(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024021513
(43)【公開日】2024-02-16
(54)【発明の名称】電子制御装置、計画方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240208BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20240208BHJP
B60W 30/095 20120101ALI20240208BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20240208BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W30/10
B60W30/095
B60W40/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022124391
(22)【出願日】2022-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀田 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 龍
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】門司 竜彦
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BA31
3D241CD09
3D241CD10
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB01Z
3D241DB02Z
5H181AA01
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC14
5H181FF04
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL14
5H181MB04
(57)【要約】
【課題】スムーズなすれ違いを実現できる。
【解決手段】電子制御装置は、車両に搭載され、車両周辺の走行環境に関する走行環境情報を取得する情報取得部と、走行環境情報に基づき、車両が滞留すると車両以外の移動体の行動を阻害する領域であって車両の滞留を制限する領域である滞留制限領域を推定する滞留リスク領域推定部と、推定した滞留制限領域に基づき、車両の走行制御を計画する走行制御計画部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電子制御装置であって、
前記車両周辺の走行環境に関する走行環境情報を取得する情報取得部と、
前記走行環境情報に基づき、前記車両が滞留すると前記車両以外の移動体である他移動体の行動を阻害する領域であって前記車両の滞留を制限する領域である滞留制限領域を推定する滞留リスク領域推定部と、
推定した前記滞留制限領域に基づき、前記車両の走行制御を計画する走行制御計画部と、を備える電子制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記走行制御計画部は、前記車両が所定領域に滞留する必要がある場合に、前記所定領域において前記滞留制限領域と重ならない領域に滞留するように走行制御を計画する、電子制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記他移動体とは、前記走行環境情報に含まれる前記車両周辺に存在する移動体のことであり、
前記他移動体と協調した協調行動手順を決定する協調行動計画部をさらに備え、
前記滞留制限領域は、前記車両が滞留すると前記協調行動手順における前記他移動体の行動を阻害する領域である、電子制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電子制御装置において、
前記滞留リスク領域推定部は、前記協調行動手順における前記移動体の行動において前記移動体が通過し得る移動体推定行動領域を推定し、前記移動体推定行動領域に基づき前記滞留制限領域を推定する電子制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電子制御装置において、
前記走行制御計画部は、前記協調行動手順における前記車両の目標待機位置姿勢を、前記滞留制限領域と重ならないように計画する、電子制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電子制御装置において、
前記滞留制限領域は、前記移動体に対して与える行動しにくさの度合に関する情報を含み、
前記走行制御計画部は、前記滞留制限領域が重ならない目標待機位置姿勢が存在しない場合に、前記行動しにくさの度合が小さい領域に重なる目標待機位置姿勢を計画することを許容する、電子制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記走行制御計画部は、前記滞留制限領域に滞留する時間が所定値以内に収まるように走行制御を計画する、電子制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記他移動体とは、前記走行環境情報から推定される前記車両周辺において将来的に出現し得る移動体のことである、電子制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記滞留リスク領域推定部は、さらに前記走行環境情報に含まれる前記車両周辺の交通規制情報に基づき、前記滞留制限領域を推定する、電子制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電子制御装置において、
前記交通規制情報とは、駐停車禁止領域または停止不可領域である、電子制御装置。
【請求項11】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記走行環境情報に基づき、前記車両が障害物と衝突するリスクがある衝突リスク領域を推定する衝突リスク領域推定部をさらに備え、
前記走行制御計画部は、前記衝突リスク領域には前記車両が侵入しない、かつ、前記滞留制限領域には前記車両が滞留しないような走行制御を計画する、電子制御装置。
【請求項12】
車両に搭載される電子制御装置が実行する計画方法であって、
前記車両周辺の走行環境に関する走行環境情報を取得することと、
前記走行環境情報に基づき、前記車両が滞留すると前記車両以外の移動体の行動を阻害する領域であって前記車両の滞留を制限する領域である滞留制限領域を推定することと、
推定した前記滞留制限領域に基づき、前記車両の走行制御を計画することと、を含む計画方法。
【請求項13】
請求項1に記載の電子制御装置において、
前記他移動体とのすれ違い行動の際に前記車両を前記他移動体から退避させる退避位置の候補である退避位置候補を前記滞留制限領域と重複しない位置に生成し、
前記退避位置候補を通過した後に到達する到達位置の候補である到達位置候補を生成し、
前記車両の現在の位置、前記退避位置候補の位置、および前記到達位置候補の位置を通る軌道を生成する、すれ違い軌道生成部をさらに備える、電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置、および計画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の快適で安全な運転支援や自動運転を実現するため、他車の走行を考慮しながら自車の走行軌道を生成する技術が提案されている。特許文献1には、自動運転によって車両を走行させるための走行プランを生成する経路生成部と、生成された前記走行プランに従って前記車両の走行を制御する走行制御部と、を備えた前記車両に用いられる経路確認装置であって、前記経路確認装置が用いられる前記車両である自車と障害物との近接を避けるために前記自車が前記障害物との間に最低限空けるべき安全距離を設定する安全距離設定部と、設定された前記安全距離を確保して走行中か否かを判断し、前記自車と前記障害物との距離が前記安全距離よりも小さいときは、前記自車に対して、前記走行プランに従った制御とは別に定まる緊急時の制御を実行する緊急制御部と、移動する移動障害物が前記自車の進行方向側にある場合、前記自車の前記安全距離よりも前記自車から離れた位置にある領域であって、前記移動障害物と前記自車との間に注意領域を設定する注意領域設定部と、生成された前記走行プランのうち、設定された前記注意領域に前記移動障害物が侵入しないで走行する前記走行プランを選択する経路選択部と、を含む、経路確認装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている発明では、スムーズなすれ違いに検討の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様による電子制御装置は、車両に搭載される電子制御装置であって、前記車両周辺の走行環境に関する走行環境情報を取得する情報取得部と、前記走行環境情報に基づき、前記車両が滞留すると前記車両以外の移動体の行動を阻害する領域であって前記車両の滞留を制限する領域である滞留制限領域を推定する滞留リスク領域推定部と、推定した前記滞留制限領域に基づき、前記車両の走行制御を計画する走行制御計画部と、を備える。
本発明の第2の態様による計画方法は、車両に搭載される電子制御装置が実行する計画方法であって、前記車両周辺の走行環境に関する走行環境情報を取得することと、前記走行環境情報に基づき、前記車両が滞留すると前記車両以外の移動体の行動を阻害する領域であって前記車両の滞留を制限する領域である滞留制限領域を推定することと、前記推定した滞留制限領域に基づき、前記車両の走行制御を計画することと、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、スムーズなすれ違いを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施の形態における車両システムの構成を示す機能ブロック図
【
図3】協調行動データ群に格納されるデータの構造例を示す図
【
図4】
図2の走行シーンにおける移動体経路予測データ群および移動体軌道予測データ群の例を示す図
【
図5】
図2の走行シーンにおける衝突リスクマップデータ群と滞留リスクマップデータ群の一例を示す図
【
図6】電子制御装置が実現する機能の相関関係を示す図
【
図8】移動体行動予測部の処理を示すフローチャート
【
図9】衝突リスクマップ生成部の処理を示すフローチャート
【
図10】滞留リスクマップ生成部の処理を示すフローチャート
【
図11】走行制御計画部の処理を示すフローチャート
【
図12】
図2上図のシーンにおける衝突リスク領域と滞留リスク領域を用いて、自車両の軌道を計画する様子を示した図
【
図13】
図2とは異なるシーンにおける車両システムの動作を説明する図
【
図14】第2の実施形態の動作説明のための走行シーンおよびその走行シーンにおける車両システムの動作の一部を示す図
【
図15】第2の実施形態の動作説明のための走行シーンの一例を示す図
【
図16】第3の実施の形態における移動体行動予測部の処理例を示す図
【
図17】第4の実施の形態における滞留リスクマップ生成部の処理例を示す図
【
図18】第5の実施の形態における車両システムの構成を示す機能ブロック図
【
図19】第5の実施の形態における第2走行制御計画部の機能構成図
【
図22】
図21のステップS3305における退避位置姿勢候補の生成方法を説明する図
【
図23】
図21のステップS3306における到達位置候補の生成方法を説明する図
【
図24】
図21のステップS3307における軌道候補の生成方法を説明する図
【
図26】管理部が初期状態において実行する処理を示すフローチャート
【
図27】すれ違い軌道およびキャンセル軌道の一例を示す図
【
図28】管理部がすれ違い実行状態において実行する処理を示すフローチャート
【
図29】管理部がすれ違い完了状態において実行する処理を示すフローチャート
【
図30】管理部がすれ違いキャンセル状態において実行する処理を示すフローチャート
【
図31】電子制御装置の処理に基づく車両の動きを示す模式図
【
図32】第6の実施の形態における処理が有効なシーンの例を示す図
【
図33】第6の実施の形態における軌道生成例を示す図
【
図34】第7の実施の形態における処理が有効なシーンの例を示す図
【
図35】第8の実施の形態における第2走行制御計画部の機能構成図
【
図36】第8の実施の形態における処理が有効なシーンの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
―第1の実施の形態―
以下、
図1~
図13を参照して、電子制御装置の第1の実施の形態を説明する。
【0009】
(システム構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る電子制御装置3を含む車両システム1の構成を示す機能ブロック図である。車両システム1は、車両2に搭載される。車両システム1は、車両2の周辺における走行道路や周辺車両等の障害物の状況を認識した上で、適切な運転支援や走行制御を行う。この運転支援には、車両2を運転する運転者への情報の提示も含まれる。
【0010】
図1に示すように、車両システム1は、電子制御装置3、外界センサ群4、車両センサ群5、地図情報管理装置6、アクチュエータ群7、およびHMI装置群8を含んで構成される。電子制御装置3、外界センサ群4、車両センサ群5、地図情報管理装置6、アクチュエータ群7、およびHMI装置群8は、車載ネットワークNにより接続される。車載ネットワークNは、有線ネットワークでもよいし、無線ネットワークでもよいし、有線と無線とが混在するネットワークでもよい。なお以下では、車両2を他の車両と区別するために「自車両」2と呼ぶこともある。
【0011】
電子制御装置3は、ECU(Electronic Control Unit)である。電子制御装置3は、外界センサ群4、車両センサ群5、地図情報管理装置6等から提供される各種入力情報に基づいて、車両2の運転支援または自動運転のための走行制御情報を生成し、アクチュエータ群7やHMI装置群8に出力する。電子制御装置3は、処理部10と、記憶部30と、通信部40と、を有する。
【0012】
処理部10は、たとえば、中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)を含んで構成される。ただし、CPUに加えて、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(application specific integrated circuit)等を含んで構成されてもよいし、いずれか1つにより構成されてもよい。処理部10はその機能として、情報取得部11、協調行動計画部12、移動体行動予測部13、衝突リスクマップ生成部14、滞留リスクマップ生成部15、走行制御計画部16、および情報出力部17を有する。処理部10は、たとえば記憶部30に格納されている所定の動作プログラムを実行することでこれらを実現してもよいし、その一部または全部がASICなどによりハードウエア実装されてもよい。
【0013】
情報取得部11は、電子制御装置3に接続された他装置から車載ネットワークNを介して各種情報を取得し、記憶部30に格納する。たとえば、外界センサ群4が検出した車両2周辺の静止物や移動体等に関する情報を含むセンサ検出データ群31、車両センサ群5等が検出した車両2の動きや状態等に関連する車両情報データ群32、地図情報管理装置6から車両2の走行道路に関連する道路環境データ群33、等を取得し、記憶部30に格納する。
【0014】
協調行動計画部12は、情報取得部11により取得されて記憶部30に格納されたセンサ検出データ群31、車両情報データ群32、道路環境データ群33等の情報に基づいて、車両2と車両2周辺の移動体との協調行動の要否や手順を計画し、協調行動データ群34として記憶部30に格納する。移動体行動予測部13は、センサ検出データ群31に含まれる車両2周辺の移動体を対象として、将来の走行経路や軌道を予測する。この予想には、車両情報データ群32、道路環境データ群33、および協調行動データ群34等の情報が用いられる。そして移動体行動予測部13は、予測した走行経路を移動体経路予測データ群35として記憶部30に保存し、予想した軌道を移動体軌道予測データ群36として記憶部30に格納する。
【0015】
衝突リスクマップ生成部14は、センサ検出データ群31に含まれる静止物や移動体等の障害物と車両2とが衝突するリスクがある領域と衝突の度合い(以下では、「衝突リスク」と呼ぶ)を推定し、二次元マップ上に投影して表現した衝突リスクマップを生成する。衝突リスクマップ生成部14は、リスクマップの生成にセンサ検出データ群31、車両情報データ群32、および移動体経路予測データ群35を用いる。そして衝突リスクマップ生成部14は、生成した衝突リスクマップを衝突リスクマップデータ群37として記憶部30に格納する。以下では、衝突リスクマップ生成部14を「衝突リスク領域推定部」とも呼ぶ。
【0016】
滞留リスクマップ生成部15は、協調行動データ群34において協調行動対象と指定された移動体を対象として、車両2が滞留すると当該移動体の行動を阻害する領域である滞留制限領域とその阻害の度合い(以下では、「滞留リスク」と呼ぶ)を推定する。この推定には、移動体経路予測データ群35から得られる当該移動体の予測経路が用いられる。滞留リスクマップ生成部15は、推定結果に基づき、滞留リスクを二次元マップ上に投影して表現した滞留リスクマップを生成し、滞留リスクマップデータ群38として、記憶部30に格納する。なお、「滞留」とは、ある場所または領域に対して所定時間以上留まることであり、一時的な停止や低速での移動が該当する。以下では、滞留リスクマップ生成部15を「滞留制限領域推定部」とも呼ぶ。
【0017】
走行制御計画部16は、車両情報データ群32、道路環境データ群33、協調行動データ群34、衝突リスクマップデータ群37、滞留リスクマップデータ群38等に基づいて、車両2が走行すべき軌道を計画し、その計画軌道を追従するためのアクチュエータ群7に出力する制御指令値を決定する。車両2周辺の移動体と協調行動をとる必要がある場合は、車両2の次の行動における適切な待機位置姿勢を協調行動データ群34や滞留リスクマップデータ群38に基づいて特定し、その待機位置姿勢に至るまでの経路および軌道を計画する。生成された車両2の計画経路や計画軌道、アクチュエータ群7に出力する制御指令値等は、走行制御データ群39として記憶部30に格納される。
【0018】
情報出力部17は、電子制御装置3に接続された他装置に対して車載ネットワークNを介して各種情報を出力する。たとえば、電子制御装置3は、走行制御計画部16が決定した制御指令値をアクチュエータ群7に出力し、車両2の走行を制御する。また、たとえば、電子制御装置3は、衝突リスクマップ生成部14が生成した衝突リスクマップ、滞留リスクマップ生成部15が生成した滞留リスクマップ、走行制御計画部16が生成した計画経路や計画軌道等をHMI装置群8に出力する。これにより、電子制御装置3は車両システム1が周辺の走行環境をどのように解釈してどのような走行を計画しているかを乗員に提示する。
【0019】
記憶部30は、たとえば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、ROM(Read Only Memory)などの記憶装置や、RAMなどのメモリを含んで構成される。記憶部30は、処理部10が処理するプログラムや、その処理に必要なデータ群等が格納される。また、処理部10がプログラムを実行する際の主記憶として、一時的にプログラムの演算に必要なデータを格納する用途にも利用される。本実施の形態では、電子制御装置3の機能を実現するための情報として、センサ検出データ群31、車両情報データ群32、道路環境データ群33、協調行動データ群34、移動体経路予測データ群35、移動体軌道予測データ群36、衝突リスクマップデータ群37、滞留リスクマップデータ群38、および走行制御データ群39等が格納される。
【0020】
センサ検出データ群31とは、外界センサ群4による検出情報に関するデータの集合である。検出情報とは、例えば、外界センサ群4がそのセンシング情報に基づき特定した静止物や移動体等の環境要素に関する情報である。車両情報データ群32とは、車両2の動きや状態等に関するデータの集合である。車両情報データ群32には、情報取得部11により取得された車両センサ群5等が検出した車両情報等が含まれる。車両情報には、例えば、車両2の位置、走行速度、操舵角、アクセルの操作量、ブレーキの操作量等の情報が含まれる。
【0021】
道路環境データ群33とは、地図情報管理装置6等から取得される車両2周辺の走行道路に関するデータの集合である。走行道路に関するデータとは、例えば、車両2が走行している道路やその道路を構成する車線の形状や属性(進行方向、制限速度、走行規制等)に関する情報などが含まれる。協調行動データ群34とは、車両2と車両2周辺の移動体との協調行動の状態や手順を表現したマップである。
【0022】
移動体経路予測データ群35とは、移動体の将来の予測経路に関するデータの集合である。移動体軌道予測データ群36とは、移動体の将来の予測軌道に関するデータの集合である。「経路」は、時間的な概念を含まない、路面上のどの場所をどのような姿勢で走行するかという空間的な情報を表現したものである。それに対し、「軌道」は、経路に時間的な概念を加えたもので、いつどの場所をどのような姿勢で走行するかという情報を表現したものである。すなわち「軌道」は時間的な制約を伴うため、所定の時間範囲(例えば、将来5秒間)を対象に表現される。
【0023】
衝突リスクマップデータ群37とは、車両2の周辺において、静止物や移動体等の障害物と衝突する危険性のある場所とその度合を表現したマップである。衝突リスクマップデータ群37は例えば、格子状マップで表現される。滞留リスクマップデータ群38とは、車両2の周辺において、車両2が滞留すると車両2以外の移動体の行動を阻害する領域とその阻害の度合いを表現したマップである。滞留リスクマップデータ群38は、衝突リスクマップデータ群37と同様に、格子状マップ等により表現される。
【0024】
走行制御データ群39は、走行制御計画部16が生成した車両2の走行を制御するための計画情報に関するデータの集合である。例えば、車両2の計画軌道やアクチュエータ群7に出力する制御指令値等が含まれる。通信部40は、たとえば、IEEE802.3又はCAN(Controller Area Network)等の通信規格に準拠したネットワークカード等を含んで構成される。通信部40は、車両システム1における他の装置と各種プロトコルに基づきデータの送受信を行う。
【0025】
なお、本実施形態では、通信部40と処理部10とを分けて記載しているが、処理部10の中で通信部40の処理の一部が実行されてもよい。たとえば、通信処理におけるハードウェアデバイス相当が通信部40に位置し、それ以外のデバイスドライバ群や通信プロトコル処理等は、処理部10の中に位置するように構成してもよい。
【0026】
外界センサ群4は、車両2の周辺の状態を検出する装置の集合体である。外界センサ群4はたとえば、カメラ装置、ミリ波レーダ、LiDAR、ソナー等が該当する。外界センサ群4は、車両2から所定範囲の静止物や移動体等の環境要素を検出し、車載ネットワークNに出力する。「静止物」とは、例えば建造物や路端等、その場所から移動する可能性がない障害物のことを表す。「移動体」とは、車両2以外の車両である他車両や、歩行者、道路への落下物等、その場所から移動し得る障害物のことを表す。そのため、それらの移動し得る障害物が静止していた場合でも「移動体」と呼称する。
【0027】
車両センサ群5は、車両2の各種状態を検出する装置の集合体である。各車両センサは、たとえば、車両2の位置情報、走行速度、操舵角、アクセルの操作量、ブレーキの操作量等を検出し、車載ネットワークNに出力する。地図情報管理装置6は、車両2周辺のデジタル地図情報を管理および提供する装置である。地図情報管理装置6は、例えば、ナビゲーション装置等により構成される。地図情報管理装置60は、例えば、車両2の周辺を含む所定地域のデジタル道路地図データを備えており、車両センサ群5から出力される車両2の位置情報等に基づき、地図上での車両2の現在位置、すなわち車両2が走行中の道路や車線を特定するように構成されている。また、特定した車両2の現在位置やその周辺の地図データを、車載ネットワークNに出力する。
【0028】
アクチュエータ群7は、車両の動きを決定する操舵、ブレーキ、アクセル等の制御要素を制御する装置群である。アクチュエータ群7は、運転者によるハンドル、ブレーキペダル、アクセルペダル等の操作情報や電子制御装置3から出力される制御情報に基づいて、車両の動きを制御する。HMI装置群8は、運転者や乗員からの車両システム1に対する情報入力や、運転者や乗員に対する車両システム1からの情報通知を行うための装置群である。HMI装置群8には、ディスプレイ、スピーカー、バイブレータ、スイッチ等が含まれる。
【0029】
図2は、本実施形態の動作説明のための走行シーンの一例を示す図である。
図2は上下に分かれており、
図2の上図から
図2の下図にむけて時間が経過している。
図2の走行シーンでは、車両が互いにすれ違うことのできない狭路210に、一部道幅が広くなっている退避領域211が存在している。この道路環境において、自車両2が他車両200とすれ違いをしようとしている。
図2の上図では、自車両2が退避領域211における行動目標262に向かって退避する行動252が描かれている。その傍らで他車両200は、自車両2が退避領域211に退避する行動を阻害しないように、行動目標261で待機する行動251が描かれている。
【0030】
なお、行動目標とは、協調行動における行動手順を表現するために、当該行動ステップの目標位置姿勢の目安として仮に設定されたもので、走行制御計画における実際の目標位置姿勢や他車両200の実際の挙動とは異なるものである。また「待機」とは、所定の速度以下の状態を意味し、速度ゼロだけでなくクリープ速度程度の極低速も含まれる。
【0031】
図2の下図では、上図の行動が完了した後に実施される行動を示している。自車両2が退避領域211の行動目標262に到達すると、他車両200は、すれ違い可能な状態になるため行動目標263に向かって進む(行動253)。そして自車両2は、他車両200が近傍からいなくなった後に行動目標264に向かって進み(行動254)、すれ違いに関する協調行動が完了する。このように、協調行動は自車両2と他の移動体の間で、依存関係のある行動ステップの組合せで表現される。行動ステップは、行動目標という当該行動ステップの終着点における目標位置姿勢の目安によって特徴づけられる。
【0032】
なお
図2の例だけでなく本実施の形態では、自車両2と他車両200とは特段の相互通信を行わず、相互に相手の動作を予測している。仮に予測が外れた場合には
図2に示したようなスムーズなすれ違いは実現できないが、本実施の形態では相手の行動を正しく予測できる前提で動作を説明する。なお、自車両2と他車両200とが通信を行い、互いにこれからの動作を送信してもよい。
【0033】
図3は、協調行動データ群34に格納されるデータの構造例を示す図である。協調行動データ群34は、
図2で説明したような協調行動の手順に関する情報が格納されている。協調行動データ群34は複数のレコードから構成され、各レコードは行動ID301、車両ID302、行動目標303、依存行動ID304等を含んで構成される。行動ID301は、当該行動ステップの識別子である。以下では、「行動XXX」と表現した場合には、行動ID301が「XXX」であることを意味している。
【0034】
車両ID302は、当該行動ステップの動作主体を示す識別子に関する情報である。主体とは、自車両2、もしくは自車両2の協調行動の相手である移動体のことであり、それらを識別するIDが用いられる。行動目標303は、当該行動ステップの終着点に関する情報であり、
図2で示した行動目標が該当する。なお、行動目標の表現形態は特に制限はなく、終着点に相当する位置座標を表現してもよいし、領域として表現してもよいし、姿勢を含めて表現してもよい。
【0035】
依存行動ID304は、当該行動ステップが依存する行動ステップの行動IDである。依存行動ID304が指定されている場合は、当該行動ステップよりも前に指定行動ステップが完了していなければならないことを意味する。例えば、行動251、252は依存する行動ステップは存在しないため「N/A」と表現され、行動253、254はそれぞれ行動252、253に依存するため、「252」「253」と記されている。
【0036】
図4は、
図2の走行シーンにおける他車両200の行動251、253に関して、移動体経路予測データ群35と移動体軌道予測データ群36として格納されるデータの例を示す図である。移動体経路予測データ群35は、移動体の将来の予測経路に関するデータの集合である。協調行動の対象となっている移動体の予測経路は、協調行動ステップ毎に生成される。
図4で示されている予測経路281、283は、それぞれ他車両200の行動251、253に関する予測経路に相当する。移動体軌道予測データ群36は、移動体の将来の予測軌道に関するデータの集合である。
図4では、他車両200の予測軌道271が示されている。予測軌道は、協調行動ステップ毎ではなく、将来の所定時間範囲を対象として生成されるため、
図4では行動251における所定時間範囲の軌道が示されている。
【0037】
図5は、
図2の走行シーンにおける衝突リスクマップデータ群37と滞留リスクマップデータ群38の一例を示す図である。詳細には、
図5の上図は衝突リスクマップデータ群37の一例を示し、
図5の下図は滞留リスクマップデータ群38の一例を示す。
【0038】
衝突リスクマップは、車両2が周辺の静止物や移動体等の障害物と衝突する危険性のある場所やその度合いをマップ化したものである。
図5の上図に示す例では、静止物である道路境界(路端)と、移動体である他車両200との衝突リスクが符号291で示すドットのハッチングで示されている。衝突リスクマップの表現形態の一例としては、車両2の現在位置を中心とした直交座標系で規定される所定の領域において、xとyがそれぞれ変数で表される座標値(x、y)の各位置における衝突リスク値を格子状マップ(グリッドマップ)がある。
【0039】
滞留リスクマップは、車両2が滞留すると当該移動体の行動を阻害する領域とその阻害の度合いである滞留リスクをマップ化したものである。
図5に示す例では、協調行動対象の移動体である他車両200の行動を阻害する滞留リスク領域292として斜線のハッチングで表現されている。また、滞留リスクマップでは、走行できない領域にも滞留リスクを配置してもよい。滞留リスクマップは車両2の適切な待機位置姿勢を判断するために用いられるため、滞留可能な領域を探索するためには、対象の移動体の行動を阻害する領域だけでなく、本来走行不可能な領域にもリスクを配置することが好ましい。
【0040】
ただし本実施の形態で示す例では、衝突リスクや滞留リスクの有無をハッチングの有無で図示しているので、図面ではリスクの度合いを表現していない。リスクの度合いは、リスクの有無の二値で表されてもよいし、0~100などの連続値で表されてもよい。以下では衝突リスクが存在する領域を「衝突リスク領域」とも呼び、滞留リスクが存在する領域を「滞留リスク領域」とも呼ぶ。さらに、衝突リスク領域と滞留リスク領域とをあわせて「リスク領域」とも呼ぶ。
【0041】
図5の下図に示す例では、衝突リスクマップと同様に、静止物である路端、すなわちドットのハッチングで示す領域にも滞留リスクを配置している。ただし、走行不可能な領域というのは、本来の滞留リスクの意味合いとは異なるため、滞留リスクマップ上で両者を識別できるように構成されていることが望ましい。
図5では、滞留リスクの度合で識別しており、走行不可能な領域はドットのハッチングで、本来の滞留リスク領域を斜線のハッチングで表現している。リスク度合は、たとえば高、中、低の3レベルなど離散的なレベルで表現してもよいし、連続的な数値で表現してもよい。
【0042】
電子制御装置3は、外界センサ群4、車両センサ群5、地図情報管理装置6等からそれぞれ取得した情報に基づいて、車両2の周辺に存在する静止物や移動体などの障害物との衝突リスクや滞留リスクを判断してマップ化し、車両2の走行制御情報を生成して出力する。アクチュエータ群7は、前述の走行制御情報に従い、車両2の各アクチュエータを制御する。これにより、車両2の走行制御が実現される。また、電子制御装置3は、車両2の走行制御にあたり、運転者や乗員に通知すべき情報としてHMI情報を生成し、HMI装置群8に出力する。これにより、運転者に走行上のリスクを認知させて安全運転を促したり、他車両との協調行動を支援したりするとともに、自動走行中の車両システム1の状態を運転者や乗員に提示することができる。
【0043】
図6は電子制御装置3が実現する機能の相関関係を示す図である。電子制御装置3は、
図1に示した情報取得部11、協調行動計画部12、移動体行動予測部13、衝突リスクマップ生成部14、滞留リスクマップ生成部15、走行制御計画部16、および情報出力部17の処理が適切な順番で実行されるように構成されている。一連の処理は、例えば100msごとに定期的に実行される。
【0044】
情報取得部11は、車載ネットワークNを介して他の装置から必要な情報を取得し、記憶部30に格納する。情報取得部11は、外界センサ群4からセンサ検出データ群31を、車両センサ群5から車両情報データ群32を、地図情報管理装置6から道路環境データ群33をそれぞれ取得し、後段の処理部に受け渡す。
【0045】
協調行動計画部12は、情報取得部11から取得したセンサ検出データ群31、車両情報データ群32、および道路環境データ群33に基づき、車両2の周辺の移動体との協調行動の必要有無を判断する。協調行動計画部12は、協調行動が必要と判断する場合は、対象の移動体との協調行動手順を決定して管理する。そして協調行動計画部12は、移動体行動予測部13および走行制御計画部16に、協調行動手順に関する協調行動データ群34をそれぞれ出力する。協調行動計画部12は、協調行動が不要と判断する場合は特段の処理を行わなくてもよいし、協調行動を不要と判断した旨を情報出力部17を介してHMI装置群8に出力してもよい。
【0046】
移動体行動予測部13は、車両2の周辺の移動体に関する経路および軌道を予測して、移動体経路予測データ群35および移動体軌道予測データ群36を生成する。移動体行動予測部13は、これらの生成に情報取得部11から取得したセンサ検出データ群31および道路環境データ群33、ならびに協調行動計画部12から出力された協調行動データ群34を用いる。移動体経路予測データ群35は協調行動データ群34とあわせて滞留リスクマップ生成部15に出力され、移動体軌道予測データ群36は衝突リスクマップ生成部14に出力される。
【0047】
衝突リスクマップ生成部14は、センサ検出データ群31に含まれる各障害物に対して、車両情報データ群32と移動体軌道予測データ群36に基づき、車両2との衝突リスクが存在する領域と領域ごとの衝突リスクの度合を推定する。そして衝突リスクマップ生成部14は、算出結果をマップ化して衝突リスクマップデータ群37を生成する。生成された衝突リスクマップデータ群37は、走行制御計画部16に出力される。
【0048】
滞留リスクマップ生成部15は、協調行動データ群34と移動体経路予測データ群35とに基づき、協調行動対象の移動体の予測経路情報を抽出し、車両2が滞留すると当該移動体の行動を阻害する領域を特定する。また滞留リスクマップ生成部15は、センサ検出データ群31や道路環境データ群33に含まれる走行規制等の情報に基づいて、走行不可能な領域を特定する。滞留リスクマップ生成部15は、これらの情報を組み合わせて滞留リスクが存在する領域と領域ごとの滞留リスクの度合を推定し、推定結果をマップ化して滞留リスクマップデータ群38を生成する。生成された滞留リスクマップデータ群38は、走行制御計画部16に出力される。
【0049】
走行制御計画部16は、協調行動データ群34、衝突リスクマップデータ群37、滞留リスクマップデータ群38等に基づき、車両2が走行すべき軌道を計画し、同軌道を追従する制御指令値等を生成する。そして制御指令値等の情報を含む走行制御データ群39およびHMI装置群8での情報提示に用いられる各種入力情報が、情報出力部17に出力される。情報出力部17は、走行制御データ群39に基づき、制御指令値をアクチュエータ群7に出力する。また、協調行動データ群34や衝突リスクマップデータ群37、滞留リスクマップデータ群38に基づき、HMI装置群8が乗員に提示するための情報を出力する。
【0050】
以下では、
図2で示した走行シーンを用いて、電子制御装置3の動作を詳細に説明する。
【0051】
(協調行動計画部12の処理)
図7は、協調行動計画部12の処理を示すフローチャートである。まず、ステップS501において、協調行動計画部12は、走行環境情報であるセンサ検出データ群31、車両情報データ群32、および道路環境データ群33を取得する。続いて、協調行動計画部12は、ステップS502において、現在の走行道路環境が他車とのすれ違いが困難であるか否かを判断する。例えば協調行動計画部12は、道路環境データ群33に含まれる現在の道路の車線数や道幅等の情報を用いて、他車とのすれ違いが困難であるかを判断する。
【0052】
協調行動計画部12は、他車両とのすれ違いが困難ではないと判断する場合は(ステップS502でNO)、協調行動の必要がない状況であるとして、ステップS506にて記憶部の協調行動データ群34をリセットして、
図7に示す処理を終了する。協調行動計画部12は、他車両とのすれ違いが困難と判断する場合は(ステップS502でYES)、センサ検出データ群31に基づき前方にすれ違い対象の他車両(対向車)が存在するか否かを判断する(ステップS503)。
【0053】
協調行動計画部12は、前方にすれ違い対象の他車両が存在しないと判断する場合は(ステップS503でNO)、ステップS506に進み
図7に示す処理を終了する。協調行動計画部12は、前方にすれ違い対象の他車両が存在すると判断する場合は(ステップS503でYES)、ステップS504において当該他車両とのすれ違いを実現するための協調行動手順を決定して、ステップS505で協調行動データ群34として記憶部30に格納して
図7に示す処理を終了する。
【0054】
協調行動手順は、例えば、すれ違いをするための一時的な退避領域の場所の位置関係で定める。
図2のシーンの場合には、退避領域211が自車両2の進行方向に対して左側に位置するため、左側通行の走行環境においては、自車両2が退避するのが自然である。その結果、
図2および
図3で示したような協調行動手順が決定される。なお、協調行動手順に従って自車両2と他車両200が行動ステップを完了していくと、現在対象とする行動ステップが更新される。その場合は、実行が完了している行動ステップは協調行動手順から取り除かれる。
【0055】
(移動体行動予測部13の処理)
図8は、移動体行動予測部13の処理を示すフローチャートである。まず、ステップS601において、移動体行動予測部13は、センサ検出データ群31、道路環境データ群33、協調行動データ群34を取得してステップS602に進む。移動体行動予測部13は、センサ検出データ群31に含まれる全ての移動体を1つずつ順番に処理対象移動体に設定し、ステップS602~ステップS607において、処理対象移動体の走行経路および走行軌道を予測する。
【0056】
移動体行動予測部13は、ステップS602において、未処理の移動体が存在するか否かを判断する。移動体行動予測部13は、未処理の移動体が存在しないと判断する場合は(ステップS602でNO)、
図8に示す処理を終了する。移動体行動予測部13は、未処理の移動体が存在すると判断する場合はステップS603に進む。
【0057】
ステップS603において、移動体行動予測部13は、処理対象が協調行動データ群34において協調行動対象として指定されているか否かを判断する。移動体行動予測部13は、処理対象移動体が協調行動対象として指定されていると判断する場合はステップS604に進み、処理対象移動体が協調行動対象として指定されていないと判断する場合はステップS607に進む。ステップS607では移動体行動予測部13は、道路環境データ群33に含まれる車線や交通規制等の情報に基づいて、処理対象移動体の走行経路および走行軌道を予測してステップS606に進む。
【0058】
ステップS604において、移動体行動予測部13は、協調行動データ群34において処理対象移動体に該当する各協調行動ステップに対して走行経路を予測する。処理対象移動体に該当する協調行動ステップは、
図3に示す車両IDと処理対象移動体のIDと一致しているか否かで判断する。処理対象移動体が現在対象としている協調行動ステップの場合は、処理対象移動体の現在の状態(位置、姿勢、速度等)や、静止物や他の移動体(自車両2含む)の状態に基づき、行動目標303に対する走行経路を予測する。処理対象移動体が現在対象としていない協調行動ステップの場合は、その前に処理対象移動体が実施予定の協調行動ステップの行動目標303から、当該協調行動ステップの行動目標303に対する走行経路を同様にして予測する。
図4に示す例では、現在対象としている協調行動ステップである行動251に対する予測経路281、次に対象となる協調行動ステップである行動253に対する予測経路283が生成されている。
【0059】
続いて、ステップS605において、移動体行動予測部13は、ステップS604で生成した各協調行動ステップにおける予測経路に基づき、処理対象移動体の走行軌道を予測して、ステップS606に進む。走行軌道の予測は、走行経路とは異なり定められた時間範囲において予測する。そのため、現在対象としている協調行動ステップを基準に、現在の処理対象移動体の状態(位置、姿勢、速度等)から所定時間範囲の位置姿勢や速度等を推定する。もしも、現在の協調行動ステップが所定時間以内に完了する場合は、次の協調行動ステップに引き継いで予測する。
図4に示す例では、他車両200が非常に低速である想定であり、予測軌道271が生成されている。
【0060】
ステップS606において、移動体行動予測部13は、ステップS605もしくはステップS607で予測された処理対象移動体の走行経路・走行軌道を、それぞれ移動体経路予測データ群35、移動体軌道予測データ群36として、記憶部30に格納する。そして、ステップS602に戻り、未処理の移動体MOがなくなるまで処理を繰り返す。
【0061】
(衝突リスクマップ生成部14の処理)
図9は、衝突リスクマップ生成部14の処理を示すフローチャートである。まず、ステップS701において、衝突リスクマップ生成部14は、センサ検出データ群31、車両情報データ群32、および移動体軌道予測データ群36を取得する。続いて、ステップS702において衝突リスクマップ生成部14は、センサ検出データ群31に含まれる静止物に対して、衝突リスクの領域およびその度合を算出する。静止物は移動しないので、時間の経過には関係なく、当該静止物が存在する領域がそのまま衝突リスクを有する領域となる。
【0062】
そして、ステップS703において衝突リスクマップ生成部14は、センサ検出データ群31に含まれる移動体に対して、衝突リスクの領域およびその度合を算出する。移動体は移動する可能性があるため、移動体軌道予測データ群36に基づきその時間経過による移動の影響も考慮して、衝突リスクのある領域を判断することが望ましい。たとえば、移動体の移動方向ごとの確率分布や、移動速度ごとの確率分布を算出して、衝突リスクの度合を算出してもよい。続くステップS704では、衝突リスクマップ生成部14は、ステップS702とステップS703で算出した車両2周辺の衝突リスクを衝突リスクマップとしてマップ化する。前述のように、
図5の上図は、
図2上図のシーンにおける衝突リスクマップの例を表している。静止物である路端部分と、移動体である他車両200の予測軌道領域が衝突リスクとして表現されている。続くステップS705では衝突リスクマップ生成部14は、作成した衝突リスクマップを衝突リスクマップデータ群37として記憶部30に格納して
図9に示す処理を終了する。
【0063】
(滞留リスクマップ生成部15の処理)
図10は、滞留リスクマップ生成部15の処理を示すフローチャートである。まず、ステップS801において、滞留リスクマップ生成部15は、センサ検出データ群31、道路環境データ群33、協調行動データ群34、および移動体経路予測データ群35を取得する。続くステップS802において滞留リスクマップ生成部15は、協調行動データ群34を参照して、協調行動対象の移動体(以下、「協調移動体」と呼ぶ)が存在するか否かを判断する。滞留リスクマップ生成部15は、協調移動体が存在しないと判断する場合はステップS809に進み、協調移動体が存在すると判断する場合には次に説明するようにステップS803~ステップS808においてその協調移動体に対する滞留リスクを算出してマップ化する。
【0064】
ステップS803において、滞留リスクマップ生成部15は、協調行動データ群34を参照して、車両2が現在対象としている協調行動ステップに対して、次に実施する協調移動体の協調行動ステップ(以下、「相手側次ステップ」と呼ぶ)を特定する。例えば、
図3において、自車両2が現在対象としている協調行動ステップが行動252の場合は、相手側次ステップは行動253になる。相手側次ステップは、依存行動ID304が、自車両2の協調行動ステップを示しているエントリを探索することにより判断できる。
【0065】
次に、ステップS804において、滞留リスクマップ生成部15は、移動体経路予測データ群35を参照して、相手側次ステップに該当する予測経路を抽出し、相手側次ステップにおいて協調移動体が移動する領域である予測行動領域を推定する。予測行動領域は、例えば、当該予測経路にしたがって協調移動体が通過する領域を算出することにより得られる。協調移動体の形状は、例えば、センサ検出データ群31に含まれる外界センサ群4の認識結果を参照することで得られる。外界センサ群4の認識結果や予測経路には誤差を含むため、それらのマージンを考慮して予測行動領域を設定することが望ましい。
【0066】
続いて、ステップS805において滞留リスクマップ生成部15は、相手側次ステップ以前に実施予定でかつ未完了の、移動体MOの相手側未完了ステップを特定する。例えば、
図3においては、相手側次ステップが行動253の場合、行動251が該当する。続くステップS806では滞留リスクマップ生成部15は、ステップS804と同様の手順で相手側未完了ステップにおいて協調移動体が移動する領域である予測行動事前領域を推定する。
【0067】
続くステップS807において、滞留リスクマップ生成部15は、ステップS804およびステップS806で推定された予測行動領域および予測行動事前領域に基づき、滞留リスクの領域およびその度合を算出し、ステップS808においてその結果を滞留リスクマップとしてマップ化する。例えば、予測行動領域および予測行動事前領域の領域に一律の度合で滞留リスクを設定する。また、例えば、予測行動領域および予測行動事前領域の領域に対して、一定距離の範囲に対して、相対的に低い滞留リスクを設定してもよい。滞留リスクに度合を持たせる際の実施例は
図14と
図15で後述する。
【0068】
なお、自車両2の現在の協調行動ステップの次に協調移動体が実施する相手側次ステップおよびそれ以前の未完了の相手側未完了ステップの予測経路を滞留リスクとして設定する理由は次のとおりである。すなわち、現在の自車両2の協調行動ステップが終了したときの待機位置や姿勢の状態が直接影響を与えるからである。自車両2の待機位置や姿勢が、協調移動体の協調行動ステップを阻害してしまうと、協調移動体が身動きを取れず、膠着状態が発生することになる。
【0069】
ステップS803~ステップS808の処理により協調移動体に対する滞留リスクのマップ化を完了すると、滞留リスクマップ生成部15は、ステップS809において走行不可能領域を滞留リスクマップにマッピングする。そして続くステップS810では滞留リスクマップ生成部15は、滞留リスクマップを滞留リスクマップデータ群38として記憶部30に格納する。走行不可能領域とは、例えば、静止物が存在する領域や、道路環境データ群33等によって示される走行禁止領域が該当する。走行不可能領域をマッピングする際のリスク度合は、協調移動体に対する滞留リスクと識別可能に記録する。
【0070】
なお、衝突リスクマップと併用することで走行不可能領域に関する情報は参照可能なので、滞留リスクマップには最低限、滞留リスクがマッピングされていればよい。前述の
図5下図には、
図2上図のシーンにおける滞留リスクマップの例を表している。
図5下図には、他車両200の行動251(予測経路281)および行動253(予測経路283)に該当する予測行動領域が滞留リスク領域292として表現されている。
【0071】
(走行制御計画部16の処理)
図11は、走行制御計画部16の処理を示すフローチャートである。まず、ステップS901において、走行制御計画部16は、センサ検出データ群31、車両情報データ群32、協調行動データ群34、衝突リスクマップデータ群37、および滞留リスクマップデータ群38等を取得する。続いて、ステップS902において走行制御計画部16は、協調行動データ群34を参照して、協調行動対象の移動体である協調移動体が存在するか否かを判断する。走行制御計画部16は、協調移動体が存在しないと判断する場合はステップS8907に進み、協調移動体が存在すると判断する場合にはステップS903に進む。
【0072】
ステップS903では走行制御計画部16は、滞留リスクマップデータ群38に含まれる滞留リスクマップを参照して、まず、自車両2の現在の協調行動ステップにおける目標待機位置姿勢を特定する。そして走行制御計画部16は、ステップS904において、衝突リスクマップデータ群37に含まれる衝突リスクマップを参照して、ステップS903で特定した目標待機位置姿勢に対する軌道を生成してステップS905に進む。ステップS907では走行制御計画部16は、通常走行の軌道を生成してステップS905に進む。
【0073】
ステップS904またはステップS907において軌道が生成されると、走行制御計画部16は、ステップS905において当該軌道に基づき走行制御情報を生成する。続くステップS906では走行制御計画部16は、ステップS905において生成した走行制御情報を走行制御データ群39として記憶部30に格納し、
図11に示す処理を終了する。
【0074】
図12を用いて、ステップS903およびステップS904の例を説明する。
図12は、
図2上図のシーンにおける衝突リスク領域291と滞留リスク領域292を用いて、自車両2の軌道1001を計画する様子を示した図である。ステップS903では、滞留リスク領域292を参照して、
図2の自車両2の現在の協調行動ステップの行動目標262の周辺において、滞留リスクが存在しない領域を探索する。本シーンの場合は、行動目標262の位置に滞留リスクが存在しないため、行動目標262の位置が目標待機位置姿勢1011として設定される。そして、ステップS904において、衝突リスク領域291を参照して、目標待機位置姿勢1011に対して、自車両2の通過領域が衝突リスクと重ならない軌道を計画する。
【0075】
以上のように、滞留リスクマップを活用することで、現在の協調行動ステップの完了時の待機位置姿勢が、次の他車両200の協調行動ステップの行動領域に重ならないようになるため、他車両200の協調行動を阻害することがない。なお、本実施例では、ステップS903とステップS904を分けて説明したが、同時に実施してもよい。すなわち、滞留リスクマップに重複しない目標待機位置姿勢と、衝突リスクマップに重複しない軌道が満たされる条件を同時に探索してもよい。
【0076】
図13は、
図2とは異なるシーンにおける車両システム1の動作を説明する図である。
図13では、
図2のシーンの構成に加えて交通の障害となる静止物1110が存在している。そのため、
図13の上図のシーンにおいて、移動体行動予測部13は、ステップS604において、他車両200の行動251に対して、静止物1110を回避するような走行経路1111を予測する。そのため、滞留リスクマップ生成部15は、ステップS803~ステップS808において、走行経路1111等に基づいて、蛇行した予測行動領域1134を滞留リスクとして推定し、滞留リスクマップ1103を生成する。
【0077】
走行制御計画部16は、ステップS903において滞留リスクマップ1103を用いて、自車両2の行動252の目標待機位置姿勢を算出する際に、
図13の符号1131に示す箇所が滞留リスクと重なる。そのため走行制御計画部16は、行動目標262の近傍で滞留リスクと重ならない待機位置姿勢を探索して、目標待機位置姿勢1133を定める。この待機位置姿勢は、他車両200の行動領域と重なっていないため、他車両200の協調行動を阻害することがない。以上のように、他の移動体との協調行動において、当該移動体の協調行動ステップの行動領域を予測して、滞留制限領域としてそれを回避するように自車両2の協調行動ステップの待機位置姿勢を設定することにより、様々なシーンにおいて膠着状態に陥ることなく円滑に協調行動を実施することが可能となる。
【0078】
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)電子制御装置3は、車両2に搭載される。電子制御装置3は、車両1周辺の走行環境に関する走行環境情報、すなわちセンサ検出データ群31、車両情報データ群32、および道路環境データ群33を取得する情報取得部11と、走行環境情報に基づき、車両2が滞留すると車両2以外の移動体の行動を阻害する領域であって車両2の滞留を制限する領域である滞留制限領域を推定する滞留リスクマップ生成部15と、推定した滞留リスクマップに基づき、車両2の走行制御を計画する走行制御計画部16と、を備える。そのため、
図12および
図13に例示したように、スムーズなすれ違いを実現できる。
【0079】
(2)走行制御計画部16は、車両2が所定領域に滞留する必要がある場合に、
図11のステップS903において所定領域において滞留制限領域と重ならない領域に滞留するように走行制御を計画する。そのため、他車両200の軌道に重ならない位置で待機するためスムーズなすれ違いを実現できる。
【0080】
(3)車両2以外の移動体とは、走行環境情報に含まれる車両周辺に存在する移動体のことである。電子制御装置3は、移動体と協調した協調行動手順を決定する協調行動計画部12を備える。滞留制限領域は、車両2が滞留すると協調行動手順における移動体の行動を阻害する領域である。そのため自車両2は、他車両200の行動を阻害する滞在リスク領域への滞留を避けるので、他車両200とのスムーズなすれ違いを実現できる。
【0081】
(4)滞留リスクマップ生成部15は、
図10に示したように協調行動手順における移動体の行動において移動体が通過し得る移動体推定行動領域を推定し、移動体推定行動領域に基づき滞留制限領域を推定する。そのため、他の移動体の通行を妨げることを防止できる。
【0082】
(5)走行制御計画部16は、
図11のステップS903およびS904に示したように協調行動手順における車両2の目標待機位置姿勢を、滞留制限領域と重ならないように計画する。
【0083】
(6)電子制御装置3は、走行環境情報に基づき、車両が障害物と衝突するリスクがある衝突リスク領域を推定する衝突リスクマップ生成部14を備える。走行制御計画部16は、衝突リスク領域には車両2が侵入しない、かつ、滞留リスク領域には車両2が滞留しないような走行制御を計画する。
【0084】
―第2の実施の形態―
図14~
図15を参照して、電子制御装置の第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、滞留リスクマップにおける滞留リスクの度合の差異を活用して、適切な待機位置姿勢を判断する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0085】
図14は、第2の実施形態の動作説明のための走行シーンおよびその走行シーンにおける車両システム1の動作の一部を示す図である。走行シーン1200と走行シーン1201は、他車両1202との協調行動の流れを示している。
図14のシーンでは、自車両2が右側から左側に向かって走行しており、協調行動計画部12は退避領域が存在する側を走行している他車両1202が退避領域に退避すると予想する。走行シーン1200は、自車両2が他車両1202に接近しすぎているため、他車両1202が退避領域に移動する行動1212を阻害している。したがって自車両2は後退する行動1211を実施する。それ以降の協調行動手順である走行シーン1201は、
図2の下図の走行シーンと同様である。
【0086】
図14の符号1202および1203は、走行シーン1200の行動1211における衝突リスクマップおよび滞留リスクマップをそれぞれ示している。本実施形態における滞留リスクマップ生成部15は、ステップS803~ステップS808において他車両1202の滞留リスクを滞留リスクマップにマッピングする際に、他車両1202の行動1212に関する予測行動領域に相当する主滞留リスク領域292-1だけでなく、その周囲に相対的にリスク度合の低い低滞留リスク領域292-2を配置する。
【0087】
主滞留リスク領域292-1は、他車両1202の行動1212を確実に阻害する領域を意味する。低滞留リスク領域292-2は、他車両1202が行動1212を実施しづらくなる可能性がある領域を意味する。低滞留リスク領域292-2は主滞留リスク領域292-1の外周に存在し、特に自車両の進行方向と平行な方向に低滞留リスク領域292-2は広く設定される。
【0088】
自車両2が他車両1202の行動領域に近接していると、他車両1202の運転者は必要以上に高い操作精度を求められてプレッシャーを感じる。そのため本来は、行動1212のためのスペースが十分に確保されるように後退すべきである。滞留リスク1233は、このように安全性を考慮して設定されたものである。走行制御計画部16は、ステップS903において、相対的にリスク度合の低い滞留リスク1233も可能な限り回避するように目標待機位置姿勢1230を決定することにより、他車両1202の行動1212に十分なスペースを確保する。これにより、他車両1202の運転者にプレッシャーを与えるのを抑止することができる。
【0089】
図15は、第2の実施形態の動作説明のための走行シーンの一例を示す図である。
図14と同様の走行シーンであるが、自車両2の背後に別の他車両1253が存在している点が異なる。この走行シーンでは、他車両1253との衝突のリスクがある衝突リスク領域1284が自車両2の背後に設定されるため、自車両2符号1280で示すような後退ができない。そのため、相対的にリスク度合の低い低滞留リスク領域292-2を完全に回避するスペースは存在しない。このような場合は電子制御装置3は、相対的にリスク度合の低い低滞留リスク領域292-2に、自車両2の目標待機位置姿勢が重なることを許容する。
【0090】
滞留リスク1283は、他車両1252の運転のしやすさに配慮をするために設定されたものであり、必ずしも他車両1252の行動1262を阻害するわけではない。互いに十分なスペースがない状況下では、近接環境ですれ違うことはやむを得ないことを反映したものになっている。なお、滞留リスク1282および1283のリスク度合を一様に設定してしまうと、
図14と
図15のシーンのように状況に応じた対応が困難となる。
【0091】
以上のように、協調行動対象の移動体の予測行動領域だけでなく、当該移動体の行動のしやすさに与える影響も考慮して、予測行動領域よりも広く滞留リスクを設定することにより、移動体の行動のしやすさに配慮した円滑な協調行動を実現可能である。また、協調行動対象の移動体の行動を完全に阻害する領域と、当該移動体の行動のしやすさに影響を与える領域と、でリスク度合を識別できるように滞留リスクを設定することにより、状況に応じた適切な目標待機位置姿勢を判断することが可能となり、円滑な協調行動を実現可能である。
【0092】
上述した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(7)滞留リスク領域は、移動体に対して与える行動しにくさの度合に関する情報を含む。すなわち、相対的にリスク度合いの高い主滞留リスク領域292-1と、相対的にリスク度合いの低い低滞留リスク領域292-2とがある。走行制御計画部16は、主滞留リスク領域292-1および低滞留リスク領域292-2と重ならない目標待機位置姿勢が存在しない場合に、低滞留リスク領域292-2に重なる目標待機位置姿勢を計画することを許容する。
【0093】
―第3の実施の形態―
図16を参照して、電子制御装置の第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、移動体行動予測部13が死角に移動体が存在する可能性を考慮する点が第1の実施の形態と異なる。
【0094】
本実施の形態における移動体行動予測部13は、第1の実施の形態における処理に加えて次の処理を行う。すなわち移動体行動予測部13は、センサ検出データ群31および道路環境データ群33を参照し、死角には移動体が存在し自車両2の移動を妨げるように移動すると予測する。具体例を
図16を参照して説明する。
【0095】
図16は、第3の実施の形態における移動体行動予測部13の処理例を示す図である。
図16には、走行シーン1301、走行シーン1302、衝突リスクマップ1303、および滞留リスクマップ1304が含まれる。走行シーン1301では、自車両2は渋滞時の道路で停車中である。自車両2のすぐ前方左側には脇道があり、自車両2のセンサの死角となっているが、走行中の道路に他車両が侵入する可能性がある。このような状況下では、将来的に他車両が脇道に現れたときに備えて、その他車両の行動を阻害しないように脇道近辺の領域には滞留しないことが望ましい。
【0096】
このようなケースにおいても、滞留リスクマップを適用可能である。本発明の第1および第2の実施形態では、移動体行動予測部13は、外界センサ群4が検出した移動体MOに対して、
図8の処理フローに従って移動体MOの走行経路および走行軌道を予測したが、本実施形態では、移動体MOとしてさらに仮想的な移動体VMOも含めて考える。仮想的な移動体VMOとは、外界センサ群4の死角で検出できていない可能性のある移動体や、現在は存在しないが将来的に現れる可能性のある移動体を具現化したものである。
【0097】
図16の走行シーンにおいては、将来的に脇道に他車両が現れたときを想定し、走行シーン1302に示すように仮想的な他車両1311を配置する。移動体行動予測部13は、この仮想的な他車両1311に対して、取り得る走行経路を予測する。仮想的な移動体は、時間的な概念は定まらないため、走行軌道は予測しない。また、仮想的な移動体は状態が定まらないため、行動として複数候補が存在する場合があるが(行動1312と行動1313)、移動体行動予測部13はすべての候補に対して走行経路を予測する。そして、滞留リスクマップ生成部15は、移動体行動予測部13が生成した仮想的な移動体の予測経路にしたがって、滞留リスクマップ1304に示すように滞留リスクを配置する。
【0098】
図11の処理フローにおいて、仮想的な他車両1311は協調行動の対象ではないため、ステップS902において否定判断がされて走行制御計画部16は、ステップS907において通常走行の軌道を生成する。この際に走行制御計画部16は、滞留リスクマップを用いて渋滞時の待機場所を判断する。すなわち走行制御計画部16は、滞留リスクマップ1304に相当する領域には停止しないように軌道を生成する。
図16の走行シーンのように自車両2の先行車1320が脇道のすぐ先に停止している場合は、衝突リスクマップ1303に示すように先行車1320の衝突リスクが前方に存在している。そのため自車両2は滞留リスク1323を通過できないと判断し、自車両2は前進せず現在の位置で待機する。
【0099】
なお、先行車1320が前進して、先行車1320の衝突リスクと滞留リスク1323の間に十分なスペースが生じると、自車両2は滞留リスク1323に滞留することなく通過可能と判断して、前進する軌道を生成する。なお、滞留とは所定の場所あるいは領域に対して一定時間以上留まることを意味するため、ある時点で滞留リスクを通過できないような状態であったとしても、次のような場合には滞留リスクに侵入してよい。すなわち、先行車の前の車両が前進開始している場合など、近い将来において通過できるようになることが予測され、滞留リスク領域に留まる時間が所定値以内に収まると判断できる場合は、滞留リスクに進入してもよい。
【0100】
上述した第3の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(8)車両2以外の移動体とは、走行環境情報から推定される車両2の周辺において将来的に出現し得る移動体、たとえば
図16の仮想的な他車両1311のことである。そのため、本実施の形態では自車両2の死角に他の車両が存在することを仮定して滞留リスクマップを生成することで、死角に存在する車両の進行を妨げない。
【0101】
(9)走行制御計画部16は、滞留制限領域に滞留する時間が所定値以内に収まるように走行制御を計画する。
【0102】
―第4の実施の形態―
図17を参照して、電子制御装置の第4の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、滞留リスクマップ生成部15が停車不可能な領域も滞留リスクマップにマッピングする点で、第1の実施の形態と異なる。本実施の形態における滞留リスクマップ生成部15は、第1の実施の形態における処理に加えて、次の処理を行う。すなわち滞留リスクマップ生成部15は、道路環境データ群33から得られる停車に関する交通規制を滞留リスクマップに反映する。
【0103】
図17は、第4の実施の形態における滞留リスクマップ生成部15の処理例を示す図である。
図17には、走行シーン1401および対応する滞留リスクマップ1402が示されている。走行シーン1401には、自車両2が走行中の道路上に停止不可領域1412の路面標示と、駐停車禁止区間1413を示す道路標識1414とが示されている。滞留リスクマップ生成部15は、
図10の処理フローに従って滞留リスクマップを生成する。この際に滞留リスクマップ生成部15は、ステップS809において、走行不可能領域だけでなく、停車不可領域も滞留リスクマップにマッピングする。路面標示や道路標識に関する情報は、地図情報管理装置6から取得した道路環境データ群33を参照することで得られる。
【0104】
滞留リスクマップ生成部15は、路面標示や道路標識の情報から停止不可領域を特定し、該当場所に滞留リスクを配置する。
図17では、停止不可領域1412が滞留リスク1422に対応し、駐停車禁止区間1413が滞留リスク1423に対応する。そして、走行制御計画部16は、第3の実施形態と同様に、滞留リスク上で停止しないような軌道を生成する。
【0105】
このような路面標示や道路標識等の交通規制に関する情報は、走行制御計画部16が道路環境データ群33を直接参照して個別に判断することも可能である。しかし、道路の自動走行においては、様々な交通規制を多数考慮しなければならない上、第1~第3の実施形態で述べてきたような移動体との協調行動を考慮して、停車あるいは滞留可能な場所を特定しなければならず、個別に判断する処理を構築するのは煩雑となる。本実施形態では、それらの自車両2の滞留を規制する要素を滞留リスクマップとして一元的に統合管理して判断可能とすることにより、走行制御計画部16が適切な滞留可能な位置姿勢を特定することを容易化している。
【0106】
上述した第4の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(10)滞留リスクマップ生成部15は、さらに走行環境情報に含まれる車両周辺の交通規制情報に基づき、滞留リスク領域を推定する。そのため電子制御装置3は、交通規制を守りつつ他の車両とのスムーズなすれ違いを実現できる。
【0107】
(11)交通規制情報とは、
図17に示すように駐停車禁止領域または停止不可領域である。そのため電子制御装置3は、駐停車禁止領域や停止不可領域などの交通規制を守りつつ他の車両とのスムーズなすれ違いを実現できる。
【0108】
―第5の実施の形態―
以下、
図18~
図31を参照して、電子制御装置の第5の実施の形態を説明する。本実施の形態では、すれ違い後も考慮する点がこれまで実施の形態と異なる。第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0109】
図18は、第5の実施の形態に係る電子制御装置2003を含む車両システム2001の構成を示す機能ブロック図である。車両システム2001は、他車両2002に搭載される。車両システム2001は、他車両2002の周辺における走行道路や周辺車両等の障害物の状況を認識した上で、適切な運転支援や走行制御を行う。この運転支援には、車両2を運転する運転者への情報の提示も含まれる。
【0110】
図19は、第2走行制御計画部2016の機能構成図である。第2走行制御計画部2016は、リスクマップ、環境情報、車線情報、および地図情報に基づいて、目標軌道を演算する。第2走行制御計画部2016は、運転計画部2501、および軌道計画部2506を備える。運転計画部2501は、ルート情報、環境情報、および前回選択情報3005などに基づき、走行モード候補重み3001を算出する。
【0111】
走行モード候補重み3001とは、あらかじめ定めた複数の走行モードのそれぞれについて、自車両2が実行する重み、換言すると確率である。本実施の形態における走行モードは、車線維持、車線変更、障害物回避、すれ違い、の4つであり、それぞれの重みを合計値を「100」とするV1~V4の値で示す。すなわち目標行動候補重み3001は、このV1~V4の値である。たとえば自車両2が直線路を走行しており、前方に避けるべき車両や物体が存在せず、またルート情報からも隣接車線へ車線変更する必要がない場合には、車線維持に対応するV1が「100」であり、V2~V4は「0」に設定される。
【0112】
軌道計画部2506は、車線維持軌道生成部2502、車線変更軌道生成部2503、障害物回避軌道生成部2504、すれ違い軌道生成部2508、および軌道調停部2505を備える。車線維持軌道生成部2502は、自車両2が現在走行している車線の中央を維持するための軌道を生成する。車線変更軌道生成部2503は自車両2が現在走行している車線の隣接車線への車線変更行うための軌道を生成する。障害物回避軌道生成部2504は自車両2が現在走行している車線内に存在する障害物体を避ける軌道を生成する。すれ違い軌道生成部2508は、後述するように他の車両とすれ違うための軌道を生成する。
【0113】
軌道調停部2505は、車線維持軌道生成部2502、車線変更軌道生成部2503、障害物回避軌道生成部2504、およびすれ違い軌道生成部2508のそれぞれが生成する軌道に対して、周辺に存在する物体との安全度と、走行モード候補重み3001とに基づいて各軌道を評価する。この評価はたとえば、軌道と物体との最小距離の逆数と、走行モード候補重み3001の値との積として算出できる。軌道調停部2505は、最も評価が良い走行モードを最善モードとして特定し、その最善モードの軌道にそって車両2が走行するように、走行制御情報を生成する。さらに軌道調停部2505は、最善モードを前回選択情報3005として運転計画部2501に出力する。
【0114】
図20は、すれ違い軌道生成部2508の詳細構成図である。すれ違い軌道生成部2508は、管理部2581と、軌道生成部2582と、キャンセル軌道生成部2583とを備える。管理部2581は、後述するすれ違い状態を管理する。軌道生成部2582は、すれ違い軌道を生成する。キャンセル軌道生成部2583は、キャンセル軌道を生成する。すれ違い軌道およびキャンセル軌道は後に詳述する。
【0115】
図21は、すれ違い軌道生成部2508の軌道生成部2582の処理を示すフローチャートである。軌道生成部2582はまずステップS3301において、センサ検出データ群31、道路環境データ群33、協調行動データ群34、移動体軌道予測データ群36、衝突リスクマップデータ群37、および滞留リスクマップデータ群38を取得する。続くステップS3302では軌道生成部2582は、協調行動データ群34を参照して、協調行動対象の移動体である協調移動体が存在するか否かを判断する。軌道生成部2582は、協調移動体が存在しないと判断する場合は
図21に示す処理を終了し、協調移動体が存在すると判断する場合にはステップS3305に進む。
【0116】
ステップS3305では軌道生成部2582は、衝突リスクマップおよび滞留リスクマップに基づき、複数の退避位置姿勢候補を生成する。本ステップの処理の詳細は後に図面を参照して説明する。続くステップS3306では軌道生成部2582は、退避位置を通過後にすれ違いモードを他のモードへ変更する到達位置の候補である到達位置候補を生成する。本ステップの処理の詳細は後に図面を参照して説明する。
【0117】
続くステップS3307では軌道生成部2582は、退避位置姿勢候補および到達位置候補を通過する軌道候補を生成する。前述のとおり退避位置姿勢候補は複数存在するので、本ステップにおいて生成される軌道候補も複数である。続くステップS3308では軌道生成部2582は、ステップS3307において生成した軌道候補のそれぞれを評価し、最も評価が高い軌道を選択する。この評価に用いる評価値はたとえば、軌道と滞留リスク領域との重複が少ないほど評価値が高く、軌道の長さが短いほど評価値が高くなるように算出できる。続くステップS3309では軌道生成部2582は、ステップS3308において選択した軌道の情報を軌道生成部2582が生成した軌道として記憶部30に格納する。
【0118】
図22は、
図21のステップS3305における退避位置姿勢候補の生成方法を説明する図である。ただしここで説明する生成方法は一例にすぎず、他の手法により退避位置姿勢候補を生成してもよい。
図22に示すように自車両2の前方に協調行動するべき対向車両2200が存在している。そして、自車両2の前方左側に退避スペースが存在している。滞留リスクマップ生成部15によって生成された滞留リスク領域2292が自車両の前方および自車両2上に存在しているため、協調行動、ここではすれ違い走行を実現するためには、この滞留リスク領域が存在しない場所に自車両2を移動する、すなわち退避する必要がある。
【0119】
そこで、この滞留リスク領域2292が存在せず、衝突リスク領域2291に接触しない領域に待避姿勢位置候補(N1,θ1)~(N5,θ5)を生成する。Nは平面位置、θは車両2のヨー角を表す。このとき生成する待避姿勢位置候補の数は任意である。軌道生成部2582は、自車両2の大きさを考慮して自車両2が滞留リスク領域に重複しない範囲で滞留リスク領域に近い場所を選定する。
【0120】
図23は、
図21のステップS3306における到達位置候補の生成方法を説明する図である。ただしここで説明する生成方法は一例にすぎず、他の手法により到達位置候補を生成してもよい。まず軌道生成部2582は、道路環境データ群33を参照し、自車両2が走行中の走行車線の中心線3501を特定する。次に軌道生成部2582は、すれ違いモード開始地点3502および退避位置姿勢候補3504を前述の中心線3501に射影した位置の間隔を距離Lとして算出する。そして軌道生成部2582は、前述の中心線3501上の点であって、退避位置姿勢候補3504を射影した位置からすれ違いモード開始地点3502とは逆方向に距離L進んだ点を到達位置候補3503として設定する。
【0121】
図24は、
図21のステップS3307における軌道候補の生成方法を説明する図である。ただしここで説明する生成方法は一例にすぎず、他の手法により軌道候補を生成してもよい。軌道生成部2582は、
図24に示すように直線と複数の円弧曲線の組み合わせにより経路候補を生成する。軌道生成部2582は、直線部分の長さや円弧曲線の半径などを変更することにより複数の経路候補を生成できる。なお軌道生成部2582は、円弧曲線の代わりにクロソイド曲線を用いてもよい。軌道生成部2582はさらに、軌道ごとに速度を設定してもよい。
【0122】
軌道生成部2582は、生成した軌道候補を車両が走行する際の速度プロファイルを演算する。速度プロファイルはたとえば、軌道候補上を所定距離または所定時間進むごとに設定される仮想的な時系列点のそれぞれに速度を設定したものである。それぞれの時系列点に設定する速度は、ランダムな値でもよいし、一定値でもよい。軌道生成部2582は複数の速度プロファイルを作成し、以下の式を用いてそれぞれの速度プロファイルを評価する。ただし以下の式において、軌道候補上の全ての時系列点について算出した合計がその速度プロファイルの評価値EVVとなる。軌道生成部2582は評価値EV1が最も小さい値を有する速度プロファイルを軌道候補の速度プロファイルとする。
【0123】
EVV=Σ{w11(自車両の前後方向加速度)^2+w12(自車両の横方向加速度)^2+w13(制限速度-自車両速度)^2+w14(衝突リスクマップの値)^1} ・・・式1
【0124】
式1において、w11~w14のそれぞれは、あらかじめ定められた係数である。式1における衝突リスクマップの値とは、時系列点が衝突リスク領域に含まれる場合には通過する衝突リスク領域の値の和であり、時系列点が衝突リスク領域に含まれない場合には「0」である。衝突リスク領域の値は、リスクの有無を示す0または1などの離散値の場合もあるし、リスクの度合を示す0~100などの連続値の場合もある。
【0125】
図21のステップS908の詳細を説明する。軌道生成部2582は、それぞれの軌道候補を次の5つの観点で評価し、評価値と重み係数の合計値である軌道評価値EVRが最も高い軌道候補を採用する。5つの観点とは、安全性、利便性、乗り心地、違和感、対向車両への圧迫感である。軌道評価値EVRは次の式2により表される。
【0126】
EVR=w1E1+w2E2+w3E3+w4E4+w5E5 ・・・式2
【0127】
なお式2においてw1~w5のそれぞれは、あらかじめ定められた係数である。E1~E5のそれぞれは、前述の5つの観点それぞれの評価値である。
【0128】
安全性の評価には、周辺の物体との距離や顕在リスク値を用いる。たとえば、道路と経路候補の最小距離の逆数や衝突リスクマップの値を評価値とする方法が考えられる。利便性の評価には、軌道全体の長さ、またはすれ違いモード開始地点から退避位置姿勢候補までの軌道の長さを用いることができ、軌道が短いほど高い評価となる。この理由は、すれ違いのための動作に時間がかかると、対向車両が待機する時間が長くなり、他車両や自車両の乗員が不信感を持つ可能性があるためである。
【0129】
乗り心地の評価には、算出した経路を走行する車両に生じる加速度や加速度の時間変化であるジャークなどを用いる。たとえば、(旋回半径の逆数)×(総旋回角度)の値を評価指標とできる。これは、横加速度の大きさや横加速度が発生する時間が長い経路は乗り心地が悪いとの考えに基づいている。すなわち、旋回半径が小さい状態で、長い旋回角度が大きいほどを走行する乗心地の評価値が大きくなる。
【0130】
違和感の評価には、切り返し回数を用いる。これは、切り返し回数が多いほど、自車両2の乗員に違和感を生じさせるとの考えに基づいている。圧迫感の評価には、算出した経路と他の車両との最接近距離を用いる。たとえば、他車両の中心位置座標との経路候補との最小距離の逆数を評価指標とできる。この理由は、対向車両に接近しすぎる経路は、自車両および他車両の乗員に圧迫感を感じさせるためである。
【0131】
図25は、管理部2581が管理するすれ違い状態の遷移図である。管理部2581では、対向車両とのすれ違いの状態を示すすれ違い状態を管理する。すれ違い状態は、初期状態2701、すれ違い実行状態2702、すれ違い完了状態2703、およびすれ違いキャンセル状態2704の4つの状態が存在する。動作開始時のすれ違い状態は初期状態2701であり、初期状態2701から次に説明するように遷移する。
【0132】
初期状態2701において、すれ違い走行が可能と判断された場合にはすれ違い実行状態2702に遷移する。初期状態2701、またはすれ違い実行状態2702において、すれ違い走行が不可能と判断された場合には、すれ違いキャンセル状態2704へ遷移する。すれ違い実行状態2702において、すれ違い走行が完了した場合にはすれ違い完了状態2703に遷移し、すれ違い走行の途中で対向車両の状態や環境条件などが変化し、すれ違い走行が不可能と判断された場合には、すれ違いキャンセル状態2704へ遷移する。すれ違い完了状態2703およびすれ違いキャンセル状態2704に遷移した後は、再び初期状態2701に戻る。以下、それぞれの状態について説明する。
【0133】
図26は、管理部2581が初期状態2701において実行する処理を示すフローチャートである。管理部2581は、まずステップS2801において、すれ違い要求確認を行う。具体的には管理部2581は、運転計画部501が生成した「すれ違い」に対応する走行モードの重みである「V4」の値が所定値以上の場合には肯定判断をしてステップS2802に進み、「V4」の値が所定値未満の場合には否定判断をしてステップS2801に戻る。
【0134】
ステップS2802では管理部2581は、すれ違い軌道生成部602を用いてすれ違い走行に必要な軌道を生成する。本ステップの詳細な処理は
図21に示したとおりである。続くステップS2803では管理部2581は、キャンセル軌道を生成する。キャンセル軌道とは、自車両2の現在位置から到達位置候補に至る軌道であってすれ違い軌道とは異なる軌道である。キャンセル軌道はたとえば、自車両2の現在位置から到達位置候補までを直線で結んだ軌道である。
【0135】
図27は、すれ違い軌道およびキャンセル軌道の一例を示す図である。
図27において、退避位置姿勢候補3504を経由して到達位置候補3503に至る経路がすれ違い軌道である。その一方で、車両2の現在位置から退避位置姿勢候補3504を経由せずに到達位置候補3503に至る経路がキャンセル軌道である。
図26に戻って説明を続ける。
【0136】
続くステップS2804では管理部2581は、すれ違いが必要か否かを判断する。具体的には管理部2581は、衝突リスクマップデータ群37および滞留リスクマップデータ群38を参照し、キャンセル軌道がリスク領域に重なる場合にはすれ違いが必要と判断し、キャンセル軌道がリスク領域に重ならない場合にはすれ違いが不要と判断する。管理部2581は、すれ違いが必要と判断する場合にはステップS2805に進み、すれ違いが不要と判断する場合はステップS2806に進む。ステップS2805では管理部2581は、すれ違い状態をすれ違い実行状態2702に遷移して
図26に示す処理を終了する。ステップS2806では管理部2581は、すれ違い状態をすれ違いキャンセル状態2704に遷移して
図26に示す処理を終了する。
【0137】
図28は、管理部2581がすれ違い実行状態2702において実行する処理を示すフローチャートである。管理部2581は、まずステップS2811においてすれ違い走行に必要な軌道を生成する。本ステップの詳細な処理は
図21に示したとおりである。続くステップS2812では管理部2581は、キャンセル軌道を生成する。キャンセル軌道の生成方法は、
図26のステップS2803において説明したとおりである。
【0138】
続くステップS2813では管理部2581は生成したすれ違い軌道およびキャンセル軌道を比較し、安全性および乗り心地の指標に基づいて評価を行う。たとえば管理部2581は、すれ違い軌道に基づいて自車を走行させた場合に他車両や周辺オブジェクトと急接近する恐れが生じると判断する場合には、すれ違い走行の継続を不可と判断する。管理部2581は、すれ違い継続が可能と判断する場合にはステップS2814に進み、すれ違い継続が不可と判断する場合にはステップS2817に進む。
【0139】
ステップS904では管理部2581は、生成したすれ違い軌道を軌道調停部505へ出力する。ここで出力した軌道は、軌道調停部505により選択された場合には、この軌道に沿って自車両2が走行するように制御される。続くステップS2815では管理部2581は、自己位置情報や車線情報などに基づいて、自車両2の位置がすれ違いモードの終了領域、すなわち到達位置候補に到達したか否かを判定する。管理部2581は、到達位置候補に到達したと判断する場合はステップS2816に進み、到達位置候補に到達していないと判断する場合はステップS2811に戻る。ステップS2816では管理部2581は、すれ違い完了状態2703に遷移して
図28に示す処理を終了する。ステップS2817では管理部2581は、すれ違い状態をすれ違いキャンセル状態2704に遷移して
図28に示す処理を終了する。
【0140】
図29は、管理部2581がすれ違い完了状態2703において実行する処理を示すフローチャートである。管理部2581は、まずステップS2821において、車線維持軌道を生成する。具体的には管理部2581は、車線維持軌道生成部2502を用いて、または車線維持軌道生成部2502と同様の処理により、自車両2が現在走行している走行車線を維持する軌道を生成する。続くステップS2822では管理部2581は、ステップS2821において生成した軌道を軌道調停部505へ出力する。ここで出力した軌道は、軌道調停部505により選択された場合には、この軌道に沿って自車両2が走行するように制御される。
【0141】
続くステップS2823では管理部2581は、所定時間にわたって同一の車線を維持したか否かを判定する。管理部2581は、所定時間以上にわたって車線を維持したと判断する場合はステップS2824に進み、車線を維持した時間が所定値未満と判断する場合はステップS2821に戻る。ステップS2824では管理部2581は、すれ違い状態を初期状態2701に遷移して
図29に示す処理を終了する。
【0142】
図30は、管理部2581がすれ違いキャンセル状態2704において実行する処理を示すフローチャートである。管理部2581は、まずステップS2831において、すでに算出していたキャンセル軌道を軌道調停部505へ出力する。ここで出力した軌道は、軌道調停部505により選択された場合には、この軌道に沿って自車両2が走行するように制御される。続くステップS2832では管理部2581は、所定時間にわたってキャンセル軌道を維持したか否か、換言するとキャンセル軌道に沿った走行ができたか否かを判定する。管理部2581は、所定時間以上にわたってキャンセル軌道を維持したと判断する場合はステップS2833に進み、キャンセル軌道を維持した時間が所定値未満と判断する場合はステップS2831に戻る。ステップS2833では管理部2581は、すれ違い状態を初期状態2701に遷移して
図30に示す処理を終了する。
【0143】
図31は、電子制御装置2003の処理に基づく車両2の動きを示す模式図である。
図31に示すシーンでは、道路は狭路であり、自車両2は図示左側から右側に向かって自動運転走行を行なっており、自車両2の前方には対向車両3200が存在している。自車両2は、センサ検出データ群31および道路環境データ群33の少なくとも一方により、左前方に退避領域211が存在することを検知する。電子制御装置3002は、衝突リスクマップデータ群37および滞留リスクマップデータ群38を生成し、それに基づいて乗り心地や安全性などの観点からすれ違い軌道3003を生成する。すれ違い軌道3003を生成することで、自車両と対向車両と衝突することなく、また乗り心地や乗員に不安感を与えることを防止できる。
【0144】
上述した第5の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(12)電子制御装置3は、車両2に搭載され他の移動体とのすれ違い行動を計画する。電子制御装置3は、すれ違い行動の際に車両を移動体から退避させる退避位置の候補である退避位置候補を生成し(
図21のS3305)、退避位置候補を通過した後に到達する到達位置の候補である到達位置候補を生成し(
図21のS3306)、車両の現在の位置、退避位置候補の位置、および到達位置候補の位置を通る軌道を生成する(
図21のS3307)、すれ違い軌道生成部2508を備える。そのため電子制御装置3は、他の移動体とのすれ違い後も考慮した軌道を生成できる。
【0145】
(13)すれ違い軌道生成部2508の軌道生成部2582は、移動体の大きさ、および移動体の速度、の少なくとも一方に基づき退避位置候補を生成する。
【0146】
(14)すれ違い軌道生成部2508の軌道生成部2582は、複数の軌道を生成し、複数の軌道のそれぞれを評価して最適な軌道を選択する(
図21のS3308)。
【0147】
(15)すれ違い軌道生成部2508の軌道生成部2582は、安全性、利便性、乗り心地、違和感、および対向車両への圧迫感の少なくとも1つに基づき複数の軌道のそれぞれを評価する(
図21のS3308)。
【0148】
(第5の実施の形態の変形例1)
上述した第5の実施の形態では軌道生成部2582は、衝突リスクマップおよび滞留リスクマップを参照して退避位置姿勢候補を決定した。しかし軌道生成部2582は、衝突リスクマップおよび滞留リスクマップを参照せずに退避位置姿勢候補を決定してもよい。たとえば軌道生成部2582は、センサ検出データ群31や道路環境データ群33から退避領域を抽出し、退避領域にランダムに退避位置候補を設定してもよいし、退避領域のうち対向車両に最も遠い位置に退避位置姿勢候補を設置してもよい。さらに軌道生成部2582は、自車両2の速度および対向車両の速度と、自車両、対向車両、および退避領域の位置関係とから退避位置姿勢候補を設定してもよい。たとえば、自車両2および対向車両が現在の速度で走行した場合に両者が衝突する位置に最も近い退避領域に退避位置姿勢候補を設定してもよい。
【0149】
(第5の実施の形態の変形例2)
上述した第5の実施の形態では軌道生成部2582は、算出した複数の軌道候補を5つの観点で評価し、最も評価が高い経路を採用した。しかし軌道生成部2582は、1つの軌道候補のみを算出して評価することなくその軌道候補を用いてもよいし、複数の軌道候補からランダムに1つの軌道候補を用いてもよい。ただしこの場合は、軌道候補を適宜修正してもよい。たとえば1つだけ軌道候補を算出し、その軌道候補上に障害物が存在する場合には、障害物を避けるようにその軌道候補を修正してもよい。
【0150】
(第5の実施の形態の変形例3)
図28のステップS2824において、走行モードを車線維持モードに変更、すなわち軌道調停部2505における軌道の選択を車線維持軌道生成部2502が生成した軌道に変更してもよい。
【0151】
(第5の実施の形態の変形例4)
上述した実施の形態では、軌道生成部2582は自車両2が退避する場所だけでなく自車両2の姿勢も決定した。しかし軌道生成部2582は姿勢を決定しなくてもよい。すなわち第5の実施の形態における「退避位置姿勢候補」を「退避位置候補」に置き換えてもよい。
【0152】
―第6の実施の形態―
図32~
図33を参照して、電子制御装置の第6の実施の形態を説明する。以下の説明では、第5の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第5の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、到達位置候補の付近における環境条件を考慮して到達位置候補を変更する点で、第5の実施の形態と異なる。
【0153】
図32は、第6の実施の形態における処理が有効なシーンの例を示す図である。
図32に示す例では到達位置候補の付近に、電柱や道路上の落下物などの障害物1801が存在している。このような場合に、第1の実施の形態と同様に、待避位置姿勢候補と線対称の位置に到達位置候補を設定すると、すれ違い走行モードが終了直後にオブジェクト3801を避ける走行が必要となり、自車両2の乗員に不安感を与える可能性がある。
【0154】
そのため、本実施の形態におけるすれ違い軌道生成部2508は到達位置候補付近の状態を考慮したすれ違い軌道を生成する。すなわち
図33に示すように、到達位置候補の周辺にさらにいくつかの到達位置候補を生成する。そして、それらの全てに対しての軌道候補を生成し、生成した軌道候補の全てを評価し、最適な軌道を選択する。生成する追加の到達位置候補はたとえば、
図33に示すように、車線中心線3501に対して、垂直方向に到達位置候補を生成する。ただし、オブジェクト3801の位置を中心として、円弧方向に到達位置候補を生成してもよい。このように到達位置候補における状況も考慮したすれ違い軌道を生成することで、すれ違い走行モードが終了しレーンキープモードや乗員の運転モードに切り替わった場合においても安全に交代が可能となる。
【0155】
上述した第6の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(16)すれ違い軌道生成部2508の軌道生成部2582は、車両の周囲をセンシングする外界センサ群4の出力に基づき退避位置候補を決定している。軌道生成部2582は、所定距離以内に物体が存在しない位置を退避位置候補として生成する。換言すると軌道生成部2582は、所定距離以内に物体が存在する位置を退避位置候補から除外する。そのため、すれ違い走行モードが終了直後に物体を回避する動作が避けられる。
【0156】
―第7の実施の形態―
図34を参照して、電子制御装置の第7の実施の形態を説明する。以下の説明では、第5の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第5の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、待避位置姿勢候補の選択において死角を考慮する点で、第5の実施の形態と異なる。
【0157】
図34は、第7の実施の形態における処理が有効なシーンの例を示す図である。本実施の形態における電子制御装置3は、死角領域を避けて待避位置姿勢候補を選択する。
図34では、道路境界3901付近に高い壁などの死角発生要因物体4001が存在している。この死角発生要因物体2901によって、退避スペース付近に外界センサ群4の死角領域4002が生じている。死角領域4002には大きな障害物4003などが存在する可能性がある。
【0158】
軌道生成部2582が待避位置姿勢候補として符号3961~3963の3つを生成した場合に、符号3961を採用すると障害物4003により停車が困難になる可能性があり好ましくない。そのため軌道生成部2582は、死角領域が存在している場合には、死角領域4002から所定の距離以内に存在する待避位置姿勢候補を除外して選択する。ただし軌道生成部2582は、一律に除外する代わりに候補軌道の評価項目に、候補軌道と死角領域との距離を加えてもよい。
【0159】
上述した第7の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(17)すれ違い軌道生成部2508の軌道生成部2582は、車両の周囲をセンシングする外界センサ群4の出力に基づき退避位置候補を決定している。軌道生成部2582は、外界センサ群4の死角ではない位置を退避位置候補として生成する。換言すると軌道生成部2582は、外界センサ群4の死角を退避位置候補から除外する。このような死角領域が存在している状態におけるすれ違い走行において、死角領域を考慮したすれ違い軌道を生成することにより、すれ違い走行の途中で目標待避位置姿勢や目標軌道が変更されることがなくなり、乗員の乗り心地や不安感を与えることがなくなる。
【0160】
―第8の実施の形態―
図35~
図36を参照して、電子制御装置の第8の実施の形態を説明する。以下の説明では、第5の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第5の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、経路の生成が不可能な場合に通知する点で、第5の実施の形態と異なる。
【0161】
図35は、第8の実施の形態における第2走行制御計画部2016の機能構成図である。本実施の形態における第2走行制御計画部2016は、第5の実施の形態における第2走行制御計画部2016の構成に加えて、通知部2509をさらに備える。通知部2509は、軌道調停部2505の出力を外部に通知する。通知先は自車両2の内部に限定されず、自車両2の周囲や遠隔地でもよい。通知方法は、音、映像、および振動のいずれでもよいし、直接ではなく通信を介して通知してもよい。すなわち通知部2509は、音声出力装置、映像出力装置、振動子、および通信モジュールなどにより実現できる。
【0162】
本実施の形態における第2走行制御計画部2016は、車両2が走行可能な軌道が存在しない場合に、通知部2509を介して自車両2の乗員などに経路の生成が不可能である旨の通知を行う。前述のように軌道調停部2505は、車線維持軌道生成部2502、車線変更軌道生成部2503、障害物回避軌道生成部2504、すれ違い軌道生成部2508、および軌道調停部2505のそれぞれが生成した軌道を評価する。たとえば軌道調停部2505は、いずれの軌道も障害物に衝突すると判断する場合に経路の生成が不可能である旨の通知を行う。
【0163】
図36は、第8の実施の形態における処理が有効なシーンの例を示す図である。
図36では、自車両2の後方には後続車両1901が存在し、前方には他車両200が存在する。自車両2はすれ違い軌道を生成したが、他車両200が自車両2に接近したため、道路の外側、後続車両1901、および他車両200による衝突リスク領域291が自車両2の周囲を取り囲んでいる。この状態では、自車両2はどの方向に進んでも衝突リスク領域291と接触するため移動できない。そのため第2走行制御計画部2016は、自車両2の乗員などに経路の生成が不可能である旨の通知を行う。これにより、たとえば自車両2の乗員が自ら運転することで状況が改善することが期待される。
【0164】
上述した第8の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(18)軌道調停部2505は、すれ違い軌道生成部2508や車線維持軌道生成部2502が生成する軌道を含む複数の軌道から車両2が走行する軌道を決定し、車両2が走行可能な軌道が存在しない場合には軌道の算出ができない旨を通知部2509を介して通知する。そのため自車両2の乗員などに経路の生成が不可能である旨を通知し、たとえば自車両2の乗員が自ら運転することで状況が改善することが期待される。
【0165】
上述した各実施の形態および変形例において、機能ブロックの構成は一例に過ぎない。別々の機能ブロックとして示したいくつかの機能構成を一体に構成してもよいし、1つの機能ブロック図で表した構成を2以上の機能に分割してもよい。また各機能ブロックが有する機能の一部を他の機能ブロックが備える構成としてもよい。
【0166】
上述した各実施の形態および変形例において、プログラムは不図示のROMに格納されるとしたが、プログラムは記憶部30に格納されていてもよい。また、電子制御装置が不図示の入出力インタフェースを備え、必要なときに入出力インタフェースと電子制御装置が利用可能な媒体を介して、他の装置からプログラムが読み込まれてもよい。ここで媒体とは、たとえば入出力インタフェースに着脱可能な記憶媒体、または通信媒体、すなわち有線、無線、光などのネットワーク、または当該ネットワークを伝搬する搬送波やデジタル信号、を指す。また、プログラムにより実現される機能の一部または全部がハードウエア回路やFPGAにより実現されてもよい。
【0167】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0168】
2 :車両、自車両
3 :電子制御装置
11 :情報取得部
12 :協調行動計画部
13 :移動体行動予測部
14 :衝突リスクマップ生成部
15 :滞留リスクマップ生成部
16 :走行制御計画部
17 :情報出力部
37 :衝突リスクマップデータ群
38 :滞留リスクマップデータ群
291 :衝突リスク領域
292 :滞留リスク領域
292-1 :主滞留リスク領域
292-2 :低滞留リスク領域
501 :運転計画部
505 :軌道調停部
602 :軌道生成部
2016 :第2走行制御計画部
2505 :軌道調停部
2508 :軌道生成部