(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021490
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】振動装置及び音響システム
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20240208BHJP
【FI】
B06B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124341
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 真也
(72)【発明者】
【氏名】玉置 裕太
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 康太
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107BB20
5D107CC08
5D107CC09
5D107CD08
5D107DE01
5D107DE02
(57)【要約】
【課題】本発明は、液体の液面を振動させて形成する波紋の種類を切り替えることを目的とする。
【解決手段】振動装置は、液体を振動させる振動体と、液体の波面パターンを切り替えるように、前記振動体に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方を調整する制御部と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を振動させる振動体と、
液体の波面パターンを切り替えるように、前記振動体に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方を調整する制御部と、
を含む振動装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記駆動信号の継続時間又は周波数を調整することで、前記波面パターンを切り替える請求項1記載の振動装置。
【請求項3】
前記波面パターンは、前記駆動信号の間隔が広い単発波面パターンと、前記駆動信号の間隔が狭い連続波面パターンと、を含む請求項1記載の振動装置。
【請求項4】
前記波面パターンは、更に、前記単発波面パターンと前記連続波面パターンとを組み合わせたパターンを含む請求項3記載の振動装置。
【請求項5】
音源信号から抽出される所定の信号を、前記駆動信号として用いる請求項1記載の振動装置。
【請求項6】
音源信号から抽出される所定の信号を、低周波数帯域の信号に変調して、前記駆動信号として用いる請求項1記載の振動装置。
【請求項7】
音源信号から、信号レベルが閾値を超えた所定の信号を検出する検出部を更に含み、
前記検出部による検出タイミングに応じて、前記駆動信号を前記振動体に出力する請求項1記載の振動装置。
【請求項8】
周波数調整フィルタを用いて前記音源信号から低周波数域成分を前記所定の信号として抽出する抽出部を更に含む請求項5記載の振動装置。
【請求項9】
請求項5~請求項8の何れか1項記載の振動装置と、
音源信号を再生する再生部と、
を含む音響システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動装置及び音響システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、音楽を視覚的に表現可能とした音響視覚化装置が開示されている。この音響視覚化装置は、水槽に貯留された水の静水面に振動を与えてその水面に表面重力波を生成する振動子と、前記振動子に音楽振動を付与する振動発生器と、前記振動発生器を駆動する音響波信号を供給する音源と、当該音源の音響波信号を増幅して前記振動発生器に供給する増幅回路と、増幅する前記音響波信号のうち、所定周波数以上の音響波信号を、所定周波数未満の音響波信号よりも大きく増幅させるイコライザーとを備えている。
【0003】
特許文献2には、液体を入れた槽と、防水処理が施されるとともに前記槽の液面下に配設された複数の振動体と、前記振動体を駆動する出力装置及び出力制御を行うコンピュータ装置と、を備えることを特徴とする波紋発生装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6921502号公報
【特許文献2】特開2001-13899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1、2に記載の技術では、液体の液面に形成する波紋の種類を切り替えることについては考慮されていない。
【0006】
本発明は上記事実を考慮して、液体の液面を振動させて形成する波紋の種類を切り替えることができる振動装置及び音響システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る振動装置は、液体を振動させる振動体と、液体の波面パターンを切り替えるように、前記振動体に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方を調整する制御部と、を含んで構成されている。
【0008】
第1の態様によれば、制御部は、液体の波面パターンを切り替えるように、前記振動体に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方を調整し、前記振動体を振動させ、液体を振動させる。
【0009】
このように、液体の波面パターンを切り替えるように、前記振動体に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方を調整することにより、液体の液面を振動させて形成する波紋の種類を切り替えることができる。
【0010】
第2の態様に係る振動装置は、第1の態様に係る振動装置において、前記制御部は、前記駆動信号の継続時間又は周波数を調整することで、前記波面パターンを切り替えることができる。
【0011】
第3の態様に係る振動装置は、第1の態様又は第2の態様に係る振動装置において、前記波面パターンは、前記駆動信号の間隔が広い単発波面パターンと、前記駆動信号の間隔が狭い連続波面パターンと、を含むことができる。
【0012】
第4の態様に係る振動装置は、第3の態様に係る振動装置において、前記波面パターンは、更に、前記単発波面パターンと前記連続波面パターンとを組み合わせたパターンを含むことができる。
【0013】
第5の態様に係る振動装置は、第1の態様~第4の態様の何れかの態様に係る振動装置において、音源信号から抽出される所定の信号を、前記駆動信号として用いることができる。
【0014】
第6の態様に係る振動装置は、第1の態様~第5の態様の何れかの態様に係る振動装置において、音源信号から抽出される所定の信号を、低周波数帯域の信号に変調して、前記駆動信号として用いることができる。
【0015】
第7の態様に係る振動装置は、第1の態様~第6の態様の何れかの態様に係る振動装置において、音源信号から、信号レベルが閾値を超えた所定の信号を検出する検出部を更に含み、前記検出部による検出タイミングに応じて、前記駆動信号を前記振動体に出力することができる。
【0016】
第8の態様に係る振動装置は、第5の態様又は第6の態様に係る振動装置において、周波数調整フィルタを用いて前記音源信号から低周波数域成分を前記所定の信号として抽出する抽出部を更に含むことができる。ここで、周波数調整フィルタには、ローパスフィルタや、ハイパスフィルタや、バンドパスフィルタ等が含まれるものとする。
【0017】
第9の態様に係る振動装置は、第1の態様~第8の態様の何れか1態様に係る振動装置において、前記振動体は、アクチュエータである。また、前記振動体は、ボイスコイル型アクチュエータ、ソレノイド、又はリニアアクチュエータである、とすることができる。
【0018】
第10の態様に係る音響システムは、第5の態様~第8の態様の何れか1態様に係る振動装置と、音源信号を再生する再生部と、を含んで構成されている。
【0019】
第10の態様によれば、振動装置は、音源信号に基づいて振動体を振動させ、液体の液面を振動させる。また、再生部は、音源信号を再生する。このように、音源信号を再生しながら、音源信号に合わせて、液体の液面を振動させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の振動装置及び音響システムによれば、液体の液面を振動させて形成する波紋の種類を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態に係る音響システムの概略図である。
【
図2A】本発明の実施の形態に係る音響システムの構成を示す側面図である。
【
図2B】本発明の実施の形態に係る音響システムの構成を示す
図2AのA-A断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る信号処理部の構成を示すブロック図である。
【
図5B】ローパスフィルタから出力される信号の例を示す図である。
【
図5C】イコライザーから出力される信号の例を示す図である。
【
図5D】ピーク検出回路に入力される信号の例を示す図である。
【
図6A】振幅量が小さくなるように調整された際の振動体の振動方向を説明するための図である。
【
図6B】振幅量が大きくなるように調整された際の振動体の振動方向を説明するための図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】本発明の第3の実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第4の実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図12】本発明の第5の実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
<本発明の第1の実施の形態の音響システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る音響システム100の斜視図を示している。
図2Aは、音響システム100の側面図を示している。
【0024】
図1、
図2Aに示すように、音響システム100は、照射部10と、振動体20と、タンク30と、安座台40と、制御装置50とを備えている。振動体20及び制御装置50が、振動装置の一例である。
【0025】
照射部10は、タンク30の上面に取り付けられた支持部材12で支持されており、タンク30に向かって光を照射している。
【0026】
振動体20は、制御装置50による制御に応じて、タンク30内の水面を振動させる。
【0027】
タンク30は、透明の筐体内に水を貯蔵している。タンク30は、安座台40上に配置されている。
【0028】
図2Bは、
図2AのA-A断面図である。振動体20は、振動体20の振動に応じて水の液面Wを振動させるためのプレート状の振動部材34上に取り付けられている。振動体20の上下方向の振動により、振動部材34が上下方向に振動し、水の液面Wに波紋が形成される。振動部材34は、振動部材34による振動を吸収するためのクッション材36上に設けられている。
【0029】
照射部10が、タンク30の上方から光を照射することにより、水の液面Wに形成された波紋が、安座台40が載置されている床面に投影される。
【0030】
なお、照射部10と振動体20とが同心軸上に配置されている場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。
【0031】
振動体20は、アクチュエータであり、例えば、ボイスコイル型アクチュエータで構成されている。
【0032】
安座台40の内部には、スピーカ42が設けられている。オーディオプレーヤ等からの音源信号に応じて、スピーカ42により放音される。なお、スピーカ42が、再生部の一例である。
【0033】
制御装置50は、
図3に示すように、音源入力部52と、調整受付部53と、制御部54とを備えている。なお、制御装置50は、アナログ回路で構成されていてもよいし、デジタル回路で構成されていてもよい。
【0034】
音源入力部52は、オーディオプレーヤ等から音源信号の入力を受け付ける。例えば、音源信号は、音楽を再生するための音源信号である。また、音源入力部52は、入力された音源信号を、スピーカ42及び制御部54に出力する。
【0035】
調整受付部53は、操作部(図示省略)に対するユーザの操作により、振動体20に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方の調整指示を受け付ける。
【0036】
制御部54は、振動体20を、音源信号に基づいて振動させる。具体的には、制御部54は、ローパスフィルタを用いて音源信号から抽出される低周波数帯域の信号から、特定の信号として、信号レベルが閾値を超えた低周波数帯域の信号を検出し、特定の信号の検出タイミングに応じて、振動体20を振動させる。
【0037】
より具体的には、
図3に示すように、制御部54は、信号処理部60と、調整部61と、音源分離回路62と、ローパスフィルタ64と、アンプ66とを備えている。信号処理部60が、抽出部の一例である。
【0038】
信号処理部60は、
図4に示すように、ローパスフィルタ80と、イコライザー82と、COMP84と、を備えている。
【0039】
ローパスフィルタ80は、音源信号から、低周波数帯域成分(例えば、100Hz以下の低周波数帯域の成分)を抽出する。これにより、例えば、バスドラムに対応した音が得られる。
【0040】
イコライザー82は、ローパスフィルタ80の出力信号に対して、バスドラムの主成分である50~80Hzの成分の信号レベルを上げる。
【0041】
COMP84は、イコライザー82の出力信号を入力とし、信号レベルを均一化する。
【0042】
調整部61は、受け付けた調整指示に従って、振動体20に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方を調整する。具体的には、調整部61は、振動体20に出力する駆動信号を調整する際に、音源分離回路62の後述するピーク検出回路70の閾値を調整することにより、駆動信号の継続時間又は周波数を調整する。また、調整部61は、振幅量を調整する際に、アンプ66のゲインを調整することにより、振幅量を調整する。
【0043】
音源分離回路62は、検出部としてのピーク検出回路70と、スイッチ回路72とを備えている。
【0044】
ピーク検出回路70は、信号処理部60の出力信号から、信号レベルが閾値以上となるピークを検出し、ピーク検出タイミングを含む所定期間中はオンとなる信号を出力する。例えば、ピーク検出タイミングから所定の継続期間だけオンとなる信号を出力する。
【0045】
スイッチ回路72は、ピーク検出回路70からオンとなる信号が出力された場合には、信号処理部60の出力信号を出力し、ピーク検出回路70からオフとなる信号が出力された場合、出力なしに切り替える。
【0046】
スイッチ回路72の出力信号が、ローパスフィルタ64を介して、振動体20の駆動信号として、アンプ66に入力される。
【0047】
ピーク検出回路70からオンとなる信号が出力された期間は、スイッチ回路72により、信号処理部60の出力信号が、振動体20の駆動信号として、アンプ66により振動体20に供給される。これにより、バスドラムが鳴るタイミングで振動体20が駆動する。ピーク検出回路70からオフとなる信号が出力された期間は、スイッチ回路72により、振動体20が駆動しない。
【0048】
ここで、スイッチ回路72からの信号をそのまま振動体20に供給すると、スイッチ回路72による切替のタイミングで振幅値が大きく変化する場合があり、この際、POP音が発生する。本実施形態では、POP音抑制のため、ローパスフィルタ64を用いる。
【0049】
<本発明の実施の形態の音響システムの動作>
まず、ユーザが制御装置50の操作部を操作して、振動体20に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方の調整指示を入力すると、制御装置50の調整受付部53は、入力された調整指示を受け付ける。
【0050】
そして、調整部61は、振動体20に出力する駆動信号を調整する調整指示を受け付けた場合に、音源分離回路62の後述するピーク検出回路70の閾値を調整することにより、駆動信号を調整する。また、調整部61は、振幅量を調整する調整指示を受け付けた場合に、アンプ66のゲインを調整することにより、振幅量を調整する。
【0051】
そして、照射部10が、タンク30の上方から光を照射しているときに、制御装置50が、オーディオプレーヤ等から音源信号の入力を受け付ける。制御装置50から、入力された音源信号が、スピーカ42に入力され、スピーカ42から音源信号に応じて放音される。
【0052】
また、信号処理部60のローパスフィルタ80は、音源信号から、低周波数帯域成分を抽出する。イコライザー82は、ローパスフィルタ80の出力信号に対して、50~80Hzの成分の信号レベルを上げる。COMP84は、イコライザー82の出力信号を入力とし、信号レベルを均一化して音源分離回路62に出力する。
【0053】
ピーク検出回路70は、信号処理部60のCOMP84の出力信号から、信号レベルが閾値以上となるピークを検出し、ピーク検出タイミングを含む所定期間中はオンとなる信号をスイッチ回路72に出力する。
【0054】
スイッチ回路72は、ピーク検出回路70からオンとなる信号が出力された場合には、信号処理部60のCOMP84の出力信号を出力し、ピーク検出回路70からオフとなる信号が出力された場合、出力なしに切り替える。
【0055】
そして、スイッチ回路72の出力信号が、ローパスフィルタ64を介して、アンプ66に入力される。
【0056】
ピーク検出回路70からオンとなる信号が出力された期間は、スイッチ回路72により、ローパスフィルタ64の出力信号が、駆動信号として、アンプ66により振動体20に供給される。これにより、バスドラムが鳴るタイミングで振動体20が駆動する。ピーク検出回路70からオフとなる信号が出力された期間は、スイッチ回路72により、振動体20が駆動しない。
【0057】
振動体20の駆動により、振動体20が上下方向に振動すると共に、振動部材34が上下方向に振動し、水の液面Wに波紋が形成される。そして、照射部10が、タンク30の上方から光を照射することにより、水の液面Wに形成された波紋が、床面に投影される。
【0058】
ここで、実際の動作例を
図5A~
図5Dに示す。
図5Aが、入力される音源信号であり、
図5Bが、信号処理部60のローパスフィルタ80から出力される信号である。また、
図5Cが、信号処理部60のイコライザー82から出力される信号であり、
図5Dが、ピーク検出回路70に入力される信号である。
図5Dでは、ピーク検出回路70に入力される信号が、閾値レベル(二点鎖線参照)以上となるたびに、ピークが検出され、ピーク検出タイミングを含む所定期間中はオンとなる信号がスイッチ回路72に出力される例を示している。
【0059】
上記
図5Dが示すように、閾値レベルが高くなるように調整されている場合には、ピーク検出タイミングが離散的になり、例えば、バスドラムのタイミングに合わせて、低周波数帯域信号を振動体20に出力している。
【0060】
一方、閾値レベルが低くなるように調整されている場合には、ピーク検出タイミングが連続的になり、低周波数帯域信号が振動体20に連続的に出力される。
【0061】
また、振幅量が小さくなるように調整されている場合には、
図6Aに示すように、振動体20が上下方向に振動する。一方、振幅量が大きくなるように調整されている場合には、
図6Bに示すように、振動体20が上下方向に振動すると共に、横方向に振動する。
【0062】
閾値の調整及び振幅量の調整を組み合わせると、表1のように、3つの波面パターンが得られる。
【0063】
【0064】
すなわち、閾値の調整及び振幅量の調整を組み合わせると、表2のように、3つの振動パターンが得られ、3つの波面パターンが得られる。
【0065】
【0066】
表1及び表2に示すように、第1振動パターンでは、閾値が高く調整されており、単発の波面が中心から外側へ広がるように形成される単発波面パターンとなる。
【0067】
第2振動パターンでは、閾値が低く調整され、かつ、振幅量が小さく調整されており、
図7に示すように、複数の波面が定常的に形成される、連続波面パターンとしての定在波面パターンとなる。
【0068】
第3振動パターンでは、閾値が低く調整され、かつ、振幅量が大きく調整されており、
図8に示すように、花びらのような波面形状が定常的に形成される、連続波面パターンとしての花びら波面パターンとなる。
【0069】
ここで、単発波面パターンは、駆動信号のサイン波の間隔が広く、一方、連続波面パターンは、駆動信号のサイン波の間隔が狭い。
【0070】
なお、波面パターンとして、単発波面パターンと連続波面パターンとを組み合わせた波面パターンを更に含めてもよい。
【0071】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る音響システムによれば、液体の波面パターンを切り替えるように、振動体に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方を調整することにより、タンク内の水の液面を振動させて形成する波紋の種類を切り替えることができる。
【0072】
また、音源信号から抽出される低周波数帯域の信号から検出される、ピーク信号の検出タイミングに応じて、振動体を振動させることにより、音源信号に合わせてリズム感を生み出すように、タンク内の水の液面を振動させて波紋を形成することができる。また、波紋により音源信号を可視化することができる。
【0073】
また、アクチュエータの駆動帯域である、バスドラムに対応した周波数帯域の信号に合わせて波紋を生成することにより、リズム感のある波紋を生成することができる。
【0074】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る音響システムについて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
第2の実施の形態では、音源信号から抽出される低周波数帯域の信号ではなく、任意の信号を、駆動信号として振動体に対して出力する点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0076】
図1、
図2Aに示すように、音響システム100は、照射部10と、振動体20と、タンク30と、安座台40と、制御装置250とを備えている。
【0077】
制御装置250は、
図9に示すように、音源入力部52と、調整受付部53と、制御部254とを備えている。
【0078】
制御部254は、信号処理部60と、信号出力部260と、音源分離回路262と、ローパスフィルタ64と、アンプ66とを備えている。
【0079】
信号出力部260は、任意の信号を、音源分離回路262へ出力する。例えば、バスドラムに対応する特定周波数のサイン波を、音源分離回路262へ出力する。
【0080】
音源分離回路262は、ピーク検出回路70と、スイッチ回路72とを備えている。
【0081】
スイッチ回路72は、ピーク検出回路70からオンとなる信号が出力された場合には、信号出力部260の出力信号を出力し、ピーク検出回路70からオフとなる信号が出力された場合、出力なしに切り替える。
【0082】
スイッチ回路72の出力信号が、ローパスフィルタ64を介して、振動体20の駆動信号として、アンプ66に入力される。
【0083】
ピーク検出回路70からオンとなる信号が出力された期間は、スイッチ回路72により、信号出力部260の出力信号が、振動体20の駆動信号として、アンプ66により振動体20に供給される。これにより、バスドラムが鳴るタイミングで振動体20が駆動する。ピーク検出回路70からオフとなる信号が出力された期間は、スイッチ回路72により、振動体20が駆動しない。
【0084】
また、上記第1の実施の形態と同様に、調整部61による閾値の調整及び振幅量の調整の組み合わせにより、上記表1、表2のように、3つの波面パターンが得られる。
【0085】
なお、第2の実施の形態に係る音響システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0086】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態に係る音響システムによれば、液体の波面パターンを切り替えるように、振動体に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方を調整することにより、タンク内の水の液面を振動させて形成する波紋の種類を切り替えることができる。
【0087】
また、音源信号から抽出される低周波数帯域の信号から検出される、ピーク信号の検出タイミングに応じて、任意の信号を振動体に出力することにより、タンク内の水の液面を振動させて、より綺麗な波紋を形成することができる。
【0088】
[第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態に係る音響システムについて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0089】
第3の実施の形態では、音源信号から抽出される抽出対象の周波数帯域の信号を、低周波数帯域の信号に変調して、信号処理部へ出力する点が、第1の実施の形態と異なっている。
【0090】
図1、
図2Aに示すように、音響システム100は、照射部10と、振動体20と、タンク30と、安座台40と、制御装置350とを備えている。
【0091】
制御装置350は、
図10に示すように、音源入力部52と、調整受付部53と、制御部354とを備えている。
【0092】
制御部354は、バンドパスフィルタ360A、360Bと、ピッチ変調部362A、362Bと、信号処理部60と、音源分離回路62と、ローパスフィルタ64と、アンプ66とを備えている。
【0093】
ピッチ変調部362Aは、バンドパスフィルタ360Aから出力された信号を、低周波数帯域(例えば、62.5Hzを中心とする周波数帯域)の信号に変調して、信号処理部60に出力する。
【0094】
ピッチ変調部362Bは、バンドパスフィルタ360Bから出力された信号を、低周波数帯域(例えば、62.5Hzを中心とする周波数帯域)の信号に変調して、信号処理部60に出力する。
【0095】
信号処理部60のローパスフィルタ80は、音源信号、ピッチ変調部362Aの出力信号、及びピッチ変調部362Bの出力信号から、低周波数帯域成分(例えば、100Hz以下の低周波数帯域の成分)を抽出する。
【0096】
イコライザー82は、ローパスフィルタ80の出力信号に対して、50~80Hzの成分の信号レベルを上げる。COMP84は、イコライザー82の出力信号を入力とし、信号レベルを均一化する。
【0097】
ピーク検出回路70からオンとなる信号が出力された期間は、スイッチ回路72により、信号処理部60の出力信号が、振動体20の駆動信号として、アンプ66により振動体20に供給される。これにより、バスドラムが鳴るタイミング、男性の歌声やピアノが鳴るタイミング、及び女性の歌声やヴァイオリンが鳴るタイミングで振動体20が駆動する。
【0098】
また、上記第1の実施の形態と同様に、調整部61による閾値の調整及び振幅量の調整の組み合わせにより、上記表1、表2のように、3つの波面パターンが得られる。
【0099】
なお、第3の実施の形態に係る音響システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0100】
以上説明したように、本発明の第3の実施の形態に係る音響システムによれば、液体の波面パターンを切り替えるように、振動体に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方を調整することにより、タンク内の水の液面を振動させて形成する波紋の種類を切り替えることができる。
【0101】
また、音源信号から抽出される中周波数帯域、高周波数帯域の信号を変調した信号から抽出される低周波数帯域の信号から検出される、ピーク信号の検出タイミングに応じて、振動体を振動させることにより、音源信号に合わせてよりリズム感のある波紋を形成することができる。
【0102】
また、音源信号から抽出される中周波数帯域、高周波数帯域の信号を、アクチュエータの駆動帯域に変調した信号から抽出される低周波数帯域の信号に応じて、振動体を振動させることにより、ピアノやヴァイオリンなどの信号からリズム感のある波紋を生成することができる。
【0103】
[第4の実施の形態]
次に、第4の実施の形態に係る音響システムについて説明する。なお、第1の実施の形態、第2の実施の形態、及び第3の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0104】
第4の実施の形態では、音源信号及びピッチ変調した信号から抽出される低周波数帯域信号ではなく、任意の信号を、駆動信号として振動体に対して出力する点が、第3の実施の形態と異なっている。
【0105】
図1、
図2Aに示すように、音響システム100は、照射部10と、振動体20と、タンク30と、安座台40と、制御装置450とを備えている。
【0106】
制御装置450は、
図11に示すように、音源入力部52と、調整受付部53と、制御部454とを備えている。
【0107】
制御部454は、バンドパスフィルタ360A、360Bと、ピッチ変調部362A、362Bと、信号処理部60と、信号出力部260と、音源分離回路262と、ローパスフィルタ64と、アンプ66とを備えている。
【0108】
ピッチ変調部362Aは、バンドパスフィルタ360Aから出力された信号を、所定の周波数帯域(例えば、62.5Hzを中心とする周波数帯域)の信号に変調して、信号処理部60に出力する。
【0109】
ピッチ変調部362Bは、バンドパスフィルタ360Bから出力された信号を、所定の周波数帯域(例えば、62.5Hzを中心とする周波数帯域)の信号に変調して、信号処理部60に出力する。
【0110】
信号処理部60のローパスフィルタ80は、音源信号、ピッチ変調部362Aの出力信号、及びピッチ変調部362Bの出力信号から、低周波数帯域成分(例えば、100Hz以下の低周波数帯域の成分)を抽出する。
【0111】
イコライザー82は、ローパスフィルタ80の出力信号に対して、50~80Hzの成分の信号レベルを上げる。COMP84は、イコライザー82の出力信号を入力とし、信号レベルを均一化する。
【0112】
信号出力部260は、任意の信号を、音源分離回路262へ出力する。
【0113】
音源分離回路262において、ピーク検出回路70からオンとなる信号が出力された期間は、スイッチ回路72により、信号出力部260の出力信号が、振動体20の駆動信号として、アンプ66により振動体20に供給される。これにより、バスドラムが鳴るタイミング、男性の歌声やピアノが鳴るタイミング、及び女性の歌声やヴァイオリンが鳴るタイミングで振動体20が駆動する。
【0114】
また、上記第1の実施の形態と同様に、調整部61による閾値の調整及び振幅量の調整の組み合わせにより、上記表1、表2のように、3つの波面パターンが得られる。
【0115】
なお、第4の実施の形態に係る音響システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態及び第3の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0116】
以上説明したように、本発明の第4の実施の形態に係る音響システムによれば、液体の波面パターンを切り替えるように、振動体に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方を調整することにより、タンク内の水の液面を振動させて形成する波紋の種類を切り替えることができる。
【0117】
また、音源信号から抽出される中周波数帯域、高周波数帯域の信号を変調した信号から抽出される低周波数帯域の信号から検出される、ピーク信号の検出タイミングに応じて、任意の信号を振動体に対して出力させることにより、音源信号に合わせてより綺麗な波紋を形成することができる。
【0118】
また、音源信号から抽出される中周波数帯域、高周波数帯域の信号を、アクチュエータの駆動帯域に変調した信号から抽出される低周波数帯域の信号に応じて、振動体を振動させることにより、ピアノやヴァイオリンなどの信号から、より綺麗な波紋を生成することができる。
【0119】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施の形態に係る音響システムについて説明する。なお、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、及び第4の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0120】
第5の実施の形態では、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、及び第4の実施の形態の各々の制御部を組み合わせ、これらの制御部を切り替える点が、第1の実施の形態~第4の実施の形態と異なっている。
【0121】
図1、
図2Aに示すように、音響システム100は、照射部10と、振動体20と、タンク30と、安座台40と、制御装置550とを備えている。
【0122】
制御装置550は、
図12に示すように、音源入力部52と、切替部500と、制御部54、254、354、454とを備えている。
【0123】
切替部500は、ユーザの操作に応じて、制御部54、254、354、454の何れかに切り替える。
【0124】
切替部500により切り替えられた制御部54、254、354、454の何れかにより、振動体20を、音源信号に基づいて振動させる。
【0125】
また、上記第1の実施の形態と同様に、調整部61による閾値の調整及び振幅量の調整の組み合わせにより、上記表1、表2のように、3つの波面パターンが得られる。
【0126】
なお、第5の実施の形態に係る音響システムの他の構成及び作用については、第1の実施の形態~第4の実施の形態と同様であるため、説明を省略する。
【0127】
以上説明したように、第5の実施の形態に係る音響システムでは、液体の波面パターンを切り替えるように、振動体に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方を調整することにより、タンク内の水の液面を振動させて形成する波紋の種類を切り替えることができる。また、音源信号に基づいて振動体を振動させる制御部を、複数の制御部の何れかに切り替えることができ、様々な波紋を形成することができる。
【0128】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0129】
例えば、上記の実施の形態では、振動体として、ボイスコイル型アクチュエータを用いた場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、ボイスコイル型アクチュエータ以外のアクチュエータを用いてもよい。例えば、ソレノイドや、リニアアクチュエータや、電磁石で駆動する装置等が含まれる。
【0130】
また、入力される音源信号が、音楽を再生するための音源信号である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、入力される音源信号が、映画の音源信号や、エンジン音の音源信号であってもよい。
【0131】
また、上記の各周波数は、これらに限定されるものではなく、他の周波数であってもよい。
【0132】
また、振動装置は、振動体の振動でタンク内の水を粒子にして、空気中に放出する加湿器に適用することもできる。
【0133】
また、制御部に入力される音源信号は、この態様に限定されず、例えば、矩形波や正弦波等のパルス波であってもよい。
【0134】
また、振動体は、タンク30内の液面Wに接するように配置され、液面Wを振動させるようにしてもよいし、タンク30内の水中に配置され、液面Wを振動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0135】
10 照射部
12 支持部材
20 振動体
30 タンク
34 振動部材
42 スピーカ
50、250、350、450、550 制御装置
52 音源入力部
53 調整受付部
54、254、354、454 制御部
60 信号処理部
61 調整部
62、262 音源分離回路
64 ローパスフィルタ
66 アンプ
70 ピーク検出回路
72 スイッチ回路
80 ローパスフィルタ
100 音響システム
360A、360B バンドパスフィルタ
362A、362B ピッチ変調部
500 切替部
【手続補正書】
【提出日】2023-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を振動させる振動体と、
液体の波面パターンを切り替えるように、前記振動体に出力する駆動信号及び振幅量の少なくとも一方を調整する制御部と、
を含む振動装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記駆動信号の継続時間又は周波数を調整することで、前記波面パターンを切り替える請求項1記載の振動装置。
【請求項3】
前記波面パターンは、前記駆動信号の間隔が広い単発波面パターンと、前記駆動信号の間隔が狭い連続波面パターンと、を含む請求項1記載の振動装置。
【請求項4】
前記波面パターンは、更に、前記単発波面パターンと前記連続波面パターンとを組み合わせたパターンを含む請求項3記載の振動装置。
【請求項5】
音源信号から抽出される所定の信号を、前記駆動信号として用いる請求項1記載の振動装置。
【請求項6】
音源信号から抽出される所定の信号を、低周波数帯域の信号に変調して、前記駆動信号として用いる請求項1記載の振動装置。
【請求項7】
音源信号から、信号レベルが閾値を超えた所定の信号を検出する検出部を更に含み、
前記検出部による検出タイミングに応じて、前記駆動信号を前記振動体に出力する請求項1記載の振動装置。
【請求項8】
周波数調整フィルタを用いて前記音源信号から所定の周波数域成分を前記所定の信号として抽出する抽出部を更に含む請求項5記載の振動装置。
【請求項9】
請求項5~請求項8の何れか1項記載の振動装置と、
音源信号を再生する再生部と、
を含む音響システム。