時間がより好ましく、6時間さらに好ましい。また、動作状態判定部303は、液体が補充されたと判断される場合や電源が遮断されたと判断される場合には、それらに起因する誤った判定を防止するために、動作状態の判定を行わないよう構成されてもよい。
【0044】
動作状態判定部303は、指令値の積算値が所定量(演算排出量)だけ液体を排出させる値に達するごとに排出装置200の動作状態を判定することが好ましい。一定の時間間隔で動作状態を判定すると、判定区間における液体排出量が小さい場合に判定精度が低下するおそれがある。このため、排出装置200の液体排出量の理論値が所定の演算排出量となるごとに液体レベルセンサ20の検出値に基づいて実際の液量を算出し、前回の液量の算出値との差分である実際の排出量と演算排出量との差を確認することで、判定精度を担保することができる。演算排出量としては、液体タンク10の容量の1%以上5%以下が好ましく、2%以上3%以下がより好ましい。
【0045】
以上の構成を有する薬注システム1は、結露による測定不良を抑制できる液体レベルセンサ20を備えるため、排出装置200の動作状態を正確に確認できるので、正確な薬液投入を担保することができる。
【0046】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。液体レベルセンサにおいて、レンズは、省略またはフィルタ、カバーガラス等と置換されてもよい。また、レーザユニットがレンズ等を有し、レーザ光路に露出してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 薬注システム
10 液体タンク
11 センサ開口
12 センサ取付部
11 センサ開口
13 液体投入口
14 液体投入部
15 キャップ部材
20 液体レベルセンサ
21 ホルダ
22 レーザユニット
23 レンズ
24 スペーサ
25 ケース
26 カバーパッキン
27 下側Oリング
28 上側Oリング
29 ケースパッキン
30 ナット
100 液体貯留装置
200 排出装置
211 レーザ光路
212 通気孔
213 フランジ部
214 突端部
215 凹部
221 基板
222 センサチップ
300 制御装置
301 排出制御部
302 液量算出部
303 動作状態判定部
図1
図2
図3
図4