(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021496
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】波紋発生装置及び波紋発生システム
(51)【国際特許分類】
G09F 19/02 20060101AFI20240208BHJP
H04R 3/00 20060101ALI20240208BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G09F19/02 M
H04R3/00 310
H04R1/00 310Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124351
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 真也
(72)【発明者】
【氏名】玉置 裕太
(72)【発明者】
【氏名】舟橋 康太
【テーマコード(参考)】
5D017
5D220
【Fターム(参考)】
5D017AA20
5D220AA50
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で小型化できる波紋発生装置及び波紋発生システムを提供する。
【解決手段】波紋発生装置10は、入力信号に基づいて振動する振動体32と、振動体32に直接的に設けられ、振動体32で発生した振動を液体に伝達させて波紋を発生させる液面振動部材34と、を有する。液面振動部材34が振動体32に直接的に設けられているため、小型の装置で波紋を発生させることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号に基づいて振動する振動体と、
前記振動体に直接的に設けられ、前記振動体で発生した振動を液体に伝達させて波紋を発生させる液面振動部材と、
を有する波紋発生装置。
【請求項2】
前記液面振動部材は、円形又は円環状に形成されている請求項1に記載の波紋発生装置。
【請求項3】
前記液面振動部材には、クッション材が設けられている請求項1に記載の波紋発生装置。
【請求項4】
液体が収容される液体収容部を備え、
前記液体収容部は、少なくとも底面と側面とを含んで構成されており、
前記底面に前記液面振動部材が設けられている請求項1に記載の波紋発生装置。
【請求項5】
液体へ向けて光を照射可能な光源が設けられている請求項1に記載の波紋発生装置。
【請求項6】
前記振動体は、前記液面振動部材の中心に配置されており、
前記光源は、前記振動体の中心軸と同軸上に配置されている請求項5に記載の波紋発生装置。
【請求項7】
前記光源から照射された光によって波紋が投影された投影面の領域を変化可能な調整機構を備えている請求項6に記載の波紋発生装置。
【請求項8】
入力信号に基づいて振動する振動体と、
前記振動体を覆って前記振動体が配置された内部空間と、外部空間とを隔成するカバー部と、
前記カバー部の外周面に設けられ、前記振動体で発生した振動を液体に伝達させて波紋を発生させる液面振動部材と、
を有する波紋発生装置。
【請求項9】
前記カバー部には、光源が設けられている請求項8に記載の波紋発生装置。
【請求項10】
前記振動体は複数設けられている請求項1に記載の波紋発生装置。
【請求項11】
複数の前記振動体はそれぞれ、別の入力信号に基づいて振動する請求項10に記載の波紋発生装置。
【請求項12】
前記液面振動部材は、前記カバー部の外周面から径方向外側へ延出されている請求項8に記載の波紋発生装置。
【請求項13】
請求項1~12の何れか1項に記載の波紋発生装置と、
音を出力可能なスピーカと、
前記スピーカへ音響信号を入力すると共に、該音響信号に基づく信号を前記振動体に入力する信号入力部と、
を有する波紋発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波紋発生装置及び波紋発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ホテルのロビーやビルの中庭、パブリックスペースなどのように多くの人が集まる場所に設置される装置として、水が貯留された水槽と、水の静水面に接する振動子と、振動子に振動を付与する振動発生器とを含んで構成された音響視覚化装置が開示されている。具体的には、特許文献1に記載の装置では、振動子は、一端が振動発生器に接続され、他端が渦巻部を有する金属線によって構成されている。特許文献2には、水槽に複数のスピーカが配置された波紋発生装置が開示されており、人が水槽に近づくことで、各スピーカが動作し、音を出力しつつ水面に波紋を発生させる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6921502号公報
【特許文献2】特開2001-13899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載された装置は、何れもホテルのロビー及び中庭などのパブリックスペースに設置される大型の装置であるため、大掛かりな構造が必要となる。このため、個人で所有するような小型の装置を得るには改善の余地がある。
【0005】
本発明は、簡易な構造で小型化できる波紋発生装置及び波紋発生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る波紋発生装置は、入力信号に基づいて振動する振動体と、前記振動体に直接的に設けられ、前記振動体で発生した振動を液体に伝達させて波紋を発生させる液面振動部材と、を有する。
【0007】
上記態様では、入力信号に基づいて振動する振動体に対して液面振動部材が直接的に設けられている。これにより、小型の振動体であっても液面振動部材を用いて液体に所望の振動を伝達させることができる。
【0008】
第2の態様に係る波紋発生装置は、第1の態様において、前記液面振動部材は、円形又は円環状に形成されている。
【0009】
上記態様では、液面振動部材が円形又は円環状に形成されているため、整った形状の波紋を形成することができる。
【0010】
第3の態様に係る波紋発生装置は、第1の態様において、前記液面振動部材には、クッション材が設けられている。
【0011】
上記態様では、液面振動部材にクッション材を設けることで、クッション材を介して液面振動部材を平面に固定した場合であっても、クッション材が弾性変形することで液面振動部材を動作させることができる。
【0012】
第4の態様に係る波紋発生装置は、第1の態様において、液体が収容される液体収容部を備え、前記液体収容部は、少なくとも底面と側面とを含んで構成されており、前記底面に前記液面振動部材が設けられている。
【0013】
上記態様では、液体収容部の底面に液面振動部材が設けられている。これにより、振動体の振動が液面振動部材を介して底面に伝達される。
【0014】
第5の態様に係る波紋発生装置は、第1の態様において、液体へ向けて光を照射可能な光源が設けられている。
【0015】
上記態様では、光源から液体へ照射された光によって波紋の影が投影される。これにより、利用者が波紋が視認し易くなる。
【0016】
第6の態様に係る波紋発生装置は、第5の態様において、前記振動体は、前記液面振動部材の中心に配置されており、前記光源は、前記振動体の中心軸と同軸上に配置されている。
【0017】
上記態様では、振動体が液面振動部材の中心に配置されており、光源が振動体の中心軸と同軸上に配置されているため、波紋の投影面の中心から波紋が発生するのを視認することができる。
【0018】
第7の態様に係る波紋発生装置は、第6の態様において、前記光源から照射された光によって波紋が投影された投影面の領域を変化可能な調整機構を備えている。
【0019】
上記態様では、使用する場所に合わせて投影面の領域を変化させることができる。
【0020】
第8の態様に係る波紋発生装置は、入力信号に基づいて振動する振動体と、前記振動体を覆って前記振動体が配置された内部空間と、外部空間とを隔成するカバー部と、前記カバー部の外周面に設けられ、前記振動体で発生した振動を液体に伝達させて波紋を発生させる液面振動部材と、を有する。
【0021】
上記態様では、振動体のカバー部の外周面に液面振動部材が設けられている。これにより、波紋発生装置ごと水面に浮かばせることができ、簡易な構造で波紋を発生させることができる。
【0022】
第9の態様に係る波紋発生装置は、第8の態様において、前記カバー部には、光源が設けられている。
【0023】
上記態様では、装置の内部空間に光源を設けたことで、容易に持ち運ぶことができる。
【0024】
第10の態様に係る波紋発生装置は、第1の態様において、前記振動体は複数設けられている。
【0025】
上記態様では、複数の振動体から発生する波紋を干渉させて波紋の形状を変化させることができる。
【0026】
第11の態様に係る波紋発生装置は、第10の態様において、複数の前記振動体はそれぞれ、別の入力信号に基づいて振動する。
【0027】
第12の態様に係る波紋発生装置は、第8の態様において、前記液面振動部材は、前記カバー部の外周面から径方向外側へ延出されている。
【0028】
第13の態様に係る波紋発生システムは、請求項1~12の何れか1項に記載の波紋発生装置と、音を出力可能なスピーカと、前記スピーカへ音響信号を入力すると共に、該音響信号に基づく信号を前記振動体に入力する信号入力部と、を有する。
【0029】
上記態様では、信号入力部によってスピーカへ音響信号が入力されると共に、音響信号に基づく信号が振動体に入力される。これにより、スピーカから出力される音に連動して波紋を発生させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る波紋発生装置及び波紋発生システムによれば、簡易な構造で小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】第1実施形態に係る波紋発生システムの斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る波紋発生システムを部分的に切断した状態を示す一部破断断面図である。
【
図3】第1実施形態における振動体の断面図である。
【
図4】第2実施形態に係る波紋発生装置の斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係る波紋発生装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る波紋発生装置10及び波紋発生システムSについて図面を参照して説明する。なお、各図に適宜示す矢印UPは、波紋発生装置10の上方向を示したものである。
【0033】
(波紋発生システムSの全体構成)
図1は、波紋発生システムSの斜視図である。また、
図2は波紋発生システムの一部破断断面図である。
図1及び
図2に示されるように、本実施形態の波紋発生システムSは、波紋発生装置10、スピーカ12及び信号入力部14を含んで構成されている。そして、本実施形態の波紋発生システムSでは、スピーカ12から音楽などの音を出力しつつ、音に合わせて波紋を発生させることで、音を視覚化させる。
【0034】
波紋発生装置10は、スピーカ12の上部に設けられている。また、信号入力部14は、波紋発生装置10及びスピーカ12の近傍に配置されており、信号入力部14と波紋発生装置10とが第1ケーブルC1によって電気的に接続されている。さらに、信号入力部14とスピーカ12とが第2ケーブルC2によって電気的に接続されている。
【0035】
信号入力部14は、スピーカ12へ音響信号を入力すると共に、音響信号に基づく信号を波紋発生装置10の振動体32に入力する。例えば、信号入力部14は、オーディオプレーヤなどから入力された音響信号をスピーカ12に出力する。また、例えば、信号入力部14は、音響信号から所定の周波数帯域の信号を抽出して振動体32に出力する。
【0036】
(スピーカ12)
スピーカ12は、スピーカ本体18と筐体20とを含んで構成されている。筐体20は、中空の略円筒状に形成されており、下部よりも上部の径が小さくなるように先細り形状とされている。
【0037】
筐体20の内部には、保持部20Aが形成されており、保持部20Aにスピーカ本体18が保持されている。スピーカ本体18は、下部にマグネット及びボイスコイルなどが配置されており、上部に振動板が配置されている。そして、マグネットを含む磁気回路中に設けられたボイスコイルに電流が流れることで、ボイスコイルを含む可動子が往復運動して振動板を振動させることで音を出力する。
【0038】
筐体20の内部空間の上面は、中心から周端部へ向けて徐々に上方へ傾斜したテーパ状に形成されており、スピーカ本体18から出力された音を筐体20の径方向外側へ拡散させる。また、筐体20の外周面には図示しない複数のスリットが形成されており、スリットを通じて筐体20の外周面の全体から音が出力されるように構成されている。
【0039】
(波紋発生装置10)
波紋発生装置10は、液体収容部としての容器30、振動体32、液面振動部材としてのプレート34、クッション材36及び光源としてのLED(Light Emitting Diode)38を含んで構成されている。
【0040】
図2に示されるように、容器30は、上側部材30A、下側部材30B及び連結部材30Cを含んで構成されている。上側部材30Aは、ガラス又は透明な樹脂などで形成されており、平面視で略円形の天井部と、天井部の外周端部から下方へ延在された側面部とを含んで構成されている。下側部材30Bは、ガラス又は透明な樹脂などで形成されており、平面視で略円形の天井部と、天井部の外周端部から上方へ延在された側面部とを含んで構成されている。
【0041】
連結部材30Cは、上側部材30Aと下側部材30Bとの間に設けられており、両者を上下方向に連結している。具体的には、連結部材30Cは、リング状に形成されており、連結部材30Cの上端面には上側部材30Aの側面部における下端面が接続されている。
【0042】
一方、連結部材30Cの下端面には、下側部材30Bの側面部における上端面が接続されている。なお、連結部材30Cは、上側部材30A及び下側部材30Bと同様に透明の材料で形成されてもよく、半透明又は不透明の材料で形成されてもよい。連結部材30Cを透明な材料で形成することで、利用者が容器30の内部が視認しやすくなる。また、連結部材30Cを半透明又は不透明の材料で形成することで、振動体32などの部品が側面から見えないようにすることができる。
【0043】
本実施形態では一例として、連結部材30Cによって上側部材30A及び下側部材30Bが取り外し不能に連結されているが、これに限定されない。例えば、連結部材30Cと上側部材30Aとの接合状態を解除する機構を設け、上側部材30Aが取り外し可能な構造としてもよい。
【0044】
容器30の内部には、液体の一例である水Wが収容されている。なお、水Wに代えて他の液体が収容された構成としてもよい。この場合、液体の色は特に限定されず、例えば、有色の液体を容器30に収容してもよい。
【0045】
振動体32は、入力信号に基づいて振動する構造である。振動体32の具体的な構造について、
図3を参照して説明する。
【0046】
図3は、振動体32を径方向から見た状態を示す断面図である。この
図3に示されるように、振動体32は、ケース40、コイル44、可動子45、板バネ52及び枠体54とを含んで構成されている。
【0047】
ケース40は、ケース本体部40Aと上下一対の蓋部40Bとを含んで構成されている。ケース本体部40Aは、例えば樹脂で略円筒状に形成されている。また、ケース本体部40Aの上下方向(軸方向)の両端部は開放されている。
【0048】
上下一対の蓋部40Bはそれぞれ、樹脂で形成されており、ケース本体部40Aの上部開口及び下部開口を塞ぐようにケース本体部40Aに取付けられている。例えば、蓋部40Bに係止孔を形成すると共にケース本体部40Aに係止爪を形成し、蓋部40Bの係止孔にケース本体部40Aの係止爪を係合させることで機械的にケース本体部40Aと蓋部40Bとを連結する構成としてもよい。
【0049】
ケース40の内部空間には、ヨーク42が配設されている。ヨーク42は、筒状の軟磁性材料で形成されており、ケース本体部40Aに形成された凹部に嵌め込まれることでケース本体部40Aに保持されている。
【0050】
ヨーク42の内周面には、接着剤などによってコイル44が固定されている。コイル44は、上下に2つ設けられており、それぞれ巻線が巻回されることで形成されている。また、コイル44には第1ケーブルC1を通じて信号入力部14から電力が供給されるように構成されており、コイル44に通電されることで磁場を発生させ、磁気回路を構成する。なお、コイル44はボビンに巻回してケース40内に配置してもよいが、小型化する観点でヨーク42の内周面に固定する方が好ましい。
【0051】
可動子45は、ケース40の中心軸に沿って上下に振動可能な状態でケース40の内部空間に配設されており、錘46、ポールピース48及びマグネット50を含んで構成されている。
【0052】
マグネット50は、可動子45における上下方向の中央部に配置されている。また、マグネット50は、扁平の略円柱状に形成されており、コイル44に接触しない程度の直径とされている。このため、マグネット50とコイル44との間には隙間が設けられている。
【0053】
マグネット50の上面及び下面にはそれぞれ、ポールピース48が固定されている。すなわち、ポールピース48は、上下一対設けられている。ポールピース48は、軟磁性材料で形成されており、マグネット50よりも僅かに大径の略円柱状に形成されている。また、ポールピース48の中心部にはマグネット50とは反対側へ突出した凸部48Aが形成されており、凸部48Aとは反対側の面には、凹部48Bが形成されている。
【0054】
錘46は、非磁性体で形成されており、円柱状部分と、円柱状部分から径方向外側へ延出されたベース部分とを含んで構成されている。また、錘46におけるポールピース48側の面には、凹部46Aが形成されており、この凹部46Aにポールピース48の凸部48Aが係合されている。
【0055】
錘46における円柱状部分の先端には突出部46Bが形成されており、この突出部46Bは、後述する板バネ52に挿入されている。
【0056】
板バネ52は、ケース本体部40Aの軸方向一端部及び軸方向他端部にそれぞれ配置されている。また、板バネ52は、一枚又は複数枚の金属板によって構成されており、可撓性を有している。
【0057】
板バネ52の中央部には貫通孔が形成されており、この貫通孔に錘46の突出部46Bが挿入されている。また、突出部46Bは、加締めなどにより板バネ52に固定されている。
【0058】
板バネ52の外周端部は、枠体54に固定されている。枠体54は、略円環状に形成されており、ケース本体部40Aに固定されている。このため、板バネ52は、枠体54を介してケース本体部40Aに固定されている。
【0059】
振動体32は以上のように構成されており、コイル44に通電されていない状態では、可動子45がケース本体部40Aにおける軸方向の中央部に位置している。また、上下の板バネ52は、変形していない。この状態でコイル44に交流電流を流すことで、フレミングの左手の法則に基づいて可動子45に軸方向の推力が発生する。また、可動子45の移動に伴い、上下の板バネ52が弾性変形して可動子45に付勢力を作用させることで、可動子45が軸方向に振動する。なお、コイル44に入力される入力信号は、スピーカ12へ入力される音響信号から所定の周波数帯域の信号を抽出した信号となっている。
【0060】
図1及び
図2に示されるように、可動子45の振動方向において、振動体32の一端(下端)は、プレート34の上面に固定されている。可動子45の振動方向において、振動体32の一端側は、プレート34に固定されている。プレート34は、振動体32に直接的に設けられ、振動体32で発生した振動を液面(液体)に伝達させて波紋を発生させる部材である。
【0061】
プレート34は、平面視で略円形に形成されており、このプレート34の中心に振動体32が配置されている。また、プレート34の外周端部から上方へ周壁部34Aが延在されており、この周壁部34Aによって容器30の内部の水Wが振動体32に接触しないように構成されている。
【0062】
ここで、プレート34の下面は、水Wの水面と略同じ高さに位置している。このため、振動体32の振動に伴ってプレート34が上下に移動することで、プレート34と水Wとの接触部分から波紋が発生する。
【0063】
プレート34の下面には、クッション材36が配置されている。クッション材36は、弾性変形可能な材料で形成されており、プレート34よりも小径の略円板状に形成されている。また、クッション材36は、容器30の底面に固定されており、このクッション材36の上面にプレート34が固定されている。このため、クッション材36が弾性変形することでプレート34の上下移動が許容される。
【0064】
ここで、クッション材36は、容器30の中心部に固定されており、プレート34は、クッション材36の中心部に固定されており、振動体32は、プレート34の中心部に固定されている。このため、容器30、振動体32、プレート34及びクッション材36は、同軸上に配置されている。
【0065】
容器30よりも上方にはLED38が配置されている。LED38は、振動体32の中心軸と同軸上に配置されており、振動体32及びプレート34へ向けて光を照射可能な方向に配置されている。
【0066】
具体的には、LED38は、ブラケット16を介して容器30に固定されている。ブラケット16は、容器30の上面に立設された縦部材16Aと、縦部材16Aから水平方向へ延在された横部材16Bとを含んで構成されている。縦部材16Aは、例えば、板金によって形成されており、縦部材16Aの下端部が容器30に沿って折り曲げられて接着剤などによって容器30に固定されている。ここで、縦部材16Aは、容器30の中心よりも径方向の外側へオフセットされた位置に固定されている。
【0067】
横部材16Bは、縦部材16Aと同様の板金で形成されており、一端部が縦部材16Aに固定されており、他端部にLED38が固定されている。また、横部材16Bは、縦部材16Aから容器30の中心部へ向けて延在されており、LED38の中心が容器30の中心と一致するように構成されている。
【0068】
本実施形態に係る波紋発生システムSは以上のように構成されており、作動することで、スピーカ本体18に入力された音響信号が音楽として周囲に出力される。また、音楽に合わせて振動体32が振動することで波紋が発生する。さらに、LED38から下方へ光が照射されることで、波紋の影が地面に投影される。なお、スピーカ本体18に入力される音響信号は、音楽に限定されず、音声などの他の音の信号でもよい。
【0069】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0070】
本実施形態に係る波紋発生システムS及び波紋発生装置10では、入力信号に基づいて振動する振動体32に対してプレート34が直接的に設けられている。これにより、小型の振動体32であってもプレート34を用いて水Wの液面に所望の振動を伝達させることができる。すなわち、波紋発生装置10を小型化することができ、個人で所有可能なサイズとすることができる。
【0071】
また、本実施形態では、プレート34が円形に形成されているため、プレート34から発生する波紋は、整った形状の波紋となる。
【0072】
さらに、本実施形態では、プレート34にクッション材36を設けることで、クッション材36を介してプレート34を平面に固定した場合であっても、クッション材36が弾性変形してプレート34の移動を許容できる。特に、本実施形態では、容器30の底面にクッション材36が固定されており、クッション材36の上面にプレート34が固定されている。これにより、振動体32が振動した場合、クッション材36を弾性変形させながらプレート34が振動することとなり、容器30に振動が伝達するのを抑制できる。
【0073】
また、本実施形態では、LED38からプレート34へ照射された光によって波紋の影が地面に投影される。これにより、利用者が波紋が視認し易くなる。
【0074】
さらに、本実施形態では、振動体32がプレート34の中心に配置されており、LED38が振動体32の中心軸と同軸上に配置されているため、波紋の投影面の中心から波紋が発生するのを視認することができる。すなわち、波紋を綺麗に見せることができ、意匠性を向上できる。
【0075】
<第2実施形態>
次に、第2施形態に係る波紋発生装置60について図面を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
【0076】
図4は、第2実施形態に係る波紋発生装置60の斜視図であり、
図5は、第2実施形態に係る波紋発生装置60の断面図である。
図4及び
図5に示されるように、本実施形態の波紋発生装置60は、振動体32、カバー部62及び液面振動部材としての羽根部66とを含んで構成されている。
【0077】
振動体32は、第1実施形態と同様の構成とされており、入力信号に基づいて振動するように構成されている。なお、本実施形態の波紋発生装置60は、外部機器とを接続するケーブル類は設けられておらず、通信機70によって信号の通信が行われる。
【0078】
カバー部62は、振動体32を覆って振動体32が配置された内部空間と、外部空間とを隔成する。カバー部62は、透明な樹脂などによって形成されており、振動体32の周面を覆う側壁部62Aと、振動体32の上面を覆う天井部62Bと、振動体32を下方から支持する底部64とを含んで構成されている。
【0079】
側壁部62Aは、上端及び下端が開口された略筒状に形成されており、側方から見て外側へ膨らんだ形状とされている。天井部62Bは、側壁部62Aの上端部に取り外し可能に取り付けられている。また、側壁部62Aと天井部62Bとの間には図示しないシール材が介在されており、内部空間に液体が浸入するのを抑制している。
【0080】
底部64は、側壁部62Aの下端部に固定されている。底部64は、略半球状に形成されており、中実の構造となっている。このため、底部64が錘として機能し、波紋発生装置60を液面に浮かべた際に下側に位置するようになっている。
【0081】
底部64の上端部には、通信機70及びバッテリ72が配置されている。通信機70は、例えば、ブルートゥース(登録商標)の受信機などを含んで構成されてもよい。バッテリ72は、振動体32及びLED68に電力を供給する。さらに、底部64には、図示しない基板などが設けられている。
【0082】
底部64の上面にはLED68が固定されており、LED68の上面に振動体32が固定されている。LED68は、波紋発生装置60の外部空間へ光を照射可能に構成されている。
【0083】
ここで、カバー部62には、羽根部66が設けられている。羽根部66は、平面視で略円環状に形成されており、側壁部62Aの外周面から径方向外側へ延出されている。また、カバー部62の中心は、振動体32の中心軸と一致しており、波紋発生装置60を水面に浮かべた際に、羽根部66が水面と接触した状態となる。
【0084】
本実施形態に係る波紋発生装置60は以上のように構成されており、振動体32が振動することで、波紋発生装置60の全体が振動する。そして、羽根部66から液面(液体)に振動が伝達されることで、波紋を発生させる。また、LED68から光が照射されることで、波紋が波紋発生装置60の周囲の投影面に投影される。
【0085】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0086】
本実施形態に係る波紋発生装置60では、振動体32を覆うカバー部62の外周面に羽根部66が設けられている。これにより、波紋発生装置60ごと水面に浮かばせることができ、簡易な構造で波紋を発生させることができる。
【0087】
また、本実施形態では、波紋発生装置60の内部空間にLED68が設けられているため、LED68を含む波紋発生装置60を容易に持ち運ぶことができる。
【0088】
さらに、本実施形態では、波紋発生装置60と外部機器とを接続するケーブル類が設けられておらず、小型化が可能であるため、様々な場面で使用することができる。例えば、プール及び風呂の浴槽などに浮かべて使用することができる。また、例えば、金魚及び熱帯魚などの観賞用の生物の水槽などに浮かべて使用することができる。
【0089】
その他の作用については第1実施形態と同様である。
【0090】
〔補足説明〕
以上、第1実施形態及び第2実施形態に係る波紋発生装置10、60について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、振動体32として、
図3に示されるボイスコイル型の振動体を用いたが、これに限定されず、他の構造の振動体を用いてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、振動体32を1つのみ配置した構成について説明したが、これに限定されず、複数の振動体32が配置された構成を採用してもよい。この場合、複数の振動体32から発生する波紋が干渉する形状を考慮して振動体32の配置箇所を設定してもよい。
【0092】
さらに、上記第1実施形態では、ブラケット16を用いてLED38を容器30の上部に配置したが、これに限定されない。例えば、容器30の中心にロッドを立設し、ロッドの先端にLED38を取り付けた構造としてもよい。これにより、波紋発生装置10の意匠性を向上させることができ、かつ、ブラケット16の影が投影面に投影されるのを抑制できる。
【0093】
さらにまた、上記第1実施形態では、プレート34を平面視で略円形に形成したが、これに限定されず、他の形状に形成してもよい。例えば、プレートを星形、矩形型、及び多角形状などに形成してもよい。第2実施形態における羽根部66についても同様に、他の形状に形成してもよい。
【0094】
また、上記実施形態では、LED38から照射された光によって波紋が投影される投影面の領域は固定されているが、これに限定されず、投影面の領域を変化可能な調整機構設けてもよい。
【0095】
調整機構として、LED38と振動体32との上下方向に位置を可変できる機構を採用してもよい。例えば、縦部材16Aに対して横部材16Bを上下方向にスライド可能とすれば、LED38を上下に移動させることができ、投影面の領域を変化できる。
【0096】
また、調整機構として、LED38の光軸を絞る機構を採用してもよい。さらに、調整機構として、LED38のレンズ形状を変化可能な機構を採用してもよい。
【0097】
さらにまた、上記実施形態では、光源としてLEDを採用したが、他の光源を用いてもよい。
【0098】
上記実施形態では、信号入力部14と波紋発生装置10とが第1ケーブルC1によって電気的に接続され、信号入力部14とスピーカ12とが第2ケーブルC2によって電気的に接続されている例を示したが、信号入力部14と波紋発生装置10と、及び信号入力部14とスピーカ12とが、無線によって接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10 波紋発生装置
12 スピーカ
14 信号入力部
30 容器(液体収容部)
32 振動体
34 プレート(液面振動部材)
36 クッション材
38 LED(光源)
60 波紋発生装置
62 カバー部
66 羽根部(液面振動部材)
68 LED(光源)
S 波紋発生システム