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特開2024-21507プレキャストコンクリート製の曲管及びその製造装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021507
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】プレキャストコンクリート製の曲管及びその製造装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/10 20060101AFI20240208BHJP
   F16L 43/02 20060101ALI20240208BHJP
   F16L 13/11 20060101ALI20240208BHJP
   F16L 9/08 20060101ALI20240208BHJP
   B28B 21/74 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
F16L27/10 Z
F16L43/02
F16L13/11
F16L9/08
B28B21/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124367
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000201504
【氏名又は名称】前田製管株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123146
【弁理士】
【氏名又は名称】米屋 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100066094
【弁理士】
【氏名又は名称】米屋 武志
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 健
【テーマコード(参考)】
3H104
3H111
【Fターム(参考)】
3H104JA07
3H104JB07
3H104JD07
3H104LB28
3H104LB37
3H104LG02
3H104LG24
3H111AA01
3H111BA07
3H111CB02
3H111CB14
3H111CB27
3H111EA18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造する際の品質を一定に保ち、埋設供用後に接合部の損傷を防止して、通水性を確保することが可能なプレキャストコンクリート製の曲管を提供する。
【解決手段】直管を斜めに切断して切断面3が平面になるように形成された2つの管体2a,2bのうち、一方の管体2a(2b)が他方の管体2b(2a)に対して軸心まわりに180度回転した位置関係に配置され、突き合わせ端部4の切断面3同士が互いに向き合う状態で接続された曲管1である。2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3同士が接着剤により接続され、接合部8に形成された断面略三角形状の外側隙間部9に保護部材10が充填されるとともに、外周面11が保護部材10により覆われることで、接合部8が保護された状態となっている。
【選択図】図2-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直管が斜めに切断され形成された複数の管体のうち、1つの前記管体が他の前記管体に対して軸心まわりに180度回転させた位置関係に配置され、それら2つの前記管体の突き合わせ端部の切断面同士が互いに向き合う状態で接続されたプレキャストコンクリート製の曲管であって、2つの前記管体の前記突き合わせ端部の接合部に外側隙間部が形成され、該外側隙間部に硬化することで弾性を有する保護部材が充填されるとともに、2つの前記管体の前記突き合わせ端部の外周面が前記保護部材により覆われ、2つの前記管体の前記切断面同士が接着剤により接着され2つの前記管体が接続されたことを特徴とするプレキャストコンクリート製の曲管。
【請求項2】
2つの前記管体の前記突き合わせ端部の前記接合部に内側隙間部が形成され、該内側隙間部に前記保護部材が充填されるとともに、2つの前記管体の前記突き合わせ端部の内周面が前記保護部材により覆われたことを特徴とする請求項1に記載のプレキャストコンクリート製の曲管。
【請求項3】
2つの前記管体のそれぞれの前記切断面において、複数のキー穴が対応する位置に形成され、複数の前記キー穴にキー部材がそれぞれ挿入されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレキャストコンクリート製の曲管。
【請求項4】
前記キー穴が、2つの前記管体の前記切断面の下端部またはその近傍、及び前記切断面の上端部またはその近傍に少なくとも形成され、前記キー穴には接着剤が充填されていることを特徴とする請求項3に記載のプレキャストコンクリート製の曲管。
【請求項5】
2つの前記管体の前記突き合わせ端部の前記外周面及び前記外周面を覆う前記保護部材が、自己融着性を有するテープで被覆され、更に補強被覆材で被覆されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプレキャストコンクリート製の曲管。
【請求項6】
2つの前記管体の前記突き合わせ端部の前記外周面及び前記外周面を覆う前記保護部材が、自己融着性を有するテープで被覆され、更に補強被覆材で被覆されたことを特徴とする請求項3に記載のプレキャストコンクリート製の曲管。
【請求項7】
2つの前記管体の前記突き合わせ端部の前記外周面及び前記外周面を覆う前記保護部材が、自己融着性を有するテープで被覆され、更に補強被覆材で被覆されたことを特徴とする請求項4に記載のプレキャストコンクリート製の曲管。
【請求項8】
直管が斜めに切断され形成された複数の管体のうち、1つの前記管体が他の前記管体に対して軸心まわりに180度回転させた位置関係に配置され、それら2つの前記管体の突き合わせ端部の切断面同士が互いに向き合う状態で接続されたプレキャストコンクリート製の曲管であって、2つの前記管体の前記突き合わせ端部同士が、断面略H形で円環状である弾性を有する緩衝部材を介して接着剤により接着され、2つの前記管体が接続されたことを特徴とするプレキャストコンクリート製の曲管。
【請求項9】
2つの前記管体の前記突き合わせ端部の内周面にそれぞれ段部が形成され、該段部が前記緩衝部材の内側フランジ部に覆われ、前記内周面と前記内側フランジ部の外側面が面一の状態であることを特徴とする請求項8に記載のプレキャストコンクリート製の曲管。
【請求項10】
2つの前記管体の前記突き合わせ端部の外周面及び前記緩衝部材の外側フランジ部が、自己融着性を有するテープで被覆され、更に補強被覆材で被覆されたことを特徴とする請求項8または請求項9に記載のプレキャストコンクリート製の曲管。
【請求項11】
直管が斜めに切断され形成された複数の管体のうち、1つの前記管体が他の前記管体に対して軸心まわりに180度回転させた位置関係に配置され、それら2つの前記管体の突き合わせ端部の切断面同士が互いに向き合う状態で接続されたプレキャストコンクリート製の曲管を製造する際に使用する回転台車であって、フレーム部を有し、該フレーム部において、複数の略円柱状のローラー部がその軸部を中心として回動可能に支持されるとともに、複数の前記ローラー部の前記軸部が互いに平行となるように支持され、前記フレーム部の下面側において前記フレーム部を移動自在に支持するキャスター部が複数設けられていることを特徴とする回転台車。
【請求項12】
直管が斜めに切断され形成された複数の管体のうち、1つの前記管体が他の前記管体に対して軸心まわりに180度回転させた位置関係に配置され、それら2つの前記管体の突き合わせ端部の切断面同士が互いに向き合う状態で接続されたプレキャストコンクリート製の曲管を製造する際に使用する回転台車装置であって、複数の移動台車と複数の回転台車を有し、前記移動台車は土台部を有し、該土台部の上面において一対のレール部が設けられ、前記土台部の下面側において前記土台部を移動自在に支持するキャスター部が複数設けられ、隣り合う前記移動台車の前記土台部は、ヒンジ部を介して互いに揺動可能に連結され、前記回転台車はフレーム部を有し、該フレーム部において、複数の略円柱状のローラー部がその軸部を中心として回動可能に支持されるとともに、複数の前記ローラー部の前記軸部が互いに平行となるように支持され、前記フレーム部の下面側において前記フレーム部を支持しつつ前記移動台車の前記レール部上を走行可能な車輪部が複数設けられ、それぞれの前記移動台車の前記レール部上に、少なくとも1台の前記回転台車が載置されていること特徴とする回転台車装置。
【請求項13】
前記移動台車の前記レール部と、前記レール部上に載置された前記回転台車の前記ローラー部の前記軸部が互いに平行であることを特徴とする請求項12に記載の回転台車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の管体の突き合わせ端部が接続されたプレキャストコンクリート製の曲管及びその製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圃場整備や上下水道の整備に使用されるプレキャストコンクリート製管は、耐久性に優れ、主に下水道や農業用水の幹線資材として広く使用されている。特に、遠心力成形法によって製造されるヒューム管は、高強度で水密性に優れ、肉厚を薄くできるために扱いやすい。
【0003】
ところで、コーナー部にヒューム管を適用する場合は、樹脂管や鋼製管に比べてその製法上、屈曲部を有するものを製造するには技術的に難しい面があることから、あらかじめ製造した直管(ヒューム管)を施工現場に合わせて斜めに切断し、分割された2つの管体のうちの一方の管体を軸心まわりに180度回転させて、その突き合わせ端部と他方の管体の突き合わせ端部を接続するなどして屈曲部を形成することにより対応している。
【0004】
しかし、2つの管体を上記のように接続して屈曲部を形成する際、一方の管体を他方の管体に対して正確に軸心まわりに180度回転させた位置関係に固定しつつ接続することは容易ではないため、曲管の有効長や曲げ角度にばらつきが生じやすかった。また、曲管は埋設供用後に上載荷重による鉛直土圧を受けた場合、特にその接合部の腹側において圧縮応力が生じるため接合部が損傷し易い。また、接合部が損傷することで、曲管の通水性が損なわれる。尚、これらの課題は、樹脂管やFRPM管だけでなくヒューム管についても生じる共通の課題である。
【0005】
特許文献1では、上記の曲管の接合部が損傷する問題を解決するため、原管を切断して形成した一対の管部材を互いに軸心まわりに180度回転させ、それらの管部材の間に弾性体のパテを充填し、弾性体及びその近傍の管部材に樹脂含侵ガラス繊維等を積層接着等した管体構造を提案している。
【0006】
また、特許文献2では、曲管の有効長や曲げ角度にばらつきが生じる問題を解決するため、直管を切断して分割した2つの管体を、互いに管軸まわりに180度回転させて切断面同士を互いに向き合わせた状態としつつ、背側で互いに接触させかつ腹側で互いに離して配置し、可撓性のある樹脂含侵ガラス繊維等を積層接着等して接続した曲管を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-291864号
【特許文献2】特開2006-283932号
【0008】
しかし、特許文献1に記載の曲管は、2つの管体を弾性体を介して接続するため、2つの管体を正確な相対位置の状態で接続することが難しく、また、2つの管体を樹脂含浸ガラス繊維で積層接着等により接続する際に、それらの相対位置や相対角度が変化しやすいため、曲管の有効長や曲げ角度にばらつきが生じやすく、一定の品質を保つのが難しかった。
【0009】
また、引用文献2に記載の曲管は、背側は互いに接触または面接触させた状態であるものの、腹側は間に隙間を形成した状態で接続されているため、2つの管体を樹脂含浸ガラス繊維で積層接着等により接続する際に、それらの相対位置や相対角度が変化して、曲管の有効長や曲げ角度にばらつきが生じるおそれがあった。また、背側で互いに面接触させた状態で2つの管体を接続する場合は、管体の切断面が平面ではないため、直管を切断する際に高度な技術が要求されるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術が有する問題点を解消するため、直管(ヒューム管)を斜めに切断して形成された管体を接続して曲管を製造する際に、高度な技術を必要とすることなく、2つの管体の切断面同士の相対位置の変化及びそれらの相対角度の変化を防止して、品質を一定に保つことができるとともに、埋設供用後に上載荷重による鉛直土圧を受けた際の接合部の損傷を防止して、通水性を確保することができるプレキャストコンクリート製の曲管を提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、直管が斜めに切断され形成された複数の管体のうち、1つの前記管体が他の前記管体に対して軸心まわりに180度回転させた位置関係に配置され、それら2つの前記管体の突き合わせ端部の切断面同士が互いに向き合う状態で接続されたプレキャストコンクリート製の曲管であって、2つの前記管体の前記突き合わせ端部の接合部に外側隙間部が形成され、該外側隙間部に硬化することで弾性を有する保護部材が充填されるとともに、2つの前記管体の前記突き合わせ端部の外周面が前記保護部材により覆われ、2つの前記管体の前記切断面同士が接着剤により接着され2つの前記管体が接続されたことを特徴とする。
【0012】
また、本願の請求項2に係る発明は、2つの前記管体の前記突き合わせ端部の前記接合部に内側隙間部が形成され、該内側隙間部に前記保護部材が充填されるとともに、2つの前記管体の前記突き合わせ端部の内周面が前記保護部材により覆われたことを特徴とする。
【0013】
また、本願の請求項3に係る発明は、2つの前記管体のそれぞれの前記切断面において、複数のキー穴が対応する位置に形成され、複数の前記キー穴にキー部材がそれぞれ挿入されていることを特徴とする。
【0014】
また、本願の請求項4に係る発明は、前記キー穴が、2つの前記管体の前記切断面の下端部またはその近傍、及び前記切断面の上端部またはその近傍に少なくとも形成され、前記キー穴には接着剤が充填されていることを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項5ないし請求項7に係る発明は、2つの前記管体の前記突き合わせ端部の前記外周面及び前記外周面を覆う前記保護部材が、自己融着性を有するテープで被覆され、更に補強被覆材で被覆されたことを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項8に係る発明は、直管が斜めに切断され形成された複数の管体のうち、1つの前記管体が他の前記管体に対して軸心まわりに180度回転させた位置関係に配置され、それら2つの前記管体の突き合わせ端部の切断面同士が互いに向き合う状態で接続されたプレキャストコンクリート製の曲管であって、2つの前記管体の前記突き合わせ端部同士が、断面略H形で円環状である弾性を有する緩衝部材を介して接着剤により接着され、2つの前記管体が接続されたことを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項9に係る発明は、2つの前記管体の前記突き合わせ端部の内周面にそれぞれ段部が形成され、該段部が前記緩衝部材の内側フランジ部に覆われ、前記内周面と前記内側フランジ部の外側面が面一の状態であることを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項10に係る発明は、2つの前記管体の前記突き合わせ端部の外周面及び前記緩衝部材の外側フランジ部が、自己融着性を有するテープで被覆され、更に補強被覆材で被覆されたことを特徴とする。
【0019】
また、本願の請求項11に係る発明は、直管が斜めに切断され形成された複数の管体のうち、1つの前記管体が他の前記管体に対して軸心まわりに180度回転させた位置関係に配置され、それら2つの前記管体の突き合わせ端部の切断面同士が互いに向き合う状態で接続されたプレキャストコンクリート製の曲管を製造する際に使用する回転台車であって、フレーム部を有し、該フレーム部において、複数の略円柱状のローラー部がその軸部を中心として回動可能に支持されるとともに、複数の前記ローラー部の前記軸部が互いに平行となるように支持され、前記フレーム部の下面側において前記フレーム部を移動自在に支持するキャスター部が複数設けられていることを特徴とする。
【0020】
また、本願の請求項12に係る発明は、直管が斜めに切断され形成された複数の管体のうち、1つの前記管体が他の前記管体に対して軸心まわりに180度回転させた位置関係に配置され、それら2つの前記管体の突き合わせ端部の切断面同士が互いに向き合う状態で接続されたプレキャストコンクリート製の曲管を製造する際に使用する回転台車装置であって、複数の移動台車と複数の回転台車を有し、前記移動台車は土台部を有し、該土台部の上面において一対のレール部が設けられ、前記土台部の下面側において前記土台部を移動自在に支持するキャスター部が複数設けられ、隣り合う前記移動台車の前記土台部は、ヒンジ部を介して互いに揺動可能に連結され、前記回転台車はフレーム部を有し、該フレーム部において、複数の略円柱状のローラー部がその軸部を中心として回動可能に支持されるとともに、複数の前記ローラー部の前記軸部が互いに平行となるように支持され、前記フレーム部の下面側において前記フレーム部を支持しつつ前記移動台車の前記レール部上を走行可能な車輪部が複数設けられ、それぞれの前記移動台車の前記レール部上に、少なくとも1台の前記回転台車が載置されていること特徴とする。
【0021】
また、本願の請求項13に係る発明は、前記移動台車の前記レール部と、前記レール部上に載置された前記回転台車の前記ローラー部の前記軸部が互いに平行であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上記より、請求項1及び請求項2に係る発明によれば、管体の接続に使用する接着剤等が硬化するまでの、2つの管体の切断面同士の相対位置の変化及びそれらの相対角度の変化を防止して、製造するプレキャストコンクリート製の曲管の品質を一定に保つことができる。また、2つの管体の突き合わせ端部同士が、鉛直土圧を受けた際に干渉して接合部が損傷することを防止し、通水性を確保することができる。
【0023】
また、請求項3及び請求項4に係る発明によれば、管体の接続に使用する接着剤等が硬化するまでの、2つの管体の切断面同士の相対位置の変化及びそれらの相対角度の変化をより確実に防止することができ、製造するプレキャストコンクリート製の曲管の品質をより一定に保つことができる。また、2つの管体の突き合わせ端部同士が鉛直土圧を受けた際に、接続された切断面同士の相対位置のズレを防止して、通水性を確保することができる。特に、請求項4に係る発明によれば、2つの管体の突き合わせ端部同士が鉛直土圧を受けた際に、切断面のキー穴が形成された位置の近傍において切断面の接着が剥離することをより確実に防止し、通水性を確保することができる。
【0024】
また、請求項5ないし請求項7及び請求項10に係る発明によれば、鉛直土圧を受けた際、接続された2つの管体の切断面同士の相対位置のズレを防止することができるため、接合部からの漏水を長期間において確実に防止し、プレキャストコンクリート製の曲管の通水性を確保することができる。また、接合部に隙間が生じた場合であっても、その隙間からの漏水を防止して、プレキャストコンクリート製の曲管の通水性を確保することができる。
【0025】
また、請求項8及び請求項9に係る発明によれば、2つの管体の接続作業が容易となり、管体の接続に使用する接着剤が硬化するまでの、2つの管体の切断面同士の相対位置の変化及びそれらの相対角度の変化を防止して、製造するプレキャストコンクリート製の曲管の品質を一定に保つことができる。また、2つの管体の突き合わせ端部同士が、鉛直土圧を受けた際に干渉して接合部が損傷することを防止し、通水性を確保することができる。
【0026】
また、請求11に係る発明によれば、回転台車を管体の突き合わせ端部を接続する際に使用することで、2つの管体の突き合わせ端部における加工作業を効率的に行うことができるとともに、2つの管体の切断面同士を接続する作業を少人数で容易に行うことができる。
【0027】
また、請求項12及び請求項13に係る発明によれば、回転台車装置を管体の突き合わせ端部を接続する際に使用することで、2つの管体の突き合わせ端部における加工作業を効率的に短時間で行うことができるとともに、2つの管体の切断面同士を接続する作業を少人数でより正確に且つ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る曲管を構成する直管を示す図である。
図2-1】本発明の第1実施形態に係る曲管を示す平面図及び部分拡大断面図である。
図2-2】本発明の第1実施形態に係る変形例の曲管を示す平面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る曲管を示す平面図及び部分拡大断面図である。
図4-1】本発明の第3実施形態に係る曲管を示す平面図である。
図4-2】本発明の第3実施形態に係る曲管の製造工程を示す部分拡大図である。
図4-3】図4-1のA-A線矢印方向から見た断面図及び鉛直土圧を受けた状態を示す図である。
図5-1】本発明の第4実施形態に係る曲管を示す平面図及び部分拡大断面図である。
図5-2】本発明の第4実施形態に係る曲管の製造工程を示す部分拡大断面図である。
図6】本発明の第5実施形態に係る曲管を示す面図である。
図7】本発明に係る曲管を製造する際に使用する回転台車の斜視図である。
図8-1】図7の回転台車を使用して本発明に係る曲管を構成する管体を接続する工程を示す平面図である。
図8-2】図7の回転台車を使用して本発明に係る曲管を構成する管体を接続する工程を示す正面図である。
図8-3】図7の回転台車を使用して本発明に係る曲管を構成する管体を接続する工程を示す平面図である。
図8-4】図7の回転台車を使用して本発明に係る曲管を構成する管体を接続する工程を示す平面図である。
図8-5】図7の回転台車を使用して本発明に係る変形例の曲管を構成する管体を接続する工程を示す平面図である。
図9-1】回転台車装置を使用して本発明に係る曲管を構成する管体を接続する工程を示す平面図である。
図9-2】回転台車装置を使用して本発明に係る曲管を構成する管体を接続する工程を示す正面図である。
図9-3】回転台車装置を使用して本発明に係る曲管を構成する管体を接続する工程を示す平面図である。
図9-4】回転台車装置を使用して本発明に係る曲管を構成する管体を接続する工程を示す平面図である。
図9-5】回転台車装置を使用して本発明に係る変形例の曲管を構成する管体を接続する工程を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るプレキャストコンクリート製の曲管(以下「曲管」という)及びその製造装置について、図1から図9-5に従って説明する。尚、以下では実施形態を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、各図における同一の構成要素については、同一の符号を付するとともに、その説明については省略する。
【0030】
図1は、本発明に係る曲管1の製造に使用する直管2を示したものである。この直管2は、プレキャストコンクリート製であり、一方の端部にソケット部を有するB型管であって、以下の実施形態においては、内径が400mmで全長が2430mmであるものを使用する。このような直管2を、その軸心a(中心線)に対し直角ではなく斜めb(切断角α)に切断することにより、2つの管体2a,2bを形成する。尚、直管2を切断する際は、切断面3が平面となるように切断する。
【0031】
図2-1は、本発明の第1実施形態に係る曲管1である。この曲管1は、図1に示す直管2を斜めb(切断角α)に切断して切断面3が平面になるように形成された2つの管体2a,2bのうち、一方の管体2a(2b)が他方の管体2b(2a)に対して軸心aまわりに180度回転した位置関係に配置され、突き合わせ端部4の切断面3同士が互いに向き合う状態で接続されている。そのため、2つの管体2a,2bは水平方向に曲がる状態で接続されている。
【0032】
このとき、図2-1に示すように、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4におけるそれぞれの切断面3の外周面側の部分が、研削加工により円周方向に研削されて(本実施形態においては、切断面3に対し約20°研削されて)外側研削面6が形成されているため、突き合わせ端部4の接合部8に断面略三角形状(V字状)の外側隙間部9が形成された状態となっている。そして、接着剤(図示せず)が突き合わせ端部4の切断面3に塗布されるとともに、硬化することで弾性を有する保護部材10が突き合わせ端部4の外周面側の外側隙間部9に充填されており、アンカー部10aが形成されている。また、保護部材10によって、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の角部5及び外周面11が覆われており、カバー部10bが形成されている。
【0033】
外周面側の保護部材10は、アンカー部10aとカバー部10bによりその断面が略T字状に形成され、また、カバー部10bの断面中央は丸みを帯びて盛り上がった形状に形成されている。そのため、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8は、平面である切断面3同士が接着剤によって接続され、角部5、外側研削面6及び外周面11が保護部材10により覆われて保護された状態となっている。
【0034】
尚、ここで使用する接着剤としては、耐久性に優れた一液性または二液性のエポキシ樹脂系接着剤などが望ましく、また、土木学会規準「プレキャストコンクリート用樹脂系接着剤(橋げた用)品質規格案-JSCE-H101-2007」を満たすアクリル樹脂系接着剤を用いても良い。また、保護部材10としては、例えばエポキシ系のパテなどを用いることが望ましい。
【0035】
上記構造とすることで、曲管1を施工する際に施工現場において、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の角部5が、他の部材等と接触することにより損傷するのを防止することができる。また、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8は、平面である切断面3同士が安定した状態で接着されていることから、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4を接続する際の、接着剤及び保護部材10が硬化するまでの2つの管体2a,2bの切断面3同士の相対位置の変化及びそれらの相対角度の変化を防止して、製造する曲管1の品質を一定に保つことができる。また、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8に隙間が生じるのを防止して、曲管1の通水性を確保することができる。
【0036】
また、曲管1が水平方向に曲がるように埋設供用後、車両等の上載荷重による鉛直土圧を受けた際、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8が歪んで変形し(図4-3参照)、その腹側においては圧縮応力、背側においては引張応力がそれぞれ生じるが、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4に用いられた外周面側の保護部材10のアンカー部10a及びカバー部10bが、接合部8の変形に追従して圧縮変形及び引張変形しつつそれらの応力を吸収する。一方、鉛直土圧がなくなれば、その保護部材10の弾性により、歪んで変形したアンカー部10a及びカバー部10bが元の形状に戻る。
【0037】
そのため、曲管1が車両等の上載荷重による鉛直土圧を受けた場合であっても、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4同士が干渉して接合部8が損傷するのを防止することができるとともに、接着された切断面3同士の相対位置のズレを防止して通水性を確保することができる。
【0038】
また、曲管1において、その背側にスラスト力が生じた場合であっても、上記と同様な保護部材10の働きにより、2つの管体2a,2bが滑動して接着された切断面3同士の相対位置のズレを防止し、または切断面3同士が離れてしまうのを防止して、通水性を確保することができる。
【0039】
本実施形態においては、管体2bの端部から目視で切断面3同士の接着状況を確認しながら2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4を接続することが可能となるよう、2つの管体2a,2bのうち、一方の管体2bは、管軸長が600mm以下となるように形成されている。尚、2つの管体2a,2bの接続作業を行う際、接合部8まで手が届くように、一方の管体2bの管軸長が500mm以下であることが望ましい。また、一方の管体2bの管軸長が短すぎると、その端部と他のB型管との接続が難しくなるため、管軸長が300mm以上であることが望ましい。
【0040】
また、本実施形態においては、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8に形成された外側隙間部9の断面形状は略三角形状(V字状)であるが、接合部8に保護部材10を充填可能な隙間が形成されるのであれば略長方形状等の多角形状であっても良いし、半円状であっても良く、その断面形状について特に限定はない。また、外側隙間部9の深さ(研削加工した切断面3の幅)については、2つの管体2a,2bの切断面3同士を接着剤により接着することで、埋設供用後に生じる上記鉛直土圧やスラスト力に耐えうる接着強度を、曲管1の接合部8(切断面3)において確保できるのであれば、特に限定はない。
【0041】
また、直管2を3つまたはそれ以上の管体に切断して接続することにより曲管を形成してもよい。例えば、図2-2に示すように、直管2を斜めに切断して切断面が平面になるようにして3つの管体13a,13b,13cを形成し、突き合わせ端部14の接合部15について上記と同様な接続作業を行うことで曲管12を形成してもよい。
【0042】
図3は、本発明の第2実施形態に係る曲管20である。この曲管20は、第1実施形態に係る曲管1と同様に、図1に示す直管2を斜めb(切断角α)に切断して切断面3が平面になるように形成された2つの管体2a,2bのうち、一方の管体2a(2b)が他方の管体2b(2a)に対して軸心aまわりに180度回転した位置関係に配置され、突き合わせ端部4の切断面3同士が互いに向き合う状態で接続されている。
【0043】
このとき、図3に示すように、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4におけるそれぞれの切断面3の外周面側及び内周面側の部分が、研削加工により円周方向に研削されて(本実施形態においては、切断面3に対し約20°研削されて)外側研削面6及び内側研削面22が形成されているため、突き合わせ端部4の接合部8の外周面側及び内周面側にそれぞれ断面略三角形状(V字状)の外側隙間部9及び内側隙間部23が形成された状態となっている。そして、接着剤(図示せず)が突き合わせ端部4の切断面3に塗布されるとともに、硬化することで弾性を有する保護部材10,24が突き合わせ端部4の外周面側及び内周面側の外側隙間部9及び内側隙間部23に充填されており、アンカー部10a,24aがそれぞれ形成されている。また、保護部材10,24によって、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の外周面側の角部5及び外周面11、並びに内周面側の角部21及び内周面25が覆われており、カバー部10b,24bが形成されている。尚、使用される接着剤及び保護部材10,24は、第1実施形態と同様のものである。
【0044】
外周面側の保護部材10は、アンカー部10aとカバー部10bによりその断面が略T字状に形成され、また、カバー部10bの断面中央は丸みを帯びて盛り上がった形状に形成されている。一方、内周面側の保護部材24は、アンカー部24aとカバー部24bによりその断面が略T字状に形成され、カバー部24bはその幅が外周面側のカバー部10bよりも広く、腹側は中央がなだらかに盛り上がった形状に、背側は中央がなだらかに窪んだ形状にそれぞれ形成されている。そのため、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8は、平面である切断面3同士が接着剤によって接続され、角部5、外側研削面6及び外周面11、並びに角部21、内側研削面22及び内周面25が保護部材10,24により覆われて保護された状態となっている。
【0045】
上記構造とすることで、曲管20を施工する際に施工現場において、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の角部5が、他の部材等と接触することにより損傷するのを防止することができる。また、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8は、平面である切断面3同士が安定した状態で接着されていることから、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4を接続する際の、接着剤及び保護部材10,24が硬化するまでの2つの管体2a,2bの切断面3同士の相対位置の変化及びそれらの相対角度の変化を防止して、製造する曲管20の品質を一定に保つことができる。また、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8に隙間が生じるのをより確実に防止して、曲管20の通水性を確保することができる。
【0046】
また、曲管20が水平方向に曲がるように埋設供用後、車両等の上載荷重による鉛直土圧を受けた場合、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8が歪んで変形し(図4-3参照)、その腹側においては圧縮応力、背側においては引張応力がそれぞれ生じるが、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4に用いられた外周面側の保護部材10及び内周面側の保護部材24のアンカー部10a,24a及びカバー部10b,24bが、接合部8の変形に追従して圧縮変形及び引張変形しつつそれらの応力を吸収する。一方、鉛直土圧がなくなれば、それらの保護部材10,24の弾性により、歪んで変形したアンカー部10a,24a及びカバー部10b,24bが元の形状に戻る。
【0047】
そのため、曲管20が車両等の上載荷重による鉛直土圧を受けた場合であっても、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4同士が干渉して接合部8が損傷するのをより確実に防止することができるとともに、接着された切断面3同士の相対位置のズレをより確実に防止して通水性を確保することができる。また、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8の内周面側がなだらかな形状に形成された保護部材24により覆われた状態であるため、曲管20内を流れる流水の接合部8における摩擦抵抗を減じることができる。
【0048】
また、曲管20において、その背側にスラスト力が生じた場合であっても、上記と同様な保護部材10,24の働きにより、2つの管体2a,2bが滑動して接着された切断面3同士の相対位置のズレを防止し、または切断面3同士が離れてしまうのをより確実に防止して、通水性を確保することができる。
【0049】
本実施形態においては、上記第1実施形態と同様の理由により、2つの管体2a,2bのうち、一方の管体2bは、管軸長が600mm以下となるように形成されており、また、500mm以下であり300mm以上であることが望ましい。
【0050】
また、本実施形態においては、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8に形成された外側隙間部9及び内側隙間部23の断面形状は略三角形状(V字状)であるが、接合部8に保護部材10,24を充填可能な隙間が形成されるのであれば略長方形状等の多角形状であっても良いし、半円状であっても良く、その断面形状について特に限定はない。また、外側隙間部9及び内側隙間部23の深さ(研削加工した切断面3の幅)については、2つの管体2a,2bの切断面3同士を接着剤により接着することで、埋設供用後に生じる上記鉛直土圧やスラスト力に耐えうる接着強度を、曲管20の接合部8(切断面3)において確保できるのであれば、特に限定はない。
【0051】
また、上記第1実施形態と同様に、直管2を3つまたはそれ以上の管体に切断して接続することにより曲管を形成してもよい。その場合、直管2の切断、及びその切断により形成された管体の突き合わせ端部の接合部については、上記と同様な接続作業を行うことで曲管を形成する。
【0052】
図4-1は、本発明の第3実施形態に係る曲管30である。この曲管30は、第1実施形態に係る曲管1の構造と同様の構造であり、加えて、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3には、図4-2及び図4-3に示すように、2つのキー穴31,31が形成されている。それらのキー穴31は、2つの管体2a,2bが水平方向に曲がる状態で接続される際の、それぞれの突き合わせ端部4の切断面3の上下方向の下端部及び上端部に形成され、それぞれの切断面3が突き合わされた際に、対応する位置関係に形成されている。
【0053】
尚、このキー穴31の形状は、本実施形態においては横長略長方形状であるが、円形であっても多角形状であってもよく、形状に特に限定はない。また、キー穴31の深さについては、下記の棒状のキー部材32が挿入可能な深さを有すれば特に限定はない。また、キー穴31の位置は、下端部の近傍や上端部の近傍に形成されていてもよい。また、キー穴31は、上記2か所に加えて他の位置にも形成されていてもよい。
【0054】
また、2つの管体2a,2bのそれぞれのキー穴31には、キー穴31の形状及び大きさと略等しい断面形状及び大きさを有する棒状のキー部材32が挿入され、2つの管体2a,2bが接続されている。尚、キー部材32は、鋼片やセラミック片や高強度モルタル等で形成されたものであり、キー部材32をキー穴31に挿入して2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4を接続した際、キー部材32は2つの管体2a,2bの内部に収容されるため、2つの管体2a,2bの外周面11や内周面25に露出することはない。
【0055】
上記構造により、第1実施形態に係る曲管1の効果に加え、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3にそれぞれ接着剤(図示せず)を塗布して接続する際の、切断面3同士の相対位置のズレを防止して2つの管体2a,2bを正確に接続することができるとともに、接着剤等が硬化するまでの2つの管体2a,2bの切断面3同士の相対位置の変化及びそれらの相対角度の変化を防止して、製造する曲管30の品質をより一定に保つことができる。
【0056】
また、曲管30を水平方向に曲がるように埋設供用後、車両等の上載荷重により鉛直土圧を受けた場合、図4-3に示すように、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8は鉛直方向に押し潰された状態となるとともに、左右方向に広がる状態となって歪んで変形する。このとき、切断面3において下端部のキー穴31の位置は変化せず、また、上端部のキー穴31の位置は下方に移動するだけであるため、2つのキー穴31,31の移動距離の合計が非常に小さい。一方、キー穴31が切断面3において左右方向の右端部及び左端部にそれぞれ形成されている場合や右端部及び左端部の周辺にそれぞれ形成されている場合は、キー穴31の位置は下方に移動することに加えて左右方向にも移動するため、2つのキー穴31,31の移動距離の合計は、上記のように切断面3の下端部及び上端部に形成されている場合に比べて大きくなる。
【0057】
よって、キー穴31を切断面3の下端部及び上端部に形成することで、鉛直土圧を受けて2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部8が歪んで変形した場合であっても、キー穴31の移動距離の合計を最小限にとどめ、キー部材32の変形や損傷を防止することができる。そのため、曲管30の埋設供用後も、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接着された切断面3同士の相対位置を常に維持することができ、通水性を確保することができる。
【0058】
尚、2つの管体2a,2bのそれぞれのキー穴31にキー部材32を挿入する際に、キー穴31に予め接着剤を充填しておいても良い(図示せず)。こうすることで、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4のそれぞれのキー穴31とキー部材32が強固に接合した状態となるため、埋設供用後に接合部8が鉛直土圧を受けて切断面3の下端部付近及び上端部付近に引張応力が生じた場合であっても、キー穴31が形成された切断面3の下端部及び上端部の近傍において接着が剥離したり、切断面3同士の相対位置がズレてしまうなどの欠陥が生じることを確実に防止し、通水性を確保できるようにすることができる。尚、ここで使用される接着剤は、切断面3に塗布するものと同一のものであっても良いし、違うものであっても良い。
【0059】
また、第2実施形態に係る曲管20の構造に加えて、上記と同様に2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4のそれぞれの切断面3に2つのキー穴31,31が形成されるとともに接着剤が充填され、それぞれのキー穴31にキー部材32が挿入された曲管を形成してもよい。
【0060】
また、上記第1実施形態と同様に、直管2を3つまたはそれ以上の管体に切断して接続することにより曲管を形成してもよい。その場合、直管2の切断、及びその切断により形成された管体の突き合わせ端部の接合部については、上記と同様な接続作業を行うことで曲管を形成する。
【0061】
図5-1は、本発明の第4実施形態に係る曲管40である。この曲管40は、第1実施形態に係る曲管1と同様に、図1に示す直管2を斜めb(切断角α)に切断することにより形成された2つの管体2a,2bのうち、一方の管体2a(2b)が他方の管体2b(2a)に対して軸心aまわりに180度回転した位置関係に配置され、突き合わせ端部4の切断面3同士が互いに向き合う状態で、緩衝部材41を介して接続されている。
【0062】
ここで、2つの管体2a,2bの緩衝部材41を介した接続方法について説明すると、図5-1に示すように、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4における外周面11及び内周面25には、管厚が少し薄くなるように研削加工が円周方向に施されて段部42,43がそれぞれ形成されている。
【0063】
一方、緩衝部材41は、図5-2に示すように、断面略H形の円環状の部材であって、弾性を有する部材により形成されている。詳述すると、この緩衝部材41には、左右方向に延び幅を有する円環状の外側フランジ部41aと、その内側において外側フランジ部41aよりも少し外径が小さい左右方向に延び幅を有する内側フランジ部41bが間隔を空けて設けられ、外側フランジ部41aと内側フランジ部41bの左右方向の略中央においてそれぞれと直交する上下方向に延びる軸部41cが設けられている。
【0064】
緩衝部材41の外側フランジ部41aと内側フランジ部41bには、それらが塑性変形可能となるように、それらの内部において幅方向(左右方向)に延びるワイヤー41dが埋設され、そのワイヤー41dは、外側フランジ部41a及び内側フランジ部41bの円周方向に略等間隔で複数埋設されている。このワイヤー41dの働きにより、外側フランジ部41a及び内側フランジ部41bは、その形状を容易に変形させることが可能となるため、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の形状に容易に追従させることができる。また、緩衝部材41は、その外側フランジ部41aと内側フランジ部41bとの間の隙間44(軸部41cの長さ)が、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の段部42,43が形成されている位置における管厚よりも狭いものが使用されている。
【0065】
尚、ここで使用する緩衝部材41(外側フランジ部41a,内側フランジ部41b,軸部41c)の材質としては、耐久性に優れたゴム材であるEPDA(エチレン・プロピエン・ジエン)やCR(クロロプレン)などが望ましい。そして、軸部41cは、その材質により、上下方向に伸縮自在となっている。また、軸部41cは、本実施形態においては特に孔などが形成されていない略帯状であるが、下記で詳述するように、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4を接続する際に使用する接着剤が軸部41cの全面に均等に行きわたるように、左右方向に貫通する略長方形状等の貫通孔が円周方向に略等間隔に形成されて、格子状になっていても良い(図示せず)。
【0066】
そのため、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4を、緩衝部材41の左右の隙間44に挿入する際は、図5-2に示すように、まず緩衝部材41の外側フランジ部41a及び内側フランジ部41bを、軸部41cと接する位置において少し上下方向に折り曲げた状態として、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4を挿入しやすい状態にしておく。そして、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4を、軸部41cを上下方向に伸ばしつつ外側フランジ部41aと内側フランジ部41bの左右の隙間44に挿入し、2つの管体2a,2bの切断面3と緩衝部材41の軸部41cが密着するまで挿入する。挿入後は、外側フランジ部41a及び内側フランジ部41bを、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の外周面側の段部42及び内周面側の段部43と密着する状態となるまで折り曲げる。
【0067】
尚、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3及び段部42,43には、接着剤(図示せず)が塗布されている。また、使用される接着剤は、第1実施形態と同様のものである。
【0068】
上記作業により、緩衝部材41の外側フランジ部41a及び内側フランジ部41bが、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の外周面側の段部42及び内周面側の段部43を覆うとともに、段部42及び段部43にちょうど嵌まり込んだ状態となり、2つの管体2a,2bが緩衝部材41を介して接着剤で接続された状態となっている。そして、図5-1及び図5-2に示すように、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の外周面11と段部42の段差と、緩衝材41の外側フランジ部41aの厚さ、及び2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の内周面25と段部43の段差と、緩衝材41の内側フランジ部41bの厚さはそれぞれ等しいため、外周面11と外側フランジ部41aの外側面41aa、内周面25と内側フランジ部41bの外側面41bbは、段差がなく略面一な状態となっている。
【0069】
上記構造とすることで、曲管40を施工する際に施工現場において、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の角部45が他の部材等と接触することにより損傷するのを防止することができる。また、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部16は、平面である切断面3同士が緩衝部材41の軸部41cを介して安定した状態で接着されているとともに、緩衝部材41の外側フランジ部41a及び内側フランジ部41bにより上下方向から押さえつけられた状態で固定されていることから、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4を接続する際の、接着剤が硬化するまでの2つの管体2a,2bの切断面3同士の相対位置の変化及びそれらの相対角度の変化を防止して、製造する曲管40の品質を一定に保つことができる。また、緩衝部材41の軸部41cの元の長さに戻ろうとする働きにより、外側フランジ部41a及び内側フランジ部41bを、外周面側の段部42及び内周面側の段部43の方へ引っ張り密着させようとする力が働くため、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部16に隙間が生じるのをより確実に防止して、曲管40の通水性を確保することができる。
【0070】
また、曲管40が水平方向に曲がるように埋設供用後、車両等の上載荷重による鉛直土圧を受けた場合、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接合部40が歪んで変形し(図4-3参照)、その腹側においては圧縮応力、背側においては引張応力がそれぞれ生じるが、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4を接続する際に用いられた緩衝部材41における軸部41c、外側フランジ部41a及び内側フランジ部41bが、接合部16の変形に追従して圧縮変形及び引張変形しつつそれらの応力を吸収する。一方、鉛直土圧がなくなれば、その緩衝部材41の弾性により、歪んで変形した外側フランジ部41a及び内側フランジ部41bが元の形状に戻る。
【0071】
そのため、曲管40が車両等の上載荷重による鉛直土圧を受けた場合であっても、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4同士が干渉して接合部16が損傷するのをより確実に防止することができるとともに、接着された切断面3同士の相対位置のズレをより確実に防止して通水性を確保することができる。また、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接続作業が非常に容易となっている。
【0072】
また、曲管40において、その背側にスラスト力が生じた場合であっても、上記と同様な緩衝部材41の働きにより、2つの管体2a,2bが滑動して接続された切断面3同士の相対位置がズレたり、または切断面3同士が離れてしまうのをより確実に防止して通水性を確保することができる。
【0073】
また、本実施形態に係る曲管40においては、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4における外周面側及び内周面側に段部42,43がそれぞれ形成されているが、段部42,43は形成されていなくても良い。但し、段部43が形成されていない場合は、緩衝部材41の内側フランジ部41bが、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の内周面25から突出した状態となって曲管40内を流れる流水の接合部16における摩擦抵抗が増加することとなるため、段部43は形成されていることが望ましい。
【0074】
また、上記第1実施形態と同様の理由により、2つの管体2a,2bのうち、一方の管体2bは、管軸長が600mm以下となるように形成されており、また、500mm以下であり300mm以上であることが望ましい。
【0075】
また、上記第1実施形態と同様に、直管2を3つまたはそれ以上の管体に切断して接続することにより曲管を形成してもよい。その場合、直管2の切断、及びその切断により形成された管体の突き合わせ端部の接合部については、上記と同様な接続作業を行うことで曲管を形成する。
【0076】
図6は、本発明の第5実施形態に係る曲管50である。この曲管50は、上記第1実施形態に係る曲管1において、接続された2つの管体2a,2bにおける突き合わせ端部4の外周面11及びその外周面11を覆う保護部材10を、自己融着性を有するテープ51によって伸ばしながら複数回重ねて巻付けて幅広く被覆した後、更にその上から補強被覆材52で複数回重ねて巻き付けて幅広く被覆することにより形成されたものである。尚、自己融着性を有するテープとしては止水性に優れたものが好ましく、例えばブチルゴム製テープなどが好ましい。また、補強被覆材51としては耐久性及び防錆・防食に優れたものが好ましく、例えばアルミテープやグラスファイバー複合レジンテープなどが好ましい。
【0077】
また、上記第2実施形態ないし第4実施形態に係る曲管20,30,40を用いて上記と同様にして、接続された2つの管体2a,2bにおける突き合わせ端部4の外周面11及びその外周面11を覆う保護部材10や緩衝部材41の外側フランジ部41aを、自己融着性を有するテープ51及び補強被覆材52で幅広く被覆することで曲管50を形成してもよい。また、直管2を3つまたはそれ以上の管体に切断して接続することにより形成した上記第1実施形態ないし第4実施形態に係る曲管を用いて、上記と同様にして自己融着性を有するテープ51及び補強被覆材52で幅広く被覆した曲管を形成しても良い。
【0078】
上記構造とすることで、曲管50が鉛直土圧を受けたり、その背側にスラスト力が生じたりした場合であっても、2つの管体2a,2bの切断面3同士の相対位置のズレを防止することができるため、接合部8,16からの漏水を長期間において確実に防止し、曲管の通水性を確保することができる。また、仮に切断面3同士の相対位置がずれて接合部8,16に隙間が生じた場合であっても、その隙間からの漏水を防止して、曲管50の通水性を確保することができる。
【0079】
図7は、本発明の第1実施形態ないし第5実施形態に係る曲管1,20,30,40,50(直管2を斜めb(切断角α)に切断して切断面3が平面になるように形成された2つの管体2a,2bのうち、一方の管体2a(2b)が他方の管体2b(2a)に対して軸心aまわりに180度回転した位置関係に配置され、突き合わせ端部4の切断面3同士が互いに向き合う状態で接続された曲管)を製造する際に使用する回転台車60である。この回転台車60は、略長方形状のフレーム部61を有し、その上方に管体2a,2bを載置するための2つの略円柱状のローラー部62が設けられている。詳述すると、フレーム部61の向かい合う前端及び後端の辺部材の両端の上面において、上方へ延びるように設けられた2対の支持部63により、2つのローラー部62,62の中心軸である軸部62aがそれぞれ支持され、また2つのローラー部62,62はその軸部62aが互いに平行になるように支持されている。そして、2つのローラー部62,62は、軸部62aを中心として回動可能となっている。また、フレーム部61の下面の四隅には、360度全方向に回転可能なキャスター部であるボールキャスター64がそれぞれ設けられ、フレーム部61を支持している。
【0080】
尚、ボールキャスター64はフレーム部61の下面の四隅に必ず設けられている必要はなく、フレーム部61を安定的に支持し移動できるのであればどこに設けられていてもよく、3つ以上であれば何個設けられていても良い。また、ローラー部62は、管体2a,2bを安定的に載置できるのであれば、3つ以上設けられていても良い。
【0081】
上記構造により、プレキャストコンクリート製の直管2を切断することにより形成した2つの管体2a,2bを、クレーンなどを用いて2つのローラー部62,62の上に載置して、そのローラー部62を回転させることで、管体2a,2bをその軸心aまわりに回転させることができる。また、回転台車60に外力を加えることで、ローラー部62の上の管体2a(2b)を360度全方向へ容易に移動させることができる。
【0082】
尚、管体2a(2b)が軸心aまわりに勝手に回転してしまわないように、ローラー部62がロック可能な構造となっている(図示せず)。また、回転台車60が勝手に移動してしまわないように、ボールキャスター64はロック可能な構造となっている(図示せず)。
【0083】
そのため、2つの管体2a,2bをそれぞれ回転台車60のローラー部62の上に載置した後、一方の回転台車60のローラー部62及びボールキャスター64をロックして、そのローラー部62の上の管体2a(2b)が動かないように固定し、他方の回転台車60のローラー部62を回転させ、そのローラー部62の上の管体2b(2a)を軸心aまわりに回転させることで、一方の管体2a(2b)を他方の管体2b(2a)に対して軸心aまわりに正確に180度回転させた状態とすることができる。そして、他方の回転台車60を移動させることで、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3同士を互いに向き合わせた状態とすることができる。
【0084】
また、管体2a,2bの突き合わせ端部4に外側研削面6やキー穴31等の加工を施す際に、ローラー部62の上に載置した管体2a,2bを軸心aまわりに回転させることにより作業を行いやすい高さに調整することができるとともに、回転台車60を上記作業を行いやすい場所に移動させることが可能となるため、曲管の製造を効率よく行うことができる。
【0085】
また、ローラー部62及びボールキャスター64をロックしながら2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接続作業を行うことで、接着剤や保護部材10,24が硬化するまでの2つの管体2a,2bの切断面3同士の相対位置の変化及びそれらの相対角度の変化を防止することができるため、製造する曲管の品質を一定に保つことができる。そして、上記全ての作業を少人数でかつ容易に行うことが可能となっている。
【0086】
以下、回転台車60(60a,60b)を使用して本発明の第1実施形態ないし第5実施形態に係る曲管1,20,30,40,50を製造する方法について説明する。まず初めに、直管2をその軸心aに対して斜めb(切断角α)にワーヤーソーにより切断して2つの管体2a,2bを形成する(図1参照)。この際、切断面3が平面になるように直管2を切断する。
【0087】
次に、2つの管体2a,2bを、クレーンなどを用いて移動させて、それぞれを2つの回転台車60a,60bの2つのローラー部62,62の上に載せ(図8-1及び図8-2参照)、一方の回転台車60aのローラー部62及びボールキャスター64をロックして一方の管体2aが動かないように固定する。そして、他方の回転台車60bを適宜移動させつつそのローラー部62を回転させて、他方の管体2bを一方の管体2aに対して軸心aまわりに180度回転させ(図8-3参照)、その状態でローラー部62をロックする。そして、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3同士が互いに向き合う位置関係になるように他方の回転台車60bを移動させる(図8-4参照)。
【0088】
このとき、2つの管体2a,2bの水平方向の曲り角度βの確認(切断角αの2倍の角度であることの確認)を行うとともに、2つの管体2a,2bの切断面3の位置合わせのためのマーキング(図示せず)を、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4のそれぞれの外周面11に施す。ここまでの作業は、上記第1実施形態ないし第5実施形態に係る曲管1,20,30,40,50に共通である。
【0089】
第1実施形態に係る曲管1においては、上記曲り角度βの確認及びマーキングの後、他方の管体2bが載置された回転台車60bを移動させて、2つの管体2a,2bが離れた状態とし、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4におけるそれぞれの切断面3の外周面側の部分についてダイヤモンド砥石等により研削加工を円周方向に施して外側研削面6を形成する(図2-1参照)。このとき、回転台車60a,60bのローラー部62を回転させて、管体2a,2bを軸心aまわりに回転させることにより加工作業を行う。その後、2つの管体2a,2bの切断面3及び外側研削面6において、直管2の切断や加工等の作業の際に生じたゴミや埃等を除去して乾燥させる。
【0090】
次に、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3に、それぞれ接着剤(図示せず)を塗布した後、他方の管体2bが載置された回転台車60bを移動させて、2つの管体2a,2bの切断面3同士を突き合わせてマーキングの位置で接着して接続する(図8-4参照)。そして、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の外周面側の外側隙間部9に保護部材10を充填してアンカー部10aを形成するとともに、外周面側の角部5及び外周面11を保護部材10で覆うことでカバー部10bを形成する。
【0091】
このとき、2つの管体2a,2bの切断面3同士の位置のズレを防止するため、回転台車60a,60bのローラー部62及びボールキャスター64をそれぞれロックして動かない状態とする。そして、そのままの状態で常温において所定時間養生し、接着剤及び保護部材10(アンカー部10a、カバー部10b)を硬化させることで、曲管1を形成する。硬化後は、2つの管体2a,2bの水平方向の曲り角度βが、当初に設定した角度(切断角αの2倍の角度)と等しいか否かの確認を行う。
【0092】
尚、直管2を3つに切断して接続することにより、図2-2に示すような曲管12を形成する場合は、直管2を斜めに切断して切断面が平面になるようにして3つの管体13a,13b,13cを形成し、図8-5に示すように、それぞれを回転台車60(60c,60d,60e)の2つのローラー部62,62の上に載せ、それらの突き合わせ端部14の接合部15について上記と同様な接続作業を行うことで形成する。
【0093】
第2実施形態に係る曲管20においては、上記曲り角度βの確認及びマーキングの後、他方の管体2bが載置された回転台車60bを移動させて、2つの管体2a,2bが離れた状態とし、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4におけるそれぞれの切断面3の外周面側の部分及び内周面側の部分についてダイヤモンド砥石等により研削加工を円周方向に施して外側研削面6及び内側研削面22を形成する(図3参照)。このとき、回転台車60a,60bのローラー部62を回転させて、管体2a,2bを軸心aまわりに回転させることにより加工作業を行う。その後、2つの管体2a,2bの切断面3、外側研削面6及び内側研削面22において、直管2の切断や加工等の作業の際に生じたゴミや埃等を除去して乾燥させる。
【0094】
次に、2つの管体2a,2bの突き合わせ端4部の切断面3に、それぞれ接着剤(図示せず)を塗布した後、他方の管体2bが載置された回転台車60bを移動させて2つの管体2a,2bの切断面3を突き合わせてマーキングの位置で接着して接続する(図8-4参照)。そして、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の外周面側の外側隙間部9及び内周面側の内側隙間部23に保護部材10,24を充填してアンカー部10a,24aを形成するとともに、外周面側の角部5及び外周面11並びに内周面側の角部21及び内周面25を保護部材10,24で覆うことでカバー部10b,24bを形成する。尚、使用する接着剤及び保護部材10,24は、第1実施形態に係る曲管1のものと同様である。
【0095】
このとき、2つの管体2a,2bの切断面3同士の位置のズレを防止するため、回転台車60a,60bのローラー部62及びボールキャスター64をそれぞれロックして動かない状態とする。そして、そのままの状態で常温において所定時間養生し、接着剤及び保護部材10,24(アンカー部10a,24a、カバー部10b,24b)を硬化させることで、曲管20を形成する。硬化後は、2つの管体2a,2bの水平方向の曲り角度βが、当初に設定した角度(切断角αの2倍の角度)と等しいか否かの確認を行う。
【0096】
尚、直管2を3つに切断して接続することにより曲管を形成する場合は、直管2を斜めに切断して切断面が平面になるようにして3つの管体を形成し、図8-5に示すように、それぞれを回転台車60(60c,60d,60e)の2つのローラー部62,62の上に載せ、それらの管体の突き合わせ端部の接合部について上記と同様な接続作業を行うことで形成する。
【0097】
第3実施形態に係る曲管30おいては、上記曲り角度βの確認及びマーキングの後、第1実施形態に係る曲管1の製造方法と同様の製造方法により製造するが、以下の製造工程を追加する。具体的には、第1実施形態に係る曲管1の製造工程と同様に、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4における切断面3の外周面側の部分について外側研削面6を形成する工程の後、2つの管体2a,2bの切断面3の上端部及び下端部であって対応する位置に、横長略長方形状のキー穴31をそれぞれ形成する(図4-2及び図4-3参照)。
【0098】
また、第1実施形態に係る曲管1の製造工程と同様に、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3に、それぞれ接着剤(図示せず)を塗布した後、他方の管体2bが載置された回転台車60bを移動させ、2つの管体2a,2bの切断面3同士を突き合わせて接着して接続する工程を行う際に、2つの管体2a,2bの切断面3において、対応する位置に形成された上端部及び下端部のキー穴31,31にそれぞれキー部材32を挿入しつつ接続し、曲管30を形成する(図4-2及び図8-4参照)。尚、キー部材32を挿入する際、2つの管体2a,2bのそれぞれのキー穴31に予め接着剤を充填しておいても良い。
【0099】
また、第2実施形態に係る曲管20の製造工程に、上記と同様に2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4のそれぞれの切断面3に2つのキー穴31,31を形成する工程、それぞれのキー穴31に接着剤を充填しつつキー部材32を挿入する工程を追加して曲管を形成してもよい。
【0100】
尚、直管2を3つに切断して接続することにより曲管を形成する場合は、直管2を斜めに切断して切断面が平面になるようにして3つの管体を形成し、図8-5に示すように、それぞれを回転台車60(60c,60d,60e)の2つのローラー部62,62の上に載せ、それらの管体の突き合わせ端部の接合部について上記と同様な接続作業を行うことで形成する。
【0101】
第4実施形態に係る曲管40においては、上記曲り角度βの確認及びマーキングの後、他方の管体2bが載置された回転台車60bを移動させて、2つの管体2a,2bが離れた状態とし、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4における外周面11及び内周面25について、ダイヤモンド砥石等により研削加工を円周方向に施して段部42,43を形成する(図5-1参照)。このとき、回転台車60a,60bのローラー部62を回転させて、管体2a,2bを軸心aまわりに回転させることにより加工作業を行う。その後、2つの管体2a,2bの切断面3及び段部42,43において、直管2の切断や加工等の作業の際に生じたゴミや埃等を除去して乾燥させる。
【0102】
次に、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3及び段部42,43に、それぞれ接着剤(図示せず)を塗布した後、他方の管体2bが載置された回転台車60bを移動させて、2つの管体2a,2bの切断面3を突き合わせて、緩衝部材41を介してマーキングの位置で接着して接続する(図5―1及び図8-4参照)。
【0103】
具体的には、緩衝部材41の外側フランジ部41a及び内側フランジ部41bを軸部41cと接する位置において、少し上下方向に折り曲げた状態として、軸部41cを上下方向に伸ばして外側フランジ部41aと内側フランジ部41bの左右の隙間44,44を広げつつ、2つの管体4a,4bの突き合わせ端部4をそれらの左右の隙間44,44に挿入する。このとき、2つの管体2a,2bの切断面3と、緩衝部材41の軸部41cが密着するまで挿入しつつ、2つの管体4a,4bの突き合わせ端部4のマーキングの位置を揃える。
【0104】
その後、外側フランジ部41a及び内側フランジ部41bを、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の外周面側の段部42及び内周面側の段部43と密着した状態となるまで折り曲げる(図5-2参照)。このとき、2つの管体2a,2bの切断面3同士の位置のズレを防止するため、回転台車60a,60bのローラー部62及びボールキャスター64をそれぞれロックして動かない状態とする。そして、そのままの状態で常温において所定時間養生し、接着剤を硬化させることで、曲管40を形成する。硬化後は、2つの管体2a,2bの水平方向の曲り角度βが、当初に設定した角度(切断角αの2倍の角度)と等しいか否かの確認を行う。
【0105】
尚、直管2を3つに切断して接続することにより曲管を形成する場合は、直管2を斜めに切断して切断面が平面になるようにして3つの管体を形成し、図8-5に示すように、それぞれを回転台車60(60c,60d,60e)の2つのローラー部62,62の上に載せ、それらの管体の突き合わせ端部の接合部について上記と同様な接続作業を行うことで形成する。
【0106】
第5実施形態に係る曲管50においては、上記実施形態1ないし4に係る曲管1,20,30,40を完成させた後、接続された2つの管体2a,2bにおける突き合わせ端部4の外周面11及びその外周面11を覆う保護部材10や緩衝部材41の外側フランジ部41aを、自己融着性を有するテープ51によって伸ばしながら複数回重ねて巻付けて幅広く被覆した後、更にその上から補強被覆材52で複数回重ねて巻き付けて幅広く被覆することで形成する(図6参照)。尚、直管2を3つまたはそれ以上の管体に切断して接続することにより形成した曲管についても上記と同様にして、突き合わせ端部14の外周面及びその外周面を覆う保護部材10や緩衝部材41の外側フランジ部41aを、自己融着性を有するテープ51を幅広く被覆した後、補強被覆材52を幅広く被覆することで形成する。
【0107】
尚、図8-1ないし図8-4に示すように、本発明(上記第1実施形態ないし第5実施形態)に係る曲管を製造する際に使用する2台の回転台車60a,60bは、同一の大きさのものを使用しても良いし、2つの管体2a,2bを同じ高さに支持できるのであれば、ローラー部62の径等が異なるものを使用しても良い。また、図8-5に示すように、管体13a,13b,13cの長さに応じて、ローラー部62の軸部62a方向の長さが異なる回転台車60c,60d,60eを使用してもよい。また、管体の長さに応じて、1つの管体を複数台の回転台車60のローラー部62によって支持させても良い。
【0108】
ところで、本発明の第1実施形態ないし第5実施形態に係る曲管1,20,30,40,50を製造する際に、図7に示す回転台車60を使用する代わりに、図9-1ないし図9-4に示す回転台車装置70を使用することもできる。この回転台車装置70は、移動台車71と回転台車80を有する。
【0109】
移動台車71は、第1移動台車71aと第2移動台車71bからなる。第1移動台車71aは略長方形状の厚さの厚い板状の土台部72aを有し、その上面には、土台部72aの前端から後端にかけて前後方向に延びる一対の平行なレール部73a,73aが設けられている。また、土台部72aの下面の四隅には、360度全方向に回転可能なキャスター部であるボールキャスター74aが設けられ、土台部72aを支持している。
【0110】
第2移動台車71bは、前後方向の長さ以外は、第1移動台車71aと大きさ及び構造が略同一であり、略長方形状の厚さの厚い板状の土台部72bを有し、その上面には、土台部72bの前端から後端にかけて前後方向に延びる一対の平行なレール部73b,73bが設けられており、また、土台部72bの下面の四隅には、360度全方向に回転可能なボールキャスター74bが設けられ、土台部72bを支持している。
【0111】
尚、ボールキャスター74a,74bは土台部72a,72bの下面の四隅に必ず設けられている必要はなく、土台部72a,72bを安定的に支持した状態で移動できるのであれば、どこに設けられていてもよく、3つ以上であれば何個設けられていても良い。
【0112】
また、第1移動台車71a及び第2移動台車71bのレール部73a,73bの前端及び後端には、以下で詳述する回転台車80がレール部73a,73bから脱輪しないように、ストッパー部75a,75bがそれぞれ設けられている。
【0113】
また、第1移動台車71aの土台部72aの後端左側側面と、第2移動台車71bの土台部72bの前端左側側面が、ヒンジ部76によって互いに水平方向に揺動可能に連結されている。一方、第1移動台車71aの土台部72aの後端右側側面には打掛金具77の錠受け77aが、第2移動台車71bの土台部72bの前端右側側面には打掛金具77の打掛錠77bがそれぞれ設けられている。そのため、第1移動台車71aと第2移動台車71bを前後方向に一列に配置し、錠受け77aに打掛錠77bを掛けることにより、第1移動台車71aと第2移動台車71bが一直線となるように連結することができる(図9-1及び図9-2参照)。
【0114】
回転台車80は、第1回転台車80aと第2回転台車80bからなる。第1回転台車80aは、上記回転台車60と同様に、略長方形状のフレーム部81aを有し、その向かい合う前端及び後端の辺部材の両端の上面において、上方へ延びるように設けられた2対の支持部83a,83aにより、管体2a,2bを載置するために設けられた2つの略円柱状のローラー部82a,82aの軸部82aaがそれぞれ支持され、軸部82aaを中心としてローラー部82aが回動可能となっている。また、2つのローラー部82a,82aは、その軸部82aaが互いに平行になるように支持されている。一方、フレーム部81aの下面の四隅には、フレーム部81aを支持しつつ第1移動台車71aのレール部73a上を前後方向に走行可能な車輪部84aがそれぞれ設けられている。
【0115】
また、第2回転台車80bは、第1回転台車80aと大きさ及び構造が略同一であり、フレーム部81bを有し、その上面に設けられた2対の支持部83b,83bによって支持された軸部82bbを備える管体2a,2bを載置するためのローラー部82bと、フレーム部81bの下面の四隅に設けられたフレーム部81bを支持する車輪部84bを有する。そして、第1移動台車71aのレール部73a上には第1回転台車80aが、第2移動台車71bのレール部73b上には第2回転台車80bがそれぞれ走行可能に載置されている。
【0116】
尚、車輪部84a,84bはフレーム部81a,81bの下面の四隅に必ず設けられている必要はなく、フレーム部81a,81bを安定的に支持した状態で移動できるのであれば、どこに設けられていてもよく、何個設けられていても良い。
【0117】
また、第1回転台車80aのローラー部82a及び第2回転台車80bのローラー部82bは、管体2a,2bを安定的に載置できるのであれば、3つ以上設けられていても良い。また、第1移動台車71aの一対のレール部73a,73aと、そのレール部73a上に載置された第1回転台車80aの2つのローラー部82a,82aの軸部82aaとは、互いに平行となるような構造であっても良く、同様に、第2移動台車71bの一対のレール部73b,73bと、そのレール部73b上に載置された第2回転台車80bの2つのローラー部82b,82bの軸部82bbとは、互いに平行となるような構造であっても良い。
【0118】
上記構造により、プレキャストコンクリート製の直管2をその軸心aに対して斜めb(切断角α)に切断することにより形成した2つの管体2a,2bを、第1回転台車80a及び第2回転台車80bの2つのローラー部82a,82a,82b,82bの上にそれぞれ載置して(図9-1及び図9-2参照)、そのローラー部82a,82bを回転させることで、管体2a,2bをその軸心aまわりに回転させることができる。
【0119】
また、ローラー部82a,82bの上の管体2a,2bについては、第1回転台車80aに外力を加えて第1移動台車71aのレール部73a上を走行させることにより、または第2回転台車80bに外力を加えて第2移動台車71bのレール部73b上を走行させることにより、それぞれ容易に移動させることができる。更には、第1回転台車80aが載置されている第1台移動台車71aに外力を加えることにより、または第2回転台車80bが載置されている第2移動台車71bに外力を加えることにより、ローラー部82a,82bの上の管体2a,2bについて、360度全方向へそれぞれ容易に移動させることができる。
【0120】
また、第1移動台車71aと第2移動台車71bを前後方向に一直線となるように配置し、打掛金具77の錠受け77aに打掛錠77bを掛けて連結した状態(図9-1及び図9-2参照)とすることで、第1移動台車71aの2本のレール部73aと、第2移動台車71bの2本のレール部73bがそれぞれ前後方向に一直線となり、また、第1回転台車80aの2つのローラー部82aの軸部82aaと第2回転台車80bの2つのローラー部82bの軸部82bbもそれぞれ前後方向に一直線になるような構造となっている。そして、錠受け77aから打掛錠77bを外して、ヒンジ部76を折り曲げるように第1移動台車71aまたは第2移動台車71bのいずれかを移動させることで、第1移動台車71aと第2移動台車71bが、角度がついた状態とすることができる(図9-4参照)
【0121】
尚、管体2a(2b)が軸心aまわりに勝手に回転してしまわないように、第1回転台車80aのローラー部82a及び第2回転台車80bのローラー部82bがロック可能な構造となっており(図示せず)、また、第1回転台車80a及び第2回転台車80bがレール部73a,73b上を勝手に移動してしまわないように、車輪部84a,84bがロック可能な構造となっている(図示せず)。また、第1移動台車71a及び第2移動台車71bが勝手に移動してしまわないように、ボールキャスター74a,74bがロック可能な構造となっている(図示せず)。
【0122】
そのため、回転台車装置70が、打掛金具77の錠受け77aに打掛錠77bを掛けて第1移動台車71aと第2移動台車71bが一直線に連結され、第1移動台車71aと第2移動台車71bのボールキャスター74a,74bがロックされた状態において、2つの管体2a,2bを、クレーンなどにより第1回転台車80a及び第2回転台車80bのローラー部82a,82bの上にそれぞれ載置し(図9-1及び図9-2参照)、一方の回転台車である第1回転台車80aのローラー部82a及び車輪部84aをロックして一方の管体2aが動かないように固定し、他方の回転台車である第2回転台車80bについて、第2移動台車71bのレール部73b上を適宜移動させつつ、そのローラー部82bを回転させて他方の管体2bを軸心aまわりに回転させることで、一方の管体2aを他方の管体2bに対して軸心aまわりに正確に180度回転させた状態とすることができる(図9-3参照)。
【0123】
そして、打掛金具77の錠受け77aから打掛錠77bを外し、第2移動台車71bについてそのローラー部82bをロックする一方、ボールキャスター74bのロックを解除して、ヒンジ部76を折り曲げるように移動させる。そして、第1回転台車80aについてその車輪部84aのロックを解除してレール部73a上を移動させるとともに、第2回転台車80bについてレール部73b上を移動させることで、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3同士を互いに向き合わせた状態とすることができる(図9-4参照)。
【0124】
このとき、2つの管体2a,2bの水平方向の曲り角度βの確認(切断角αの2倍の角度であることの確認)を行い、2つの管体2a,2bの切断面3の位置合わせのためのマーキング(図示せず)を、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4のそれぞれの外周面11に施すことができる。また、第1移動台車71a及び第2移動台車71bのボールキャスター74a,74b、第1回転台車80a及び第2回転台車80bの車輪部84a,84b、ローラー部82a,82bをそれぞれロックして動かない状態とすることで、2つの管体2a,2bの切断面3同士の位置のズレを防止することができる。
【0125】
尚、回転台車装置70について、第1移動台車71aの一対のレール部73a,73aと第1回転台車80aの2つのローラー部82a,82aの軸部82aaが互いに平行であり、第2移動台車71bの一対のレール部73b,73bと第2回転台車80bの2つのローラー部82b,82bの軸部82bbが互いに平行である構造である場合は、第2移動台車71bについて上記のようにヒンジ部76を折り曲げるようにして移動させる際、第1移動台車71aのレール部73aと第2移動台車71bのレール部73bとの角度がβとなる位置まで移動させて、ボールキャスター74bをロックする。そして、車輪部84aのロックを解除して第1回転台車80aについてレール部73a上を移動させるとともに、第2回転台車80bについてレール部73b上を移動させて、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3同士を互いに向き合わせた状態とすることで、容易に2つの管体2a,2bの水平方向の曲り角度をβとすることができる。
【0126】
そのため、上記2つの管体2a,2bの切断面3の位置合わせのためのマーキング作業の時間を短縮することができる。また、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3同士を接続する作業時間も短縮することができるとともに、その作業を正確に行うことができる。
【0127】
また、管体2a,2bの突き合わせ端部4に外側研削面6やキー穴31等の加工を施す際に、ローラー部82a,82bの上に載置した管体2a,2bを軸心aまわりに回転させることにより作業を行いやすい高さに調整することができる。また、第1回転台車80a及び第2回転台車80bについて、上記位置合わせのためのマーキング作業を行った後、レール部73a,73b上を移動させるだけで、加工作業を行いやすい場所への管体2a,2bの移動が可能であるとともに、加工作業の終了後はマーキング作業を行った状態(2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の切断面3同士を互いに向き合わせた状態であって水平方向の曲り角度がβである状態)に容易に戻すことが可能であるため、曲管1,20,30,40,50の製造を効率よく行うことができる。
【0128】
また、第1回転台車80aのローラー部82a及び車輪部84a、第2回転台車80bのローラー部82b及び車輪部84bをそれぞれロックするとともに、それらの回転台車が載る第1移動台車71aのボールキャスター74a及び第2移動台車71bのボールキャスター74aをそれぞれロックした状態で、2つの管体2a,2bの突き合わせ端部4の接続作業を行うことで、接着剤や保護部材10,24が硬化するまでの2つの管体2a,2bの切断面3同士の相対位置の変化及びそれらの相対角度の変化を防止することができるため、製造する曲管1,20,30,40,50の品質を一定に保つことができる。そして、上記全ての作業を、少人数でかつ容易に行うことが可能となっている。
【0129】
尚、直管2を3つに切断して接続することにより、図2-2に示すような曲管12を形成する場合は、図9-5に示すような回転台車装置90を使用する。この回転台車装置90は、3つの移動台車71c,71d,71eを有する。また、それら3つの移動台車71c,71d,71eのレール部73c,73d,73eには、その上を移動可能な回転台車80c,80d,80eがそれぞれ載置されている。
【0130】
そのため、直管2を斜めに切断して切断面が平面になるようにして形成した3つの管体13a,13b,13cを、回転台車80c,80d,80eの2つのローラー部82c,82d,82eの上にそれぞれ載置し、それらの管体13a,13b,13cの突き合わせ端部14の接合部15について上記と同様な接続作業を行うことで曲管12を形成する。
【0131】
尚、回転台車装置90の移動台車71c,71d,71eは、上記回転台車装置70の第1移動台車71a及び第2移動台車71bとは前後方向の長さ等の違いはあるものの、構造が略同一であり、略長方形状の厚さの厚い板状の土台部72c,72d,72eを有し、その上面にはその前端から後端にかけて前後方向に延び前端及び後端にストッパー部75c,75d,75eを有する一対の平行なレール部73c,73d,73eが設けられており、また、土台部72c,72d,72eの下面の四隅には、360度全方向に回転可能なボールキャスター(図示せず)が設けられている。また、移動台車71c,71d,71eは、図9-5に示すように、前後方向の長さがそれぞれ異なるものを使用しているが、同一の長さのものを使用しても良い。
【0132】
また、移動台車71c,71d,71eの隣り合う土台部72c,72d,72eについては、ヒンジ部76によって互いに水平方向に揺動可能に連結されるとともに、隣り合う土台部72c,72d,72eの一方には打掛金具77の錠受け77aが、他方にはその打掛錠77bがそれぞれ設けられているため、移動台車71c,71d,71eを前後方向に一列に配置し、錠受け77aに打掛錠77bを掛けることにより、3つの移動台車71c,71d,71eが一直線となるように連結することができる。
【0133】
また、回転台車80c,80d,80eは、上記回転台車装置70の第1回転台車80a及び第2回転台車80bと構造が略同一であり、フレーム部81c,81d,81eを有し、その上面に設けられた2対の支持部83c,83d,83eによって支持された軸部82cc,82dd,82eeを備えるローラー部82c,82d,82eと、フレーム部81c,81d,81eの下面の四隅に設けられた車輪部(図示せず)を有する。また、回転台車80c,80d,80eは、図9-5に示すように、管体13a,13b,13cの長さに応じて、ローラー部82c,82d,82eの軸部82cc,82dd,82ee方向の長さが異なるものを使用しても良いし、同一のものを使用しても良い。また、1つの移動台車71のレール部の上に複数台の回転台車80を載置して、1つの管体を複数台の回転台車80のローラー部によって支持させても良い。
【0134】
そして、移動台車71cのレール部73c上には回転台車80cが、移動台車71dのレール部73d上には回転台車80dが、移動台車71eのレール部73e上には回転台車80eがそれぞれ走行可能に載置されている。そのため、回転台車装置70と略同様な工程により、3つの管体13a,13b,13cの突き合わせ端部14の接合部15について接続作業を行うことができる。
【符号の説明】
【0135】
1 曲管 50 曲管
2 直管 51 テープ
2a,2b 管体 52 補強被覆材
3 切断面 60,60a,60b,60c 回転台車
4 突き合わせ端部 61 フレーム部
5 角部 62 ローラー部
6 外側研削面 62a 軸部
8 接合部 63 支持部
9 外側隙間部 64 ボールキャスター
10 保護部材 70 回転台車装置
10a アンカー部 71 移動台車
10b カバー部 71a 第1移動台車
11 外周面 71b 第2移動台車
12 曲管 71c,71d,71e 移動台車
13a,13b,13c 管体 72a,72b,72c,72d,72e 土台部
14 突き合わせ端部 73a,73b,73c,73d,73e レール部
15 接合部 74a,74b ボールキャスター
16 接合部 75a,75b ストッパー部
20 曲管 75c,75d,75e ストッパー部
21 角部 76 ヒンジ部
22 内側研削面 77 打掛金具
23 内側隙間部 77a 錠受け
24 保護部材 77b 打掛錠
24a アンカー部 80 回転台車
24b カバー部 80a 第1回転台車
25 内周面 80b 第2回転台車
30 曲管 80c,80d,80e 回転台車
31 キー穴 81a,81b,81c,81d,81e フレーム部
32 キー部材 82a,82b,82c,82d,82e ローラー部
40 曲管 82aa,82bb 軸部
41 緩衝部材 82cc,82dd,82ee 軸部
41a 外側フランジ部 83a,83b,83c,83d,83e 支持部
41b 内側フランジ部 84a,84b 車輪部
41c 軸部 90 回転台車装置
41d ワイヤー a 軸心
41aa,41bb 外側面 b 斜め
42,43 段部 α 切断角
44 隙間 β 曲り角度
45 角部
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4-1】
図4-2】
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図6
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図9-5】