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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002144
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】異常判定装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20231228BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20231228BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101174
(22)【出願日】2022-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】西島 奈央
(72)【発明者】
【氏名】富久 大成
(72)【発明者】
【氏名】稻葉 貴則
【テーマコード(参考)】
5G064
5L049
【Fターム(参考)】
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB18
5G064DA05
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】監視対象とする複数の計測値に異常な値が含まれているか否かを判定する異常判定装置を提供する。
【解決手段】監視対象とする複数の計測値に異常な値が含まれているか否かを判定する異常判定装置20であって、複数の計測器11のそれぞれで取得された、関連性がある同時期の計測値で構成される計測値グループについて、計測値グループを構成する複数の計測値の全てについて定められたその関連性に関する所定の判定条件が満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値の全てが正常であると判定し、判定条件が満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値の少なくとも一つが異常であると判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象とする複数の計測値に異常な値が含まれているか否かを判定する異常判定装置であって、
複数の計測器のそれぞれで取得された、関連性がある同時期の計測値で構成される計測値グループについて、
前記計測値グループを構成する複数の前記計測値の全てについて定められた前記関連性に関する所定の判定条件が満たされる場合、前記計測値グループに含まれる前記複数の計測値の全てが正常であると判定し、
前記判定条件が満たされない場合、前記計測値グループに含まれる前記複数の計測値の少なくとも一つが異常であると判定する異常判定装置。
【請求項2】
前記判定条件は、前記計測値グループを構成する前記複数の計測値の全てを変数として含む関数式から導き出された値が所定の範囲内にあることである請求項1に記載の異常判定装置。
【請求項3】
前記判定条件は、前記計測値グループを構成する前記複数の計測値の全てが複数の条件式の何れかに含まれる場合に、当該複数の条件式の全てが満たされることである請求項1に記載の異常判定装置。
【請求項4】
監視対象とする前記複数の計測値は、特定の施設でのガス消費量に関連する値を含む請求項1~3の何れか一項に記載の異常判定装置。
【請求項5】
監視対象とする前記複数の計測値は、特定の施設での電力消費量に関連する値を含む請求項1~3の何れか一項に記載の異常判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視対象とする複数の計測値に異常な値が含まれているか否かを判定する異常判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)機器の普及と共に、様々な計測器で計測されたデータが遠隔地にあるサーバ装置等で収集されるようになった。特許文献1(特開2021-111034号公報)には、監視対象とする第1のセンサーの計測値及び第2のセンサーの計測値をサーバ装置で収集し、それらに異常な値が含まれているか否かを判定する手法が記載されている。具体的には、特許文献1に記載の手法では、第1のセンサーを用いて時間的間隔を空けて複数の計測値を取得し、それらの計測値の所定の時間間隔での変化率を第1の複数の値として取得する。同様に、第2のセンサーを用いて時間的間隔を空けて複数の計測値を取得し、それらの計測値の所定の時間間隔での変化率を第2の複数の値として取得する。そして、同じ時刻の計測に基づいて得られた第1のセンサーの計測値に基づく値(変化率)と第2のセンサーの計測値に基づく値(変化率)とを一組にして、各組に対応する点を座標上にプロットする。そして、座標上に設定される複数の領域のそれぞれにプロットされた組の数が、時間経過と共に変化した場合、第1のセンサー及び第2のセンサーの計測値に異常が発生したと判定する。
【0003】
また、特許文献1に記載の発明では、センサーの数が3個以上の場合には、それら3個以上のセンサーの中から2つのセンサーを選択して得られるセンサー対を生成し、センサー対の一方を第1のセンサーとし、他方を第2のセンサーとしている。そして、それら第1のセンサー及び第2のセンサーの計測値に異常が発生したか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-111034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
IoT機器で計測された計測値がサーバ装置へ転送されるまでの間には、様々な通信機器が介在する。そのため、計測値がサーバ装置へ転送されるまでの間に、異常な事象が発生する可能性がある。
【0006】
例えば、通信機器を動作させるためのソフトウェアにバグが含まれている場合、計測値自体は正常な値であったとしても、正しいタイミングでサーバ装置に送信されない可能性がある。そして、サーバ装置では、計測器で本来計測されたのとは異なる不適切な時刻に関連付けられた計測値として取り扱われる可能性がある。
【0007】
また、通信機器のプログラム内潜在バグにより、計測値が本来計測されたのとは異なる不適切な時刻に関連付けられた計測値として、サーバ装置で取り扱われる可能性がある。
【0008】
また更に、通信機器が無線通信を行う場合、電波環境が悪い場所にその通信機器が設置されていると、通信装置を介した計測値の伝送が正常に行われない可能性もある。
【0009】
このように、収集された多数の計測値は、各数値自体が正常であるか又は異常であるかという点での検証が必要になるだけではなく、適切な時刻に関連付けられた値であるか否かという点での検証も必要になる場合がある。但し、サーバ装置が取得するデータの種類や数は膨大であるため、監視対象とする複数の計測値にそのような異常な値が含まれているか否かを判定することは困難であった。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、監視対象とする複数の計測値に異常な値が含まれているか否かを判定する異常判定装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る異常判定装置の特徴構成は、監視対象とする複数の計測値に異常な値が含まれているか否かを判定する異常判定装置であって、
複数の計測器のそれぞれで取得された、関連性がある同時期の計測値で構成される計測値グループについて、
前記計測値グループを構成する複数の前記計測値の全てについて定められた前記関連性に関する所定の判定条件が満たされる場合、前記計測値グループに含まれる前記複数の計測値の全てが正常であると判定し、
前記判定条件が満たされない場合、前記計測値グループに含まれる前記複数の計測値の少なくとも一つが異常であると判定する点にある。
ここで、監視対象とする前記複数の計測値は、特定の施設でのガス消費量に関連する値を含んでもよい。
また、監視対象とする前記複数の計測値は、特定の施設での電力消費量に関連する値を含んでもよい。
【0012】
上記特徴構成によれば、複数の計測器のそれぞれで取得された、関連性がある同時期の計測値で構成される計測値グループについて、その計測値グループを構成する複数の計測値の全てについて定められたその関連性に関する所定の判定条件に基づいて、その計測値グループに含まれる複数の計測値の全てが正常であるか、又は、計測値グループに含まれる複数の計測値の少なくとも一つが異常であるかが判定される。つまり、計測値グループを構成する複数の計測値にその関連性を失わせるような計測値が含まれている場合、上記判定条件は満たされない。そのため、上記判定条件が満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値の少なくとも一つが異常であると判定できる。また、計測値グループを構成する複数の計測値にその関連性を失わせるような計測値が含まれていない場合、上記判定条件は満たされる。そのため、上記判定条件が満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値の全てが正常であると判定できる。
従って、監視対象とする複数の計測値に異常な値が含まれているか否かを判定する異常判定装置を提供できる。
【0013】
本発明に係る異常判定装置の別の特徴構成は、前記判定条件は、前記計測値グループを構成する前記複数の計測値の全てを変数として含む関数式から導き出された値が所定の範囲内にあることである点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式から導き出された値が所定の範囲内にあることという判定条件を用いて、計測値グループに含まれる複数の計測値の全てが正常であるか否かを判定できる。
【0015】
本発明に係る異常判定装置の更に別の特徴構成は、前記判定条件は、前記計測値グループを構成する前記複数の計測値の全てが複数の条件式の何れかに含まれる場合に、当該複数の条件式の全てが満たされることである点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、計測値グループを構成する複数の計測値の全てが複数の条件式の何れかに含まれる場合に、それら複数の条件式の全てが満たされることという判定条件を用いて、計測値グループに含まれる複数の計測値の全てが正常であるか否かを判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】異常判定装置が設けられるシステムの構成を示す図である。
図2】施設に設けられる熱電併給システムの構成を示す図である。
図3】関数式から導き出された値をプロットしたグラフである。
図4】関数式から導き出された値をプロットしたグラフである。
図5】関数式から導き出された値をプロットしたグラフである。
図6】関数式から導き出された値をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る異常判定装置20について説明する。
図1は、異常判定装置20が設けられるシステムの構成を示す図である。異常判定装置20は、監視対象とする複数の計測値に異常な値が含まれているか否かを判定するための装置である。図1では、複数の施設10が情報通信回線1を介してサーバ装置2と情報通信可能に構成されている。
【0019】
施設10には、複数の計測器11が設けられている。それら複数の計測器11の計測値は情報収集装置12で収集され、情報収集装置12からサーバ装置2へ送信される。例えば、情報収集装置12は、各計測値を、どの施設10のどの計測器11で取得された情報であるのかを示す識別情報、及び、どの日時に取得された情報であるのかを示す日時情報と共にサーバ装置2に送信する。尚、情報収集装置12は、計測器11から収集した計測値を所定の期間蓄積した上でまとめてサーバ装置2に送信しても良いし、或いは、計測器11から収集した計測値を即座にサーバ装置2に送信しても良い。
【0020】
サーバ装置2には異常判定装置20が設けられている。異常判定装置20は、受信部21と記憶部22と処理部23とを有する。異常判定装置20の受信部21は、各施設10から受信した複数の計測値と、各計測値に付随する識別情報及び日時情報とを受信し、異常判定装置20の記憶部22はそれらの情報を記憶する。
【0021】
異常判定装置20の処理部23は、記憶部22に記憶してある計測値を用いて、複数の計測器11のそれぞれで取得された、関連性がある同時期の計測値で構成される計測値グループを作成する。そして、異常判定装置20の処理部23は、計測値グループを構成する複数の計測値の全てについて定められたその関連性に関する所定の判定条件が満たされる場合、例えば、後述するように、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式から導き出された値が所定の範囲内にある場合、計測値グループに含まれる複数の計測値の全てが正常であると判定し、判定条件が満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値の少なくとも一つが異常であると判定する。
【0022】
例えば、異常判定装置20の記憶部22に、計測値グループを構成する複数の計測値の全てについて定められたその関連性に関する所定の判定条件が満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値の全てが正常であると判定し、判定条件が満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値の少なくとも一つが異常であると判定する異常判定プログラムをインストールしておき、処理部23が適切なタイミングでその異常判定プログラムを実行することで、異常判定装置20が実現される。
【0023】
以下に、施設10に設けられる具体的なシステムの例を挙げて、異常判定装置20で行われる異常判定処理について説明する。
図2は、施設10に設けられる熱電併給システムの構成を示す図である。施設10には、ガスを消費して発電を行う燃料電池などのガス消費型発電装置7、及び、ガスを消費して熱を発生する熱源機9が設けられている。ガス消費型発電装置7及び熱源機9にはガス供給路4を介してガスが供給される。ガス消費型発電装置7は、熱と電気とを併せて発生する熱電併給装置である。ガス消費型発電装置7で発生した電気は電力線3に供給され、ガス消費型発電装置7で発生した熱は貯湯タンク8で回収されて、湯の形態で蓄えられる。尚、ガス消費型発電装置7は、ガスエンジンとそのガスエンジンによって駆動される発電機とを備える装置などの様々な装置を用いることもできる。
【0024】
電力線3にはガス消費型発電装置7と電力消費装置6とが接続される。また、電力線3には電力系統5も接続される。そして、電力消費装置6は、電力系統5及びガス消費型発電装置7の少なくとも一方から電力の供給を受けることができる。
【0025】
貯湯タンク8では例えば70℃などの所定温度の湯が貯えられる。そして、給湯用途30で湯が使用される場合、貯湯タンク8に貯えられている湯と上水とが混合されて設定温度(例えば40℃など)に調節された上で供給される。尚、給湯用途30で要求される湯の温度が上記設定温度より高い場合、熱源機9でその設定温度の湯が加熱昇温された上で給湯用途30に供給される。
【0026】
また、熱源機9で発生された熱は、浴室暖房乾燥装置や床暖房装置などの暖房用途31に供給される。
【0027】
このシステムには複数の計測器11が設けられ、その計測値は情報収集装置12で収集される。本実施形態では、監視対象とする複数の計測値は、特定の施設10でのガス消費量に関連する値を含む。また、監視対象とする複数の計測値は、特定の施設10での電力消費量に関連する値を含む。
【0028】
例えば、特定の施設10での電力消費量に関連する値としては以下のようなものがある。計測器11(r13)は、施設10へ電力系統5から供給された電力量を計測する。計測器11(r0b)は、施設10に設けられるガス消費型発電装置7から施設10に設けられる電力消費装置6へ供給された電力量を計測する。計測器11(r12)は、施設10の電力消費装置6に供給された電力量を計測する。
【0029】
例えば、特定の施設10でのガス消費量に関連する値としては以下のようなものがある。計測器11(r0d)は、ガス消費型発電装置7及び熱源機9で消費したガス消費量を計測する。計測器11(r02)は、熱源機9で消費したガス消費量を計測する。計測器11(r04)は、貯湯タンク8から供給した湯消費量を計測する。計測器11(r0e)は、熱源機9で発生した熱量を計測する。計測器11(r05)は、給湯用途30へ供給した熱量を計測する。計測器11(r08)は、給湯用途30へ供給した湯量を計測する。計測器11(r06)は、暖房用途31へ供給した熱量を計測する。計測器11(r07)は、暖房用途31で消費した熱量を計測する。
【0030】
<例1>
例1は、同一の施設10に設けられる計測器11が、熱源機9で消費したガス消費量を計測する計測器11(r02)と、給湯用途30へ供給した熱量を計測する計測器11(r05)と、暖房用途31へ供給した熱量を計測する計測器11(r06)と、である場合である。そして、計測器11(r02)、計測器11(r05)、及び、計測器11(r06)のそれぞれで取得された同時期の計測値が計測値グループを構成する。
【0031】
この場合、計測値グループを構成する複数の計測値の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式から導き出された値が所定の範囲内にあることである。具体的には、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式は以下の(式1)である。
【0032】
r05/〔(r02-(r06/(45×Ef)))×45×Ek〕 ・・・(式1)
この(式1)において、r02は熱源機9で消費したガス消費量[m]、r05は給湯用途30へ供給した熱量[MJ]、r06は暖房用途31へ供給した熱量[MJ]、Efは暖房熱効率、Ekは給湯熱効率である。尚、r02、r05、r06は、同時期(例えば同じ1時間)の計測値である。
【0033】
上記(式1)で表される関数の理論値は1である。従って、以下の(式2)が成り立つ。
【0034】
r05=(r02-(r06/(45×Ef)))×45×Ek ・・・(式2)
【0035】
そして、r05/〔(r02-(r06/(45×Ef)))×45×Ek〕が1又はそれに近い下限値及び上限値の間(但し、下限値<1、且つ、1<上限値)にあれば、計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r05、r06)の全てが正常であると判定できる。例えば、r05/〔(r02-(r06/(45×Ef)))×45×Ek〕が0.9などの下限値、及び、1,1などの上限値の間にあれば、計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r05、r06)の全てが正常であると判定できる。或いは、上記下限値及び上限値に一定の許容幅を設けてもよい。具体的には、r02、r05、r06の各計測値について、r05をy、(r02-(r06/(45×Ef)))×45×Ekをxとしたとき、計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r05、r06)の全てが、以下の下限値式及び上限値式の両方を満たす場合に、計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r05、r06)の全てが正常であると判定してもよい。
下限値式 y>=0.9x-1
上限値式 y<=1.1x+1
【0036】
図3は、(式2)の左辺の値を縦軸に、右辺の値を横軸にしてプロットしたグラフである。また、実線で示すのは、上限値式に対応する直線及び下限値式に対応する直線である。尚、図3では、複数の計測値グループから導き出される複数の値をプロットしている。図3から分かるように、複数の計測値グループの何れも、(式1)で表される関数式から導き出された値が理論値である1に近い値になっている。
【0037】
また、図3の場合、プロットした複数の点は全て図3の上限値式に対応する直線及び下限値式に対応する直線の間の範囲内にある。そのため、処理部23は、計測値グループに含まれる複数の計測値の全てを変数として含む「(式1)で表される関数式から導き出された値」が所定の範囲内に存在するという判定条件は、複数の計測値グループの何れにおいても満たされると判定する。つまり、処理部23は、各計測値グループに含まれる複数の計測値の全てが正常であると判定する。尚、上記所定の範囲(例えば下限値式及び上限値式の間の範囲など)の設定手法は適宜変更可能である。
【0038】
<例2>
例2は、例1とは別の施設10で計測された値の例である。尚、計測器11の種類は例1と同じであり、熱源機9で消費したガス消費量を計測する計測器11(r02)と、給湯用途30へ供給した熱量を計測する計測器11(r05)と、暖房用途31へ供給した熱量を計測する計測器11(r06)とである。
【0039】
この場合も、上述した例1と同様に、計測値グループを構成する複数の計測値の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式から導き出された値が所定の範囲内にあることである。具体的には、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式は上述した(式1)であり、上述した(式2)が成り立つ。
【0040】
図4は、(式2)の左辺の値を縦軸に、右辺の値を横軸にプロットしたグラフである。また、図4でも、複数の計測値グループから導き出される値をプロットしている。図中で実線で示すのは、上限値式に対応する直線及び下限値式に対応する直線である。図4から分かるように、プロットした点が上限値式に対応する直線及び下限値式に対応する直線の間の範囲内から外れる場合が発生している。その場合、処理部23は、計測値グループに含まれる複数の計測値の全てを変数として含む「(式1)で表される関数」が所定の範囲内に存在するという判定条件が満たされないと判定する。そして、処理部23は、判定条件が満たされないと判定した計測値グループに含まれる複数の計測値の少なくとも一つが異常であると判定する。例えば、計測値グループを構成する複数の計測値にその関連性を失わせるような計測値が含まれている場合、上述したように上記判定条件は満たされない。一例を挙げると、何れかの計測値自体が過大又は過小な値である場合、計測値グループを構成する複数の計測値の関連性は失われる。或いは、時期的にずれたタイミングでの計測値が含まれている場合、計測値グループを構成する複数の計測値の関連性は失われる。
【0041】
<例3>
例3は、同一の施設10に設けられる計測器11が、施設10の電力消費装置6に供給された電力量を計測する計測器11(r12)と、施設10へ電力系統5から供給された電力量を計測する計測器11(r13)と、施設10に設けられるガス消費型発電装置7から施設10に設けられる電力消費装置6へ供給された電力量を計測する計測器11(r0b)と、である場合である。そして、計測器11(r12)、計測器11(r13)、及び、計測器11(r0b)のそれぞれで取得された同時期の計測値が計測値グループを構成する。
【0042】
この場合、計測値グループを構成する複数の計測値の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式から導き出された値が所定の範囲内にあることである。具体的には、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式は以下の(式3)である。
【0043】
(r13+r0b)/r12 ・・・(式3)
この(式3)において、r12は施設10の電力消費装置6に供給された電力量[kWh]、r13は施設10へ電力系統5から供給された電力量[kWh]、r0bは施設10に設けられるガス消費型発電装置7から施設10に設けられる電力消費装置6へ供給された電力量[kWh]である。尚、r12、r15、r0bは、同時期(例えば同じ1時間)の計測値である。
【0044】
上記(式3)で表される関数の理論値は1である。従って、以下の(式4)が成り立つ。
【0045】
r12=r13+r0b ・・・(式4)
【0046】
図5は、(式4)の左辺の値を縦軸に、右辺の値を横軸にしてプロットしたグラフである。また、実線で示すのは、上限値式に対応する直線及び下限値式に対応する直線である。尚、図5では、複数の計測値グループから導き出される複数の値をプロットしている。図5から分かるように、複数の計測値グループの何れも、(式3)で表される関数式から導き出された値が理論値である1に近い値になっている。
【0047】
また、図5の場合、プロットした複数の点は全て図5の上限値式に対応する直線及び下限値式に対応する直線の間の範囲内にある。そのため、処理部23は、計測値グループに含まれる複数の計測値の全てを変数として含む「(式3)で表される関数式から導き出された値」が所定の範囲内に存在するという判定条件は、複数の計測値グループの何れにおいても満たされると判定する。つまり、処理部23は、各計測値グループに含まれる複数の計測値の全てが正常であると判定する。尚、上記所定の範囲の設定手法は適宜変更可能である。
【0048】
<例4>
例4は、例3とは別の施設10で計測された値の例である。尚、計測器11の種類は例3と同じであり、施設10の電力消費装置6に供給された電力量を計測する計測器11(r12)と、施設10へ電力系統5から供給された電力量を計測する計測器11(r13)と、施設10に設けられるガス消費型発電装置7から施設10に設けられる電力消費装置6へ供給された電力量を計測する計測器11(r0b)とである。
【0049】
この場合も、上述した例3と同様に、計測値グループを構成する複数の計測値の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式から導き出された値が所定の範囲内にあることである。具体的には、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式は上述した(式3)であり、上述した(式4)が成り立つ。
【0050】
図6は、(式4)の左辺の値を縦軸に、右辺の値を横軸にプロットしたグラフである。また、図6でも、複数の計測値グループから導き出される値をプロットしている。図中で実線で示すのは、上限値式に対応する直線及び下限値式に対応する直線である。図6から分かるように、プロットした点が上限値式に対応する直線及び下限値式に対応する直線の間の範囲内から外れる場合が発生している。その場合、処理部23は、計測値グループに含まれる複数の計測値の全てを変数として含む「(式3)で表される関数式から導き出された値」が所定の範囲内に存在するという判定条件が満たされないと判定する。そして、処理部23は、判定条件が満たされないと判定した計測値グループに含まれる複数の計測値の少なくとも一つが異常であると判定する。
【0051】
<例5>
例5は、同一の施設10に設けられる計測器11が、熱源機9で消費したガス消費量を計測する計測器11(r02)と、給湯用途30へ供給した熱量を計測する計測器11(r05)と、暖房用途31へ供給した熱量を計測する計測器11(r06)と、給湯用途30へ供給した湯量を計測する計測器11(r08)、である場合である。
【0052】
以下の説明において、r02が熱源機9で消費したガス消費量[m]、r05が給湯用途30へ供給した熱量[MJ]、r06が暖房用途31へ供給した熱量[MJ]、r08が給湯用途30へ供給した湯量[m]である。尚、r02、r05、r06、r08は、同時期(例えば同じ1時間)の計測値である。
【0053】
この場合、計測値グループを構成する複数の計測値の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値の全てが複数の条件式の何れかに含まれる場合に、当該複数の条件式の全てが満たされることである。
【0054】
〔例5-1〕
この例では、計測器11(r02)、計測器11(r05)、及び、計測器11(r08)のそれぞれで取得された同時期の計測値が計測値グループを構成する。計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r05、r08)の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r05、r08)の全てが複数の条件式(以下の条件式1~3)の何れかに含まれる場合に、それら条件式1~3の全てが満たされることである。
【0055】
条件式1:r08>0
条件式2:r02>0
条件式3:r05>0
【0056】
処理部23は、条件式1~3の全てが満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r05、r08)の全てが正常であると判定する。それに対して、処理部23は、条件式1~3が一つでも満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r05、r08)の少なくとも一つが異常であると判定する。
【0057】
〔例5-2〕
この例では、計測器11(r02)、及び、計測器11(r06)のそれぞれで取得された同時期の計測値が計測値グループを構成する。計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r06)の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r06)の全てが複数の条件式(以下の条件式4、5)の何れかに含まれる場合に、それら条件式4、5の全てが満たされることである。
【0058】
条件式4:r06>0.5
条件式5:r02>0
【0059】
処理部23は、条件式4、5の全てが満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r06)の全てが正常であると判定する。それに対して、処理部23は、条件式4、5が一つでも満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r06)の少なくとも一つが異常であると判定する。
【0060】
<例6>
例6は、同一の施設10に設けられる計測器11が、給湯用途30へ供給した熱量を計測する計測器11(r05)と、暖房用途31へ供給した熱量を計測する計測器11(r06)と、熱源機9で発生した熱量を計測する計測器11(r0e)と、である場合である。そして、計測器11(r05)、計測器11(r06)、及び、計測器11(r0e)のそれぞれで取得された同時期の計測値が計測値グループを構成する。
【0061】
この場合、計測値グループを構成する複数の計測値の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式から導き出された値が所定の範囲内にあることである。具体的には、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式は以下の(式5)である。
【0062】
r0e/〔(r05+r06)/3.6〕 ・・・(式5)
この(式5)において、r0eは熱源機9で発生した熱量[kWh]、r05は給湯用途30へ供給した熱量[MJ]、r06は暖房用途31へ供給した熱量[MJ]、Efは暖房熱効率、Ekは給湯熱効率である。尚、r0e、r05、r06は、同時期(例えば同じ1時間)の計測値である。
【0063】
そして、上記例1~例4で説明したのと同様に、処理部23は、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式から導き出された値が所定の範囲内にあるという判定条件が満たされる場合、判定条件が満たされると判定した計測値グループに含まれる複数の計測値の全てが正常であると判定する。
それに対して、処理部23は、計測値グループを構成する複数の計測値の全てを変数として含む関数式から導き出された値が所定の範囲内にあるという判定条件が満たされない場合、判定条件が満たされないと判定した計測値グループに含まれる複数の計測値の少なくとも一つが異常であると判定する。
【0064】
<例7>
例7は、同一の施設10に設けられる計測器11が、熱源機9で消費したガス消費量を計測する計測器11(r02)と、貯湯タンク8から供給した湯消費量を計測する計測器11(r04)と、給湯用途30へ供給した熱量を計測する計測器11(r05)と、暖房用途31へ供給した熱量を計測する計測器11(r06)と、暖房用途31で消費した熱量を計測する計測器11(r07)と、給湯用途30へ供給した湯量を計測する計測器11(r08)と、ガス消費型発電装置7及び熱源機9で消費したガス消費量を計測する計測器11(r0d)と、熱源機9で発生した熱量を計測する計測器11(r0e)と、である場合である。
【0065】
以下の説明において、r02が熱源機9で消費したガス消費量[m]、r04が貯湯タンク8から供給した湯消費量[m]、r05が給湯用途30へ供給した熱量[MJ]、r06が暖房用途31へ供給した熱量[MJ]、r07が暖房用途31で消費した熱量[MJ]、r08が給湯用途30へ供給した湯量[m]、r0dがガス消費型発電装置7及び熱源機9で消費したガス消費量[m]、r0eが熱源機9で発生した熱量[MJ]である。尚、r02、r04、r05、r06、r07、r08、r0d、r0eは、同時期(例えば同じ1時間)の計測値である。
【0066】
この場合、計測値グループを構成する複数の計測値の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値の全てが複数の条件式の何れかに含まれる場合に、当該複数の条件式の全てが満たされることである。
【0067】
〔例7-1〕
この例では、計測器11(r02)、計測器11(r05)、計測器11(r0d)、及び、計測器11(r0e)のそれぞれで取得された同時期の計測値が計測値グループを構成する。計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r05、r0d、r0e)の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r05、r0d、r0e)の全てが複数の条件式(以下の条件式6~9)の何れかに含まれる場合に、それら条件式6~9の全てが満たされることである。
【0068】
条件式6:r02≧0.2
条件式7:r05>0
条件式8:r0d>0
条件式9:r0e>0
【0069】
処理部23は、条件式6~9の全てが満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r05、r0d、r0e)の全てが正常であると判定する。それに対して、処理部23は、条件式6~9が一つでも満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r05、r0d、r0e)の少なくとも一つが異常であると判定する。
【0070】
〔例7-2〕
この例では、計測器11(r02)、計測器11(r06)、計測器11(r0d)、及び、計測器11(r0e)のそれぞれで取得された同時期の計測値が計測値グループを構成する。計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r06、r0d、r0e)の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r06、r0d、r0e)の全てが複数の条件式(以下の条件式10~13)の何れかに含まれる場合に、それら条件式10~13の全てが満たされることである。
【0071】
条件式10:r02≧0.2
条件式11:r06>0
条件式12:r0d>0
条件式13:r0e>0
【0072】
処理部23は、条件式10~13の全てが満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r06、r0d、r0e)の全てが正常であると判定する。それに対して、処理部23は、条件式10~13が一つでも満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r06、r0d、r0e)の少なくとも一つが異常であると判定する。
【0073】
〔例7-3〕
この例では、計測器11(r02)、計測器11(r07)、計測器11(r0d)、及び、計測器11(r0e)のそれぞれで取得された同時期の計測値が計測値グループを構成する。
計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r07、r0d、r0e)の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r07、r0d、r0e)の全てが複数の条件式(以下の条件式14~17)の何れかに含まれる場合に、それら条件式14~17の全てが満たされることである。
【0074】
条件式14:r02≧0.2
条件式15:r07>0
条件式16:r0d>0
条件式17:r0e>0
【0075】
処理部23は、条件式14~17の全てが満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r07、r0d、r0e)の全てが正常であると判定する。それに対して、処理部23は、条件式14~17が一つでも満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r07、r0d、r0e)の少なくとも一つが異常であると判定する。
【0076】
〔例7-4〕
この例では、計測器11(r02)、計測器11(r05)、計測器11(r06)、計測器11(r08)、及び、計測器11(r0e)のそれぞれで取得された同時期の計測値が計測値グループを構成する。計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r05、r06、r08、r0e)の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r05、r06、r08、r0e)の全てが複数の条件式(以下の条件式18~21)の何れかに含まれる場合に、それら条件式18~21の全てが満たされることである。
【0077】
条件式18:r02=0
条件式19:(r05+r06)≦1.5
条件式20:r08=0
条件式21:r0e=0
【0078】
処理部23は、条件式18~21の全てが満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r05、r06、r08、r0e)の全てが正常であると判定する。それに対して、処理部23は、条件式18~21が一つでも満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r05、r06、r08、r0e)の少なくとも一つが異常であると判定する。
【0079】
〔例7-5〕
この例では、計測器11(r02)、計測器11(r04)、計測器11(r05)、計測器11(r0d)、及び、計測器11(r0e)のそれぞれで取得された同時期の計測値が計測値グループを構成する。計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r04、r05、r0d、r0e)の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値(r02、r04、r05、r0d、r0e)の全てが複数の条件式(以下の条件式22~26)の何れかに含まれる場合に、それら条件式22~26の全てが満たされることである。
【0080】
条件式22:r05>2.51
条件式23:r02>0
条件式24:r04>0
条件式25:r0d>0
条件式26:r0e>0
【0081】
処理部23は、条件式22~26の全てが満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r04、r05、r0d、r0e)の全てが正常であると判定する。それに対して、処理部23は、条件式22~26が一つでも満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r02、r04、r05、r0d、r0e)の少なくとも一つが異常であると判定する。
【0082】
〔例7-6〕
この例では、計測器11(r05)、計測器11(r06)、及び、計測器11(r0e)のそれぞれで取得された同時期の計測値が計測値グループを構成する。計測値グループを構成する複数の計測値(r05、r06、r0e)の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値(r05、r06、r0e)の全てが複数の条件式(以下の条件式27、28)の何れかに含まれる場合に、それら条件式27、28の全てが満たされることである。
【0083】
条件式27:r0e>0
条件式28:(r05+r06)>0
【0084】
処理部23は、条件式27、28の全てが満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r05、r06、r0e)の全てが正常であると判定する。それに対して、処理部23は、条件式27、28が一つでも満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r05、r06、r0e)の少なくとも一つが異常であると判定する。
【0085】
〔例7-7〕
この例では、計測器11(r05)、計測器11(r06)、計測器11(r07)、及び、計測器11(r0e)のそれぞれで取得された同時期の計測値が計測値グループを構成する。計測値グループを構成する複数の計測値(r05、r06、r07、r0e)の全てについて定められた所定の判定条件は、計測値グループを構成する複数の計測値(r05、r06、r07、r0e)の全てが複数の条件式(以下の条件式29~31)の何れかに含まれる場合に、それら条件式29~31の全てが満たされることである。
【0086】
条件式29:r0e=0
条件式30:(r05+r06)≦0.5
条件式31:r07<=0.5
【0087】
処理部23は、条件式29~31の全てが満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r05、r06、r07、r0e)の全てが正常であると判定する。それに対して、処理部23は、条件式29~31が一つでも満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値(r05、r06、r07、r0e)の少なくとも一つが異常であると判定する。
【0088】
以上の例1~例7で説明したように、異常判定装置20では、複数の計測器11のそれぞれで取得された、関連性がある同時期の計測値で構成される計測値グループについて、その計測値グループを構成する複数の計測値の全てについて定められたその関連性に関する所定の判定条件に基づいて、その計測値グループに含まれる複数の計測値の全てが正常であるか、又は、計測値グループに含まれる複数の計測値の少なくとも一つが異常であるかが判定される。つまり、計測値グループを構成する複数の計測値にその関連性を失わせるような計測値が含まれている場合、上記判定条件は満たされない。例えば、何れかの計測値自体が過大又は過小な値である場合、計測値グループを構成する複数の計測値の関連性は失われる。或いは、時期的にずれたタイミングでの計測値が含まれている場合、計測値グループを構成する複数の計測値の関連性は失われる。そのため、上記判定条件が満たされない場合、計測値グループに含まれる複数の計測値の少なくとも一つが異常であると判定できる。また、計測値グループを構成する複数の計測値にその関連性を失わせるような計測値が含まれていない場合、上記判定条件は満たされる。そのため、上記判定条件が満たされる場合、計測値グループに含まれる複数の計測値の全てが正常であると判定できる。
【0089】
<別実施形態>
上記実施形態では、異常判定装置20の及びそれが設けられるシステムの構成について具体例を挙げて説明したが、それらの構成は適宜変更可能である。例えば、サーバ装置2に異常判定装置20が設けられる例を説明したが、異常判定装置20が施設10に設けられていてもよい。
【0090】
上記実施形態では、熱電併給システムに設けられる計測器11について具体的に説明したが、それらは例示目的で記載したものであり、適宜変更可能である。
【0091】
上記実施形態では、判定条件について具体例を挙げて説明したが、それらは例示目的で記載したものであり、適宜変更可能である。
【0092】
上記実施形態において、計測値グループを構成する計測値の数は適宜変更可能である。例えば、2個以上の計測値を用いて計測値グループを構成する場合、3個以上の計測値を用いて計測値グループを構成する場合などがある。
【0093】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、監視対象とする複数の計測値に異常な値が含まれているか否かを判定する異常判定装置に利用できる。
【符号の説明】
【0095】
1 情報通信回線
2 サーバ装置
3 電力線
4 ガス供給路
5 電力系統
6 電力消費装置
7 ガス消費型発電装置
8 貯湯タンク
9 熱源機
10 施設
11 計測器
12 情報収集装置
20 異常判定装置
21 受信部
22 記憶部
23 処理部
30 給湯用途
31 暖房用途
図1
図2
図3
図4
図5
図6